説明

通信システムの機能テストを実行するためのテスト装置及び方法

【課題】 本発明は、通信システムの機能テストを実行するためのテスト装置及び方法を提供する。
【解決手段】 テスト装置(1)は、航空機客室に設けられる少なくとも一つの漏洩ラインアンテナ(3)からなる送信経路(2)と、該送信経路(2)に接続される管理装置(4)であって、広域のノイズ信号(R)を生成するための生成装置(5)及びHF信号(HF)を前記漏洩ラインアンテナ(3)に供給する送信装置(6)を有し、供給されるHF信号(HF)が既定の電力レベルを有し、且つ、少なくとも生成される広域のノイズ信号(R)を含むように構成される管理装置(4)と、既定の接続点(K)で送信経路(2)に接続される少なくとも一つの測定装置(7)であって、接続点(K)でHF信号(HF)の電力レベルを測定すると共に、測定される電力レベルに比例する測定信号(MS)を供給する測定装置(7)と、供給される測定信号(MS)と供給されるHF信号(HF)の電力レベルに依存する定値信号(SS)とを比較したテスト結果(E)を提供するための評価手段(8)とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、航空機の客室や航空及び航空宇宙分野における、通信システムの機能テストを実行するためのテスト装置及び方法に関する。
【0002】
また、本発明は、あらゆる分野に適用は可能であるが、航空機或いは旅客機に関してより詳細に説明される。
【背景技術】
【0003】
航空機の客室における通信システムは、GSM、UMTS、WLAN又はそれらと同種のもの等の通信サービス又はサービスを航空機の乗務員や乗客に提供する。
【0004】
各々のサービス信号を対応するサービスに発信するために、航空機客室に設けられる漏洩ラインアンテナが用いられる。通信システムの正しい取付と操作を確認するため、特に、航空機客室内の高周波(HF)信号の分配を確保するために、航空機客室の複数の異なる場所でHFスペクトル分析機や測定アンテナを用いて、対応するサービスの各周波数帯における対象範囲測定(無線供給測定)がなされる。測定結果は、航空機客室の状態や構成、測定場所の選択によって大きく変わる。そのため、測定結果は、用いられる測定アンテナ各々のアンテナ要素によって、適切に平均化及び補正されることを要する。
【0005】
場合によっては、測定が低い精度や不正確になされる場合、測定結果は、既定の特に法的な閾値を満たさないことが考えられ、実際に、この法的な閾値を超えることがある。そして、実際にはエラー(誤り)がないにも関わらず、エラーメッセージが生成されうる。
【0006】
HFスペクトル分析機や特別に設けられた測定アンテナを用いた従来の方法では、各々の測定は、不利なことに手動でなされ、従って多くの時間と費用を要する。特別な熟練スタッフもまた、不利なことに従来の測定を行い、評価するようになっていた。特に、これらの特別な熟練スタッフは、HF測定の経験を有していなければならなかった。さらに、従来の測定は、例えばHFスペクトル分析機や測定アンテナ等の特別なハードウェアを要する。
【0007】
航空機客室の如何なる所望の場所においてもテストを実行するために、法的承認を要する電力レベルを有するHFテスト信号が、通常用いられる。この法的承認は、上記電力レベルが用いられる従来のHFテスト信号が航空機外で測定されて、他のサービスへの干渉可能性をもたらしうるため、通常必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、特に航空機の客室における通信システムの自動機能テストを提供することである。
【0009】
本発明の他の課題は、法的承認を要さない通信システムの自動機能テストを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は、請求項1の特徴を有するテスト装置による発明、及び、請求項16の特徴を有する方法による発明によって解決される。
【0011】
つまり、特に航空機客室における通信システムの機能テストを実行するためのテスト装置が提案され、該テスト装置は、航空機客室に設けられる少なくとも一つの漏洩ラインアンテナからなる送信経路と、該送信経路に接続される管理装置であって、広域のノイズ信号を生成するための生成装置及びHF信号を前記漏洩ラインアンテナに供給する送信装置を有し、供給されるHF信号が既定の電力レベルを有し、且つ、少なくとも生成される広域のノイズ信号を含むように構成される管理装置と、既定の接続点で送信経路に接続される少なくとも一つの測定装置であって、接続点でHF信号の電力レベルを測定すると共に測定される電力レベルに比例する測定信号を供給する測定装置と、供給される測定信号と供給されるHF信号の電力レベルに依存する定値信号とを比較したテスト結果を提供するための評価手段とを備えてなる。
【0012】
さらに、特に航空機の客室における通信システムの機能テストを実行するための方法が提案され、該方法は、次のステップ、即ち、広域のノイズ信号を生成するステップと、航空機客室に設けられる少なくとも一つの漏洩ラインアンテナからなる送信経路へ、既定又は設定された電力レベルを有し、且つ、少なくとも生成される広域のノイズ信号を含むHF信号を供給するステップと、送信経路の所定の接続点における電力レベルを測定するステップと、測定される電力レベルに比例する測定信号を供給するステップと、供給される測定信号と供給されるHF信号の電力レベルに依存する定値信号とを比較することによるテスト結果を提供するステップとからなる。
【0013】
本発明の利点は、テスト装置の全ての必要な要素が通信システムに統合されているため、通信システムの発明に基づく機能テストが、HFスペクトル分析機等の他の特別なHF測定装置を要さないと共に、特別な熟練スタッフの利用を要さないで実行されることにある。
【0014】
本発明によるテスト装置によれば、通信システムの機能テストは、テスト装置を作動させるボタンの単なる一回の押下によって作動され、そして、完全な自動態様で実行される。機能テストの最後に、テスト結果の機能として、信号がユーザに供給される。例えば、テスト結果は、エラーメッセージ又はエラーコードを含みうる。
【0015】
さらに、本発明の利点は、航空機客室の従来の手動測定をすることなく、また測定後のテストデータの従来の処理工程を要しないことが可能であることにある。
【0016】
特に、漏洩ラインアンテナ及び既定の接続点における測定装置を介して送信される測定の結果として、例えば送信経路の端部で、本発明によるテスト結果は、従来のテスト結果よりも変動による劣化が少なく、従って、より良く再現され、その結果、より信頼性が高い。機能テストを実行するための本発明によるテスト装置及び方法によれば、リンクや接続忘れ、ライン破損や漏洩ラインアンテナの損傷等の取付間のエラー(誤り)が、明確になり迅速に特定されうる。
【0017】
さらに、漏洩ラインアンテナを介して送信される測定は、送信経路の少なくとも一つの既定の接続点における測定装置を利用して、機能テストに必要となるHF信号の電力レベルを、用いられるテスト周波数のための周波数分配の要求を不要にする電力レベルにまで減少させることが可能であり、その結果、法的承認を可能にする。従って、本発明による機能テストは、世界の如何なる所望の場所においても実行されることが可能であり、関係する国の機関からの法的承認を必要としない。
【0018】
さらに、本発明によるテスト装置は、特に、比較的に広いテスト範囲で通信システムを操作する間において、通信システムの機能と効率を監視し、自由に調整するように設定される。例えば、漏洩ラインアンテナを介して送信される信号の電力レベルは、調整されうる。
【0019】
本発明の好ましい形態と改良構成は、従属請求項に記載される。
【0020】
本発明の好ましい形態では、供給されるノイズ信号は、送信経路のコヒーレンス帯域幅と比較して広帯域である。
【0021】
本願においては、コヒーレンス帯域幅Wcは、チャンネル透過関数である周波数と時間の自己相関関数φFT (Δf, Δt = 0)によって定義される。
【数1】

【0022】
コヒーレンス帯域幅Wcは、増加Δfを有する周波数と時間の自己相関関数の値が最初に半分まで降下するときの値である。従って、これは、送信の間に完全に異なるチャンネル透過属性を示すために、二つの正弦信号が異なることによる周波数の違いΔfの大きさである。信号帯域幅Wがコヒーレンス帯域幅Wcよりも小さければ、全てのスペクトル信号部分は、実質的に同一の送信属性を示す。その結果、コヒーレンス帯域幅Wcは、信号の二つの周波数要素が同程度又は相関のある振幅損失となる最大波長間隔を概ね表している。
【0023】
無線チャンネルに亘って拡がる多経路で生じる信号の時間差(多経路の差又は時間遅延差)をD秒とする場合、単位をHzとして、コヒーレンス帯域幅Wcは、概ね以下のようになる。
【数2】

【0024】
また、管理装置は、具体的に、好ましくは航空機客室のネットワーク管理装置(NCU)の一部であるコンピュータプログラム製品として構成される。
【0025】
コンピュータプログラム製品は、好ましくは、管理装置の機能を発展させるステップを実行するように、ネットワーク管理装置等のプログラム管理装置上に構成される。
【0026】
コンピュータプログラム手段等のコンピュータプログラム製品は、例えばメモリカード、USBスティック、フロッピディスク、CD−ROM、DVD、ネットワークのサーバからダウンロード可能なファイル形態における他の媒体等のストレージ媒体として提供又は供給される。例えば、これは、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラム手段を含む対応ファイルの送信によって、ワイヤレス通信ネットワークでもたらされる。
【0027】
他の好ましい形態では、提供される広帯域ノイズ信号は、少なくとも一つのマスキング(遮蔽)信号を含む。各々のマスキング信号は、具体的には、各々の既定の周波数帯域を用いる各々の地上波基地局の信号を遮蔽するように構成される。
【0028】
本発明の好ましい形態では、測定装置は、HF終端(HF termination)を備える。
【0029】
他の好ましい形態では、測定装置は、HF終端のための終端抵抗器を備える。或いは、測定装置は、HF終端のための終端抵抗器に接続される。
【0030】
送信経路は、具体的には、第一端部と第二端部とを備える。漏洩ラインアンテナは、好ましくは、第一端部と第二端部との間に接続される。さらに、管理装置は、好ましくは、第一端部に接続される。さらに、評価手段は、好ましくは、第一端部又は第二端部に接続される。
【0031】
他の好ましい形態では、生成装置は、複数のノイズ発生器を備える。各々のノイズ発生器は、好ましくは、既定の周波数帯域に限定される各々のノイズ信号を提供するように構成される。
【0032】
他の好ましい形態では、管理手段は、選択手段を備える。選択手段は、好ましくは、HF信号のための帯域制限ノイズ信号を提供するために、少なくとも一つのノイズ発生器を選択するように構成される。
【0033】
帯域制限ノイズ信号の各々の周波数帯域は、好ましくは、各々の地上波基地局の対応する既定の周波数帯域で構成される。
【0034】
他の好ましい形態では、管理装置は、トリガー手段を備える。トリガー手段は、好ましくは、選択帯域制限ノイズ信号で、機能テストの実行を引き起こすように構成される。
【0035】
また、トリガー手段は、具体的には、異なる選択帯域制限ノイズ信号において、複数の機能テストを連続的に実行するように構成される。
【0036】
評価手段は、好ましくは、連続的に実行される通信システムの複数の機能テストの機能として、テスト結果ベクトルを提供するように構成される。
【0037】
例えば、漏洩ラインアンテナは、複数の穿孔を備える同軸ラインとして構成される。複数の穿孔は、溝及び/又は孔を備えてなる。
【0038】
例えば、測定信号は、直流電圧信号、又は電流信号、又は周波数信号として構成される。
【0039】
他の好ましい形態では、測定装置は、HF検出器を備える。HF検出器は、好ましくは、接続点におけるHF信号の電力レベルを、比例する直流電圧信号、又は電流信号、又は周波数信号に変換する。
【0040】
他の好ましい形態では、送信経路は、航空機客室に縦方向(長手方向)に設けられる送信漏洩ラインアンテナ、及び、航空機客室に縦方向(長手方向)に設けられる受信漏洩ラインアンテナを備える。
【0041】
例えば、送信漏洩ラインアンテナと受信漏洩ラインアンテナとは、航空機に平行に設けられ、各々は、送信経路の第一端部と第二端部との間に接続される。
【0042】
他の好ましい形態では、複数の測定装置が提供され、第一測定装置は、送信経路の第二端部において送信漏洩ラインアンテナに接続され、第二測定装置は、送信経路の第一端部において受信漏洩ラインアンテナに接続される。
【0043】
他の好ましい形態では、少なくとも一つの送信/受信装置が提供される。各々の送信/受信装置は、好ましくは、既定サービスの提供のため、及び、送信経路における送信のために、サービス信号を提供するように構成される。
【0044】
送信/受信装置は、好ましくは、第二測定装置と結合(一体化)される。
【0045】
他の好ましい形態では、送信経路に供給されるHF信号を形成するために、提供される広帯域ノイズ信号と、少なくとも一つのサービス信号とを結合するように構成される結合装置が提供される。
【0046】
他の好ましい形態では、送信経路に供給されるHF信号を形成するために、ノイズ発生器によって提供される帯域制限ノイズ信号と、少なくとも一つのサービス信号とを結合するように構成される結合装置が提供される。
【0047】
他の好ましい形態では、提供されるテスト結果ベクトルの機能として、一又は複数のノイズ発生器のエラー、及び/又は、送信経路のエラーを検出するように構成されるエラー検出手段が提供される。
【0048】
管理装置又は測定装置は、好ましくは、評価手段及び/又はエラー検出手段を備えてなる。
【0049】
他の好ましい形態では、テスト装置は、通信システムの操作間、通信システムをテストするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明にかかるテスト装置の第一実施形態の概略ブロック図である。
【図2】図2は、本発明にかかるテスト装置の第二実施形態の概略ブロック図である。
【図3】図3は、本発明にかかるHF信号及び三つの地上波基地局の信号の第一実施形態の振幅と周波数の概略図である。
【図4】図4は、本発明にかかるHF信号及び三つの地上波基地局の信号の第二実施形態の振幅と周波数の概略図である。
【図5】図5は、図1の生成装置の概略ブロック図である。
【図6】図6は、図5で生成される三つのマスキング信号の振幅と周波数の概略図である。
【図7】図7は、図5で生成される帯域制限ノイズ信号及び三つの地上波基地局の信号の振幅と周波数の概略図である。
【図8】図8は、本発明によるテスト装置の第三実施形態の概略ブロック図である。
【図9】図9は、図1の生成装置及び送信装置の概略ブロック図である。
【図10】図10は、通信システムの機能テストを実行するための方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明について、以下、実施形態によって、図面を参照しつつ詳細に説明する。図中において、特に明記しない限り、同様な参照番号は、同様又は機能的に同様な要素を示す。
【0052】
図1は、航空機の客室における通信システムの機能テストを実行するためのテスト装置1の概略ブロック図である。
【0053】
テスト装置1は、送信経路2と、該送信経路2に接続される管理装置4と、既定の接続点Kで送信経路2に接続される少なくとも一つの測定装置7と、評価装置8とからなる。
【0054】
送信経路2は、航空機客室に設けられる少なくとも一つの漏洩ラインアンテナ3からなる。例えば、漏洩ラインアンテナ3は、複数の穿孔を備える同軸ラインとして構成される。
【0055】
例えば、管理装置4は、ライン19aを介して、漏洩ラインアンテナ3に接続される。管理装置4は、広帯域ノイズ信号Rを生成するための生成装置5と、HF信号HFを漏洩ラインアンテナ3に供給するための送信装置6とを備える。供給されるHF信号HFは、設定される又は既定の電力レベルを有し、生成される広帯域のノイズ信号Rを少なくとも備える。生成装置5によって提供されるノイズ信号Rは、送信経路2のコヒーレンス帯域幅と比較して広帯域である。また、広帯域ノイズ信号Rは、好ましくは、少なくとも一つのマスキング信号M1−M3を有する。各々のマスキング信号M1−M3は、各々の既定の周波数帯域F1−F3(図6参照)に用いられる各々の地上波基地局の信号B1−B3を遮蔽するように構成される。
【0056】
測定装置7は、測定される電力レベルに比例する測定信号MSを提供するために、既定の接続点KにおけるHF信号HFの電力レベルを測定するように構成される。例えば、測定装置7は、ライン19bを介して、漏洩ラインアンテナ3に接続される。さらに、測定装置7は、ライン19eを介して、管理装置4によって電力Iを供給される。また、測定装置7は、ライン19fを介して、測定信号MSを評価手段8に送信する。
【0057】
測定装置7は、HF終端を備える。例えば、測定装置7は、HF終端を形成するために終端抵抗器9を備える。或いは、測定装置7は、終端抵抗器9に接続することができる。例えば、測定信号MSは、直流電圧信号、又は電流信号、又は周波数信号として構成される。例えば、測定装置7は、接続点KにおけるHF信号HFの電力レベルを比例する直流電圧信号に変換するHF検出器として構成される。
【0058】
評価装置8は、供給される測定信号MSと、供給されるHF信号HFの電力レベルに依存する定値信号SSとを比較することによって、テスト結果Eを提供するように構成される。
【0059】
また、管理装置4は、好ましくは、エラー検出手段18を備える。エラー検出手段18は、評価手段8によって提供されるテスト結果Eの機能として、送信経路2のエラーFを検出するように構成される。
【0060】
図2及び図8に示すテスト装置1の他の実施形態は、図1のテスト装置1の第一実施形態の特徴を全て備えてなる。同じ記載の繰り返しを避けるために、図1にも示される図2と図8の特徴は、図1で説明した通りである。
【0061】
図2は、本発明にかかるテスト装置1の第二実施形態である。図2におけるテスト装置1の第二実施形態は、測定装置7がHF終端のために終端抵抗器9に接続されること、そして、測定装置7が図1と対比して、この種の終端抵抗器9と統合(一体化)されることに関して、図1の第一実施形態とは部分的に異なる。
【0062】
図2では、送信経路2は、第一端部E1と第二端部E2を備える。漏洩ラインアンテナ3は、好ましくは、第一端部E1と第二端部E2との間に接続される。管理装置4は、第一端部E2に接続され、また、評価手段8は、第二端部E2に接続される。
【0063】
さらに、管理装置4は、トリガー信号TSによって機能テストの実行を引き起こすように構成されるトリガー手段15を備える。
【0064】
図3は、本発明にかかるHF信号HF及び三つの地上波基地局の信号B1−B3の第一実施形態の振幅と周波数の概略図である。同様に、図4は、本発明にかかるHF信号HF及び三つの地上波基地局の信号B1−B3の第二実施形態の振幅と周波数の概略図である。図3によれば、HF信号HFは、供給されるノイズ信号Rに対応する。一方、図4のHF信号は、ノイズ信号Rとそれに付加されたサービス信号D1とからなる。
【0065】
ノイズ信号Rとして帯域制限ノイズ信号RBを提供するために、生成装置5は、複数のノイズ発生器11−13を備える。図5に、複数のノイズ発生器11−13を備えるこの種の生成装置5の構成が示される。特に限定はしないが、図5の生成装置5は、三つのノイズ発生器11−13を備えてなる。各々のノイズ発生器11−13は、既定の周波数帯域F1−F3(図6参照)に制限される各々のノイズ信号M1−M3を提供するように構成される。
【0066】
また、図5には、HF信号HFのための帯域制限ノイズ信号RBを提供すべく、ノイズ発生器11−13を少なくとも一つ又は複数選択するように構成される選択手段14を備えてなる生成装置5が示される。例えば、帯域制限ノイズ信号RBが第一マスキング信号M1に対応するように、選択手段14は、第一ノイズ発生器11を選択する(図6及び図7の帯域制限ノイズ信号RBに対応する第一マスキング信号M1を参照)。
【0067】
図7に示すように、帯域制限ノイズ信号RBの各々の周波数帯域F1−F3は、好ましくは、基地局の各々の地上波基地局信号B1−B3に少なくとも対応する既定の周波数帯域F1−F3となるように構成される。
【0068】
従って、トリガー手段15は、異なる選択帯域制限ノイズ信号RBにおいて、複数の機能テストを連続的に実行するように構成される。この場合、評価手段8は、連続的に実行される通信システムの複数の機能テストの機能として、テスト結果ベクトルEを供給するように構成される。さらに、エラー検出手段18は、提供されるテスト結果ベクトルEの機能として、一又は複数のノイズ発生器11−13のエラーF、及び/又は、送信経路のエラーFを検出するように構成される。
【0069】
機能テストが異なる帯域制限ノイズ信号RBにおいて連続的に実行される前に、測定装置7は、好ましくは、テストモードにされる。即ち、特に航空機客室外において、信号の放射が漏洩ラインアンテナ3を介して、各々の法的な既定の閾値(例えば、−36dBm < 1GHz 又は −30dBm > 1GHz)以下の非常に低い値となるHF信号HFの電力レベルを調整すべく、入力損失は、適切に最小に切り替えられる。従って、テスト装置1のユーザにとって、テスト周波数の利用のための法的な承認を要求する必要性はなくなる。
【0070】
図8は、本発明によるテスト装置1の第三実施形態の概略ブロック図である。図8に示す第三実施形態によれば、送信経路2は、航空機客室に縦方向(長手方向)に設けられる送信漏洩ラインアンテナ3aと、航空機客室に縦方向(長手方向)に設けられる受信漏洩ラインアンテナ3bとからなる。
【0071】
送信漏洩ラインアンテナ3aと受信漏洩ラインアンテナ3bとは、好ましくは、航空機客室において平行に設けられ、各々は、送信経路2の第一端部E1と第二端部E2との間に接続される。
【0072】
さらに、テスト装置10は、好ましくは、複数の測定装置7a、7bを有してなる。例えば、第一測定装置7aは、送信経路2の第二端部E2において、送信漏洩ラインアンテナ3aに接続され、また第二測定装置7bは、送信経路2の第一端部E1において、受信漏洩ラインアンテナ3bに接続される。
【0073】
各々の測定装置7a、7bは、各々の接続点KにおけるHF信号HFの電力レベルを測定し、その機能として、測定される各々の電力レベルに比例する測定信号MS1、MS2を供給する。従って、供給されるHF信号HFの電力レベルに依存する、第一測定信号MS1のための第一定値信号SS1と、第二測定信号MS2のための第二定値信号SS2とは、評価手段8に供給される。
【0074】
さらに、少なくとも一つの送信/受信装置16a−16cが供給される。各々の送信/受信装置16a−16cは、GSM、UMTS、WLAN又はそれらと同種のもの等の既定のサービスの提供のため、及び、送信経路2を介する送信のために、サービス信号D1−D3を提供するように構成される。
【0075】
個々のサービスのための異なるサービス信号D1−D3と、ノイズ信号R又は帯域制限ノイズ信号RBとを結合するために、送信装置6は、好ましくは、結合装置を備える。結合装置17の詳細について、図9を参照しつつ説明する。図9は、生成装置5と送信装置6の概略ブロック図である。生成装置5は、図5のように構成され、帯域制限ノイズ信号RBを提供する。三つの送信/受信装置16a−16cは、異なるサービス信号D1−D3を提供する。
【0076】
結合装置17は、送信経路2で供給されるHF信号HFを形成すべく、テスト装置1のユーザによって提供される入力(図示せず)の機能として、供給される広帯域ノイズ信号RBと、少なくとも一つのサービス信号D1−D3とを結合する。
【0077】
図10は、航空機の客室における通信システムの機能テストを実行するための本発明による方法の概略フローチャートを示す。
【0078】
本発明による方法について、図1乃至図9のブロック図を参照しつつ、図10のブロック図を用いて説明する。図10に示すように、本発明による方法は、次のステップS1からS5で構成される。
【0079】
方法ステップS1:
広帯域ノイズ信号Rが生成され供給される。
【0080】
方法ステップS2:
HF信号HFが送信経路2に供給される。送信経路2は、航空機客室に設けられる少なくとも一つの漏洩ラインアンテナ3を備える。漏洩ラインアンテナ3に供給されるHF信号HFは、調整可能な電力レベルを有し、生成される広帯域のノイズ信号Rを少なくとも含む。
【0081】
方法ステップS3:
HF信号HFの電力レベルは、送信経路2の既定の接続点Kにおいて測定される。
【0082】
方法ステップS4:
測定信号MSが供給され、測定信号MSは、測定される電力レベルに比例する。
【0083】
方法ステップS5:
テスト結果Eが計算され、テスト結果Eは、供給される測定信号MSと供給されるHF信号(HF)の電力レベルに依存する定値信号SSとを比較することによって供給される。
【0084】
本発明は、本実施形態を参照しつつ説明したが、これに限らず、多くの異なる形態に変更可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…テスト装置、2…送信経路、3…漏洩ラインアンテナ、3a…送信漏洩ラインアンテナ、3b…受信漏洩ラインアンテナ、4…管理装置、5…生成装置、6…送信装置、7,7a,7b…測定装置、8…評価装置、9…終端抵抗器、11−13…ノイズ発生器、14…選択手段、15…トリガー手段、16a−16c…送信/受信装置、17…結合装置、18…エラー検出手段、19a−19e…ライン、20…負荷、A…電力レベル、D1−D3…サービス信号、E…テスト結果、テスト結果ベクトル、F…エラー、F1−F3…周波数帯域、HF…HF信号、I…電力、MS,MS1,MS2…測定信号、R…ノイズ信号、RB…帯域制限ノイズ信号、SS1,SS2,SS3…定値信号、S1−S5…方法ステップ、TS…トリガー信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に航空機客室における通信システムの機能テストを実行するためのテスト装置(1)であって、
航空機客室に設けられる少なくとも一つの漏洩ラインアンテナ(3)からなる送信経路(2)と、
該送信経路(2)に接続される管理装置(4)であって、広域のノイズ信号(R)を生成するための生成装置(5)及びHF信号(HF)を前記漏洩ラインアンテナ(3)に供給する送信装置(6)を有し、供給されるHF信号(HF)が既定の電力レベルを有し、且つ、少なくとも生成される広域のノイズ信号(R)を含むように構成される管理装置(4)と、
送信経路(2)の端部における既定の接続点(K)で送信経路(2)に接続される少なくとも一つの測定装置(7)であって、接続点(K)でHF信号(HF)の電力レベルを誘導測定すると共に、測定される電力レベルに比例する測定信号(MS)を供給する測定装置(7)と、
供給される測定信号(MS)と供給されるHF信号(HF)の電力レベルに依存する定値信号(SS)とを比較したテスト結果(E)を提供するための評価手段(8)とを備えることを特徴とするテスト装置。
【請求項2】
供給されるノイズ信号(R)は、送信経路(2)のコヒーレンス帯域幅と比較して広帯域であることを特徴とする請求項1記載のテスト装置。
【請求項3】
提供される広帯域ノイズ信号(R)は、少なくとも一つのマスキング信号(M1−M3)を含み、各々のマスキング信号(M1−M3)は、各々の既定の周波数帯域(F1−F3)を用いる各々の地上波基地局の信号(B1−B3)を遮蔽するように構成されることを特徴とする請求項2記載のテスト装置。
【請求項4】
測定装置(7)は、HF終端を備えることを特徴とする請求項1乃至3記載のテスト装置。
【請求項5】
送信経路(2)は、第一端部(E1)と第二端部(E2)とを有し、漏洩ラインアンテナ(3)は、第一端部(E1)と第二端部(E2)との間に接続され、且つ、管理装置(4)は、第一端部(E1)に接続され、且つ、評価手段(8)は、第一端部(E1)又は第二端部(E2)に接続されること、或いは、
送信経路(2)は、第一端部(E1)と第二端部(E2)とを有し、漏洩ラインアンテナ(3)は、第一端部(E1)と第二端部(E2)との間に接続され、又は、管理装置(4)は、第一端部(E1)に接続され、又は、評価手段(8)は、第一端部(E1)又は第二端部(E2)に接続されることを特徴とする請求項1乃至4記載のテスト装置。
【請求項6】
生成装置(5)は、複数のノイズ発生器(11−13)を備え、各々のノイズ発生器(11−13)は、既定の周波数帯域(F1−F3)に制限される各々のノイズ信号(M1−M3)を提供するように構成されることを特徴とする請求項1乃至5記載のテスト装置。
【請求項7】
管理装置(4)は、HF信号(HF)のための帯域制限ノイズ信号(RB)を提供するために、少なくとも一つのノイズ発生器(11−13)を選択するように構成される選択手段(14)を備えることを特徴とする請求項1乃至6記載のテスト装置。
【請求項8】
管理装置4は、選択帯域制限ノイズ信号(RB)を有する機能テストの実行を引き起こすように構成されるトリガー手段(15)を備えることを特徴とする請求項7記載のテスト装置。
【請求項9】
トリガー手段(15)は、異なる選択帯域制限ノイズ信号(RB)において、複数の機能テストを連続的に実行するように構成されることを特徴とする請求項8記載のテスト装置。
【請求項10】
測定装置(7)は、接続点(K)におけるHF信号(HF)の電力レベルを比例する直流電圧信号に変換するHF検出器を備えることを特徴とする請求項1乃至9記載のテスト装置。
【請求項11】
送信経路(2)は、航空機客室に縦方向に設けられる送信漏洩ラインアンテナ(3a)と、航空機客室に縦方向に設けられる受信漏洩ラインアンテナ(3b)とを備えることを特徴とする請求項1乃至10記載のテスト装置。
【請求項12】
複数の測定装置(7a,7b)が提供され、第一測定装置(7a)は、送信経路(2)の第二端部(E2)において送信漏洩ラインアンテナ(3a)に接続され、第二測定装置(7b)は、送信経路(2)の第一端部(3b)において受信漏洩ラインアンテナ(3b)に接続されることを特徴とする請求項5乃至11記載のテスト装置。
【請求項13】
少なくとも一つの送信/受信装置(16a−16c)が提供され、各々の送信/受信装置(16a−16c)は、既定サービスの提供及び送信経路(2)における送信のために、サービス信号(D1−D3)を提供するように構成されることを特徴とする請求項1乃至12記載のテスト装置。
【請求項14】
評価手段(8)は、連続的に実行される通信システムの複数の機能テストの機能として、テスト結果ベクトル(E)を提供するように構成されることを特徴とする請求項9記載のテスト装置。
【請求項15】
提供されるテスト結果ベクトル(E)の機能として、一又は複数のノイズ発生器(11−13)のエラー(F)、及び/又は、送信経路(2)のエラー(F)を検出するように構成されるエラー検出手段(18)を備えることを特徴とする請求項14記載のテスト装置。
【請求項16】
特に航空機の客室における通信システムの機能テストを実行するための方法であって、
広域のノイズ信号(R)を生成するステップと、
航空機客室に設けられる少なくとも一つの漏洩ラインアンテナ(3)からなる送信経路(2)へ、既定の電力レベルを有し、且つ、少なくとも生成される広域のノイズ信号(R)を含むHF信号(HF)を供給するステップと、
送信経路(2)の端部に設けられる接続点(K)におけるHF信号(HF)の電力レベルを誘導測定するステップと、
測定される電力レベルに比例する測定信号(MS)を供給するステップと、
供給される測定信号(MS)と供給されるHF信号(HF)の電力レベルに依存する定値信号(SS)とを比較することによるテスト結果(E)を提供するステップと、からなることを特徴とする通信システムの機能テストを実行するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−503392(P2012−503392A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527316(P2011−527316)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062042
【国際公開番号】WO2010/031807
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(511009721)エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー (6)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS GMBH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg(DE)
【Fターム(参考)】