説明

通信システムおよび伝送ユニット

【課題】重畳信号を用いた通信の通信速度を向上させることができる通信システムおよび伝送ユニットを提供する。
【解決手段】信号送受信部10によって伝送路2に繰り返し送出される伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の期間に分割され、一部の期間が重畳信号を重畳可能な重畳可能期間となり、残りの期間が重畳信号の重畳に使用されない重畳不可期間となる。伝送ユニット1は、伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合を変化させる信号調整部11を有している。信号調整部11は、第2通信端末4間で送受信される重畳信号の伝送状況に応じて重畳可能期間の割合を調整する。具体的には、信号調整部11は、第2通信端末4同士が重畳信号を用いて伝送する伝送データが多いほど、伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合が大きくなるように重畳可能期間の割合を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送ユニットから伝送路に繰り返し送出される伝送信号を用いて通信する第1通信端末と、伝送信号に重畳される重畳信号を用いて通信する第2通信端末とが伝送路に接続されて構成される通信システムおよび伝送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、伝送路に対して伝送ユニット(親機)および複数台の通信端末(子機)が接続され、各通信端末と伝送ユニットとの間で通信を行う通信システムが広く普及している。この種の通信システムの一例として、伝送ユニットが定期的に通信端末の状態を監視し、通信端末の状態に変化があった場合、その状態変化に対応する処理を行うように伝送ユニットから他の通信端末に信号を送るシステムがある(たとえば特許文献1〜3参照)。
【0003】
ただし、上記構成の通信システムは、通信端末同士が常に伝送ユニットを経由して通信を行い、伝送ユニットが通信端末に対してポーリングを行うため通信速度が遅く、たとえばアナログ量のように比較的データ量の多い情報の伝送には不向きである。さらに、上記通信システムは、伝送ユニットの故障時などにシステム全体が停止してしまうため、システムとしての信頼性が低いという問題もある。
【0004】
そこで、伝送ユニットを介して通信端末同士が通信を行う既設の通信システムと、通信端末同士がピア・ツー・ピア(P2P)で直接通信を行う通信システムとを混在させた通信システムが提案されている(たとえば特許文献4参照)。この通信システムにおいては、伝送ユニット(親機)を介して通信する第1通信端末と、互いに直接通信する第2通信端末とが伝送路を共用するので、既設の通信システムに第2通信端末を容易に増設することができる。第1通信端末は伝送ユニットから伝送路に繰り返し送出される伝送信号(第1プロトコルの信号)を用いて通信を行い、第2通信端末は伝送信号に重畳される重畳信号(第2プロトコルの信号)を用いて通信を行う。
【0005】
ここで、伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の期間に分割され、一部の期間が重畳信号を重畳可能な重畳可能期間として割り当てられる時分割方式の信号である。すなわち、第2通信端末は、伝送信号の一部に割り当てられた重畳可能期間に、伝送信号と共通の伝送路を伝送される重畳信号を用いて通信する。
【0006】
この構成においては、第2通信端末は、伝送データのデータ量が多く1回の重畳可能期間内で送信しきれない場合には、伝送データを複数のデータに分割して重畳可能期間ごとに順次送信する。つまり、伝送データが複数の重畳可能期間に跨って伝送されることになるため、第2通信端末は、伝送データのデータ量が多くなれば伝送信号の1フレームでは伝送データを伝送することができず、複数フレームの伝送信号に亘って伝送データを伝送することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第1180690号公報
【特許文献2】特許第1195362号公報
【特許文献3】特許第1144477号公報
【特許文献4】特開2009−225328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、第2通信端末が重畳信号を送信できる期間は伝送信号の一部の期間に制限されているので、伝送信号の1フレームの間に伝送できるデータ量は限られており、したがって、第2通信端末間の通信速度を向上させることは困難である。
【0009】
本発明は上記事由に鑑みて為されており、重畳信号を用いた通信の通信速度を向上させることができる通信システムおよび伝送ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の通信システムは、伝送路に伝送信号を繰り返し送出する伝送ユニットと、前記伝送信号を用いて通信する第1通信端末と、前記伝送信号に重畳される重畳信号を用いて通信する第2通信端末とが前記伝送路に接続された通信システムであって、前記伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の期間に分割され、一部の期間が前記重畳信号を重畳可能な重畳可能期間となり、残りの期間が前記重畳信号の重畳に使用されない重畳不可期間となる時分割方式の信号であって、前記伝送ユニットは、前記伝送信号による前記第1通信端末の通信が可能な許容範囲内で、前記重畳信号の伝送状況に応じて前記伝送信号の1フレームに占める前記重畳可能期間の割合を調整する信号調整部を有し、当該信号調整部で前記重畳可能期間の割合が調整された後の前記伝送信号を前記伝送路に送出することを特徴とする。
【0011】
この通信システムにおいて、前記信号調整部は、前記第2通信端末が前記重畳信号を用いて通信する際に、前記許容範囲内で前記重畳可能期間を最長まで延長することが望ましい。
【0012】
この通信システムにおいて、前記信号調整部は、前記第2通信端末が前記重畳信号を用いて通信する際に、前記許容範囲内で前記重畳不可期間を最短まで短縮することがより望ましい。
【0013】
この通信システムにおいて、前記伝送信号は、電圧が切り替わることによって複数の期間に分割された電圧信号であって、前記信号調整部は、前記第2通信端末が前記重畳信号を用いて通信する際に、連続した複数の前記重畳可能期間の継目における電圧の切り替わりをなくすことがより望ましい。
【0014】
この通信システムにおいて、前記第2通信端末は前記重畳信号を用いて定期的に通信を行っており、前記信号調整部は、延長周期ごとに延長時間だけ前記重畳可能期間を延長し、前記延長周期と前記延長時間とは、前記第2通信端末が前記重畳信号を用いて通信するタイミングに応じて決められることがより望ましい。
【0015】
本発明の伝送ユニットは、伝送路に繰り返し送出される伝送信号により第1通信端末間で通信が行われるとともに、前記伝送信号に重畳される重畳信号により第2通信端末間で通信が行われる通信システムに用いられ、前記伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の期間に分割され、一部の期間が前記重畳信号を重畳可能な重畳可能期間となり、残りの期間が前記重畳信号の重畳に使用されない重畳不可期間となる時分割方式の信号であって、前記伝送信号を前記伝送路に送出する信号送出部と、前記伝送信号による前記第1通信端末の通信が可能な許容範囲内で、前記重畳信号の伝送状況に応じて前記伝送信号の1フレームに占める前記重畳可能期間の割合を調整する信号調整部とを有し、当該信号調整部で前記重畳可能期間の割合が調整された後の前記伝送信号を前記信号送出部から前記伝送路に送出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、信号調整部が、伝送信号による第1通信端末の通信が可能な許容範囲内で、重畳信号の伝送状況に応じて伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合を調整するので、重畳信号を用いた通信の通信速度を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1の構成を示し、(a)は通信システムの概略システム構成図、(b)は伝送ユニットの概略ブロック図である。
【図2】同上の信号調整部の動作を示す説明図である。
【図3】同上の信号調整部の他の動作を示す説明図である。
【図4】同上の信号調整部のさらに他の動作を示す説明図である。
【図5】同上の信号調整部のさらに他の動作を示す説明図である。
【図6】同上の信号調整部のさらに他の動作を示す説明図である。
【図7】実施形態2の信号停止部の動作を示す説明図である。
【図8】同上の信号停止部の他の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
本実施形態の通信システムは、図1(a)に示すように、2線式の伝送路2に接続される伝送ユニット1を備えた通信システムである。
【0019】
この通信システムは、伝送路2に接続され伝送ユニット1と通信する複数台の第1通信端末3と、伝送路2に接続され互いに直接通信する複数台の第2通信端末4とを備えている。図1(a)の例では伝送路2には第1通信端末3、第2通信端末4がそれぞれ2台ずつ接続されているが、第1通信端末3、第2通信端末4はそれぞれ伝送路2に対して3台以上接続されていてもよい。
【0020】
この通信システムでは、伝送路2を伝送される伝送信号(第1プロトコルの信号)と、伝送信号に重畳される重畳信号(第2プロトコルの信号)とを用いて通信が行われる。重畳信号は、伝送信号より周波数が高い。なお、伝送ユニット1および第1通信端末3の各々と伝送路2との間には、重畳信号に対して高インピーダンスとなるインピーダンス整合モジュール(図示せず)がそれぞれ挿入されている。
【0021】
複数台の第1通信端末3は、伝送ユニット1に対して伝送路2を介して並列接続されている。伝送ユニット1および第1通信端末3は、伝送ユニット1から第1通信端末3へのデータ伝送と第1通信端末3から伝送ユニット1へのデータ伝送とが時分割で行われる時分割多重伝送システム(以下、「基本システム」という)を構築する。
【0022】
基本システムにおいて、第1通信端末3は、スイッチやセンサなど(図示せず)を付設した監視端末器と、負荷(図示せず)を付設した制御端末器との2種類に分類される。これにより、監視端末器に付設したスイッチやセンサなどからの監視入力に応じて、制御端末器に付設した負荷を制御することが可能となる。ここで、第1通信端末3は予め割り当てられた自己のアドレスをそれぞれ記憶部(図示せず)に記憶している。
【0023】
監視端末器は、監視入力を受けると伝送ユニット1に対して監視入力に対応した制御情報を伝送する。伝送ユニット1は、制御情報を受け取るとアドレスによって上記監視端末器と対応付けられている制御端末器に向けて制御情報を伝送する。制御端末器は、制御情報を受け取ると上記制御情報に従って負荷を制御する。制御情報はスイッチ等の監視入力を反映しているから、結局、スイッチ等の監視入力が負荷の制御に反映されることになる。
【0024】
続いて、基本システムの動作について説明する。
【0025】
伝送ユニット1は、伝送路2に対して図2(a)に示すように時間軸方向において複数の期間に分割された形式の電圧波形からなる時分割方式の伝送信号を送信する。すなわち、伝送信号は、予備割込期間31と、予備期間32と、送信期間33と、返送期間34と、割込期間35と、短絡検出期間36と、休止期間37とからなる複極(±24V)の時分割多重信号である。予備割込期間31は2次割込を検出するための期間、予備期間32は割込期間35および短絡検出期間36に合わせて設定された期間であり、送信期間33は第1通信端末3にデータを伝送するための期間である。返送期間34は第1通信端末3からの返送信号を受信するタイムスロットであり、割込期間35は後述の割込信号を検出するための期間であり、短絡検出期間36は短絡を検出するための期間である。休止期間37は処理が間に合わないときのための期間である。伝送信号は、パルス列からなるキャリアをパルス幅変調することによってデータを伝送する信号である。
【0026】
伝送ユニット1は、伝送路2に対して図2(a)のような信号波形の伝送信号を繰り返し送出しており、この伝送信号が1フレームごとに時間軸方向において上述した複数の期間31〜37に分割されている。これらの期間31〜37は機能的に分割されているだけで実際には連続した期間である。ここでいう1フレームは、伝送信号の繰り返しの1周期に相当し、本実施形態では、伝送信号の予備割込期間31から休止期間37までを1フレームとする(図4(a)参照)。
【0027】
各第1通信端末3では、伝送路2を介して受信した伝送信号の送信期間33に含まれるアドレスデータが各々の記憶部(図示せず)に記憶されているアドレスに一致すると、伝送信号から負荷を制御するための制御情報を取り込む。さらに、第1通信端末3は、伝送信号の返送期間34に同期して制御情報を電流モードの信号(適当な低インピーダンスを介して伝送路2を短絡することにより送出される信号)として返送する。なお、第1通信端末3の内部回路の電源は、伝送路2を介して伝送される伝送信号を整流し安定化することによって供給される。
【0028】
伝送ユニット1は、常時は伝送信号に含まれるアドレスデータをサイクリックに変化させて第1通信端末3に順次アクセスする常時ポーリングを行う。常時ポーリングの際には、伝送信号に含まれるアドレスデータが自己のアドレスに一致した第1通信端末3は、伝送信号に制御情報が含まれていれば制御情報を取り込んで動作し、自己の動作状態を伝送ユニット1に返送する。
【0029】
また、伝送ユニット1は、いずれかの監視端末器(第1通信端末3)においてスイッチ等の監視入力に対応して発生する割込信号を受信すると、割込信号を発生した第1通信端末3を検索し、その第1通信端末3にアクセスして割込ポーリングも行う。
【0030】
すなわち、伝送ユニット1は、常時はモードデータを通常モードとした伝送信号を送出し、監視端末器(第1通信端末3)で発生した割込信号を伝送信号の割込期間35に同期して検出すると、モードデータを割込ポーリングモードとした伝送信号を送出する。
【0031】
割込信号を発生した第1通信端末3は、割込ポーリングモードの伝送信号のアドレスデータの上位ビットが自己のアドレスの上位ビットに一致していれば、その伝送信号の返送期間34に同期して自己のアドレスの下位ビットを返送データとして返送する。これにより伝送ユニット1では割込信号を発生した第1通信端末3のアドレスを取得できる。
【0032】
割込信号を発生した第1通信端末3のアドレスが伝送ユニット1で取得されると、伝送ユニット1は当該第1通信端末3に対して制御情報の返送を要求する伝送信号を送出し、第1通信端末3はスイッチ等の監視入力に対応した制御情報を伝送ユニット1に返送する。伝送ユニット1は制御情報を受け取ると、該当する第1通信端末3の監視入力をクリアするように指示を与え、当該第1通信端末3では監視入力のクリアを返送する。
【0033】
制御情報を受け取った伝送ユニット1は、当該制御情報の発信元の第1通信端末(監視端末器)3とアドレスの対応関係によって対応付けられている第1通信端末(制御端末器)3へ送信する制御情報を生成する。伝送ユニット1は、この制御情報を含む伝送信号を伝送路2に送出して、第1通信端末(制御端末器)3に付設した負荷を制御する。
【0034】
上述したように、基本システムでは、ポーリング・セレクティング方式のプロトコル(第1プロトコル)に従い、伝送ユニット1を介して第1通信端末(監視端末器、制御端末器)3同士が通信を行うこととなる。
【0035】
ところで、本実施形態に係る通信システムでは、複数台の第2通信端末4が、上記基本システムと伝送路2を共用しつつ、第1プロトコルの伝送信号に重畳される重畳信号を用いて互いに通信を行う。
【0036】
一部の第2通信端末4には、第2通信端末4間で伝送される監視情報を出力する端末機器5が接続され、他の第2通信端末4には、上記監視情報を第2通信端末4から取得する上位機器が接続されている。図1の例では伝送ユニット1が上位機器と一体化されており、伝送ユニット1には、伝送路2を接続するための第1の端子13と、第2通信端末4を接続するための第2の端子14とが設けられている。さらに、伝送ユニット1には、上位機器を制御する制御機器6が接続される第3の端子15が設けられている。端末機器5や上位機器は、定期的に通信を行うことによって第2通信端末4とデータの授受を行う。
【0037】
すなわち、伝送路2を介した通信(データ伝送)を行うのは第2通信端末4であるが、伝送するデータ(監視情報)を生成するのは端末機器5であって、受信したデータを処理するのは上位機器である。ここに、第2通信端末4は、各々に接続された端末機器5あるいは上位機器からのデータを変換し伝送路2上に送出することで通信を行うアダプタとして機能する。なお、端末機器5の一例としては基本システムで制御される照明器具の消費電力を計量する電力計測器があり、上位機器の一例としては電力計測器で計量された消費電力を表示する検針装置がある。
【0038】
第2通信端末4は、上述した第1プロトコルとは異なるプロトコル(第2プロトコル)に従って、伝送ユニット1を経由することなくピア・ツー・ピア(P2P)で伝送データ(監視情報)を他の第2通信端末4に直接伝送する。具体的には、第2通信端末4は、他の第2通信端末4に伝送すべきデータを含んだパケットを第2プロトコルに従って伝送路2に送出し、且つ他の第2通信端末4が送信した第2プロトコルのパケットを受信する。第2プロトコルのパケットは、伝送ユニット1から送出されている伝送信号に重畳される。要するに、第1プロトコルによる第1通信端末3同士の通信は伝送ユニット1を経由して行われるのに対し、第2プロトコルによる第2通信端末4同士の通信は伝送ユニット1を経由せず通信端末間で直接行われる。そのため、第2プロトコルによる通信は、第1プロトコルによる通信に比べて通信速度を高速化でき、たとえばアナログ量(電力量の計量値等)のように比較的データ量の多い情報の伝送に用いられる。
【0039】
また、第2通信端末4は、基本システムの伝送ユニット1と第1通信端末3との間で伝送される第1プロトコルの伝送信号を監視し、この伝送信号から第1プロトコルのデータ伝送状況(以下、「ステート」という)を解析する。さらに、第2通信端末4は、ステートが第2プロトコルのパケットの伝送に適した状況にあるか否かを判定し、伝送に適していると判断したタイミングでパケットを送信する機能を具備している。
【0040】
ここで、伝送信号は図2(a)に示すような信号フォーマットを採用している。予備割込期間31や予備期間32や休止期間37は、重畳信号が重畳されても第1プロトコルの通信に影響がなく、重畳信号も伝送信号の影響を受けにくいので、重畳信号を重畳可能な期間(以下、「重畳可能期間」という)となる。
【0041】
その他の期間(送信期間33と返送期間34と割込期間35と短絡検出期間36)は、伝送信号がハイレベルあるいはローレベルに安定している時間が相対的に短く、重畳信号が重畳されると第1プロトコルの通信に影響を与えやすい。また上記他の期間に重畳信号が重畳されると、重畳信号も伝送ユニット1と第1通信端末3との間で授受される信号(割込信号や返送データ)の影響を受けやすい。そのため、上記他の期間は、重畳信号の重畳には使用されない期間(以下、「重畳不可期間」という)となる。
【0042】
また、伝送信号の立ち上がりおよび立ち下がりの期間も、高調波ノイズの影響や信号の電圧反転に伴う過渡応答の影響などにより、重畳信号を重畳するのに適していない。したがって、伝送信号は、予備割込期間31と予備期間32と休止期間37の中でも、期間の切り替わり(立ち上がりまたは立ち下がり)後の所定時間(たとえば300μs)については、重畳不可期間となる。
【0043】
そこで、第2通信端末4は伝送信号のステートを解析し、その解析結果(伝送信号のステート)に基づいて重畳可能期間か重畳不可期間かの判定を行い、重畳可能期間と判断したときに限って重畳信号を送出するように構成されている。第2通信端末4は、このように伝送信号に同期させるように伝送信号の重畳可能期間にのみ重畳信号を重畳させることにより、共通の伝送路2を使用する第1プロトコルの通信と第2プロトコルの通信との干渉を回避する。
【0044】
ここで、第2通信端末4は、送信データのデータ量が多く一度の重畳可能期間内で送信しきれなかった場合には、当該重畳可能期間の終了に合わせて通信を中断し、次回の重畳可能期間に残りのデータを送信する。
【0045】
なお、第2通信端末4の各部への電源供給は、基本システムの第1通信端末3と同様に伝送ユニット1から伝送路2を介して伝送される伝送信号を整流し安定化することによって供給される方式(集中給電方式)によって為される。ただし、この構成に限らず、第2通信端末4の各部への電源供給は、商用電源を整流し安定化することによって供給される方式(ローカル給電方式)で為されてもよい。
【0046】
ところで、本実施形態では、伝送ユニット1は、図1(b)に示すように、伝送信号を伝送路2に送出する信号送受信部10と、伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合を変化させる信号調整部11と、各種処理を実行する処理部12とを有している。
【0047】
信号送受信部10は、第1の端子13に接続されており、第1の端子13を介して伝送路2に伝送信号を繰り返し送出することにより、第1通信端末3間での第1プロトコルの通信を可能にするとともに、伝送信号によって第1通信端末3への電力供給を行う。また、信号送受信部10は、伝送信号の返送期間34に返送された第1通信端末3からの返送信号を受信する。信号送受信部10は、処理部12に接続されており、送信期間33に第1通信端末3へ送信するデータや、返送期間34に第1通信端末3から受信したデータを処理部12との間で授受する。
【0048】
処理部12は、信号送受信部10との間で授受するデータを用いて各種処理を実行する。さらに、処理部12は、第2の端子14および第3の端子15に接続されており、第2通信端末4同士の通信によって端末機器5からデータ(監視情報)を収集する上位機器としての機能も有している。
【0049】
信号調整部11は、処理部12と信号送受信部10とに接続されており、第2通信端末4から上位機器としての伝送ユニット1への入力に応じて、伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合を調整する。ここでは、信号調整部11は、第2通信端末4間で送受信される重畳信号の伝送状況を第2通信端末4からの入力とし、この伝送状況に応じて重畳可能期間の割合を調整する。具体的には、信号調整部11は、処理部12から、第2通信端末4同士が重畳信号を用いて伝送する伝送データのデータ量を取得し、このデータ量が多いほど伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合が大きくなるように重畳可能期間の割合を調整する。
【0050】
ここで、伝送信号は1フレームの長さが固定的に決められているのではなく、ある程度の幅をもって1フレームの長さが変更可能である。つまり、伝送信号の1フレームの長さが許容範囲内で変化しても、第1プロトコルの通信に影響はなく、第1通信端末3は伝送信号を用いた通信が可能である。
【0051】
そこで、本実施形態では、信号調整部11は、重畳不可期間の長さを変化させることなく、第2通信端末4間で伝送されるデータ量に応じて重畳可能期間の長さのみを変化させることにより、伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合を調整する。信号調整部11によって長さが調整される重畳可能期間は、本実施形態では休止期間37とするが、重畳可能期間である予備割込期間31、予備期間32、休止期間37の少なくとも1つの長さが調整されればよい。ただし、信号調整部11は、調整後の伝送信号の1フレームの長さが第1プロトコルの通信に影響のない許容範囲内に収まるように、予め定められている上限値と下限値との間で重畳可能期間(休止期間37)の長さを調整する。
【0052】
すなわち、第2通信端末4間で伝送されるデータ量が所定の閾値未満であれば、信号調整部11は、図2(a)に示すように重畳可能期間である休止期間37を下限値に設定する。一方、第2通信端末4間で伝送されるデータ量が多くなり閾値以上になると、信号調整部11は、図2(b)に示すように重畳可能期間である休止期間37を上限値以下の範囲で延長するので、伝送信号全体としても1フレームの時間幅が長くなる。このとき、信号調整部11は、第2通信端末4間で伝送される伝送データのデータ量に応じて、通信可能期間の延長量を決定する。
【0053】
伝送ユニット1は、このように信号調整部11で重畳可能期間の割合が調整された後の伝送信号を、信号送出部としての信号送受信部10から伝送路2に送出する。
【0054】
以上説明した本実施形態の通信システムによれば、信号調整部11が、第2通信端末4間で送受信される重畳信号の伝送状況に応じて、伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合を調整するので、重畳信号を用いた通信の通信速度を向上させることができる。要するに、信号調整部11は、重畳信号を用いて伝送される伝送データのデータ量が多いほど、伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合を大きくするので、伝送信号において重畳信号が重畳される機会を増やすことになる。そのため、伝送信号の1フレームの間に、重畳信号を用いて伝送できるデータ量が増加し、重畳信号を用いた第2プロトコルの通信の効率が向上して、第2プロトコルの通信の通信速度が向上する。
【0055】
ところで、本実施形態では、信号調整部11は、第2通信端末4間で伝送されるデータ量に応じて休止期間37を延長しているが、この構成に限らず、信号調整部11は、重畳信号の伝送状況に応じて重畳可能期間の割合を調整する構成であればよい。本実施形態の変形例を以下に幾つか示す。
【0056】
第1の例として、信号調整部11は、第2通信端末4が重畳信号を用いて通信する際に、重畳可能期間である予備割込期間31、予備期間32、休止期間37をそれぞれ最長まで延長する。このとき、信号調整部11は、伝送信号の1フレームの長さが第1プロトコルの通信に影響しない許容範囲内に収まるように予め定められている上限値以下の範囲内で、重畳可能期間の時間幅を最長まで延長する。
【0057】
これにより、通常時には図3(a)に示す状態にある伝送信号は、第2通信端末4が重畳信号を用いた通信を行うときにのみ、信号調整部11によって図3(b)のように重畳可能期間が延長され、1フレームに占める重畳可能期間の割合が大きくなる。したがって、伝送信号を用いた第1プロトコルの通信への影響を抑えつつ、伝送信号の1フレームに重畳信号を用いて伝送できるデータ量を増加させることができ、重畳信号を用いた第2プロトコルの通信の通信速度が向上する。
【0058】
第2の例として、信号調整部11は、第2通信端末4が重畳信号を用いて通信する際に、重畳不可期間である送信期間33と返送期間34と割込期間35と短絡検出期間36とをそれぞれ最短まで短縮する。このとき、信号調整部11は、伝送信号の1フレームの長さが第1プロトコルの通信に影響しない許容範囲内に収まるように予め定められている下限値以上の範囲内で、重畳不可期間の時間幅を最短まで短縮する。
【0059】
これにより、通常時には図4(a)に示す状態にある伝送信号は、第2通信端末4が重畳信号を用いた通信を行うときにのみ、信号調整部11によって図4(b)のように重畳不可期間が短縮され、1フレームに占める重畳可能期間の割合が大きくなる。したがって、重畳信号を用いた第2プロトコルの通信の効率が向上し、第2プロトコルの通信の通信速度が向上する。言い換えれば、伝送信号の1フレームに含まれる重畳可能期間の長さは同じであるにも関わらず、伝送信号の1フレームが短くなるから、あるデータ量の伝送データを伝送信号の複数フレームに亘って伝送するような場合、データ伝送に要する時間が短くなる。
【0060】
また、信号調整部11は、第1の例として示した重畳可能期間の延長と、第2の例として示した重畳不可期間の短縮とを合わせて実行してもよい。これにより、伝送信号の1フレームに占める重畳可能期間の割合が大幅に大きくなる。
【0061】
第3の例として、信号調整部11は、第2通信端末4が重畳信号を用いて通信する際に、連続した複数の重畳可能期間の継目における電圧の切り替わりをなくすことにより、1フレームに占める重畳可能期間の割合を大きくする。すなわち、伝送信号は予備割込期間31と予備期間32と休止期間37の中でも、期間の切り替わり後の所定時間(たとえば300μs)については重畳不可期間となるので、期間の切り替わりがなくなれば重畳可能期間の割合は大きくなる。
【0062】
具体的には、重畳可能期間である休止期間37と予備割込期間31と予備期間32とは、図5(a)に示すように時間軸方向に連続しているが、通常時には、これらの各期間の継目で電圧が切り替わるので、各期間の開始後の所定時間は重畳不可期間となる。ただし、休止期間37は第1通信端末3の通信には使用されておらず、また第1通信端末3が2次割込を行わない限りは予備割込期間31および予備期間32についても、第1通信端末3の通信には使用されない。信号調整部11は、第2通信端末4が重畳信号を用いた通信を行うときにのみ、図5(b)のように休止期間37と予備割込期間31と予備期間32との切り替わりをなくすので、第1プロトコルの通信に影響を与えることなく重畳可能期間の割合を大きくできる。
【0063】
第4の例として、信号調整部11は、第2通信端末4が重畳信号を用いて通信する際に、予め決められた延長周期ごとに、予め決められた延長時間だけ重畳可能期間を延長する。ここで、延長周期と延長時間とは、伝送信号の1フレームの長さが第1プロトコルの通信に影響しない許容範囲内に収まるように予め定められている上限値以下の範囲内で、第2通信端末4が重畳信号を用いて通信するタイミングに応じて決められている。
【0064】
これにより、通常時には図6(a)に示す状態にある伝送信号は、第2通信端末4が重畳信号を用いて通信するタイミングに合わせて、信号調整部11によって図6(b)のように重畳可能期間が延長され、1フレームに占める重畳可能期間の割合が大きくなる。図6の例では、伝送信号の3フレームに1回、予備割込期間31と休止期間37とが延長されている。
【0065】
したがって、伝送信号の仕様に影響されることなく、重畳可能期間を延長して伝送信号の1フレームに重畳信号を用いて伝送できるデータ量を増加させることができ、重畳信号を用いた第2プロトコルの通信の通信速度が向上する。伝送信号の重畳可能期間が大幅に延長されると、伝送信号を用いた第1プロトコルの通信に応答性低下などの影響が生じることがある。これに対して、第4の例では、重畳信号を用いた第2プロトコルの通信のタイミングに合わせて重畳可能期間が延長されるので、重畳可能期間が無駄に延長されることを防止して、第1プロトコルの通信に与える影響を小さく抑えることができる。
【0066】
(実施形態2)
本実施形態の通信システムは、信号送受信部10に対して伝送信号の送信を停止させる信号停止部(図示せず)を伝送ユニット1に有する点で実施形態1の通信システムと相違する。
【0067】
信号停止部は、図7に示すように所定の停止期間38に亘って伝送信号の送信を停止させる。図7の例では、停止期間38は伝送信号の約2フレーム分の時間幅に設定されている。信号停止部が伝送信号の送信を停止させる期間は、第2通信端末4が重畳信号を用いて通信を行うタイミングに合わせて決定される。
【0068】
伝送信号の送信中には、伝送信号の重畳可能期間にのみ重畳信号の重畳が可能であるが、停止期間38中においては、伝送信号の伝送状況(ステート)は休止期間37と同じ状態になるので、いつでも重畳信号の重畳が可能になる。そのため、第2通信端末4は、伝送信号の重畳可能期間だけでなく、伝送信号が停止している停止期間38にも、重畳信号を用いて通信を行うことができる。
【0069】
このように第2通信端末4が重畳信号を用いて通信を行う間だけ伝送信号の送信が停止されることにより、第2通信端末4は、伝送信号に影響されることなく重畳信号を用いた第2プロトコルの通信が可能となり、通信効率が向上し、通信速度がさらに向上する。
【0070】
また、信号停止部は、図7のように伝送信号の送信を停止期間38に亘って完全に停止する構成に限らず、図8に示すように割込期間35以外の伝送信号の送信を停止期間38に亘って停止する構成であってもよい。
【0071】
後者の構成では、停止期間38中であっても割込期間35は重畳不可期間となり、第2通信端末4は重畳信号を用いて通信を行うことができない。伝送ユニット1は、停止期間38中の割込期間35に第1通信端末3から割込信号を受けると、図8(b)のように割込信号を受けた時点から伝送信号の送信を再開する。割込期間35に割込信号を受けなければ、停止期間38が経過するまで伝送信号の送信を停止する。この構成によれば、伝送ユニット1は、停止期間38中であっても第1通信端末3からの割込信号を受け付けることができるので、伝送信号を用いた第1プロトコルの通信の応答性を確保することができる。
【0072】
さらに、信号停止部は、図7(b)のように伝送信号の送信を停止期間38に亘って完全に停止する第1動作モードと、図8(b)のように割込期間35以外の伝送信号の送信を停止期間38に亘って停止する第2動作モードとを切替可能に構成されていてもよい。第2動作モードでは、伝送ユニット1は、停止期間38中の割込期間35に第1通信端末3から割込信号を受けると、割込信号を受けた時点から伝送信号の送信を再開する。この構成において、信号停止部は、重畳信号を用いた第2プロトコルの通信の優先順位に従って、第1動作モードと第2動作モードとを自動的に切り替えることが望ましい。
【0073】
すなわち、第2通信端末4による重畳信号を用いた通信には、重要な通信あるいはリアルタイム性が要求される通信ほど順位が高くなるように、各々の通信内容に応じて優先順位が付けられており、信号停止部は、この優先順位に従って動作モードを切り替える。具体的には、重畳信号を用いた第2プロトコルの通信には「1」〜「10」の10段階に分けて優先順位が付けられており、第2プロトコルの通信の優先順位が既定順位「6」よりも高ければ、信号停止部は第1動作モードを選択する。一方、第2プロトコルの通信の優先順位が既定順位「6」以下であれば、信号停止部は第2動作モードを選択する。
【0074】
伝送ユニット1は、このように信号停止部が第2プロトコルの通信の優先順位に応じて動作モードを切り替えることにより、第1プロトコルの通信と第2プロトコルの通信とのどちらを優先するのかを柔軟に切り替えることができる。
【0075】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0076】
1 伝送ユニット
2 伝送路
3 第1通信端末
4 第2通信端末
10 信号送受信部(信号送出部)
11 信号調整部
31 予備割込期間(重畳可能期間)
32 予備期間(重畳可能期間)
33 送信期間(重畳不可期間)
34 返送期間(重畳不可期間)
35 割込期間(重畳不可期間)
36 短絡検出期間(重畳不可期間)
37 休止期間(重畳可能期間)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路に伝送信号を繰り返し送出する伝送ユニットと、前記伝送信号を用いて通信する第1通信端末と、前記伝送信号に重畳される重畳信号を用いて通信する第2通信端末とが前記伝送路に接続された通信システムであって、
前記伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の期間に分割され、一部の期間が前記重畳信号を重畳可能な重畳可能期間となり、残りの期間が前記重畳信号の重畳に使用されない重畳不可期間となる時分割方式の信号であって、
前記伝送ユニットは、前記伝送信号による前記第1通信端末の通信が可能な許容範囲内で、前記重畳信号の伝送状況に応じて前記伝送信号の1フレームに占める前記重畳可能期間の割合を調整する信号調整部を有し、当該信号調整部で前記重畳可能期間の割合が調整された後の前記伝送信号を前記伝送路に送出することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記信号調整部は、前記第2通信端末が前記重畳信号を用いて通信する際に、前記許容範囲内で前記重畳可能期間を最長まで延長することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記信号調整部は、前記第2通信端末が前記重畳信号を用いて通信する際に、前記許容範囲内で前記重畳不可期間を最短まで短縮することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記伝送信号は、電圧が切り替わることによって複数の期間に分割された電圧信号であって、前記信号調整部は、前記第2通信端末が前記重畳信号を用いて通信する際に、連続した複数の前記重畳可能期間の継目における電圧の切り替わりをなくすことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第2通信端末は前記重畳信号を用いて定期的に通信を行っており、前記信号調整部は、延長周期ごとに延長時間だけ前記重畳可能期間を延長し、前記延長周期と前記延長時間とは、前記第2通信端末が前記重畳信号を用いて通信するタイミングに応じて決められることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
伝送路に繰り返し送出される伝送信号により第1通信端末間で通信が行われるとともに、前記伝送信号に重畳される重畳信号により第2通信端末間で通信が行われる通信システムに用いられ、
前記伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の期間に分割され、一部の期間が前記重畳信号を重畳可能な重畳可能期間となり、残りの期間が前記重畳信号の重畳に使用されない重畳不可期間となる時分割方式の信号であって、
前記伝送信号を前記伝送路に送出する信号送出部と、前記伝送信号による前記第1通信端末の通信が可能な許容範囲内で、前記重畳信号の伝送状況に応じて前記伝送信号の1フレームに占める前記重畳可能期間の割合を調整する信号調整部とを有し、当該信号調整部で前記重畳可能期間の割合が調整された後の前記伝送信号を前記信号送出部から前記伝送路に送出することを特徴とする伝送ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−94965(P2012−94965A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238394(P2010−238394)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】