説明

透析液調製方法および透析液調製装置

【解決手段】 A粉末溶解手段1およびB粉末溶解手段1は、透析用A粉末および透析用B粉末をそれぞれ浄水に溶解させてA溶液およびB溶液を作成し、その際該A溶液およびB溶液を所定割合で混合すれば、浄水を添加することなく上記透析液が得られるように、予め上記A溶液およびB溶液を所定濃度で作成する。
透析液調製装置3の計量手段4は、上記A溶液およびB溶液を上記所定割合で混合されるように往復ポンプ5に送液し、往復ポンプ5では上記設定濃度のA溶液とB溶液とが上記所定割合で混合されるので、浄水を添加することなく上記透析液を調製することができる。
【効果】 容易に透析液を調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透析液調製方法および透析液調製装置に関し、詳しくは透析用A粉末および透析用B粉末をそれぞれ浄水に溶解したA溶液およびB溶液を混合して透析液を調製する透析液調製方法および透析液調製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透析治療に用いる透析液の調製方法として、A原液、B原液、浄水をそれぞれ所定の比率で混合することが行われており(特許文献1、2)、また上記A原液およびB原液は透析用A粉末および透析用B粉末をそれぞれ浄水で溶解して得られることが知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特公平5−34988号公報
【特許文献2】特開平7−275352号公報
【特許文献3】特開平10−232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、透析液を調製するためのA原液、B原液、浄水の混合比は、例えば1:1.26:32.74となっており、特許文献3のように透析用A粉末、透析用B粉末を浄水で溶解してA原液、B原液を作成する場合も、浄水と上記混合比で混合して透析液が得られるような溶解濃度で作成されるようになっている。
そのため、透析液を調製するには、上記粉末を浄水で溶解して原液を作成した後、この原液をさらに浄水で希釈しなければならず、作業が煩雑であるという問題があった。
また、従来の透析液調製装置は、それぞれ送液されたA原液、B原液、浄水を混合する2つの混合タンクと、各混合タンクで調製された透析液を収容する貯溜タンクとを備えており、各混合タンクは調製した透析液を交互に貯溜タンクへと送液し、この貯溜タンクから連続的に多数の透析装置に同時に供給するようになっている。
このため、上記混合タンクや貯液タンクを小さくすることができず、装置を小型化できないといった問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は透析液を容易に調製することが可能であるとともに、装置を小型化することの可能な透析液調製方法および透析液調製装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、請求項1の発明にかかる透析液調製方法は、透析用A粉末および透析用B粉末をそれぞれ浄水に溶解させてA溶液およびB溶液を作成し、該A溶液およびB溶液を混合して透析液を調製する透析液調製方法において、
上記A溶液およびB溶液を所定割合で混合すれば浄水を添加することなく上記透析液が得られるように、予め上記A溶液の濃度、B溶液の濃度および上記所定割合を設定し、
次に、上記透析用A粉末を浄水に溶解させて上記設定濃度のA溶液を作成するとともに、上記透析用B粉末を浄水に溶解させて上記設定濃度のB溶液を作成し、
さらに上記設定濃度のA溶液とB溶液とを上記所定割合で混合させて、浄水を添加することなく上記透析液を調製することを特徴としている。
【0005】
また請求項3の発明にかかる透析液調製装置は、所定割合で混合すれば浄水を添加することなく透析液が得られるように設定された設定濃度のA溶液と設定濃度のB溶液とをそれぞれ計量する計量手段と、該計量手段で計量したA溶液およびB溶液を混合して透析液を作成する混合手段と、計量手段から混合手段へA溶液およびB溶液を送液する送液手段とを備え、
上記計量手段は、A溶液およびB溶液を上記混合手段において上記所定割合が得られるように同回数計量し、上記送液手段によって上記混合手段に送液することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、上記A溶液およびB溶液を所定割合で混合すれば浄水を添加することなく上記透析液が得られるように、予め上記A溶液の濃度、B溶液の濃度および上記所定割合を設定しているので、A溶液およびB溶液だけを混合すれば透析液が得られ、容易に透析液を調製することができる。
また請求項3にかかる上記透析液調製装置では、上記混合装置がA溶液およびB溶液を混合するだけで透析液を調製することができるので、これを直ちに透析装置に供給することができ、従来のような2槽の混合タンクや大型の貯溜タンクが必要ではなくなるので、透析液調製装置を小型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、第1実施例について説明すると、図1〜図4には透析用A粉末を浄水に溶解させてA溶液を作成するA粉末溶解手段1と、透析用B粉末を浄水に溶解させてB溶液を作成するB粉末溶解手段2と、これらA溶液とB溶液とを混合して透析液を調製する透析液調製装置3とを示し、これらは図示しない各制御手段によって制御されるようになっている。
上記透析液調製装置3は、A粉末溶解手段1およびB粉末溶解手段2から供給されるA溶液およびB溶液を計量する計量手段4と、計量されたA溶液およびB溶液を送液する送液手段と、送液されたA溶液およびB溶液を混合して透析液を調製し、該透析液を図示しない透析装置に供給する混合手段としての往復ポンプ5とを備えている。
上記A粉末溶解手段1およびB粉末溶解手段2には浄水を供給する浄水通路6が接続され、A粉末溶解手段1と透析液調製装置3の計量手段4との間にはA溶液通路7が、B粉末溶解手段2と透析液調製装置3の計量手段4との間にはB溶液通路8が、計量手段4と往復ポンプ5との間にはA溶液B溶液通路9が、往復ポンプ5と透析装置との間には透析液通路10がそれぞれ配設されている。
そしてA溶液通路7およびB溶液通路8は、それぞれA粉末、B粉末溶解手段1、2側となる排出路7a,8aと、透析液調製装置3側となる導入路7b、8bと、これらを接続する接続部7c、8cとから構成されており、上記接続部7c、8cによって上記A粉末溶解手段1およびB粉末溶解手段2が上記透析液調製装置3と接続されるようになっている。
【0008】
上記浄水通路6には図示しない浄水供給手段からの浄水が流通し、途中で分岐してそれぞれ上記A粉末溶解手段1およびB粉末溶解手段2に接続されている。
該浄水通路6には上流側から順に、第1開閉弁SV1、流量調整弁FV1、ヒーター11、第1送液ポンプP1、脱気槽12が設けられ、分岐したA粉末溶解手段1側の浄水通路6には第2開閉弁SV2、B粉末溶解手段2側の浄水通路6には第3開閉弁SV3がそれぞれ設けられている。
上記流量調整弁FV1は所定流量の浄水を流通させ、上記ヒーター11は浄水を所定温度まで上昇させ、脱気槽12ではこの浄水から空気を除去するようになっている。
【0009】
上記A粉末溶解手段1は、上記浄水通路6の接続されたA溶液タンク21と、透析用A粉末を貯溜するA粉末ホッパ22と、該A溶液タンク21に透析用A粉末を投入するA粉末フィーダ23とを備えている。
上記A溶液通路7には、排出路7aにA溶液タンク21の液体を送液する第2送液ポンプP2と、第2送液ポンプP2の下流側の位置で排出路7aから分岐するとともにA溶液タンク21に接続されるA溶液循環通路24と、該A溶液循環通路24に設けられた第1リリーフ弁RV1とを備え、導入路7bには第4開閉弁SV4を備えている。
上記A溶液タンク21には、上記浄水通路6を流通した浄水が上記第2開閉弁SV2を介して所定の流量で供給され、この浄水に上記A粉末フィーダ23がA粉末ホッパ22内の透析用A粉末を所定の割合で供給して溶解させるようになっている。
A溶液タンク21にはA溶液の液面位置を検出する液面センサLSが設けられており、液面が高くなりすぎた場合や低くなりすぎた場合には、一時的にA溶液の作成を停止したり、上記制御手段が所要の警告を出力するようになっている。
上記第2送液ポンプP2はA溶液タンク21内の液体を送液するようになっており、第4開閉弁SV4が閉鎖された状態だと、送液された液体はA溶液循環通路24を流通してA溶液タンク21へと循環するようになっている。
このとき、上記第1リリーフ弁RV1により上記液体の逆流が防止され、さらに該液体の循環によりA溶液タンク21内の液体が攪拌されるので、透析用A粉末が浄水に溶解し、A溶液が作成されるようになっている。
【0010】
上記B粉末溶解手段2は、上記浄水通路6の接続されたB溶液タンク31と、透析用B粉末を貯溜するB粉末ホッパ32と、該B溶液タンク31に透析用B粉末を投入するB粉末フィーダ33とを備えている。
上記B溶液通路8には、排出路8aにB溶液タンク31の液体を送液する第3送液ポンプP3と、第3送液ポンプP3の下流側の位置で排出路8aから分岐してB溶液タンク31に接続されたB溶液循環通路34と、該B溶液循環通路34に設けられた第2リリーフ弁RV2とを備え、導入路8bには第5開閉弁SV5が設けられている。
なお、B粉末溶解手段2の構成および動作自体は上記A粉末溶解手段1と同じなので、詳細な説明は省略し、またこのような粉末溶解手段としては、従来公知の透析用の粉末溶解装置を使用することが可能となっている。
【0011】
上記計量手段4は、内部がダイアフラム4aによって区画され、A溶液通路7を介してA溶液が流入するA溶液室4Aと、B溶液通路8を介してB溶液が流入するB溶液室4Bとを有する密閉容器となっており、これらA溶液室4AおよびB溶液室4Bによる溶液の収容可能量は等しくなっている。
上記A溶液B溶液通路9は、それぞれ上記A溶液室4AおよびB溶液室4Bに接続された後に合流し、その後再び分岐して上記往復ポンプ5の両端に接続されており、上記合流部には第4送液ポンプP4および流れ検出センサFSが設けられている。
そして、第4送液ポンプP4とA溶液室4Aとの間には第6開閉弁SV6が、B溶液室4Bとの間には第7開閉弁SV7がそれぞれ設けられ、第4送液ポンプP4と往復ポンプ5との間には、一方の分岐路に第8開閉弁SV8が、他方の分岐路には第9開閉弁SV9がそれぞれ設けられている。
このような構成により、例えば第4、第7開閉弁SV4、SV7が開放され、第5、第6開閉弁SV5,SV6が閉鎖された状態で、第2送液ポンプP2がA溶液を送液すると、該A溶液は計量手段4のA溶液室4Aに供給され、ダイアフラム4aが変形してA溶液室4Aの容積が増大する。
この際、B溶液室4Bからは第4送液ポンプP4の作用によりB溶液が排出され、このB溶液は第8、第9開閉弁SV8,SV9の開放されているいずれか一方の分岐路を介して往復ポンプ5へと送液されるようになっている。
そしてB溶液室4Bが消滅するまでA溶液室4AにA溶液を供給し、逆にA溶液室4Aが消滅するまでB溶液室4BにB溶液を供給することを交互に行うことで、計量手段4から往復ポンプ5へと、交互に同量のA溶液およびB溶液を送液することができる。
このように本実施例では、計量手段4と往復ポンプ5との間で流路を開閉する第6、第7、第8、第9開閉弁SV6,SV7,SV8、SV9および、第4送液ポンプP4により本発明の送液手段を構成している。
なお、上記第2、第3送液ポンプP2、P3による流入圧によって、A溶液室4AまたはB溶液室4BからA溶液およびB溶液が排出される場合には、上記第4送液ポンプP4を省略することも可能である。
またこの場合、第2、第3ポンプP2,P3を、透析液調製装置3側の導入路8b、9bのそれぞれに設けるようにしてもよい。
【0012】
上記往復ポンプ5は、筒状のタンク41と、該タンク41内を摺動しながら往復動するピストン42と、該ピストン42を貫通して設けられたロッド43と、上記タンク41に対して離隔した位置に設けられたリミットスイッチ44とを備えている。
上記タンク41の内部には上記ピストン42の左右に混合室41a、41bが形成されており、この左右の混合室41a、41bには、分岐したA溶液B溶液通路9と、同じく分岐した上記透析液通路10とがそれぞれ接続されている。
上記透析液通路10は各混合室41a、41bの下流となる位置で合流し、透析液の濃度を測定する2つの濃度センサCDと、該濃度センサCDの下流で分岐する排液通路45と、排液通路45の分岐位置よりも下流に設けられた第1モータ弁MV1と、第2モータ弁MV2とが設けられている。
第1モータ弁MV1の下流側の透析液通路10は、図示しないが分岐した後複数台の透析装置に接続されており、排液通路45における第2モータ弁MV2の下流側は排液口となっており、図示しない排液管に連結されている。
上記A溶液B溶液通路9に設けられた上記第8、第9開閉弁SV8,SV9は、いずれか一方のみが開放されるようになっており、このため上記往復ポンプ5にはいずれか一方の混合室41a、41bにのみA溶液およびB溶液が流入するようになっている。
そしてA溶液およびB溶液が交互に同じ回数だけ流入することで、例えば、一方の混合室41bではA溶液とB溶液とが混合されて透析液が調製され、さらにピストン42が反対側となる他方の混合室41a側に押圧されて、該他方の混合室41aからは先に調製された透析液が透析液通路10へ排出されるようになっている。
上記ロッド43はタンク41の図示両側に突出しており、ピストン42が往復動して所定の右方端または左方端まで移動すると、いずれか一方のリミットスイッチ44に接触し、制御手段が所要の警告を出力するようになっている。
【0013】
以下、透析液調製装置3を用いた透析液調製方法について説明する。
まず、本実施例で調製する透析液について説明すると、本実施例ではニプロ株式会社製「リンパックTA3」(登録商標)を用いて透析液を調製し、本製剤のA剤(透析用A粉末)には塩化ナトリウムや塩化カリウムが含まれ、B剤(透析用B粉末)には炭酸水素ナトリウムが含まれている。
そして本実施例におけるA粉末溶解手段1では、約1.703w/v%の濃度でA溶液を作成し、B粉末溶解手段2では、約0.419w/v%の濃度でB溶液を作成する。
このような濃度でA溶液およびB溶液を作成することで、これらに浄水を添加せずとも、A溶液およびB溶液を1:1の割合で混合すれば、本来の用法によって調製された透析液と同じ成分の透析液を得ることができる。
なお、上記製剤の本来の用法では、予めA剤2682gを浄水で溶解して9LのA原液を作成し、B剤661.6gを浄水で溶解して11.34LのB原液を作成する必要がある。この場合の上記A原液におけるA剤の濃度は29.8w/v%であり、上記B原液におけるB剤の濃度は約5.83w/v%である。
そして、このようにして作成したA原液およびB原液を用いて、上記A原液、B原液、浄水を1:1.26:32.74の比率で混合し、透析液を調製するようになっている。
【0014】
次に、図1は既に透析液調製装置3が通常の運転状態になっているものとして説明する。
図1では、浄水通路6の第2開閉弁SV2が閉鎖されるとともに第3開閉弁SV3が開放され、A粉末溶解手段1には浄水が供給されずにB粉末溶解手段2には浄水が供給されている。
そしてA粉末溶解手段1ではA溶液の作成を停止しており、上記第4開閉弁SV4が開放されることで、第2送液ポンプP2が送液したA溶液はA溶液循環通路24で循環せずに上記計量手段4のA溶液室4Aに流入する。
一方、B粉末溶解手段2ではB溶液の作成を行っており、上記第5開閉弁SV5は閉鎖されているので、第3送液ポンプP3が送液したB溶液は上記B溶液循環通路34とB溶液タンク31とを循環して透析用B粉末と浄水とを攪拌するようになっている。
【0015】
また図1では、透析液調製装置3のA溶液B溶液通路9の第6開閉弁SV6が閉鎖され、第7開閉弁SV7が開放されており、上記A溶液通路7を流通したA溶液が計量手段4のA溶液室4Aに流入し、このA溶液はA溶液B溶液通路9には排出されないようになっている。
計量手段4では、第7開閉弁SV7が開放されることで、B溶液室4Bから往復ポンプ5へB溶液が送液され、A溶液がA溶液室4Aに流入することで、ダイアフラム4aが押されてA溶液室4Aの容積が増大する。
そして、計量手段4のB溶液室4Bが消滅してA溶液室4Aが最大の容積となることで、計量手段4によって所定量のA溶液が計量されるとともに、これと等量のB溶液が往復ポンプ5へ送液される。
【0016】
さらに図1では、A溶液B溶液通路9の第8開閉弁SV8が閉鎖され、第9開閉弁SV9が開放されており、上記計量手段4のB溶液室4Bから排出されたB溶液は上記第4送液ポンプP4によって送液され、第9開閉弁SV9を介して上記往復ポンプ5の図示右側の混合室41bに流入している。
B溶液が流入することで、ピストン42は図示左方に移動し、これにより図示左方の混合室41a内に貯溜された透析液が透析液通路10に排出される。
排出された透析液は透析液通路10に設けられた濃度センサCDによって濃度が測定され、透析液の濃度が適正であれば、上記第1モータ弁MV1が開放されて、排液通路45の第2モータ弁MV2が閉鎖され、透析液は透析液通路10を介して透析装置に送液される。
逆に、透析液の濃度に異常がある場合には、上記第1モータ弁MV1が閉鎖されて、排液通路45の第2モータ弁MV2が開放され、透析液は排液通路45を介して排液される。
なお、透析液調製装置3の作動開始時において、所定濃度の透析液が安定的に供給されるまでは、第2モータ弁MV2を開放して、液体を排液管に排液するようになっている。
【0017】
図2は上記図1の状態から所定時間経過した状態を示している。
具体的には、上記図1における計量手段4においてB溶液室4Bがダイアフラム4aに押されて消滅し、上記A溶液B溶液通路9の流れ検出センサFSにおいてB溶液の流通が検出されなくなると、各開閉弁SV4〜7が図1の状態から図2の状態へと切り替わるようになっている。
図2では、浄水通路6の第2開閉弁SV2が開放されるとともに第3開閉弁SV3が閉鎖され、A粉末溶解手段1に浄水が供給されてB粉末溶解手段2への浄水の供給は停止されている。
そしてA粉末溶解手段1ではA溶液の作成を開始され、上記第4開閉弁SV4は閉鎖されているので、第2送液ポンプP2が送液したA溶液はA溶液循環通路24で循環してA溶液タンク21内の透析用A粉末と浄水とを攪拌するようになっている。
一方、B粉末溶解手段2ではB溶液の作成を中止し、上記第5開閉弁SV5は開放されているので、第3送液ポンプP3が送液したB溶液は上記B溶液循環通路34で循環せずに上記計量手段4のB溶液室4Bに流入する。
【0018】
また図2では、A溶液B溶液通路9の第6開閉弁SV6が開放されて、第7開閉弁SV7が閉鎖されており、上記B溶液通路8を流通したB溶液が計量手段4のB溶液室4Bに流入し、このB溶液はA溶液B溶液通路9には排出されないようになっている。
計量手段4では、第6開閉弁SV6が開放されることで、A溶液室4Aから往復ポンプ5へA溶液が送液され、B溶液がB溶液室4Bに流入することで、ダイアフラム4aが押されてB溶液室4Bの容積が増大する。
そして、計量手段4のA溶液室4Aが消滅してB溶液室4Bが最大の容積となることで、計量手段4によって所定量のB溶液が計量されるとともに、これと等量のB溶液が排出される。
【0019】
さらに図2では図1のときと同様、A溶液B溶液通路9の第8開閉弁SV8が閉鎖され、第9開閉弁SV9が開放されており、上記A溶液室4Aから排出されたA溶液は上記第4送液ポンプP4により第9開閉弁SV9を介して上記往復ポンプ5の図示右側の混合室41bに流入している。
混合室41bには図1において既にB溶液が流入しており、この混合室41bにはB溶液と同量のA溶液が流入するので、混合室41b内でA溶液とB溶液とが1:1の割合で混合されることとなる。
このとき、予めA粉末溶解手段1およびB粉末溶解手段2が上述した濃度でA溶液およびB溶液を作成しているので、この混合室41bに新たに浄水を供給しなくとも、A溶液とB溶液とを混合するだけで透析液を得ることができる。
さらに、混合室41bにA溶液が流入することで、ピストン42がさらに図示左方に移動し、これにより図示左方の混合室41a内の透析液は透析液通路10に排出され、上述したように透析装置へと供給される。
【0020】
図3は上記図2から所定時間経過した状態を示している。
具体的には、上記図2における計量手段4においてA溶液室4Aがダイアフラム4aに押されて消滅し、上記A溶液B溶液通路9の流れ検出センサFSにおいてA溶液の流通が検出されなくなったら、各開閉弁SV4〜7が図2から図3に切り替わるようになっている。
ここでは、上記図1の状態と同様、A粉末溶解手段1ではA溶液の作成を中止する一方で、B粉末溶解手段2ではB溶液の作成を行っており、計量手段4にはA溶液が供給されるようになっている。
また、計量手段4ではA溶液室4AにA溶液が供給されてB溶液室4BからB溶液が排出され、このときもB溶液室4Bが消滅するまでことで、計量手段4によって一定量のA溶液が計量され、一方でA溶液と同量のB溶液が送液されるようになっている。
【0021】
そして、この図3の状態では、図1、図2の状態と異なり、A溶液B溶液通路9の第8開閉弁SV8が開放され、第9開閉弁SV9が閉鎖されている。
つまり、図1、図2において、計量手段4によりA溶液、B溶液が同回数ずつ(本実施例では1回ずつ)計量され、図示右側の混合室41bにそれぞれ1回ずつ同量のA溶液とB溶液が流入して、該混合室41bに所定量の透析液が調製されたので、図3では左側の混合室41aにB溶液が供給されるようになっている。
これにより、上記計量手段4のB溶液室4Bから送液されたB溶液は上記第4送液ポンプP4によって第8開閉弁SV8を介して上記往復ポンプ5の図示左側の混合室41aに流入する。
B溶液が流入することで、ピストン42が図示右方に移動し、これにより図2において調製された図示右方の混合室41b内の透析液は透析液通路10を介して透析装置に送液される。
【0022】
図4は上記図3の状態から所定時間経過した状態を示している。
具体的には、上記図3における計量手段4においてB溶液室4Bがダイアフラム4aに押されて消滅し、上記A溶液B溶液通路9の流れ検出センサFSにおいてB溶液の流通が検出されなくなったら、図3の状態から図4の状態に切り替わるようになっている。
ここでは、上記図2の状態と同様、A粉末溶解手段1はA溶液の作成を行っており、B粉末溶解手段2ではB溶液の作成を中止し、計量手段4にはB溶液が供給されるようになっている。
また、計量手段4ではB溶液室4BにB溶液が供給されてA溶液室4AからA溶液が排出され、このときもA溶液室4Aが消滅するまでことで、密閉容器からなる計量手段4に収容可能な一定量のB溶液が計量され、計量されたB溶液と同量のA溶液が送液されるようになっている。
【0023】
次に、図4の状態では図3のときと同様、A溶液B溶液通路9の第8開閉弁SV8が開放されて、第9開閉弁SV9が閉鎖され、A溶液室4Aから排出されたA溶液は上記第3送液ポンプP3によって第8開閉弁SV8を介して上記往復ポンプ5の図示左側の混合室41aに流入する。
この混合室41aには図3において既にB溶液が流入しており、この混合室41aにこのB溶液と同量のA溶液が流入するので、この混合室41a内でA溶液とB溶液と1:1の割合で混合され、透析液が調製される。
さらに、A溶液が流入することでピストン42が図示右方に移動し、これにより図示右方の混合室41b内の透析液は透析液通路10を介して透析装置に送液される。
そして、図示左方の混合室41aに同じ回数だけA溶液とB溶液とが流入すると、再び図1の状態に切り替わり、以後図1〜図4の状態に切り替わりながら、連続して透析液を透析装置に供給することができるようになっている。
【0024】
上記実施例によれば、上記A粉末溶解手段1およびB粉末溶解手段2が予めA溶液およびB溶液を上述した濃度で作成しているので、透析液調製装置3において計量手段4がA溶液およびB溶液を同量ずつ同回数計量して往復ポンプ5に送液すれば、1:1の割合でA溶液およびB溶液が混合されて、浄水を添加しなくても透析液を得ることができ、容易に透析液を調製することが可能である。
また、上記計量手段4として、ダイアフラム4aで2つに区画された密閉容器により計量を行っているので、A溶液およびB溶液を1:1の割合で同量ずつ交互に往復ポンプ5に送液することができ、精密ポンプ等によって送液量を厳密に管理せずとも透析液を調製することができる。
これに対し、従来の透析液調製装置3によれば、A原液と、B原液と、浄水とをそれぞれ所定の比率(1:1.26:32.74)で混合しなければならず、これらを精密に計量する必要があることから、透析液の調製にかかる作業が煩雑となり、またこれに伴って構成が複雑になるという問題があった。
また、上記A溶液およびB溶液を上記往復ポンプ5内で混合すれば透析液が得られるので、混合タンクおよび貯溜タンクをそれぞれ備えなければならない従来技術に比べて、構成が簡素となり、装置の小型化を図ることができる。
さらに、計量手段4および往復ポンプ5は、密閉された容器内に、容積変動可能な混合室41a、41bを備えているので、内部の液体が外気に触れることがなく、作成された透析液に空気中の細菌や微粒子が混入することがない。
そして、上記A溶液およびB溶液は従来公知のA粉末溶解装置およびB粉末溶解装置を使用して作成することができ、既に病院等に設置されている機器を使用することで低コストに導入することが可能である。
【0025】
図5、図6は本発明にかかる第2実施例を示し、透析用A粉末を浄水に溶解させてA溶液を作成するA粉末溶解手段101と、透析用B粉末を浄水に溶解させてB溶液を作成するB粉末溶解手段102と、これらA溶液とB溶液とを混合して透析液を調製する透析液調製装置103とを示している。
なお、以下の説明において上記A粉末溶解手段101およびB粉末溶解手段102は第1実施例と同様の構成を有するので詳細な説明を省略し、図においては第1実施例に使用した符号に100を加算した符号を付すものとする。
上記透析液調製装置103は、A粉末溶解手段101およびB粉末溶解手段102より供給されたA溶液およびB溶液を計量する計量手段としてのA溶液密閉容器104およびB溶液密閉容器105と、これらが計量したA溶液およびB溶液を送液する送液手段と、A溶液およびB溶液を混合して透析液を作成するとともに、該透析液を図示しない透析装置に供給する混合手段としてのアキュームタンク106とを備えている。
上記A溶液密閉容器104およびB溶液密閉容器105は、溶液の収容可能量が等しくなっており、両者で同じ量を計量することが可能となっている。
また、上記A粉末溶解手段101およびB粉末溶解手段102には浄水を供給する浄水通路107が接続され、A粉末溶解手段101とA溶液密閉容器104との間にはA溶液供給通路108が、B粉末溶解手段102とB溶液密閉容器105との間にはB溶液供給通路109が、A溶液密閉容器104とアキュームタンク106との間にはA溶液排出通路110a,110bが、B溶液密閉容器105とアキュームタンク106との間にはB溶液排出通路111a,111bが配置されており、アキュームタンク106と透析装置との間には透析液通路112が配設され、該透析液通路112には、アキュームタンク106から透析液を下流側に送液する第4送液ポンプP4が設けられている。
そして上記浄水通路107には、上流側から順に、第1開閉弁SV1、流量調整弁FV1、ヒーター113、第1送液ポンプP1、脱気槽114が設けられ、分岐したA粉末溶解手段101側には第2開閉弁SV2、B粉末溶解手段102側には第3開閉弁SV3がそれぞれ設けられている。
【0026】
A溶液密閉容器104はダイアフラム104aによって、収容可能量の等しい2つのA溶液室104Aからなる2室に区画されている。
上記A溶液供給通路108は、A粉末溶解手段101側の排出路108a、透析液調製装置103側の導入路108b、これらを接続する接続部108cとから構成されている。
上記排出路108aには第2送液ポンプP2が設けられ、その下流からA溶液循環通路124が分岐してA溶液タンク121に接続され、該A溶液循環通路124にはリリーフ弁RV1が設けられている。
また導入路108bには、A溶液の流通の有無を検出するA溶液流れ検出センサFS1が設けられ、該A溶液流れ検出センサFS1の下流側で導入路108bは2つに分岐している。
分岐した導入路108bはそれぞれ上記A溶液密閉容器104の各A溶液室104Aに接続され、第4、第5開閉弁SV4,SV5が各々に対応して設けられている。
さらに、各A溶液室104Aにはそれぞれ上記A溶液排出通路110a,110bが接続されるとともに、A溶液排出通路110aには第6開閉弁SV6が、A溶液排出通路110bには第7開閉弁SV7が設けられている。
上記導入路108bの送液可能流量は上記第2送液ポンプP2の送液流量よりも小流量に設定されており、このため、排出路108aでは一部のA溶液が上記A溶液循環通路124を介してA溶液タンク121へと循環し、透析用A粉末と浄水との攪拌が行われるようになっている。
【0027】
上記A溶液密閉容器104と同様、B溶液密閉容器105はダイアフラム105aによって、収容可能量の等しい2つのB溶液室105Aからなる2室に区画されており、これらB溶液室105Aの収容可能量は、A溶液密閉容器104のA溶液室104Aとも等しくなっている。
上記B溶液供給通路109は、B粉末溶解手段102側の排出路109a、透析液調製装置103側の導入路109b、これらを接続する接続部109cとから構成されている。
上記排出路109aには第3送液ポンプP3が設けられ、その下流からB溶液循環通路134が分岐してB溶液タンク131に接続され、該B溶液循環通路134にはリリーフ弁RV2が設けられている。
また導入路109bには、B溶液の流通の有無を検出するB溶液流れ検出センサFS2が設けられ、該B溶液流れ検出センサFS2の下流側で導入路109bは2つに分岐している。
分岐した導入路109bはそれぞれ上記B溶液密閉容器105の各B溶液室105Aに接続され、第8、第9開閉弁SV8,SV9が各々に対応して設けられている。
さらに、各B溶液室105Aにはそれぞれ上記B溶液排出通路111a,111bが接続されるとともに、B溶液排出通路111aには第10開閉弁SV10が、B溶液排出通路111bには第11開閉弁SV11が設けられている。
上記導入路109bの送液可能流量は上記第3送液ポンプP3の送液流量よりも小流量に設定されており、このため、排出路109aでは一部のB溶液が上記B溶液循環通路134を介してB溶液タンク131へと循環し、透析用B粉末と浄水との攪拌が行われるようになっている。
【0028】
上記アキュームタンク106は、筒状のタンク141と、該タンク141内を摺動しながら往復動するピストン142と、該ピストン142を付勢する付勢手段としてのばね143と、上記ピストン142に設けられたロッド144と、上記タンク141に対して離隔した位置に設けらたリミットスイッチ145とを備えている。
上記タンク141は上記ピストン142によって、ばね143、ロッド144を設けた側とは反対の図示右方に混合室141aが形成されており、この混合室141aには、上記A溶液排出通路110a、110bおよびB溶液排出通路111a、111bと、透析液通路112とがそれぞれ接続されている。
上記ばね143はピストン142を常時混合室141aの容積を減少させる方向(図示右方)に付勢しており、第4送液ポンプP4により混合室141a内の透析液が透析液通路112に排出されると、ばね143の付勢により混合室141aの容積を減少させるようにピストン142が図示右方に移動して、混合室141a内は常時透析液が充満した大気に触れない状態に保持されるようになっている。
上記ロッド144はタンク141の図示左方に突出しており、ピストン142が図示左方端まで移動すると、上記リミットスイッチ145に接触するように設けられており、リミットスイッチ145が作動すると制御手段が所要の警告を出力するようになっている。
【0029】
このような構成において、図5に示すように第4、第7開閉弁SV4、SV7を閉鎖して、第5、第6開閉弁SV5、SV6を開放することでアキュームタンク106へA溶液を送液すると同時に、第8、第11開閉弁SV8、SV11を閉鎖して、第9、第10開閉弁SV9、SV10を開放することでアキュームタンク106へB溶液を送液する。
この状態では、A溶液はA溶液密閉容器104の図示右方のA溶液室104Aに供給される一方、図示左方のA溶液室104Aから排出され、A溶液排出通路110aの第6開閉弁SV6を介してアキュームタンク106へと送液される。
これと同時に、B溶液はB溶液密閉容器105の図示右方のB溶液室105Aに供給される一方、図示左方のB溶液室105Aから排出され、B溶液排出通路111aの第10開閉弁SV10を介してアキュームタンク106へと送液される。
このように本実施例においては、A溶液密閉容器104およびB溶液密閉容器105のそれぞれから、同時にアキュームタンク106へ送液するようになっており、A溶液密閉容器104およびB溶液密閉容器105の図示左方のA溶液室104AおよびB溶液室105Aは同時に消滅して、その後上記各開閉弁の開閉状態を切り換えると、今度は図示左方のA溶液室104AおよびB溶液室105AにそれぞれA溶液およびB溶液が供給されることとなる。
そしてこれを交互に行い、A溶液密閉容器104およびB溶液密閉容器105によりA溶液およびB溶液を、同量ずつ同回数計量してアキュームタンク106に送液することにより、A溶液およびB溶液を1:1の割合で混合することができる。
このような本実施例においては、A溶液密閉容器104およびB溶液密閉容器105からアキュームタンク106への流路を開閉する各開閉弁SV6,SV7,SV10,SV11および、第4送液ポンプP4により、本発明の送液手段が構成されている。
【0030】
以下、この透析液調製装置103を用いた透析液調製方法について説明するが、ここでも図5は既にA粉末溶解手段101、B粉末溶解手段102、透析液調製装置103が通常の運転状態になっているものとして説明する。
まず、A粉末溶解手段101およびB粉末溶解手段102では、上記第1実施例と同様、約1.703w/v%の濃度でA溶液を作成するとともに、約0.419w/v%の濃度でB溶液を作成している。
本実施例では、透析液調製装置103の作動中は基本的に連続してA溶液およびB溶液を作成するようになっており、上記第2、第3送液ポンプP2、P3は所定流量のA溶液およびB溶液を常時送液するようになっている。
ただし、一部のA溶液およびB溶液は、A溶液循環通路124およびB溶液循環通路134を介して循環するので、A溶液タンク121およびB溶液タンク131では透析用A粉末および透析用B粉末と浄水とがそれぞれ攪拌されるようになっている。
【0031】
図5では、A溶液密閉容器104の上流に位置する第4開閉弁SV4が閉鎖されるとともに第5開閉弁SV5が開放され、下流に位置する第6開閉弁SV6が開放されるとともに第7開閉弁SV7が閉鎖されている。
このため、A溶液流れ検出センサFS1を通過したA溶液は第5開閉弁SV5を介して図示右方のA溶液室104Aに流入し、逆に図示左方のA溶液室104Aからは第6開閉弁SV6を介してA溶液が上記アキュームタンク106へと送液される。
一方、B溶液密閉容器105の上流に位置する第8開閉弁SV8が閉鎖されるとともに第9開閉弁SV9が開放され、下流に位置する第10開閉弁SV10が開放されるとともに第11開閉弁SV11が閉鎖されている。
このため、B溶液流れ検出センサFS2を通過したB溶液は第9開閉弁SV9を介してB溶液密閉容器105における図示右方のB溶液室105Aに流入し、逆に図示左方のB溶液室105Aからは第10開閉弁SV10を介してB溶液が上記アキュームタンク106へと送液される。
そして、A溶液密閉容器104の図示左方のA溶液室104Aが消滅して図示右方のA溶液室104Aが最大の容積となることで、A溶液密閉容器104では所定量のA溶液が計量され、これと同様、B溶液密閉容器105でも所定量のB溶液が計量される。
さらに、A溶液密閉容器104のA溶液室104AとB溶液密閉容器105のB溶液室105Aとは収容可能量が等しいことから、A溶液密閉容器104で計量されるA溶液の量と、B溶液密閉容器105で計量されるB溶液の量とは等しくなり、これらを同時に送液することで1:1の割合で混合できるようになっている。
【0032】
そして、アキュームタンク106には上記A溶液密閉容器104およびB溶液密閉容器105から同量のA溶液およびB溶液が同時に流入するが、これらA溶液およびB溶液は混合することで浄水を添加することなく透析液が得られるように上記濃度で作成されているので、混合室141a内で直ちに透析液が調製される。
A溶液およびB溶液が流入すると、アキュームタンク106のピストン142はばね143の付勢力に抗して図示左方に移動し、一方で第4送液ポンプP4により透析液が排出されることで、ピストン142はばね143の付勢力により図示右方に移動する。
そしてアキュームタンク106から排出された透析液は、透析液通路112に設けた濃度センサCDを通過して濃度が測定された後、上記透析装置へと供給されるか、上記排液通路145を介して排液されるようになっている。
【0033】
図6は、上記図5の状態から所定時間経過した状態を示している。
具体的には、図5に示す状態から上記A溶液密閉容器104およびB溶液密閉容器105における図示左方のA溶液室104AおよびB溶液室105Aがダイアフラム104a,105aに押されて消滅し、A溶液流れ検出センサFS1およびB溶液流れ検出センサFS2がA溶液およびB溶液の流通を検出しなくなったら、図5の状態から図6の状態に切り替わるようになっている。
ここでは、A溶液密閉容器104の上流に位置する第4開閉弁SV4が開放されるとともに第5開閉弁SV5が閉鎖され、下流に位置する第6開閉弁SV6が閉鎖されるとともに第7開閉弁SV7が開放されている。
このため、A溶液流れ検出センサFS1を通過したA溶液は第4開閉弁SV4を介して図示左方のA溶液室104Aに流入し、逆に図示右方のA溶液室104Aからは第7開閉弁SV7を介してA溶液が上記アキュームタンク106へと送液される。
一方、B溶液密閉容器105の上流に位置する第8開閉弁SV8が開放されるとともに第9開閉弁SV9が閉鎖され、下流に位置する第10開閉弁SV10が閉鎖されるとともに第11開閉弁SV11が開放されている。
このため、B溶液流れ検出センサFS2を通過したB溶液は第8開閉弁SV8を介して図示左方のB溶液室105Aに流入し、逆に図示右方のB溶液室105Aからは第11開閉弁SV11を介してB溶液が上記アキュームタンク106へと送液される。
このとき、上記第4〜第11開閉弁SV11は同時に切り替わるようになっており、A溶液密閉容器104から送液されるA溶液の量と、B溶液密閉容器105から送液されるB溶液の量は等しく、アキュームタンク106では同量のA溶液およびB溶液が供給され、これにより混合室141aではA溶液およびB溶液が1:1の割合で混合され、直ちに透析液が調製され、該透析液は上記第4送液ポンプP4により透析装置に供給される。
【0034】
上記実施例によれば、予めA溶液およびB溶液を上述した濃度で作成し、かつA溶液およびB溶液を1:1の割合でアキュームタンク106に同時に供給するので、浄水を添加しなくても透析液を得ることができ、容易に透析液を調製することが可能である。
また、上記A溶液およびB溶液は上記アキュームタンク106内で混合するだけでよいので、従来の混合タンクおよび貯溜タンクをそれぞれ備えなければならない従来技術に比べて、構成が簡素となり、設備の小型化を図ることができる。
さらに、上記A溶液およびB溶液は従来公知のA粉末溶解手段およびB粉末溶解手段を使用することが可能であり、既に病院等に設置されている機器を使用することで低コストに導入することが可能である。
【0035】
図7は本発明にかかる第3実施例を示し、透析用A粉末を浄水に溶解させてA溶液を作成するA粉末溶解手段201と、透析用B粉末を浄水に溶解させてB溶液を作成するB粉末溶解手段202と、これらA溶液とB溶液とを混合して透析液を調製する透析液調製装置203とを示している。
なお、以下の説明において第2実施例と同様の構成を有する部分については詳細な説明を省略し、図においては第2実施例に使用した符号に100を加算した符号を付すものとする。
上記透析液調製装置203は、A粉末溶解手段201およびB粉末溶解手段202より供給されたA溶液およびB溶液を計量する計量手段として、A溶液密閉容器204、B溶液密閉容器205と、透析液を図示しない透析装置に供給する混合手段としての貯液タンク206とを備えている。
また、上記A粉末溶解手段201およびB粉末溶解手段202には浄水を供給する浄水通路207が接続され、A粉末溶解手段201とA溶液密閉容器204との間にはA溶液供給通路208が、B粉末溶解手段202とB溶液密閉容器205との間にはB溶液供給通路209が、A溶液密閉容器204と貯液タンク206との間にはA溶液排出通路210a,210bが、B溶液密閉容器205と貯液タンク206との間にはB溶液排出通路211a,211bが配置されている。
さらに、貯液タンク206と透析装置との間には透析液通路212が配設され、この透析液通路212には途中から分岐して貯液タンク206に接続される透析液循環通路212aが設けられ、該透析液循環通路212aには第12開閉弁SV12が設けられている。
また、透析液通路212における上記透析液循環通路212aへの分岐位置よりも上流側には、透析液を下流側に送液する第4送液ポンプP4と、透析液の濃度を測定する第1濃度センサCD1が設けられ、分岐位置よりも下流側には、第2濃度センサCD2および第1モータ弁MV1が設けられている。
そして本実施例では、A溶液供給通路208に設けた第2ポンプP2およびB溶液供給通路209に設けた第3ポンプP3による流入圧によって、A溶液密閉容器204およびB溶液密閉容器205から貯液タンク206へA溶液およびB溶液が流入し、これらとA溶液密閉容器204およびB溶液密閉容器205から貯液タンク206への流路を開閉する各開閉弁SV6,SV7,SV10,SV11により、送液手段が構成されている。
【0036】
上記貯液タンク206の側面からは上記A溶液排出通路210a,210bおよびB溶液排出通路211a,211bによってA溶液およびB溶液が流入し、この貯液タンク206の内部でこれらが混合して透析液が調製されるようになっている。
また、貯液タンク206の底部には凹部206aが形成され、上記透析液通路212はこの凹部206aの底面に接続され、上記透析液循環通路212aは、この凹部206aではない貯液タンク206の底面に接続されている。
上記透析液通路212における透析液循環通路212aの分岐位置よりも下流側での送液可能流量は、上記第4送液ポンプP4の送液流量よりも小流量に設定されており、このため、透析液通路212では一部の透析液が透析液循環通路212aを介して貯液タンク206へと循環するようになっている。そしてこれらによって攪拌手段が構成されている。
さらに、貯液タンク206の内部にはそれぞれ透析液の貯液量を検出する第1液面センサLS1および第2液面センサLS2が設けられており、このうち第2液面センサLS2は上記凹部206aの内部に設けられている。
上記第1液面センサLS1は貯液タンク206の透析液の貯溜量が設定した上限または下限に達したことを検知し、上記第2液面センサLS2は透析液の残量不足を検知するようになっている。該第2液面センサLS2が透析液の残量不足を検知すると、制御手段は所要の警告を発するとともに透析液調製装置203を停止させるようになっている。
なお、この貯液タンク206は大気開放されており、大気との連通箇所にはフィルタ251が設けられている。
【0037】
以下、この透析液調製装置203を用いた透析液調製方法について説明するが、上記A粉末溶解手段201、B粉末溶解手段202、A溶液密閉容器204、B溶液密閉容器205、送液手段を構成する第4〜第11開閉弁SV4〜SV11の動作は、上記第2実施例と同様なので詳細な説明は省略する。
この第3実施例においては、上記A溶液密閉容器204、B溶液密閉容器205から同量のA溶液およびB溶液が貯液タンク206に同時に送液され、これらA溶液およびB溶液は、所定割合で混合することで浄水を添加することなく透析液が得られるように設定された設定濃度で作成されていることから、貯液タンク206内で直ちに透析液が調製される。
貯液タンク206では、A溶液およびB溶液が流入して混合されるとともに、第4送液ポンプP4の作用により上記透析液通路212から排出されるようになっており、第1モータバルブMV1を閉じて第12開閉弁SV12を開くことで、A溶液、B溶液が攪拌されて混合されるようになっている。
そして貯液タンク206で上限量まで透析液が調製されると、第1モータバルブMV1が開放されて透析液が透析装置に送液される。また、この送液の間にも透析液の一部は透析液循環通路212aを介して循環するようになっており、A溶液およびB溶液の攪拌を行うことができる。
なお、第1、第2濃度センサCDにおいて透析液の濃度に異常が検出された場合には、第1モータ弁MV1が閉鎖されるとともに、第2モータ弁MV2が開放され、透析液は上記排液通路245を介して排液されるようになっている。
【0038】
上記実施例によっても、予めA溶液およびB溶液を上記第1、第2実施例と同様の濃度で作成し、かつA溶液およびB溶液を1:1の割合で貯液タンク206に同時に供給するので、浄水を添加しなくても透析液を得ることができ、容易に透析液を調製することが可能である。
また、上記A溶液およびB溶液は上記貯液タンク206内で混合するだけでよいので、A原液、B原液、浄水を混合する2槽の混合タンクと貯溜タンクをそれぞれ備えなければならない従来技術に比べて、構成が簡素となり、設備の小型化を図ることができる。また、透析液循環通路212aにより透析液を十分に攪拌することができる。
【0039】
なお、上記第1実施例における上記往復ポンプ5を、上記第2実施例のアキュームタンク106や第3実施例の貯液タンク206などの混合手段としてもよく、これと同様、第2、第3実施例のアキュームタンク106および貯液タンク206を他の実施例の混合手段としてもよい。
さらに、上記第2実施例において、上記アキュームタンク106を複数設けるとともに、上記A溶液排出通路110a、110bおよびB溶液排出通路111a,111bを分岐させて各アキュームタンク106にそれぞれA溶液およびB溶液を供給する構成としてもよい。
このようにすれば、上記アキュームタンク106内でA溶液およびB溶液の混合を十分に行うことが可能となる。
そして、上記第1〜第3実施例において、A粉末溶解手段1、101、201およびB粉末溶解手段2、102、202の下流側に、それぞれA溶液およびB溶液の濃度センサを設けて、A溶液およびB溶液が上記所定濃度で作成されているかを確認するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施例にかかる透析液調製装置の構成図。
【図2】図1から所定時間経過した状態の透析液調製装置の構成図。
【図3】図2から所定時間経過した状態の透析液調製装置の構成図。
【図4】図3から所定時間経過した状態の透析液調製装置の構成図。
【図5】第2実施例にかかる透析液調製装置の構成図。
【図6】図5から所定時間経過した状態の透析液調製装置の構成図。
【図7】第3実施例にかかる透析液調製装置の構成図。
【符号の説明】
【0041】
1、101、201 A粉末溶解手段 2,102、202 B粉末溶解手段
3,103、203 透析液調製装置 4 計量手段
5 往復ポンプ 104、204 A溶液密閉容器
105、205 B溶液密閉容器 106 アキュームタンク
205 貯液タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析用A粉末および透析用B粉末をそれぞれ浄水に溶解させてA溶液およびB溶液を作成し、該A溶液およびB溶液を混合して透析液を調製する透析液調製方法において、
上記A溶液およびB溶液を所定割合で混合すれば浄水を添加することなく上記透析液が得られるように、予め上記A溶液の濃度、B溶液の濃度および上記所定割合を設定し、
次に、上記透析用A粉末を浄水に溶解させて上記設定濃度のA溶液を作成するとともに、上記透析用B粉末を浄水に溶解させて上記設定濃度のB溶液を作成し、
さらに上記設定濃度のA溶液とB溶液とを上記所定割合で混合させて、浄水を添加することなく上記透析液を調製することを特徴とする透析液調製方法。
【請求項2】
上記A溶液およびB溶液を1:1の割合で混合すると上記透析液が得られるよう、A溶液およびB溶液の濃度を設定し、上記A溶液およびB溶液を上記割合で混合することを特徴とする請求項1に記載の透析液調製方法。
【請求項3】
所定割合で混合すれば浄水を添加することなく透析液が得られるように設定された設定濃度のA溶液と設定濃度のB溶液とをそれぞれ計量する計量手段と、該計量手段で計量したA溶液およびB溶液を混合して透析液を作成する混合手段と、上記計量手段から混合手段にA溶液およびB溶液を送液する送液手段とを備え、
上記計量手段は、A溶液およびB溶液を上記混合手段において上記所定割合が得られるように同回数計量し、上記送液手段によって上記混合手段に送液することを特徴とする透析液調製装置。
【請求項4】
上記計量手段は、内部がダイアフラムによって収容可能量の等しいA溶液室とB溶液室とに区画された密閉容器であって、
A溶液室にA溶液を供給して計量する間に、B溶液室から計量済みのB溶液を排出するとともに、B溶液室にB溶液を供給して計量する間に、A溶液室から計量済みのA溶液を排出するようにし、
上記送液手段は、上記A溶液室およびB溶液室から、A溶液およびB溶液を交互に混合手段に送液することを特徴とする請求項3に記載の透析液調製装置。
【請求項5】
上記計量手段は、内部がダイアフラムによって収容可能量の等しい2室に区画されたA溶液密閉容器およびB溶液密閉容器からなり、
各密閉容器における一方の室に溶液を供給して計量する間に、他方の室から計量済みの溶液を排出するようにし、
上記送液手段は、A溶液密閉容器およびB溶液密閉容器のそれぞれから、同時にA溶液およびB溶液を混合手段へ送液することを特徴とする請求項3に記載の透析液調製装置。
【請求項6】
透析用A粉末を浄水に溶解させてA溶液を作成するA粉末溶解手段と、透析用B粉末を浄水に溶解させてB溶液を作成するB粉末溶解手段とを備え、
これら粉末溶解手段によって、前記所定割合で混合すれば浄水を添加することなく透析液が得られるように設定された設定濃度のA溶液および設定濃度のB溶液を作成することを特徴とする請求項3ないし5に記載の透析液調製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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