説明

透明着色剤及び着色剤組成物、及びそれらの使用

本発明は、99:1から10:90までの質量比で、有利には95:5から30:70までの質量比で、特に有利には95:5から50:50までの質量比で、10nmから200nmまでの平均粒度の顔料及び緑がかった黄色の色相の1−又は2−フェニルチオ−置換されたアントラキノンを含み、該アントラキノン環上に電子リッチなN(III)、O(II)及び更にS(II)置換基がない、着色剤組成物に関する。この組成物は特にパターン形成されたカラーフィルターにおいて有用である。1−又は2−フェニルチオ基がSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって置換されるか、又はアントラキノン基がSONR1112によって置換される、化合物もまた少数の例外を除いて特許請求される。本発明はまた式(III)又は(IV)で示され、その式中、R、R及びRのうち少なくとも1つがSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN又はCOR10であるか、又はR、R及びRのうち少なくとも1つがSONR1112である化合物(但しRはSONHではない)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着色されたカラーフィルターの分野に関する。通常、三色性は1つの青、1つの赤及び1つの緑のフィルターによるか、又は代替的に1つの黄色、1つのマゼンタ及び1つのシアンのフィルターによって達成される。これらのフィルターは高度に透明、均質であり且つ正確なパターンと共に非常に均一な層厚さで製造することができる。
【0002】
伝送ウィンドウの正確な位置及び絶対値がカラーフィルターにとって非常に重要なパラメータである。可能な限り高度の様々な色の光の吸収に加えて、光の放射周辺の波長範囲において高い透過率が求められている。更に、より高度な表示のコントラスト(ON/OFF状態での輝度の比)に対する要求が大幅に高まっている。
【0003】
EP−A−1291379号はバイオレット〜青のアントラキノン型着色剤及び近赤外吸収剤を含む、プラズマディスプレイのための光学フィルムを開示している。バイオレット〜青の着色剤及び近赤外吸収剤をプラズマディスプレイにおいて使用する目的は、色調を補正し、590nm(Ne)及び850nm以上(Xe)におけるネオン/キセノン光源の望ましくない光の放射を吸収することによって赤外線リモート・コントロールとの混信を避けることである。これらの光学フィルムは均一に着色されている。
【0004】
WO03/035770号は液体の存在下での塩と両方の成分との混練によるカラーフィルター用の緑色顔料組成物の製造方法を開示している。
【0005】
JP−A−H05/331378号は式
【化1】

の黄色アントラキノン顔料を含むカラーフィルター用の顔料組成物を開示している。
【0006】
JP−A−2000/281928号は、例えば、式
【化2】

のアントラキノン顔料を含む偽黄色カラーフィルター用の顔料組成物を開示している。
【0007】
C.I.溶媒イエロー167は式
【化3】

の公知の溶媒染料である。
【0008】
それらの置換された誘導体は、例えば、中間体(US−A−2004/0232382号)として、液晶用の多色性着色剤(JP−A−2003/238963号、DE−A−3314467号又はGB−A−2082196号)として又は繊維材料用の分散染料(WO2005/024123号)として使用されており、場合によりインクジェット印刷(WO−2005/040492号)を使用する。
【0009】
CAS登録[73507−58−1]は、以下の式以外は何も知られていない化合物である:
【化4】

【0010】
更に公知の化合物はUS−4,359,570号、US−4,420,581号、EP−A−0040139号、JP−A−S62/064865号及びDE−OS−2200115号に開示されている。
【0011】
驚くことにここで、着色カラーフィルターの透過度は、緑色がかった黄色の色相の1−又は2−フェニルチオ−置換アントラキノンを添加すること、アントラキノン環上に電子リッチなN(III)、O(II)そして更にS(II)置換基がないことによって向上することが見出された。
【0012】
従って、本発明は、99:1から10:90までの質量比で、有利には95:5から30:70までの質量比で、特に有利には95:5から50:50までの質量比で、10から200nmまでの平均粒度の顔料及び式
【化5】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ他の全てと無関係に、H、Br、Cl、F、SOR10、SO10、SO10、SONR1112、NO、CN、COR10、COOR10又はCONR1112;C−C12アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルケニル又はC−C12アルキニル(それぞれ非置換であるか又はCl、F、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、NR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって1回又は複数回置換される);C−C12アラルキル又はC−C12アリール(それぞれ非置換であるか又はSO10、SONR1112、NO、Br、Cl、F、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、NR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって1回又は複数回置換される)であり;
又はR、R、R、R及びRのいずれかは、それぞれ他の全てと無関係に、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、又はNR1112であり;
又はRはRと一緒に又はRと一緒に、1,3−プロピレン、1,3−プロペニレン、1,4−ブチレン、1,4−ブテン(1)イレン又は1,4−ブテン(2)イレン(それぞれ非置換であるか又はCl、F、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、NR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって1回又は複数回置換される)、又は1,4−ブタジエニレン(非置換であるか又はSO10、SONR1112、NO、Br、Cl、F、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、NR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって1回又は複数回置換される)であり;
又はRは式
【化6】

の基であり;
又はRはアントラキノン下位構造の1位又は2位のCからRへの直接結合であり;
10は、[C−Cアルキレン−O]−C12アルキル、[C−Cアルキレン−NH]−C12アルキル、C−C12アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルケニル又はC−C12アルキニル(それぞれ非置換であるか又はCl、F、OR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって1回又は複数回置換される);C−C12アラルキル又はC−C12アリール(それぞれ非置換であるか又はNO、SOR21、SO21、SO21、SONR2223、Br、Cl、F、OR21、SR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって1回又は複数回置換される)であり;
11及びR12は、互いに無関係に、H、[C−Cアルキレン−O]−C12アルキル、[C−Cアルキレン−NH]−C12アルキル、C−C12アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルケニル又はC−C12アルキニル(それぞれ非置換であるか又はCl、F、OR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって1回又は複数回置換される);C−C12アラルキル又はC−C12アリール(それぞれ非置換であるか又はNO、SOR21、SO21、SO21、SONR2223、Br、Cl、F、OR21、SR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって1回又は複数回置換される)であり;又は
NR1112はC、N、O及び/又はS原子を含む、5−、6−又は7−員環の、飽和の、不飽和の又は芳香族の、複素環式のN−基であり、この複素環式のN−基は場合によりシクロヘキサン、シクロヘキセン又はベンゼン環と縮合環化され且つ非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、C−C12アルコキシ、チオノ及び/又はR10によって1回又は複数回置換されており、2つ以上のR10は互いに同一又は異なり、そしてこの縮合環化されたベンゼン環は非置換であるか又はNO、SOR21、SO21、SO21、SONR2223、Br、Cl、F、OR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって置換されており;
13、R14及びR15はR、R及びRとは無関係にR、R及びRと同じ定義を有し、有利にはR13、R14及びR15はそれぞれR、R及びRと同一であるか;又はR13はアントラキノン下位構造の1位又は2位のCからR16への直接結合であり;
16、R17、R18、R19及びR20はR、R、R、R及びRとは無関係にR、R、R、R及びRと同じ定義を有し、有利にはR16、R17、R18、R19及びR20はそれぞれR、R、R、R及びRと同一であり;
21、R22及びR23は互いに無関係にH;[C−Cアルキレン−O]−C12アルキル、[C−Cアルキレン−NH]−C12アルキル又はC−C12アルキル(非置換であるか又はF、オキソ、OH、OC−Cアルキル、NH、NHC−Cアルキル、N(C−Cアルキル)、COOH、COOC−Cアルキル、CONHC−Cアルキル、CON(C−Cアルキル)又はCNによって1回又は複数回置換される)であり;
且つnは整数1、2、3、4又は5である)の化合物を含む着色剤組成物に関する。
【0013】
複数の置換された回数は、2個〜全ての炭化水素基のH原子が置換されているとして理解されるべきである。完全に置換されたアルキル基は、例えば、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル−1、ヘプタフルオロプロピル又はパーフルオロブチルである。
【0014】
−C12アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−メチル−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル又はドデシルである。
【0015】
−C12シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロプロピル-メチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシル-メチル、トリメチルシクロヘキシル、ツジル、ノルボルニル、ボルニル、ノルカリル、カリル、メンチル、ノルピニル(norpinyl)、ピニル(pinyl)、1-アダマンチル又は2-アダマンチルである。
【0016】
−C12アルケニルは、例えば、ビニル、アリル、2-プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−2−イル、2−メチル−1−ブテン−3−イル、2−メチル−3−ブテン−2−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、1,4−ペンタジエン−3−イル、又はヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニルもしくはドデセニルのいずれかの所望の異性体である。
【0017】
−C12シクロアルケニルは、例えば、2-シクロブテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、1−p−メンテン−8−イル、4(10)−ツジェン−10−イル、2−ノルボルネン−1−イル、2,5−ノルボルナジエン−1−イル、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イル又はカンフェニルである。
【0018】
−C12アルキニルは、例えば、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、cis−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、trans−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イル又は1−ドデシン−12−イルである。
【0019】
7−C12アラルキルは、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、9−フルオレニル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ペンチル又はω−フェニル−ヘキシルである。C−C12アラルキルが置換される場合、アラルキル基のアルキル部分又はアリール部分のいずれかが置換され得る。
【0020】
−C12アリールは、例えば、フェニル、ナフチル又は1−ビフェニルである。
【0021】
ハロゲンは、例えば、F、Cl、Br又はJ、有利にはアルキル上のF及びアリール上のCl又はBrである。
【0022】
複素環式基は例えば、
【化7】

である。
【0023】
有利には、R、R及びRのうち1つ又は2つはHであり、R及びRは両方ともHである。更に有利には、R、R及びRの1つはSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112、特に有利にはCONR1112又はSONR1112である。
【0024】
有利には、R、R、R、R、R13、R14及びR15はSO10、SONR1112、NO、C−C12アルキル、Cl、F又はH、特に有利にはSONR1112又はHである。
【0025】
上述の選択とは無関係に又はそれらと組み合わせて、R10、R11又はR12は有利にはヒドロキシ基、例えば、1、2又は3ヒドロキシ基を含む。
【0026】
式(I)又は(II)の好適な化合物は例えば、
【化8】

である。
【0027】
式(I)又は(II)の化合物は、例えば、1−又は2−ハロゲン化アントラキノンとチオフェノール誘導体との反応によって適切に製造される。それらは一般的に異常な温度特性を示しており、これは液晶の特性を示す(Liquid Crystals 27/8, 1075-1085 [2000])。
【0028】
顔料は無機顔料又は有利には有機顔料であってよい。有機顔料は、例えば、アンタントロン、アントラピリミジン、アミノアントラキノン、アゾ、例えば、モノアゾ、ジサゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、レーキ化(laked)アゾ、アゾ縮合、ベンゾイミダゾロン又は金属錯体、例えば、金属−錯体アゾ、アゾメチン、塩基性染料錯体、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、フラバントロン、ヒドロキシアントラキノン、インダントロン、インジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ニトロ、フタロシアニン、ペリノン、ペリレン、プテリジン、ピラントロン、キナクリドン、キノリン、キノフタロン、チオインジゴ及びトリアリール−カルボニウム顔料を含むが、これらに限定されない。顔料の混合物もまた使用してよい。全てのこれらの有機顔料についての更なる詳細の場合、Industrial Organic Pigments, W. Herbst, K. Hunger, 2nd edition, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, 1997が言及されている。
【0029】
式(I)又は(II)の化合物との組み合わせに有用な顔料は、特に、カラーインデックスピグメントイエロー3、7、12、13、14、17、24、34、42、53、62、74、83、93、95、108、109、110、111、119、123、128、129、138、139、147、150、164、168、173、174、180、184、188、191、191:1、191:2、193、199、ピグメントオレンジ5、13、16、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73、ピグメントレッド2、4、5、23、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、101、104、112、122、144、146、149、166、168、177、178、179、181、184、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、254、255、262、264、270、272、282、283、ピグメントブラウン23、24、33、42、43、44、ピグメントバイオレット19、23、29、31、37、42、ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、28、29、60、64、66、80、ピグメントグリーン7、17、36、37、50、3,6−ジ(3’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3−フェニル−6−(4’−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン又はバットレッド74である。
【0030】
特に、その可視光吸収の最大が400nmから500nmまでの範囲及び/又は600nmから700nmまでの範囲の顔料が有利である。可視光範囲は400から700nmまでである。最も有利には顔料は緑色顔料、特にハロゲン化フタロシアニン顔料、特にカラーインデックスピグメントグリーン7、17、36及び/又は37である。しかしながら、顔料を使用することも好適であり、その可視光吸収の最大は500から570nmの範囲であり、この場合、赤色顔料の色相角度hはより高い値(CIE−Lh色空間)にシフトする。
【0031】
当該組成物は有利には以下に記載されたフォトレジスト、例えば、光開始剤及び重合性モノマーを更に含む。
【0032】
従って、本発明は更に、99:1から10:90までの質量比で、有利には95:5から30:70までの質量比で、平均粒度10nmから200nmまでの顔料と式(I)又は(II)の化合物を含む0.1から70質量%までの着色剤、並びにバインダー又は重合性化合物を含む液体媒体を含む組成物に関する。
【0033】
1−又は2−フェニルチオ−アントラキノン染料は、純粋な化合物として、又は場合により異なる構造の複数の1−及び/又は2−フェニルチオ−アントラキノン染料の混合物、例えば、異性体又は同族体の混合物として使用できる。顔料混合物はまた純粋な顔料の代わりに使用できる。顔料を分散させるために使用された液体の溶解性に応じて、1−又は2−フェニルチオ−アントラキノン染料は分散時にそこに部分的に又は完全に溶解し得る。
【0034】
式(I)又は(II)の幾つかの化合物は特に有利且つ新規である。
【0035】
従って、本発明はまた式(I)で示され、その式中、R、R及びRのうち少なくとも1つがSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112であるか、又はR、R、R及びRのうち少なくとも1つがSONR1112である化合物(但し、該化合物は式
【化9】

のものではない)、
又は式(II)で示され、その式中、R、R及びRのうち少なくとも1つがSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112であるか、又はR、R、R及びRのうち少なくとも1つがSONR1112である化合物(但し、該化合物は式
【化10】

のものではない)に関する。SONR1112によって置換された化合物(式中、R、R、R、R、R、R及びRはSONHではない)が有利である。
【0036】
本発明はまた式
【化11】

(式中、R、R及びRのうち少なくとも1つがSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN又はCOR10であるか、又はR、R及びRのうち少なくとも1つがSONR1112であるが、但しRはSONHではない)の化合物に関する。式(III)又は(IV)において、有利にはR、R、R、R及びRはSONHではない。
【0037】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物はまた、公知の着色用に、例えば、布地、紙又は他の材料上での溶媒又は分散染料として、又は印刷インク、プラスチック及び塗料中の着色剤として使用してよい。
【0038】
好ましい適用は、顔料を含む高分子量の有機材料の色を強化又は改変するための、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物の使用である。
【0039】
高分子量の有機材料は、天然又は合成(例えば、ポリマー)由来であり且つ通常10〜10g/molの範囲の分子量を一般的に有する。それらは繊維、表面被覆組成物(自動車分野用のものを含む、特殊効果の仕上げを含む)及び印刷インクの形態であってよく、又は有利にはいわゆるレジスト(例えば、カラーフィルター用)又はトナーとしての形態であってよい。かかる使用は当業者に明白であり、ここでそれらの一覧表を省くことが可能である。それらは多くの特許明細書及び技術的な研究、例えば、"Industrielle Organische Pigmente"(W. Herbst + K. Hunger, VCH Weinheim/ニューヨーク、引き続き独語及び英語で刊行された新版)にも開示されている。
【0040】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物並びに顔料を含む、着色剤の全量は、適切には着色剤及び高分子量の有機材料を基準として、0.01〜75質量%である。着色された高分子量の有機材料において、例えば、パターン形成されたカラーフィルターのピクセル、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物及び顔料は、好適には99:1〜10:90の質量比で、有利には95:5〜30:70の質量比である。
【0041】
式(I)の1−フェニル−アントラキノン染料又は式(II)の2−フェニル−アントラキノン染料は、パターン形成されたカラーフィルターを製造するためにフォトレジストと一緒に使用してよく、着色剤のみとして又は慣用の他の着色剤(例えば、上で開示された染料又は顔料)、特にハロゲン化銅フタロシアニンと組み合わせてのいずれかで使用してよい。
【0042】
従って、本発明はまた透明基板及びその上に1つ以上の層を含むカラーフィルターに関し、少なくとも1つの層はパターン形成された層であり、そのパターンは式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物及び有利には顔料を含む。有利には、顔料及び式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物は一緒に同じ層のパターンに含まれる。しかしながら、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物及び顔料が同じパターンを示す2つの異なる層に存在することも可能であり、それらの着色された領域が同じピクセルで、有利には隣接の層で一致するように重ね合わされる。
【0043】
多層構造の層の数は本発明の目的とは無関係である。一般的に、多層構造は2〜25層、特に3〜10層を基板上に含む。これらの層は、特に着色された、黒色の又は電気的に切り替え可能な層の場合、パターン形成されてよく、又は特に任意の中間体及び/又は保護層の場合、均一であってよい。種々の型の色フィルターの構造は、本発明が適切である全ての型において、当技術分野で公知である。
【0044】
従って、本発明は更に、99:1〜10:90の質量比で、有利には95:5〜30:70の質量比で、平均粒度10〜200nmの顔料と式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物を含む0.1〜70質量%の着色剤、並びにバインダー又は重合性化合物を含む液体媒体を含む組成物に関する。
【0045】
本発明は最終的に、カラーフィルターの製造方法であって、99:1〜10:90の質量比で、有利には95:5〜30:70の質量比で、平均粒度10〜200nmの顔料及び式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物を含む0.1〜70質量%の着色剤、並びにバインダー又は重合性化合物を含む液体媒体を含む組成物を、場合によりパターン形成された又はパターン形成されていない層をその上に含む透明基板上に適用し、該組成物を乾燥及び/又は硬化させてパターン形成された層を得る、カラーフィルターの製造方法に関する。
【0046】
乾燥、パターン形成及び硬化方法は当該技術分野で公知であるが、それにもかかわらず説明するために以下に更に詳細に記載されている。
【0047】
本発明はまた特にカラーフィルター中の当該顔料組成物の使用に関し、これらは例えば、TV画面、コンピュータ画面、携帯電話画面、ナビゲーションシステム、電子アジェンダ、電荷結合素子、カメラ、カラーコピー、CMOS、液晶ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイ又はエレクトロルミネッセンスディスプレイ等の電気光学システムにおいて使用してよい。これらは、例えば、能動型(ツイステッドネマティック)又は受動型(スーパーツイステッドネマティック)強誘電性ディスプレイ又は発光ダイオードであってよい。
【0048】
本発明の着色剤又は着色剤組成物は一般的に有機溶媒又は水の溶液又は分散液としてカラーフィルターの製造に使用される。これらのカラーフィルターを製造するために複数の方法が存在しており、これらは2つの主流に従う:
・塗布中の直接的なパターン形成
・着色剤を塗布した後のパターン形成
【0049】
直接的なパターン形成は、衝撃型(オフセット、フレキソグラフィー、スタンピング、活版印刷等)並びに非衝撃型(インクジェット技術)などの複数の印刷技術によって得られる。
【0050】
他の直接的なパターン形成技術は、積層プロセス、電着のような電子放電プロセス及びいわゆるChromalin(商標)プロセス(DuPont)のような幾つかの特殊な着色防止方法に基づく。
【0051】
衝撃印刷技術の場合、分散剤及びポリマーバインダーの存在下で標準的な解凝集方法(Skandex、Dynomill、Dispermat等)によって着色剤を水又は有機溶媒中に溶解又は分散させてインクを製造してよい。溶媒、分散剤及びバインダーの選択を含む、この分野で公知の分散技術を使用してよい。インクの種類及びその粘度は塗布法に依存し且つ当業者に公知である。最も一般的なバインダーは、(メタ)アクリレート類、エポキシ類、PVA、ポリアミド類、ノボラック系及び類似物並びにこれらのポリマーの組み合わせであるが、本発明はもちろんこれらに限定されない。
【0052】
従ってインク分散液は全ての種類の標準的な印刷機上で印字させることができる。バインダー系の硬化は有利には加熱工程によって達成される。3色を同時に塗布するか又は中間の乾燥及び/又は硬化工程を用いて、例えば、3つの印刷工程中のある時間に1色を用いる異なる印刷工程で塗布してよい。
【0053】
インクジェット、例えば、ピエゾ又はバブルジェットに使用するためのインクも同様に製造できる。それらは一般的に水及び/又は1種の親水性有機溶媒又は多くの親水性有機溶媒の混合物中に溶解又は分散された着色剤を、分散剤及びバインダーと組み合わせて含有する。
【0054】
インクジェット印刷の場合、標準的なインクジェットプリンターを使用するか又は例えば、印刷速度等を最適化するために専用プリンターを造ってよい。
【0055】
熱転写及び類似物のような積層技術の場合、網目構造を作らなければならない:着色剤を分散剤及びバインダーによって溶媒又は水中に分散させ且つホイル上に被覆して乾燥させる。着色剤/バインダーシステムは、エネルギー(UV、IR、熱、圧力等)を用いてパターン通りに又は均一にカラーフィルター基板に転写させる。使用された技術に応じて、着色剤を例えば単独で転写(染料拡散又は昇華転写)させるか、又は着色剤分散液をバインダーを含めて全て転写(ワックス転写)させてよい。
【0056】
電着の場合、着色剤はイオン化ポリマーと一緒に水中に分散させなければならない。イオン化ポリマーは、電流を用いてアノード又はカソードで脱イオン化されると不溶性になり、従って顔料と一緒に堆積する。これはITO等の(透明)光導電体上でなされてよく、該光導電体はフォトレジストによってパターン形成されるか又はパターン通りに保護される。
【0057】
Chromalin(商標)プロセスは、カラーフィルター基板上に堆積した感光材料を使用する。この材料はUV曝露時に粘着性になる。いわゆる「トナー」は、混合物又は着色剤の化合物及びポリマーを含み、基板上に分布し且つ粘着性の部分に粘着する。このプロセスはR、G、Bそして最後には黒色のために3〜4回なされなければならない。
【0058】
塗布後のパターン形成は主として公知のフォトレジスト技術に基づく方法であり、その際、着色剤はフォトレジスト組成物中に分散される。他の方法は別個のフォトレジスト又は積層技術を利用する間接的なパターン形成である。
【0059】
着色剤は、印刷プロセスについて上述された標準的な方法によってフォトレジスト中に溶解又は分散させてよい。バインダーシステムもまた同一であってよい。更なる好適な組成物は例えば、EP0654711号、WO98/45756号又はWO98/45757号に記載されている。
【0060】
フォトレジストは光開始剤及び多架橋性モノマー(ネガティブラジカル重合)、ポリマー自体を架橋する材料(例えば、光酸発生剤又は同種のもの)又はある現像媒体中のポリマーの溶解性を化学的に変化させる材料を含む。しかしながら、このプロセスはUVの代わりに熱(例えば、温度アレイ又はNIR光線を使用する)を用いて行うこともできる。加熱時に化学変化を受けるいくつかのポリマーの場合、上述の発現媒体中の溶解性が変化する。従って光開始剤は必要とされない。
【0061】
感光性材料又は顕熱材料はカラーフィルター基材上で被覆され、乾燥及びUV(又は熱)照射され、時には再び焼付けられて(光酸発生剤)、現像媒体(主に塩基)によって現像される。この最後の工程で、非露光(ネガティブ系)部分のみ又は露光(ポジティブ系)部分のみを洗い流すと、所望のパターンが得られる。この操作は使用された全ての色について繰り返されなければならない。
【0062】
感光性積層技術は同じ原理を使用しており、被覆技術のみ異なる。しかしながら、網の上ではカラーフィルター基材の代わりに感光性系が上述のように適用される。ホイルをカラーフィルター基材上に置いて、感光性層は熱及び/又は圧力によって転写される。
【0063】
間接的なプロセスにおいて、感光性成分を用いずに上述のポリマーバインダーを用いて、着色されたレジストの上面に被覆された、過剰なフォトレジストを使用する。フォトレジストのパターン形成の間に、着色されたレジストもまたパターン形成される。フォトレジストは後に除去されなければならない。
【0064】
カラーフィルターの製造についての更なる詳細は、テキスト・ブック、評論及び他の化学論文中に見出すことができる。当業者は本発明をかかる公知の技術の使用にも関連させる。
【0065】
例えば、これはもちろん決して限定的ではなく、実質的に無色のメタクリル樹脂は一般にカラーフィルター中で使用されており、当業者に公知のそれらの例はM30’000〜60’000のメタクリル酸との芳香族メタクリル酸エステルのコポリマーである。かかる樹脂はスピンコーティングによるフィルムの製造に高度に適する。
【0066】
本発明のカラーフィルターは、本発明の着色剤組成物を、上記着色剤を含む層の全質量を基準として、1〜75質量%、有利には5〜50質量%、特に有利には25〜40質量%の濃度で適切に含有する。
【0067】
従って、本発明は同様に透明基材と、上記着色剤を含む層の全質量を基準として、1〜75質量%、有利には5〜50質量%、特に有利には25〜40質量%の、本発明の着色剤組成物又は高分子量の有機材料中に分散された上記組成物の個々の成分を含む層とを含むカラーフィルターを提供する。基材は有利には殆ど無色である(可視光範囲400〜700nm全体にわたりT≧95%)。
【0068】
カラーフィルターを製造するための当該印刷インク又はフォトレジストは、本発明の着色剤又は着色剤組成物を、印刷インク又はフォトレジストの全質量を基準として、0.01〜40質量%、有利には1〜25質量%、特に有利には5〜10質量%の濃度で適切に含有する。
【0069】
従って本発明は同様に組成物の全質量を基準として、0.01〜40質量%、有利には1〜25質量%、特に有利には5〜10質量%の、そこに分散された本発明の着色剤又は着色剤組成物を含むカラーフィルターを製造するための組成物を提供する。
【0070】
この着色剤組成物もまた異なる構造の他の着色剤を追加的に含有してよい。追加的な成分は、それ自体の色相に応じて混合物のスペクトルを浅色に又は深色にシフトさせる。当業者は、所望の色に応じて、どの着色剤を追加的に使用できるか、そしてその量を彼ら自身で正しく認識している。
【0071】
ある場合には、混合物中で本発明の組成物を使用すること又は例えば、湿潤剤、界面活性剤、脱泡剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、可塑剤、又は一般的なテクスチャー改良剤などの他の添加剤と組み合わせて使用することが有利である。一般的にかかる添加剤は、(a)、(b)及び(c)の全質量を基準として、約0.1〜25質量%、有利には約0.2〜15質量%そして最も有利には約0.5〜8質量%の濃度で使用できる。
【0072】
界面活性剤は一般的に銅フタロシアニン顔料などの不溶性成分を分散させるために使用される。それらはまた、例えば、低い溶解度の当該アントラキノン染料と共に使用してもよい;しかしながら、全ての着色剤を全体的に溶解させる際、ばらつき及び低コントラストを引き起こし得るため、一般的に界面活性剤を使用しないことが賢明である。カチオン、アニオン、両性、両性イオン性又は中性非イオン性の界面活性剤は当業者に非常に良く知られている。好適な界面活性剤として、例えば、アニオン性界面活性剤、例えば、アルキルベンゼン−又はアルキルナフタレン−スルホネート、アルキルスルホスクシネート又はナフタレンホルムアルデヒドスルホネート;カチオン性界面活性剤、例えば、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリドなどの4級塩;又は非イオン性もしくは両性の界面活性剤、例えば、それぞれポリオキシエチレン界面活性剤及びアルキル−もしくはアミドプロピルベタインが挙げられる。優れた着色剤分散液及び特に高度に透明なカラーフィルターをもたらす、最も有利な界面活性剤は、EFKA(登録商標)3440(CIBA Specialty Chemicals社製)である。
【0073】
好適なテクスチャー改良剤は、例えば、ステアリン酸又はベヘン酸などの脂肪酸、及びラウリルアミン及びステアリルアミンなどの脂肪アミンである。追加的に、脂肪アルコール又はエトキシル化脂肪アルコール、ポリオール、例えば、脂肪族1,2−ジオール又はエポキシ化大豆油、ワックス、樹脂酸及び樹脂酸塩はこの目的のために使用してよい。
【0074】
好適なUV安定剤は、例えば、商標名TINUVIN(登録商標)又はCIBA(登録商標)Fast H Liquidの下で知られた公知のベンゾトリアゾール誘導体、アリールスルホン化ベンゾトリアゾールであり、両方ともCIBA Specialty Chemicals社の製品である。
【0075】
当業者は明らかにインク、塗料及びポリマーなどの着色剤が使用される全ての分野において、他の多くの可能な用途が存在することを認識している。当該着色剤又は着色剤組成物は、単独で又は微細なもしくは透明な顔料と組み合わせて特に有用であることが分かる。熱的色安定性が問題である場合には、はるかに良い結果が得られるとの合理的な予想があるならば、当該組成物の使用によってこれを解決しようと試みることは価値がある。典型的な例はコイル及び粉末塗料、押出された又は射出成形されたエンジニアリングプラスチック並びに溶融紡糸繊維であり、このリストは網羅していないことが自明である。
【0076】
上述の及び他の方法によるカラーフィルターの製造のために使用される材料は、当技術分野において公知である。
【0077】
例えば、アルカリ可溶性であるバインダー、有利には有機溶媒中に可溶であり且つ弱アルカリ水溶液により現像可能である線状有機ポリマーを使用してよい。カラーフィルターレジスト組成物で使用される係るバインダーとして、アルカリ性水溶液に溶解性の及び水に不溶の、分子中に1つ以上の酸基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物のホモポリマー、又はそれらの2種以上のコポリマー、及びこれらの化合物と共重合性の1つ以上の不飽和結合を有し且つ酸基を含有しない1種以上の重合性化合物のコポリマーを使用することができる。かかる化合物は、分子中に1つ以上の酸基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する1種以上の低分子化合物と、これらの化合物と共重合可能であり且つ酸基を含有しない1つ以上の不飽和結合を有する1種以上の重合性化合物との共重合によって得られる。酸基の例は−COOH基、−SONHCO−基、−SOH基、フェノール性ヒドロキシ基、−SONH−基、及び−CO−NH−CO−基である。それらのうち、−COOH基を有する高分子化合物は特に有利である。
【0078】
有利には、カラーフィルターレジスト組成物中の有機ポリマーバインダーは、アルカリ可溶性コポリマーを含み、これは追加の重合性モノマー単位として、少なくとも1種の不飽和有機酸化合物、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などを含む。アルカリ性溶解度、粘着堅固性、耐薬品性などの特性の均衡を保つために、ポリマーバインダーのための更なるコモノマーとして、不飽和有機酸エステル化合物、例えば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン等を使用することが有利である。
【0079】
有機ポリマーバインダーは例えば、US−5,368,976号に記載された、ランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれかであってよい。
【0080】
本発明によるカラーフィルターの製造に好適な重合性化合物もまた当技術分野において公知である。それらは例えば、分子中に1つ以上の酸基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有してよい。
【0081】
分子中に1つ以上の−COOH基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例は、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシナート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アジパート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヘキサヒドロフタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]マレアート、モノ−[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]スクシナート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アジパート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]フタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]ヘキサヒドロフタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]マレアート、モノ[2−(メタ)−アクリロイルオキシブチル]スクシナート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]アジパート、モノ−[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]フタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]ヘキサヒドロフタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]マレアート、3−(アルキルカルバモイル)アクリル酸、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、モノエステル化マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、マレイン酸無水物、及びω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリラートである。
【0082】
ビニルベンゼンスルホン酸及び2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は、1つ以上の−SOH基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例である。
【0083】
N−メチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−エチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル−スルホニル(メタ)アクリルアミド、及びN−(p−メチルフェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミドは、1つ以上の−SONHCO基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例である。
【0084】
分子中に1つ以上のフェノール性ヒドロキシ基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例として、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ−フェニル−カルボニルオキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシフェニルチオエチル(メタ)アクリラート、ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチル(メタ)−アクリラート、ジヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリラート、及びジヒドロキシ−フェニルチオエチル(メタ)アクリラートが挙げられる。
【0085】
分子中に1つ以上の−SONH−基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例として式(a)又は(b):
CH=CHA−Y−A−SO−NH−A (a)
CH=CHA−Y−A−NH−SO−A (b)
(式中、Y及びYはそれぞれ−COO−、−CONA−、又は単結合を表し;A及びAはそれぞれH又はCHを表し;A及びAはそれぞれC−C12アルキレン(場合により置換基を有する)、シクロアルキレン、アリーレン、又はアラルキレン、又はC−C12アルキレン(該基中にエーテル基及びチオエーテル基が挿入される)、シクロアルキレン、アリーレン、又はアラルキレンを表し;A及びAはそれぞれH、C−C12アルキル(場合により置換基を有する)、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し;そしてAはH、C−C12アルキル(場合により置換基を有する)、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)
によって表される化合物が挙げられる。
【0086】
1つ以上の−CO−NH−CO−基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物としてマレイミド及びN−アクリロイル−アクリルアミドが挙げられる。これらの重合性化合物は、−CO−NH−CO−基を含む高分子化合物になり、その際、環は重合によって第一級の鎖と共に形成される。更に、−CO−NH−CO−基をそれぞれ有するメタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体も同様に使用してよい。かかるメタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体として、例えば、メタクリルアミド誘導体、例えば、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−ブタノイルメタクリルアミド、N−ペンタノイルメタクリルアミド、N−デカノイルメタクリルアミド、N−ドデカノイルメタクリルアミド、N−ベンゾイルメタクリルアミド、N−(p−メチルベンゾイル)メタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド、N−(ナフチル−カルボニル)−メタクリルアミド、N−(フェニルアセチル)−メタクリルアミド、及び4−メタクリロイルアミノ−フタルイミド、及びこれらと同じ置換基を有するアクリルアミド誘導体が挙げられる。これらの重合性化合物が重合すると側鎖に−CO−NH−CO−基を有する化合物になる。
【0087】
1つ以上の重合性不飽和結合を有し且つ酸基を含有しない重合性化合物の例として、(メタ)アクリル酸のエステル、例えば、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)−アクリラート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート、ベンジル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、グリセリンモノ(メタ)アクリラート、ジヒドロキシプロピル(メタ)−アクリラート、アリル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、フェニル(メタ)アクリラート、メトキシフェニル(メタ)アクリラート、メトキシエチル(メタ)アクリラート、フェノキシエチル(メタ)−アクリラート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリラート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)−アクリラート、メトキシプロピル(メタ)アクリラート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリラート、イソボルニルメタ(アクリラート)、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピル(メタ)アクリラート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリラート、アミノエチル(メタ)アクリラート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、アミノプロピル(メタ)アクリラート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、グリシジル(メタ)アクリラート、2−メチル−グリシジル(メタ)アクリラート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリラート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)−アクリラート;ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニル−トルエン、p−クロロスチレン、ポリクロロスチレン、フルオロスチレン、ブロモスチレン、エトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシ−スチレン、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデン、1−メチル−インデン;ビニル又はアリルエステル類、例えば、ビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニルピバラート、ビニルベンゾアート、ビニルトリメチルアセタート、ビニルジエチルアセタート、ビニルボラート、ビニルカプロアート、ビニルクロロアセタート、ビニルジクロロアセタート、ビニルメトキシ−アセタート、ビニルブトキシアセタート、ビニルフェニルアセタート、ビニルアセタート、ビニルアセトアセタート、ビニルラクタート、ビニルフェニルブチラート、ビニルシクロヘキシルカルボキシラート、ビニルサリチラート、ビニルクロロベンゾアート、ビニルテトラクロロベンゾアート、ビニルナフトアート、アリルアセタート、アリルプロピオナート、アリルブチラート、アリルピバラート、アリルベンゾアート、アリルカプロアート、アリルステアラート、アリルアセトアセタート、アリルラクタート;ビニル又はアリルエーテル類、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、ビニルオクチルエーテル、ビニルエチルヘキシルエーテル、ビニルメトキシエチルエーテル、ビニルエトキシエチルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、ビニルヒドロキシエチルエーテル、ビニルエチルブチルエーテル、ビニルヒドロキシエトキシエチルエーテル、ビニルジメチルアミノエチルエーテル、ビニルジエチルアミノエチルエーテル、ビニルブチルアミノエチルエーテル、ビニルベンジルエーテル、ビニルテトラヒドロフルフリルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、ビニルジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントリルエーテル、アリルグリシジルエーテル;アミド型不飽和化合物、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジフェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)−アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘプチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドシクロヘキシル、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N−ナフチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルフェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド及びN−(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシアクリルアミド;ポリオレフィン型化合物、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等;(メタ)アクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニル−マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−アルキルマレイミド、マレイン酸無水物、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチル(メタ)アクリラートマクロモノマー、ポリブチル(メタ)アクリラートマクロモノマー;クロトネート類、例えば、ブチルクロトネート、ヘキシルクロトネート、グリセリンモノクロトネート;及びイタコネート類、例えば、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート;及びマレアート類又はフマレート類、例えば、ジメチルマレアート、ジブチルフマレートから選択された、重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。
【0088】
有利なコポリマーの例は、メチル(メタ)アクリラート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、メチル(メタ)アクリラート/、エチル(メタ)アクリラート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートのコポリマー、メチル(メタ)アクリラート/、ブチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー、メチル(メタ)アクリラート、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)クリル酸及びヒドロキシフェニル(メタ)アクリラートのコポリマー、メチル(メタ)アクリラート、(メタ)クリル酸及びポリメチル(メタ)アクリラートマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)クリラート、(メタ)クリル酸及びポリメチル(メタ)アクリラートマクロモノマーのコポリマー、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート、スチレン及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、メチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリラート及びポリメチル(メタ)アクリラートマクロモノマーのコポリマー、メチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)クリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート及びポリメチル(メタ)アクリラートマクロモノマーのコポリマー、N−フェニルマレイミド、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)クリル酸及びスチレンのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシナート及びスチレンのコポリマー、アリル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシナート及びスチレンのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、グリセリンモノ(メタ)アクリラート及びスチレンのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリラート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、グリセリンモノ(メタ)アクリラート及びスチレンのコポリマー、及びベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、N−シクロヘキシルマレイミド及びスチレンのコポリマーである。
【0089】
ヒドロキシスチレンホモ−もしくはコポリマー又はノボラック型フェノール樹脂、例えば、ポリ(ヒドロキシスチレン)及びポリ(ヒドロキシスチレン−コ−ビニルシクロヘキサノール)、ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、及びハロゲン化フェノールノボラック樹脂も同様に使用してよい。更に詳細には、それらは例えば、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、イタコン酸コポリマー、クロトン酸コポリマー、無水マレイン酸コポリマー、例えば、コモノマーとしてのスチレンとの無水マレイン酸コポリマー、及びマレイン酸コポリマー、及び部分的にエステル化されたマレイン酸コポリマーを含み、それぞれ、例えば、JP−B−S59/44615号、JP−B−S54/34327号、JP−B−S58/12577号、JP−B−S54/25957号、JP−A−S59/53836号、JP−A−S59/71048号、JP−A−S60/159743号、JP−A−S60/258539号、JP−A−H01/152449号、JP−A−H02/199403号及びJP−A−H02/199404号に記載されており、それらのコポリマーは、例えば、US−5,650,263号に開示された、アミンと更に反応できる;更に、側鎖にカルボキシル基を有するセルロース誘導体が使用でき、特に、ベンジル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー並びにベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及び他のモノマーのコポリマーが有利であり、例えば、US−4,139,391号、JP−B−S59/44615号、JP−A−S60/159743号及びJP−A−S60/258539号に記載される。
【0090】
上述の有機バインダーポリマーの中でカルボン酸基を有するものに関して、感光性、塗膜強度、塗料溶媒及び耐薬品性及び基材への付着を改良するために、幾つかの又は全てのカルボン酸基をグリシジル(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートと反応させて光重合性有機バインダーポリマーを得ることが可能である。例はJP−B−S50/34443号及びJP−B−S50/34444号、US−5,153,095号、US−5,650,233号及びUS−5,677,385号、並びにT. KudoらによってJ. Appl. Phys., 第37巻(1998年), 第3594-3603頁に開示されている。上述の全ての特許及び特許出願の全内容は参照により本明細書に含まれる。
【0091】
これらの種々のアルカリ可溶性バインダーの中で、アクリル酸ホモ−及びコポリマー並びにメタクリル酸ホモ−及びコポリマーが特に有利である。
【0092】
バインダーの質量平均分子量は、有利には500〜1’000’000、例えば、3’000〜1’000’000、更に有利には5’000〜400’000である。
【0093】
染料含有硬化性樹脂組成物中のアルカリ可溶性バインダーの含有率は、染料含有硬化性樹脂組成物の全固体含有率を基準として、有利には10〜90質量%、更に有利には20〜80質量%、そして特に有利には30〜70質量%である。
【0094】
光重合可能なビニル化合物もまた当業者に公知である。これらのモノマーは少なくとも1つのエチレン性二重結合を含有し且つ通常100℃以上の沸点を有する。
【0095】
好適な光重合性ビニル化合物の例は、ポリエチレングリコールモノアクリラート、ポリエチレングリコールモノメタクリラート、ポリプロピレングリコールモノアクリラート、ポリプロピレングリコールモノメタクリラート、フェノキシエチルアクリラート、フェノキシエチルメタクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジメタクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールトリメタクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ペンタエリトリトールテトラメタクリラート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラート、ジペンタエリトリトールペンタメタクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリラート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌラートである。有利な光重合性ビニル化合物はジペンタエリトリトールペンタアクリラート及びジペンタエリトリトールペンタメタクリラートである。
【0096】
着色剤含有硬化性組成物中のかかる光重合性ビニル化合物の全含有率は、それらの材料によって変わる限り、一般的に、組成物の固体含有率を基準として、5〜70質量%、有利には5〜50質量%、そして特に有利には7〜30質量%である。
【0097】
好適な光開始剤もまた当業者に公知であり且つ有利にはハロメチルオキサジアゾール類、ハロメチル−s−トリアジン類、3−アリール−置換クマリン類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体、オキシムエステル類及びオキシム類から選択される。
【0098】
好適な光開始剤は、例えば、GB−2,339,571号、US−6,485,885号、GB−2,358,017号、GB−2,357,293号、WO−02/100903号、J. Photopolym. Sci. Technol. 15, 51-57 (2002), IP. com. Journal IPCOM 000012462D, 3(6), 101-109 (2003)、US−2004/0102548号、US−2004/0102673号、PCT/EP2006/068202号及びPCT/EP2006/068254号に記載されている。
【0099】
有利な光開始剤は式
【化12】

(式中、R24、R25及びR26は互いに無関係に、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロゲンアルキル、C−C−アルコキシ、塩素又はN(C−C−アルキル)であり;R27は水素、C−C−アルキル、C−C−ハロゲンアルキル、フェニル、N(C−C−アルキル)、COOCH
【化13】

であり且つnは2〜10である)
のベンゾフェノン類である。
【0100】
特殊な例はLamberti(2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノンの混合物)及びDAROCUR(登録商標)BP(ベンゾフェノン)から入手可能なESACURE TZT(登録商標)である。
【0101】
更に有利な光開始剤は、式
【化14】

(式中、R28は水素又はC−C18−アルコキシであり;R29は水素、C−C18−アルキル、C−C12ヒドロキシアルキル、C−C18−アルコキシ、−OCHCH−OR33、モルホリノ、C−C18アルキル−S−、基HC=CH−、HC=C(CH)−、
【化15】

であり、a、b及びcは1−3であり;nは2−10であり;G及びGは互いに無関係にポリマー構造の末端基、有利には水素又はメチルであり;R30はヒドロキシ、C−C16−アルコキシ、モルホリノ、ジメチルアミノ又は−O(CHCHO)−C−C16−アルキルであり;R31及びR32は互いに無関係に水素、C−C−アルキル、C−C16−アルコキシ又は−O(CHCHO)−C−C16−アルキルであり;又は非置換のフェニル又はベンジル;又はC−C12−アルキルで置換されたフェニル又はベンジルであり;又はR31及びR32はそれらが結合された炭素原子と一緒にシクロヘキシル環を形成し;mは1−20であり;但し、R30、R31及びR32は全てC−C16−アルコキシ又は−O(CHCHO)−C−C16−アルキルと一緒ではなく;且つR33は水素、
【化16】

である)のアルファ−ヒドロキシケトン、アルファ−アルコキシケトン又はアルファ−アミノケトンである。
【0102】
特殊な例は1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンと、ベンゾフェノン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、
【化17】

Fratelli Lambertiによって提供されたESACURE(登録商標)KIP及び2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オンとの混合物である。
【0103】
更に有利な光開始剤は式
【化18】

(式中、R34及びR35は互いに無関係に非置換のC−C20−アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリル;又はハロゲン、C−C12−アルキル、C−C12−アルコキシ、C−C12アルキルチオ又はNR3738によって置換されたC−C20−アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり、又はR34及びR35は互いに無関係に−(CO)R36であり;R37及びR38は互いに無関係に水素、非置換のC−C12−アルキル又はOH又はSHによって置換されたC−C12−アルキルであり、その際、アルキル鎖は1〜4個の酸素原子によって中断されてよく;又はR37及びR38は互いに無関係にC−C12−アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルであり;R36は非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり、又はハロゲン、C−C−アルキル及び/又はC−C−アルコキシによって置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;又はR36はS原子又はN原子を有する5−又は6−員の複素環である)のアシルホスフィンオキシドである。それらの特殊な例は、ビス(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−エトキシ−ホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドである。
【0104】
更に有利な光開始剤は式
【化19】

(式中、R39及びR40は互いに無関係にシクロペンタジエニル(場合によりC−C18−アルキル、C−C18−アルコキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル又はハロゲンによってモノ−、ジ−、又はトリ−置換される)であり;R41及びR42はフェニル(Ti−C結合に対してオルト位で少なくとも1つのF又はCF置換基を有し且つ少なくとも1つの更なる置換基を有し、該基は非置換のピロリニル又はポリオキサアルキルであるか又は該基は1つ又は2つのC−C12−アルキル、ジ(C−C12−アルキル)アミノメチル、モルホリノメチル、C−C−アルケニル、メトキシメチル、エトキシメチル、トリメチルシリル、ホルミル、メトキシ又はフェニルによって置換されたピロリニル又はポリオキサアルキルである)であり;又はR41及びR42
【化20】

であり;
はO、S、又はNR46であり;R43、R44及びR45は互いに無関係に水素、ハロゲン、C−C12アルケニル、C−C12アルコキシ、1〜4個の酸素原子によって中断されたC−C12−アルコキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、非置換のフェニルもしくはビフェニル又はC−C−アルコキシ、ハロゲン、フェニルチオもしくはC−C−アルキルチオによって置換されたフェニルもしくはビフェニルであるが、但しR43及びR45は共に水素ではなく、残基
【化21】

に関して、少なくとも1つの置換基R43又はR45はC−C12アルコキシ又は1〜4個の酸素原子によって中断されたC−C12アルコキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、フェノキシ又はベンジルオキシであり;且つR46はC−Cアルキル、フェニル又はシクロフェニルである)のチタノセンである。それらの特殊な例は、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)−チタン及びビス(2,6−ジフルオロフェニル)−ビス[(1,2,3,4,5−η)−1−メチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル]−チタンである。
【0105】
更に有利な光開始剤は式
【化22】

(式中、R47はH、C−C12−アルキル又は
【化23】

であり;
48、R49、R50、R51及びR52は互いに無関係に水素、非置換のC−C12−アルキル又はOH、C−C−アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン又はCNによって置換されたC−C12−アルキルであり;その際、アルキル鎖は場合により1つ以上の酸素原子によって中断されており;又はR48、R49、R50、R51及びR52は互いに無関係にC−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ又はNR3738であり;R37及びR38は互いに無関係に水素、非置換のC−C12−アルキル又はOHもしくはSHによって置換されたC−C12−アルキルであり、その際、アルキル鎖は場合により1〜4個の酸素原子によって中断されており;又はR37及びR38は互いに無関係にC−C12−アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルであり;且つYは場合により1つ以上の酸素原子によって中断されたC−C12−アルキレンである)のグリオキサル酸フェニルである。それらの特殊な例はオキソ−フェニル−酢酸2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−エトキシ]−エチルエステルである。
【0106】
更に有利な光開始剤は式
【化24】

(式中、zは0又は1であり;R53は水素、C−Cシクロアルキル;C−C12アルキル(非置換であるか又は1つ以上のハロゲン、フェニル及び/又はCNによって置換される)であり;又はR53はC−Cアルケニル;フェニル(非置換であるか又は1つ以上のC−Cアルキル、ハロゲン、CN、OR56、SR57及び/又はNR5859によって置換される)であり;又はR53はC−C−アルコキシ、ベンジルオキシ;又はフェノキシ(非置換であるか又は1つ以上のC−Cアルキル及び/又はハロゲンによって置換される)であり;R54はフェニル、ナフチル、ベンゾイル又はナフトイル(それぞれハロゲン、C−C12アルキル、C−Cシクロアルキル、ベンジル、フェノキシカルボニル、C−C12アルコキシカルボニル、OR56、SR60SOR57、SO57及び/又はNR5859によって1〜7回置換されており、その際、置換基OR56、SR57及びNR5859は場合により基R56、R57、R58及び/又はR59を介してフェニル又はナフチル環上の更なる置換基との5−又は6−員環を形成するか;又はそれぞれフェニルによって又は1つ以上のOR56、SR57及び/又はNR5859によって置換されたフェニルによって置換される)であり;又はR54はチオキサンチル(thioxanthyl)又は
【化25】

であり;R55は水素;非置換のC−C20アルキル又は1つ以上のハロゲン、OR56、フェニルによって置換されたC−C20アルキルであり;又はC−Cシクロアルキル;非置換のフェニル又は1つ以上のC−Cアルキル、フェニル、ハロゲン、OR56、SR57及び/又はNR5859によって置換されたフェニルであり;又はC−C20アルカノイル又はベンゾイルであり、該基は非置換であるか又は1つ以上のC−Cアルキル、フェニル、OR56、SR57及び/又はNR5859によって置換されており;又はC−C12アルコキシカルボニル、フェノキシカルボニル、CN、−CONR5859、NO、C−Cハロアルキル、S(O)−C−Cアルキル又はS(O)−フェニルであり;yは1又は2であり;R56及びR57は互いに無関係に水素、C−C20アルキル、C−C12アルケニル、C−Cシクロアルキル、フェニル−C−Cアルキルであり;又はC−Cアルキルであり、該基は−OH、−SH、−CN、C−Cアルカノイル、ベンゾイルによって置換されており、該基は非置換であるか又は1つ以上のC−Cアルキル、ハロゲン、−OH、C−Cアルコキシ又はC−Cアルキルスルファニルによって置換されており;又はフェニル又はナフチルであり、それぞれ非置換であるか又はハロゲン、C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、フェニル−C−Cアルキルオキシ、フェノキシ、C−C12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、−N(C−C12アルキル)、ジフェニルアミノによって置換されており;R58及びR59は互いに無関係に水素、C−C20アルキル、C−Cヒドロキシアルキル、C−C10アルコキシアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、フェニル−C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−C12アルケノイル、ベンゾイルであるか;又はフェニルもしくはナフチルであり、それぞれ非置換であるか又はC−C12アルキル、ベンゾイル又はC−C12アルコキシによって置換されており;又はR58及びR59は一緒にC−Cアルキレンであり、該基は場合により−O−又は−NR56−によって中断及び/又は場合によりヒドロキシル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイルオキシ又はベンゾイルオキシによって置換されており;R61はC−C12アルキル、フェニル、C−C12アルキルフェニル又は2−(2’−テトラヒドロフリル)−フェニルである)のオキシムエステルである。それらの特殊な例は1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)及び9H−チオキサンテン−2−カルボキサルデヒド9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)である。
【0107】
光開始剤の更なる例はLambertiから入手可能なEsacure(登録商標)1001:1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン
【化26】

である。
【0108】
最も有利な光開始剤は次の化合物:
【化27】

である。
【0109】
光開始剤は増感剤及び/又は光安定剤と組み合わせて使用してよい。
【0110】
光開始剤の全含有率は、組成物の固体含有率を基準として、有利には0.01〜10質量%、有利には0.05〜8質量%、そして特に有利には1〜5質量%である。
【0111】
染料含有硬化性組成物の製造時に、一般的に溶媒が使用される。溶媒は、各々の成分への溶解性及び染料含有硬化性組成物のコーティング特性を満たす限り且つ有利にはアルカリ可溶性バインダーの溶解性、コーティング特性及び安全性の特別な考慮の下で選択される限り特に制限されない。
【0112】
適した溶媒として、エステル類、例えば、酢酸エチル、ブチルアセタート、ブチルブチラート及びメチルメトキシアセタート、エーテルエステル類、例えば、1−メトキシ−2−プロピル−アセタート(PGMEA)、2−メトキシ−1−プロピル−アセタート、メチルセロソルブアセタート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ブチルカルビトールアセタート及びポリエチレングリコールメチルエーテルアクリラート(PEGMEA)、エーテル類、例えば、テトラヒドロフラン、ケトン類、例えば、2−ブタノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノン、及び芳香属炭化水素、例えば、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0113】
当該の新規なアントラキノン着色剤及び着色剤組成物は、溶媒及び/又はバインダーにおいて良好な分散性であり且つ優れたレオロジー及び得られた組成物の貯蔵安定性をもたらす。これらの組成物から製造されてできたカラーフィルターは、500nmを超えるスペクトル範囲において、特に500〜550nmにおいて、フタロシアニン緑色顔料と組み合わせて、光安定性及び熱安定性などの優れた一般的性質と共に、顕著な色相、解像度、コントラスト及び透過性を示す。
【0114】
次の実施例は、制限することなく(他に規定がなければ「%」は質量%である)、本発明を例示する:
【0115】
実施例1:45gのチオフェノールを、撹拌下で23℃の150mlエトキシエタノール中で100gの1−クロロ−アントラキノン及び63gの炭酸カリウムの懸濁液に滴加する。反応は強力な発熱量であり且つ添加は非常にゆっくり行わなければならず、その後の溶媒の添加は反応混合物の流動性及び撹拌を向上させる。120℃で3時間半加熱した後、その後23℃に冷却し、この混合物をガラス(ポロシティ3)上で濾過するとプレスケーキが得られ、これを1lのメタノールで洗う。プレスケーキを次に50℃で1lの水に懸濁させ、再びガラスフィルター(ポロシティ3)上で濾過する。プレスケーキを温かい水(4l)で更に洗浄すると中性のpHのろ液が得られる。このプレスケーキを最終的に60℃/5・10Paで12時間乾燥させると124.1gの粉末状の橙色の式
【化28】

の1−フェニルスルファニル−アントラキノンが得られる。
HPLC(CHCN):300nm及び426nm(PVC:432nm)でのλmaxにおいて純度94%;
ESI−LC−MS:M=316g/モル及び424g/モル(陰性イオン化による(微量のビス−フェニルスルファニル−アントラキノン));

【0116】
実施例2:10gの1−フェニルスルファニル−アントラキノンを100mlのクロロスルホン酸に23℃で少量ずつ添加する。従って得られた反応混合物を4時間撹拌し、次いで氷−塩化ナトリウム浴中に慎重に注ぐ。得られた懸濁液をガラス上で濾過し、水で完全に洗い、そして150mlのテトラヒドロフラン中に懸濁させる。過剰のエタノールアミン(6g)の滴状添加によって赤−橙色溶液が得られ、これを12時間撹拌する。次に反応混合物を氷の上に注ぎ、得られた黄色懸濁液をガラス上で濾過する。回収された粉末を50℃/5・10Paで5時間乾燥させる。乾燥粉末を100mlのアセトン/ヘキサン(9:1)中に溶かして40℃に加熱する。この溶液を次いで高温で濾過し、プレスケーキをアセトンで洗う。得られた粉末を最終的に60℃/5・10Paで15時間乾燥させると、9.2gの式
【化29】

の生成物が得られる。
HPLC(THF):306nm及び422nmでのλmaxにおいて純度94.5%;
融点:186℃(DSCにより、10℃/分で30〜300℃);
ESI−LC−MS:M=439g/モル(陰性イオン化による);

【0117】
実施例3:実施例2のように進め、違いは第2段階で2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エタノールを2−アミノ−エタノールの代わりに使用することである。次の式の生成物が得られる:
【化30】

HPLC(THF):307nm及び422nmでのλmaxにおいて純度96.7%。
示差走査熱量測定(10℃/分で30〜300℃):158℃(吸熱)、161℃(発熱)及び186℃(吸熱)。
ESI−LC−MS:M=483g/モル(陰性イオン化による)。

【0118】
驚くことに、示差走査熱量測定スペクトルにおいて、種々の有機溶媒からの沈殿を含めて、生成物の分離法に応じて異なるパターンが得られる。例えば、生成物を熱い2−ブトキシエタノール中に溶解し、100℃においてトルエンでゆっくり希釈し、その後60℃に冷却し、次いでヘキサンの添加によってゆっくりと沈殿させる(HPLCにより純度95.7%):
DSC(10℃/分で30〜300℃):188℃(吸熱)、しかし既に観察された鋭い変曲点158℃(吸熱)及び161℃(発熱)はこのスペクトル中に存在していない。
【0119】
実施例4:実施例2のように進め、違いは第2段階で2−(2−アミノ−エトキシ)−エタノールを2−アミノ−エタノールの代わりに使用することである。次の式の生成物が得られる:
【化31】

HPLC(THF):306nm及び422nmでのλmaxにおいて純度89.8%;
融点:153℃(示差走査熱量測定、10℃/分で30〜300.0℃);
ESI−LC−MS:M=483g/モル(陰性イオン化による);

【0120】
実施例5:実施例2のように進め、違いは第2段階で3−アミノ−プロパン−1,2−ジオールを2−アミノ−エタノールの代わりに使用することである。次の式の生成物が得られる:
【化32】

HPLC(THF):306nm及び423nmでのλmaxにおいて純度91.5%;
融点:177℃(示差走査熱量測定、10℃/分で30〜300℃);
(5)のESI−LC−MS:M=469g/モル(陰性イオン化による);

【0121】
実施例6:実施例2のように進め、違いは第2段階で1−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−プロパン−2−オールを2−アミノ−エタノールの代わりに使用することである。次の式の生成物が得られる:
【化33】

HPLC(THF):307nm及び421nmでのλmaxにおいて純度98.1%;
ESI−LC−MS:M=511g/モル(陰性イオン化による);
示差走査熱量測定(10℃/分で30〜300.0℃):101℃(吸熱)、106℃(発熱)及び193℃(吸熱);

【0122】
実施例7〜589:
【化34】

【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【0123】
実施例590〜594(一般的な手順):着色剤を含有する配合物、アクリル酸/アクリル重合性樹脂バインダー、有機溶媒、光開始剤、重合可能なモノマー及び場合により分散剤を撹拌により均一にし、0.45μmのテフロン(Teflon)(登録商標)フィルターによって濾過する。この配合物のスピンコーティングは、種々の層厚さを達成するために種々のスピン速度で52mm×76mmのガラスプレート上で実行される。穏やかな焼き付けを80〜100℃で2分間行うと必要とされる薄い透明層が得られる。UV露光をマスクにより30秒間行った後に塩基性の水性現像を行い、最終的なポストベークを200℃で5分間行うと構造化されたパターンがもたらされる。パターン形成はマスクを介した照射により達成され、100μm〜1μmの解像度を可能にする。UVランプの照射帯域幅は300nm〜410nmの範囲であり、1.4mW/cmのエネルギー強度を有する。現像浴は、2%濃度の市販のJSR4625(商標)から製造された水性の塩基性現像液である。
【0124】
実施例590〜594:実施例2、3、4、5及び6の化合物は、次の液体配合(liq)を使用して、上記の一般的な手順に従って試験される:
1.92部のDisperbyk(登録商標)161(カチオン性ポリウレタン、分散剤)
9部のアクリル酸/アクリレート樹脂バインダー
12.5部のN−メチルピロリドン(NMP)
2.3部のSartomer(登録商標)399(ジペンタエリトリトールペンタアクリラート)
0.08部の2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
【0125】
以下の表の結果は焼き付けられた層に対応する(5分@200℃)。コントラストはTSUBOSAKA ELECTRIC装置で測定される。
【表39】

【0126】
実施例595〜599:実施例590〜594のように進め、違いはC.I.ピグメントグリーン36を含む類似の層を最初にガラスプレート上に被覆させ、その上に実施例2、3、4、5及び6の化合物を含む層を、最初のグリーン層の焼き付け後に被覆させる。
【0127】
実施例600:実施例595〜599のように進め、違いは実施例1の化合物を含む層をC.I.ピグメントグリーン36を含む層の上に被覆させる。
【0128】
実施例601〜606:実施例595〜600のように進め、違いはC.I.ピグメントグリーン7をC.I.ピグメントグリーン36の代わりに使用することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
99:1から10:90までの質量比で、有利には95:5から30:70までの質量比で、特に有利には95:5から50:50までの質量比で、10から200nmまでの平均粒度の顔料及び式
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ他の全てと無関係に、H、Br、Cl、F、SOR10、SO10、SO10、SONR1112、NO、CN、COR10、COOR10又はCONR1112;C−C12アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルケニル又はC−C12アルキニル(それぞれ非置換であるか又はCl、F、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、NR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって1回又は複数回置換される);
−C12アラルキル又はC−C12アリール(それぞれ非置換であるか又はSO10、SONR1112、NO、Br、Cl、F、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、NR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって1回又は複数回置換される)であり;
又はR、R、R、R及びRのいずれかは、それぞれ他の全てと無関係に、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、又はNR1112であり;
又はRはRと一緒に又はRと一緒に、1,3−プロピレン、1,3−プロペニレン、1,4−ブチレン、1,4−ブテン(1)イレン又は1,4−ブテン(2)イレン(それぞれ非置換であるか又はCl、F、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、NR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって1回又は複数回置換される)、又は1,4−ブタジエニレン(非置換であるか又はSO10、SONR1112、NO、Br、Cl、F、OH、OR10、SR10、SOR10、SO10、NR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112によって1回又は複数回置換される)であり;
又はRは式
【化2】

の基であり;
又はRはアントラキノン下位構造の1位又は2位のCからRへの直接結合であり;
10は、[C−Cアルキレン−O]−C12アルキル、[C−Cアルキレン−NH]−C12アルキル、C−C12アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルケニル又はC−C12アルキニル(それぞれ非置換であるか又はCl、F、OR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって1回又は複数回置換される);C−C12アラルキル又はC−C12アリール(それぞれ非置換であるか又はNO、SOR21、SO21、SO21、SONR2223、Br、Cl、F、OR21、SR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって1回又は複数回置換される)であり;
11及びR12は、互いに無関係に、H、[C−Cアルキレン−O]−C12アルキル、[C−Cアルキレン−NH]−C12アルキル、C−C12アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルケニル又はC−C12アルキニル(それぞれ非置換であるか又はCl、F、OR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって1回又は複数回置換される);C−C12アラルキル又はC−C12アリール(それぞれ非置換であるか又はNO、SOR21、SO21、SO21、SONR2223、Br、Cl、F、OR21、SR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって1回又は複数回置換される)であり;又は
NR1112はC、N、O及び/又はS原子を含む、5−、6−又は7−員環の、飽和の、不飽和の又は芳香族の、複素環式のN−基であり、該複素環式のN−基は場合によりシクロヘキサン、シクロヘキセン又はベンゼン環と縮合環化され且つ非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、C−C12アルコキシ、チオノ及び/又はR10によって1回又は複数回置換されており、2つ以上のR10は互いに同一又は異なり、且つ該縮合環化されたベンゼン環は非置換であるか又はNO、SOR21、SO21、SO21、SONR2223、Br、Cl、F、OR21、NR2223、CN、COR21、COOR21又はCONR2223によって置換される;
13、R14及びR15はR、R及びRとは無関係にR、R及びRと同じ定義を有し、有利にはR13、R14及びR15はそれぞれR、R及びRと同一であるか;又はR13はアントラキノン下位構造の1位又は2位のCからR16への直接結合であり;
16、R17、R18、R19及びR20はR、R、R、R及びRとは無関係にR、R、R、R及びRと同じ定義を有し、有利にはR16、R17、R18、R19及びR20はそれぞれR、R、R、R及びRと同一であり;
21、R22及びR23は互いに無関係にH;[C−Cアルキレン−O]−C12アルキル、[C−Cアルキレン−NH]−C12アルキル又はC−C12アルキルであり、該基は非置換であるか又はF、オキソ、OH、OC−Cアルキル、NH、NHC−Cアルキル、N(C−Cアルキル)、COOH、COOC−Cアルキル、CONHC−Cアルキル、CON(C−Cアルキル)又はCNによって1回又は複数回置換されており;
且つnは整数1、2、3、4又は5である)の化合物を含む着色剤組成物。
【請求項2】
、R及びRのうち1つ又は2つはHであり、且つR及びRは両方ともHであり;R、R及びRのうち1つはSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112であり;R、R、R、R、R13、R14及びR15はSO10、SONR1112、NO、C−C12アルキル、Cl、F又はHであり;及び/又はR10、R11又はR12はヒドロキシ基を含む、請求項1記載の着色剤組成物。
【請求項3】
前記顔料がカラーインデックスピグメントイエロー3、7、12、13、14、17、24、34、42、53、62、74、83、93、95、108、109、110、111、119、123、128、129、138、139、147、150、164、168、173、174、180、184、188、191、191:1、191:2、193、199、ピグメントオレンジ5、13、16、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73、ピグメントレッド2、4、5、23、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、101、104、112、122、144、146、149、166、168、177、178、179、181、184、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、254、255、262、264、270、272、282、283、ピグメントブラウン23、24、33、42、43、44、ピグメントバイオレット19、23、29、31、37、42、ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、28、29、60、64、66、80、ピグメントグリーン7、17、36、37、50、3,6−ジ(3’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3−フェニル−6−(4’−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン又はバットレッド74、又はそれらの混合物である、請求項1又は2記載の着色剤組成物。
【請求項4】
フォトレジスト組成物である、請求項1から3までのいずれか1項記載の着色剤組成物。
【請求項5】
式(I)で示され、その式中、R、R及びRのうち少なくとも1つがSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112であるか、又はR、R、R及びRのうち少なくとも1つがSONR1112である化合物(但し、該化合物は式
【化3】

のものではない)
又は式(II)で示され、その式中、R、R及びRのうち少なくとも1つがSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN、COR10、COOR10又はCONR1112であるか、又はR、R、R及びRのうち少なくとも1つがSONR1112である化合物(但し、該化合物は式
【化4】

のものではない)。
【請求項6】

【化5】

(式中、R、R及びRのうち少なくとも1つがSOR10、SO10、SO10、SONR1112、CN又はCOR10であるか、又はR、R及びRのうち少なくとも1つがSONR1112であるが、但しRはSONHではない)の化合物。
【請求項7】
請求項5又は6記載の化合物を含むフォトレジスト組成物。
【請求項8】
透明基材及び1つの層又は複数の層をその上に含むカラーフィルターであって、少なくとも1つの層がパターン形成された層であり、そのパターンは請求項1又は2記載の式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物を含む、カラーフィルター。
【請求項9】
99:1から10:90までの質量比で、有利には95:5から30:70までの質量比で、平均粒度10nmから200nmまでの顔料及び式(I)又は(II)の化合物を含む0.1質量%から70質量%までの着色剤、並びにバインダー又は重合可能な化合物を含む液体媒体を含む組成物。
【請求項10】
カラーフィルターの製造方法であって、99:1から10:90までの質量比で、有利には95:5から30:70までの質量比で、平均粒度10nmから200nmまでの顔料及び式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物を含む0.1質量%から70質量%までの着色剤、並びにバインダー又は重合可能な化合物を含む液体媒体を含む組成物を、場合によりパターン形成された又はパターン形成されていない層をその上に含む透明基板の上に適用し、且つ該組成物を乾燥及び/又は硬化させてパターン形成された層を得る、カラーフィルターの製造方法。
【請求項11】
布地、紙又は他の材料上での溶媒又は分散染料として、又は印刷インク、プラスチック及び塗料中の着色剤としての請求項5又は6記載の化合物の使用。
【請求項12】
顔料を含む高分子量の有機材料の色を強化又は改変するための請求項5又は6記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−520929(P2010−520929A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550690(P2009−550690)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051699
【国際公開番号】WO2008/101841
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】