透析機械用パウダカートリッジの装置
【課題】取り扱いが容易で透析機械周囲を汚染することのない透析機械用カートリッジを提供する。
【解決手段】透析機械用のパウダカートリッジであって、外ネジの形成された頸部21、該頸部に適合され、かつ端壁を備えるネジキャップ26、該ネジキャップ中の通常は閉止された弁であって、該パウダカートリッジを該透析機械に取り付けることによって開放位置に調節され得る弁40、該端壁28および該頸部上の手段であって、該頸部に該ネジキャップを螺着させるとき、該手段が相互に係合し、該頸部からの該ネジキャップの緩みを防ぐ手段、および該端壁と該ネジキャップの一部分との間の破断式の連結部であって、該破断式の連結部29を破断して該端壁を該ネジキャップから分離した状況でのみ該ネジキャップを緩ませ得る連結部を備える。
【解決手段】透析機械用のパウダカートリッジであって、外ネジの形成された頸部21、該頸部に適合され、かつ端壁を備えるネジキャップ26、該ネジキャップ中の通常は閉止された弁であって、該パウダカートリッジを該透析機械に取り付けることによって開放位置に調節され得る弁40、該端壁28および該頸部上の手段であって、該頸部に該ネジキャップを螺着させるとき、該手段が相互に係合し、該頸部からの該ネジキャップの緩みを防ぐ手段、および該端壁と該ネジキャップの一部分との間の破断式の連結部であって、該破断式の連結部29を破断して該端壁を該ネジキャップから分離した状況でのみ該ネジキャップを緩ませ得る連結部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析機械用パウダカートリッジに関し、このカートリッジは、ネジキャップおよびこのネジキャップが適用され得る外ネジが形成された頸部を有する。
【0002】
この型のパウダカートリッジは、DE−A−4 217 352号(特許文献1)に開示される。
【背景技術】
【0003】
ヨーロッパ特許公報第B1−0278100号(特許文献2)に開示された透析システムでは、透析液は使用現場において閉じられた容器、つまりカートリッジ内のパウダ(重炭酸ナトリウム)から準備される。カートリッジは、透析機械のホルダに装着され、水を供給するための入口と、前記パウダの濃厚溶液のための出口に接続される。前記濃厚液は、前記カートリッジに水を通して前記パウダを溶かし込むことにより得られる。透析機械内でこの濃厚液に正確に計量した水を加え所定濃度の透析液を得る。
【0004】
このシステムで作動する市販されている透析機械、ガンブロAK100(GambroAK100)では、カートリッジは透析機械の鉛直壁面に回動自在に取り付けられた2つの支持部材(yaw)の間に装着される。支持部材の一方が水の入口を有し、他方が、カートリッジを通して水を流通させ水にパウダを溶かし込んで得られた濃厚液のための出口を有している。前記カートリッジの両端に設けられたスタッドに前記入口と出口が接続される。カートリッジを2つの支持部材の間に配置するとき、或いは、カートリッジをこの位置から取り外すときに、上側の支持部材を上方に回動させるが、然しながら、2つの支持部材は、また、透析機械の前記壁面に向かって回動させることができる。つまり、上側の支持部材を下方に、下側の支持部材を上方に回動させ、前記出入口を前記壁面に設けられた前記カートリッジの中空スタッドと同じ寸法の接続要素に接続させる。前記接続要素の間には短絡回路が配設されており、一方の支持部材から他方の支持部材へカートリッジを介することなく前記短絡回路にて液体を流通させることができる。この短絡回路は、2つの透析治療の間で1回の透析処理が終了し他の透析処理を行う際に、透析機械を通して消毒液を流通、循環させて洗浄、消毒を行うときに用いられる。
【0005】
透析処理の後に、カートリッジ内に液体がいくらか残留する。透析処理が終了した後にカートリッジを従来技術の透析機械から取り外すとき、液体により下側の支持部材はもちろん、透析機械においてこの支持部材の下側に配設された部品および透析機械が設置されている床面が濡れ、それがそこに固化することを防止することができない。
【特許文献1】独国特許出願公開第DE−A−4 217 352号
【非特許文献1】欧州特許第B1−0278100号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、こうした透析機械の取扱者を困らせる欠点を除去することである。そのために、カートリッジが透析機械から取り外されたときにカートリッジ内に残留する液体をカートリッジ内に保持し、これを流し等に排出させることを可能としたパウダカートリッジが提供される。
【0007】
本発明の更なる目的はカートリッジにパウダが充填された後にパウダカートリッジの出口に螺着されるネジキャップであって、カートリッジを空にした後に、間違った量のパウダが充填されたり、間違った成分のパウダが充填されたり、カートリッジ内が汚染されたりする危険を伴って、使用現場でカートリッジを再び閉止するために使用できなくしたネジキャップを構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的は、請求項1の特徴部分に記載された本発明によるカートリッジにより達成される。
【0009】
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
【0010】
(1)透析機械(10)用のネジキャップ(26)により閉じることのできる外ネジの形成された頸部(21)を有するパウダカートリッジの装置において、前記パウダカートリッジを前記透析機械に取り付けることにより開放位置に調節することができる通常は閉止された弁(36)を前記キャップ(26)に配設し、前記ネジキャップの端壁(28)と前記頸部(21)に、前記キャップに螺着したときに相互作用する手段(25、33)を設けて、該手段が相互に係合することにより前記キャップが緩むことを防止し、前記ネジキャップの端壁(28)に、ネジキャップの一部分に前記破断式の連結部を設け、前記端壁と前記キャップにおけるその一部分との間の前記連結部(29)を破断し、前記端壁を前記キャップから分離することによってのみ前記キャップを緩めることができるようにしたことを特徴とする装置。
【0011】
(2)前記キャップを通して通路を形成したときに、前記端壁(28)を前記キャップ(26)におけるその一部分から分離することができる項目(1)に記載の装置。
【0012】
(3)前記弁(36)と前記端壁(28)が単位体として構成されている項目(2)に記載の装置。
【0013】
(4)前記弁(36)が前記端壁(28)の膨出部(34)に取り付けられている項目(3)に記載の装置。
【0014】
(5)前記弁(36)が、前記端壁(28)に形成される弁座に対して弾性的に係合するように保持される弁部材(40)を具備する項目(4)に記載の装置。
【0015】
(6)前記端壁(28)が中空スタッド(31)を有して成り、前記弁座に係合する前記弁部材(40)が前記スタッド内に突き出しており、かつ、前記中空スタッド内に要素(56、56’)を導入することにより、前記弁座から上動可能となっている項目(5)に記載の装置。
【0016】
(7)前記弁が、前記頸部(21)と前記膨出部(34)の間に取り付けられたリング(37)を具備し、前記弁部材(40)が、弾性腕(45)により前記リングに連結されている項目(5)または(6)に記載の装置。
【発明の効果】
【0017】
透析機械用のパウダカートリッジは、外ネジの形成された頸部、該頸部に適合され、かつ端壁を備えるネジキャップ、該ネジキャップ中の通常は閉止された弁であって、該パウダカートリッジを該透析機械に取り付けることによって開放位置に調節され得る弁、該端壁および該頸部上の手段であって、該頸部に該ネジキャップを螺着させるとき、該手段が相互に係合し、該頸部からの該ネジキャップの緩みを防ぐ手段、および該端壁と該ネジキャップの一部分との間の破断式の連結部であって、該破断式の連結部を破断して該端壁を該ネジキャップから分離した状況でのみ該ネジキャップを緩ませ得る連結部を備えるので、カートリッジが透析機械から取り外されたときにカートリッジ内に残留する液体をカートリッジ内に保持し、これを流しなどに排出させることを可能にし、透析機械周辺が汚れることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明をより詳細に説明するために、添付図面を参照して実施形態を説明する。
【0019】
図1を参照すると、本実施形態ではパウダ濃厚物(重炭酸ナトリウム)からの透析液と共に作動するように設定された透析機械10が図示されている。透析機械は、ドゥレークシステム1000(商標)タイプの機械とすることができる。
【0020】
パウダ濃厚物は、1または複数回の処方のための所定量を以て使い捨て可能なカートリッジ11に充填されている。このカートリッジは、固定された下支持部材12と、中空ガイド13において下支持部材12に接近、離反可能に設けられた上支持部材14の間において前記機械に取り付けられている。前記ガイドは、前記機械の外側に設けられた鉛直取付レール16に取り付けられたホルダ15により支持されている。図1には詳細に図示されていないが、それ自体透析機械に関連して周知のように、前記カートリッジに水を通して前記パウダを水に溶かし込むための手段が設けられている。
【0021】
カートリッジ11(図2、3)は、半球形のドーム形端部を有した円筒形状を呈しており、射出成形されたプラスチック製、好ましくは、ポリプロピレン製の2つの部分11A、11Bから成り、この2つの部分は、外方に突き出した周フランジ17A、17Bにおいて溶接(mirrorwelding)により相互連結されている。一方の部分11A、つまり上部は、他の部分11B、つまり下部よりも大きな軸方向寸法を有しており、フランジ17A、17Bにおける2つの部分の接合はカートリッジの中心とはなっていない。上部のドーム形の端部には中空スタッドが形成されている。該中空スタッドは、上部11Aに連結された部分18と、部分18から突き出した部分19を有しており、部分18は部分19よりも大きな直径を有している。前記中空スタッドは、カートリッジ内部に連通し、かつ、外側の端部が該スタッドの端壁として形成された薄膜20により閉じられている。
【0022】
カートリッジの他方の部分11Bのドーム形の端部には、外ネジ22を有する頸部21が形成されている。前記頸部は、軸方向に延びる円形カラー23を有している。該カラーは、平滑な内周面24と、周方向に配列された鋸歯状の外周面25とを有している。キャップ26が、前記頸部に螺着される寸法にて形成され、溝が形成された或いはローレット処理された外周面と、内ネジ27と、端壁28とを有する。キャップの周部に複数のシヤーウェブ29が配設され、かつ、端壁とキャップにおけるその一部分の間にスリットまたは切欠30が配設されており、該シヤーウェブとスリットにより、前記端壁が前記キャップにおけるその一部分に連結される。前記スリットまたは切欠は前記シヤーウェブ29により架橋される。端壁28とシヤーウェブ29を有する前記キャップはプラスチック、好ましくは、カートリッジを形成するプラスチック、つまり、ポリプロピレンから射出成形により一体成形される。端壁28は中空スタッド31を有している。該中空スタッドは、前記端壁から突き出しており、かつ、該スタッドの端壁を形成する薄膜32により外側の端部が閉じられている。
【0023】
端壁28は、周方向に配列された鋸歯状の内周面33を有している。この鋸歯状の内周面は、前記頸部の鋸歯状の外周面25に対して反対方向に向けられている。更に、端壁28には、外周面35を有する環状膨出部34が形成されている。膨出部34には弁要素36が取り付けられている。弁要素は、軸方向に延びるカラー38を有する円形リング37を具備している。このカラーは、その内周面で外周面35に嵌合する寸法を有しており、かつ、内周面に環状ビード39が形成されている。該弁要素を、正しく膨出部34に取り付けると、前記ビードが外周面35に形成された環状溝にスナップ式に嵌まり込む。前記弁要素は、また、弁部材40を具備している。弁部材40は、概ね円筒状の形状をしており、かつ、円錐部41により連結された大径部42、小径部43、および、弁部材の下端部に設けられた端壁44とを有して成り、小径部43の外径は、前記中空スタッド31内に突出できるように、該中空スタッドの内径よりも小さくなっている。弁部材は上端部において、4つの細い弾性腕45により、リング37に対して軸方向に移動可能にリング37に連結されている。弁要素を膨出部34に取り付けると、弁部材40の小径部43がスタッド31内に突き出し、腕45のバネ作用により所定の圧力を以て円錐部41が、端壁28においてスタッド31が接合されている部分の内面に当接し、前記弁部材が端壁28に対して密封、係合状態で保持される。また、弁要素36は、好ましくは、ポリプロピレンから射出成形される。
【0024】
織物から成る、または、射出成形された、好ましくはポリプロピレン製のフィルタネット46が、リング37の上面に形成された凹所に配設され、かつ、超音波溶接により前記リングに連結されている。
【0025】
このように形成されたカートリッジは、フランジ17A、17Bにおける溶接の気密性を管理するために圧力試験を行った後に、1回の透析処理または複数回の透析処理のための量のパウダ(重炭酸ナトリウム)が前記頸部21から充填され、次いで、端壁28が前記頸部の端面に係合するまで、前記頸部にキャップ26が螺着される。カラー23の平滑な内周面24がカラー38の外周面に嵌合する。カラー38の外周面には前記頸部のカラー23と前記弁要素のカラー38の間をシールするための環状ビード47が形成されている。カラー38は、カラー23の内周面24と膨出部34の外周面35の間にクランプされ、弁要素36と頸部21の間および弁要素36と膨出部34の間に必要なシールを維持する。頸部21は半径方向のフランジ48を有している。該フランジは、前記キャップを螺着したときに、その内縁部49においてフィルタネット46の周縁部の上面に対して密封、係合し、弁要素36を前記キャップに対して位置決めする作用をなす。キャップが完全に螺着される直前に、歯25および歯33は、相互に係合するが、これらの歯は、このキャップの歯33が、前記頸部上の歯25と係合することなくこの歯と摺動してこのキャップが螺動されるのを可能にするように方向付けられているべきである。次いで、カートリッジは、透析機械に連結されるまで、貯蔵および輸送のために完全に閉じられる。前記ネット、弁要素、および、キャップを含むカートリッジの全ての部品は、一種類の同じプラスチックにより形成されるべきであり、その好ましい材料の1つは既述したようにポリプロピレンである。
【0026】
次に、図1に示す支持部材12、14を含み既述したカートリッジが取り付けられるホルダを、図5から図11および図13から図18を参照して説明する。
【0027】
固定式の下支持部材12に形成された孔51にブッシュ50が挿入される。該ブッシュの外周フランジ52により形成される肩部が前記支持部材の上面に当接する。大径部53にOリング54から成るガスケットが配設され、フランジにはOリング55から成る他のガスケットが配設される。ブッシュ50内には管56が配設されている。該管は、前記ブッシュに取付可能に形成され、或いは、前記ブッシュと一体成形することができる。前記管の上端は、套管に類似させて斜めに切り欠くことによりテーパ状に形成されており、かつ、下端は、他の管に連結するように形成されている。中心開口部58を有する蓋57がブッシュ50の上方に設けられ、下支持部材12に形成されたスロット59Aに係合する差込みカップリング手段59により支持部材12に取り付けられる。蓋57は腕57Aを有している。該腕の下面には突起57Bが形成されている。蓋を配置して回転させることにより差込みカップリングが係合し、蓋が正しい位置にくると、突起57Bが下支持部材の窪み60にスナップ式に受承される。蓋57は、Oリング54、55を下支持部材に対して正しい位置に保持する。
【0028】
上支持部材も同様の構成を有しており、既述した構成要素と同様の構成要素はダッシュを付して同じ参照番号にて指示されている。然しながら上支持部材の場合、リング61と、Oリング62から成るシールとが配設されている。蓋57’は、下支持部材の蓋57よりも大きな直径を有し、かつ、リング61を上支持部材に対して押圧、保持する。リング61が、次いで、開口部51’内にブッシュ50’を保持すると共に、Oリング54’、55’を正しい位置に保持する。リング61と蓋57’の間に配設されるOリング62は、リング61に受承され、かつ、このリングと前記蓋により正しい位置に保持される。
【0029】
上支持部材14に設けられた作動部材63は、水平軸64を中心として、図5から図8に示す位置から上方へ図10に示す位置に回動可能に設けられている。
前記作動部材には、上支持部材14の内側において、レバー65が連結されている作動部材63が図5から図8に示す位置にあるとき、レバー65の先端は、ガイド13に設けられた切欠66に係合する(図11参照)。こうして、上支持部材14は図11に示す位置に保持される。上支持部材に設けられ、かつ、腕65の凹所65Bに係合する突起65Aにより、作動部材はこの位置に保持される。
【0030】
作動部材63が、上方に回動すると、上支持部材14は、切欠66に係合するレバー65によりガイド13に沿って上方に2cm程移動する。ガイド13の切欠66は、持ち上げられる上支持部材のための当接部を構成する。作動部材63が更に上方へ図10に示す位置に回動すると、レバー65が切欠66から解除され、上支持部材14はガイド13に沿って自由に下方へ移動可能となる。図10に示す位置において、作動部材は凹所65Bに係合する上支持部材14の他の突起65Cにより保持される。上支持部材14が下方へ下支持部材12の方へ移動し(図15)、レバー65がガイド13の切欠67と係合するとき下位置(図16)となる。
【0031】
らせん状の管68(図13、14)が中空のガイド13内に配設されている。前記らせん状の管は、端部において下支持部材12と上支持部材14に取り付けられており、透析機械10内に設けられた水管路(図示せず)に連通し、上端において上支持部材14内の管56’に水を供給するために管56’に接続されている。他の管(図示せず)が下支持部材12内の管56に接続されており、これにより透析機械は、透析機械で使用するために濃厚な重炭酸ナトリウム溶液が供給される。
【0032】
パウダが充填されキャップ26により閉じられた既述のカートリッジ11が、図13において一点鎖線で示すように、下支持部材12と上支持部材14の間に後述するように取り付けられる。
【0033】
作動部材63を上方へ回動させて(図10)上支持部材14が上方へ2cm程度持ち上げられる。上支持部材14がこの位置において、カートリッジ11のキャップ26のスタッド31を下支持部材12の蓋57の中心開口部からブッシュ50へ挿通させる。スタッド31の周囲をOリング54がシールする。管56の先端が端壁32に対して移動し、カートリッジに十分な圧力が付与され、端壁が貫通される。図4において一点鎖線で示すように管56が端壁に対して押圧されたときに、回動式の蓋として上方に折れ曲がるように、端壁には円形の剪断線(shearline)が形成されている。管56は、ネジキャップ26が下支持部材12の蓋57に係合したときに、前記管が弁部材40に係合して腕45のバネ付勢力に対抗して端壁28の弁座から弁部材を持ち上げる長さを有している。カートリッジの下端をこのように下支持部材12に適用した後、作動部材63は、図11に示す位置へ下方に移動させられ、上支持部材14は、カートリッジ11の上端の中空スタッドの内径よりも小さな直径を有する部分19を上支持部材14のブッシュ50’内に受承し、Oリング54’が該スタッドの周囲をシールする。挿入に際して套管状の管56’の先端が中空スタッドの端壁20を貫通する。カートリッジの上端の中空スタッドの大きいほうの直径を有する部分18が、上支持部材14の蓋57’の中心開口部よりも非常に小さな直径を有しているので、この位置でリング62によるシールは機能しない。この時点で、透析処理用にカートリッジに水を供給してカートリッジ内に充填されたパウダを水に溶かすために、カートリッジは上支持部材14の管56’と下支持部材12の管56の間に取り付けられる。カートリッジからの溶液は濃厚されており、透析機械内で透析処理のために要求される濃度まで希釈される。図13に液体の流れを図示する。図13において、カートリッジ11は一点鎖線でのみ図示されている。然しながら図12の矢印は、カートリッジから頸部21、フィルタネット46、カラー23、38により形成される通路を通過し、腕45を通過し、上動した弁部材40と端壁28により形成される弁座の間を中空スタッド31へ流通し、そしてそこから管56へ流出する液体を示している。液体通路の外側にスリットまたは切欠30が配設されている。
【0034】
1回または複数回の処理が完了すると、作動部材53を上方に回動させることにより(図10)、上支持部材14が2cm程度持ち上げられ、使用済みカートリッジが取り外される。上支持部材の管56’がカートリッジの上端の中空スタッド19から引き抜かれ、カートリッジが下支持部材から持ち上げられ、ネジキャップ26が管56から引き抜かれ、腕45により弁部材40が再び端壁28の弁座に押圧される。これは、既述のカートリッジの重要な作用である。と言うのは、カートリッジを透析機械から取り外すときに、従来のカートリッジのように、カートリッジ内に残留する液体がカートリッジの下端から流出することがないからである。流出する液体が下支持部材および下支持部材の下側にある透析機械の部品を汚し、そしてこのことが透析機械を取り扱う者にとって非常に好ましくないことであることは言うまでもない。この時点で、カートリッジは流し等に運ぶことが可能となり、そこで、カートリッジの下端のネジキャップを取り外してカートリッジを空にすることができる。頸部21の歯の付いた外周面25と、ネジキャップ26の端壁28の歯の付いた内周面33の間の係合により、ネジキャップを緩めることはそれ自体防止されており、端壁28とネジキャップにおけるその一部分との間のシヤーウェブ29を切断して、弁要素36と共に端壁28をネジキャップにおけるその一部分から取り外さなければ、ネジキャップを緩めることができない。端壁を緩めてカートリッジ内部からキャップを通して液体を排出するための通路を開くために、キャップを少し回転させればよい。従って、キャップを完全に緩めて取り外す必要はない。端壁28は、端壁の膨出部34と弁のカラー38の間を十分にシールするために、両者間のとまりばめが必要であるとの事実のために、端壁28が緊密に前記頸部に張り付いている限り、キャップを緩めた後に、指により頸部から端壁を引き離す必要があるかもしれない。端壁が緩み落下すると、或いは、指で引き離すと、キャップは直ちにカートリッジを閉じるために使用することができなくなり、従って、間違った量、パウダを充填したり、カートリッジ内部が汚染される危険を伴って、使用現場でカートリッジにパウダを再充填することができなくなる。
【0035】
カートリッジは使用後廃棄されなければならないが、好ましい実施形態で説明したようにネジキャップと弁要素が1つの材料、例えばポリプロピレンで形成されている場合には、端壁を含むネジキャップと弁要素が同じであるので、その材料は再生可能であり、特定の都合の良い方法にて再生のために集めることができる。
【0036】
透析処理の後に、透析機械の洗浄、消毒サイクルが実施され、消毒液を一方の支持部材から他方の支持部材へ、両者間に取り付けたカートリッジを通して流通させる。洗浄、消毒サイクルを実施するために、既述したように、上支持部材14を下位置に移動させて下支持部材12に係合させる。作動部材63を上方へ回動させ(図10)、腕65をガイド13の上切欠66から解除し、管68を圧縮しながら上支持部材をガイドに沿って下方に図15の位置へ押し下げ、かつ、作動部材63を下方へ回動させ下切欠67に係合させ、上支持部材14を下支持部材12に係合させる(図16、18)。下支持部材12の蓋57が、上支持部材14の蓋57’を受承する(図17)。下支持部材12の蓋57は、図17に示すように、上支持部材14のOリング62が蓋57の外面に対してシールできる寸法にて形成されている。然しながら、支持部材の該位置においてOリング54、54’は、シール作用を果たさない。このとき、洗浄、消毒液を管68を通して上支持部材14に供給可能となる。流れの回路は、図18に示すように下支持部材12への短絡回路となる。図17から理解されるように、Oリング54、54’は、洗浄、消毒サイクルにおいて流通する液体に曝されている。このことは重要である。と言うのは、これらのOリングは、カートリッジの2つの端部における連結部をシールしなければならないが、Oリングに重炭酸塩の堆積やコーティングがあると、このシールが害されるからである。然しながら、Oリング62は洗浄する必要はない。と言うのは、このOリングは透析に際してシール作用を果たさないからである。
【0037】
必要に応じて差込みカップリングにより蓋57、57’を関連する支持部材から容易に取り外して、Oリングに接近、交換することができるので、前記Oリングは容易に交換可能である。また、管56、56’を有するブッシュ50、50’は、何回か使用した後に前記管の先端が鈍くなったときに、必要に応じて同じ理由から容易に交換することができる。このカートリッジのホルダは、メンテナンスおよび修理に適している。
【0038】
既述した実施形態は本発明の請求の範囲内で修正することができ、前記ネジキャップは他の形態にて構成することができる。
【0039】
例えば、弁は、実施形態において端壁28にて形成されていた弁部材の為の弁座を含むことができる。弁は、管56、56’の先端により貫通され、管が引き抜かれたときに再び自動的に閉じるスロットを有する薄膜または多孔性のエラストマ材料にて置換可能である。キャップの弁は、また、バネにより付勢されるボール弁にて構成することができる。要は、通常は閉止位置に保持され、かつ、カートリッジが透析装置に取り付けられたときに開放位置に調節されるように構成された弁であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
透析に用いられる透析機械用パウダカートリッジが提供される。
【0041】
(要約)
透析機械(10)用のネジキャップ(26)により閉じることのできる外ネジの形成された頸部(21)を有するパウダカートリッジ(11)の装置。前記ネジキャップに、前記パウダカートリッジを前記透析機械に取り付けることにより開放位置に調節することができる通常は閉止された弁(36)が設けられている。前記ネジキャップの端壁(28)と前記頸部(21)に、前記キャップに螺着したときに相互作用する手段(25、33)を設け、該手段が相互に係合して前記キャップが緩むことを防止する。前記ネジキャップの端壁(28)に、ネジキャップの一部分に前記破断式の連結部を設け、前記端壁と前記キャップにおけるその一部分との間の前記連結部(29)を破断して、前記端壁を前記キャップから分離することによってのみ前記キャップを緩めることができるようにした。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明による装置を備えた透析機械の斜視図である。
【図2】図2は、透析機械に取り付けられたパウダカートリッジの斜視図である。
【図3】図3は、パウダカートリッジの分解斜視図である。
【図4】図4は、頸部とネジキャップとを有するパウダカートリッジの下方部分およびネジキャップに設けられた閉止位置にある弁の断面図である。
【図5】図5は、パウダカートリッジのためのホルダの斜視図である。
【図6】図6は、ホルダの下支持部材の分解斜視図である。
【図7】図7は、ホルダの下支持部材の断面図である。
【図8】図8は、ホルダの上支持部材の分解斜視図である。
【図9】図9は、ホルダの上支持部材の断面図である。
【図10】図10は、パウダカートリッジを取り付けていないホルダの側面図である。
【図11】図11は、パウダカートリッジを取り付けたホルダの側面図である。
【図12】図12は、開放位置にある弁と共に示すパウダカートリッジの下方部分の図4と同様の断面図である。
【図13】図13は、液体の流と共に示す図11と同様の側面図である。
【図14】図14は、水の流れと共に示すホルダおよび上支持部材の平面図である。
【図15】図15は、上支持部材が下位置にある状態のホルダの側面図である。
【図16】図16は、洗浄、消毒サイクルを実施するために支持部材を連結した状態で示すホルダの側面図である。
【図17】図17は、図16に示す位置にある支持部材の断面図である。
【図18】図18は、洗浄サイクルの間の水の流を示す図16と同様の図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析機械用パウダカートリッジに関し、このカートリッジは、ネジキャップおよびこのネジキャップが適用され得る外ネジが形成された頸部を有する。
【0002】
この型のパウダカートリッジは、DE−A−4 217 352号(特許文献1)に開示される。
【背景技術】
【0003】
ヨーロッパ特許公報第B1−0278100号(特許文献2)に開示された透析システムでは、透析液は使用現場において閉じられた容器、つまりカートリッジ内のパウダ(重炭酸ナトリウム)から準備される。カートリッジは、透析機械のホルダに装着され、水を供給するための入口と、前記パウダの濃厚溶液のための出口に接続される。前記濃厚液は、前記カートリッジに水を通して前記パウダを溶かし込むことにより得られる。透析機械内でこの濃厚液に正確に計量した水を加え所定濃度の透析液を得る。
【0004】
このシステムで作動する市販されている透析機械、ガンブロAK100(GambroAK100)では、カートリッジは透析機械の鉛直壁面に回動自在に取り付けられた2つの支持部材(yaw)の間に装着される。支持部材の一方が水の入口を有し、他方が、カートリッジを通して水を流通させ水にパウダを溶かし込んで得られた濃厚液のための出口を有している。前記カートリッジの両端に設けられたスタッドに前記入口と出口が接続される。カートリッジを2つの支持部材の間に配置するとき、或いは、カートリッジをこの位置から取り外すときに、上側の支持部材を上方に回動させるが、然しながら、2つの支持部材は、また、透析機械の前記壁面に向かって回動させることができる。つまり、上側の支持部材を下方に、下側の支持部材を上方に回動させ、前記出入口を前記壁面に設けられた前記カートリッジの中空スタッドと同じ寸法の接続要素に接続させる。前記接続要素の間には短絡回路が配設されており、一方の支持部材から他方の支持部材へカートリッジを介することなく前記短絡回路にて液体を流通させることができる。この短絡回路は、2つの透析治療の間で1回の透析処理が終了し他の透析処理を行う際に、透析機械を通して消毒液を流通、循環させて洗浄、消毒を行うときに用いられる。
【0005】
透析処理の後に、カートリッジ内に液体がいくらか残留する。透析処理が終了した後にカートリッジを従来技術の透析機械から取り外すとき、液体により下側の支持部材はもちろん、透析機械においてこの支持部材の下側に配設された部品および透析機械が設置されている床面が濡れ、それがそこに固化することを防止することができない。
【特許文献1】独国特許出願公開第DE−A−4 217 352号
【非特許文献1】欧州特許第B1−0278100号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、こうした透析機械の取扱者を困らせる欠点を除去することである。そのために、カートリッジが透析機械から取り外されたときにカートリッジ内に残留する液体をカートリッジ内に保持し、これを流し等に排出させることを可能としたパウダカートリッジが提供される。
【0007】
本発明の更なる目的はカートリッジにパウダが充填された後にパウダカートリッジの出口に螺着されるネジキャップであって、カートリッジを空にした後に、間違った量のパウダが充填されたり、間違った成分のパウダが充填されたり、カートリッジ内が汚染されたりする危険を伴って、使用現場でカートリッジを再び閉止するために使用できなくしたネジキャップを構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的は、請求項1の特徴部分に記載された本発明によるカートリッジにより達成される。
【0009】
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
【0010】
(1)透析機械(10)用のネジキャップ(26)により閉じることのできる外ネジの形成された頸部(21)を有するパウダカートリッジの装置において、前記パウダカートリッジを前記透析機械に取り付けることにより開放位置に調節することができる通常は閉止された弁(36)を前記キャップ(26)に配設し、前記ネジキャップの端壁(28)と前記頸部(21)に、前記キャップに螺着したときに相互作用する手段(25、33)を設けて、該手段が相互に係合することにより前記キャップが緩むことを防止し、前記ネジキャップの端壁(28)に、ネジキャップの一部分に前記破断式の連結部を設け、前記端壁と前記キャップにおけるその一部分との間の前記連結部(29)を破断し、前記端壁を前記キャップから分離することによってのみ前記キャップを緩めることができるようにしたことを特徴とする装置。
【0011】
(2)前記キャップを通して通路を形成したときに、前記端壁(28)を前記キャップ(26)におけるその一部分から分離することができる項目(1)に記載の装置。
【0012】
(3)前記弁(36)と前記端壁(28)が単位体として構成されている項目(2)に記載の装置。
【0013】
(4)前記弁(36)が前記端壁(28)の膨出部(34)に取り付けられている項目(3)に記載の装置。
【0014】
(5)前記弁(36)が、前記端壁(28)に形成される弁座に対して弾性的に係合するように保持される弁部材(40)を具備する項目(4)に記載の装置。
【0015】
(6)前記端壁(28)が中空スタッド(31)を有して成り、前記弁座に係合する前記弁部材(40)が前記スタッド内に突き出しており、かつ、前記中空スタッド内に要素(56、56’)を導入することにより、前記弁座から上動可能となっている項目(5)に記載の装置。
【0016】
(7)前記弁が、前記頸部(21)と前記膨出部(34)の間に取り付けられたリング(37)を具備し、前記弁部材(40)が、弾性腕(45)により前記リングに連結されている項目(5)または(6)に記載の装置。
【発明の効果】
【0017】
透析機械用のパウダカートリッジは、外ネジの形成された頸部、該頸部に適合され、かつ端壁を備えるネジキャップ、該ネジキャップ中の通常は閉止された弁であって、該パウダカートリッジを該透析機械に取り付けることによって開放位置に調節され得る弁、該端壁および該頸部上の手段であって、該頸部に該ネジキャップを螺着させるとき、該手段が相互に係合し、該頸部からの該ネジキャップの緩みを防ぐ手段、および該端壁と該ネジキャップの一部分との間の破断式の連結部であって、該破断式の連結部を破断して該端壁を該ネジキャップから分離した状況でのみ該ネジキャップを緩ませ得る連結部を備えるので、カートリッジが透析機械から取り外されたときにカートリッジ内に残留する液体をカートリッジ内に保持し、これを流しなどに排出させることを可能にし、透析機械周辺が汚れることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明をより詳細に説明するために、添付図面を参照して実施形態を説明する。
【0019】
図1を参照すると、本実施形態ではパウダ濃厚物(重炭酸ナトリウム)からの透析液と共に作動するように設定された透析機械10が図示されている。透析機械は、ドゥレークシステム1000(商標)タイプの機械とすることができる。
【0020】
パウダ濃厚物は、1または複数回の処方のための所定量を以て使い捨て可能なカートリッジ11に充填されている。このカートリッジは、固定された下支持部材12と、中空ガイド13において下支持部材12に接近、離反可能に設けられた上支持部材14の間において前記機械に取り付けられている。前記ガイドは、前記機械の外側に設けられた鉛直取付レール16に取り付けられたホルダ15により支持されている。図1には詳細に図示されていないが、それ自体透析機械に関連して周知のように、前記カートリッジに水を通して前記パウダを水に溶かし込むための手段が設けられている。
【0021】
カートリッジ11(図2、3)は、半球形のドーム形端部を有した円筒形状を呈しており、射出成形されたプラスチック製、好ましくは、ポリプロピレン製の2つの部分11A、11Bから成り、この2つの部分は、外方に突き出した周フランジ17A、17Bにおいて溶接(mirrorwelding)により相互連結されている。一方の部分11A、つまり上部は、他の部分11B、つまり下部よりも大きな軸方向寸法を有しており、フランジ17A、17Bにおける2つの部分の接合はカートリッジの中心とはなっていない。上部のドーム形の端部には中空スタッドが形成されている。該中空スタッドは、上部11Aに連結された部分18と、部分18から突き出した部分19を有しており、部分18は部分19よりも大きな直径を有している。前記中空スタッドは、カートリッジ内部に連通し、かつ、外側の端部が該スタッドの端壁として形成された薄膜20により閉じられている。
【0022】
カートリッジの他方の部分11Bのドーム形の端部には、外ネジ22を有する頸部21が形成されている。前記頸部は、軸方向に延びる円形カラー23を有している。該カラーは、平滑な内周面24と、周方向に配列された鋸歯状の外周面25とを有している。キャップ26が、前記頸部に螺着される寸法にて形成され、溝が形成された或いはローレット処理された外周面と、内ネジ27と、端壁28とを有する。キャップの周部に複数のシヤーウェブ29が配設され、かつ、端壁とキャップにおけるその一部分の間にスリットまたは切欠30が配設されており、該シヤーウェブとスリットにより、前記端壁が前記キャップにおけるその一部分に連結される。前記スリットまたは切欠は前記シヤーウェブ29により架橋される。端壁28とシヤーウェブ29を有する前記キャップはプラスチック、好ましくは、カートリッジを形成するプラスチック、つまり、ポリプロピレンから射出成形により一体成形される。端壁28は中空スタッド31を有している。該中空スタッドは、前記端壁から突き出しており、かつ、該スタッドの端壁を形成する薄膜32により外側の端部が閉じられている。
【0023】
端壁28は、周方向に配列された鋸歯状の内周面33を有している。この鋸歯状の内周面は、前記頸部の鋸歯状の外周面25に対して反対方向に向けられている。更に、端壁28には、外周面35を有する環状膨出部34が形成されている。膨出部34には弁要素36が取り付けられている。弁要素は、軸方向に延びるカラー38を有する円形リング37を具備している。このカラーは、その内周面で外周面35に嵌合する寸法を有しており、かつ、内周面に環状ビード39が形成されている。該弁要素を、正しく膨出部34に取り付けると、前記ビードが外周面35に形成された環状溝にスナップ式に嵌まり込む。前記弁要素は、また、弁部材40を具備している。弁部材40は、概ね円筒状の形状をしており、かつ、円錐部41により連結された大径部42、小径部43、および、弁部材の下端部に設けられた端壁44とを有して成り、小径部43の外径は、前記中空スタッド31内に突出できるように、該中空スタッドの内径よりも小さくなっている。弁部材は上端部において、4つの細い弾性腕45により、リング37に対して軸方向に移動可能にリング37に連結されている。弁要素を膨出部34に取り付けると、弁部材40の小径部43がスタッド31内に突き出し、腕45のバネ作用により所定の圧力を以て円錐部41が、端壁28においてスタッド31が接合されている部分の内面に当接し、前記弁部材が端壁28に対して密封、係合状態で保持される。また、弁要素36は、好ましくは、ポリプロピレンから射出成形される。
【0024】
織物から成る、または、射出成形された、好ましくはポリプロピレン製のフィルタネット46が、リング37の上面に形成された凹所に配設され、かつ、超音波溶接により前記リングに連結されている。
【0025】
このように形成されたカートリッジは、フランジ17A、17Bにおける溶接の気密性を管理するために圧力試験を行った後に、1回の透析処理または複数回の透析処理のための量のパウダ(重炭酸ナトリウム)が前記頸部21から充填され、次いで、端壁28が前記頸部の端面に係合するまで、前記頸部にキャップ26が螺着される。カラー23の平滑な内周面24がカラー38の外周面に嵌合する。カラー38の外周面には前記頸部のカラー23と前記弁要素のカラー38の間をシールするための環状ビード47が形成されている。カラー38は、カラー23の内周面24と膨出部34の外周面35の間にクランプされ、弁要素36と頸部21の間および弁要素36と膨出部34の間に必要なシールを維持する。頸部21は半径方向のフランジ48を有している。該フランジは、前記キャップを螺着したときに、その内縁部49においてフィルタネット46の周縁部の上面に対して密封、係合し、弁要素36を前記キャップに対して位置決めする作用をなす。キャップが完全に螺着される直前に、歯25および歯33は、相互に係合するが、これらの歯は、このキャップの歯33が、前記頸部上の歯25と係合することなくこの歯と摺動してこのキャップが螺動されるのを可能にするように方向付けられているべきである。次いで、カートリッジは、透析機械に連結されるまで、貯蔵および輸送のために完全に閉じられる。前記ネット、弁要素、および、キャップを含むカートリッジの全ての部品は、一種類の同じプラスチックにより形成されるべきであり、その好ましい材料の1つは既述したようにポリプロピレンである。
【0026】
次に、図1に示す支持部材12、14を含み既述したカートリッジが取り付けられるホルダを、図5から図11および図13から図18を参照して説明する。
【0027】
固定式の下支持部材12に形成された孔51にブッシュ50が挿入される。該ブッシュの外周フランジ52により形成される肩部が前記支持部材の上面に当接する。大径部53にOリング54から成るガスケットが配設され、フランジにはOリング55から成る他のガスケットが配設される。ブッシュ50内には管56が配設されている。該管は、前記ブッシュに取付可能に形成され、或いは、前記ブッシュと一体成形することができる。前記管の上端は、套管に類似させて斜めに切り欠くことによりテーパ状に形成されており、かつ、下端は、他の管に連結するように形成されている。中心開口部58を有する蓋57がブッシュ50の上方に設けられ、下支持部材12に形成されたスロット59Aに係合する差込みカップリング手段59により支持部材12に取り付けられる。蓋57は腕57Aを有している。該腕の下面には突起57Bが形成されている。蓋を配置して回転させることにより差込みカップリングが係合し、蓋が正しい位置にくると、突起57Bが下支持部材の窪み60にスナップ式に受承される。蓋57は、Oリング54、55を下支持部材に対して正しい位置に保持する。
【0028】
上支持部材も同様の構成を有しており、既述した構成要素と同様の構成要素はダッシュを付して同じ参照番号にて指示されている。然しながら上支持部材の場合、リング61と、Oリング62から成るシールとが配設されている。蓋57’は、下支持部材の蓋57よりも大きな直径を有し、かつ、リング61を上支持部材に対して押圧、保持する。リング61が、次いで、開口部51’内にブッシュ50’を保持すると共に、Oリング54’、55’を正しい位置に保持する。リング61と蓋57’の間に配設されるOリング62は、リング61に受承され、かつ、このリングと前記蓋により正しい位置に保持される。
【0029】
上支持部材14に設けられた作動部材63は、水平軸64を中心として、図5から図8に示す位置から上方へ図10に示す位置に回動可能に設けられている。
前記作動部材には、上支持部材14の内側において、レバー65が連結されている作動部材63が図5から図8に示す位置にあるとき、レバー65の先端は、ガイド13に設けられた切欠66に係合する(図11参照)。こうして、上支持部材14は図11に示す位置に保持される。上支持部材に設けられ、かつ、腕65の凹所65Bに係合する突起65Aにより、作動部材はこの位置に保持される。
【0030】
作動部材63が、上方に回動すると、上支持部材14は、切欠66に係合するレバー65によりガイド13に沿って上方に2cm程移動する。ガイド13の切欠66は、持ち上げられる上支持部材のための当接部を構成する。作動部材63が更に上方へ図10に示す位置に回動すると、レバー65が切欠66から解除され、上支持部材14はガイド13に沿って自由に下方へ移動可能となる。図10に示す位置において、作動部材は凹所65Bに係合する上支持部材14の他の突起65Cにより保持される。上支持部材14が下方へ下支持部材12の方へ移動し(図15)、レバー65がガイド13の切欠67と係合するとき下位置(図16)となる。
【0031】
らせん状の管68(図13、14)が中空のガイド13内に配設されている。前記らせん状の管は、端部において下支持部材12と上支持部材14に取り付けられており、透析機械10内に設けられた水管路(図示せず)に連通し、上端において上支持部材14内の管56’に水を供給するために管56’に接続されている。他の管(図示せず)が下支持部材12内の管56に接続されており、これにより透析機械は、透析機械で使用するために濃厚な重炭酸ナトリウム溶液が供給される。
【0032】
パウダが充填されキャップ26により閉じられた既述のカートリッジ11が、図13において一点鎖線で示すように、下支持部材12と上支持部材14の間に後述するように取り付けられる。
【0033】
作動部材63を上方へ回動させて(図10)上支持部材14が上方へ2cm程度持ち上げられる。上支持部材14がこの位置において、カートリッジ11のキャップ26のスタッド31を下支持部材12の蓋57の中心開口部からブッシュ50へ挿通させる。スタッド31の周囲をOリング54がシールする。管56の先端が端壁32に対して移動し、カートリッジに十分な圧力が付与され、端壁が貫通される。図4において一点鎖線で示すように管56が端壁に対して押圧されたときに、回動式の蓋として上方に折れ曲がるように、端壁には円形の剪断線(shearline)が形成されている。管56は、ネジキャップ26が下支持部材12の蓋57に係合したときに、前記管が弁部材40に係合して腕45のバネ付勢力に対抗して端壁28の弁座から弁部材を持ち上げる長さを有している。カートリッジの下端をこのように下支持部材12に適用した後、作動部材63は、図11に示す位置へ下方に移動させられ、上支持部材14は、カートリッジ11の上端の中空スタッドの内径よりも小さな直径を有する部分19を上支持部材14のブッシュ50’内に受承し、Oリング54’が該スタッドの周囲をシールする。挿入に際して套管状の管56’の先端が中空スタッドの端壁20を貫通する。カートリッジの上端の中空スタッドの大きいほうの直径を有する部分18が、上支持部材14の蓋57’の中心開口部よりも非常に小さな直径を有しているので、この位置でリング62によるシールは機能しない。この時点で、透析処理用にカートリッジに水を供給してカートリッジ内に充填されたパウダを水に溶かすために、カートリッジは上支持部材14の管56’と下支持部材12の管56の間に取り付けられる。カートリッジからの溶液は濃厚されており、透析機械内で透析処理のために要求される濃度まで希釈される。図13に液体の流れを図示する。図13において、カートリッジ11は一点鎖線でのみ図示されている。然しながら図12の矢印は、カートリッジから頸部21、フィルタネット46、カラー23、38により形成される通路を通過し、腕45を通過し、上動した弁部材40と端壁28により形成される弁座の間を中空スタッド31へ流通し、そしてそこから管56へ流出する液体を示している。液体通路の外側にスリットまたは切欠30が配設されている。
【0034】
1回または複数回の処理が完了すると、作動部材53を上方に回動させることにより(図10)、上支持部材14が2cm程度持ち上げられ、使用済みカートリッジが取り外される。上支持部材の管56’がカートリッジの上端の中空スタッド19から引き抜かれ、カートリッジが下支持部材から持ち上げられ、ネジキャップ26が管56から引き抜かれ、腕45により弁部材40が再び端壁28の弁座に押圧される。これは、既述のカートリッジの重要な作用である。と言うのは、カートリッジを透析機械から取り外すときに、従来のカートリッジのように、カートリッジ内に残留する液体がカートリッジの下端から流出することがないからである。流出する液体が下支持部材および下支持部材の下側にある透析機械の部品を汚し、そしてこのことが透析機械を取り扱う者にとって非常に好ましくないことであることは言うまでもない。この時点で、カートリッジは流し等に運ぶことが可能となり、そこで、カートリッジの下端のネジキャップを取り外してカートリッジを空にすることができる。頸部21の歯の付いた外周面25と、ネジキャップ26の端壁28の歯の付いた内周面33の間の係合により、ネジキャップを緩めることはそれ自体防止されており、端壁28とネジキャップにおけるその一部分との間のシヤーウェブ29を切断して、弁要素36と共に端壁28をネジキャップにおけるその一部分から取り外さなければ、ネジキャップを緩めることができない。端壁を緩めてカートリッジ内部からキャップを通して液体を排出するための通路を開くために、キャップを少し回転させればよい。従って、キャップを完全に緩めて取り外す必要はない。端壁28は、端壁の膨出部34と弁のカラー38の間を十分にシールするために、両者間のとまりばめが必要であるとの事実のために、端壁28が緊密に前記頸部に張り付いている限り、キャップを緩めた後に、指により頸部から端壁を引き離す必要があるかもしれない。端壁が緩み落下すると、或いは、指で引き離すと、キャップは直ちにカートリッジを閉じるために使用することができなくなり、従って、間違った量、パウダを充填したり、カートリッジ内部が汚染される危険を伴って、使用現場でカートリッジにパウダを再充填することができなくなる。
【0035】
カートリッジは使用後廃棄されなければならないが、好ましい実施形態で説明したようにネジキャップと弁要素が1つの材料、例えばポリプロピレンで形成されている場合には、端壁を含むネジキャップと弁要素が同じであるので、その材料は再生可能であり、特定の都合の良い方法にて再生のために集めることができる。
【0036】
透析処理の後に、透析機械の洗浄、消毒サイクルが実施され、消毒液を一方の支持部材から他方の支持部材へ、両者間に取り付けたカートリッジを通して流通させる。洗浄、消毒サイクルを実施するために、既述したように、上支持部材14を下位置に移動させて下支持部材12に係合させる。作動部材63を上方へ回動させ(図10)、腕65をガイド13の上切欠66から解除し、管68を圧縮しながら上支持部材をガイドに沿って下方に図15の位置へ押し下げ、かつ、作動部材63を下方へ回動させ下切欠67に係合させ、上支持部材14を下支持部材12に係合させる(図16、18)。下支持部材12の蓋57が、上支持部材14の蓋57’を受承する(図17)。下支持部材12の蓋57は、図17に示すように、上支持部材14のOリング62が蓋57の外面に対してシールできる寸法にて形成されている。然しながら、支持部材の該位置においてOリング54、54’は、シール作用を果たさない。このとき、洗浄、消毒液を管68を通して上支持部材14に供給可能となる。流れの回路は、図18に示すように下支持部材12への短絡回路となる。図17から理解されるように、Oリング54、54’は、洗浄、消毒サイクルにおいて流通する液体に曝されている。このことは重要である。と言うのは、これらのOリングは、カートリッジの2つの端部における連結部をシールしなければならないが、Oリングに重炭酸塩の堆積やコーティングがあると、このシールが害されるからである。然しながら、Oリング62は洗浄する必要はない。と言うのは、このOリングは透析に際してシール作用を果たさないからである。
【0037】
必要に応じて差込みカップリングにより蓋57、57’を関連する支持部材から容易に取り外して、Oリングに接近、交換することができるので、前記Oリングは容易に交換可能である。また、管56、56’を有するブッシュ50、50’は、何回か使用した後に前記管の先端が鈍くなったときに、必要に応じて同じ理由から容易に交換することができる。このカートリッジのホルダは、メンテナンスおよび修理に適している。
【0038】
既述した実施形態は本発明の請求の範囲内で修正することができ、前記ネジキャップは他の形態にて構成することができる。
【0039】
例えば、弁は、実施形態において端壁28にて形成されていた弁部材の為の弁座を含むことができる。弁は、管56、56’の先端により貫通され、管が引き抜かれたときに再び自動的に閉じるスロットを有する薄膜または多孔性のエラストマ材料にて置換可能である。キャップの弁は、また、バネにより付勢されるボール弁にて構成することができる。要は、通常は閉止位置に保持され、かつ、カートリッジが透析装置に取り付けられたときに開放位置に調節されるように構成された弁であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
透析に用いられる透析機械用パウダカートリッジが提供される。
【0041】
(要約)
透析機械(10)用のネジキャップ(26)により閉じることのできる外ネジの形成された頸部(21)を有するパウダカートリッジ(11)の装置。前記ネジキャップに、前記パウダカートリッジを前記透析機械に取り付けることにより開放位置に調節することができる通常は閉止された弁(36)が設けられている。前記ネジキャップの端壁(28)と前記頸部(21)に、前記キャップに螺着したときに相互作用する手段(25、33)を設け、該手段が相互に係合して前記キャップが緩むことを防止する。前記ネジキャップの端壁(28)に、ネジキャップの一部分に前記破断式の連結部を設け、前記端壁と前記キャップにおけるその一部分との間の前記連結部(29)を破断して、前記端壁を前記キャップから分離することによってのみ前記キャップを緩めることができるようにした。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明による装置を備えた透析機械の斜視図である。
【図2】図2は、透析機械に取り付けられたパウダカートリッジの斜視図である。
【図3】図3は、パウダカートリッジの分解斜視図である。
【図4】図4は、頸部とネジキャップとを有するパウダカートリッジの下方部分およびネジキャップに設けられた閉止位置にある弁の断面図である。
【図5】図5は、パウダカートリッジのためのホルダの斜視図である。
【図6】図6は、ホルダの下支持部材の分解斜視図である。
【図7】図7は、ホルダの下支持部材の断面図である。
【図8】図8は、ホルダの上支持部材の分解斜視図である。
【図9】図9は、ホルダの上支持部材の断面図である。
【図10】図10は、パウダカートリッジを取り付けていないホルダの側面図である。
【図11】図11は、パウダカートリッジを取り付けたホルダの側面図である。
【図12】図12は、開放位置にある弁と共に示すパウダカートリッジの下方部分の図4と同様の断面図である。
【図13】図13は、液体の流と共に示す図11と同様の側面図である。
【図14】図14は、水の流れと共に示すホルダおよび上支持部材の平面図である。
【図15】図15は、上支持部材が下位置にある状態のホルダの側面図である。
【図16】図16は、洗浄、消毒サイクルを実施するために支持部材を連結した状態で示すホルダの側面図である。
【図17】図17は、図16に示す位置にある支持部材の断面図である。
【図18】図18は、洗浄サイクルの間の水の流を示す図16と同様の図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析機械用のパウダカートリッジであって、
外ネジの形成された頸部、
該頸部に適合され、かつ端壁を備えるネジキャップ、
該ネジキャップ中の通常は閉止された弁であって、該パウダカートリッジを該透析機械に取り付けることによって開放位置に調節され得る弁、
該端壁および該頸部上の手段であって、該頸部に該ネジキャップを螺着させるとき、該手段が相互に係合し、該頸部からの該ネジキャップの緩みを防ぐ手段、および
該端壁と該ネジキャップの一部分との間の破断式の連結部であって、該破断式の連結部を破断して該端壁を該ネジキャップから分離した状況でのみ該ネジキャップを緩ませ得る連結部、を備える、パウダカートリッジ。
【請求項1】
透析機械用のパウダカートリッジであって、
外ネジの形成された頸部、
該頸部に適合され、かつ端壁を備えるネジキャップ、
該ネジキャップ中の通常は閉止された弁であって、該パウダカートリッジを該透析機械に取り付けることによって開放位置に調節され得る弁、
該端壁および該頸部上の手段であって、該頸部に該ネジキャップを螺着させるとき、該手段が相互に係合し、該頸部からの該ネジキャップの緩みを防ぐ手段、および
該端壁と該ネジキャップの一部分との間の破断式の連結部であって、該破断式の連結部を破断して該端壁を該ネジキャップから分離した状況でのみ該ネジキャップを緩ませ得る連結部、を備える、パウダカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−181377(P2006−181377A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51352(P2006−51352)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【分割の表示】特願平9−505081の分割
【原出願日】平成8年7月3日(1996.7.3)
【出願人】(500544233)アルティン メディカル アーベー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【分割の表示】特願平9−505081の分割
【原出願日】平成8年7月3日(1996.7.3)
【出願人】(500544233)アルティン メディカル アーベー (2)
【Fターム(参考)】
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