透光性部材
【課題】光輝性を有するにもかかわらず、安価な透光性部材を提供する。
【解決手段】光を透過する透光性部材20は、微細構造の凹凸からなり、透光性部材20の表面から入射して到達した所定の光を表面側に反射することによって光輝するプリズム部22を裏面に備える。特に、透光性部材20の裏面は、凹部21を有し、プリズム部22は、凹部21内に形成されている。プリズム部22は、凹部21の底面に形成されている。プリズム部22は、透光性部材20が表示する表示要素の形状に形成されている。
【解決手段】光を透過する透光性部材20は、微細構造の凹凸からなり、透光性部材20の表面から入射して到達した所定の光を表面側に反射することによって光輝するプリズム部22を裏面に備える。特に、透光性部材20の裏面は、凹部21を有し、プリズム部22は、凹部21内に形成されている。プリズム部22は、凹部21の底面に形成されている。プリズム部22は、透光性部材20が表示する表示要素の形状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
透光性部材は、例えば、自動車、家電製品、情報端末、腕時計等を装飾する装飾用部材として用いられることがある。例えば、特許文献1には、雌型を背面に有する視覚的に透明な被覆板と、前記雌型の表面に形成された金属光沢を有する非金属塗料層とを有する透光性部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3720039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の透光性部材は、非金属塗料層の金属光沢によって光輝性を有しているが、前記の非金属塗料層を形成する行程や材料が必要であり、光輝性を有する透光性部材を安価に製造できなかった。これは、非金属塗料層の代わりに金属層によって、金属光沢を表現する場合であっても同じである。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、光輝性を有するにもかかわらず、安価な透光性部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る透光性部材は、
光を透過する透光性部材であって、
微細構造の凹凸からなり、前記透光性部材の表面から入射して到達した所定の光を前記表面側に反射することによって光輝するプリズム部を裏面に備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透光性部材が微細構造の凹凸からなり光輝するプリズム部を備えることによって、前記の非金属塗料層や金属層を別途形成する必要が無いので、光輝性を有するにもかかわらず、安価に製造できる透光性部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る装飾用部材の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2における拡大部分を含む領域を切り取って、図2の下側斜め方向から見た斜視図である(図2と上下が逆になっている)。
【図4】図2の断面図において、透光性部材に入射する入射光及びプリズム部で反射される反射光の光路を概念的に示す図である。
【図5】図2のプリズム部の拡大断面図であり、プリズム部で反射される光の光路を説明するための図である。
【図6】図2のプリズム部の他の例を示す図である。
【図7】図2のプリズム部の他の例を示す図である。
【図8】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図9】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のC−C断面図である。
【図10】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のD−D断面図である。
【図11】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のE−E断面図である。
【図12】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のF−F断面図である。
【図13】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のG−G断面図である。
【図14】図9の形状におけるプリズム部において、ピッチが100μmであるときの相対輝度を1としたときの、ピッチと相対輝度との関係を示すグラフの図である。
【図15】プリズム部のピッチを250μm、200μm、150μm、100μm、10μmとしたときにおけるプリズム部が光輝する様子を撮影した写真の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態(図面の内容も含む。)によって限定されるものではない。下記の実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。
【0010】
本実施形態に係る透光性部材20は、装飾用部材1に使用される。
【0011】
装飾用部材1は、自動車等の取り付け対象物に取り付けられ、取り付け対象物を装飾する部材である。装飾用部材1は、図1のように、「X」、「Y」、又は、「Z」の文字からなる複数の表示要素1aを表示する。なお、表示要素1aは、記号(文字や数字を含む)図形、又は、模様等を表すものであればよい。本実施形態では、表示要素1aが外光(太陽光や室内の光源からの光)によって光輝して金属光沢を発することによって、装飾用部材1は、表示要素1aを表示する。
【0012】
装飾用部材1は、図1及び図2に示すように、取り付け対象物に固定される筐体10と、この筐体10に取り付けられる透光性部材20と、を備える。
【0013】
筐体10は、凹部11を有し、透光性部材20の表面が凹部11から露出するように、透光性部材20が凹部11内に取り付けられている。透光性部材20の筐体10への取り付けは、接着、嵌合、超音波溶着等の適宜の方法によって行われる。また、筐体10は、凹部11の内部に、凹部11内の側壁面と底面とに繋がる傾斜部12を備える。さらに、筐体10は、裏面に取り付け対象物に筐体10を取り付けるための取付け部13を備える。筐体10は、硬質樹脂材料等によって適宜の形成方法(金型による形成等)で形成される。筐体10は、可視光を反射しないように、黒等の暗い色であることが望ましい。なお、筐体10に透光性部材20が取り付けられる形態は任意であり、筐体10の形状は任意に変更可能である。
【0014】
透光性部材20は、凹部11の形状に合わせた輪郭を有し、平板状に形成されている。透光性部材20は、透明(無色透明の他、有色透明も含む)であり、光(特に可視光)を透過する。透光性部材20の裏面には、凹部21が形成されている。凹部21は、表示要素1aの形状に合わせて形成されている。
【0015】
凹部21の底面には、プリズム部22が形成されている。プリズム部22は、断面が略三角形状で、それぞれが三角柱を寝かせた形状(図3も参照)である複数の凸部23を繰り返し並べた微細な凹凸として形成される。凸部23は、その断面において底辺Sが100μm、高さHが50μmであり、頂部23aの角度が直角である直角二等辺三角形になるように形成されている。凸部23(頂部23a)は、プリズム部22を法線方向から見た場合(プリズム部22の凹凸を形成しない場合の面の法線方向であり、ここでは、図2において下側からプリズム部22を見た場合)、所定の方向に延びており、本実施形態では、凸部23(頂部23a)は、それぞれ、図1の上下方向(図2の表裏方向)に沿って延びている。頂部23aのそれぞれの間隔(ピッチ)Lは、100μmになっている。プリズム部22は凹部21の底面に形成されており、かつ、凹部21は表示要素21aの形状に合わせて形成されているので、プリズム部22は、平面視(表面の法線方向から見た場合であって、例えば、図1の視線)において、表示要素1aの形状になっている。
【0016】
透光性部材20は、その裏面にスペーサ25をさらに備える。スペーサ25は、透光性部材20が筐体10に取り付けられたときに、筐体10の傾斜部12に当接する。これによって、透光性部材20の裏面と、筐体10の凹部11の底面とは離間し、両者の間には隙間が形成されている。この隙間は、厚さDが0.5mmになっている。
【0017】
透光性部材20は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の硬質樹脂材料等によって適宜の形成方法(金型による形成等)で形成される。プリズム部22も、この形成時において一緒に形成される(超微細加工)。プリズム部22は、例えば、金型による成形等の後から形成されてもよい。
【0018】
以上のように形成された装飾用部材1では、図4(透光性部材20の断面を表すハッチングは省略した。)のように、入射光101(様々な方向から入射する光を含む光である。)が透光性部材20内に表面側に入射し、透光性部材20を透過する。透光性部材20を透過する入射光101は、プリズム部22では反射し、他の部分では基本的には透過する。プリズム部22で反射した入射光101は、反射光102(様々な方向の光を含む光である。)として、透光性部材20の表面から出射する。
【0019】
特にプリズム部22では、図5(透光性部材20の断面を表すハッチングは省略した。)に示すように、入射光101のうち、ある方向からプリズム部22に到達した入射光101aが、プリズム部22の凸部23を構成する斜辺において反射する。このような反射は、一定の範囲の方向(所定方向)からプリズム部22に到達する入射光について起こる。反射した光は、反射光102aとして透光性部材20の表面から出射するので、表面側に位置するユーザには、このプリズム部22が光輝しているように見え、これによって、表示要素1aが光輝しているように見える。特に本実施形態では、入射光101aが全反射することによって、プリズム部22での反射率が上がり、表示要素1aが光輝しているように見える。そして、本実施形態では、表示要素1aが金属調に見える。つまり、表示要素1aは、金属光沢を有する。
【0020】
また、プリズム部22が、凹部21内の底面に形成されていることによって、表示要素1aは、透光性部材20内で浮かんで見え、この装飾用部材1及び透光性部材20は、視覚的に面白くなる。さらに、プリズム部22が表示要素1aの形状であることによって、プリズム部22の光輝によって、表示要素1aが視覚的に見やすくユーザに認識される。
【0021】
このように、本実施形態では、上記のような構成によって、透光性部材20は、微細構造の凹凸からなり、透光性部材20の表面から入射して到達した所定方向の光を反射(特に全反射)して光輝する領域を形成するプリズム部22を裏面に備え、これによって、上記の非金属塗料層又は金属層を形成する行程や材料が不要になっているので、安価に透光性部材20を製造できる。また、金属層を形成した場合には、電波障害等が起きてしまう場合があったが、本実施形態では、透光性部材20の形状のみ(つまりプリズム部のみ)で、光輝性を表現できているので、透光性部材20は、前記の電波障害等の弊害も無いか少ない。
【0022】
本実施形態については、様々な変形が可能である。下記にその変形例を示すが、下記の変形例は、適宜、互いに組み合わせて本実施形態に適用してもよい。
【0023】
プリズム部22の凸部23のサイズは、適宜変更可能である。但し、例えば、頂部23aのそれぞれの間隔Lであるピッチ(=凸部23の底辺S)は、10μm以上、200μm以下であることが望ましい(高さHは、L/2)。詳しくは後述するが、ピッチが、200μmより大きいと、プリズム部22が大きくなり、プリズム部22の凹凸形状が目立って目視されてしまうため、ピッチは、200μm以下であることが望ましい。なお、高さHは、底辺S又は間隔Lの半分になる。また、ピッチは、10μm未満であってもよい。このようなサイズによって、プリズム部22が光輝する他、プリズム部22において回折効果が生じ、プリズム部22が虹色光に光って見えることもある。なお、透光性部材20の形成上の限界で、ピッチは0.5μ未満では作れない。このため、ピッチは、0.5μm以上200μm以下であることが望ましい。そして、このようなピッチの寸法によって、プリズム部22は光輝して見える。
【0024】
透光性部材20の表面及び/又は裏面は、上記では平面であるが、球面、自由曲面等の曲面であってもよい。
【0025】
透光性部材20の表面に、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等からなる透明な、強度向上のための補強層を塗装等によって形成しても良い。この場合、透光性部材20は、透光性部材本体となり、透光性部材本体と補強層とによって、透光性部材が構成されることになる。このような補強層によって透光性部材全体の強度が向上する。
【0026】
透光性部材20は、凹部21を備えなくても良く、プリズム部22は、裏面の平坦な部分に形成されてもよい。この場合、表示要素1aは、透光性部材20の裏面に離れて見えるようになるので、見た目が面白い。
【0027】
プリズム部22は、凹部21の底面に代えて又は加えて側壁面にも形成してもよい。例えば、図6に示すように、プリズム部22は、凹部21内の全て、つまり凹部21の底面の他、側壁面に渡って形成されてもよい。図6のように、プリズム部22を、凹部21内の底面及び側壁面に形成することによって、表示要素1aは立体的に光輝して見え、見た目が面白くなる。なお、プリズム部22は、凹部21の底面及び側壁面それぞれの一部のみに形成されても、ある程度の立体感は得られることがある。また、図7のように、プリズム部22は、凹部21内の側壁面のみに形成されてもよい。図7のように、プリズム部22を、凹部21内の側壁面のみに形成することによって、表示要素1aの縁取り部分が立体的に光輝して見え、見た目が面白くなる。
【0028】
また、凸部23の延びる方向は、任意の方向で良く、また、部分毎に凸部23の延びる方向が異なっても良い。
【0029】
プリズム部22の形状は、他の形状であってもよい。例えば、図8(a)及び(b)のように、プリズム部22は、底面及び開口が正四角形の逆台形ピラミッド形状(断面が等脚台形状)の凹部221からなる凹凸から形成されていてもよい。上記同様、プリズム部22の形成上の限界、及び、プリズム部22の凹凸形状が目立ってしまうことを防止する等を考慮し、また、底面が平面になっているのでその分ピッチを大きくする等の理由によって、このような形状では、例えば、凹部221の開口の一辺の長さ(ピッチ)X1は、0.5μm以上500μm以下(例えば、300μm)で、凹部221の底面の一辺の長さY1は、1μm以上300μm以下(例えば、200μm)で、底面から開口までの高さH1は、0.25μm以上100μm以下(例えば、50μm)であることが望ましい。このようなプリズム部22でも入射光の反射が起こり、プリズム部22は光輝して見える。
【0030】
プリズム部22の形状は、他の形状であってもよい。例えば、図9(a)及び(b)のように、プリズム部22は、開口が正四角形の逆ピラミッド形状(正四角錐の形状であって、断面は、直角二等辺三角形)の凹部222からなる凹凸から形成されていてもよい。上記同様、プリズム部22の形成上の限界、及び、プリズム部22の凹凸形状が目立ってしまうことを防止する等を考慮し、例えば、凹部222の開口の一辺の長さ(ピッチ)X2は、0.5μm以上200μm以下(例えば、100μm)で、底点222a(正四角錐の頂点)から開口までの高さH2は、0.25μm以上100μm以下(例えば、X2/2で、50μm)であることが望ましい。このようなプリズム部22でも入射光の反射が起こり、プリズム部22は光輝して見える。
【0031】
プリズム部22の形状は、他の形状であってもよい。例えば、図10(a)及び(b)のように、プリズム部22は、回折格子型(断面の鋸波型で、頂部223aが直線状に延びている形状)であってもよい。このようなプリズム部22は、プリズム部22を法線方向から見た場合に、所定方向に延びる直線状の凸部223を並べた形状になっている。上記同様、プリズム部22の形成上の限界、及び、プリズム部22の凹凸形状が目立ってしまうことを防止する等を考慮し、例えば、凸部223の頂部223aの間隔(ピッチ)X3(=凸部223の底辺の長さ)は、0.5μm以上200μm以下(例えば、5μm)で、凸部223の底辺から頂部223aまでの高さH3は、0.085μm以上100μm以下(例えば、1.6μm)で、斜辺と底辺との間の角度(斜角)θ1は、10°以上45°以下(例えば、25°)であり、斜角θ2は、45°以上90°未満(例えば、75°)であることが望ましい。また、このようなプリズム部22でも入射光の反射が起こり、プリズム部22は光輝して見える。
【0032】
プリズム部22の形状は、他の形状であってもよい。例えば、図11(a)及び(b)のように、プリズム部22は、矩形形状(ここでは正方形)の複数の回折格子(凹部)224を並べた形状になっている。上記同様、プリズム部22の凹凸形状の形成上の限界、及び、プリズム部22が目立ってしまうことを防止する等を考慮し、例えば、この回折格子224の一辺の長さ(ピッチ)X4(=凹部の開口の一辺の長さ)は、0.5μm以上200μm以下(例えば、5μm)で、回折格子224の底点224aから開口までの高さH4は、0.085μm以上100μm以下(例えば、1.6μm)で、斜辺と底辺との間の角度(斜角)θ3は、10°以上45°以下(例えば、25°)であり、斜角θ4は、45°以上90°未満(例えば、75°)であることが望ましい。また、このようなプリズム部22でも入射光の反射が起こり、プリズム部22は光輝して見える。
【0033】
また、プリズム部22を構成する凸部23(頂部23a)は、プリズム部22を法線方向から見た場合に、円弧を描くように曲がっていても良い(図12(a)及び(b)参照)。このような形状であっても、プリズム部22は反射を生じさせて光輝して視認され、上記と同様の効果を適宜得ることができる。また、プリズム部22を構成する凸部223(頂部223a)は、プリズム部22を法線方向から見た場合に、円弧を描くように曲がっていても良い(図13(a)及び(b)参照)。このような形状であっても、プリズム部22は反射を生じさせて光輝して視認され、上記と同様の効果を適宜得ることができる。
【0034】
また、プリズム部22とは違う構造等で、違う光輝の仕方をするプリズム部を、表示部剤20の裏面の、表示要素1aの形状のプリズム部22以外の部分(凹部21以外の部分)に形成してもよい。これによって、プリズム部22と、これとは違う態様で光輝するプリズム部と、の光輝の仕方の異なり方によって、ユーザは表示要素1aを視認でき、見た目が面白くなる。
【0035】
また、凹部21の断面形状も的変更可能であり、例えば、逆V字形状等であってもよい。例えば、凹部21の側壁面の傾斜はもっと大きくても小さくても良い。
【0036】
上記のように、プリズム部22の凹凸面は、平らな面のみで構成されるか、平らな面を緩やかに湾曲させたような面を有するように構成されるので、反射が起こりやすく、プリズム部22は光輝しやすくなっている。また、プリズム部22は、1つの所定形状の凹部又は凸部等を単位とし、単位とする凹部又は凸部等を複数並べた形状であればよい(上記実施形態及び変形例でもプリズム部22はこのような形状になっている)。プリズム部22は、そのピッチ(上記参照。各単位における繰り返しの方向に沿った方向の各単位の長さ(幅)等とも言える。)が500μm以下で、各単位の最も高い部分と低い部分との間の長さ(高さ)が100μm以下であれば、微細構造の凹凸と言える。
【0037】
ピッチについてさらに詳しく説明する。ここでは、裏面に図9の形状のプリズム部22を備える、互いにピッチが異なる複数の透光性部材を形成した(凹部21は形成されていない。)。具体的には、ピッチが10μm、100μm、150μm、200μm、250μmである場合の複数の透光性部材を形成した。そして、これら透光性部材20に、表面側から光をあてて、プリズム部22における輝度を計測した。測定に使用した測定装置は、トプコン社製輝度計「BM−7」である。
【0038】
図14は、ピッチが100μmであるときの輝度を1としたときの、ピッチと相対輝度との関係を示すグラフの図である。図14のように、ピッチが大きくなると輝度は上がることが分かる。
【0039】
さらに、前記計測において光輝するプリズム部22を表面側からデジタルカメラで撮影した画像を図15に示す。図15(a)のように、ピッチが250μmの場合、プリズム部22における凹凸形状が見えてしまい、さらに凹凸形状が目立ってしまう。このように、ピッチが大きくなると、プリズム部22の形状が目立ってしまうので、ピッチは、この凹凸形状が目立たないピッチが200μm以下であることが望ましい。なお、このピッチの大きさは、他の形状のプリズム部でも言えることであるが、つまり、他の形状であってもピッチは200μm以下でプリズム部22の凹凸形状は、目立たなくなるため、この長さが望ましいが、図8の形状では、底面が平面になっているので、その分ピッチを大きくする必要がある。このときは、底面の分の一辺の長さを300μmとして、ピッチは、500μm以下としてもよい。
【0040】
さらに、図15(e)では、プリズム部22は虹色に光輝している。これは、回折効果によるものと考えられる。このように、ピッチが10μm以下であれば、プリズム部22は虹色に光輝する(ホログラム調)。これも、他の形状のプリズム部22でも言えることである。
【0041】
さらに、ピッチが0.5μm未満のプリズム部22は、その凹凸が細かすぎ、上述のように、製造できない。このため、ピッチの最低ラインは、上記のように、0.5μmになる。
【符号の説明】
【0042】
1・・・装飾用部材、10・・・筐体、20・・・透光性部材、21・・・凹部、22・・・プリズム部、23・・・凸部、23a・・・頂部
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
透光性部材は、例えば、自動車、家電製品、情報端末、腕時計等を装飾する装飾用部材として用いられることがある。例えば、特許文献1には、雌型を背面に有する視覚的に透明な被覆板と、前記雌型の表面に形成された金属光沢を有する非金属塗料層とを有する透光性部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3720039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の透光性部材は、非金属塗料層の金属光沢によって光輝性を有しているが、前記の非金属塗料層を形成する行程や材料が必要であり、光輝性を有する透光性部材を安価に製造できなかった。これは、非金属塗料層の代わりに金属層によって、金属光沢を表現する場合であっても同じである。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、光輝性を有するにもかかわらず、安価な透光性部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る透光性部材は、
光を透過する透光性部材であって、
微細構造の凹凸からなり、前記透光性部材の表面から入射して到達した所定の光を前記表面側に反射することによって光輝するプリズム部を裏面に備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透光性部材が微細構造の凹凸からなり光輝するプリズム部を備えることによって、前記の非金属塗料層や金属層を別途形成する必要が無いので、光輝性を有するにもかかわらず、安価に製造できる透光性部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る装飾用部材の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2における拡大部分を含む領域を切り取って、図2の下側斜め方向から見た斜視図である(図2と上下が逆になっている)。
【図4】図2の断面図において、透光性部材に入射する入射光及びプリズム部で反射される反射光の光路を概念的に示す図である。
【図5】図2のプリズム部の拡大断面図であり、プリズム部で反射される光の光路を説明するための図である。
【図6】図2のプリズム部の他の例を示す図である。
【図7】図2のプリズム部の他の例を示す図である。
【図8】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図9】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のC−C断面図である。
【図10】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のD−D断面図である。
【図11】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のE−E断面図である。
【図12】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のF−F断面図である。
【図13】図2のプリズム部の凹凸形状の他の例を示す図であり、(a)は、プリズム部を法線方向から見た場合の図であり、(b)は、(a)のG−G断面図である。
【図14】図9の形状におけるプリズム部において、ピッチが100μmであるときの相対輝度を1としたときの、ピッチと相対輝度との関係を示すグラフの図である。
【図15】プリズム部のピッチを250μm、200μm、150μm、100μm、10μmとしたときにおけるプリズム部が光輝する様子を撮影した写真の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態(図面の内容も含む。)によって限定されるものではない。下記の実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。
【0010】
本実施形態に係る透光性部材20は、装飾用部材1に使用される。
【0011】
装飾用部材1は、自動車等の取り付け対象物に取り付けられ、取り付け対象物を装飾する部材である。装飾用部材1は、図1のように、「X」、「Y」、又は、「Z」の文字からなる複数の表示要素1aを表示する。なお、表示要素1aは、記号(文字や数字を含む)図形、又は、模様等を表すものであればよい。本実施形態では、表示要素1aが外光(太陽光や室内の光源からの光)によって光輝して金属光沢を発することによって、装飾用部材1は、表示要素1aを表示する。
【0012】
装飾用部材1は、図1及び図2に示すように、取り付け対象物に固定される筐体10と、この筐体10に取り付けられる透光性部材20と、を備える。
【0013】
筐体10は、凹部11を有し、透光性部材20の表面が凹部11から露出するように、透光性部材20が凹部11内に取り付けられている。透光性部材20の筐体10への取り付けは、接着、嵌合、超音波溶着等の適宜の方法によって行われる。また、筐体10は、凹部11の内部に、凹部11内の側壁面と底面とに繋がる傾斜部12を備える。さらに、筐体10は、裏面に取り付け対象物に筐体10を取り付けるための取付け部13を備える。筐体10は、硬質樹脂材料等によって適宜の形成方法(金型による形成等)で形成される。筐体10は、可視光を反射しないように、黒等の暗い色であることが望ましい。なお、筐体10に透光性部材20が取り付けられる形態は任意であり、筐体10の形状は任意に変更可能である。
【0014】
透光性部材20は、凹部11の形状に合わせた輪郭を有し、平板状に形成されている。透光性部材20は、透明(無色透明の他、有色透明も含む)であり、光(特に可視光)を透過する。透光性部材20の裏面には、凹部21が形成されている。凹部21は、表示要素1aの形状に合わせて形成されている。
【0015】
凹部21の底面には、プリズム部22が形成されている。プリズム部22は、断面が略三角形状で、それぞれが三角柱を寝かせた形状(図3も参照)である複数の凸部23を繰り返し並べた微細な凹凸として形成される。凸部23は、その断面において底辺Sが100μm、高さHが50μmであり、頂部23aの角度が直角である直角二等辺三角形になるように形成されている。凸部23(頂部23a)は、プリズム部22を法線方向から見た場合(プリズム部22の凹凸を形成しない場合の面の法線方向であり、ここでは、図2において下側からプリズム部22を見た場合)、所定の方向に延びており、本実施形態では、凸部23(頂部23a)は、それぞれ、図1の上下方向(図2の表裏方向)に沿って延びている。頂部23aのそれぞれの間隔(ピッチ)Lは、100μmになっている。プリズム部22は凹部21の底面に形成されており、かつ、凹部21は表示要素21aの形状に合わせて形成されているので、プリズム部22は、平面視(表面の法線方向から見た場合であって、例えば、図1の視線)において、表示要素1aの形状になっている。
【0016】
透光性部材20は、その裏面にスペーサ25をさらに備える。スペーサ25は、透光性部材20が筐体10に取り付けられたときに、筐体10の傾斜部12に当接する。これによって、透光性部材20の裏面と、筐体10の凹部11の底面とは離間し、両者の間には隙間が形成されている。この隙間は、厚さDが0.5mmになっている。
【0017】
透光性部材20は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の硬質樹脂材料等によって適宜の形成方法(金型による形成等)で形成される。プリズム部22も、この形成時において一緒に形成される(超微細加工)。プリズム部22は、例えば、金型による成形等の後から形成されてもよい。
【0018】
以上のように形成された装飾用部材1では、図4(透光性部材20の断面を表すハッチングは省略した。)のように、入射光101(様々な方向から入射する光を含む光である。)が透光性部材20内に表面側に入射し、透光性部材20を透過する。透光性部材20を透過する入射光101は、プリズム部22では反射し、他の部分では基本的には透過する。プリズム部22で反射した入射光101は、反射光102(様々な方向の光を含む光である。)として、透光性部材20の表面から出射する。
【0019】
特にプリズム部22では、図5(透光性部材20の断面を表すハッチングは省略した。)に示すように、入射光101のうち、ある方向からプリズム部22に到達した入射光101aが、プリズム部22の凸部23を構成する斜辺において反射する。このような反射は、一定の範囲の方向(所定方向)からプリズム部22に到達する入射光について起こる。反射した光は、反射光102aとして透光性部材20の表面から出射するので、表面側に位置するユーザには、このプリズム部22が光輝しているように見え、これによって、表示要素1aが光輝しているように見える。特に本実施形態では、入射光101aが全反射することによって、プリズム部22での反射率が上がり、表示要素1aが光輝しているように見える。そして、本実施形態では、表示要素1aが金属調に見える。つまり、表示要素1aは、金属光沢を有する。
【0020】
また、プリズム部22が、凹部21内の底面に形成されていることによって、表示要素1aは、透光性部材20内で浮かんで見え、この装飾用部材1及び透光性部材20は、視覚的に面白くなる。さらに、プリズム部22が表示要素1aの形状であることによって、プリズム部22の光輝によって、表示要素1aが視覚的に見やすくユーザに認識される。
【0021】
このように、本実施形態では、上記のような構成によって、透光性部材20は、微細構造の凹凸からなり、透光性部材20の表面から入射して到達した所定方向の光を反射(特に全反射)して光輝する領域を形成するプリズム部22を裏面に備え、これによって、上記の非金属塗料層又は金属層を形成する行程や材料が不要になっているので、安価に透光性部材20を製造できる。また、金属層を形成した場合には、電波障害等が起きてしまう場合があったが、本実施形態では、透光性部材20の形状のみ(つまりプリズム部のみ)で、光輝性を表現できているので、透光性部材20は、前記の電波障害等の弊害も無いか少ない。
【0022】
本実施形態については、様々な変形が可能である。下記にその変形例を示すが、下記の変形例は、適宜、互いに組み合わせて本実施形態に適用してもよい。
【0023】
プリズム部22の凸部23のサイズは、適宜変更可能である。但し、例えば、頂部23aのそれぞれの間隔Lであるピッチ(=凸部23の底辺S)は、10μm以上、200μm以下であることが望ましい(高さHは、L/2)。詳しくは後述するが、ピッチが、200μmより大きいと、プリズム部22が大きくなり、プリズム部22の凹凸形状が目立って目視されてしまうため、ピッチは、200μm以下であることが望ましい。なお、高さHは、底辺S又は間隔Lの半分になる。また、ピッチは、10μm未満であってもよい。このようなサイズによって、プリズム部22が光輝する他、プリズム部22において回折効果が生じ、プリズム部22が虹色光に光って見えることもある。なお、透光性部材20の形成上の限界で、ピッチは0.5μ未満では作れない。このため、ピッチは、0.5μm以上200μm以下であることが望ましい。そして、このようなピッチの寸法によって、プリズム部22は光輝して見える。
【0024】
透光性部材20の表面及び/又は裏面は、上記では平面であるが、球面、自由曲面等の曲面であってもよい。
【0025】
透光性部材20の表面に、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等からなる透明な、強度向上のための補強層を塗装等によって形成しても良い。この場合、透光性部材20は、透光性部材本体となり、透光性部材本体と補強層とによって、透光性部材が構成されることになる。このような補強層によって透光性部材全体の強度が向上する。
【0026】
透光性部材20は、凹部21を備えなくても良く、プリズム部22は、裏面の平坦な部分に形成されてもよい。この場合、表示要素1aは、透光性部材20の裏面に離れて見えるようになるので、見た目が面白い。
【0027】
プリズム部22は、凹部21の底面に代えて又は加えて側壁面にも形成してもよい。例えば、図6に示すように、プリズム部22は、凹部21内の全て、つまり凹部21の底面の他、側壁面に渡って形成されてもよい。図6のように、プリズム部22を、凹部21内の底面及び側壁面に形成することによって、表示要素1aは立体的に光輝して見え、見た目が面白くなる。なお、プリズム部22は、凹部21の底面及び側壁面それぞれの一部のみに形成されても、ある程度の立体感は得られることがある。また、図7のように、プリズム部22は、凹部21内の側壁面のみに形成されてもよい。図7のように、プリズム部22を、凹部21内の側壁面のみに形成することによって、表示要素1aの縁取り部分が立体的に光輝して見え、見た目が面白くなる。
【0028】
また、凸部23の延びる方向は、任意の方向で良く、また、部分毎に凸部23の延びる方向が異なっても良い。
【0029】
プリズム部22の形状は、他の形状であってもよい。例えば、図8(a)及び(b)のように、プリズム部22は、底面及び開口が正四角形の逆台形ピラミッド形状(断面が等脚台形状)の凹部221からなる凹凸から形成されていてもよい。上記同様、プリズム部22の形成上の限界、及び、プリズム部22の凹凸形状が目立ってしまうことを防止する等を考慮し、また、底面が平面になっているのでその分ピッチを大きくする等の理由によって、このような形状では、例えば、凹部221の開口の一辺の長さ(ピッチ)X1は、0.5μm以上500μm以下(例えば、300μm)で、凹部221の底面の一辺の長さY1は、1μm以上300μm以下(例えば、200μm)で、底面から開口までの高さH1は、0.25μm以上100μm以下(例えば、50μm)であることが望ましい。このようなプリズム部22でも入射光の反射が起こり、プリズム部22は光輝して見える。
【0030】
プリズム部22の形状は、他の形状であってもよい。例えば、図9(a)及び(b)のように、プリズム部22は、開口が正四角形の逆ピラミッド形状(正四角錐の形状であって、断面は、直角二等辺三角形)の凹部222からなる凹凸から形成されていてもよい。上記同様、プリズム部22の形成上の限界、及び、プリズム部22の凹凸形状が目立ってしまうことを防止する等を考慮し、例えば、凹部222の開口の一辺の長さ(ピッチ)X2は、0.5μm以上200μm以下(例えば、100μm)で、底点222a(正四角錐の頂点)から開口までの高さH2は、0.25μm以上100μm以下(例えば、X2/2で、50μm)であることが望ましい。このようなプリズム部22でも入射光の反射が起こり、プリズム部22は光輝して見える。
【0031】
プリズム部22の形状は、他の形状であってもよい。例えば、図10(a)及び(b)のように、プリズム部22は、回折格子型(断面の鋸波型で、頂部223aが直線状に延びている形状)であってもよい。このようなプリズム部22は、プリズム部22を法線方向から見た場合に、所定方向に延びる直線状の凸部223を並べた形状になっている。上記同様、プリズム部22の形成上の限界、及び、プリズム部22の凹凸形状が目立ってしまうことを防止する等を考慮し、例えば、凸部223の頂部223aの間隔(ピッチ)X3(=凸部223の底辺の長さ)は、0.5μm以上200μm以下(例えば、5μm)で、凸部223の底辺から頂部223aまでの高さH3は、0.085μm以上100μm以下(例えば、1.6μm)で、斜辺と底辺との間の角度(斜角)θ1は、10°以上45°以下(例えば、25°)であり、斜角θ2は、45°以上90°未満(例えば、75°)であることが望ましい。また、このようなプリズム部22でも入射光の反射が起こり、プリズム部22は光輝して見える。
【0032】
プリズム部22の形状は、他の形状であってもよい。例えば、図11(a)及び(b)のように、プリズム部22は、矩形形状(ここでは正方形)の複数の回折格子(凹部)224を並べた形状になっている。上記同様、プリズム部22の凹凸形状の形成上の限界、及び、プリズム部22が目立ってしまうことを防止する等を考慮し、例えば、この回折格子224の一辺の長さ(ピッチ)X4(=凹部の開口の一辺の長さ)は、0.5μm以上200μm以下(例えば、5μm)で、回折格子224の底点224aから開口までの高さH4は、0.085μm以上100μm以下(例えば、1.6μm)で、斜辺と底辺との間の角度(斜角)θ3は、10°以上45°以下(例えば、25°)であり、斜角θ4は、45°以上90°未満(例えば、75°)であることが望ましい。また、このようなプリズム部22でも入射光の反射が起こり、プリズム部22は光輝して見える。
【0033】
また、プリズム部22を構成する凸部23(頂部23a)は、プリズム部22を法線方向から見た場合に、円弧を描くように曲がっていても良い(図12(a)及び(b)参照)。このような形状であっても、プリズム部22は反射を生じさせて光輝して視認され、上記と同様の効果を適宜得ることができる。また、プリズム部22を構成する凸部223(頂部223a)は、プリズム部22を法線方向から見た場合に、円弧を描くように曲がっていても良い(図13(a)及び(b)参照)。このような形状であっても、プリズム部22は反射を生じさせて光輝して視認され、上記と同様の効果を適宜得ることができる。
【0034】
また、プリズム部22とは違う構造等で、違う光輝の仕方をするプリズム部を、表示部剤20の裏面の、表示要素1aの形状のプリズム部22以外の部分(凹部21以外の部分)に形成してもよい。これによって、プリズム部22と、これとは違う態様で光輝するプリズム部と、の光輝の仕方の異なり方によって、ユーザは表示要素1aを視認でき、見た目が面白くなる。
【0035】
また、凹部21の断面形状も的変更可能であり、例えば、逆V字形状等であってもよい。例えば、凹部21の側壁面の傾斜はもっと大きくても小さくても良い。
【0036】
上記のように、プリズム部22の凹凸面は、平らな面のみで構成されるか、平らな面を緩やかに湾曲させたような面を有するように構成されるので、反射が起こりやすく、プリズム部22は光輝しやすくなっている。また、プリズム部22は、1つの所定形状の凹部又は凸部等を単位とし、単位とする凹部又は凸部等を複数並べた形状であればよい(上記実施形態及び変形例でもプリズム部22はこのような形状になっている)。プリズム部22は、そのピッチ(上記参照。各単位における繰り返しの方向に沿った方向の各単位の長さ(幅)等とも言える。)が500μm以下で、各単位の最も高い部分と低い部分との間の長さ(高さ)が100μm以下であれば、微細構造の凹凸と言える。
【0037】
ピッチについてさらに詳しく説明する。ここでは、裏面に図9の形状のプリズム部22を備える、互いにピッチが異なる複数の透光性部材を形成した(凹部21は形成されていない。)。具体的には、ピッチが10μm、100μm、150μm、200μm、250μmである場合の複数の透光性部材を形成した。そして、これら透光性部材20に、表面側から光をあてて、プリズム部22における輝度を計測した。測定に使用した測定装置は、トプコン社製輝度計「BM−7」である。
【0038】
図14は、ピッチが100μmであるときの輝度を1としたときの、ピッチと相対輝度との関係を示すグラフの図である。図14のように、ピッチが大きくなると輝度は上がることが分かる。
【0039】
さらに、前記計測において光輝するプリズム部22を表面側からデジタルカメラで撮影した画像を図15に示す。図15(a)のように、ピッチが250μmの場合、プリズム部22における凹凸形状が見えてしまい、さらに凹凸形状が目立ってしまう。このように、ピッチが大きくなると、プリズム部22の形状が目立ってしまうので、ピッチは、この凹凸形状が目立たないピッチが200μm以下であることが望ましい。なお、このピッチの大きさは、他の形状のプリズム部でも言えることであるが、つまり、他の形状であってもピッチは200μm以下でプリズム部22の凹凸形状は、目立たなくなるため、この長さが望ましいが、図8の形状では、底面が平面になっているので、その分ピッチを大きくする必要がある。このときは、底面の分の一辺の長さを300μmとして、ピッチは、500μm以下としてもよい。
【0040】
さらに、図15(e)では、プリズム部22は虹色に光輝している。これは、回折効果によるものと考えられる。このように、ピッチが10μm以下であれば、プリズム部22は虹色に光輝する(ホログラム調)。これも、他の形状のプリズム部22でも言えることである。
【0041】
さらに、ピッチが0.5μm未満のプリズム部22は、その凹凸が細かすぎ、上述のように、製造できない。このため、ピッチの最低ラインは、上記のように、0.5μmになる。
【符号の説明】
【0042】
1・・・装飾用部材、10・・・筐体、20・・・透光性部材、21・・・凹部、22・・・プリズム部、23・・・凸部、23a・・・頂部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する透光性部材であって、
微細構造の凹凸からなり、前記透光性部材の表面から入射して到達した所定の光を前記表面側に反射することによって光輝するプリズム部を裏面に備える、
ことを特徴とする透光性部材。
【請求項2】
前記裏面は、前記凹部を有し、
前記プリズム部は、前記凹部に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の透光性部材。
【請求項3】
前記プリズム部は、前記凹部の底面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の透光性部材。
【請求項4】
前記プリズム部は、前記凹部の底面及び側壁面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の透光性部材。
【請求項5】
前記プリズム部は、前記透光性部材が表示する表示要素の形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の透光性部材。
【請求項6】
前記凹凸は、凸部又は凹部を並べたものであり、そのピッチは、0.5μm以上500μm以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の透光性部材。
【請求項1】
光を透過する透光性部材であって、
微細構造の凹凸からなり、前記透光性部材の表面から入射して到達した所定の光を前記表面側に反射することによって光輝するプリズム部を裏面に備える、
ことを特徴とする透光性部材。
【請求項2】
前記裏面は、前記凹部を有し、
前記プリズム部は、前記凹部に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の透光性部材。
【請求項3】
前記プリズム部は、前記凹部の底面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の透光性部材。
【請求項4】
前記プリズム部は、前記凹部の底面及び側壁面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の透光性部材。
【請求項5】
前記プリズム部は、前記透光性部材が表示する表示要素の形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の透光性部材。
【請求項6】
前記凹凸は、凸部又は凹部を並べたものであり、そのピッチは、0.5μm以上500μm以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の透光性部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−94400(P2012−94400A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241428(P2010−241428)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000178022)山形カシオ株式会社 (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000178022)山形カシオ株式会社 (65)
【Fターム(参考)】
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