説明

通信サーバ、及び、通信サーバの接続条件決定方法

【課題】 ユーザ情報などの接続条件を、接続先ネットワークなどに適応して柔軟に決定できるようにする。
【解決手段】 本発明は、通信端末を収容し、複数種類の他の通信サーバと接続可能な通信サーバに関する。そして、いずれか1以上の他の通信サーバに適合する接続条件を、全ての他の通信サーバに対応できるように複数種類管理している接続条件管理部と、他の通信サーバ毎に、接続条件管理部におけるいずれかの接続条件にリンクさせるインデックス情報を含め、他の通信サーバに係る情報を管理する対向通信サーバ情報管理部と、いずれかの他の通信サーバからの通信信号の受信時、又は、いずれかの他の通信サーバへの通信信号の送信時に、対向通信サーバ情報管理部を介して、接続条件管理部で管理されている接続条件を取り出し、その接続条件に応じた処理を実行するサービスシナリオ機能部を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信サーバ、及び、通信サーバの接続条件決定方法に関し、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)により通信を行うSIP交換機システム等のSIPサーバに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
SIPサーバの代表的なものとしてSIP交換機システムがある(特許文献1、非特許文献1参照)。SIP交換機システムは、SIPプロトコルに対応したユーザ端末を多数収容し、SIPユーザ端末かつ事業者(キャリア)毎のSIP交換機システムとSIP信号を送受信することで、ユーザに対して電話呼接続サービス等を提供している。
【0003】
一般の交換機システムでは、ユーザが相手先の電話番号をダイヤルし、交換機システムが受信したダイヤル番号を適切にルーチングすることで、発信者と着信者との通話を確立させている。また、交換機システム間で発信者情報を通知することで、同一事業者内のみならず、異なる事業者間で接続したときの料金精算などを可能としている。
【0004】
SIP交換機システムにおいても、ユーザ端末がSIP交換機システムに対して接続先の着信者情報を通知し、SIP交換機システムがユーザ端末から受信した着信者情報を適切にルーチングし、かつ、発信者情報をSIP交換機システム間で通知することでSIPを使用した電話サービスを実現している。なお、着信者情報及び発信者情報はユーザ情報とも呼ばれる。
【0005】
SIP交換機システムでは、電話の発信にINVITEリクエストを使用し、発信者情報の通知にP−Asserted−Identityヘッダ、着信者情報の通知にRequest−URIを使用するのが一般的である。
【特許文献1】特開2006−5880号公報
【非特許文献1】RFC3261
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今日、IP電話を実現するプロトコルとしてSIPが一般的となってきていることから、IP電話サービスを提供する通信事業者同士のSIP交換機システムによる相互接続が実施されてきている。
【0007】
SIP交換機システム同士でユーザ情報(発信者情報、着信者情報)を通知するために、発信者情報はP−Asserted−Identityヘッダ(以下、適宜、PAIヘッダと呼ぶ)を使用し、着信者情報はRequest−URIを使用することが一般的となりつつも、事業者毎に保有するSIP交換機システムの仕様により、上記以外のヘッダにて通知する必要が生じ、相互接続時の阻害要因となることが多数発生してきた。
【0008】
このため、SIP交換機システムにおいて、接続先事業者が保有するSIP交換機システム毎に、発信者情報、着信者情報の通知条件を設定する必要がある。
【0009】
また、現在は標準化機関におけるNGN(次世代ネットワーク)対応など、SIP交換機システムとして、新旧のシステムが混在する過度期に直面していることから、新SIP交換機システムと旧SIP交換機システムとで接続することも必要になってくることが予想される。
【0010】
そのため、ユーザ情報などの接続条件を、接続先ネットワークなどに適応して柔軟に決定可能な通信サーバ、及び、通信サーバの接続条件決定方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明は、通信端末を収容し、複数種類の他の通信サーバと接続可能な通信サーバにおいて、(1)いずれか1以上の上記他の通信サーバに適合する接続条件を、全ての他の通信サーバに対応できるように複数種類管理している接続条件管理部と、(2)上記他の通信サーバ毎に、上記接続条件管理部におけるいずれかの上記接続条件にリンクさせるインデックス情報を含め、上記他の通信サーバに係る情報を管理する対向通信サーバ情報管理部と、(3)いずれかの上記他の通信サーバからの通信信号の受信時、又は、いずれかの上記他の通信サーバへの通信信号の送信時に、上記対向通信サーバ情報管理部を介して、上記接続条件管理部で管理されている接続条件を取り出し、その接続条件に応じた処理を実行するサービスシナリオ機能部とを有することを特徴とする。
【0012】
第2の本発明は、通信端末を収容し、複数種類の他の通信サーバと接続可能な通信サーバが、いずれかの上記他の通信サーバと接続するための接続条件を決定する通信サーバの接続条件決定方法であって、接続条件管理部、対向通信サーバ情報管理部及びサービスシナリオ機能部を備え、(1)上記接続条件管理部は、いずれか1以上の上記他の通信サーバに適合する接続条件を、全ての他の通信サーバに対応できるように複数種類管理し、(2) 上記対向通信サーバ情報管理部は、上記他の通信サーバ毎に、上記接続条件管理部におけるいずれかの上記接続条件にリンクさせるインデックス情報を含め、上記他の通信サーバに係る情報を管理し、(3)上記サービスシナリオ機能部は、いずれかの上記他の通信サーバからの通信信号の受信時、又は、いずれかの上記他の通信サーバへの通信信号の送信時に、上記対向通信サーバ情報管理部を介して、上記接続条件管理部で管理されている接続条件を取り出し、その接続条件に応じた処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザ情報などの接続条件を、接続先ネットワークなどに適応して柔軟に決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による通信サーバ、及び、通信サーバの接続条件決定方法を、SIP交換機システムに適用した一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0015】
(A−1)実施形態の構成
図2は、実施形態に係るSIP交換機システムのネットワーク上での位置を示す説明図である。
【0016】
図2において、実施形態のSIP交換機システム100は、SIPユーザ端末120との間で、IPネットワーク110を介してSIP信号の要求信号と応答信号の送受信を実施している。SIP交換機システム100は、他の通信事業者(図2では3事業者を示している)のSIP交換機システム(以下、対向SIP交換機システムと呼ぶ)130−1、130−2、130−3と、IPネットワーク110を介して接続可能であり、SIPユーザ端末120から通知された着信先情報が、他の通信事業者に係る網の端末を指示していれば、IPネットワーク110を介して、その通信事業者に係る対向SIP交換機システム130−1、130−2又は130−3と接続する。
【0017】
図1は、実施形態のSIP交換機システム100内部の階層構造例を示すブロック図である。図1では、対向SIP交換機システムについては、システム130−1だけ示している。また、図1では、SIPユーザ端末120からの対向SIP交換機システム130−1へのSIP信号を、当該SIP交換機システム100が中継するようなイメージで、SIP信号の流れを示している。
【0018】
実施形態のSIP交換機システム100は、RFC3261に準拠し、内部的にSIP階層(レイヤ)構造がとられているものである。実施形態のSIP交換機システム100は、階層として、トランスポートレイヤ(トランスポートレイヤ処理部)210、トランザクションレイヤ(トランザクションレイヤ処理部)220、アプリケーションレイヤ(アプリケーションレイヤ処理部)230を有する。
【0019】
SIPユーザ端末120がSIP信号(要求信号、応答信号)をSIP交換機システム100に送信した場合、SIP交換機システム100内部のトランスポートレイヤ210が受信する。トランスポートレイヤ210は、受信したSIP信号をトランザクションレイヤ220に引き渡す。トランザクションレイヤ220は、受信したSIP信号に対応するトランザクションを検索する。トランザクションレイヤ220は、検索した結果、トランザクションが存在する場合はそのトランザクションの状態に応じて処理を実施し、存在しない場合には新規にトランザクションを生成して処理を実施する。そして、トランザクションレイヤ220は、条件に応じてアプリケーションレイヤ230に対してSIP信号を引き渡す。アプリケーションレイヤ230は、受信したSIP信号の種別と信号上に設定されているパラメータ内容、及びアプリケーションレイヤ自身が保持しているプログラム状態により、電話呼接続サービスなど各種サービス機能を実施する。
【0020】
アプリケーションレイヤ230は、例えば、CPU及びCPUが実行するプログラムによって実現されるものであるが、機能的には、信号振り分け機能部310、サービスシナリオ機能部320、ユーザデータ管理部330、SIPサーバ情報管理部340、及び、接続条件管理部350を有する。
【0021】
信号振分け機能部310は、トランザクションレイヤ220から引き渡されたSIP信号をアプリケーションレイヤ230内部において一番に受信し、受信したSIP信号に対してリクエスト種別や設定されているパラメータの確認を実施する。信号振分け機能部310は、既に生成されているサービスシナリオに関連している信号であれば、サービスシナリオ機能部340に受信したSIP信号を通知する。
【0022】
サービスシナリオ機能部320は、IP電話サービスなどの各種サービスを実現するサービスシナリオを複数配備している。サービスシナリオ機能部320は、信号振り分け機能部310からサービスの開始を要求するSIP信号を受信すると、要求されたサービスに該当するサービスシナリオを生成し、以降、信号振り分け機能部310から通知されるSIP信号に応じて対応するサービスシナリオの状態を変化させながら、SIP応答信号やSIP要求信号を、信号振り分け機能部310、トランザクションレイヤ220、トランスポートレイヤ210を経由してSIPユーザ端末120、対向SIP交換機システム130−1〜130−3に対して送信することにより要求されたサービスを提供する。
【0023】
ユーザデータ管理部330は、SIP交換機システム100に収容される全てのユーザのデータを管理する。ユーザデータとして、電話番号やユーザアカウントなどユーザを識別する情報、ユーザのサービス契約情報が管埋される。ユーザデータ管理部330は、ユーザに対するサービスシナリオ実行時など該当ユーザに関する情報を必要とするときに、サービスシナリオ機能部320からの要求に応じて開示する。
【0024】
SIPサーバ情報管理部340は、SIP交換機システム100と接続する対向SIP交換機システム130−1〜130−3などの情報を管理する。SIPサーバ情報として、接続先IPアドレス・ポート番号、使用するトランスポートプロトコル、接続時に使用するタイマ値、接続条件表へのインデックスが管理される(後述する図3参照)。SIPサーバ情報管理部340は、対向SIP交換機システム130−1〜130−3への発信や着信が生じた場合には、サービスシナリオ機能部320から必要に応じて情報を開示する。
【0025】
接続条件管理部350は、対向SIP交換機システム130−1〜130−3に対してSIP信号を送受信するときの着信者情報の通知条件、発信者情報の通知条件などを管理する。接続条件管理部350は、(i)対向SIP交換機システム130−1〜130−3から着信された場合においてサービスシナリオ機能部320が受信したSIP信号から発信者情報や着信者情報を参照するときや、(ii)対向SIP交換機システム130−1〜130−3へ発信する場合においてサービスシナリオ機能部320が発信者情報や着信者情報を送信するSIP信号に設定するときに、SIPサーバ情報管理部340を経由し、必要に応じて情報を開示する。
【0026】
図3は、SIPサーバ情報管理部340及び接続条件管理部350を詳細に示した説明図である。
【0027】
SIPサーバ情報管理部340は、接続する対向SIP交換機システム130−1〜130−3にそれぞれ対応するSIPサーバ情報管理表410を保持しており、接続条件管理部350は、対向SIP交換機システム130−1〜130−3と接続するための接続条件管理表420を保持している。
【0028】
ある対向SIP交換機システム(例えば、130−1)に対応付けられたSIPサーバ情報管理表410は、その対向SIP交換機システムと接続するときのIPアドレス、トランスポートプロトコル種別、ポート番号、接続時に使用するタイマ値(応答信号を待ち受ける最大時間を規定している)、インタフェース種別を、対向SIP交換機システムの名称であるホスト名に対応付けて配備しており、サービスシナリオ機能部320が、SIP信号をその対向SIP交換機システムへ送信する場合には、SIPサーバ情報管理表410に設定されている内容を接続する際に使用する。
【0029】
接続条件管理表420は、サービスシナリオ機能部320が、対向SIP交換機システム130−1〜130−3と接続する際の、SIP信号送信時のRequest−URI設定フォーマット、Toヘッダ設定フォーマット、Fromヘッダ設定フォーマット、P−Asserted−Identityヘッダ設定フォーマットなどを定義しているものである。また、接続条件管理表420は、対向SIP交換機システム130−1〜130−3からSIP信号を受信した場合に、受信したSIP信号に基づいて、発信者情報通知方法、非通知理由、発信者情報、着信者情報についてどのフィールドを使用するかについて定義しているものである。
【0030】
このような定義内容(インタフェース条件表)は複数種類用意されており(図3は4個の例の場合を示している)、SIPサーバ情報管理表410におけるインタフェース種別が、どの定義内容(インタフェース条件表)510−1〜510−4を適用するかのインデックスとなっている。なお、異なる対向SIP交換機システムが同一のインタフェース条件表を用いることもあり得る。
【0031】
図4は、インタフェース条件表510(510−1〜510−4)に定義可能な項目例を示す説明図である。
【0032】
インタフェース条件表510には、受信条件の項目として、「発信者情報表示方法」、「非通知理由」、「発信者情報」及び「着信者情報」が設けられている。「発信者情報表示方法」は、発信者情報を着信者に通知するか否かを取得する、SIP信号におけるフィールドを指定するものである。「非通知理由」は、発信者情報を着信者に通知できない場合の理由を取得する、SIP信号におけるフィールドを指定するものである。「発信者情報」は、発信者情報を取得する、SIP信号におけるフィールドを指定するものである。「着信者情報」は、着信者情報を取得する、SIP信号におけるフィールドを指定するものである。
【0033】
また、インタフェース条件表510には、送信条件の項目として、「Request−URI」、「To」、「From」及び「PAI(P−Asserted−Identity)」が設けられている。「Request−URI」は、着信者情報を送信するSIP信号のRequest−URIに設定するときのフォーマットを指定するものである。「To」は、着信者情報を送信するSIP信号のToヘッダに設定するときのフォーマットを指定するものである。「From」は、発信者情報を送信するSIP信号のFromヘッダに設定するときのフォーマットを指定するものである。「PAI」は、発信者情報を送信するSIP信号のPAIヘッダに設定するときのフォーマットを指定するものである。
【0034】
図5は、インタフェース条件表510の各項目に設定可能な値の説明図である。図6は、接続条件管理表420の各項目の設定例を示す説明図である。図6は、インタフェース条件表が2つ(510−1、510−2)の場合を示している。
【0035】
「発信者情報表示方法」には、Privacyヘッダから取得した値(「Privacy」)又はFromヘッダから取得した値(From)を設定できる。図6の第1のインタフェース条件表(IF#1)510−1は「Privacy」が設定され、第2のインタフェース条件表(IF#2)510−2は「From」が設定されている。
【0036】
「非通知理由」には、PAIヘッダから取得した値(「PAI」)又はFromヘッダから取得した値(From)を設定できる。図6の第1のインタフェース条件表(IF#1)510−1は「PAI」が設定され、第2のインタフェース条件表(IF#2)510−2は「From」が設定されている。
【0037】
「発信者情報」には、PAIヘッダから取得した値(「PAI」)又はFromヘッダから取得した値(From)を設定できる。図6の第1のインタフェース条件表(IF#1)510−1は「PAI」が設定され、第2のインタフェース条件表(IF#2)510−2は「From」が設定されている。
【0038】
「着信者情報」には、Request−URIから取得した値(「Request−URI」)を設定できる。設定できる値の選択肢が1つであるので、図6の第1のインタフェース条件表(IF#1)510−1にも第2のインタフェース条件表(IF#2)510−2にも「Request−URI」が設定されている。
【0039】
「Request−URI」には、E.164形式又は国内番号形式に従って、Request−URIに着信者情報を設定することができる。図6の第1のインタフェース条件表(IF#1)510−1は「E.164形式」を指定しており、第2のインタフェース条件表(IF#2)510−2は「国内番号形式」を指定している。
【0040】
「To」には、E.164形式又は国内番号形式に従って、Toヘッダに着信者情報を設定することができる。図6の第1のインタフェース条件表(IF#1)510−1は「国内番号形式」を指定しており、第2のインタフェース条件表(IF#2)510−2は「国内番号形式」を指定している。
【0041】
「From」には、E.164形式又は国内番号形式に従って、Fromヘッダに発信者情報を設定することができる。図6の第1のインタフェース条件表(IF#1)510−1は「国内番号形式」を指定しており、第2のインタフェース条件表(IF#2)510−2は「国内番号形式」を指定している。
【0042】
「PAI」には、JJ−90.25形式に従って、PAIヘッダに発信者情報を設定することができ、また、設定しないこと(未設定)も1つの選択肢である。図6の第1のインタフェース条件表(IF#1)510−1は「JJ−90.25形式」を指定しており、第2のインタフェース条件表(IF#2)510−2は「未設定」を指定している。
【0043】
実施形態のIP交換機システム100に対向する、他の通信事業者のSIP交換機システム130−1〜130−3の仕様を考慮し、いずれの対向SIP交換機システム130−1〜130−3とも通信可能なように、インタフェース条件表510を用意しておく。
【0044】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態に係るSIP交換機システム100の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0045】
まず、SIP交換機システム100が、対向SIP交換機システム130(130−1〜130−3)から受信したSIP信号から、情報を取得する際の処理について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、対向SIP交換機システム130−1に関しては、図6の第1のインタフェース条件表510−1が該当するものとする。
【0046】
サービスシナリオ機能部320が信号振り分け機能部310からSIP信号を受信した場合、SIPサーバ情報管理部340に対して、接続条件管理部350から接続条件管理表410に定義されているインタフェース条件表510の受信条件を取得する(ステップS100)。サービスシナリオ機能部320は、発信者情報通知方法の取得箇所を特定するため、受信条件における「発信者情報通知方法」の設定内容を判断し(ステップS110)、設定内容に応じて、該当するヘッダから、発信者情報の通知有無を取得する(ステップS111、S112)。
【0047】
対向SIP交換機システム130−1がSIP信号の送信元である場合には、第1のインタフェース条件表510−1が該当し、設定内容が「Privacy」であるため、受信SIP信号のPrivacyヘッダから発信者情報の通知有無を取得する(ステップS110、S111)。
【0048】
その後、サービスシナリオ機能部320は、受信SIP信号から取得した発信者通知情報を判断する(ステップS120)。発信者情報を通知する場合であれば、後述するステップS130に移行する。これに対して、発信者情報が非通知であれば、「非通知理由」の設定内容を判断し(ステップS121)、設定内容に応じて、該当するヘッダから、非通知理由を取得する(ステップS122、S123)。
【0049】
対向SIP交換機システム130−1がSIP信号の送信元であり、発信者情報を通知する場合であれば、ステップS121〜S123は実行されずに、ステップS130に移行する。対向SIP交換機システム130−1がSIP信号の送信元であり、発信者情報を通知しない場合であれば、第1のインタフェース条件表510−1における「非通知理由」の設定内容「PAI」に基づいて、受信SIP信号のP−Asserted−Identityヘッダから非通知理由を取得する(ステップS121、S122)。
【0050】
また、サービスシナリオ機能部320は、受信条件における「発信者情報」の設定内容を判断し(ステップS130)、設定内容に応じて、該当するヘッダから、発信者情報を取得する(ステップS131、S132)。
【0051】
対向SIP交換機システム130−1がSIP信号の送信元である場合には、第1のインタフェース条件表510−1における「発信者情報」の設定内容が「PAI」であるため、受信SIP信号のP−Asserted−Identityヘッダから発信者情報を取得する(ステップS131、S132)。
【0052】
最後に、サービスシナリオ機能部320は、Request−URIから着信者情報を取得する(S140)。対向SIP交換機システム130−1がSIP信号の送信元である場合も、Request−URIから着信者情報を取得する(S140)。
【0053】
サービスシナリオ機能部320は、以上のようにして、受信SIP信号から取り出した各種情報を使用して各種サービスを実行する。
【0054】
次に、SIP交換機システム100が、対向SIP交換機システム130(130−1〜130−3)へSIP信号を送信するときの送信SIP信号に対する設定処理について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。ここでも、対向SIP交換機システム130−1に関しては、図6の第1のインタフェース条件表510−1が該当するものとする。
【0055】
サービスシナリオ機能部320が対向SIP交換機システム130(130−1〜130−3)にSIP信号を送信するためにSIP信号を組み立てる場合、SIPサーバ情報管理部340に対して、接続条件管理部350から接続条件管理表410に定義されているインタフェース条件表510の送信条件を取得する(ステップS200)。
【0056】
送信先の対向SIP交換機システムがシステム130−1の場合には、第1のインタフェース条件表510−1の送信条件が取得される。
【0057】
サービスシナリオ機能部320は、Request−URIの設定内容を判断し(ステップS210)、設定内容に応じたE.164形式又は国内番号形式に従う着信者情報を、送信SIP信号におけるRequest−URIに設定する(ステップS211、S212)。送信先の対向SIP交換機システムがシステム130−1の場合には、第1のインタフェース条件表510−1にけるRequest−URIの設定内容が「E.164」であるため、着信者情報をE.164形式でRequest−URIを設定する。
【0058】
また、サービスシナリオ機能部320は、Toヘッダの設定内容を判断し(ステップS220)、設定内容に応じたE.164形式又は国内番号形式に従う着信者情報を、送信SIP信号におけるToヘッダに設定する(ステップS221、S222)。送信先の対向SIP交換機システムがシステム130−1の場合には、第1のインタフェース条件表510−1にけるToヘッダが「国内番号」であるため、着信者情報を国内番号形式でToヘッダを設定する。
【0059】
さらに、サービスシナリオ機能部320は、Fromヘッダの設定内容を判断し(ステップS230)、設定内容に応じたE.164形式又は国内番号形式に従う発信者情報を、送信SIP信号におけるFromヘッダに設定する(ステップS231、S232)。送信先の対向SIP交換機システムがシステム130−1の場合には、第1のインタフェース条件表510−1にけるFromヘッダが「国内番号」であるため、発信者情報を国内番号形式でFromヘッダに設定する。
【0060】
さらにまた、サービスシナリオ機能部320は、PAIヘッダの設定内容を判断し(ステップS240)、設定内容に応じたJJ−90.25形式に従う発信者情報を、送信SIP信号におけるP−Asserted−Identityヘッダに設定するか(ステップS241)、若しくは、設定内容に従いP−Asserted−Identityヘッダに何も設定しない(ステップS242)。送信先の対向SIP交換機システムがシステム130−1の場合には、第1のインタフェース条件表510−1にけるPAIヘッダが「JJ−90.25」であるため、発信者情報をJJ−90.25形式でP−Asserted−Identityヘッダに設定する。
【0061】
サービスシナリオ機能部320は、これらの処理で組み立てたSIP信号を対向SIP交換機システム130に送信する。
【0062】
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態によれば、接続条件管理表420を対向SIP交換機システム130−1〜130−3毎に用意することにより、SIP信号の受信時には、発信者情報、着信者情報などの取得フィールドを対向SIP交換機システムの仕様に従って受信SIP信号から取得することができ、また、SIP信号の送信時には、発信者情報、着信者情報などを対向SIP交換機システムが希望するフィールドへ設定することで、SIP交換機システムを保有するIP電話サービス事業者のサービス提供方針により接続条件が異なるSIP交換機システムとの接続を、接続条件管理表510の設定のみで適合させることができる。
【0063】
(B)他の実施形態
上記実施形態では、対向SIP交換機システムとあるIP電話サービス事業者とが1対1の関係である場合を説明したが、1事業者が複数のIP電話サービス事業者を備えていても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、インタフェース条件表に送信条件と受信条件の双方が含まれているものを示したが、送信条件だけを含むインタフェース条件表と、受信条件だけを含むインタフェース条件表とを別個に用意し、SIPサーバ情報管理表に、送信条件だけを含むインタフェース条件表に対するインデックスと、受信条件だけを含むインタフェース条件表に対するインデックスとを盛り込むようにしても良い。
【0065】
さらに、送信条件だけを含むインタフェース条件表を用意し、受信条件については、SIPサーバ情報管理表に記述するようにしても良い。逆に、受信条件だけを含むインタフェース条件表を用意し、送信条件については、SIPサーバ情報管理表に記述するようにしても良い。
【0066】
さらにまた、上記実施形態では、SIP交換機システムに適用した例を説明したが、SIP以外のプロトコルにおいてリクエスト種別やコマンド種別のあるプロトコルを採用し、接続条件の異なるユーザ/サーバ装置においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施形態に係るSIP交換機システムの内部階層構造例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るSIP交換機システムのネットワーク上での位置を示す説明図である。
【図3】実施形態におけるSIPサーバ情報管理部及び接続条件管理部を詳細に示した説明図である。
【図4】実施形態におけるインタフェース条件表に定義可能な項目例示す説明図である。
【図5】実施形態におけるインタフェース条件表の各項目に設定可能な値の説明図である。
【図6】実施形態における接続条件管理表の各項目の設定例を示す説明図である。
【図7】実施形態に係るSIP交換機システムが、対向SIP交換機システムから受信したSIP信号から、情報を取得する際の処理を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係るSIP交換機システムが、対向SIP交換機システムへSIP信号を送信するときの送信SIP信号に対する設定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
100…SIP交換機システム、110…IPネットワーク、120…SIPユーザ端末、130−1、130−2、130−3…対向SIP交換機システム、230…アプリケーションレイヤ(アプリケーションレイヤ処理部)、310…信号振り分け機能部、320…サービスシナリオ機能部、330…ユーザデータ管理部、340…SIPサーバ情報管理部、350…接続条件管理部、410…SIPサーバ情報管理表、420…接続条件管理表、510…インタフェース条件表。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末を収容し、複数種類の他の通信サーバと接続可能な通信サーバにおいて、
いずれか1以上の上記他の通信サーバに適合する接続条件を、全ての他の通信サーバに対応できるように複数種類管理している接続条件管理部と、
上記他の通信サーバ毎に、上記接続条件管理部におけるいずれかの上記接続条件にリンクさせるインデックス情報を含め、上記他の通信サーバに係る情報を管理する対向通信サーバ情報管理部と、
いずれかの上記他の通信サーバからの通信信号の受信時、又は、いずれかの上記他の通信サーバへの通信信号の送信時に、上記対向通信サーバ情報管理部を介して、上記接続条件管理部で管理されている接続条件を取り出し、その接続条件に応じた処理を実行するサービスシナリオ機能部と
を有することを特徴とする通信サーバ。
【請求項2】
上記接続条件管理部は、上記接続条件として、着信者情報の通知条件と発信者情報の通知条件とを有することを特徴とする請求項1に記載の通信サーバ。
【請求項3】
上記サービスシナリオ機能部は、いずれかの上記他の通信サーバからの通信信号の受信時には、上記他の通信サーバに係る接続条件のうち、受信条件を適用して、所定情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信サーバ。
【請求項4】
上記サービスシナリオ機能部は、いずれかの上記他の通信サーバへの通信信号の送信時には、上記他の通信サーバに係る接続条件のうち、送信条件を適用して、所定情報を上記通信信号内に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信サーバ。
【請求項5】
通信端末を収容し、複数種類の他の通信サーバと接続可能な通信サーバが、いずれかの上記他の通信サーバと接続するための接続条件を決定する通信サーバの接続条件決定方法であって、
接続条件管理部、対向通信サーバ情報管理部及びサービスシナリオ機能部を備え、
上記接続条件管理部は、いずれか1以上の上記他の通信サーバに適合する接続条件を、全ての他の通信サーバに対応できるように複数種類管理し、
上記対向通信サーバ情報管理部は、上記他の通信サーバ毎に、上記接続条件管理部におけるいずれかの上記接続条件にリンクさせるインデックス情報を含め、上記他の通信サーバに係る情報を管理し、
上記サービスシナリオ機能部は、いずれかの上記他の通信サーバからの通信信号の受信時、又は、いずれかの上記他の通信サーバへの通信信号の送信時に、上記対向通信サーバ情報管理部を介して、上記接続条件管理部で管理されている接続条件を取り出し、その接続条件に応じた処理を実行する
ことを特徴とする通信サーバの接続条件決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−124572(P2009−124572A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298233(P2007−298233)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(595125421)沖通信システム株式会社 (131)
【Fターム(参考)】