説明

透析用剤容器

【課題】一定程度の広さの保管場所を確保する必要がなく、輸送や搬入のコストの増大を抑制し、取り扱い性に優れた新規の透析用剤容器を提供する。
【解決手段】透析用剤容器は、高濃度の透析用剤を収容する可撓性の本体部1と、前記薬剤を前記本体部の外部へ排出させるための排出部2とを有する透析用剤容器であって、前記本体部1の上端には、前記透析用剤を希釈するための希釈液を注入させる注入部3が設けられ、前記排出部2は、前記透析用剤が自重により集まる下端側に配置されており、前記本体部1は、前記本体部1を吊り下げた状態にし、前記希釈液を前記注入部3から本体部1の内部に注入された際に、前記希釈液により希釈された透析用剤がその自重により流下される形状の内壁を有し、前記希釈液により希釈された前記透析用剤が前記排出部2から排出される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、腎不全患者の人工透析療法に使用される透析用溶液を収容するための透析用剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
透析療法は、腎不全患者の治療方法として確立されており、老廃物の除去、電解質の調節等を目的に定期的な永続的治療として行われている。透析療法に用いられる透析液は、正常な血清電解質濃度に類似した組成を持つように作成されており、近年では生体に負担の少ない重炭酸透析剤が用いられている。重炭酸透析液は、炭酸水素ナトリウムが塩化カルシウムや塩化マグネシウムと反応して炭酸塩の沈殿を生じるため、一般的に塩化カルシウムや塩化マグネシウムを含み炭酸水素ナトリウムを含まない製剤(A剤)と炭酸水素ナトリウムを含み塩化カルシウムや塩化マグネシウムを含まない製剤(B剤)の2剤に分けられている。この重炭酸透析液は、使用直前にそれぞれが溶解、希釈混合されて調製される。
【0003】
現在、血液透析で使用されている主な製剤の形式は、A濃厚原液+B濃厚原液の「液液タイプ」、A濃厚原液+B粉末剤(炭酸水素ナトリウム)の「液粉タイプ」、A粉末剤+B粉末剤の「粉粉タイプ」の3種類がある。「液液タイプ」、「液粉タイプ」のうち濃厚原液の製剤は、通常ポリエチレン製の容器に10kg前後の濃厚液が充填されている。その結果、容器の嵩が大きくなり、一定程度の広さの保管場所を確保する必要がある。また、溶液製剤は重量があり、輸送や搬入のコストが増大する。更に、取り扱い方法や使用済み容器の廃棄等についても種々の問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するため、近年、A剤を粉末化した「粉粉タイプ」の透析用剤が開発されている。この透析用剤は、病院などの医療現場で専用の溶解装置を用いて、「液液タイプ」の濃厚原液と同程度の濃度の原液に一旦溶解した後、希釈して透析液濃度に調製され、使用される。
【0005】
しかし、「粉粉タイプ」の場合、透析液の製造の際に種々の問題がある。例えば、スプレードライ法による透析液の製造の場合、その装置は嵩高く、水分や粒度にばらつきがある。また、酸成分が揮散するため、一定のpHの透析液を得るのは難しい。
【0006】
連続式造粒装置を用いて造粒する湿式造粒法(特許文献2参照)の場合、造粒装置内で粉体が付着し収率が低下するという問題がある。また、操作性に難点があり、均一性の保持も困難である。更に、この湿潤な造粒品の被覆層は乾燥時にはがれやすいという欠点もある。
【0007】
乾式造粒法の場合、均一性の保持のために粉砕や混合等の煩雑な工程が必要になる。その結果、使用設備が必要になり、また、外部からの異物混入による汚染の問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−343230号公報
【特許文献2】特開2005−230361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、一定程度の広さの保管場所を確保する必要がなく、輸送や搬入のコストの増大を抑制し、取り扱い性に優れた新規の透析用剤容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、透析用剤容器について検討した。その結果、下記構成を採用することにより、前記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明に係る透析用剤容器は、前記の課題を解決する為に、高濃度の透析用剤を収容する可撓性の本体部と、前記薬剤を前記本体部の外部へ排出させるための排出部とを有する透析用剤容器であって、前記本体部の上端には、前記透析用剤を希釈するための希釈液を注入させる注入部が設けられ、前記排出部は、前記透析用剤が自重により集まる下端側に配置されており、前記本体部は、前記本体部を吊り下げた状態にし、前記希釈液を前記注入部から本体部の内部に注入された際に、前記希釈液により希釈された透析用剤がその自重により流下される形状の内壁を有し、前記希釈液により希釈された前記透析用剤が前記排出部から排出される構成であることを特徴とする。
【0012】
前記の構成によれば、本体部の上端には、高濃度の透析用剤を希釈するための希釈液を注入させる注入部が設けられており、使用時に、当該注入部から希釈液を注入することにより、本体部の内部において所定濃度の透析用溶液、又は当該透析用溶液の原料となる溶液(以下、希釈後の透析用剤という場合がある)を生成させることができる。ここで、本体部の内壁は、希釈液により希釈された透析用剤がその自重により流下される形状の内壁を有しているので、前記本体部を吊り下げた状態にすることにより、前記希釈後の透析用剤はその自重により流下される。前記排出部は透析用剤が自重により集まる下端側に配置されているので、前記希釈後の透析用剤を排出部から容易に排出させることができる。
【0013】
この様な構成であると、例えば、いわゆる「粉粉タイプ」を用いた場合の様に、スプレードライ法による透析用溶液の製造を行う必要はない。そのため、嵩高い装置が不要となる。また、本体部に収容させる透析用剤の量を予め設定しておくことで、これを希釈するのに必要な量だけの希釈液を前記注入部から注入させることにより、容易に所定の濃度に希釈できる。更に、本体部の内壁に粉状の透析用剤が付着するのも防止できるので、希釈後の透析用剤の濃度を均一に維持できる。また、使用時に希釈液の注入を行うことができるので、例えば、透析用剤に揮発成分が含まれる場合にも、その成分が揮発するのを極力抑制し、所定のpH値となる様に維持することもできる。更に、透析用剤は高濃度の状態にあるので、透析用剤容器の減溶化が図れ、一定程度の広さの保管場所を確保する必要がない。また、輸送や搬入のコストの増大を抑制し、取り扱い性も向上させることができる。
【0014】
尚、前記構成に於いて、「高濃度の透析用剤」とは、前記透析用剤成分が溶液中で高濃度に溶解した溶解液や、前記透析用剤が溶液中で沈殿した沈殿液を意味する。また、前記透析用剤成分が固体粒子として溶液中に懸濁し、流動性を備えたスラリー状の懸濁液や、前記透析用剤成分の一部が溶液に溶解しており、その他の大部分は固体粒子として溶解しない状態にあるものを含む。更に、前記固体粒子とは、透析用剤成分が粉末状、又はコロイド状にあるものを意味する。
【0015】
前記構成に於いて、前記透析用剤は、前記希釈液に対し重量比で30倍〜800倍の範囲内であることが好ましい。前記透析用剤として、前記希釈液に対する配合割合を重量比が30倍以上のものを用いることにより、本体部の減溶化が図れ、一定程度の広さの保管場所を確保する必要がなく、輸送や搬入のコストの増大を更に抑制し、取り扱い性も一層向上させることができる。その一方、前記希釈液に対する配合割合を800倍以下にすることにより、製剤工程の簡素化が図れる。
【0016】
前記構成において、前記排出部は、針刺し可能な弾性体と、前記弾性体の周縁部を内壁で保持する外枠体からなるキャップが設けられていることが好ましい。前記排出部に針刺し可能な弾性体を用いることで、例えば、内径の細い輸液用の連結チューブを人工透析装置への供給手段に用いることができる。これにより、例えば、人工透析装置に供給する際の作業性の向上が図れる。
【0017】
前記の構成に於いて、前記排出部には、人工透析装置に装着を可能にする接続手段が設けられていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の一形態に係る透析用剤容器を概略的に表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の一形態に係る透析用剤容器について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る透析用剤容器を概略的に示す模式図である。図1に示すように、透析用剤容器10は、本体部1と、排出部2と、注入部3とを少なくとも備える構成を有する。
【0020】
前記本体部1は特に限定されず、例えば、2枚の可撓性フィルム切片を外周部において溶着した構造の可撓性を有するバッグ等が挙げられる。前記可撓性フィルムの厚さは特に限定されず、例えば、100μm〜300μmの範囲である。また、可撓性フィルムの構成材料は特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルムの多層構造のものなどが挙げられる。更に、透析用剤は、本体部1中に密封した状態で保存される。また、前記本体部1は、ブロー成形により作製されたボトル構造のものであってもよい。
【0021】
本体部1が透析用剤等を収容可能な容量は特に限定されないが、5リットル以下が好ましく、2リットル以下がより好ましい。また、本体部1は、これを吊り下げた状態にしたときに、希釈液を前記注入部3から本体部1の内部に注入した際に、前記希釈液により希釈された透析用剤がその自重により流下される形状の内壁を有している。これにより、希釈液により希釈された透析用剤が排出部2から自重により容易に排出させることが可能になる。具体的には、図1に示すように、本体部1の下端11が水平線に対し、所定の角度αで傾斜したものが好ましい。前記αとしては、5度〜85度の範囲が好ましく、15度〜70度の範囲がより好ましい。
【0022】
前記排出部2は、希釈された透析用剤を前記本体部1の外部へ排出させるためのものであり、本体部1を吊り下げ状態にしたときに、当該希釈された透析用剤が自重により集まる下端11側に配置されている。また、排出部2は、針刺し可能な弾性体(図示しない)と、前記弾性体の周縁部を内壁で保持する外枠体からなるキャップ4を備えていることが好ましい。更に、排出部2には、人工透析装置への装着を可能にする接続手段が設けられているのが好ましい。当該接続手段としては特に限定されず、例えば、ねじロック機構やバヨネットロック機構等が挙げられる。
【0023】
前記弾性体に用いる材料としては、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマーが挙げられる。前記ゴムとしては特に限定されず、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム等が例示できる。また、熱可塑性エラストマーとしては特に限定されず、例えば、オレフィン系、スチレン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリブタジエン系等が例示できる。中でも共役ジエン系の熱可塑性エラストマーに水素添加した熱可塑性エラストマー(SEBS、SEPS、HSBR、SEBR、CEBC)が好適である。
【0024】
また、前記外枠体に用いる材料としては、合成樹脂のうち、医療用途としての安全性が確立されたものであれば足りる。中でも熱可塑性樹脂を用いるのが一般的である。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の従来医療用途に用いられている樹脂が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0025】
前記本体部1の上端12には、前記透析用剤を希釈するための希釈液を注入させる注入部3が設けられていることが好ましい。使用時に、注入部3から希釈液を適時的に注入することにより、本体部1の内部において透析用剤を希釈することができる。これにより、本体部1の内部で、所定濃度の透析用溶液、又は当該透析用溶液の原料となる溶液を生成させることができる。また、高濃度の透析用剤が、透析用剤成分の一部が溶液に溶解しており、その他の大部分は溶解しない状態で収容されている場合には、内壁面に付着した透析用剤成分としての固体粒子を洗い流しながら希釈することができる。これにより、希釈に必要な量だけの希釈液を前記注入部3から注入させることで、容易に所定の濃度に希釈できる。更に、本体部1の内壁に粉状の透析用剤が付着することも防止できるので、希釈後の透析用剤の濃度を均一に維持できる。
【0026】
前記注入部3には、本体部1を密封するために、ねじロック機構又はバヨネットロック機構を備えた従来公知のキャップ等を用いることができる。また、熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)により密封してもよい。本体部1に収容される高濃度の透析用剤が、透析用剤成分の一部が溶液に溶解しており、その他の大部分の固体粒子が溶解しない状態である場合には、前記バヨネットロック機構を備えたキャップ又は熱収縮性フィルム等を用いることが好ましい。また、希釈液を注入する際に、導管をロックできる等の利便性を考慮すると、注入部3はねじロック機構又はバヨネットロック機構等でロックであることが好ましい。更に、注入部3には、排出部2において使用可能な前記キャップを用いてもよい。具体的には、針刺し可能な前記弾性体と、当該弾性体の周縁部を内壁で保持する前記外枠体からなるキャップを用いてもよい。これにより、針を備えた連結チューブを注入部3と連結することができ、当該連結チューブを用いて希釈液の供給を可能にする。尚、弾性体及び外枠体の構成材料等は、前述の通りである。
【0027】
本実施の形態に係る透析用剤容器10は、高濃度の透析用剤を収容するためのものであり、その使用時には注入部3から希釈液を本体部1の内部に注入して用いられる。そのため、従来の透析用剤容器と比較して減溶化が図れ、保管場所の確保を容易にする。また、輸送コストの増大も抑制でき、取り扱い性も向上させることができる。
【0028】
前記透析用剤には、透析用剤成分が溶液中で高濃度に溶解した溶解液や、前記透析用剤が溶液中で沈殿した沈殿液が含まれる。また、前記透析用剤成分が固体粒子として溶液中に懸濁し、流動性を備えたスラリー状の懸濁液や、前記透析用剤成分の一部が溶液に溶解しており、その他の大部分の固体粒子は溶解しない状態にあるものも含まれる。尚、前記固体粒子とは、透析用剤成分が粉末状、又はコロイド状にあるものを意味する。
【0029】
前記透析用剤は希釈液に対し、重量比で30倍〜800倍の範囲が好ましく、50倍〜500倍の範囲がより好ましい。前記希釈液に対する透析用剤の割合を30倍以上にすることにより、一定程度の広さの保管場所を確保する必要がなく、輸送や搬入のコストの増大を更に抑制し、取り扱い性を一層向上させることができる。その一方、前記希釈液に対する透析用剤の割合を800倍以下にすることにより、製剤工程を簡素化することができる。
【0030】
ここで、透析用溶液としては、少なくとも塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム(CaCl・2HO)、塩化マグネシウム(MgCl・6HO)、酢酸ナトリウム、ブドウ糖及びpH調整剤が水に溶解した第一溶液と、少なくとも炭酸水素ナトリウムが水に溶解した第二溶液と、水とにより構成されるものが挙げられる。
【0031】
本実施の形態に係る透析用剤容器10は、前記第一溶液の透析用剤成分である、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム(CaCl・2HO)、塩化マグネシウム(MgCl・6HO)、酢酸ナトリウム、ブドウ糖及びpH調整剤を高濃度の状態で保存するためのものである。或いは、前記第二溶液の透析用剤成分である炭酸水素ナトリウムを高濃度の状態で保存するためのものである。これらの様な透析用剤成分を透析用剤容器10中に保存する場合、注入部3から注入する希釈液としては、例えば、水が挙げられる。
【0032】
前記第一溶液の透析用剤成分となる各成分の配合割合は、次の通りである。即ち、塩化ナトリウムは、全透析用剤成分100重量%に対し、68重量%〜78重量%の範囲が好ましい。塩化カリウムは、全透析用剤成分100重量%に対し、1.5重量%〜2重量%の範囲が好ましい。塩化カルシウムは、全透析用剤成分100重量%に対し、2重量%〜3重量%の範囲が好ましい。塩化マグネシウムは、全透析用剤成分100重量%に対し、1重量%〜1.5重量%の範囲が好ましい。酢酸ナトリウムは、全透析用剤成分100重量%に対し、6重量%〜12重量%の範囲が好ましい。ブドウ糖は、全透析用剤成分100重量%に対し、10重量%〜20重量%の範囲が好ましい。
【0033】
希釈水による希釈調整後の透析液のpHは特に限定されないが、通常は7.2〜7.4の範囲内が好ましい。
【0034】
尚、前記pH調整剤としては、薬理学的に許容されるものであれば特に制限されるものではない。具体的には、例えば、酢酸、塩酸等の液体状の酸や、乳酸、クエン酸、りんご酸、二酢酸ナトリウム等の固体状の酸を挙げることができる。これらは、単独で又は複数組み合わせて用いてもよい。これらのpH調整剤のうち、電離成分の観点からは、酢酸及び二酢酸ナトリウムが好適である。pH調整剤は、前記の通り、希釈調整後の透析液のpHが7.2〜7.4となる様に適宜設定して配合することができる。
【0035】
前記第二溶液の透析用剤成分となる炭酸水素ナトリウムの配合割合は特に限定されず、適宜設定され得る。
【0036】
希釈水による希釈調整後の透析液の浸透圧比は特に限定されないが、通常は0.95〜1の範囲内が好ましい。尚、浸透圧比とは、生理食塩液の浸透圧に対する滅菌保護液の浸透圧の比を意味し、例えば、浸透圧計(OSA-21日機装株式会社製)を用いて測定することができる。また、浸透圧比は、電解質塩やその他水溶性成分を用いて適宜調整することができる。
【0037】
尚、第一溶液、第二溶液及び水を混合して透析用溶液を作製する場合の、前記第一溶液と、第二溶液との配合割合は、0.6:1〜1:0.6の範囲が好ましく、0.75:1〜1:0.75の範囲がより好ましい。前記数値範囲内にすることにより、同一の容器を使用することができる。
【0038】
また、第一溶液及び第二溶液の浸透圧は特に限定されず、それぞれ設定され得る。浸透圧の測定方法は、例えば、凝固点降下法による。
【0039】
また、第一溶液、第二溶液及び水を混合して作製された透析用溶液中における電解質濃度の好適な範囲は、次の通りである。即ち、Na135mEq/L〜145mEq/L、K2mEq/L〜2.5mEq/L、Ca2+2.5mEq/L〜3.5mEq/L、Mg2+1mEq/L〜2mEq/L、Cl110mEq/L〜116mEq/L、CHCOO8mEq/L〜10mEq/L、HCO24mEq/L〜32mEq/Lである。また、糖濃度の好適な範囲としては、ブドウ糖100g/L〜160g/Lである。
【0040】
尚、希釈液の注入は、本体部1に収容されている透析用剤を洗い出しながら排出させ、透析装置に供給することを目的とするものであってもよい。この場合、希釈液で洗い流された透析用剤は、透析装置において所定量の希釈液がそれぞれ加えられ、透析液が調製される。
【0041】
また、本体部1に収容されている透析用剤が前記第一溶液の透析用剤成分を高濃度に含むものである場合、本体部より排出されて透析装置に供給される当該透析用剤成分の濃度は、前述の第一溶液中の透析用剤成分の濃度より高くてもよく、薄くてもよい。このことは、本体部1に収容されている透析用剤が前記第二溶液の透析用剤成分を高濃度に含む場合にも同様である。
【0042】
更に、透析用溶液は、例えば、重炭酸型透析液供給装置を用いて血液透析を行う場合の灌流液として好適に使用することができる。使用に際しての用量は、透析時間に応じて適宜設定され得る。例えば、前記透析用溶液を灌流液として使用する場合は、150L〜300Lの範囲が好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1 本体部
2 排出部
3 注入部
4 キャップ
10 透析用剤容器
11 下端
12 上端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高濃度の透析用剤を収容する可撓性の本体部と、前記薬剤を前記本体部の外部へ排出させるための排出部とを有する透析用剤容器であって、
前記本体部の上端には、前記透析用剤を希釈するための希釈液を注入させる注入部が設けられ、
前記排出部は、前記透析用剤が自重により集まる下端側に配置されており、
前記本体部は、前記本体部を吊り下げた状態にし、前記希釈液を前記注入部から本体部の内部に注入された際に、前記希釈液により希釈された透析用剤がその自重により流下される形状の内壁を有し、前記希釈液により希釈された前記透析用剤が前記排出部から排出される構成であることを特徴とする透析用剤容器。
【請求項2】
前記透析用剤は、前記希釈液に対し重量比で30倍〜800倍の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の透析用剤容器。
【請求項3】
前記排出部は、針刺し可能な弾性体と、前記弾性体の周縁部を内壁で保持する外枠体からなるキャップが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の透析用剤容器。
【請求項4】
前記排出部には、人工透析装置に装着を可能にする接続手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の透析用剤容器。

【図1】
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【公開番号】特開2011−239940(P2011−239940A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114523(P2010−114523)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000225278)内外化成株式会社 (27)
【Fターム(参考)】