説明

透析装置

【解決手段】 透析装置1は、血液ポンプおよび透析液ポンプを備えた本体部3と、輸液バッグ等を吊下するためのフック4aを備えたポール4と、該ポール4を本体部3に保持するポールホルダ5と、ダイアライザ2を保持するダイアライザホルダ6とを有している。
上記ポールホルダ5は、ポール4の軸方向に沿って上下に離隔した位置に設けられた上側軸受け部5aおよび下側軸受け部5bを備え、上記ダイアライザホルダ6は、上記上側軸受け部5aと下側軸受け部5bとの間に挿入されるとともに上記ポール4を軸支する軸受け部11と、該軸受け部11に連結されて上記ダイアライザ2を保持する保持部12とから構成されている。
【効果】 操作が容易でかつ設置スペースを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透析装置に関し、詳しくは本体部と、フックを備えたポールと、該ポールを本体部に保持するポールホルダと、ダイアライザを保持するダイアライザホルダとを備えた透析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透析装置として、血液ポンプおよび透析液ポンプを備えた本体部と、輸液バッグ等を吊下するためのフックを備えたポールと、該ポールを本体部に保持するポールホルダと、ダイアライザを保持するダイアライザホルダとを備えた透析装置が知られている。
上記透析装置として、上記ポールにダイアライザホルダを設けてノブによりポールとダイアライザホルダとを相互に移動可能にしたものや(特許文献1)、本体部の異なる位置にポールとダイアライザホルダとを設けたものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−40647号公報
【特許文献2】特表2006−501000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のダイアライザホルダはノブによってポールに固定する必要があることから、ポールを回転させるとダイアライザホルダも移動してしまい、その後ダイアライザホルダを回転させてダイアライザの位置を調整しなければならず、操作が煩雑であるという問題があった。
また上記特許文献2の透析装置ではポールとダイアライザホルダとが異なる位置に設けられているため、ポールに吊下される輸液バッグとダイアライザホルダに保持されるダイアライザとが、透析装置上方から見て異なる範囲で揺動するため、透析装置の設置スペースを圧迫するといった問題がある。
このような問題に鑑み、操作が容易で設置スペースの少ない透析装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる透析装置は、血液ポンプおよび透析液ポンプを備えた本体部と、輸液バッグ等を吊下するためのフックを備えたポールと、該ポールを本体部に保持するポールホルダと、ダイアライザを保持するダイアライザホルダとを備えた透析装置において、
上記ポールホルダは、ポールの軸方向に沿って上下に離隔した位置に設けられるとともに、それぞれ上記ポールを軸支する上側軸受け部および下側軸受け部を備え、
上記ダイアライザホルダは、上記上側軸受け部と下側軸受け部との間に挿入されるとともに上記ポールを軸支する軸受け部と、該軸受け部に連結されて上記ダイアライザを保持する保持部とから構成されることを特徴としている。
【0006】
また請求項2の発明にかかる透析装置は、上記請求項1の発明において、上記ダイアライザホルダにおける軸受け部の内周面の径を上記ポールの径よりも小径とするとともに該軸受け部に内周面から外周面に貫通する切欠きを形成し、上記ポールを該軸受け部に圧入したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1の発明によれば、ダイアライザホルダはポールホルダに軸支されるポールと同一軸心上で回転可能であり、ポールとダイアライザホルダとをそれぞれ独立して回転させることができ、良好な操作性を得ることができる。
またダイアライザホルダとポールホルダとを本体部に対して一体的に設けることができるため、透析装置上方から見て、ポールに吊下する輸液バッグやダイアライザの揺動範囲を重複させることができ、透析装置の設置スペースを少なくすることが可能である。
【0008】
また請求項2の発明によれば、ダイアライザホルダをポールに取り付ける際に上記切欠きにより軸受け部の内周面が拡径して、ポールへの締結力を生じさせるとともに、ダイアライザホルダを揺動させる際に適度な抵抗を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例にかかる透析装置の正面図。
【図2】ダイアライザホルダの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図示実施例について説明すると、図1は本実施例にかかる透析装置1を示し、ここでは病院等に設置された透析装置を示している。
透析装置1にはダイアライザ2が装着され、該ダイアライザ2の内部には内部を血液が流通する中空糸が束になって設けられており、該中空糸の外部に透析液を流通させて透析治療を行うようになっている。
透析装置は、血液ポンプおよび透析液ポンプを備えた本体部3と、輸液バッグ等を吊下するためのフック4aを備えたポール4と、該ポール4を本体部3に保持するポールホルダ5と、ダイアライザ2を保持するダイアライザホルダ6とを備え、上記本体部3とダイアライザ2との間には、図示しないが透析液を流通させる透析液通路および血液を流通させる血液通路が接続されている。
【0011】
上記本体部3には上記血液ポンプや透析液ポンプのほか、透析装置1の操作や患者の状態を監視するためのタッチパネル式のディスプレイが設けられ、図示しないキャスターによって移動可能とされている。
上記ポール4は断面円形を有するとともにクランク状に屈曲しており、下端部が上記ポールホルダ5に回転可能に軸支され、該ポール4の水平部4bは上記ダイアライザホルダ6に保持されたダイアライザ2の上端よりも上方に位置しており、ポール4を回転させた際に該水平部4bがダイアライザ2に干渉しないようになっている。
上記フック4aはポール4の上端部に設けられており、該フック4aは4方向に向けて略十字方向に配置されるとともに、伸縮手段4cによって上下に昇降可能に設けられている。
上記構成により、ポール4を回転させることで水平部4bがポールホルダ5に軸支された下端部を中心に揺動し、ポール4の上部に設けられたフック4aに吊下された輸液バッグ等を本体部に対して水平方向に移動させることが可能であり、上記伸縮手段4cによって輸液バッグを昇降させることも可能となっている。
【0012】
上記ポールホルダ5は本体部3の図示右側の側面に設けられており、ポール4の軸方向に沿って上下に離隔した位置に設けられた上側軸受け部5aおよび下側軸受け部5bから構成されている。
上記上側軸受け部5aおよび下側軸受け部5bはそれぞれ上記ポール4を回転可能に軸支し、このうち上記下側軸受け部5bはポール4の下端部を保持しながら軸支するようになっている。
上記上側軸受け部5aには上記ポール4の回転を阻止するためのノブ7が設けられており、このノブ7を緩めることでポール4を回転を許容し、ノブ7を閉めることでポール4の回転を規制するようになっている。
【0013】
上記ダイアライザホルダ6は、上記上側軸受け部5aと下側軸受け部5bとの間に挿入されるとともに上記ポール4を軸支する軸受け部11と、上記ダイアライザ2を保持する保持部12と、上記軸受け部11と保持部12とを連結する連結部13とを備えている。
図2はダイアライザホルダ6を上方からみた図であり、上記軸受け部11の内周面にはシリコン樹脂等の摩擦係数の高い合成樹脂からなるすべり軸受14が設けられ、また軸受け部11における上記連結部13の反対側には、内周面から外周面に貫通するとともに軸受け部11の軸方向長さに渡って切欠き15が形成されている。
上記軸受け部11におけるすべり軸受14の内周面の径は、上記ポール4の径よりも若干小径になっており、透析装置1組み立ての際には、予め軸受け部11を上記上側軸受け部5aと下側軸受け部5bとの間に位置させた状態で、ポール4を該軸受け部11に圧入するようになっている。このため上記軸受け部11はポール4の径にあわせて拡径し、これに伴って上記切欠き15部の幅が広がるようになっている。
上記保持部12は2つの把持部材12aとこれら把持部材12aを閉鎖方向に付勢する図示しないばねとから構成され、作業者がばねの付勢力に抗して把持部材12aを広げ、ダイアライザ2をこれら把持部材12aによって挟持させるようになっている。
一方の把持部材12aの側面には上記ダイアライザ2に接続された血液通路や透析液通路を固定するためのチューブクリップ12bが設けられ、透析治療中における血液通路等の散乱を防止することができる。
上記保持部12と上記連結部13とは回転可能に設けられており、保持部12は連結部13に対して90°回転させるごとに保持部12と連結部13のいずれか一方に設けた凸部と他方に設けた凹部とが係合する等して、クリック感が得られるような構造を有し、ダイアライザ2を水平状態や上下反転状態に保持することが可能となっている。
【0014】
上記構成を有する透析装置1によれば、ダイアライザホルダ6はポールホルダ5によって軸支されたポール4を中心に回転可能となっているため、ポール4とダイアライザホルダ6とを個別に揺動させることが可能となる。
つまり、ポール4のフック4aに吊下された輸液バッグだけを移動させたり、ダイアライザホルダ6に保持されたダイアライザ2だけを移動させたりすることが可能となっている。
このとき、ポール4のフック4aに吊下された輸液バッグとダイアライザホルダ6に保持されたダイアライザ2とは、透析装置上方から見て互いの揺動範囲が重なり合うようになるため、透析装置1の設置スペースを抑えることができる。
また、ダイアライザホルダ6はポールホルダ5を構成する上記上側軸受け部5aと下側軸受け部5bとの間に挿入されることから、ダイアライザホルダ6の上下方向の移動を規制しつつ、水平方向への回転を許容するようになっている。
このため、ポール4とダイアライザホルダ6とを相互に回転させても、ダイアライザホルダ6に保持されたダイアライザ2がポール4の水平部4bに干渉しないようになっている。
そして、軸受け部11に切欠き15を形成するとともにシリコン樹脂等の摩擦係数の高い合成樹脂からなるすべり軸受け14の内径をポール4の直径よりも若干小径とすることで、ダイアライザホルダ6の回転の際に若干の抵抗が発生し、ダイアライザホルダ6が勝手に回転してしまうのを防止することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 透析装置 2 ダイアライザ
3 本体部 4 ポール
5 ポールホルダ 5a 上側軸受け部
5b 下側軸受け部 6 ダイアライザホルダ
11 軸受け部 14 すべり軸受け
15 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプおよび透析液ポンプを備えた本体部と、輸液バッグ等を吊下するためのフックを備えたポールと、該ポールを本体部に保持するポールホルダと、ダイアライザを保持するダイアライザホルダとを備えた透析装置において、
上記ポールホルダは、ポールの軸方向に沿って上下に離隔した位置に設けられるとともに、それぞれ上記ポールを軸支する上側軸受け部および下側軸受け部を備え、
上記ダイアライザホルダは、上記上側軸受け部と下側軸受け部との間に挿入されるとともに上記ポールを軸支する軸受け部と、該軸受け部に連結されて上記ダイアライザを保持する保持部とから構成されることを特徴とする透析装置。
【請求項2】
上記ダイアライザホルダにおける軸受け部の内周面の径を上記ポールの径よりも小径とするとともに該軸受け部に内周面から外周面に貫通する切欠きを形成し、上記ポールを該軸受け部に圧入したことを特徴とする請求項1に記載の透析装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−193997(P2010−193997A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40266(P2009−40266)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】