説明

通信システム、サービス制御装置、及び通信方法

【課題】通信中の移動端末のチャージ残量をリアルタイムで通知することができる通信システムを提供する。
【解決手段】通信システム1は、移動端末40の通信量を計数する通信制御装置であるGGSN20と、移動端末40が利用可能な通信量であるチャージ残量を記憶するサービス制御装置30と、を備え、サービス制御装置30は、移動端末40のチャージ残量の問合せを受け付ける問合受付部37と、移動端末40が通信中であるかどうかを判定する通信状態判定部36と、通信状態判定部36により移動端末40が通信中であると判定されたときに、GGSN20で計数された通信量に応じて更新されたチャージ残量を取得する更新残量受信部33と、問合受付部37が受け付けた問合せに応じて、移動端末40のチャージ残量を通知する残量通知部38と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の通信システム、この通信システムで用いられるサービス制御装置、及びこの通信システムで実行される通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPRS(General Packet Radio Service)を用いた移動端末の通信システムがある。この通信システムは、移動端末の通信料を計数する通信制御装置を備えている。通信制御装置は、異なるネットワーク間を接続する関門交換機であるGGSN(Gateway GPRS Support Node)や、GGSNの下位に配置された交換機であるSGSN(Service GPRS Support Node)等である。
【0003】
上記通信システムを利用する移動端末には、利用料金が課金される。例えば、特許文献1には、予め通信の利用料金を支払い、支払った料金に対応する通信量の範囲内で移動端末の通信を可能とするプリペイド式の課金方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−204323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリペイド式の課金方式では、通信可能な通信量であるチャージ残量が、通信事業者の管理下にあるサービス制御装置に記憶されることが一般的に考えられる。この場合、移動端末のユーザー等は、サービス制御装置にアクセスし、チャージ残量を知ることができる。
【0006】
しかしながら、通信中の移動端末の通信量は、サービス制御装置ではなく通信制御装置で計数されるため、通信中にチャージ残量が問合せられると、現在の通信に応じたチャージ残量をリアルタイムで通知することができないおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、通信中の移動端末のチャージ残量をリアルタイムで通知することができる通信システム、サービス制御装置、及び通信方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る通信システムは、移動端末の通信量を計数する通信制御装置と、移動端末が利用可能な通信量であるチャージ残量を記憶するサービス制御装置と、を備えた通信システムにおいて、サービス制御装置は、移動端末の通信状態を示す情報を記憶する通信状態記憶手段と、移動端末のチャージ残量の問合せを受け付ける問合受付手段と、通信状態記憶手段に記憶された情報に基づいて、移動端末が通信中であるかどうかを判定する通信状態判定手段と、通信状態判定手段により移動端末が通信中であると判定されたときに、通信制御装置で計数された通信量に応じて更新されたチャージ残量を取得する更新残量取得手段と、問合受付手段が受け付けた問合せに応じて、移動端末のチャージ残量を通知する残量通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るサービス制御装置は、移動端末の通信量を計数する通信制御装置を備えた通信システムで、移動端末が利用可能な通信量であるチャージ残量を記憶するサービス制御装置において、移動端末の通信状態を示す情報を記憶する通信状態記憶手段と、移動端末のチャージ残量の問合せを受け付ける問合受付手段と、通信状態記憶手段に記憶された情報に基づいて、移動端末が通信中であるかどうかを判定する通信状態判定手段と、通信状態判定手段により移動端末が通信中であると判定されたときに、通信制御装置で計数された通信量に応じて更新されたチャージ残量を取得する更新残量取得手段と、問合受付手段が受け付けた問合せに応じて、移動端末のチャージ残量を通知する残量通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る通信方法は、移動端末の通信量を計数する通信制御装置と、移動端末が利用可能な通信量であるチャージ残量を記憶するサービス制御装置と、を備えた通信システムが実行する通信方法において、サービス制御装置が、移動端末の通信状態を示す情報を記憶する通信状態記憶ステップと、サービス制御装置が、移動端末のチャージ残量の問合せを受け付ける問合受付ステップと、サービス制御装置が、通信状態記憶ステップで記憶された情報に基づいて、移動端末が通信中であるかどうかを判定する通信状態判定ステップと、サービス制御装置が、通信状態判定ステップで移動端末が通信中であると判定されたときに、通信制御装置で計数された通信量に応じて更新されたチャージ残量を取得する更新残量取得ステップと、サービス制御装置が、問合受付ステップで受け付けた問合せに応じて、移動端末のチャージ残量を通知する残量通知ステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
このような通信システム、サービス制御装置、及び通信方法によれば、移動端末のチャージ残量が問合せられると、サービス制御装置により、その移動端末が通信中であるかが判定される。その移動端末が通信中である場合には、通信制御装置で計数された通信量に応じて更新されたチャージ残量が取得され、通知される。このため、通信中の移動端末のチャージ残量をリアルタイムで通知することができる。また、通信中の移動端末のチャージ残量は、サービス制御装置がチャージ残量の問合せを受けたときに取得される。このため、サービス制御装置に記憶されたチャージ残量を、通信中の問合せに備えて更新し続ける必要がなく、通信制御装置及びサービス制御装置の負担が軽減される。
【0012】
ここで、上記通信システムの具体例として、通信制御装置は、通信エリアごとに配置された交換機であることが挙げられる。この場合、移動端末の通信量を計数する処理の負担が、通信エリアごとに配置された交換機に分散される。
【0013】
また、上記通信システムの具体例として、通信制御装置は、外部のネットワークに接続するための関門交換機であり、移動端末の通信状態を示す情報を送信する通信状態送信手段を有し、サービス制御装置の通信状態記憶手段は、通信状態送信手段により送信された移動端末の通信状態を示す情報を記憶することが挙げられる。この場合、移動端末の通信状態を示す情報が、移動端末の通信状態に関与する関門交換機から送信されるため、確実にサービス制御装置に取得され、記憶される。
【0014】
また、上記通信システムの他の具体例として、通信制御装置において、通信状態送信手段は、関門交換機のアドレスを送信し、サービス制御装置において、通信状態記憶手段は、通信状態送信手段により送信された関門交換機のアドレスを記憶し、通信状態判定手段は、通信状態記憶手段に関門交換機のアドレスが記憶されているかどうかに基づいて、移動端末が通信中であるかどうかを判定することが挙げられる。この場合、関門交換機を特定するためのアドレスが、移動端末が通信中であるかどうかの判定にも利用され、通信状態記憶手段が記憶すべきデータ量が少なくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る通信システム、サービス制御装置、及び通信方法によれば、通信中の移動端末のチャージ残量をリアルタイムで通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る通信システムの一実施形態の全体構成を示す図である。
【図2】通信量を計数するGGSNの機能ブロック図である。
【図3】サービス制御装置の機能ブロック図である。
【図4】チャージ残量通知処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】通信量を計数するSGSNの機能ブロック図である。
【図6】SGSNが通信量を計数する場合のチャージ残量通知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るサービス制御装置、及び通信方法を適用した通信システムの好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明に係る通信システムの一実施形態の全体構成を示す図であり、通信システム1は、GPRSを用いた通信システムである。図1に示すように、通信システム1は、交換機であるSGSN10と、関門交換機であるGGSN20と、サービス制御装置30と、を備えている。サービス制御装置30は、例えば、HLR(Home Location Register)である。通信システム1は、プリペイド式の課金方式を選択した移動端末40の通信に利用されるが、ポストペイド式の課金方式にも適用可能である。移動端末40は、SGSN10及びGGSN20を介してネットワーク50に接続し、ネットワーク50上の接続先60とパケット通信を行う。
【0019】
移動端末40のユーザーは、通信システム1を管理する通信事業者に予め利用料を支払い、支払った料金に対応する通信パケット量を上限としてパケット通信を行うことができる。利用可能な通信パケット量であるチャージ残量は、サービス制御装置30に記憶されている。通信中の移動端末40の通信パケット量は、GGSN20において計数され、計数結果に応じてチャージ残量が減少する。即ち、GGSN20は、移動端末40の通信パケット量を計数する通信制御装置である。サービス制御装置30は、ネットワーク上に公開されたチャージサイト70を備えている。チャージサイト70は、移動端末40のユーザー等がアクセス可能なインターフェースである。移動端末40のユーザー等は、例えば、パーソナルコンピュータ80によりチャージサイト70にアクセスし、移動端末40のチャージ残量を知ることができる。チャージサイト70には、自端末である移動端末40からアクセスすることもできる。
【0020】
図2は、通信量を計数するGGSNの機能ブロック図である。図2に示すように、GGSN20は、通信制御部21と、通信状態送信部22と、通信量計数部23と、記憶残量受信部24と、残量更新部25と、更新残量送信部26と、を備えている。
【0021】
通信制御部21は、関門交換機としての通信制御を行う。通信状態送信部22は、GGSN20のアドレスをサービス制御装置30に送信する。
【0022】
通信量計数部23は、移動端末40の通信パケット量を計数する。記憶残量受信部24は、移動端末40の通信が開始される際に、サービス制御装置30に記憶されているチャージ残量を取得する。残量更新部25は、記憶残量受信部24により取得されたチャージ残量から、通信量計数部23で計数された通信パケット量を減算し、チャージ残量を更新する。更新残量送信部26は、残量更新部25により更新されたチャージ残量をサービス制御装置30に送信する。
【0023】
図3は、サービス制御装置の機能ブロック図である。図3に示すように、サービス制御装置30は、残量記憶部31と、記憶残量送信部32と、更新残量受信部33と、通信状態受信部34と、通信状態記憶部35と、通信状態判定部36と、問合受付部37と、残量通知部38と、を備えている。
【0024】
残量記憶部31は、移動端末40のチャージ残量を記憶する。記憶残量送信部32は、残量記憶部31に記憶されているチャージ残量を、GGSN20の記憶残量受信部24に送信する。更新残量受信部33は、GGSN20の残量更新部25で更新されたチャージ残量を、更新残量送信部26から受信する。移動端末40の通信が終了される際には、GGSN20の残量更新部25で更新されたチャージ残量が、更新残量送信部26から更新残量受信部33に受信され、残量記憶部31に記憶される。
【0025】
通信状態受信部34は、GGSN20の通信状態送信部22から送信されたGGSN20のアドレスを受信する。通信状態記憶部35は、通信状態受信部34が受信したGGSN20のアドレスを記憶し、移動端末40の通信が終了される際に破棄する。通信状態記憶部35によるGGSN20のアドレスの破棄は、例えば、GGSN20から発せられる終了通知信号に基づいて行われる。通信状態判定部36は、通信状態記憶部35に、GGSN20のアドレスが記憶されている場合には、移動端末40は通信中であると判定し、記憶されていない場合には、移動端末40は通信中でないと判定する。即ち、本実施形態では、GGSN20のアドレスが、移動端末40の通信状態を示す情報である。通信状態記憶部35に記憶されているGGSN20のアドレスは、記憶残量送信部32からGGSN20へのチャージ残量の送信、及びGGSN20から更新残量受信部33へのチャージ残量の受信において、GGSN20を特定するのに用いられる。
【0026】
問合受付部37は、上記チャージサイト70を介し、移動端末40のチャージ残量の問合せを受け付ける。残量通知部38は、問合受付部37が受け付けた問合せに応じ、移動端末40のチャージ残量を通知する。残量通知部38は、通信状態判定部36の判定結果を参照し、移動端末40が通信中である場合には、更新残量受信部33によりチャージ残量を取得し、取得したチャージ残量をチャージサイト70に出力する。一方、残量通知部38は、移動端末40が通信中でない場合には、残量記憶部31に記憶されているチャージ残量をチャージサイト70に出力する。
【0027】
以上に説明した通信システム1の動作を、図4に基づいて説明する。図4は、チャージ残量通知処理の手順を示すフローチャートである。まず、移動端末40は、SGSN10の管轄エリアに入った際に、SGSN10に位置登録を要求する(ステップS101)。移動端末40の位置登録を行ったSGSN10は、サービス制御装置30にSGSN10のアドレスを送信する(ステップS102)。
【0028】
移動端末40は、在圏しているSGSN10に対し、上記接続先60との通信要求を発信する(ステップS103)。通信要求を受信したSGSN10は、GGSN20に対し、上記ネットワーク50への接続を要求する(ステップS104)。接続要求を受信したGGSN20は、上記ネットワーク50に接続し、移動端末40と接続先60との通信を可能とする処理を行う(ステップS105)。
【0029】
次に、GGSN20は、移動端末40の通信状態を示す情報(GGSN20のアドレス)を、通信状態送信部22からサービス制御装置30に送信する(ステップS106)。サービス制御装置30は、GGSN20のアドレスを通信状態受信部34で受信し、通信状態記憶部35に記憶する(ステップS107)。
【0030】
次に、サービス制御装置30は、残量記憶部31に記憶されたチャージ残量を、記憶残量送信部32からGGSN20に送信する(ステップS108)。ステップS108の送信先は、通信状態記憶部35に記憶されたGGSN20のアドレスにより特定される。GGSN20は、チャージ残量を記憶残量受信部24で受信し、残量更新部25でチャージ残量の更新を行う(ステップS109)。
【0031】
チャージサイト70に、移動端末40のユーザー等がチャージ残量の問合せを入力すると、サービス制御装置30は、チャージ残量の問合せを問合受付部37で受け付ける(ステップS110)。次に、サービス制御装置30は、移動端末40が通信中であるかを通信状態判定部36で判定する(ステップS111)。
【0032】
通信状態判定部36で、移動端末40は通信中であると判定されると、サービス制御装置30は、更新されたチャージ残量をGGSN20に要求する(ステップS112)。ステップS112の要求先は、通信状態記憶部35に記憶されたGGSN20のアドレスにより特定される。チャージ残量の要求を受信したGGSN20は、更新残量送信部26からサービス制御装置30にチャージ残量を送信する(ステップS113)。サービス制御装置30は、更新残量受信部33でチャージ残量を受信し、受信したチャージ残量を、残量通知部38からチャージサイト70に出力する(ステップS114)。これにより、移動端末40のユーザー等にチャージ残量が通知される。
【0033】
一方、通信状態判定部36で、移動端末40は通信中でないと判定されると、サービス制御装置30は、残量記憶部31に記憶されているチャージ残量を、残量通知部38からチャージサイト70に出力する(ステップS114)。
【0034】
以上に説明した通信システム1によれば、移動端末40の通話中には、GGSN20の通信量計数部23により通信パケット量が計数され、残量更新部25によりチャージ残量が更新される。移動端末40のチャージ残量が問合せられると、サービス制御装置30の通信状態判定部36により、移動端末40が通信中であるかが判定される。移動端末40が通信中である場合には、更新残量受信部33により、GGSN20の残量更新部25で更新されたチャージ残量が取得され、通知される。このため、通信中の移動端末40のチャージ残量をリアルタイムで通知することができる。また、通信中の移動端末40のチャージ残量は、サービス制御装置30がチャージ残量の問合せを受けたときに取得される。このため、サービス制御装置30に記憶されたチャージ残量を、通信中の問合せに備えて更新し続ける必要がなく、GGSN20及びサービス制御装置30の負担が軽減される。
【0035】
また、通信システム1では、移動端末40の通信パケット量を計数する通信制御装置は、GGSN20である。GGSN20の通信状態送信部22は、移動端末40の通信状態を示す情報として、GGSN20のアドレスを送信する。サービス制御装置30の通信状態記憶部35は、通信状態送信部22により送信されたGGSN20のアドレスを記憶する。このように、移動端末40の通信状態を示す情報が、移動端末40の通信状態に関与するGGSN20から送信されるため、確実にサービス制御装置30に取得され、記憶される。
【0036】
また、サービス制御装置30の記憶残量送信部32は、通信状態記憶部35に記憶されているGGSN20のアドレスに基づいて、チャージ残量の送信先のGGSN20を特定する。更新残量受信部33は、通信状態記憶部35に記憶されているGGSN20のアドレスに基づいて、チャージ残量の要求先のGGSN20を特定する。このように、通信状態記憶部35に予め記憶されているアドレスに基づいてGGSN20が特定されるため、現在の通信に応じたチャージ残量を迅速に通知することが可能となる。
【0037】
さらに、通信状態判定部36は、通信状態記憶部35にGGSN20のアドレスが記憶されているかどうかに基づいて、移動端末40が通信中であるかどうかを判定する。このように、GGSN20を特定するためのアドレスが、移動端末40が通信中であるかどうかの判定にも利用され、通信状態記憶部35が記憶すべきデータ量が少なくなる。GGSN20のアドレスは、移動端末40の通信が終了されると破棄されるため、通信状態記憶部35が記憶すべきデータ量は一層少なくなる。
【0038】
なお、移動端末40の通信パケット量を計数する通信制御装置は、GGSN20ではなくSGSN10であってもよい。以下、この場合の構成及び動作について説明する。
【0039】
図5は、通信量を計数するSGSNの機能ブロック図である。図5に示すように、SGSN10は、通信制御部11と、通信状態送信部12と、通信量計数部13と、記憶残量受信部14と、残量更新部15と、更新残量送信部16と、を備えている。
【0040】
通信制御部11は、交換機としての通信制御を行う。通信状態送信部12は、SGSN10のアドレスをサービス制御装置30に送信する。
【0041】
通信量計数部13は、移動端末40の通信パケット量を計数する。記憶残量受信部14は、移動端末40の通信が開始される際に、サービス制御装置30に記憶されているチャージ残量を取得する。残量更新部15は、記憶残量受信部14により取得されたチャージ残量から、通信量計数部13で計数された通信パケット量を減算し、チャージ残量を更新する。更新残量送信部16は、残量更新部15により更新されたチャージ残量をサービス制御装置30に送信する。
【0042】
SGSN10が通信パケット量を計数する場合には、サービス制御装置30の通信状態受信部34は、SGSN10の通信状態送信部12から送信されたSGSN10のアドレスを受信する。また、通信状態受信部34は、GGSN20から送信されたGGSN20のアドレスも受信する。
【0043】
通信状態記憶部35は、通信状態受信部34が受信したSGSN10及びGGSN20のアドレスを記憶し、移動端末40の通信が終了される際にGGSN20のアドレスを破棄する。通信状態記憶部35は、移動端末40が他のSGSN10のエリアに移動する際にSGSN10のアドレスを破棄する。通信状態判定部36は、通信状態記憶部35に、GGSN20のアドレスが記憶されている場合には、移動端末40は通信中であると判定し、記憶されていない場合には、移動端末40は通信中でないと判定する。通信状態記憶部35に記憶されているSGSN10のアドレスは、記憶残量送信部32からSGSN10へのチャージ残量の送信、及びSGSN10から更新残量受信部33へのチャージ残量の受信において、SGSN10を特定するのに用いられる。
【0044】
SGSN10が通信パケット量を計数する場合の通信システム1の動作を、図6に基づいて説明する。図6は、SGSNが通信量を計数する場合のチャージ残量通知処理の手順を示すフローチャートである。まず、移動端末40は、SGSN10の管轄エリアに入った際に、SGSN10に位置登録を要求する(ステップS201)。位置登録要求を受信したSGSN10は、通信状態送信部12からサービス制御装置30にSGSN10のアドレスを送信する(ステップS202)。サービス制御装置30は、SGSN10のアドレスを通信状態受信部34で受信し、通信状態記憶部35に記憶する(ステップS203)。
【0045】
続いて、上記ステップS103〜S105と同様の処理により移動端末40と接続先60との通信が可能とされ(ステップS204〜S206)、GGSN20のアドレスがGGSN20からサービス制御装置30に送信される(ステップS207)。サービス制御装置30は、GGSN20のアドレスを通信状態受信部34で受信し、通信状態記憶部35に記憶する(ステップS208)。
【0046】
次に、サービス制御装置30は、残量記憶部31に記憶されたチャージ残量を、記憶残量送信部32からSGSN10に送信する(ステップS209)。ステップS209の送信先は、通信状態記憶部35に記憶されたSGSN10のアドレスにより特定される。SGSN10は、チャージ残量を記憶残量受信部14で受信し、残量更新部15でチャージ残量の更新を行う(ステップS210)。
【0047】
チャージサイト70に、移動端末40のユーザー等がチャージ残量の問合せを入力すると、サービス制御装置30は、チャージ残量の問合せを問合受付部37で受け付ける(ステップS211)。次に、サービス制御装置30は、移動端末40が通信中であるかを通信状態判定部36で判定する(ステップS212)。
【0048】
通信状態判定部36で、移動端末40は通信中であると判定されると、サービス制御装置30は、更新されたチャージ残量をSGSN10に要求する(ステップS213)。ステップS213の要求先は、通信状態記憶部35に記憶されたSGSN10のアドレスにより特定される。チャージ残量の要求を受信したSGSN10は、更新残量送信部16からサービス制御装置30にチャージ残量を送信する(ステップS214)。サービス制御装置30は、更新残量受信部33でチャージ残量を受信し、受信したチャージ残量を、残量通知部38からチャージサイト70に出力する(ステップS215)。これにより、移動端末40のユーザー等にチャージ残量が通知される。
【0049】
一方、通信状態判定部36で、移動端末40は通信中でないと判定されると、サービス制御装置30は、残量記憶部31に記憶されているチャージ残量を、残量通知部38からチャージサイト70に出力する(ステップS215)。
【0050】
SGSN10が通信パケット量を計数する場合には、移動端末40の通信パケット量を計数する処理の負担が、通信エリアごとに配置されたSGSN10に分散される。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態を説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0052】
GGSN20は、移動端末40の通信状態を示す情報として、GGSN20のアドレスを送信し、サービス制御装置30は、GGSN20のアドレスを記憶し、GGSN20のアドレスが記憶されているかどうかに基づいて、移動端末40が通信中であるかどうかを判定しているが、これに限られない。例えば、GGSN20は、移動端末40の通信の開始と終了を示す情報を送信してもよい。この場合、サービス制御装置30は、例えば、移動端末40の通信状態を示すフラグデータを記憶し、移動端末40の通信の開始時にフラグデータをオン状態にし、移動端末40の通信の終了時にフラグデータをオフ状態にし、フラグデータがオン状態であるかオフ状態であるかに基づいて、移動端末40が通信中であるかどうかを判定する。
【0053】
通信中の移動端末40のチャージ残量は、GGSN20又はSGSN10に取得され、GGSN20又はSGSN10で更新されているが、これに限られない。例えば、サービス制御装置30が、GGSN20又はSGSN10で計数された通信パケット量を取得し、移動端末40のチャージ残量を更新してもよい。
【0054】
上述した実施形態は、主にGPRSによる通信システムを用いたものであるが、このような通信システムに限られるものではなく、パケットデータを通信することができる通信システムにおいては適宜適用可能であり、例えば、LTE(Long Term Evolution)などの新規な通信システムにおいても適用可能である。その際、GGSN20に相当するものは、P−GW(Packet Data Network Gateway)であり、SGSN10に相当するものは、MME(Mobility Management Entity)若しくはS−GW(ServingGateway)である。また、サービス制御装置30に相当するものは、HSS(加入者情報管理サーバ:HomeSubscriber System)である。なお、サービス制御装置30としてPCRF(ポリシー制御装置:Policyand Charging Rule Function)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…通信システム、10…SGSN(通信制御装置)、20…GGSN(通信制御装置)、30…サービス制御装置、33…更新残量受信部、35…通信状態記憶部、36…通信状態判定部、37…問合受付部、38…残量通知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末の通信量を計数する通信制御装置と、前記移動端末が利用可能な通信量であるチャージ残量を記憶するサービス制御装置と、を備えた通信システムにおいて、
前記サービス制御装置は、
前記移動端末の通信状態を示す情報を記憶する通信状態記憶手段と、
前記移動端末のチャージ残量の問合せを受け付ける問合受付手段と、
前記通信状態記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記移動端末が通信中であるかどうかを判定する通信状態判定手段と、
前記通信状態判定手段により前記移動端末が通信中であると判定されたときに、前記通信制御装置で計数された通信量に応じて更新されたチャージ残量を取得する更新残量取得手段と、
前記問合受付手段が受け付けた問合せに応じて、前記移動端末のチャージ残量を通知する残量通知手段と、を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記通信制御装置は、通信エリアごとに配置された交換機であることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信制御装置は、外部のネットワークに接続するための関門交換機であり、前記移動端末の通信状態を示す情報を送信する通信状態送信手段を有し、
前記サービス制御装置の前記通信状態記憶手段は、前記通信状態送信手段により送信された前記移動端末の通信状態を示す情報を記憶することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信制御装置において、
前記通信状態送信手段は、前記関門交換機のアドレスを送信し、
前記サービス制御装置において、
前記通信状態記憶手段は、前記通信状態送信手段により送信された前記関門交換機のアドレスを記憶し、
前記通信状態判定手段は、前記通信状態記憶手段に前記関門交換機のアドレスが記憶されているかどうかに基づいて、前記移動端末が通信中であるかどうかを判定することを特徴とする請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
移動端末の通信量を計数する通信制御装置を備えた通信システムで、前記移動端末が利用可能な通信量であるチャージ残量を記憶するサービス制御装置において、
前記移動端末の通信状態を示す情報を記憶する通信状態記憶手段と、
前記移動端末のチャージ残量の問合せを受け付ける問合受付手段と、
前記通信状態記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記移動端末が通信中であるかどうかを判定する通信状態判定手段と、
前記通信状態判定手段により前記移動端末が通信中であると判定されたときに、前記通信制御装置で計数された通信量に応じて更新されたチャージ残量を取得する更新残量取得手段と、
前記問合受付手段が受け付けた問合せに応じて、前記移動端末のチャージ残量を通知する残量通知手段と、を備えることを特徴とするサービス制御装置。
【請求項6】
移動端末の通信量を計数する通信制御装置と、前記移動端末が利用可能な通信量であるチャージ残量を記憶するサービス制御装置と、を備えた通信システムが実行する通信方法において、
前記サービス制御装置が、前記移動端末の通信状態を示す情報を記憶する通信状態記憶ステップと、
前記サービス制御装置が、前記移動端末のチャージ残量の問合せを受け付ける問合受付ステップと、
前記サービス制御装置が、前記通信状態記憶ステップで記憶された情報に基づいて、前記移動端末が通信中であるかどうかを判定する通信状態判定ステップと、
前記サービス制御装置が、前記通信状態判定ステップで前記移動端末が通信中であると判定されたときに、前記通信制御装置で計数された通信量に応じて更新されたチャージ残量を取得する更新残量取得ステップと、
前記サービス制御装置が、前記問合受付ステップで受け付けた問合せに応じて、前記移動端末のチャージ残量を通知する残量通知ステップと、を備えることを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138703(P2012−138703A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288783(P2010−288783)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】