説明

透明導電シート、透明導電シート製造用の感光材料、透明導電シートの製造方法、及びこれらの透明導電シートを用いた静電容量方式のタッチパネル

【課題】透明導電シートの表裏面の色味の違いを小さくすることにより、タッチパネルの視認性を改良する。
【解決手段】透明支持体の両面(おもて面及びうら面)に、それぞれ、ハロゲン化銀乳剤を含む感光層が形成された導電シート製造用感光材料であって、おもて面側の感光層またはうら面の感光層の少なくとも一方の側の感光層が、メルカプト化合物を含むことを特徴とする導電シート製造用感光材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明支持体上に高精細パターンの導電性細線が形成された透明導電シート、高精細パターンの導電性細線が形成された透明導電シートを製造するための感光材料、透明導電シートの製造方法、及びこれらの透明導電シートを用いた静電容量方式のタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルの分野では、投影型静電容量方式のタッチパネルがPDAや携帯電話等に広く使用されるようになってきており、この方式のタッチパネルの大型化の試みが始まっている。パネルの大型化に際しては、透明電極の低抵抗化が必須であり、この低抵抗化のための技術として、静電容量の感知部を網目状の導電性細線で形成する方法が、例えば特許文献1及び2に記載されている。これらの文献に記載されている網目状の導電性細線の形成方法は、導電性インクの印刷方式あるいは、ITOや金属薄膜のフォトリソグラフィーによる細線化であるが、前者の印刷方式では、20μm以下の線幅の細線を安定に形成することが困難であること、後者ではフォトリソグラフィー工程が複数の工程からなるためのコスト高が問題となっている。
一方、低抵抗の導電性細線をハロゲン化銀写真感光材料の現像で得られる銀像から形成する方法が電磁波シールド膜やプリント配線の分野で検討されている。この方式は種々のパターンをマスクを介した露光と引き続く現像処理により形成することができるので、製造工程が安定している。現像方式としては例えば、特許文献3をあげることができ、細線幅20μmで格子間隔250μmの網目パターンで表面抵抗50〜100Ω/□の実施例が記載されている。
これらの導電性細線により静電容量感知部を作成する方法では、特許文献1の図7に示されるような第一電極と第二電極とを積層しタッチパネルを形成したときには、このパネルをタッチ者側から透視したときに図8のような均一な網目状となるように積層する必要がある。均一な網目状となっておらず、不均一な電極の重なりや、空白が生じていると、画面が不均一に見え視認性が劣る欠陥となる。そのため、2つの導電シートの位置あわせには、高い精度が求められ、タッチパネル毎に高い精度での位置あわせをすることになり、タッチパネルの生産性が劣る問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−039537号公報
【特許文献2】国際公開第2010/014683号公報
【特許文献3】特開2007−188655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、2つの導電シートの貼り合わせ時の位置あわせを簡略にするために、一枚の透明支持体のおもて、うらの両面に電極を形成する方法が試みられている。透明支持体の表裏両面に形成された導電性細線からなる電極は、特許文献1の図8のように均一パターンとして視認される必要があるため、電極形成材料としては感光材料を用い、両面からの露光と引き続く現像処理により電極を形成する方法が有利であると考えられている。
ところが、透明支持体のおもてうら両面に電極を形成した試料は、おもて面とうら面の電極の透視像が均一のパターンとなるように露光パターンの位置あわせを厳密に行っても、微妙な色のムラを生じることがわかった。また、形成した電極表面の色味が、電極を形成する条件により変化する現象は、銀ペーストなどの導電性インクを印刷する方式や、蒸着やスパッタリング法を用いる方式でも、特に膜厚の厚い電極を形成する場合に観測されることがある。これらの現象は、比較的厚い電極膜を形成した場合に、形成プロセスの初期の膜と、厚膜となった膜と、における金属膜の微細構造が異なることによると推定されるが、さだかではない。
【0005】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、電極表面の色調を制御した透明導電シートの提供を目的とする。更に本発明は、現像銀からなる電極の色調を制御した透明導電シートの提供を目的とする。また、本発明はこれらの電極の色調を制御した透明導電シートの製造方法の提供を目的とする。更に、本発明は、電極の色調を制御すると共に、低抵抗で、大画面のタッチパネルに用いることのできる透明電極の提供を目的とする。また、本発明の別の目的は、上記の色調の改良された透明導電シートを用いる上記タッチパネル以外の用途の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の色味のムラの発生する原因を鋭意調べた結果、以下の事実から本発明に至った。
一枚の透明支持体の表裏両面に第一と第二の電極を形成した透明電極を、投影型静電容量方式のタッチパネルに用いた場合の断面図を図1に示した。図1は、上部のタッチ者側から、タッチ面を兼ねる透明支持体31、絶縁層を兼ねる粘着層41、上部電極を構成する導電性細線21、電極用の透明支持体32、下部電極を構成する導電性細線22、絶縁層を兼ねる粘着層41、透明支持体33で構成されるタッチパネル01の模式断面図である。この図1の構成では、タッチ者(視認者)は上部電極を構成する導電性細線21と、下部電極を構成する導電性細線22とを互い違いに視認する。具体的には、図1に示したように導電性細線21では、矢印のb1の方向から透明支持体から遠い側にある導電性細線21の表面を視認する。導電性細線22では、矢印のb2の方向から透明支持体から近い側にある導電性細線22の表面を視認している。上下電極の導電性細線間の距離d1が、人間の目の識別距離以下(多くの人の場合は0.1mm以下)の場合は、色味のムラを感じにくい。
一方、複数の導電性細線により1つの電極を構成する場合(例えば静電容量の感知部がメッシュ状、あるいは長格子状など)は、図2に示すように、透明支持体の一方の面に、複数の導電性細線が並ぶ領域d2があり、続いて他方の面に複数の導電性細線が並ぶ領域d3が続くことになり、d2とd3の長さは、人が認識する距離となるのが通常であり、図2のような態様では電極の形成条件により、色ムラが認識されることを見出し、以下の発明に至った。なお、図2は、例えば図9の正方格子を格子の長辺の線に平行に切ったときの断面をモデル的に表した図である。
【0007】
[1]透明支持体の両面(おもて面及びうら面)に、それぞれ、ハロゲン化銀乳剤を含む感光層が形成された導電シート製造用感光材料であって、おもて面側の感光層又はうら面の感光層の少なくとも一方の側の感光層が、メルカプト化合物を含むことを特徴とする導電シート製造用感光材料。
[2]該感光層に含まれるメルカプト化合物が、該感光層の透明支持体から遠い側の感光層よりも、透明支持体に近い側の感光層に多く含まれることを特徴とする項1に記載の導電シート製造用感光材料。
[3]該透明支持体のおもて面又は、うら面のいずれか一方の感光層は、メルカプト化合物を含まないことを特徴とする項1又は2に記載の導電シート製造用感光材料。
[4]該透明支持体のおもて面の感光層が含むメルカプト化合物量よりも、うら面の感光層が含むメルカプト化合物量の方が多いことを特徴とする項1〜3のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
【0008】
[5]該感光層の少なくとも1つの感光層に含まれるメルカプト化合物の量は、メルカプト化合物と同じ層に含まれるハロゲン化銀乳剤中の銀1g(グラム)に対して、0.1mg以上、15mg以下であることを特徴とする項1〜4のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
[6]該メルカプト化合物が、N−H構造を有する5員環アゾール又はN−H構造を有する6員環アジンを骨格とするメルカプト化合物であり、N−H構造とはアゾール類又はアジン類に含まれる窒素−水素結合を意味し、該水素は解離可能であることを特徴とする項4又は5に記載の導電シート製造用感光材料。
[7]該メルカプト化合物が2-メルカプトベンゾイミダゾールの4位から7位のいずれかにSO3 M基を置換基として有し、更に水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホ基から選ばれる少なくとも1つの基を置換基として有し、Mはアルカリ金属原子又はアンモニウム基であることを特徴とする項7に記載の導電シート製造用感光材料。
【0009】
[8]透明支持体の両面に形成される感光層のハロゲン化銀乳剤の臭化銀の含有率が50モル%以上であり、かつメルカプト化合物を透明支持体に近い感光層のみに有することを特徴とする項1〜7のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
[9]透明支持体の両面に形成される感光層に含まれる銀とバインダーの体積比が1.0以上である層を有することを特徴とする項1〜8のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
[10]該層の銀とバインダーの体積比が1.5以上であることを特徴とする項1〜9のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
[11]おもて面とうら面の少なくとも一方の感光層の支持体に近い側の感光層に含まれる銀とバインダーの体積比が1.0未満であることを特徴とする項1〜10のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
[12]おもて面とうら面の少なくとも一方の感光層の支持体から遠い側の感光層に含まれる銀とバインダーの体積比が0.5未満であることを特徴とする項1〜11いずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
[13]おもて面とうら面の一方の面の感光層の支持体から遠い側の感光層に含まれる銀とバインダーの体積比が0.5未満であり、他方の面の感光層の支持体に近い側の感光層に含まれる銀とバインダーの体積比が0.5未満であることを特徴とする項1〜12のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
[14]該透明支持体の両面の感光層が、透明支持体とそれぞれの感光層との間にアンチハレーション層を有することを特徴とする項1〜13のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
【0010】
[15]項1〜14のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料の両面に像様パターン露光を施し、次いで現像処理することにより、現像銀の導電性細線からなるおもて面透明電極と、現像銀の導電性細線からなるうら面透明電極とを、透明支持体の両面に形成したことを特徴とする導電シート。
[16]該おもて面透明電極の導通方向と、うら面透明電極の導通方向とは、互いに直交配置となるように露光、現像処理されて形成されることを特徴とする項15に記載の導電シート。
[17]該導電性細線からなる透明電極は、複数の導電性細線からなるパターニングされた電極であることを特徴とする項15又は16に記載の導電シート。
[18]該パターニングされた電極は、導電性細線により、正方格子あるいは長方格子を電極中に有することを特徴とする項17に記載の導電シート。
[19]該パターニングされた電極を構成する導電性細線の線幅が1μm以上、10μm以下であることを特徴とする項15〜18のいずれか1項に記載の導電シート。
[20]該導電性細線の線幅が2μm以上、6μm以下であることを特徴とする項15〜18のいずれか1項に記載の透明導電シート。
【0011】
[21]該導電性細線の厚みが0.1μm以上、1.5μm以下であることを特徴とする項15〜20のいずれか1項に記載の導電シート。
[22]該導電性細線の厚みが0.2μm以上、0.8μm以下であることを特徴とする項15〜21のいずれか1項に記載の導電シート。
[23]該導電シートのおもて面電極の透明支持体から遠い側の電極表面の反射色度b1*と、うら面電極の透明支持体に近い側の電極表面の反射色度b2*との差の絶対値が2以下(|△b*|=|b1*−b2*|≦2)であることを特徴とする項15〜22のいずれか1項に記載の透明導電シート。
[24]|△b*|が1以下であることを特徴とする項23に記載の透明導電シート。
[25]b1*とb2*とが、−2.0<b1*≦0、かつ−1.0<b2*≦1.0 であることを特徴とする項23又は24に記載の透明導電シート。
[26]b1*とb2*とが、−1.0<b1*≦−0.5、かつ−0.5<b2*≦0.2であることを特徴とする項25に記載の透明導電シート。
[27]項15〜26のいずれか1項に記載の導電シートを用いた静電容量方式のタッチパネル。
[28]項1〜14のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料に像様露光を施し、次いで現像処理により現像銀の網目状導体線からなる実質的に透明な電極を形成する導電シートの製造方法において、該像様露光方法が、該導電シート製造用感光材料の両面の感光材料に異なった電極パターンの露光を同時に施す方法であることを特徴とする導電シートの製造方法。
[29]該露光が走査露光であることを特徴とする項28に記載の導電シートの製造方法。
[30]該露光が異なったマスクを介する面露光であることを特徴とする項28に記載の導電シートの製造方法。
尚、本発明においては、おもて面、うら面とは、感光材料及び導電シートをタッチパネルなどの視認用の装置として構成した時に、視認者に近い面をおもて面、遠い面をうら面という。
【0012】
上記の本発明の色調の改良された透明導電シートは、導電材料の表面の色調が改良されているために、上記の静電容量式のタッチパネルに用いる電極材料には限定されず、人の視認性と導電性が関係する用途であればすべてに応用することができる。これらの応用可能なものを例示する。抵抗膜式タッチパネルに用いられる透明導電シート、画像表示装置の内部からの電磁波を遮蔽するための電磁波シールドシートなどは、本発明の電極のパターニングにより形成される導電性細線のパターンを変更するだけで本発明の技術を利用できる。また、本発明の電極の抵抗値を調整することにより、発熱体シートや帯電防止シートを作成することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の導電シート製造用感光材料にパターン露光、現像処理を施すと、透明支持体の両側に現像銀の細線からなる上部電極と下部電極が形成される。パターン露光は、現像処理により形成される上部電極と下部電極との導通方向が直交し、かつ視認したときに均一なパターンとして認識されるように上下方向から施される。このため本発明は、導電シートの生産方式として安定かつ安価な方式となりうる。一方この方式の問題である、電極を視認したときの色味のむらは、本発明の導電シート製造用感光材料により解決される。
以上により、本発明の導電シート製造用感光材料を用いた導電シートによりタッチパネルを構成すると、電極の色味ムラが少なく、低抵抗で、大画面のタッチパネルを得ることができる。また、本発明の透明導電シートを応用すると、色調に優れた透明導電シート、電磁波シールドシート、発熱体シートや帯電防止シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】透明支持体の両面に電極を形成したタッチパネルモデルの断面図である。
【図2】透明支持体の両面に電極を形成したタッチパネルモデルの詳細断面図である。
【図3】本発明の透明導電シートを製造するために用いる感光材料の断面図である。
【図4】本発明の透明支持体の両面に電極を形成した透明導電シートを製造するプロセスを示した図である。
【図5】本発明の感光材料の両面にフォトマスクを介して露光する図である。
【図6】上部導電シート11と下部導電シート12の積層体の斜視図である。
【図7】図8の上部導電シートの導電性格子部と連結部を説明する図である。
【図8】図8の下部導電シートの導電性格子部と連結部を説明する図である。
【図9】上部導電シートと下部導電シートを積層したときのタッチ者側からの透視図である。
【図10】上部導電シートと下部導電シートの積層方式の1態様の模式図である。
【図11】上部導電シートと下部導電シートの積層方式の1態様の模式図である。
【図12】上部導電シートと下部導電シートの積層方式の1態様の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る感光材料、その感光材料を用いて形成する導電シート、その導電シートの製造方法及び本発明の導電シートを用いたタッチパネルの実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。また、本件では、後述するタッチパネルにおいてタッチ者側の表面をおもて面、タッチ者から遠い側の面をうら面という。本件で用いる図面では、上側の面をおもて面、下側の面をうら面という。
【0016】
[感光材料]
本発明の感光材料は、透明支持体の両面(おもて面及びうら面)に、それぞれ、ハロゲン化銀乳剤を含む感光層が形成された導電シート製造用感光材料であって、おもて面側の感光層又はうら面の感光層の少なくとも一方の側の感光層が、メルカプト化合物を含むことを特徴とする導電シート製造用の感光材料である。
本発明の感光材料は、透明支持体の両面に感光層を有する構成であり、代表的な構成を図3を用いて説明する。透明支持体32のおもて面側には上部感光材料層(おもて面感光材料層とも言う)50が、うら面側には下部感光材料層(うら面感光材料層とも言う)60が形成されている。
そして、上部感光材料層50は、透明支持体32上に下塗り層56、アンチハレーション層57、ハロゲン化銀乳剤を含む上部感光層(おもて面感光層とも言う)51、保護層55が形成されている。下塗り層、アンチハレーション層、保護層は、必要に応じて設けられる層である。上部感光層51はいくつかのハロゲン化銀乳剤を含む感光層とその感光層の間にある中間層から形成されていてもよい。本発明においては感光層51を3つの感光層、即ち透明支持体32に近い側から、上部第一感光層52(上部u層とも言う)、上部第二感光層53(上部m層とも言う)、上部第三感光層54(上部o層とも言う)に分けて説明する。
下部感光材料層60も上部感光材料層50と同様の層構成をもち、透明支持体を中心に対称の層構成が好ましい。
【0017】
〔透明支持体〕
本発明の上記感光材料に用いられる透明支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、及びガラス板などを用いることができるが、プラスチックフィルムが好ましい。
プラスチックフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレンなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩化ビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明におけるプラスチックフィルムは、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして用いることも可能である。
支持体としては、PET(258℃)、PEN(269℃)、PE(135℃)、PP(163℃)、ポリスチレン(230℃)、ポリ塩化ビニル(180℃)、ポリ塩化ビニリデン(212℃)やTAC(290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフィルムが好ましく、特にPETが好ましい。( )内の数値は融点である。フィルムの透過率は85%〜100%であることが好ましい。
透明支持体フィルムの厚みは50μm以上、500μm以下の範囲で任意に選択することができる。特に透明導電シートの支持体の機能の他にタッチ面の機能をも兼ねる場合は、500μmを超えた厚みで設計することも可能である。透明支持体上にハロゲン化銀乳剤を含む感光層を塗布方式で設ける場合は、フィルムの厚みとしては、50μm以上、250μm以下とすることが製造上より好ましい。
【0018】
〔メルカプト化合物〕
メルカプト化合物は、おもて面感光層51又はうら面感光層61の少なくとも一方に含ませることが必要である。このような態様により、後述するタッチパネルを作成したときの色味ムラを改良することができる。
感光層に含まれるメルカプト化合物は、該感光層の透明支持体から遠い側の感光層よりも、透明支持体に近い側の感光層に多く含まれることが好ましい。即ち、o層よりはm層又はu層に含ませることが好ましく、u層に含ませることがより好ましい。あるいは、o層、m層、u層の順にメルカプト化合物の濃度を高くすることが好ましい。
透明支持体のおもて面又は、うら面のいずれか一方の感光層がメルカプト化合物を含む場合は、他方の感光層は、メルカプト化合物を含まないことが好ましく、メルカプト化合物を含まない感光層がおもて面感光層であると更に好ましくい。
透明支持体のおもて面の感光層とうら面の感光層の両方がメルカプト化合物を含む場合は、おもて面及び裏面感光層でのメルカプト化合物量が異なることが好ましく、おもて面の感光層が含むメルカプト化合物量よりも、うら面の感光層が含むメルカプト化合物量の方が多いことがより好ましい。
【0019】
本発明の複数の感光層の少なくとも1つに含まれるメルカプト化合物の量は、メルカプト化合物と同じ層に含まれるハロゲン化銀乳剤中の銀1g(グラム)に対して、0.1mg以上、15mg以下であることが好ましく、0.5mg以上、10mg以下であることがより好ましく、1mg以上、6mg以下であることが特に好ましい。0.1mg以上、15mg以下の範囲であると色味調整がしやすい。
【0020】
本発明で用いるメルカプト化合物としては、アルキルメルカプト化合物、アリールメルカプト化合物、ヘテロ環メルカプト化合物などを挙げることができ、本発明に用いることのできる化合物については、特開2007−116137号の段落34から、段落102に記載の化合物を用いることができる。
特開2007−116137号の段落34から、段落102に記載の化合物の中で、N−H構造を有する5員環アゾール又はN−H構造を有する6員環アジンを骨格とするメルカプト化合物が好ましい。N−H構造とはアゾール類又はアジン類に含まれる窒素−水素結合を意味し、該水素は解離可能である特徴を有する。
上記メルカプト化合物の骨格構造となる、5員環アゾール類又は6員環アジン類は、単環であってもよいが2以上の環が縮合した複合複素環である場合が好ましい。複合複素環で好ましい構造は、5員環アゾール類又は6員環アジン類とヘテロ原子を有さないベンゼン環などとの複合環(縮環)であってもよいし、5員環アゾール類と6員環アジン類との複合環(縮環)であってもよい。より具体的には、ピリミジン、ピラゾール、イミダゾール、フェニルの各環が縮合した複合環であることが好ましい。特に好ましい環構造は、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾールである。
上記の環は、メルカプト基のほかに、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)アリール基(例えばフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−メチルフェニル、3,4−ジクロルフェニル、ナフチルの各基)、アラルキル基(例えばベンジル、4−メチルベンジル、フェネチルの各基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、p−トルエンスルホニルの各基)、カルバモイル基(例えば無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイルの各基)、スルファモイル基(例えば無置換スルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイルの各基)を有していてもよく、スルホ基、カルボキシル基を有することが好ましい。これらの水溶性基はアルカリ金属の塩の構造であってもよい。
【0021】
これらのメルカプト化合物で本発明に好ましく用いられる化合物としては、上記特開2007−116137号の段落60から段落65に記載の39の化合物、段落90から段落93に記載の55化合物、段落101に記載の3化合物をあげることができる。これらの化合物の中で本発明により好ましく用いることができる化合物は、段落60、段落65、段落101に記載の化合物である。
上記のメルカプト化合物の中で、2-メルカプトベンゾイミダゾールの4位から7位のいずれかにSO3 M基を置換基として有し、更に水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホ基から選ばれる少なくとも1つの基を置換基として有し、Mはアルカリ金属原子又はアンモニウム基である化合物が最も好ましく、特に好ましい化合物は段落101に記載の3化合物である。
【0022】
〔ハロゲン化銀乳剤を含む感光層〕
次にハロゲン化銀乳剤を含む感光層について説明するが、現像銀を電極材料とするためには、感光材料の種類と、現像処理の種類とを、以下の3通りの方式から選択することができる。
(1)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる方式。
(2)物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる方式。
(3)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる方式。
【0023】
上記(1)の態様は、黒白現像タイプであり、感光材料上に透光性電磁波シールド膜などの透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである。更に、メッキ処理、又は物理現像の後続過程を設ける場合は高活性で好ましい方式である。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電シートなどの透光性導電性膜が形成される。これも黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、得られる現像銀は比表面が小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電シートなどの透光性導電性膜が形成される。いわゆる2シートのセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
【0024】
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、及び拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Process,4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。また、例えば、特開2004−184693号公報、同2004−334077号公報、同2005−010752号公報等に記載の技術を参照することもできる。
【0025】
上記の(1)〜(3)の方式の中で、方式(1)が、現像前の感光層に物理現像核を有さないこと、2シートの拡散転写方式でないことから、方式(1)が最も簡便、安定な処理ができ、本発明の透明導電シートの製造には好ましい。以下、方式(1)での説明を記載するが、他の方式を用いる場合には上段記載の文献を参照することができる。なお、”溶解物理現像”は、方式(2)にのみ固有な現像法ではなく、方式(1)でも利用できる現像方法である。
(ハロゲン化銀乳剤)
【0026】
本発明のハロゲン化銀乳剤に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、更に臭化銀や塩化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
【0027】
なお、ここで、「臭化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この臭化銀を主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
【0028】
なお、ハロゲン化銀乳剤における沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1.5mol%を超えない範囲であることが好ましい。沃化銀含有率を1.5mol%を超えない範囲とすることにより、カブリを防止し、圧力性を改善することができる。より好ましい沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1mol%以下である。
【0029】
ハロゲン化銀の平均粒子サイズ、ハロゲン化銀粒子の形状及び分散度と変動係数は、特開2009−188360号の段落36及び37の記載を参照することができる。また、ハロゲン化銀乳剤の安定化や高感化のために用いられるロジウム化合物、イリジウム化合物などのVIII族、VIIB族に属する金属化合物、パラジウム化合物の利用については、特開2009−188360号の段落39〜段落42の記載を参照することができる。更に化学増感については、特開2009−188360号の段落43の技術記載を参照することができる。
【0030】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、塩臭化銀乳剤であることがこのましい。また、現像前、現像中のカブリを抑制するために沃化銀を少量含有させることが好ましく、0.5モル%程度含ませることがより好ましい。以下では沃化銀を左記の程度含んでいても特に表示はしない。
【0031】
本発明においては、本発明の感光材料05を現像処理後に形成される現像銀の導電性細線からなる電極の反射色度を調整するため、図3に示すように、感光層51及び61を第一感光層(u層)、第二感光層(m層)、第三感光層(o層)にわけ、3層構成の感光層として塗布して形成する。感光層をこのような多層に分けて構成するのは、ハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層を感光性の高い順にo層、m層、u層として構成するのと同じ手法であり、このように多層化することで、感度や諧調などの調整を容易にすることができる。本発明においても、層の理解のために便宜上、o層、m層、u層と略記するが、これは感度の高低を表すものではない。第三感光層であるo層は、透明支持体から最も遠く位置する感光層であり、第一感光層であるu層は透明支持体に最も近く位置する感光層である。このような3層構成の感光層(o層/m層/u層構成)は、同時塗布により形成することが好ましい。
上記のo層/m層/u層構成の感光層の塗布形成後の厚みは、本発明においては、便宜的に全感光層厚みに対し0.2/0.6/0.2の厚みとする。
尚、以上の説明では感光層を3層としたが、目的により、2層以上の任意の層で構成することができる。また各層の厚みは、o層とu層とをm層のカバー層と考えるとm層が感光層全体の40〜90%を占めることが好ましく、o層とu層は目的に従い、残りの10から60%を配分することができる。
【0032】
本発明の透明支持体の両面に形成される感光層51及び61に含まれる銀とバインダーの体積比は、1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。銀とバインダーの体積比を1.0以上とすることで、現像処理後の現像銀の導電性を高めることができる。なお、本発明における銀とバインダーの体積比は、ハロゲン化銀乳剤層に含まれる銀の質量及びバインダーの質量を算出し、銀の密度を10.5、バインダーの密度を1.34として計算して求めるものとする。
銀とバインダーの体積比は、o層/m層/u層及び感光層51及び61で全て同じ比としてもよいが、層ごとに変更することもでき、少なくとも一方の感光層51又は61の支持体に近く位置するu層の感光層に含まれる銀とバインダーの体積比を1.0未満とすることが好ましく、0.5未満とすることがより好ましい。更に、少なくとも一方の感光層の支持体から遠くに位置するo層に含まれる銀とバインダーの体積比が0.5未満とすることがより好ましい。
【0033】
(バインダー)
ハロゲン化銀乳剤を含む感光層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーが用いられる。上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カラギナン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられが、ゼラチンが好ましい。
ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、その他アミノ基、カルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することができる。
また、バインダーとしてラテックスを用いることもできる。ここでラテックスとしては、特開平2−103536号公報第18頁左下欄12行目から同20行目に記載のポリマーラテックスを好ましく用いることができる。
【0034】
本発明の感光層形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
感光層に用いられる溶媒の含有量は、感光層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0035】
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。例えば、各種マット剤を用いることができ、これにより、表面粗さをコントロールすることができる。なお、マット剤は現像処理後に残存し透明性を阻害しない、処理工程で溶解する素材のものが好ましい。
【0036】
(その他の層構成)
本発明の感光層の上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する感光層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。
本発明の感光層と透明支持体との間には、アンチハレーション層57及び67を設けることができる。アンチハレーション層に用いる材料とその使用方法については、特開2009−188360号の段落29から32の記載を参照することができる。アンチハレーション層の光学濃度は露光光の強さや波長によっても異なるが、0.5から3.0程度が好ましい。
【0037】
次に、以上に記載した本発明の材料を用いて、本発明の透明導電シートを作るプロセスについて図4を用いて説明する。
図4の(a)は透明支持体32であり、(b)はこの透明支持体の両面に上部感光材料層50と、下部感光材料層60とを塗布により設けた本発明の感光材料05を表し、(c)は本発明の感光材料にフォトマスクを通して露光した図を表し、(d)は、露光に引き続く現像定着処理により形成された現像銀電極を表す。以下では露光以降の各工程について説明する。
[露光]
本発明の感光材料05は、支持体の両面に感光層が形成された感材であるため、本発明では図4の(c)のように感光材料
の両面に光を照射102a及び102bして露光する。光照射は、感光材料にフォトマスク110と120を介して行う。フォトマスク110と120は、後述する図7と図8の電極パターンを現像銀により形成するために用いるマスクであるから、フォトマスク110と120は、図7と図8の電極の細線に相当する部分が光透過するマスクである。従って、フォトマスク110と120とは同一ではなく異なったパターンのマスクである。以上の説明のように、111と121とはマスクの開口部、112と122とはマスクの遮光部である。マスクの開口部を透過した光は感光層の131、141の部分のハロゲン化銀乳剤に潜像を形成する。この潜像が形成された131と141の部分は、次の現像処理により現像銀のパターンを形成する。マスクの遮光部により露光されなかった、感光材料の未感光部132、142は定着処理により感光しなかったハロゲン化銀乳剤粒子が溶解し層内から流出し、透明な膜152、162となる。
【0038】
上記のように、異なったパターンのマスクを用いて感光材料の両面からの露光をする場合は、以下のような問題が発生する。フォトマスク110の開口部111を透過した光は、感光材料の131の部分に潜像を形成するが、余分の光は透明支持体をも透過し、反対面の感光層61にも予期しない潜像を形成してしまう。このような問題は露光量の調節のみでは難しく、感光層51を透過した光を吸収する光学濃度をもつアンチハレーション層57及び67を感光材料に設けることで対処できる。別の方法としては、感光層51と61のハロゲン化銀乳剤の感色性を増感色素により変える方法もある。
図5は本発明における露光装置のモデル図である。2つの光源100aと100bからの光はレンズにより平行光となり、前述のマスクを通して感光材料の両面を露光する。図5における光源からフォトマスクまでで構成される露光装置部は、2つの露光装置の位置決めが厳密になされる。図7及び図8のパターンを有するフォトマスク110と120により形成された銀像は、図9のような均一パターンとなるように厳密な位置決めがなされる。2枚の導電シートを組み合わせてタッチパネルを構成する図10〜図12のような態様では、2枚の導電シートの位置決めを、各セットごとに行う必要があり、本件のような両面型に比べて生産性が大きく劣る。
露光の光源としては、電磁波を用いることができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。更に露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
露光方法は、図5のような面露光であってもよいし、異なったマスクを介する面露光であることもこのましい。また、図5のようなマスクを介するのではなく、走査露光であることも好ましい。
以上のようにして、本発明の導電シート製造用感光材料の両面に、像様パターン露光を施し、次いで現像処理することにより、現像銀の導電性細線からなるおもて面透明電極と、現像銀の導電性細線からなるうら面透明電極とを、透明支持体の両面に形成することができる。
また、上記のようにして形成された導電シートは、おもて面透明電極の導通方向と、うら面透明電極の導通方向とは、互いに直交配置となるように露光され、その後現像処理されて形成される。
【0039】
(現像処理)
本実施の形態では、感光層を露光した後、更に現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、更に好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、更に好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料122の処理量に対して600ml/m以下が好ましく、500ml/m以下が更に好ましく、300ml/m以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材料122は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部(導電パターン)に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0超過にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープ、また、現像処理液中に、ポリエチレンオキサイド誘導体を含有すること等が挙げられる。
【0040】
(現像処理後の硬膜処理)
感光層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、カリ明礬、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号に記載のものを挙げることができる。
以上の工程を経て透明導電シートが得られるが、得られた透明導電シートの表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましく、1〜50オーム/sq.の範囲にあることが更に好ましく、1〜10オーム/sq.の範囲にあることがより好ましい。尚、表面抵抗の単位は上記以外に、Ω/□や、Ω/squareとも表す。
また、得られた透明導電シートの体積低効率は160μオーム・cm以下であることが好ましく、1.6〜16μオーム・cmの範囲にあることが更に好ましく、1.6〜10μオーム・cmの範囲にあることがより好ましい。
【0041】
(カレンダー処理)
本実施の形態の製造方法では、現像処理済みの透明導電シートに平滑化処理を施す。これによって透明導電シートの導電性が顕著に増大する。平滑化処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは、通常、一対のロールからなる。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は1960N/cm(200kgf/cm、面圧に換算すると699.4kgf/cm)以上、更に好ましくは2940N/cm(300kgf/cm、面圧に換算すると935.8kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュパターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
【0042】
(蒸気に接触させる処理)
そして、本実施の形態の製造方法では、平滑化処理された導電パターンを蒸気に接触させるようにしてもよい(蒸気接触工程)。この蒸気接触工程は、平滑化処理された透明導電シートを、過熱蒸気に接触させる方法と、平滑化処理された導電パターン108を、加圧蒸気(加圧された飽和蒸気)に接触させる方法とがある。これにより短時間で簡便に導電性及び透明性を向上させることができる。水溶性バインダの一部が除去されて金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
【0043】
(水洗処理)
本実施の形態の製造方法では、透明導電シートを過熱蒸気又は加圧蒸気に接触させた後に水洗処理することが好ましい。蒸気接触処理後に水洗することで、過熱蒸気又は加圧蒸気で溶解又は脆くなったバインダーを洗い流すことができ、これにより、導電性を向上させることができる。
【0044】
(めっき処理)
本実施の形態においては、上述した平滑化処理を行ってもよいし、透明導電シートに対してめっき処理を行ってもよい。めっき処理により、更に表面抵抗を低減でき、導電性を高めることができる。平滑化処理は、めっき処理の前段又は後段のいずれで行ってもよいが、めっき処理の前段で行うことで、めっき処理が効率化され均一なめっき層が形成される。めっき処理としては、電解めっきでも無電解めっきでもよい。まためっき層の構成材料は十分な導電性を有する金属が好ましく、銅が好ましい。
【0045】
(酸化処理)
本実施の形態では、現像処理後の透明導電シート、並びに、めっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0046】
以上のプロセスを経て形成された導電性細線からなる導電シート10は、複数の導電性細線からなるパターニングされた電極である。
次に、本発明の透明支持体上に形成されたパターニングされた電極について、本発明の透明導電シートが好ましく用いられる静電容量方式のタッチパネルと関連させながら説明する。従来の静電容量方式のタッチパネルでは、電極材料として透明電極材料であるITO薄膜をバー電極として使用されてきたが、本発明においてはITOより低抵抗の材料を用いた導電性細線の組み合わせにより電極を形成しているため、これをパターニングされた電極と呼んでいる。
本発明の透明導電シートを用いる静電容量方式のタッチパネルは、図4(d)に示したように、透明支持体32の両面に、上部電極(おもて面電極とも言う)11と下部電極(うら面電極とも言う)12とが形成されている。
上部電極(おもて面電極とも言う)11は、図6の上図のようなパターンを有し、それぞれの電極は、静電容量を感知する複数の導電性格子部14A、格子と格子を繋ぐ導電性の連結部16A、電極と外部制御部を繋ぐ引き出し線18Aから構成されている。図7は導電性格子部14Aの拡大図である。図7では、導電性格子部の形状が正方格子のメッシュ状に記載されているが、正方格子である必要は無く、菱形、長方格子であってもよい。導電性格子部14Aは、導電性細線21で構成される正方格子と、正方格子の周辺に配置され、多数の短線からなるダミー細線19、電極方向に導電性格子部14Aを連結する導電性の連結部16Aが記載されている。導電性の連結部16Aは、予期しない断線故障により電極が機能しなくなることを防ぐため、単一の細線での連結ではなく、複数の細線による連結としている。
下部電極(うら面電極とも言う)12は、図6の下図のようなパターンを有し、それぞれの電極は、静電容量を感知する複数の導電性格子部14B、格子と格子を繋ぐ導電性の連結部16B、電極と外部制御部を繋ぐ引き出し線18Bから構成されている。図8の説明は上部電極12の説明に準ずることができる。
上記のパターニングされた電極は、導電性細線により正方格子あるいは長方格子を電極中に有する導電シートであることが好ましい。
【0047】
図9は、図6をタッチ者側から透視した場合の電極線の見え方を示している。本発明の上部導電シート11及び下部導電シート12を用いた図9は、均一な正方格子となり、視認しやすいパネルを構成できる。なお、図9では格子が直線で形成されているように見えるが、直線部分と、2本の短線からなる部分がある。この様子を示したのが図9の○印の部分を拡大した下図であり、左側の実線部は上部導電シートの導電性格子部14Aの導電性細線21の一部を表し、同じく実線の19(21)は、導電性格子部14Aの周囲のダミー細線である。同様に、右側の点線部は下部導電シートの導電性格子部14Bの導電性細線22の一部を表し、同じく点線の19(22)は、導電性格子部14Bの周囲のダミー細線である。このように視覚的には1本の直線に見えても実際には導電性細線21と22は導通しないし、ダミー細線19とも導通しない。
上記から理解できるように、本発明に用いられるダミー細線19は、視認性改良のために用いられる細線であり、図7及び図8で記載されるように、ダミー細線は正方格子の長線の両端部の延長線上に形成され、導電性格子部とは導通しないように断線されている。ダミー細線の長さは、電極部分の単位格子の辺長の1/2以下であることが好ましい。
【0048】
以下では、上部導電シート11を例にとり電極の詳細について説明する。従来の電極を形成してきたITOのダイヤモンドパターンは、ITOの抵抗値が高いため大画面への適用が困難であり、本発明ではダイヤモンド部分を低抵抗の細線からなるメッシュあるいは格子で形成し、低抵抗と画面の明るさを担保している。以下、正方格子での説明とするが、長方格子などの使用を妨げるものではない。
導電性の格子部を形成する導電性細線の線幅は、1μm以上、10μm以下であることが好ましく、2μm以上、6μm以下であることがより好ましい。1μm以上、10μm以下の範囲であると、低抵抗の電極を比較的容易に形成できる。
導電性の格子部を形成する導電性細線の厚みは、0.1μm以上、1.5μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、0.8μm以下であることがより好ましい。0.1μm以上、1.5μm以下の範囲であると、低抵抗の電極で、耐久性に優れた電極を比較的容易に形成できる。
【0049】
本発明の導電性格子部14A及び14Bの一辺の長さは、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、3〜10mmであると、感知する静電容量の不足による検出不良になる可能性や、位置検出精度が低下するといった問題を起こしにくい。同様の観点から、導電性格子部を構成する単位格子の一辺の長さは50〜500μmであることが好ましく、150〜300μmであることが更に好ましい。単位格子の辺の長さが上記範囲である場合には、更に透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0050】
なお、図8のタッチパネルの上下電極は導通方向をほぼ直交としているが、タッチの位置の座標決定に支障の無い限り任意の角度に設定することができる。
更に、図7及び8に例示した正方格子を構成する導電性細線の向きは、X、Y軸に対し45°方向となる。このパネルのX、Y方向を画像表示装置の電極軸の方向として張り合わせると、モアレが発生しにくいという特徴を本発明のタッチパネルは有する。
【0051】
以上のパターニングされた電極から構成される導電シートは、1つの電極を1つのITO膜にて形成する構成よりも大幅に電気抵抗を低減することが可能となる。従って、本発明の導電シートを用いて例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに適用した場合に、応答速度を速めることができ、タッチパネルの大サイズ化を促進させることができる。
【0052】
「色味差の改良された両面導電シート」
本発明の導電シートは、課題を解決するための手段項に説明したように、生産性を向上させるために用いられる一枚の透明支持体の両面に形成された上部電極と下部電極の色味差を小さくすることのできる導電シートである。
色味差の改良は、一枚の透明支持体の両面に形成された上部電極と下部電極を有する導電シート(両面導電シートとも言う)のおもて面電極の透明支持体から遠い側の電極表面の反射色度b1*と、うら面電極の透明支持体に近い側の電極表面の反射色度b2*との差の絶対値が2以下(|△b*|=|b1*−b2*|≦2)である透明導電シートにより達成でき、ほぼ違和感なく、画面を視認できる。
また、観察したときの色調は、視覚上、黒と視認しやすくすることが好ましい。b1*及びb2*の測定値は、0の近傍がニュートラルとされるが、本発明においては以下に設定すると、視認者が黒と視認しやすい。 本発明においては、b1*としては、−2.0<b1*≦0が好ましく、−1.5<b1*≦−0.3がより好ましく、−1.0<b1*≦−0.5が特に好ましい。
2*としては、−1.0<b2*≦1.0が好ましく、−0.7<b2*≦0.5がより好ましく、−0.5<b2*≦0.2が特に好ましい。
1*及びb2*の組み合わせとしては、−2.0<b1*≦0、かつ−1.0<b2*≦1.0 であることが好ましく、−1.5<b1*≦−0.3、かつ−0.7<b2*≦0.5がより好ましく、−1.0<b1*≦−0.5、かつ−0.5<b2*≦0.2が特に好ましい。
このようにすることにより、電極表面の色味ムラをなくし、かつ黒に近い色調(ニュートラル)と感じさせることができ、視認性がより向上する。
ここで、おもて面電極の透明支持体から遠い側の電極表面の反射色度b1*とは、図2のd2の領域の電極表面の反射色度を、図の上部である視認者側から測定したときのb*値である。また、うら面電極の透明支持体に近い側の電極表面の反射色度b2*とは、図2のd3の領域の電極表面の反射色度を、図の上部である視認者側から測定したときのb*値である。
【0053】
なお、反射色度bは、L***表色系で定義される特性値である。L***表色系は、国際照明委員会(CIE)において1976年に定められた表色の方法であり、本発明におけるL*値、a*値、b*値は、JIS−Z8729:1994に規定される方法によって測定して得られた値である。JIS−Z8729の測定方法としては、反射による測定方法、透過による測定方法があるが、本発明では反射で測定した値を用いる。
***表色系におけるL*値、a*値、b*値は、広く知られているように、L*値が明度、a*値とb*値とが、色相と彩度を表している。具体的には、a*値が正の符号であれば赤色の色相、負の符号であれば緑色の色相であることを示す。b*値が正であれば黄色の色相、負であれば青色の色相である。また、a*値とb*値とも、絶対値が大きいほどその色の彩度が大きく鮮やかな色であることを示し、絶対値が小さいほど彩度が小さいことを示す。
本発明においては、a*値は観察する方向(b方向とb2方向)での変化が小さい。一方、b*値は電極の観察する方向による変化がa*値よりおおきく、具体的には、黄色味から青色味へ、あるいはその逆方向へ動くことで色ムラとして視認されやすい。測定方法の詳細は実施例の項に記載する。
【0054】
上記の両面導電シートの電極表面の色味の改良は、既に説明した本発明の感光材料によって達成されている。
以下に、上記の反射色度調整のための感光層の各層の好ましい態様について再度、概略の説明をする。本発明のように低抵抗化のために銀量を多くし、かつ現像されて形成される銀像に導電性を付与するために銀の密度を高くした系では、現像銀電極の透明支持体から遠い側の電極表面の色味は青味傾向であり、現像銀電極の透明支持体に近い側の電極表面の色味は黄味傾向となりやすい。
この色味現象の原因として、銀量が多くかつ銀密度の高い系では、透明支持体から遠い側の感光層表面からの現像液浸透に伴い、表面側ではフレッシュな現像液組成で現像が進行するのに対し、現像液が感光層中を下層に向かって浸透するにしたがい、現像疲労物質の蓄積が起こり、また、現像液に含まれる現像抑制剤が表面層で消費されてしまうため、抑制剤の少ない液組成での現像が進行すると考えられる。これに伴い、感材の上層側(o層側)/下層側(u層側)で、現像銀のフィラメントの形状に差異が生じ、色度差として観察されるものと推定される。このような推定により、本発明における好ましい態様については、既に課題を解決するための手段項の[1]〜[30]項に記載した。
【0055】
本発明の上記の両面導電シートはタッチパネル、特に静電容量方式のタッチパネルに好ましく用いられる。
【0056】
なお、本発明は、下記表1に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
但し、日本の公開公報は、2004−221564のように年号のあとをハイフンで表示し、国際公開パンフレットは、2006/001461のように年号のあとをスラッシュで表示した。
【0057】
【表1】

【実施例】
【0058】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0059】
実施例1
(乳剤の調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液及び3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、更に、下記の2液及び3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。更に、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0060】
1液:
水 750ml
ゼラチン(フタル化処理ゼラチン) 8g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
【0061】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、3リットルの蒸留水を加えてから、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。更に3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作を更に1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に得られた乳剤は、沃化銀を0.08モル%含み、塩臭化銀の比率を塩化銀70モル%、臭化銀30モル%とする、平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤であった。
【0062】
(感光層塗布液の調製)
上記乳剤に1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAg、微量の硬膜剤を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整して、感光層塗布液を調製した。この感光層塗布液の組成を基準として、表2の銀とバインダーの体積比となるようにゼラチンの添加量を調節し、メルカプト化合物の種類と添加量を変更して、おもて面3層(u層、m層、o層)及びうら面3層(u層、m層、o層)の塗布液を準備した。
【0063】
100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの両面にコロナ放電処理を施した後、厚み0.1μmのゼラチン下塗り層、更に下塗り層の上に光学濃度が約1.0で現像液のアルカリにより脱色する染料を含むアンチハレーション層を、両面に設けて支持体とした。この支持体の両面に、上記で調製、準備した感光層塗布液を塗布した。
塗布量は、銀量を基準に設定し、感光層3層(u層、m層、o層)が含む銀量の合計値が表2及び表3の現像銀画像厚み(単位はμm)となるようにした。本件では現像銀画像厚みは、塗布された乳剤中の銀塩が全て現像銀に変換され、その現像銀の密度(銀/バインダー体積比を表す)が10.5であるとして計算する。なお、感光層(u層、m層、o層)の各層の膜厚は、感光材料1〜15では膜厚が1:2:1となるように、感光材料16〜31では表3の処方値の銀密度列の()内に記入した膜厚比となるように設定した。尚、()内の数値が1の場合は単層の場合を表し、0.2の場合はその層の膜厚が感光層全体の20%であることを示す。
従って、表3においては、感光層3層の合計の銀とバインダのそれぞれの厚みは、感光材料19のおもて面及びうら面、および感光材料31のおもて面を除くほかの面では、銀およびバインダそれぞれが0.7μmの厚みであり、感光材料31のおもて面では、銀およびバインダそれぞれが1.5μmの厚みとなるように設定されている。
感光材料19のおもて面及びうら面と、感光材料16のおもて面及びうら面とは、o層の銀/バインダー体積比以外は同一である。即ち両者のo層は、バインダーの塗布厚みは同一で、銀の厚みのみが異なる構成になっている。感光材料19と18との比較では、感光材料18では、o層の銀/バインダー体積比を0.3とすることにより生じる銀の削減量及びバインダーの増加量をm層においての調整しているのに対し、感光材料19ではo層での銀量の低下分の調整は行わず、そのため表3中の現像銀画像の厚みが他の感光材料より薄くなっている。
乳剤の臭化銀含有率は、感光材料1〜15は全層が30モル%とし、感光材料16〜31については表3中に記載した。
表2の銀とバインダーの体積比は、すでに述べたように、現像銀の密度が10.5、バインダーの密度は1.34であるとして体積に換算した。なお、密度1.34は、ゼラチンに適用できる密度であり、他の高分子化合物を用いる場合は化合物に応じた換算が必要である。
また、感光層塗布液に添加したメルカプト化合物の添加量は、銀1gに対するメルカプトの添加量mgとして表示した。用いたメルカプト化合物の構造は、表3のあとに記載した。
更に上記o層の上に、防腐剤を含むゼラチンからなる膜厚0.15μmの保護層を設けた。3層の感光層と保護層の4層は同時塗布機を用いて塗布し、感光材料1〜31を作成した。
【0064】
(露光・現像処理)
次に、上記で作成した感光材料1〜31に、図5の両面露光機を用いて両面露光を施した。光源には高圧水銀ランプを用い、おもて面側のフォトマスクとしては図7のパターン形成用のマスクを、うら面側のフォトマスクとしては図8のパターン形成用のマスクを用いて露光した。用いたマスクの光透過用の窓は、それぞれ図7及び図8と同じパターンであり、格子を形成する単位正方格子の線幅は3μm、格子の辺長は300μmである。
露光後、下記の現像液で現像し、更に定着液(商品名:CN16X用N3X−R:富士写真フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスし、乾燥した後、得られた試料にカレンダー処理を施して、両面電極型の透明導電シート1を得た。同様にして、両面電極型の透明導電シート2〜31を得た。
【0065】
尚、処理のフローは以下の通りである。
〔処理のフロー〕 処理機:富士フイルム社製自動現像機(FG−710PTS)
処理条件:現像が35℃ 30秒、
定着が34℃ 23秒、
水洗が流水(5L/分)の20秒処理。
【0066】
(現像液の組成)
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
【0067】
(タッチパネルの作成)
上記の現像処理で得られた両面電極型の透明導電シート1のおもて面側に、厚さ300μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを粘着剤を用いてはりつけた。また、透明導電シート1のうら面側には厚さ3mmのガラス板を粘着剤で貼り合わせて、比較例1のタッチパネルを作成した。透明導電シート1のかわりに透明導電シート2〜31を用いる以外は比較例1と同様にして、比較例2及び3のタッチパネル、実施例1〜28のタッチパネルを作成した。
【0068】
(評価)
以上で作成した両面電極型の透明導電シート1〜31を用いて以下の評価を行った。
(1)反射色度b1*と、b2*の測定
測定用のサンプルをBCRA黒タイル(光沢版)の上に載せ、0°方向から照射、45°方向で受光した光の分光反射率を測定する。好ましいタイルは、サカタインクスエンジニアリング株式会社製のBCRA黒タイル(光沢版)であり、黒タイルの反射色度は、L*が 3.6、aが −0.9、b* が−0.6である。反射濃度計としてはGretagMacbeth(グレタグマクベス)製 Spectro Eye LT を用いることができる。
なお、反射色度の測定サンプルには、パターン露光用の通常のマスクではなく、おもて面露光用のマスク110は、反射色度測定が可能な大きさの窓を開けたマスクを用い、うら面露光にはマスクを用いない全面ベタの露光を施した。反射色度の測定はおもて面側から行い、おもて面の露光され銀像が形成された部分の反射色度を反射色度b1*とし、おもて面の露光されていない部分を測定した反射色度を反射色度b*とし、得られた反射色度b1*と、反射色度b2*とから、差△b*(Δb*とも表す)の絶対値を計算した。
【0069】
(2)視認性の評価
作成した両面電極型の透明導電シートを垂直方向、各方位の斜め方向から観察し、反射光の色のムラ、反射光の揺らぎ、電極の輪郭などの官能評価を以下のように行った。
評価◎ 全く気にならない。
評価○ ほとんど色味を認識しないレベル。
評価△ 色味はあっても違和感なく視認できるレベル。
評価× 気になる。
【0070】
(3)導電性の評価
透明導電シートの電極の抵抗値を直読し、比較例1のおもて面の電極とうら面の電極の抵抗値を基準として評価した。
評価◎ 比較例1の抵抗値より明らかに低抵抗値を示す。表面抵抗値としては20Ω/□未満である。
評価○ 比較例1の抵抗値とほぼ同等。表面抵抗値としては20Ω/□以上50Ω/□以下である。
評価× 比較例1の抵抗値より何らかの理由で劣る。表面抵抗値としては50Ω/□をこえる値である。
以上の結果を以下の表2及び表3にまとめた。
【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【化1】

【0074】
以上の表2の結果から、次のことがわかる。
おもて面、うら面のいずれの感光層にもメルカプト化合物を用いない比較例1の両面電極型の透明導電シートは静電容量型タッチパネルを構成する電極としては十分な抵抗値を有するものの色味のムラが観測され視認性が悪い。更に低抵抗にするために、比較例2及び3のように銀とバインダーの体積比を高くする、即ち銀密度を高くすると、色ムラが更に悪化する。
一方、おもて面、うら面のいずれかの感光層にメルカプト化合物を用いた実施例1〜12では、比較例に対し、抵抗値を高くすること無く、色ムラを小さくすることができ、視認性が改善されている。
メルカプト化合物を用いる面は、本実験ではうら面のみに添加しているが、うら面添加が好ましい。うら面のなかでは、支持体に近い感光層であるu層に添加することが好ましく、実施例1と実施例11との比較、又は実施例5と実施例12との比較からわかるように、メルカプト化合物はより下層(すなわち、支持体に近い層)に局在化させることが好ましいことがわかる。
また、メルカプト化合物の種類によっても色味の改良効果は異なり、単環のメルカプト化合物C、D、Eを用いた実施例7〜9では、メルカプト化合物を用いない比較例1に対して色味改善の効果はごくわずかである。
一方、縮環化合物である化合物A,B、F、Gを用いた実施例1、4〜6は、色味ムラの大きな改良効果を示し、特に2-メルカプトベンゾイミダゾールの4位から7位にスルホ基とカルボキシル基を有する化合物F及びGを用いた実施例1及び5が好ましいことがわかる。
また、更なる低抵抗化のために銀密度を2とし、うら面感光層uに化合物Fを添加した実施例3は、色味ムラが小さく、低抵抗化が実現している。
また、実施例10は、うら面の感光層にメルカプト化合物Fを添加し、かつ銀画像厚みを0.7から1.5に高めた例であるが、タッチパネルの下層電極を低抵抗化することにより静電容量の感知能を向上させることができ、かつ視認した時の電極の色味ムラの改良ができることを示している。
【0075】
更に表3の結果から、以下のことがわかる。
上記の表2の実施例1〜12が、ハロゲン化銀乳剤が臭化銀30モル%含有する塩臭化銀乳剤を用いかつ銀とバインダーの体積比(銀密度)が一定の感光層を有し、その感光層の支持体に近い層(u層)にメルカプト化合物を含有させた構成例であるのに対し、表3の実施例13〜28は、臭化銀含有率を50モル%あるいは70モル%に変更、あるいは、感光層の銀とバインダーの体積比(銀密度)を感光層の厚み方向で変化させた(o層、m層及びu層の特定の層の銀密度を変えた)感光材料を用いて形成した電極及びタッチパネルの実施例であり、実施例1〜12に比べて反射色度の差の絶対値|△b*|の結果及び視認性が改善されている。
【0076】
実施例13〜19は、透明支持体の両面の電極の設計が同じ感光材料から形成された両面導電シートを用いていることに特徴を有する。これらのサンプルはいずれも、導電シートを観察する向きを変えても観察される色味は変わらないことに特徴があり、タッチパネルの形成の上で識別が容易であり、仮に表裏面を間違っても問題を生じないという利点がある。
実施例13〜16は、いずれも両面の感光層のうちの透明支持体に近い側の層(u層)に本発明の現像抑制剤F(メルカプト化合物)を添加したことを共通とし、実施例13及び14は全層の臭化銀比率を30モル%から、50モル%あるいは70モル%に変更したサンプルであり、実施例15及び16は、現像処理液が最初に接するo層の銀/バインダーの体積比率を1.0から0.3に変更したサンプルであり、反射色度の差の絶対値(|△b*|、あるいは|Δb*|とも表す)、視認性、導電性に全く問題のないサンプルが得られた。
尚、実施例15は、感光層全体の平均の銀/バインダーの体積比率を1.0に保つように調整した試料である。一方、実施例16は調整しない試料であり、o層の銀量を減らしたため現像銀画像の厚みが減少している。実施例15と16の比較では、実施例16の試料の抵抗値がやや高いことを除けば実質的な差が観測されなかった。このことから、導電性を確保するためには、導電性に寄与する層の銀/バインダーの体積比率を1.0以上とする必要があるが、実施例16のように、導電性に寄与する主たる層(実施例16ではm、u層)の銀/バインダーの体積比率が1.0以上であれば、色味改良用の導電性に寄与の少ない層を設けることもできる。導電性に寄与の少ない層の厚みは、銀を含む層の全厚みの50%以下とすることが好ましく、30%以下がより好ましい。
実施例17〜19は、全層の臭化銀比率アップ、o層の銀/バインダーの体積比率ダウン、現像抑制剤Fのu層添加を組み合わせたサンプルであり、18、19、17の順にやや青み側によせたサンプルである。上記の3つの要件を組み合わせることにより、所望のムラのない色味を得ることができる。
【0077】
実施例20〜28は、透明支持体の両面の電極の設計が異なる感光材料から形成された両面導電シートを用いていることに特徴を有する(非対称型ともいう)。これらのサンプルはいずれも、おもて面電極と、うら面電極の色味を独立に制御すること、即ち独立に最適値に近づけることができるとの利点を有する。
実施例20〜28は、現像抑制剤の添加、臭化銀の含有率、銀/バインダーの体積比率、の変更を、おもて面、うら面、あるいはo層、u層で変更することにより、b1*とb2*とのそれぞれの値を変更することができ、実施例27及び28では|△b*|を0.5以下に制御することもできることがわかった。但し、これらのサンプルは、反対面から観測した色味ムラは大きい場合があり、面の標識によりタッチパネル作成時のトラブルを避ける必要がある。
以上の結果から、|△b*|は、2以下が好ましく、1以下がより好ましい、ことがわかる。
また、b1*とb2*との最も好ましい組み合わせは、−1.0<b1*≦−0.5、かつ−0.5<b2*≦0.2であることもわかる。
【0078】
上記の実施例1〜28に用いた透明導電シート4〜31は、いずれも50Ω/□以下の抵抗値を有し、電磁波シールド膜として用いることができる。また電磁波シールド膜として用いても色調に優れていることがわかった。
【符号の説明】
【0079】
01 タッチパネル
05 透明導電シートを製造するための感光材料
10 透明導電シート(両面導電シートとも言う)
11 上部電極(おもて面電極)
12 下部電極(うら面電極)
14A、14B 静電容量を感知する複数の導電性格子部
16A、16B 格子と格子を繋ぐ導電性の連結部
18A、18B 電極と外部制御部を繋ぐ引き出し線
19 ダミー細線
21 上部電極を構成する導電性細線
22 下部電極を構成する導電性細線
30、31 タッチ面を兼ねる透明支持体
32 導電シート用の透明支持体
33 透明支持体
41、42 絶縁層を兼ねる粘着層
50 上部感光材料層(おもて面感光材料層)
51 上部感光層(おもて面感光層)
52 上部第一感光層(上部u層)
53 上部第二感光層(上部m層)
54 上部第三感光層(上部o層)
55 上部保護層
56 上部下塗り層
57 上部アンチハレーション層
60 下部感光材料層(うら面感光材料層)
61 下部感光層(うら面感光層)
62 下部第一感光層(下部u層)
63 下部第二感光層(下部m層)
64 下部第三感光層(下部o層)
65 下部保護層
66 下部下塗り層
67 下部アンチハレーション層
100a、100b 露光用の光源aとb
101a、101b 露光用のレンズaとb
102a、102b 露光用の平行光aとb
110 上部電極(おもて面電極)形成のために用いるフォトマスク
120 下部電極(うら面電極)形成のために用いるフォトマスク
111、121 フォトマスクの光透過部
112、122 フォトマスクの遮光部
131、141 感光層中の露光された部分(潜像が形成された部分)
132、142 感光層中の露光されなかった部分(潜像が形成されなかった部分)
151(21) 現像処理後に形成された上部電極の銀細線(上部電極を構成する導電性細線)
161(22) 現像処理後に形成された下部電極の銀細線(下部電極を構成する導電性細線)
152、162 現像処理により、露光されなかったハロゲン化銀乳剤などが除去された透明層
b1 導電性細線21を視認する方向
b2 導電性細線22を視認する方向
d、d1 上下電極細線の繰り返し距離(ピッチ)
d2 上部電極の導電性細線が連続して並ぶ領域
d3 下部電極の導電性細線が連続して並ぶ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明支持体の両面(おもて面及びうら面)に、それぞれ、ハロゲン化銀乳剤を含む感光層が形成された導電シート製造用感光材料であって、おもて面側の感光層又はうら面の感光層の少なくとも一方の側の感光層が、メルカプト化合物を含むことを特徴とする導電シート製造用感光材料。
【請求項2】
該感光層に含まれるメルカプト化合物が、該感光層の透明支持体から遠い側の感光層よりも、透明支持体に近い側の感光層に多く含まれることを特徴とする請求項1に記載の導電シート製造用感光材料。
【請求項3】
該透明支持体のおもて面又は、うら面のいずれか一方の感光層は、メルカプト化合物を含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電シート製造用感光材料。
【請求項4】
該透明支持体のおもて面の感光層が含むメルカプト化合物量よりも、うら面の感光層が含むメルカプト化合物量の方が多いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
【請求項5】
該感光層の少なくとも1つの感光層に含まれるメルカプト化合物の量は、メルカプト化合物と同じ層に含まれるハロゲン化銀乳剤中の銀1g(グラム)に対して、0.1mg以上、15mg以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
【請求項6】
透明支持体の両面に形成される感光層に含まれる銀とバインダーの体積比が1.0以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
【請求項7】
該透明支持体の両面の感光層が、透明支持体とそれぞれの感光層との間にアンチハレーション層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電シート製造用感光材料の両面に像様パターン露光を施し、次いで現像処理することにより、現像銀の導電性細線からなるおもて面透明電極と、現像銀の導電性細線からなるうら面透明電極とを、透明支持体の両面に形成したことを特徴とする導電シート。
【請求項9】
該おもて面透明電極の導通方向と、うら面透明電極の導通方向とは、互いに直交配置となるように露光、現像処理されて形成されることを特徴とする請求項8に記載の導電シート。
【請求項10】
おもて面電極の透明支持体から遠い側の電極表面の反射色度b1*と、うら面電極の透明支持体に近い側の電極表面の反射色度b2*との差の絶対値が2以下(|△b*|=|b1*−b2*|≦2)であることを特徴とする請求項8又は9に記載の透明導電シート。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の透明導電シートを用いた静電容量方式のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−230665(P2012−230665A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4279(P2012−4279)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】