説明

透明導電性フイルム及び透明導電性フイルムの製造方法

【課題】透明支持体の両面に高精細の導電パターンを形成することができると共に、導電パターンの導電性の向上を図ることができ、しかも、タッチパネルに用いた際に、モアレの発生を抑制することができるようにする。
【解決手段】透明支持体102上の両面にそれぞれ、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を形成し、露光した後、現像処理することにより、透明支持体102の一主面に導電性の第1銀画像104aが形成され、透明支持体102の他主面に導電性の第2銀画像104bが形成された透明導電性フイルム100であって、第1銀画像104a及び第2銀画像104bがともに透視を必要とする部分で網目構造をとり、各網目構造の輪郭は線幅10μm以下の金属細線で構成され、網目構造による導電膜のシート抵抗が50オーム/sq.以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明支持体の両面に高精細パターンによる銀画像が形成された透明導電性フイルム及びハロゲン化銀乳剤層を用いて透明支持体の両面に高精細パターンによる銀画像を形成する透明導電性フイルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電パターンを支持体の両面に形成する方法として、例えば特許文献1及び2記載の方法がある。
特許文献1には、感光材料として、透明支持体の両面(A面及びB面)にそれぞれハロゲン化銀乳剤層を有し、且つ、A面及びB面の分光増感域が異なる感光材料を用いることが記載されている。実施例の試料101ではA面に形成した画像の線幅は18μmであり、B面に形成した画像の線幅20μmである。
特許文献2には、透明支持体の両面における各分光感度に対応する波長光を透過するフィルター層を有するフォトマスクを介して露光処理を行うことで、透明支持体の両面に画像形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−158108号公報
【特許文献2】特開2008−216799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透明支持体の両面に細線パターンを形成する場合に、透明支持体の片側(表面)から露光すると、透明支持体の裏面に向かう光が透明支持体内において拡散してしまい、透明支持体の裏面に形成される画像がぼけてしまうという問題がある。
ハロゲン化銀乳剤層に分光感度を付与するには増感色素の添加が必要だが、現像処理後も残存してしまい、導電性を高める上で阻害となり、目標の導電性が得られないという問題もある。
また、透明導電性フイルムを液晶表示装置のタッチパネルに用いる場合、特許文献1や2のように、導電パターンの線幅が太いと液晶表示装置等の表示パネルと重ね合わせたときに、モアレの発生が問題となるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、透明支持体の両面に高精細の導電パターンを形成することができると共に、導電パターンの導電性の向上を図ることができ、しかも、タッチパネルに用いた際に、モアレの発生を抑制することができる透明導電性フイルム及び透明導電性フイルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 第1の本発明に係る透明導電性フイルムは、透明支持体上の両面にそれぞれ、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を形成し、露光した後、現像処理することにより、前記透明支持体の一主面に導電性の第1銀画像が形成され、前記透明支持体の他主面に導電性の第2銀画像が形成された透明導電性フイルムであって、前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、透視を必要とする部分で網目構造をとり、各前記網目構造の輪郭は線幅10μm以下の細線で構成され、前記網目構造による導電膜のシート抵抗が50オーム/sq.以下であることを特徴とする。
[2] 第1の本発明において、前記導電膜のシート抵抗が10オーム/sq.以下であることを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、前記網目構造と、前記網目構造に電気的に接続した10μm以上500μm以下の幅、10mm以上の長さからなる銀線とで構成され、前記銀線の抵抗が10mm当たり300オーム以下であることを特徴する。
[4] 第1の本発明において、前記銀線の抵抗が10mm当たり100オーム以下であることを特徴する。
[5] 第1の本発明において、前記ハロゲン化銀乳剤層の銀/バインダー体積比が1/1以上であることを特徴とする。
[6] 第1の本発明において、前記ハロゲン化銀乳剤層の銀/バインダー体積比が2/1以上であることを特徴とする。
[7] 第1の本発明において、前記ハロゲン化銀乳剤層は、実質的に分光増感が施されず、前記ハロゲン化銀乳剤層の表面抵抗値(logSR)が15以下であり、塗布銀量が5g/m〜30g/mであることを特徴とする。
[8] 第1の本発明において、前記塗布銀量が15g/m〜30g/mであることを特徴とする。
[9] 第1の本発明において、前記ハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀粒子の表面に対する分光増感色素の被覆率が20%以下であることを特徴とする。
[10] 第1の本発明において、前記ハロゲン化銀乳剤層の表面抵抗値(logSR)が13以下であることを特徴とする。
[11] 第1の本発明において、前記網目構造が、複数の多角形からなる格子状のパターンからなり、前記格子状のパターンの配列ピッチが300μm以下、全光線透過率が80%以上であり、さらに、前記透明支持体の一主面のうち、前記第1銀画像が形成されていない外周部分を除く実効面の開口率と、前記透明支持体の他主面のうち、前記第2銀画像が形成されていない外周部分を除く実効面の開口率とのバラツキが1%以下であることを特徴とする。
[12] 第1の本発明において、前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、それぞれタッチパネル用電極を構成する部分を有することを特徴とする。
[13] 第2の本発明に係る透明導電性フイルムの製造方法において、透明支持体上の両面にそれぞれ、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を形成する工程と、前記ハロゲン化銀乳剤層を露光する工程と、露光後の前記ハロゲン化銀乳剤層を現像処理する工程とを有し、前記透明支持体の一主面に導電性の第1銀画像が形成され、前記透明支持体の他主面に導電性の第2銀画像が形成された透明導電性フイルムの製造方法であって、前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、透視を必要とする部分で網目構造をとり、各前記網目構造の輪郭は線幅10μm以下の細線で構成され、前記網目構造による導電膜のシート抵抗が50オーム/sq.以下であり、両面の前記ハロゲン化銀乳剤層は実質的に分光増感が施されず、厚みが4μm以下であり、塗布銀量が5g/m以上であり、塗布バインダー量が2.0g/m以下であることを特徴とする。
[14] 第2の本発明において、前記塗布銀量が15g/m〜30g/mであることを特徴とする。
[15] 第2の本発明において、前記網目構造による導電膜のシート抵抗が10オーム/sq.以下であることを特徴とする。
[16] 第2の本発明において、前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、前記網目構造と、前記網目構造に電気的に接続した10μm以上500μm以下の幅、10mm以上の長さからなる銀線で構成され、前記銀線の抵抗が10mm当たり300オーム以下であることを特徴する。
[17] 第2の本発明において、前記銀線の抵抗が10mm当たり100オーム以下であることを特徴する。
[18] 第2の本発明において、前記ハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀粒子の表面に対する分光増感色素の被覆率が20%以下であることを特徴とする。
[19] 第2の本発明において、前記露光は、露光マスクを用いて行い、前記ハロゲン化銀乳剤層に前記露光マスクを密着させて露光することを特徴とする。
[20] 第2の本発明において、前記ハロゲン化銀乳剤層の写真特性が硬調であることを特徴とする。
[21] 第2の本発明において、前記ハロゲン化銀乳剤層が実質的に最上層に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明に係る透明導電性フイルム及びその製造方法によれば、透明支持体の両面に高精細の導電パターンを形成することができると共に、導電パターンの導電性の向上を図ることができ、しかも、タッチパネルに用いた際に、モアレの発生を抑制することができる。特に、本発明に係る透明導電性フイルムは、静電容量式タッチパネルに好適である。
また、細線からなる網目構造の透光導電膜をタッチパネルセンサーに用いたとき、センサーから制御ICへの引き出し配線の一部を導電膜の前駆体であるハロゲン化銀乳剤層からセンサーと同時に製作することができ、簡便にタッチパネルモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態に係る透明導電性フイルムを一部省略して示す断面図である。
【図2】本実施の形態に係る透明導電性フイルムの製造方法を示すフローチャートである。
【図3】図3Aは作製された感光材料を一部省略して示す断面図であり、図3Bは感光材料に対する両面同時露光を示す説明図であり、図3Cは露光後の感光材料を現像処理して透明導電性フイルムとした状態を一部省略して示す断面図である。
【図4】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達せず、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達しないようにして第1露光処理及び第2露光処理を行っている状態を示す説明図である。
【図5】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達し、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達した場合の作用を示す説明図である。
【図6】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達し、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達した場合の導電パターンの乱れを示す説明図である。
【図7】導電シートを一部省略して示す断面図である。
【図8】透明支持体の一方の主面に形成される第1銀画像(導電パターン)の一例を一部省略して示す斜視図である。
【図9】図8に示す導電パターンを一部省略して示す平面図である。
【図10】透明支持体の他方の主面に形成される第2銀画像(導電パターン)の一例を一部省略して示す斜視図である。
【図11】図10に示す導電パターンを一部省略して示す平面図である。
【図12】導電シートを上面から見た例を一部省略して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る透明導電性フイル及びその製造方法の実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0010】
本実施の形態に係る透明導電性フイルム100は、図1に示すように、透明支持体102上の両面にそれぞれ、少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を形成し、露光した後、現像処理することにより、透明支持体102の一主面に導電性の第1銀画像104aが形成され、透明支持体102の他主面に導電性の第2銀画像104bが形成されている。
第1銀画像104a及び第2銀画像104bはともに透視を必要とする部分で網目構造をとり、各網目構造の輪郭は線幅10μm以下の細線で構成され、網目構造による導電膜のシート抵抗が50オーム/sq.以下であり、好ましくは、10オーム/sq.以下である。
また、第1銀画像104a及び第2銀画像104bにおいて、網目構造に電気的に接続した透視を必要としない部分は、10μm以上500μm以下の幅、10mm以上の長さからなる銀線106で構成され、銀線106の抵抗が10mm当たり300オーム以下、好ましくは100オーム以下である。
透明支持体102の両面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層は、実質的に分光増感が施されていない。すなわち、例えば図3Aに示すように、透明支持体102の一方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第1感光層120aと記す)及び透明支持体102の他方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第2感光層120bと記す)は、実質的に分光増感が施されず、第1感光層120a及び第2感光層120bの表面抵抗値(logSR)が15以下であり、塗布銀量(銀塩の塗布量)が、銀に換算して5g/m〜20g/mである。「実質的に分光増感が施されず」とは、第1感光層120a及び第2感光層120b中のハロゲン化銀粒子の表面に対する分光増感色素の被覆率が20%以下であることを示す。第1感光層120a及び第2感光層120bの好ましい表面抵抗値(logSR)は13以下である。
透明支持体102の一方の主面を、透明支持体102の上面とした場合、第1感光層120aが実質的に最上層に配置されることになる。「実質的に最上層」とは、通常、最上層として保護層が形成されることになるが、この保護層を除いた積層構造を示す意味であり、この場合、第1感光層120aが最上層に位置することになる。
【0011】
また、第1感光層120a及び第2感光層120bの銀/バインダー体積比は1/2以上であり、好ましくは、1/1以上、より好ましくは2/1以上である。銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。第1感光層120a及び第2感光層120b中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有するタッチパネル用の透明導電性フイルム100を得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0012】
第1感光層120a及び第2感光層120bの写真特性は、対数露光量(X軸)と光学濃度(Y軸)の単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度0.1〜1.5におけるガンマが4以上であって、硬調を示す。ガンマは、より好ましくは5〜30、さらに好ましくは5〜10である。
【0013】
第1銀画像104a及び第2銀画像104bは、それぞれ複数の多角形からなる格子状のパターンを有する。格子状のパターンの配列ピッチは300μm以下、全光線透過率が80%以上であり、さらに、透明支持体12の一主面のうち、第1銀画像104aが形成されていない外周部分を除く実効面の開口率と、透明支持体102の他主面のうち、第2銀画像104bが形成されていない外周部分を除く実効面の開口率とのバラツキが1%以下である。
【0014】
本実施の形態に係る透明導電性フイルム100の製造方法について図2〜図6を参照しながら説明する。
先ず、図2のステップS1において、長尺の感光材料122を作製する。感光材料122は、図3Aに示すように、透明支持体102と、該透明支持体102の一方の主面に形成された第1感光層120aと、透明支持体102の他方の主面に形成された第2感光層120bとを有する。
【0015】
図2のステップS2において、感光材料122を露光する。この露光処理では、第1感光層120aに対し、透明支持体102に向かって光を照射して第1感光層120aを第1露光パターンに沿って露光する第1露光処理と、第2感光層120bに対し、透明支持体102に向かって光を照射して第2感光層120bを第2露光パターンに沿って露光する第2露光処理とが行われる(両面同時露光)。図3Bの例では、長尺の感光材料122を一方向に搬送しながら、第1感光層120aに第1光124a(平行光)を第1フォトマスク126aを介して照射すると共に、第2感光層120aに第2光124b(平行光)を第2フォトマスク126bを介して照射する。第1光124aは、第1光源128aから出射された光を途中の第1コリメータレンズ130aにて平行光に変換されることにより得られ、第2光124bは、第2光源128bから出射された光を途中の第2コリメータレンズ130bにて平行光に変換されることにより得られる。図3Bの例では、2つの光源(第1光源128a及び第2光源128b)を使用した場合を示しているが、1つの光源から出射した光を光学系を介して分割して、第1光124a及び第2光124bとして第1感光層120a及び第2感光層120bに照射してもよい。
【0016】
そして、図2のステップS3において、露光後の感光材料122を現像処理することで、図3Cに示すように、透明導電性フイルム100が作製される。透明導電性フイルム100は、透明支持体102と、該透明支持体102の一方の主面102aに形成された第1露光パターンに沿った第1銀画像104aと、透明支持体102の他方の主面102bに形成された第2露光パターンに沿った第2銀画像104bとを有する。なお、第1感光層120a及び第2感光層120bの露光時間及び現像時間は、第1光源128a及び第2光源128bの種類や現像液の種類等で様々に変化するため、好ましい数値範囲は一概に決定することができないが、現像率が100%となる露光時間及び現像時間に調整されている。また、第1銀画像104a及び第2銀画像104bに、さらにめっき処理を施すことによって第1銀画像104a及び第2銀画像104bに導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0017】
そして、本実施の形態に係る製造方法のうち、第1露光処理は、図4に示すように、第1感光層120a上に第1フォトマスク26aを例えば密着配置し、該第1フォトマスク126aに対向して配置された第1光源128aから第1フォトマスク126aに向かって第1光124aを照射することで、第1感光層120aを露光する。第1フォトマスク126aは、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第1露光パターン132a)とで構成されている。従って、この第1露光処理によって、第1感光層120aのうち、第1フォトマスク126aに形成された第1露光パターン132aに沿った部分が露光される。第1感光層120aと第1フォトマスク126aとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0018】
同様に、第2露光処理は、第2感光層120b上に第2フォトマスク126bを例えば密着配置し、該第2フォトマスク126bに対向して配置された第2光源128bから第2フォトマスク126bに向かって第2光124bを照射することで、第2感光層120bを露光する。第2フォトマスク126bは、第1フォトマスク126aと同様に、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第2露光パターン132b)とで構成されている。従って、この第2露光処理によって、第2感光層120bのうち、第2フォトマスク126bに形成された第2露光パターン132bに沿った部分が露光される。この場合、第2感光層120bと第2フォトマスク126bとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0019】
第1露光処理及び第2露光処理は、第1光源128aからの第1光124aの出射タイミングと、第2光源128bからの第2光124bの出射タイミングを同時にしてもよいし、異ならせてもよい。同時であれば、1度の露光処理で、第1感光層120a及び第2感光層120bを同時に露光することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0020】
ところで、第1感光層120a及び第2感光層120bが共に分光増感されていない場合、感光材料122に対して両側から露光すると、片側からの露光がもう片側(裏側)の画像形成に影響を及ぼすこととなる。
【0021】
すなわち、図5に示すように、第1感光層120aに到達した第1光源128aからの第1光124aは、第1感光層120a中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として透明支持体102を透過し、その一部が第2感光層120bにまで達する。そうすると、第2感光層120bと透明支持体102との境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像134が形成される。そのため、第2感光層120bでは、第2光源128bからの第2光124bによる露光と第1光源128aからの第1光124aによる露光が行われてしまい、その後の現像処理にて透明導電性フイルム100とした場合に、図6に示すように、第2露光パターン132bによる導電パターン108(第2銀画像104b)に加えて、該導電パターン108間に第1光源128aからの第1光124aによる薄い導電層136が形成されてしまい、所望のパターン(第2露光パターン132bに沿ったパターン108)を得ることができない。
【0022】
これは、第1感光層120aにおいても同様であり、図5に示すように、第2感光層120bに到達した第2光源128bからの第2光124bは、第2感光層120b中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として透明支持体102を透過し、その一部が第1感光層120aにまで達する。そうすると、第1感光層120aと透明支持体102との境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像134が形成される。そのため、第1感光層120aでは、第1光源128aからの第1光124aによる露光と第2光源128bからの第2光124bによる露光が行われてしまい、その後の現像処理を経ると、図6に示すように、第1露光パターン132aによる導電パターン108(第1銀画像104a)に加えて、該導電パターン108間に第2光源128bからの第2光124bによる薄い導電層136が形成されてしまい、所望のパターン(第1露光パターン132aに沿ったパターン)を得ることができない。
【0023】
この透明導電性フイルム100を例えばタッチパネル用の透明導電性フイルムとして使用した場合、液晶表示パネルの表示画面がら表示される画像が薄い導電層136によって遮られてしまい、タッチパネルとして機能しなくなるおそれがある。
【0024】
これを回避するため、第1感光層120aと透明支持体102との間及び第2感光層120bと透明支持体102との間にそれぞれ染料を固定させ、裏側への光透過を抑制する方法が考えられる。この染料は、最終製品で透明性を損なうので、例えば現像処理中に除去(無害化)する必要がある。その一方で、目標の導電性を得るためには、第1感光層120a及び第2感光層120bを厚くする必要があるが、その場合、現像処理中に染料を簡単に除去しきれず、製造工程が複雑化し、迅速処理との両立が困難になる。
【0025】
そこで、鋭意検討した結果、第1感光層120a及び第2感光層120bの厚みを特定の範囲に設定したり、第1感光層120a及び第2感光層120bの塗布銀量を規定することで、ハロゲン化銀自身が光を吸収し、裏面へ光透過を制限できることが判明した。本実施の形態では、第1感光層120a及び第2感光層120bの厚みを1μm以上、4μm以下に設定することができる。上限値は好ましくは2.5μmである。また、第1感光層120a及び第2感光層120bの塗布銀量を5〜20g/mに規定した。
【0026】
上述した両面密着の露光方式では、フイルム表面に付着した塵埃等で露光阻害による画像欠陥が問題となる。塵埃付着防止として、フイルムに導電性物質を塗布することが知られているが、金属酸化物等は処理後も残存し、最終製品の透明性を損ない、また、導電性高分子は保存性等に問題がある。そこで、鋭意検討した結果、バインダーを減量したハロゲン化銀により帯電防止に必要な導電性が得られることがわかり、第1感光層120a及び第2感光層120bの銀/バインダーの体積比を規定した。すなわち、第1感光層120a及び第2感光層120bの銀/バインダー体積比は1/1以上であり、好ましくは、2/1以上である。
【0027】
上述のように、第1感光層120a及び第2感光層120bの厚み、塗布銀量、銀/バインダーの体積比を設定、規定することで、図4に示すように、第1感光層120aに到達した第1光源128aからの第1光124aは、第2感光層120bまで達しなくなり、同様に、第2感光層120bに到達した第2光源128bからの第2光124bは、第1感光層120aまで達しなくなり、その結果、その後の現像処理にて透明導電性フイルム100とした場合に、図1に示すように、透明支持体102の一方の主面には第1露光パターン132aによる導電パターン108(第1銀画像104aを構成するパターン)のみが形成され、透明支持体102の他方の主面には第2露光パターン132bによる導電パターン108(第2銀画像104bを構成するパターン)のみが形成されることとなり、所望のパターンを得ることができる。
【0028】
このように、本実施の形態に係る透明導電性フイルム100の製造方法においては、導電性と両面露光の適性を両立させた第1感光層120a及び第2感光層120bを得ることができ、また、1つの透明支持体102への露光処理によって、透明支持体102の両面に同一パターンや異なったパターンを任意に形成することができ、これにより、例えばタッチパネル等の電極を容易に形成することができると共に、タッチパネル等の薄型化(低背化)を図ることができる。
【0029】
しかも、両面密着の露光方式では、現像処理後に形成される第1銀画像104a及び第2銀画像104bの導電パターン108の線幅を10μm以下にすることが可能となる。線幅が10μm以下という細い導電パターンになると、透明導電性フイルム100を液晶表示装置等の表示パネルと重ね合わせてタッチパネルとしたときに、モアレの発生を抑制することができる。
【0030】
ここで、本実施の形態に係る透明導電性フイルム100をタッチパネル用の導電シート10に適用した例について説明する。
この導電シート10は、図7に示すように、1つの透明支持体102の一主面102a及び他主面102bに、第1銀画像104a及び第2銀画像104bが一括露光、現像にて形成されている。第1銀画像104aは、透視を必要とする部分(センサ部150)と透視を必要としない部分(第1端子配線部152a(図8参照)及び第2端子配線部152b(図10参照))とを有する。
第1銀画像104a及び第2銀画像104bのセンサ部150は、それぞれ網目構造とされている。各網目構造の輪郭は線幅10μm以下の金属細線で構成され、第1銀画像104aの網目構造の部分(導電膜)及び第1銀画像104bの網目構造の部分(導電膜)の各シート抵抗は50オーム/sq.以下である。
また、第1銀画像104aのうち、網目構造(センサ部150)に電気的に接続した第1端子配線部152a(図8参照)の第1端子配線パターン42a、及び、第2銀画像104bのうち、網目構造に電気的に接続した第2端子配線部152b(図10参照)の第2端子配線パターン42bは、10μm以上500μm以下の幅、10mm以上の長さからなる金属線(銀線)で構成され、金属線(銀線)の抵抗が10mm当たり300オーム以下、好ましくは100オーム以下である。
【0031】
そして、第1銀画像104aのセンサ部150における網目構造は、図8に示すように、透明支持体102の一方の主面102a(例えば上面)に形成された2以上の導電性の第1大格子16Aにて構成されている。各第1大格子16Aは、それぞれ2以上の小格子18(図9参照)が組み合わされて構成され、各第1大格子16Aの辺の周囲に、第1大格子16Aと非接続とされた第1ダミーパターン20A(第1非接続パターン)が形成されている。また、隣接する第1大格子16A間には、これら第1大格子16Aを電気的に接続する第1接続部22Aが形成されている。第1接続部22Aは、小格子18のn倍(nは1より大きい実数)のピッチを有する1以上の中格子24(24a〜24d)が配置されて構成されている。小格子18は、ここでは一番小さい正方形状とされている。
【0032】
第1大格子16Aの一辺の長さは、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、導電シート10を例えばタッチパネルに利用した場合に、検出時の第1大格子16Aの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第1大格子16Aを構成する小格子18の一辺の長さは50〜500μmであることが好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。小格子18が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0033】
さらに、2以上の第1大格子16Aが第1接続部22Aを介してx方向(第1方向)に配列されて1つの第1透明導電パターン26Aが構成され、2以上の第1透明導電パターン26Aがx方向と直交するy方向(第2方向)に配列され、隣接する第1透明導電パターン26A間は電気的に絶縁された第1絶縁部28Aが配されている。
【0034】
一方、第2銀画像104bのセンサ部150における網目構造は、図10に示すように、透明支持体102の他方の主面102b(裏面)に形成された2以上の導電性の第2大格子16Bにて構成されている。各第2大格子16Bは、それぞれ2以上の小格子18(図11参照)が組み合わされて構成され、各第2大格子16Bの辺の周囲に、第2大格子16Bと非接続とされた第2ダミーパターン20B(第2非接続パターン)が形成されている。また、隣接する第2大格子16B間には、これら第2大格子16Bを電気的に接続する第2接続部22Bが形成されている。第2接続部22Bは、小格子18のn倍(nは1より大きい実数)のピッチを有する1以上の中格子24(24e〜24h)が配置されて構成されている。第2大格子16Bの一辺の長さについても、上述した第1大格子16Aと同様に、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。
【0035】
さらに、2以上の第2大格子16Bが第2接続部22Bを介してy方向(第2方向)に配列されて1つの第2透明導電パターン26Bが構成され、2以上の第2透明導電パターン26Bがx方向(第1方向)に配列され、隣接する第2透明導電パターン26B間は電気的に絶縁された第2絶縁部28Bが配されている。
ここで、透明支持体102の一方の主面102aに形成される第1銀画像104a及び透明支持体102の他方の主面102bに形成される第2銀画像104bのうち、センサ部150の導電パターンの一具体例を説明する。
【0036】
すなわち、透明支持体102の一方の主面102aに形成されるセンサ部150のパターンは、図9に示すように、第1大格子16Aの4つの辺部、すなわち、隣接する第1大格子16Aと接続していない一方の頂点30aに隣接する第1辺部32a及び第2辺部32b、並びに隣接する第1大格子16Aと接続していない他方の頂点30bに隣接する第3辺部32c及び第4辺部32dは、それぞれ直線形状を有する。換言すれば、第1辺部32aの直線形状と第2辺部32bの直線形状との境界部分が第1大格子16Aの一方の頂点30aを構成し、第3辺部32cの直線部分と第4辺部32dの直線部分との境界部分が第1大格子16Aの他方の頂点30bを構成している。
【0037】
第1接続部22Aは、4つ分の小格子18を含む大きさを有する中格子24が4つ(第1中格子24a〜第4中格子24d)、ジグザグ状に配列された形状を有する。すなわち、第1中格子24aは、第2辺部32bと第4辺部32dとの境界部分に存在し、1つの小格子18とL字状の空間が形成された形状を有する。第2中格子24bは、第1中格子24aの1つ辺に隣接し、正方形状の空間が形成された形状、すなわち、4つ分の小格子18をマトリクス状に配列し、中央の十字を取り外したような形状を有する。第3中格子24cは、第1中格子24aの1つの頂点に隣接すると共に、第2中格子24bの1つの辺に隣接して配され、第2中格子24bと同様の形状を有する。第4中格子24dは、第3辺部32cと第1辺部32aとの境界部分に存在し、第2中格子24bの1つの頂点に隣接すると共に、第3中格子24cの1つの辺に隣接して配され、第1中格子24aと同様に、1つの小格子18とL字状の空間が形成された形状を有する。そして、小格子18の配列ピッチをPとしたとき、中格子24の配列ピッチは2Pの関係を有している。
【0038】
また、第1大格子16Aの4つの辺部(第1辺部32a〜第4辺部32d)の周辺には、それぞれ上述した第1ダミーパターン20Aが形成されており、各第1ダミーパターン20Aは、それぞれ小格子18の一部を除去した形状が2以上、対応する辺部(直線形状)に沿って配列された形状を有する。図9の例では、小格子18の1つの辺を除去した形状(略U字状であって、2つの屈曲部を有し、且つ、1つの開口を有する形状:便宜的に略U字形状と記す)が、開口の部分を、第1大格子16Aの対応する辺部に対して反対方向に向けて、10個配列され、その配列ピッチが、第1大格子16Aの小格子18の配列ピッチPの2倍とされた例を示している。また、例えば第1辺部32aの直線形状から第1ダミーパターン20Aの略U字形状までの最短距離は、小格子18の内周側の1つの辺の長さとほぼ同一とされている。これは、第2辺部32b〜第4辺部32dにおいても同様である。
【0039】
また、第1絶縁部28Aには、第1大格子16Aと非接続とされた第1絶縁パターン34Aが形成されている。この第1絶縁パターン34Aは、2以上の小格子18が配列された第1集合パターン部36aと、小格子18が存在しない3つの空白部38(38a〜38c)とを有する。
【0040】
具体的には、第1集合パターン部36aは、複数の小格子18による4つの直線部分(2つの長い直線部分と2つの短い直線部分)が組み合わされて構成されている。各直線部分は、複数の小格子18がそれぞれ頂点を結ぶように配列されて構成されている。3つの空白部38は、第1絶縁部28Aを間に挟んで隣接する2つの第1大格子16A及び16Bに注目したとき、第1集合パターン部36aにて囲まれた小格子18の存在しない第1空白部38aと、一方の第1大格子16Aにおける他方の頂点30a付近の小格子18が存在しない第2空白部38bと、他方の第1大格子16Aにおける一方の頂点30a付近の小格子18が存在しない第3空白部38cとで構成される。
【0041】
4つの直線部分のうち、2つの長い直線部分は、それぞれ例えば7つの小格子18がそれぞれ頂点を結ぶように配列されて構成され、一方の長い直線部分の一端に位置する小格子18は、一方の第1大格子16Aの第3辺部32cに沿って配列された第1ダミーパターン20Aに対して、一方の第1大格子16Aの他方の頂部30b側に同一ピッチで隣接した位置に配され、他端に位置する小格子18は、他方の第1大格子16Aの第1辺部32aに沿って配列された第1ダミーパターン20Aに対して、他方の第1大格子16Aの一方の頂部30a側に同一ピッチで隣接した位置に配されている。同様に、他方の長い直線部分の一端に位置する小格子18は、一方の第1大格子16Aの第4辺部32dに沿って配列された第1ダミーパターン20Aに対して、一方の第1大格子16Aの他方の頂部30b側に同一ピッチで隣接した位置に配され、他端に位置する小格子18は、他方の第1大格子16Aの第2辺部32bに沿って配列された第1ダミーパターン20Aに対して、他方の第1大格子16Aの一方の頂部30a側に同一ピッチで隣接した位置に配されている。
【0042】
2つの短い直線部分のうち、一方の短い直線部分は、一方の長い直線部分における一端から2番目の小格子18と、他方の長い直線部分における一端から2番目の小格子18とを結ぶ2つの小格子18にて構成されている。同様に、他方の短い直線部分は、一方の長い直線部分における他端から2番目の小格子18と、他方の長い直線部分における他端から2番目の小格子18とを結ぶ2つの小格子18にて構成されている。
【0043】
そして、小格子18の配列ピッチをPとし、隣接する第1透明導電パターン26A間の最短距離、すなわち、一方の第1大格子16Aの他方の頂点30bと他方の第1大格子16Aの一方の頂点30aとの間の距離を、第1絶縁部28Aの幅と定義したとき、第1絶縁部28Aの幅はmP(mは1以上の整数)であり、且つ、第1絶縁パターン34Aのうち、第1絶縁部28Aの幅の方向の部分の最大長さ、すなわち、一方の短い直線部分のうち、一方の第1大格子16Aの他方の頂点30bと対向する部分と、他方の短い直線部分のうち、他方の第1大格子16Aの一方の頂点30aと対向する部分との間の距離はmP以下である。
【0044】
上述のように構成された導電パターンは、図8に示すように、各第1透明導電パターン26Aの一方の端部側に存在する第1大格子16Aの開放端は、第1接続部22Aが存在しない形状となっている。各第1透明導電パターン26Aの他方の端部側に存在する第1大格子16Aの端部は、第1端子配線部152aにおいて、対応する第1結線部40aを介して第1端子配線パターン42aに電気的に接続されている。
【0045】
一方、透明支持体102の他方の主面102bに形成される第2大格子16Bは、図11に示すように、上述した第1大格子16Aと異なり、略八角形の形状を有し、4つの短辺44(第1短辺44a〜第4短辺44d)と4つの長辺46(第1長辺46a〜第4長辺46d)とを有する。第2接続部22Bは、y方向に隣接する一方の第2大格子16Bの第1短辺44aと他方の第2大格子16Bの第2短辺44bとの間に形成され、第2絶縁部28Bは、x方向に隣接する一方の第2大格子16Bの第3短辺44cと他方の第2大格子16Bの第4短辺44dとの間に配されている。
【0046】
第2大格子16Bの4つの長辺、すなわち、一方の第2絶縁部28Bと対向する第3短辺44cに隣接する第1長辺46a及び第2長辺46b、並びに他方の第2絶縁部28Bと対向する第4短辺44dに隣接する第3長辺46c及び第4長辺46dは、それぞれ直線形状を有する。
【0047】
第2接続部22Bは、4つ分の小格子18を含む大きさを有する中格子24が4つ(第5中格子24e〜第8中格子24h)、ジグザグ状に配列された形状を有する。すなわち、第5中格子24eは、第1短辺44aに存在し、1つの小格子18とL字状の空間が形成された形状を有する。第6中格子24fは、第5中格子24eの1つ辺に隣接し、正方形状の空間が形成された形状、すなわち、4つ分の小格子18をマトリクス状に配列し、中央の十字を取り外したような形状を有する。第7中格子24gは、第5中格子24eの1つの頂点に隣接すると共に、第6中格子24fの1つの辺に隣接して配され、第6中格子24fと同様の形状を有する。第8中格子24hは、第2短辺44bに存在し、第6中格子24fの1つの頂点に隣接すると共に、第7中格子24gの1つの辺に隣接して配され、第5中格子24eと同様に、1つの小格子18とL字状の空間が形成された形状を有する。そして、小格子18の配列ピッチをPとしたとき、中格子24の配列ピッチは2Pの関係を有している。
【0048】
また、第2大格子16Bの4つの長辺46(第1長辺46a〜第4長辺46d)の周辺には、それぞれ上述した第2ダミーパターン20Bが形成されており、各第2ダミーパターン20Bは、それぞれ小格子18の一部を除去した形状が2以上、対応する辺部(直線形状)に沿って配列された形状を有する。図11の例では、小格子18の1つの辺を除去した形状(略U字形状)が、開口の部分を、第2大格子16Bの対応する長辺に対して反対方向に向けて、10個配列され、その配列ピッチが、第2大格子16Bの小格子18の配列ピッチPの2倍とされた例を示している。また、例えば第1長辺46aの直線形状から第2ダミーパターン20Bの略U字形状までの最短距離は、小格子18の内周側の1つの辺の長さとほぼ同一とされている。これは、第2長辺46b〜第4長辺46dにおいても同様である。
【0049】
また、第2絶縁部28Bには、第2大格子16Bと非接続とされた第2絶縁パターン34Bが形成されている。この第2絶縁パターン34Bは、2以上の小格子が配列された第2集合パターン部36bと、それぞれ2つの略U字形状で構成された第1屈曲パターン部48a及び第2屈曲パターン部48bと、小格子18が存在しない1つの空白部(第4空白部38d)とを有する。
【0050】
具体的には、第2集合パターン部36bは、図9に示した第1透明導電パターン26Aにおける第1絶縁パターン34Aの第1空白部38aに収まる数(例えば6つ)の小格子18がそれぞれ頂点を結ぶようにマトリクス状に配列されて構成されている。
【0051】
第1屈曲パターン部48aは、第2絶縁パターン34Bの一方の端部(一方の第2大格子16Bにおける第4短辺44dと第3長辺46cとの境界と、他方の第2大格子16Bにおける第3短辺44cと第1長辺46aとの境界との間)に形成された2つの略U字形状にて構成され、これら2つの略U字形状は一端で連結され、且つ、該一端での各辺のなす角がほぼ90°とされている。
【0052】
同様に、第2屈曲パターン部48bは、第2絶縁パターン34Bの他方の端部(一方の第2大格子16Bにおける第4短辺44dと第4長辺46dとの境界と、他方の第2大格子16Bにおける第3短辺44cと第2長辺46bとの境界との間)に形成された2つの略U字形状にて構成され、これら2つの略U字形状は一端で連結され、且つ、該一端での各辺のなす角がほぼ90°とされている。
【0053】
第4空白部38dは、図9に示す第1絶縁パターン34Aの第1集合パターン部36aを構成する4つの直線部分が収まる形状の空白領域(小格子18が存在しない領域)にて構成されている。
【0054】
そして、小格子18の配列ピッチをPとし、隣接する第2透明導電パターン26B間の最短距離、すなわち、一方の第2大格子16Bの第4短辺44dと他方の第2大格子16Bの第3短辺44cとの間の距離を、第2絶縁部28Bの幅と定義したとき、第2絶縁部28Bの幅はnP(nは1以上の整数)であり、且つ、第2絶縁パターン34Bのうち、第2絶縁部28Bの幅の方向の部分の最大長さ、すなわち、第2集合パターン部36bのうち、一方の第2大格子16Bの第4短辺44dと対向する部分と、他方の第2大格子16Bの第3短辺44cと対向する部分との間の距離は、nP以下、好ましくはnP未満である。
【0055】
上述のように構成された導電パターンは、図10に示すように、各第2透明導電パターン26Bの一方の端部側に存在する第2大格子16Bの開放端は、第2接続部22Bが存在しない形状となっている。各第2透明導電パターン26Bの他方の端部側に存在する第2大格子16Bの端部は、第2端子配線部152bにおいて、対応する第2結線部40bを介して第2端子配線パターン42bに電気的に接続されている。
【0056】
そして、透明支持体102の一方の主面102aに形成された第1銀画像104aのパターンと、他方の主面102bに形成された第2銀画像104bのパターンとの位置関係をみると、図12に示すように、第1透明導電パターン26Aの第1接続部22Aと第2透明導電パターン26Bの第2接続部22Bとが透明支持体102を間に挟んで対向し、第1透明導電パターン26Aの第1絶縁部28Aと第2透明導電パターン26Bの第2絶縁部28Bとが透明支持体102を間に挟んで対向した形態となる。なお、第1透明導電パターン26Aと第2透明導電パターン26Bの各線幅は同じであるが、図12では、第1透明導電パターン26Aと第2透明導電パターン26Bの位置がわかるように、第1透明導電パターン26Aの線幅を太く、第2透明導電パターン26Bの線幅を細くして誇張して図示してある。
【0057】
導電シート10を上面から見たとき、第1大格子16Aの隙間を埋めるように、第2大格子16Bが配列された形態となる。つまり、大格子が敷き詰められた形態となる。このとき、第1大格子16Aと第2大格子16Bとの間に、第1ダミーパターン20Aと第2ダミーパターン20Bとが対向することによる組合せパターンが形成される。第1大格子16Aの例えば第1辺部32aと該第1辺部32aと対向する第2大格子16Bの第2長辺46bとの最短距離を透明支持体102の一方の主面102aに投影した距離を、組合せパターンの幅と定義したとき、該組合せパターンの幅は、小格子18の辺の長さの1倍以上の長さを有する。図12の例では、組合せパターンの幅は、小格子18の辺の長さの2倍の長さを有する。これは、第1大格子16Aの第2辺部32b〜第4辺部32dと、第2大格子16Bの第2長辺46b〜第4長辺46dとの関係も同様である。
【0058】
従って、第1大格子16Aの第1ダミーパターン20Aにおける複数の略U字形状の各開口が第2大格子16Bの長辺の各直線形状にて接続されたような形状になると共に、複数の略U字形状の各底部間が第2大格子16Bの第2ダミーパターン20Bにおける複数の略U字形状の各底部にて接続されたような形状になり、同様に、第2大格子16Bの第2ダミーパターン20Bにおける複数の略U字形状の各開口が第1大格子16Aの長辺の各直線形状にて接続されたような形状になると共に、複数の略U字形状の各底部間が第1大格子16Aの第1ダミーパターン20Aにおける複数の略U字形状の各底部にて接続されたような形状になって、結果的に複数の小格子18が配列された形態となり、第1大格子16Aと第2大格子16Bとの境界をほとんど見分けることができない状態となる。
【0059】
ここで、例えば第1ダミーパターン20A及び第2ダミーパターン20Bを形成しなかった場合は、組合せパターンの幅に相当する空白領域が形成され、これにより、第1大格子16Aの境界、第2大格子16Bの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。これを避けるために、第1大格子16Aの各辺部に第2大格子16Bの長辺を重ねて、空白領域をなくすことも考えられるが、重ね合わせの位置精度の僅かなズレにより、直線形状同士の重なり部分の幅が大きくなり(線太り)、これにより、第1大格子16Aと第2大格子16Bとの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。
【0060】
これに対して、本実施の形態では、上述したように、第1ダミーパターン20Aと第2ダミーパターン20Bとの重なりにより、第1大格子16Aと第2大格子16Bとの境界が目立たなくなり、視認性が向上する。
【0061】
また、第1接続部22Aと第2接続部22Bとが対向した部分を上面から見たとき、第2接続部22Bの第5中格子24eと第7中格子24gとの交点が第1大格子16Aの第2中格子24bのほぼ中心に位置し、第2接続部22Bの第6中格子24fと第8中格子24hとの交点が第1大格子16Aの第3中格子24cのほぼ中心に位置することとなり、これら第1中格子24a〜第8中格子24hの組み合わせによって、複数の小格子18が形成された形態となる。すなわち、第1接続部22Aと第2接続部22Bとが対向した部分に、第1接続部22Aと第2接続部22Bの組み合わせによって、複数の小格子18が配列された形態となり、周りの第1大格子16Aを構成する小格子18や第2大格子16Bを構成する小格子18と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0062】
また、第1絶縁部28Aの第1絶縁パターン34Aと第2絶縁部28Bの第2絶縁パターン34Bとが対向した部分を上面から見たとき、第1絶縁パターン34Aの第1集合パターン部36aと第2絶縁パターン34Bの第4空白部38dとが対向すると共に、第1絶縁パターン34Aの第1空白部38aと第2絶縁パターン34Bの第2集合パターン部36bとが対向する。また、第1絶縁パターン34Aの第2空白部38bと第2絶縁パターン34Bの第1屈曲パターン部48aとが対向すると共に、第1絶縁パターン34Aの第3空白部38cと第2絶縁パターン34Bの第2屈曲パターン部48bとが対向することとなり、このとき、第1屈曲パターン部48aの各開口が第1大格子16Aの第3辺部32cと第4辺部32dの各直線形状(他方の頂点30b近傍の各直線形状)で接続されたような形状となり、第2屈曲パターン部48bの各開口が第1大格子16Aの第1辺部32aと第2辺部32bの各直線形状(一方の頂点30a近傍の各直線形状)で接続されたような形状となる。これにより、第1絶縁パターン34Aと第2絶縁パターン34Bとの組み合わせによって、複数の小格子18が形成された形態となる。その結果、周りの第1大格子16Aを構成する小格子18や第2大格子16Bを構成する小格子18と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0063】
そして、この導電シート10をタッチパネルとして構成する場合は、第1銀画像104a及び第2銀画像104b上に保護層を形成し、第1銀画像104aの多数の第1透明導電パターン26Aから導出された第1端子配線パターン42aと、第2銀画像104bの多数の第2透明導電パターン26Bから導出された第2端子配線パターン42bとを、例えばスキャンをコントロールするIC回路に接続する。このとき、導電シート10のうち、液晶表示装置の表示画面から外れた外周領域(額縁領域)の面積が極力小さくなるように、第1透明導電パターン26Aと第1端子配線パターン42aとの各接続部分(第1結線部40a)が直線状に配列された形態にし、第2透明導電パターン26Bと第2端子配線パターン42bとの各接続部分(第2結線部40b)が直線状に配列された形態にすることが好ましい。
【0064】
指先を保護層上に接触させることで、指先に対向する第1透明導電パターン26Aと第2透明導電パターン26Bからの信号がIC回路に伝達される。IC回路では、供給された信号に基づいて指先の位置を演算する。従って、同時に2つの指先を接触させても、各指先の位置を検出することが可能となる。
【0065】
上述の導電シート10では、小格子18の形状を正方形状としたが、その他、多角形状としてもよい。また、一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
【0066】
上述した導電シート10においては、第1接続部22A及び第2接続部22Bを構成する中格子24の配列ピッチを小格子18の配列ピッチPの2倍に設定したが、その他、1.5倍、3倍等、中格子の数に応じて任意に設定することができる。中格子24の配列ピッチは、その間隔が狭すぎたり、大きすぎたりすると、第1大格子16Aや第2大格子16Bの配置が難しくなり、見栄えが悪くなることがあることから、小格子18の配列ピッチPの1〜10倍が好ましく、1〜5倍がより好ましい。
【0067】
また、小格子18のサイズ(1辺の長さや対角線の長さ等)や、第1大格子16Aを構成する小格子18の個数、第2大格子16Bを構成する小格子18の個数も、適用されるタッチパネルのサイズや分解能(配線数)に応じて適宜設定することができる。
【0068】
次に、ハロゲン化銀写真感光材料を用いた本実施の形態に係る透明導電性フイルムの製造方法のその他の好ましい態様を以下に示す。
本実施の形態に係る透明導電性フイルム100の製造方法は、感光材料122と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して導電パターン108を該感光材料122上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して導電パターン108を該感光材料122上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して導電パターン108を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0069】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料122上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料122上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料122から剥離して用いる態様である。
【0070】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0071】
ここで、本実施の形態に係る透明導電性フイルム100の各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[透明支持体102]
透明支持体102としては、プラスチックフイルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
透明支持体102としては、PET(融点:258℃)、PEN(融点:269℃)、PE(融点:135℃)、PP(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やTAC(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。タッチパネル用の透明導電性フイルム100は透明性が要求されるため、透明支持体102の透明度は高いことが好ましい。
【0072】
[第1感光層120a及び第2感光層120b]
第1感光層120a及び第2感光層120bは、銀塩とバインダーの他、溶媒等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いた。
第1感光層120a及び第2感光層120bの塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して5〜30g/mが好ましく、8〜30g/mがより好ましく、15〜30g/mがさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、感光材料122に対する露光処理において、第1感光層120aに照射された第1光124aが第2感光層120bに到達せず、第2感光層120bに照射された第2光124bが第1感光層120aに到達しないように制御することができる。
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の第1感光層120a及び第2感光層120b中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。第1感光層120a及び第2感光層120b中のバインダーの含有量は、0.2〜2g/mが好ましい。
【0073】
<溶媒>
第1感光層120a及び第2感光層120bの形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の第1感光層120a及び第2感光層120bに用いられる溶媒の含有量は、第1感光層120a及び第2感光層120bに含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0074】
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。例えば、各種マット剤を用いることができ、これにより、表面粗さをコントロールすることができる。なお、マット剤は現像処理後に残存し透明性を阻害しない、処理工程で溶解する素材のものが好ましい。
【0075】
[その他の層構成]
第1感光層120aの上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する第1感光層120a上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、第1感光層120aと透明支持体102との間、並びに第2感光層120bと透明支持体102との間に、例えばアンチハレーション層を設けることもできる。
【0076】
次に、透明導電性フイルム100の製造方法の各工程について説明する。
[露光]
上述したように、透明支持体102上に設けられた第1感光層120a及び第2感光層120bを有する感光材料122への両面同時露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0077】
[現像処理]
本実施の形態では、第1感光層120a及び第2感光層120bを露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料122の処理量に対して600ml/m以下が好ましく、500ml/m以下がさらに好ましく、300ml/m以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材料122は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部(導電パターン)に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープ、また、現像処理液中に、ポリエチレンオキサイド誘導体を含有すること等が挙げられる。
【0078】
(現像処理後の硬膜処理)
第1感光層120a及び第2感光層120bに対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、カリ明礬、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号に記載のものを挙げることができる。
以上の工程を経て透明導電性フイルム100は得られるが、得られた透明導電性フイルム100の表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましく、1〜50オーム/sq.の範囲にあることがさらに好ましく、1〜10オーム/sq.の範囲にあることがより好ましい。
また、得られた透明導電性フイルム100の体積低効率は160μオームcm以下であることが好ましく、1.6〜16μオームcmの範囲にあることがさらに好ましく、1.6〜10μオームcmの範囲にあることがより好ましい。
【0079】
[カレンダー処理]
本実施の形態の製造方法では、現像処理済みの導電パターン108に平滑化処理を施す。これによって導電パターン108の導電性が顕著に増大する。さらに、第1銀画像104a及び第2銀画像104bにおける導電パターン108と光透過性部の面積を好適に設計することで、高い導電性と視認性とを同時に有するタッチパネル用の透明導電性フイルム100が得られる。
平滑化処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは、通常、一対のロールからなる。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は1960N/cm(200kgf/cm)、面圧に換算すると699.4kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm、面圧に換算すると935.8kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュパターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
【0080】
[蒸気に接触させる処理]
そして、本実施の形態の製造方法では、平滑化処理された導電パターンを蒸気に接触させるようにしてもよい(蒸気接触工程)。この蒸気接触工程は、平滑化処理された導電パターン108を、過熱蒸気に接触させる方法と、平滑化処理された導電パターン108を、加圧蒸気(加圧された飽和蒸気)に接触させる方法とがある。これにより短時間で簡便に導電性及び透明性を向上させることができる。水溶性バインダの一部が除去されて金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
【0081】
[水洗処理]
本実施の形態の製造方法では、導電パターン108を過熱蒸気又は加圧蒸気に接触させた後に水洗処理することが好ましい。蒸気接触処理後に水洗することで、過熱蒸気又は加圧蒸気で溶解又は脆くなったバインダーを洗い流すことができ、これにより、導電性を向上させることができる。
【0082】
[めっき処理]
本実施の形態においては、上述した平滑化処理を行ってもよいし、導電パターン108に対してめっき処理を行ってもよい。めっき処理により、さらに表面抵抗を低減でき、導電性を高めることができる。平滑化処理は、めっき処理の前段又は後段のいずれで行ってもよいが、めっき処理の前段で行うことで、めっき処理が効率化され均一なめっき層が形成される。めっき処理としては、電解めっきでも無電解めっきでもよい。まためっき層の構成材料は十分な導電性を有する金属が好ましく、銅が好ましい。
【0083】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の導電パターン108、並びに、めっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
次に、透明導電性フイルム100として完成させた状態の好ましい態様について説明する。
【0084】
[第1銀画像104a及び第2銀画像104b]
第1銀画像104a及び第2銀画像104bの導電パターン108の線幅は、10μm以下である。タッチパネルの用途である場合、モアレ抑制の観点から5μm以上10μm以下が好ましく、5μm以上9μm以下がより好ましく、5μm以上8μm以下がさらに好ましい。なお、導電パターン108は、制御ICとの接続、アース接続等の目的においては、線幅は10μmより広い部分を有していてもよい。
特に、透明導電性フイルム100をタッチパネルとして用いる場合、第1銀画像104a及び第2銀画像104bは、複数の多角形からなる格子状の導電パターン108を有し、格子状の導電パターン108の配列ピッチが300μm以下、全光線透過率が80%以上であり、さらに、透明支持体102の一主面のうち、第1銀画像104aが形成されていない外周部分を除く実効面の開口率(第1銀画像104aの開口率)と、透明支持体102の他主面のうち、第2銀画像104bが形成されていない外周部分を除く実効面の開口率(第2銀画像104bの開口率)とのバラツキが1%以下であることが好ましい。第1銀画像104aの開口率とは、第1銀画像104aのうち、導電パターン108を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、第2銀画像104bの開口率とは、第2銀画像104bのうち、導電パターン108を除いた透光性部分が全体に占める割合である。
【0085】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、透明導電性フイルム100のうち導電パターン108以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、上述のとおり、透明支持体102の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
【0086】
[透明導電性フイルム100]
本実施の形態に係る透明導電性フイルム100における透明支持体102の厚さは、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
透明支持体102上に設けられる導電パターン108の厚さは、透明支持体102上に塗布される第1感光層120a及び第2感光層120bの塗布厚みに応じて適宜決定することができる。導電パターン108の厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電パターン108の厚みは、0.5μm以上、3μm以下であることが好ましく、1.0μm以上、2.5μm以下であることがより好ましい。
【0087】
なお、本実施の形態に係る透明導電性フイルム100の製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る透明導電性フイルム100の製造方法では、第1感光層120a及び第2感光層120bの塗布銀量、銀/バインダー体積比等を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じて上述したカレンダー処理等を行ってもよい。
【0088】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【実施例】
【0091】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1〜13について、透明支持体102の両面に形成される第1感光層120a及び第2感光層120bの表面抵抗値、厚み、塗布銀量、銀/バインダーの体積比を変えて、導電パターン108の形状、導電性及びモアレの状態を評価した。実施例1〜13の内訳及び評価を後述する表3に示す。
【0092】
<実施例1>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン20.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはKRhBr及びKIrClを濃度が10−7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が8g/mとなるように透明支持体102(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。ハロゲン化銀粒子の表面に対する分光増感色素の被覆率を20%以下にした。銀/バインダー(ゼラチン)の体積比は1/1とした。この乳剤の表面抵抗値(logSR)は15であった。なお、乳剤の写真特性はガンマ4以上(硬調)であった。
幅30cmの透明支持体102に25cmの幅で20m分、乳剤の塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
【0093】
(露光)
両面同時露光にて使用される第1フォトマスク126a及び第2フォトマスク126bの露光パターン132a及び132bは、多数の正方形の格子状パターンをピッチ=300μmで配列したパターンとし、さらに、露光パターン132aの格子状パターンの中心に露光パターン132bの交点(交差部)が位置するようにした。露光は、ハロゲン化銀感光材料に対し、上記露光パターン132a及び132bを有する第1フォトマスク126a及び第2フォトマスク126bを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。なお、比較例1のサンプルは、フォトマスクの露光線幅を調整して製作した。
また、細線からなる網目構造の透光導電膜をタッチパネルセンサーに用いる際には、センサーから制御ICへの引き出し配線のパターンを露光マスクの中に組み込むことでセンサーと銀線回路を合わせたパターンとして露光した。
【0094】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
ヨウ化カリウム 2 g
pH 6.2に調整
【0095】
上記処理剤を用いて露光済み感光材料を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。この現像処理によって、透明支持体102の両面に多数の導電パターン108(正方形の格子状パターン)が形成された透明導電性フイルムを得た。
<実施例2〜3>
乳剤の銀/バインダー体積比を2/1及び3/1としたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、実施例2及び3に係る透明導電性フイルムを作製した。
<実施例4〜6>
実施例1に対して、乳剤の銀/バインダー体積比を3/1(実施例5)及び4/1とし(実施例4,6)、さらにハロゲン化銀感光材料に塗布される乳剤中の塩濃度をコントロールして、乳剤層の表面抵抗値(logSR)を10(実施例6)、11(実施例4)、13(実施例5)とした。
<実施例7〜9>
ハロゲン化銀感光材料に塗布される乳剤の表面抵抗値(logSR)を13とし、塗布銀量を5、15、及び20g/mにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、実施例7、8、及び9に係る透明導電性フイルムを作製した。
<実施例10〜11>
ハロゲン化銀感光材料に塗布される乳剤の表面抵抗値(logSR)を13とし、塗布銀量を20g/mにしたこと以外は、上述の実施例2、3と同様にして、実施例10、11に係る透明導電性フイルムを作製した。
<実施例12、13>
実施例5に対し、塗布銀量を15g/mとしたハロゲン化銀感光材料を調製し、現像処理時の現像液処方中、ポリエチレングリコール2000を2g及び3gに変更したこと以外は、上述の実施例5と同様にして、実施例12及び13に係る透明導電性フイルムを作製した。
【0096】
【表3】

【0097】
なお、実施例1〜13について、導電パターン108の配列ピッチは300μm、厚みは2.5μm以下、上部の線幅は10μm以下であった。また、全光線透過率が80%以上であり、さらに、透明支持体102の一主面のうち、第1銀画像104aが形成されていない外周部分を除く実効面の開口率と、透明支持体102の他主面のうち、第2銀画像104bが形成されていない外周部分を除く実効面の開口率とのバラツキが1%以下であった。
【0098】
[評価]
<導電パターンの形状評価>
両面同時露光において、第2光源128bからの第2光124bが散乱光となって一方の主面側の第1感光層120aに到達すると、図5に示すように、第1感光層120aと透明支持体102との境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像134が形成される。その結果、図6に示すように、導電パターン108間に第2光源128bからの第2光124bによる薄い導電層136が形成されることになる。この場合、導電パターン108の上部の線幅よりも下部の線幅が広くなる。
そこで、{(下部の線幅−上部の線幅)/上部の線幅}×100を計算し、計算値が3%未満であれば「◎」、3%以上5%未満であれば「○」、5%以上であれば「×」とした。
<網目構造の導電膜の導電性評価>
導電パターン108のシート抵抗を測定した。具体的には、ダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)4探針プローブ(QPP)にて任意の10箇所測定し、その平均値をシート抵抗とした。
そして、導電パターン108のシート抵抗が10オーム/sq.以下であれば「◎」、10オーム/sq.超、50オーム/sq.以下であれば「○」、50オーム/sq.超であれば「×」とした。
<配線パターンの抵抗評価>
網目構造に電気的に接続した銀線配線の抵抗は、銀線長さ10mm当たりの抵抗を、マルチメーターを用いて測定した(横河電機社製 デジタルマルチメーター等)。銀線はいずれも10mm当たりの抵抗で300オーム以下であった。
<モアレの評価>
液晶表示装置の表示画面に透明導電性フイルム100を貼り付け、その後、液晶表示装置を回転盤に設置し、液晶表示装置を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角−45°〜+45°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。
モアレの評価は、液晶表示装置の表示画面から観察距離1.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を◎、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を○、モアレが顕在化した場合を×とした。
<ハロゲン化銀感光材料の電気抵抗(SR)の評価>
表面電気抵抗(SR)は、JIS−K−6911−1979の抵抗率に記載の方法に従って測定した。測定は、各感光材料を23℃、65%RHの雰囲気で6時間調湿した後、測定した。
<塵埃付着性の評価>
上記試料において、フイルムを18cm幅の長尺フイルムに下降し、25℃65%RHの雰囲気に3日間保存した後、加工機の模擬装置である、ハンドリング機を用いて、長尺フイルムをライン速度100m/分で搬送し、搬送した後、フイルム面に付着した塵埃を目視で評価した。
◎:塵埃の付着が全く認められなかった。
○:塵埃の付着が僅かに認められた。
×:塵埃の付着が認められた
【0099】
<評価結果>
実施例1〜13共に、導電パターン18の形状評価、導電性の評価、モアレの評価が良好であった。塗布銀量が20g/m及び15g/mの実施例8〜13では、導電パターン108の形状評価が「◎」であった。
また、乳剤の表面抵抗値(logSR)が11、13及び10の実施例4、5及び6、については、導電性の評価が「◎」であった。
また、線幅が9、10μmである実施例1〜11については、モアレの評価が「〇」、線幅が8μm以下である実施例12、13についてはモアレの評価が「◎」であった。
上述の実施例1〜13では、カレンダー処理及び蒸気接触処理を行っていないが、カレンダー処理及び蒸気接触処理を行うことで、さらに、導電性が向上することは明らかである。
【0100】
なお、本発明に係る透明導電性フイルム及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0101】
100…透明導電性フイルム 102…透明支持体
104a…第1銀画像 104b…第2銀画像
106…銀線 108…導電パターン
120a…第1感光層 120b…第2感光層
122…感光材料 124a…第1光
124b…第2光 126a…第1フォトマスク
126b…第2フォトマスク 128a…第1光源
128b…第2光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明支持体上の両面にそれぞれ、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を形成し、露光した後、現像処理することにより、前記透明支持体の一主面に導電性の第1銀画像が形成され、前記透明支持体の他主面に導電性の第2銀画像が形成された透明導電性フイルムであって、
前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、透視を必要とする部分で網目構造をとり、
各前記網目構造の輪郭は線幅10μm以下の細線で構成され、前記網目構造による導電膜のシート抵抗が50オーム/sq.以下であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項2】
請求項1記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記導電膜のシート抵抗が10オーム/sq.以下であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、前記網目構造と、前記網目構造に電気的に接続した10μm以上500μm以下の幅、10mm以上の長さからなる銀線とで構成され、
前記銀線の抵抗が10mm当たり300オーム以下であることを特徴する透明導電性フイルム。
【請求項4】
請求項3記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記銀線の抵抗が10mm当たり100オーム以下であることを特徴する透明導電性フイルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記ハロゲン化銀乳剤層の銀/バインダー体積比が1/1以上であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記ハロゲン化銀乳剤層の銀/バインダー体積比が2/1以上であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記ハロゲン化銀乳剤層は、実質的に分光増感が施されず、前記ハロゲン化銀乳剤層の表面抵抗値(logSR)が15以下であり、塗布銀量が5g/m〜30g/mであることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項8】
請求項7記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記塗布銀量が15g/m〜30g/mであることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項9】
請求項7又は8記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記ハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀粒子の表面に対する分光増感色素の被覆率が20%以下であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記ハロゲン化銀乳剤層の表面抵抗値(logSR)が13以下であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記網目構造が、複数の多角形からなる格子状のパターンからなり、
前記格子状のパターンの配列ピッチが300μm以下、全光線透過率が80%以上であり、さらに、前記透明支持体の一主面のうち、前記第1銀画像が形成されていない外周部分を除く実効面の開口率と、前記透明支持体の他主面のうち、前記第2銀画像が形成されていない外周部分を除く実効面の開口率とのバラツキが1%以下であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、それぞれタッチパネル用電極を構成する部分を有することを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項13】
透明支持体上の両面にそれぞれ、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を形成する工程と、
前記ハロゲン化銀乳剤層を露光する工程と、
露光後の前記ハロゲン化銀乳剤層を現像処理する工程とを有し、
前記透明支持体の一主面に導電性の第1銀画像が形成され、前記透明支持体の他主面に導電性の第2銀画像が形成された透明導電性フイルムの製造方法であって、
前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、透視を必要とする部分で網目構造をとり、
各前記網目構造の輪郭は線幅10μm以下の細線で構成され、前記網目構造による導電膜のシート抵抗が50オーム/sq.以下であり、
両面の前記ハロゲン化銀乳剤層は実質的に分光増感が施されず、厚みが4μm以下であり、塗布銀量が5g/m以上であり、塗布バインダー量が2.0g/m以下であることを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の透明導電性フイルムの製造方法において、
前記塗布銀量が15g/m〜30g/mであることを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項15】
請求項13又は14記載の透明導電性フイルムの製造方法において、
前記網目構造による導電膜のシート抵抗が10オーム/sq.以下であることを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムの製造方法において、
前記第1銀画像及び前記第2銀画像は、前記網目構造と、前記網目構造に電気的に接続した10μm以上500μm以下の幅、10mm以上の長さからなる銀線で構成され、
前記銀線の抵抗が10mm当たり300オーム以下であることを特徴する透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の透明導電性フイルムの製造方法において、
前記銀線の抵抗が10mm当たり100オーム以下であることを特徴する透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムの製造方法において、
前記ハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀粒子の表面に対する分光増感色素の被覆率が20%以下であることを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムの製造方法において、
前記露光は、露光マスクを用いて行い、
前記ハロゲン化銀乳剤層に前記露光マスクを密着させて露光することを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項20】
請求項13記載の透明導電性フイルムの製造方法において、
前記ハロゲン化銀乳剤層の写真特性が硬調であることを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項21】
請求項13記載の透明導電性フイルムの製造方法において、
前記ハロゲン化銀乳剤層が実質的に最上層に配置することを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−4042(P2012−4042A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139825(P2010−139825)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】