説明

透明導電性基板の製造方法及び透明導電性基板

【課題】 マイクロ波照射による導電性微粒子からのアーク放電を抑制し、均一な透明性を有する透明導電性基板の製造方法を提供する。

【解決手段】 透明な基材上に、導電性微粒子を含有するインクを塗布し、導電性微粒子を含む被処理膜を形成するステップ、及び被処理膜に単一モードのマイクロ波を照射し、基材上に透明導電膜を形成するステップを備える。本発明の透明導電性基板の形成方法によれば、マイクロ波の照射によって基材の温度の上昇を抑制し、導電性微粒子を含有する被処理膜のみを選択的に加熱することが可能となる。したがって、耐熱性の低い基材上に、導電率の高い透明導電膜を形成することが可能となる。さらに導電性微粒子を含む被処理膜に均一にマイクロ波を照射することにより、導電性微粒子からのアーク放電を抑制し、例えば波長が550nmの光の透過率が88%以上であり、均一な透明性を揺する透明導電膜を形成することも可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能性基板の形成技術に係り、特に、透明導電性基板の製造方法及び透明導電性基板に係る。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜は、透明タッチパネル、液晶表示装置、及び電磁波シールド基板等に利用されている。透明導電膜は、蒸着法、マグネトロンスパッタ法、あるいはイオンプレーティング法、パルスレーザデポジション法等の時間がかかる真空プロセスを経て形成される。ここで、透明導電膜を大面積化するためには、高価な真空プロセス装置を用いる必要がある。また透明導電膜を表示電極に使用するためには、透明導電膜をエッチング法等によりパターニングする必要がある。しかし、非晶質の膜を成膜した後に非晶質の膜をエッチングし、さらに非晶質の膜を結晶化するなど、複数の工程が必要であった。また材料によっては適当なエッチング方法がなく、パターニングが困難な場合もあった。これに対し、導電性のインクを印刷することにより、パターニングされた透明導電膜を形成する方法が、有機酸塩熱分解法や金属錯体塩熱分解法等により検討されている。しかし、一般に導電膜を形成するためには、印刷後に導電性のインクで形成された被処理膜を500℃以上に加熱する必要があり、低耐熱性の基材を使用できないという問題があった。そのため基材のダメージをさけるために、マルチモードのマイクロ波を被処理膜に照射して被処理膜に含まれる導電性の微粒子を選択的に加熱し、焼結させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、マルチモードのマイクロ波で導電性の微粒子を含む被処理膜を均一に加熱するのは困難であるため、導電性の微粒子からアーク放電が生じ、部分的な異常加熱が生じたり発火したりするという問題や、均一な透明性を有し、かつ波長が550nmの光の透過率が88%以上である透明導電膜を形成するのは難しいという問題があった。
【特許文献1】特開2000-123658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、マイクロ波照射による導電性微粒子からのアーク放電を抑制し、均一な透明性を有する透明導電性基板の製造方法及び透明導電性基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明の第1の特徴は、(イ)透明な基材上に、導電性微粒子を含有するインクを塗布し、導電性微粒子を含む被処理膜を形成するステップと、(ロ)被処理膜に単一モードのマイクロ波を照射し、基材上に透明導電膜を形成するステップとを備える透明導電性基板の製造方法であることを要旨とする。本発明の第1の特徴に係る透明導電性基板の製造方法によれば、被処理膜に単一モードのマイクロ波を照射することにより、導電性微粒子からのアーク放電を抑制することが可能となる。また被処理膜に単一モードのマイクロ波を照射することにより、均一な透明度を有する透明導電性基板を製造することが可能となる。
【0005】
本発明の第2の特徴は、(イ)透明な基材上に、導電性微粒子を含有するインクを塗布し、導電性微粒子を含む被処理膜を形成するステップと、(ロ)被処理膜に、導電性微粒子からアーク放電が生じない周波数のマイクロ波を照射し、基材上に透明導電膜を形成するステップとを備える透明導電性基板の製造方法であることを要旨とする。本発明の第2の特徴に係る透明導電性基板の製造方法によれば、被処理膜に導電性微粒子からアーク放電が生じない周波数のマイクロ波を照射することにより、導電性微粒子からのアーク放電を抑制することが可能となる。また被処理膜に導電性微粒子からアーク放電が生じない周波数のマイクロ波を照射することにより、均一な透明度を有する透明導電性基板を製造することが可能となる。
【0006】
本発明の第3の特徴は、(イ)透明な基材と、(ロ)透明な基材上に配置された透明導電膜とを備え、(ハ)波長が550nmの光の透過率が88%以上であり、(ニ)透明導電膜は、平均粒子径が3nm乃至200nmの導電性微粒子及び導電性微粒子が結合した焼結体を含み、(ホ)透明導電膜の表面に占める導電性微粒子及び焼結体の割合が80%以上である透明導電性基板であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マイクロ波照射による導電性微粒子からのアーク放電を抑制し、均一な透明性を有する透明導電性基板の製造方法及び透明導電性基板を提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお以下の示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
本発明の実施の形態に係る透明導電性基板の製造方法は、透明な基材上に、導電性微粒子を含有するインクを塗布し、導電性微粒子を含む被処理膜を形成するステップ、及び基材上に形成された被処理膜に例えば周波数が0.8〜100GHzの単一モードのマイクロ波を照射し、基材上に透明導電膜を形成するステップを備える。あるいは実施の形態に係る透明導電性基板の製造方法は、透明な基材上に、導電性微粒子を含有するインクを塗布し、導電性微粒子を含む被処理膜を形成ステップ、及び基材上に形成された被処理膜に、導電性微粒子からアーク放電が生じない周波数のマイクロ波を照射し、基材上に透明導電膜を形成するステップを備える。導電性微粒子からアーク放電が生じない周波数とは、例えば10-100GHzである。実施の形態に係る透明導電性基板の製造方法によれば、透明な基材、及び透明な基材上に配置された導電性微粒子を含む透明導電膜を備え、波長が550nmの光の透過率が88%以上の透明導電性基板が製造される。
【0010】
導電性微粒子としては、可視波長域の光に対して透明性の高い酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及び酸化チタン等の金属酸化物からなる微粒子、あるいは異なる金属がドープされた金属酸化物からなる微粒子等が使用できる。特に導電性及び透明性の観点から、スズドープ酸化インジウム(ITO : Indium Tin Oxide)、及びガリウムドープ酸化亜鉛(GZO : Gallium-doped zinc oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、及びアンチモンドープ酸化スズ等が導電性微粒子の材料として好ましい。インクに含まれた状態での導電性微粒子の平均1次粒径は、緻密な透明導電膜を形成するため、またマイクロ波で均一に加熱するために、透過型電子顕微鏡で観察して3nmから100nmであるのが好ましい。なお、導電性微粒子の平均1次粒径を3nm以上とすることにより、インク中において導電性微粒子が安定して分散する。ただし、導電性微粒子の平均1次粒径が100nm以上になると、形成される透明導電膜の透明性が損なわれる。また平均1次粒径が100nm以上の導電性微粒子は、内部までマイクロ波を吸収することができない。そのため、被処理膜を均一に加熱することが困難となる。
【0011】
ここで、金属酸化物からなる導電性微粒子は、マイクロ波によって選択的に加熱されやすい。特に導電性微粒子の体積抵抗率が小さくなるほど、導電性微粒子はマイクロ波によって加熱されやすくなる。
【0012】
導電性微粒子を含むインクの溶媒としては、例えば水、並びにメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等のアルコール類、並びにセロソルブ、及びブチルセロソルブ(C4H9OCH2CH2OH)等のグリコールエーテル類、並びにアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン類、並びに酢酸エチル等のエステル類、並びにアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、並びにヘキサン、デカン等の脂肪族炭化水素、あるいはトルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素等又はそれらの混合液等が使用可能である。またインクには、必要に応じて、分散剤、表面張力調整剤、あるいは安定剤等を添加してもよい。
【0013】
さらに基材への密着性を高めること、造膜性を高めること、印刷適性を付与すること、及び分散性を高めることを目的として、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂等を樹脂バインダーとしてインクに添加してもよい。また、高温で焼成した後の基材との密着性あるいは造膜性を維持するために、エチルシリケート及びシリケートオリゴマー等の無機バインダーを使用してもよい。
【0014】
基材の材料には、石英ガラス(SiO2)、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス等のガラスが使用可能である。被処理膜に含まれる導電性微粒子はマイクロ波によって選択的に加熱されやすい。そのため、基材に吸収されるマイクロ波のエネルギーは小さくなり、基材の発熱は抑制される。したがって、基材の材料の歪点が低いガラス等であっても、透明導電膜を形成する際に基材が変形したり損傷したりすることはない。
【0015】
また基材の材料には、ポリエステル、ポリエチレン、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド等のガラスよりも耐熱性の低い透明な樹脂も使用可能である。また基材の表面には、導電性微粒子を含む被処理膜に密着する密着性成分が成膜されていてもよい。あるいは、コロナ処理、乾式UV照射処理、プラズマ処理等による易接着処理がされていてもよい。
【0016】
インクは、例えばスクリーン印刷機、インクジェットプリンタ、ディスペンサ、スピンコーター、ディップコーティング装置、フレキソ印刷機、グラビア印刷機等の塗布装置によって基材上に塗布される。なおインクは、塗布装置によって基材の表面にパターン状に印刷されてもよい。パターンは透明導電性基板の用途により適宜設計選択される。基材に塗布されたインクは、オーブン等によって乾燥させられ、図1に示すように基材100上に導電性微粒子を含む被処理膜150が形成される。導電性微粒子を含む被処理膜150の厚みは、焼成後に0.01乃至20μm、さらには0.05乃至1μmが好ましい。厚みが0.01μm以下では導電性が不充分となり、厚みが20μm以上では形成される透明導電膜の透明性が不充分となる。
【0017】
導電性微粒子を含む被処理膜150には、マイクロ波が照射される。本発明の実施の形態のおいて、マイクロ波とは周波数が300MHz乃至300GHzの電磁波を意味する。例えば被処理膜150には、周波数が0.8乃至100GHzのマイクロ波が照射される。マイクロ波は、マグネトロン、クライストロン、あるいはジャイロトロン等により発生させることができる。照射するマイクロ波の周波数が10GHz以下の場合、マイクロ波の波長が長いため、導電性微粒子を含む被処理膜150を均一に加熱することができない。そのため、導電性微粒子を含む被処理膜150を均一に加熱するために、導波管あるいは空洞共振器を使用してマイクロ波を単一モードにし、導電性微粒子を含む被処理膜150に照射するマイクロ波の電界及び磁界を一定にすることが好ましい。空洞共振器を使用すれば、例えば線状に均一なマイクロ波を照射することが可能となる。この場合、被処理膜150を一定速度で移動させれば、大面積の被処理膜150を焼成することも可能である。
【0018】
周波数が10GHz以上の場合は、複数モードあるいはランダムに反射したマイクロ波を照射してもよいし、導波管あるいは空洞共振器等を用いて単一モードのマイクロ波が照射してもよい。周波数が10GHz以上のマイクロ波を導電性微粒子に照射しても、アーク放電現象は生じない。また、周波数が10GHz以上のマイクロ波の波長は導電性微粒子を含む被処理膜150に対して短い。そのため、ランダムに炉内で多重反射させても、導電性微粒子を含む被処理膜150を均一に加熱することができる。導電性微粒子を含む被処理膜150にマイクロ波を照射すると、導電性微粒子を含む被処理膜150に含まれる導電性微粒子の表面が加熱され、微粒子どうしが焼結したり、微粒子が結晶成長することにより、導電性が向上する。均一加熱のためには、周波数は高いほどよいが、安定して高出力のマイクロ波を発生させるためには、60GHz以下とするのが好ましい。
【0019】
マイクロ波を照射する炉は、大気雰囲気でもよいしガス置換してもよい。透明導電性基板の場合は、材料によって、透明性、キャリア密度、酸素欠損量、結晶径等の制御のために、酸素を導入して酸化を促進したり、あるいは窒素、水素等による還元雰囲気で焼結及び粒子成長を促進してもよい。また内部は大気圧でもよいし、加圧してもよい。焼結を促進するために、焼成前後または焼成中に物理的なプレスを施してもよい。
【0020】
なお、基材がマイクロ波を吸収しやすく、基板もマイクロ波によって加熱されやすい場合には、マイクロ波を照射する前に、基材にダメージを与えない温度でオーブン等で予備加熱を行ってもよい。予備加熱により一部の導電性微粒子どうしを焼結させて導電性を高めておくと、導電性微粒子はマイクロ波によって加熱されやすくなる。
【0021】
微粒子にマイクロ波を照射して形成された透明導電膜は均一な単結晶ではなく、図2に示すように、個々の微粒子どうしが接触または焼結し、内部には気孔が存在する構造をとる。ここで実施の形態に係る透明導電膜は、表面を走査型電子顕微鏡で観察した場合に、平均粒子径が3nm乃至200nmの導電性微粒子及び導電性微粒子が粒界を介して結合した焼結体を含む。マイクロ波の吸収率の高い材料では、個々の導電性微粒子の大きさも加熱により結晶成長するが、加熱後の透明導電膜に含まれる結晶成長後の導電性微粒子の平均粒子径は3nm乃至200nmであることが好ましい。結晶成長後の導電性微粒子の平均粒子径が200nm以上の場合、透明導電性基板の透明性が低下するためである。加熱後の透明導電膜に含まれる導電性微粒子のさらに好ましい平均粒子径は5nm乃至100nmであり、より限定すれば10nm乃至50nmである。
【0022】
透明導電膜の気孔は導電性及び透明性を損なうため少ないほうが好ましい。波長が550nmの光の透過率を88%以上とするために、走査型電子顕微鏡で観察した場合に表面に占める導電性微粒子及びその焼結体の割合を80%以上、好ましくは90%以上とする。
【0023】
従来、導電性微粒子を焼結させるためには、数百度の高温の空気中に基材が配置されていた。そのため、基材の材料が限定されるという問題があった。また、導電性微粒子が金属酸化物からなる場合、導電性微粒子の粒径をナノメートルオーダーとすると焼結に必要な温度は低下するが、その温度はなお基材の耐熱温度と比較して高いという問題があった。よって、基材には、500℃以上の耐熱性が要求されていた。これに対し、実施の形態に係る透明導電性基板の形成方法によれば、マイクロ波の照射によって基材の温度の上昇を抑制し、導電性微粒子を含有する被処理膜のみを選択的に加熱することが可能となる。したがって、耐熱性の低い基材上に、導電率の高い透明導電膜を形成することが可能となる。さらに導電性微粒子を含む被処理膜に均一にマイクロ波を照射することにより、導電性微粒子からのアーク放電を抑制し、例えば波長が550nmの光の透過率が88%以上であり、均一な透明性を揺する透明導電膜を形成することも可能となる。また導電性微粒子を含む被処理膜は、印刷法によりパターニングが可能であるため、エッチング等の複雑な工程を無くすことも可能である。
【0024】
(実施例1)
透過型電子顕微鏡で観察した平均1次粒径が20nmのITO導電性微粒子を含む分散液であるインク(三菱マテリアル株式会社製)を、スピンコート法により、1辺が100mmの正方形で、厚みが1.1mmの合成石英ガラスからなる基材に塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。導電性微粒子を含む被処理膜の膜厚は0.3μmであり、4探針法により測定した表面抵抗は5.0×105Ω/□であった。なお以下の記載において、表面抵抗は総てダイアインスツルメンツ社製のロレスタGPを使用し、JIS K7194規格に準拠して測定された値である。
【0025】
その後、導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を加熱焼成炉に導入し、上方から周波数が28GHzのマイクロ波を大気雰囲気中で照射し、表面の温度を計測して、50℃/分の加熱速度で、導電性微粒子を含む被処理膜を室温から800℃に加熱し、合成石英ガラスからなる基材上に透明導電膜を形成した。透明導電膜の表面温度が800℃に到達した後、マイクロ波の照射を終了した。透明導電膜の表面温度が800℃に到達した時、基材の裏面の温度は約600℃であった。マイクロ波の照射を終了した後、合成石英ガラスからなる基材及び透明導電膜を有する透明導電性基板の温度は数分で200℃以下になった。加熱の開始から冷却までに要した時間は、約20分であった。形成された透明導電膜の表面抵抗は600Ω/□に低下した。また透明導電性基板の波長550nmの光の透過率は、90.5%であり、面内の表面抵抗及び透過率にムラはなくほぼ均一であった。また透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は91.7%であり、導電性微粒子は加熱前と比較して互いに焼結していることが観察された。
【0026】
(実施例2)
まず、1辺が100mmの正方形で、厚みが1.1mmの無アルカリガラスからなる基材(コーニング社製、商品名1737)を用意した。次にスピンコート法により、基材に実施例1で用いたインクと同じインクを塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。導電性微粒子を含む被処理膜の膜厚は0.3μmであり、表面抵抗は5.0×105Ω/□であった。
【0027】
その後、導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を加熱焼成炉に導入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から周波数が28GHzのマイクロ波を大気雰囲気中で照射し、表面の温度を計測して50℃/分の加熱速度で、導電性微粒子を含む被処理膜を室温から500℃に加熱し、無アルカリガラスからなる基材上に透明導電膜を形成した。透明導電膜の温度が500℃に到達した後も10分間、透明導電膜を500℃に加熱し続けた。形成された透明導電膜の表面抵抗は3.0×103Ω/□に低下した。また、無アルカリガラスからなる基材及び透明導電膜を有する透明導電性基板の波長550nmの光の透過率は、92.1%であり、面内の表面抵抗及び透過率にムラはなくほぼ均一であった。また透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は92.3%であった。
【0028】
(実施例3)
スピンコート法により、1辺が100mmの正方形で、厚みが1.1mmの合成石英ガラスからなる基材に実施例1で用いたインクと同じインクを塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。導電性微粒子を含む被処理膜の膜厚は0.3μmであり、表面抵抗は5.0×105Ω/□であった。
【0029】
その後、導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を加熱焼成炉に導入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から周波数が28GHzのマイクロ波を大気雰囲気中で照射し、表面の温度を計測して、200℃/分の加熱速度で、導電性微粒子を含む被処理膜を室温から600℃に加熱し、合成石英ガラスからなる基材上に透明導電膜を形成した。加熱の開始から冷却までに要した時間は、約4分と短時間であった。形成された透明導電膜の表面抵抗は800Ω/□に低下した。また、合成石英ガラスからなる基材及び透明導電膜を有する透明導電性基板の波長550nmの光の透過率は、91.5%であり、面内の表面抵抗及び透過率にムラはなくほぼ均一であった。また透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は50nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は90.2%であった。
【0030】
(実施例4)
まず、1辺が100mmの正方形で、厚みが1.1mmのソーダ石灰ガラスからなる基材を用意した。次にスピンコート法により、基材に実施例1で用いたインクと同じインクを塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。導電性微粒子を含む被処理膜の膜厚は0.3μmであり、表面抵抗は5.0×105Ω/□であった。さらにオーブンを用いて300℃で60分間、基材及び導電性微粒子を含む被処理膜を加熱した後、室温まで冷却させた。その後測定された導電性微粒子を含む被処理膜の表面抵抗は6.1×104Ω/□に低下した。
【0031】
次に、導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を加熱焼成炉に導入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から周波数が28GHzのマイクロ波を大気雰囲気中で照射し、表面の温度を計測して、200℃/分の加熱速度で、導電性微粒子を含む被処理膜を室温から500℃に加熱し、ソーダ石灰ガラスからなる基材上に透明導電膜を形成した。形成された透明導電膜の表面抵抗は900Ω/□に低下した。また、ソーダ石灰ガラスからなる基材及び透明導電膜を有する透明導電性基板の波長550nmの光の透過率は、90.2%であり、面内の表面抵抗及び透過率にムラはなくほぼ均一であった。また透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は91.8%であった。
【0032】
ソーダ石灰ガラスは、石英ガラスよりもマイクロ波の吸収がよいため、マイクロ波によって加熱されやすく、熱変形しやすいため、マイクロ波を用いても表面抵抗を1000Ω/□以下とするのが難しい。これに対し、マイクロ波を照射する前に300℃で60分間加熱したことにより、導電性微粒子を含む被処理膜のマイクロ波の吸収効率が向上し、相対的にソーダ石灰ガラスに吸収されるマイクロ波が少なくなる。そのため、ソーダ石灰ガラスの熱ダメージを小さくすることが可能となり、かつ表面抵抗を低くすることも可能となった。
【0033】
(実施例5)
透過型電子顕微鏡で観察した平均1次粒径が20nmのガリウムドープ酸化亜鉛導電性微粒子(ハクスイテック株式会社製、商品名パゼットGK40)を、イソプロピルアルコールとブチルセロソルブとの混合溶媒に分散させ、固形分が13%のインクを得た。なお、混合溶媒におけるイソプロピルアルコールのブチルセロソルブに対する重量比は、8:1である。次にスピンコート法により、1辺が100mmの正方形で、厚みが1.1mmの無アルカリガラスからなる基材(コーニング社製、商品名1737)にインクを塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。導電性微粒子を含む被処理膜の膜厚は0.3μmであり、表面抵抗は1.92×1010Ω/□であった。
【0034】
その後、導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を加熱焼成炉に導入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から周波数が28GHzのマイクロ波を窒素ガス雰囲気中で照射し、表面の温度を計測して、50℃/分の加熱速度で、導電性微粒子を含む被処理膜を室温から500℃に加熱し、無アルカリガラスからなる基材上に透明導電膜を形成した。透明導電膜の温度が500℃に到達した後も30分間、透明導電膜を500℃に加熱し続けた。形成された透明導電膜の表面抵抗は9.0×105Ω/□に低下した。また、無アルカリガラスからなる基材及び透明導電膜を有する透明導電性基板の波長550nmの光の透過率は、90.2%であり、面内の表面抵抗及び透過率にムラはなくほぼ均一であった。また透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は93.4%であった。
【0035】
なお実施例5に係るガリウムドープ酸化亜鉛微粒子は酸化を抑制することにより高い導電性を得ることができるため、焼成炉の内部を窒素ガスに置換して導電性微粒子を含む被処理膜を焼成した。
【0036】
(実施例6)
透過型電子顕微鏡で観察した平均1次粒径が20nmのITO導電性微粒子を含む分散液であるインク(三菱マテリアル株式会社製)に、無機バインダーとしてシリケートオリゴマー(三菱化学株式会社製、商品名MSH4)に水0.1%を反応させた反応液をITO導電性微粒子の重量に対し固形分比で5重量%加え、固形分が13%のインクを得た。次に簡易グラビア印刷装置により、無アルカリガラスからなる基材(コーニング社製、商品名1737)にインクを、幅が1mm、長さが200mmの配線パターン状に印刷した。さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。
【0037】
その後、導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を加熱焼成炉に導入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から周波数が28GHzのマイクロ波を大気雰囲気中で照射し、表面の温度を計測して、50℃/分の加熱速度で、導電性微粒子を含む被処理膜を室温から500℃に加熱し、無アルカリガラスからなる基材上に透明導電膜を形成した。形成された透明導電膜の表面抵抗は8×103Ω/□であった。
【0038】
透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は90.9%であった。
【0039】
印刷法を用いることで、透明導電膜のエッチング等の処理を経ることなく、パターニングされた透明導電膜を得られた。
【0040】
(実施例7)
透過型電子顕微鏡で観察した平均1次粒径が4nmのITO導電性微粒子を含むインク(アルバックマテリアル製、商品名ITOナノメタルインク)を、インクジェット法により無アルカリガラスからなる基材(コーニング社製、商品名1737)に1辺が20mmの正方形パターン状に印刷し、さらにオーブンを用いて120℃で30秒間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含むパターニングされた被処理膜を形成させた。
【0041】
その後、導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を加熱焼成炉に導入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から周波数が28GHzのマイクロ波を窒素ガス雰囲気中で照射し、表面の温度を計測して、20℃/分の加熱速度で、導電性微粒子を含む被処理膜を室温から200℃に加熱し、その後も導電性微粒子を含む被処理膜を10分間200℃で加熱し続け、無アルカリガラスからなる基材上に黒色の透明導電膜を形成した。次に大気雰囲気中で、透明導電膜の上方から周波数が28GHzのマイクロ波を照射し、50℃/分の加熱速度で透明導電膜を200℃に加熱し、その後も透明導電膜を10分間200℃で加熱し続け、無アルカリガラスからなる基材上に透明の透明導電膜を形成した。形成された透明導電膜の表面抵抗は360Ω/□であった。また、無アルカリガラスからなる基材及び透明導電膜を有する透明導電性基板の波長550nmの光の透過率は、92.0%であった。
【0042】
透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は10nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は94.9%であった。
【0043】
実施例7に係るITO導電性微粒子を含むインクは、酸化が進むと焼結性が阻害され、導電性が低下する場合がある。これに対し、酸素が少ない還元雰囲気である窒素ガス雰囲気中でマイクロ波を照射することにより、酸化を抑制してITO導電性微粒子を焼結させることが可能となった。更に、部分的に焼結が進行した段階で、大気雰囲気中でマイクロ波を照射することにより、適度な酸化状態で透明な基板とすることが可能となった。
【0044】
(実施例8)
実施例1で用いたインクと同じインクを、実施例1で用いた基材と同じ基材に塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。導電性微粒子を含む被処理膜の膜厚は0.3μmであり、表面抵抗は5.0×105Ω/□であった。
【0045】
その後、共振周波数が2.45GHzの空洞共振器中に導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を挿入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から周波数が2.45GHzの単一モードのマイクロ波を照射し、表面の温度を計測して、50℃/分の加熱速度で導電性微粒子を含む被処理膜を室温から600℃に加熱し、合成石英ガラスからなる基材上に透明導電膜を形成した。単一モードのマイクロ波を照射することにより、導電性微粒子を含む被処理膜は均一に加熱され、アーク放電が生じることはなかった。形成された透明導電膜の表面抵抗は1.2×103Ω/□に低下した。また、合成石英ガラスからなる基材及び透明導電膜を有する透明導電性基板の波長550nmの光の透過率は、90.6%であった。
【0046】
透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は93.7%であった。
【0047】
(実施例9)
透過型電子顕微鏡で観察した平均1次粒径が20nmのITO導電性微粒子を含む分散液であるインク(三菱マテリアル株式会社製)に水分散ポリエステル樹脂をITO導電性微粒子の重量に対し固形分比で5重量%加え、固形分が13%のインクを得た。次に簡易グラビア印刷装置により、厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上の30mm×30mmの領域にインクを印刷し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含むパターニングされた被処理膜を形成させた。導電性微粒子を含む被処理膜の膜厚は0.4μmであり、表面抵抗は9.2×105Ω/□であった。
【0048】
その後、導電性微粒子を含む被処理膜が形成された基材を加熱焼成炉に導入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から周波数が28GHzのマイクロ波を照射し、表面の温度を計測して、50℃/分の加熱速度で、導電性微粒子を含む被処理膜を室温から200℃に加熱し、ポリエチレンテレフタレートからなる基材上に透明導電膜を形成した。形成された透明導電膜の表面抵抗は3.5×103Ω/□であった。加熱による基材の変形はなかった。
【0049】
透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は89.1%であった。
【0050】
(比較例1)
実施例1で用いたインクと同じインクを、実施例1で用いた基材と同じ基材に塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。
【0051】
その後、電気炉で導電性微粒子を含む被処理膜を800℃に加熱し、30分間導電性微粒子を含む被処理膜を800℃に保つと、透明導電膜の表面抵抗は600Ω/□となった。透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は92.1%であった。ただし加熱には1時間必要であった。また冷却にも2時間かかった。そのため、電気炉での加熱には合計3時間半必要であった。さらに基材が800℃に加熱されるため、高純度で高耐熱性の石英基板を使用する必要があった。
【0052】
(比較例2)
実施例4で用いたインクと同じインクを、実施例4で用いた基材と同じ基材に塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、さらに300℃で60分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。その後、電気炉で導電性微粒子を含む被処理膜を500℃で30分間加熱したところ、形成された導電膜の表面抵抗は1.9×103Ω/□であった。透明導電膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、透明導電膜を形成する導電性微粒子の平均粒子径は20nmであった。また透明導電膜の表面積に占める導電性微粒子及び導電性微粒子の焼結体の割合は93.7%であった。しかし、加熱により基材に歪みが生じていた。
【0053】
(比較例3)
実施例8で用いたインクと同じインクを、実施例8で用いた基材と同じ基材に塗布し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含む被処理膜を形成させた。その後、空洞共振器を用いずに、導電性微粒子を含む被処理膜を金属製の加熱焼成炉に導入し、導電性微粒子を含む被処理膜の上方から2.45GHzのマイクロ波を照射したところ、マイクロ波が不均一であるために基材の端面からアーク放電が生じ、3秒後には火花が生じたため、さらなる加熱は不可能であった。また導電性微粒子を含む被処理膜からなる膜にはひびが入っていた。また、マイクロ波を照射した後の被処理膜を含む基材の波長550nmの光の透過率は、88%以上の部分もあれば、82%以下の部分もあり、不均一であった。
【0054】
(比較例4)
実施例9で用いたインクを、実施例9で用いた基材と同じ基材に、実施例9と同様の方法で印刷し、さらにオーブンを用いて120℃で1分間、インクを乾燥させ、導電性微粒子を含むパターニングされた被処理膜を形成させた。その後、オーブンで被処理膜が形成された基材を230℃に加熱し、30分間、被処理膜が形成された基材を230℃に保った。しかし、透明導電膜の表面抵抗は2.0×105Ω/□であり、ほとんど低下しなかった。また加熱により、基材の一部が変形した。
【0055】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、実施の形態に係る透明導電性基板の製造方法で得られた透明導電膜は、透明タッチパネル電極、表示装置用の透明電極及び電磁波障害(EMI : Electro Magnetic Interference)シールドフィルム等に使用可能である。以上示したように、本発明の技術的範囲は上記の説明からは妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る基材の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る透明導電膜の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0057】
100…基材
150…被処理膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基材上に、導電性微粒子を含有するインクを塗布し、前記導電性微粒子を含む被処理膜を形成するステップと、
前記被処理膜に単一モードのマイクロ波を照射し、前記基材上に透明導電膜を形成するステップ
とを備えることを特徴とする透明導電性基板の製造方法。
【請求項2】
前記マイクロ波の周波数は、2.45GHzであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性基板の製造方法。
【請求項3】
透明な基材上に、導電性微粒子を含有するインクを塗布し、前記導電性微粒子を含む被処理膜を形成するステップと、
前記被処理膜に、前記導電性微粒子から放電が生じない周波数のマイクロ波を照射し、前記基材上に透明導電膜を形成するステップ
とを備えることを特徴とする透明導電性基板の製造方法。
【請求項4】
前記マイクロ波の周波数は、10GHz乃至60GHzであることを特徴とする請求項3に記載の透明導電性基板の製造方法。
【請求項5】
前記導電性微粒子は、金属酸化物からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
【請求項6】
前記導電性微粒子は、酸化インジウムからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
【請求項7】
前記導電性微粒子は、酸化亜鉛からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
【請求項8】
前記透明な基材は、ガラスからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
【請求項9】
前記透明な基材は、樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
【請求項10】
前記透明導電膜の表面に占める前記導電性微粒子及び前記導電性微粒子が結合した焼結体の割合が80%以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
【請求項11】
透明な基材と、
前記透明な基材上に配置された透明導電膜
とを備え、波長が550nmの光の透過率が88%以上であり、
前記透明導電膜は、平均粒子径が3nm乃至200nmの導電性微粒子及び前記導電性微粒子が結合した焼結体を含み、
前記透明導電膜の表面に占める前記導電性微粒子及び前記焼結体の割合が80%以上であることを特徴とする透明導電性基板。
【請求項12】
前記透明な基材は、ガラスからなることを特徴とする請求項11に記載の透明導電性基板。
【請求項13】
前記透明な基材は、樹脂からなることを特徴とする請求項11に記載の透明導電性基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−218243(P2008−218243A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54906(P2007−54906)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】