通信システム
【課題】 通信システムに含まれる多くの通信装置で動作するプログラムの全てを、迅速・容易にバージョンアップする。
【解決手段】 無線基地局2−1(BTS1)は、図6に示したように、無線基地局2−1における全ての呼が解放されると、BTS1を閉塞し、その旨をオペレーションシステム(OPS)4に通知する。OPSは、BTS1に対する無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う。次に、BTS1は、無線基地局2−2(BTS2)に対して、閉塞準備を行わせるための命令を出し、BTS2は閉塞し、その旨を、BTS1に通知する。BTS1は、OPSが、BTS1に対して行った処理と同様の処理を行い、BTS2のプログラムのバージョンアップを行う。以下、同様に、BTS1またはBTS2は、無線基地局2−3(BTS3)に対するプログラムのバージョンアップを行う。
【解決手段】 無線基地局2−1(BTS1)は、図6に示したように、無線基地局2−1における全ての呼が解放されると、BTS1を閉塞し、その旨をオペレーションシステム(OPS)4に通知する。OPSは、BTS1に対する無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う。次に、BTS1は、無線基地局2−2(BTS2)に対して、閉塞準備を行わせるための命令を出し、BTS2は閉塞し、その旨を、BTS1に通知する。BTS1は、OPSが、BTS1に対して行った処理と同様の処理を行い、BTS2のプログラムのバージョンアップを行う。以下、同様に、BTS1またはBTS2は、無線基地局2−3(BTS3)に対するプログラムのバージョンアップを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の装置で動作するプログラムを改訂(バージョンアップ)しうる通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、無線通信システムにおけるプログラムの変更方法を開示する。
しかしながら、特許文献1は、プログラムのバージョンアップについて言及していない。
また、特許文献1に記載された方法により、呼処理などを行うプログラムを、通信システムに含まれる全ての無線基地局装置についてバージョンアップしようとすると、多くの手間と時間が必要とされてしまう。
【特許文献1】特開平8−6770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述したような背景からなされたものであり、通信システムに含まれる多くの通信装置で動作するプログラムの全てを、迅速・容易にバージョンアップすることができるようにした通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明にかかる通信システムは、それぞれプログラムを実行して通信を行う複数の通信装置と、前記通信装置のプログラムを改訂する改訂装置とを有する通信システムであって、前記複数の通信装置の1つ以上は、前記改訂装置と接続され、前記複数の通信装置は相互に接続され、前記通信装置それぞれは、他の前記通信装置または前記改訂装置から前記プログラムを受信するプログラム受信手段と、前記受信されたプログラムにより、前記プログラムの改訂を行うプログラム改訂手段と、前記他の通信装置または前記改訂装置から受けたプログラムを、他の前記通信装置に対して送信し、前記プログラムを改訂させるプログラム送信手段とを有する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、通信システムに含まれる多くの通信装置で動作するプログラムの全てを、迅速・容易にバージョンアップすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
[移動体通信システム1]
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明にかかる移動体通信システム1の構成を例示する図である。
図1に示すように、移動体通信システム1は、m(m≧2)台の無線基地局(BTS;Base Transmission Station)2−1〜2−mと、無線ネットワーク制御装置(RNC)3およびオペレーションシステム(OPS)4が、ATM通信網あるいはIP伝送路などの有線伝送路100を介して相互に通信可能に接続され、1台以上の移動局102が、無線伝送路104を介して、無線基地局2−1〜2−mとの間で通信可能に接続されて構成される。
なお、以下、無線基地局2−1〜2−mなど、複数ある構成部分を特定せずに示すときには、単に無線基地局2などと略記することがある。
また、以下、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4を、ノードと総称することがある。
【0007】
移動体通信システム1は、これらの構成部分により、移動局102に対する移動体通信機能を提供する。
また、移動体通信システム1は、無線基地局2上で動作するプログラム(図4を参照して後述)を、移動体通信システム100を介してバージョンアップする。
【0008】
[各ノードのハードウエア構成]
図2は、図1に示した移動体通信システム1の無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4のハードウエア構成を例示する図である。
図2に示すように、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4は、制御装置20、および、制御装置20の制御を受けて、有線伝送路100を介して他のノードとの間の通信を行う通信装置222を含む。
制御装置20は、共有メモリ202、不揮発性メモリ204、FROM206、キャッシュメモリ208、CF(compact flash memory)210、音声・AV・パケット用のFIFO212、RAM214、および、FROM206・キャッシュメモリ208・RAM214にロードされたプログラム(図4など)を実行するCPU200などを含む。
【0009】
図3は、図2に示したFIFO212の構成およびこれに対する転送制御を例示する図である。
実際には、無線基地局2において、図2に示したFIFO212は、音声用FIFO、音声・画像(AV)用FIFOおよびパケット用のFIFOを含み、図4などを参照して後述するプログラム制御によって、有線伝送路100との間でデータを転送する。
【0010】
また、無線基地局2は、制御装置20の制御を受けて、無線伝送路104(図1)を介して移動局102との間で通信を行う無線通信装置224をさらに含む。
また、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4は、必要に応じて、表示装置およびキーボードなどを含む表示・入力装置220、および、記録媒体228に対する情報の記録・再生を行う記録装置226をさらに含む。
【0011】
つまり、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4の制御装置20は、不揮発性メモリ204あるいは記録媒体228などを介して供給されるプログラム(図4を参照して後述する無線基地局プログラム24など)を実行可能なコンピュータとしての構成部分を含み、さらに、それぞれの動作に必要な構成部分を有している。
また、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4は、実際には、これらの架体(図示せず)内に設けられた伝送路(図5を参照して後述する無線基地局2の架内伝送路108など)により接続された複数の制御装置20を含んでいたり、架体内伝送路で接続された複数の基板により実現されることがある。
【0012】
[無線ネットワーク制御装置3・オペレーションシステム4]
移動体通信システム1(図1)において、無線ネットワーク制御装置3は、有線伝送路100を介して無線基地局2を制御し、呼設定および呼解放などの呼制御を行う。
オペレーションシステム4は、有線伝送路100を介して、無線基地局2に対する保守監視、および、無線基地局2上で動作するプログラムのバージョンアップなどのための処理を行う。
なお、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4の処理の詳細は、図6〜図9を参照してさらに後述される。
【0013】
[無線基地局2・無線基地局プログラム24]
図4は、図1,図2に示した無線基地局2上で動作する無線基地局(BTS)プログラム24の構成を示す図である。
図4に示すように、無線基地局プログラム24は、オペレーティングシステム(OS)・デバイスドライバ240、仮想架内バス通信処理部242、呼制御部244、無線通信制御部250、有線通信制御部252、データ転送部254、保守監視制御部246、OPS機能部248およびバージョンアップ処理部260から構成される。
【0014】
図5は、無線基地局2(図1,図2)が複数の制御装置20−1〜20−n(図5にはn=4の場合を例示)を含むときに、図4に示した無線基地局プログラム24が、架内伝送路108を介して接続された複数の制御装置20に分割されて実現される態様を例示する図である。
なお、図5に示すように、無線基地局プログラム24は、無線基地局2が複数の制御装置20を含むときには、無線基地局プログラム24の各構成部分が、複数の無線基地局プログラム26−1〜26−nに分割されて実現されることがあるが、図5に示した無線基地局プログラム26−1〜26−n全体と、図4に示した無線基地局プログラム24とは、同じ機能を実現しうる。
なお、以下、説明の具体化・明確化のために、無線基地局2において、無線基地局プログラム24(図4)が実行される場合を具体例とする。
【0015】
無線基地局プログラム24は、その一部または全部が、オペレーションシステム4(図1)または他の無線基地局2から有線伝送路100を介して、あるいは、不揮発性メモリ204(図2)に記憶された状態で無線基地局2に供給され、RAM214にロードされて、CPU200により実行される。
無線基地局プログラム24は、これらの構成部分により、無線基地局2の機能、つまり、無線基地局2と有線伝送路100を介した他のノードとの間の通信、無線伝送路104を介した無線基地局2と移動局102との間の通信、および、無線基地局プログラム24の構成部分の全部または一部のバージョンアップなどの機能を実現する。
なお、無線基地局プログラム24は、その構成部分の全部がバージョンアップされても、一部(例えば、無線基地局プログラム24のOPS機能部248などを除く無呼制御部244、線通信制御部250および有線通信制御部252)のみがバージョンアップされてもよいが、以下の説明においては、無線基地局プログラム24の構成部分の全部がバージョンアップされるか、一部がバージョンアップされるかを、特に区別しない。
【0016】
無線基地局プログラム24において、OS・デバイスドライバ240は、無線基地局プログラム24の各構成部分の実行制御、および、無線基地局プログラム24の各構成部分が、無線基地局2のハードウエア(図2)を制御するために必要な機能を提供する。
仮想架内バス通信処理部242は、無線基地局2の架内伝送路108、あるいは、有線伝送路100(図1)の種類を隠蔽し、伝送路の種類に依存しない無線基地局2の架体内およびノード間の通信を実現する。
つまり、仮想架内バス通信処理部242により、架内伝送路および有線伝送路100が、ATM伝送路であるか、イーサネット(登録商標)伝送路であるかなどに依存しない無線基地局プログラム24の各構成部分の処理が実現される。
呼制御部244は、有線伝送路100を介して無線ネットワーク制御装置3の制御に従って、無線通信制御部250、有線通信制御部252およびデータ転送部254などを制御し、呼制御に必要な処理を行わせる。
【0017】
無線通信制御部250は、呼制御部244からの制御に従って、無線通信装置224(図2)などを制御して、無線伝送路104を介した無線基地局2と移動局102(図1)との間の通信のための処理を行う。
有線通信制御部252は、呼制御部244からの制御に従って、通信装置222などを制御して、有線伝送路100を介した無線基地局2と他のノードとの間の通信のための処理を行う。
【0018】
OPS機能部248は、他の無線基地局2に対して、無線ネットワーク制御装置3と同様な処理を行う。
つまり、OPS機能部248は、自らの無線基地局プログラム24がバージョンアップされたときに、データ転送部254を制御して、他の無線基地局2に対して、有線伝送路100を介して、バージョンアップされた無線基地局プログラム24を転送させ、転送先の無線基地局2に、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行わせる。
データ転送部254は、呼制御部244などからの制御に従って、他のノードとの間で、データの転送を行う。
つまり、データ転送部254は、有線伝送路100を介して、オペレーションシステム4または他の無線基地局2から、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24などのデータを受信する。
また、データ転送部254は、同様に、他の無線基地局2に対して、バージョンアップされた無線基地局プログラム24などのデータを送信する。
なお、図3に例示したように、データ転送部254、無線通信制御部250および有線通信制御部252は、FIFO212の3種類のFIFOそれぞれを制御し、無線通信装置224およびRAM214などと有線伝送路100との間で、音声データ、AVデータおよびパケットデータを、伝送遅延が多く許容される種類のデータほど広い時間間隔で転送する処理を行い、データ転送処理が、CPU200(図2)の処理時間を不要に多く消費しないようにする。
【0019】
保守監視制御部246は、有線伝送路100(図1)を介したオペレーションシステム4からの制御に従って、オペレーションシステム4が無線基地局2を保守および監視するために必要な機能(CF210に対する制御、状態変更および自己診断などの機能)を提供する。
バージョンアップ処理部260は、データ転送部254により受信され、CF210に記憶されたバージョンアップ用の無線基地局プログラム24を用いて、無線基地局プログラム24をバージョンアップする。
【0020】
[移動体通信システム1の動作]
以下、移動体通信システム1の第1の動作を説明する。
図6は、移動体通信システム1(図1)における第1のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
図6には、無線基地局2における呼処理と、無線基地局プログラム24のバージョンアップ処理との競合を回避するための処理が示されている。
【0021】
図6に示すように、無線ネットワーク制御装置3(図1)は、無線基地局2上で動作する無線基地局プログラム24(図4)の呼制御部244に対して、呼設定(呼設定1)を行うと、呼制御部244は、無線基地局プログラム24の各構成部分に対して、呼設定のために必要な制御および設定を行い、さらに、データ転送部254を制御して、データリンクの設定を行う。
データ転送部254は、図3に示したように、有線伝送路100と、通信装置222(図2)などとの間で、各種データの転送を行う。
呼制御部244は、無線基地局プログラム24の構成部分に対する制御および設定が終了すると、その旨を、保守監視制御部246および無線ネットワーク制御装置3に対して通知する。
【0022】
無線基地局2の無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う必要が生じると、オペレーションシステム4は、保守監視制御部246に対して、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24をファイル転送する旨の命令を送信する。
オペレーションシステム4から無線基地局2への無線基地局プログラム24のファイル転送、CF制御および自己診断は、無線基地局2のCPU200の処理時間の多くを占有するので、無線基地局2が閉塞状態でないときには、実行できない。
従って、保守監視制御部246は、無線基地局2が閉塞状態ではないときには、無線基地局プログラム24のファイルを受信できない旨の応答(NG)をオペレーションシステム4に返す。
【0023】
次に、オペレーションシステム4は、保守監視制御部246に対して、無線基地局2を閉塞させる準備を行わせる命令を送信する。
保守監視制御部246は、呼制御部244に対して、閉塞準備を行わせるための制御および設定を行う。
呼制御部244は、保守監視制御部246の制御に従った処理が終了すると、その旨を通知し、保守監視制御部246は、閉塞準備を行った旨を、オペレーションシステム4に対して通知する。
【0024】
次に、無線ネットワーク制御装置3が、呼制御部244に対して、新たな呼設定(呼設定2)を行うと、呼制御部244は、閉塞準備中なので、呼設定が出来ない旨(NG)を、無線ネットワーク制御装置3に対して通知する。
次に、無線ネットワーク制御装置3が、呼設定1により設定された呼の解放(呼解放1)を、呼制御部244に対して行うと、呼制御部244は、呼設定1により設定された呼を解放し、さらに、データ転送部254に設定されていたデータリンクを開放する。
これらの処理が終了すると、呼制御部244は、保守監視制御部246および無線ネットワーク制御装置3に、その旨を通知する。
【0025】
無線基地局2に設定されていた呼の全てが解放されると、保守監視制御部246は、無線基地局2を閉塞し、無線基地局2を閉塞した旨を、オペレーションシステム4に通知する。
この通知を受けて、オペレーションシステム4は、保守監視制御部246に対して、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24をファイル転送する。
保守監視制御部246は、データ転送部254などを介して、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24のファイルを受信し、CF210(図2)などに格納する。
保守監視制御部246は、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24の受信が終了すると、その旨を、オペレーションシステム4に通知する。
【0026】
オペレーションシステム4は、保守監視制御部246に対して、無線基地局2をシステムリセットするための命令を送信すると、保守監視制御部246は、無線基地局2をシステムリセットする。
システムリセットが終了後、保守監視制御部246(バージョンアップ処理部260)は、CF210に記憶された無線基地局プログラム24のバージョンを判定し、システムリセット以前のバージョンよりも新しいバージョンであるときには、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う。
【0027】
次に、移動体通信システム1の第2の動作を説明する。
図7は、移動体通信システム1(図1)における無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4の接続形態を例示する図である。
以下に説明する移動体通信システム1の第2の動作は、図7に示すように、移動体通信システム1において、3台の無線基地局2−1〜2−3(BTS1〜3)、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4が、3つの有線伝送路100−1〜100−3を介して接続され、オペレーションシステム4による無線基地局プログラム24のバージョンアップを受けた無線基地局2−1が、予めバージョンアップの対象として登録された無線基地局2−2,2−3に対するバージョンアップを行う場合を具体例とする。
【0028】
図8は、移動体通信システム1(図1)における第2のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
なお、以下の通信シーケンス図においては、無線ネットワーク制御装置3およびその処理は省略されている。
図8に示すように、オペレーションシステム4は、無線基地局2−1に対して、閉塞準備を行わせるための命令を送信する。
無線基地局2−1の保守監視制御部246(図3)は、図6に示したように、無線基地局2−1における全ての呼が解放されると、無線基地局2−1を閉塞し、その旨をオペレーションシステム4に通知する。
さらに、オペレーションシステム4は、図6に示したように、無線基地局2−1に対する無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う。
【0029】
次に、無線基地局2−1のOPS機能部248(図3)は、無線基地局2−2の保守監視制御部246に対して、閉塞準備を行わせるための命令を出し、無線基地局2−2の保守監視制御部246は、無線基地局2−2の閉塞を行うと、その旨を、無線基地局2−1のOPS機能部248に通知する。
無線基地局2−1のOPS機能部248は、オペレーションシステム4が、無線基地局2−1の保守監視制御部246およびバージョンアップ処理部260に対して行った処理と同様の処理を行い、無線基地局2−2に対して、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う。
【0030】
なお、無線基地局2−1が、さらに、無線基地局2−3のバージョンアップを行ってもよく、あるいは、無線基地局2−2に、予め、バージョンアップの対象として無線基地局2−3を登録しておき、無線基地局2−2が、無線基地局2−3の無線基地局プログラム24をバージョンアップしてもよい。
このように、移動体通信システム1における複数の無線基地局2のいずれかに対してオペレーションシステム4が、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行った後に、無線基地局2の間で、順次、無線基地局プログラム24のバージョンアップが行われうるようにすると、移動体通信システム1に含まれる全ての無線基地局2に対する無線基地局プログラム24のバージョンアップを、迅速に、しかも、オペレーションシステム4の負荷を少なく行うことができる。
従って、オペレーションシステム4の装置規模を小さくすることができ、オペレーションシステム4の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0031】
なお、以下に示すように、図8に示した無線基地局2のOPS機能部248の処理に、他の無線基地局2の無線基地局プログラム24のバージョンを問い合わせ、他の無線基地局2の無線基地局プログラム24のバージョンが、バージョンアップを要するときにのみ、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行うようにしてもよい。
図9は、移動体通信システム1(図1)における第3のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
【0032】
図9に示すように、オペレーションシステム4が、図6などに示したように、無線基地局2−1(BTS1)に対して、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行うと、無線基地局2−1の無線基地局プログラム24のOPS機能部248は、無線基地局2−2(BTS2)の保守監視制御部246に対して、無線基地局2−2の無線基地局プログラム24のバージョンを問い合わせる。
無線基地局2−2の保守監視制御部246は、CF210(図2)などに記憶された無線基地局プログラム24のバージョンを、無線基地局2−1のOPS機能部248に通知する。
OPS機能部248は、無線基地局2−2の保守監視制御部246から返されたバージョンを判断し、例えば、無線基地局2−2の無線基地局プログラム24のバージョンアップが必要であるときには、無線基地局2−2の無線基地局プログラム24をバージョンアップする。
【0033】
次に、無線基地局2−1の無線基地局プログラム24のOPS機能部248は、無線基地局2−3(BTS3)の保守監視制御部246に対して、無線基地局2−3の無線基地局プログラム24のバージョンを問い合わせる。
無線基地局2−3の保守監視制御部246は、CF210(図2)などに記憶された無線基地局プログラム24のバージョンを、無線基地局2−1のOPS機能部248に通知する。
OPS機能部248は、無線基地局2−3の保守監視制御部246から返されたバージョンを判断し、例えば、無線基地局2−3の無線基地局プログラム24のバージョンアップが必要でないときには、無線基地局2−2の無線基地局プログラム24をバージョンアップせずに、処理を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、通信システムに含まれる通信装置のプログラムのバージョンアップなどのために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかる移動体通信システムの構成を例示する図である。
【図2】図1に示した移動体通信システムの無線基地局、無線ネットワーク制御装置およびオペレーションシステムのハードウエア構成を例示する図である。
【図3】図2に示したFIFOの構成およびこれに対する転送制御を例示する図である。
【図4】図1,図2に示した無線基地局上で動作する無線基地局(BTS)プログラムの構成を示す図である。
【図5】無線基地局(図1,図2)が複数の制御装置を含むときに、図4に示した無線基地局プログラムが、架内伝送路を介して接続された複数の制御装置に分割されて実現される態様を例示する図である。
【図6】移動体通信システム(図1)における第1のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
【図7】移動体通信システム(図1)における無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステムの接続形態を例示する図である。
【図8】移動体通信システム(図1)における第2のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
【図9】移動体通信システム(図1)における第3のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・移動体通信システム、
2・・・無線基地局(BTS)、
20・・・制御装置、
200・・・CPU、
202・・・共有メモリ、
204・・・不揮発性メモリ、
206・・・FROM、
208・・・キャッシュメモリ、
210・・・CF、
212・・・FIFO、
214・・・RAM、
24,26・・・無線基地局プログラム、
240・・・OS・デバイスドライバ、
242・・・仮想架内バス通信処理部、
244・・・呼制御部、
246・・・保守監視制御部、
248・・・OPS機能部、
250・・・無線通信制御部、
252・・・有線通信制御部、
254・・・データ転送部、
260・・・バージョンアップ処理部、
3・・・無線ネットワーク制御装置(RNC)、
4・・・オペレーションシステム(OPS)、
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の装置で動作するプログラムを改訂(バージョンアップ)しうる通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、無線通信システムにおけるプログラムの変更方法を開示する。
しかしながら、特許文献1は、プログラムのバージョンアップについて言及していない。
また、特許文献1に記載された方法により、呼処理などを行うプログラムを、通信システムに含まれる全ての無線基地局装置についてバージョンアップしようとすると、多くの手間と時間が必要とされてしまう。
【特許文献1】特開平8−6770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述したような背景からなされたものであり、通信システムに含まれる多くの通信装置で動作するプログラムの全てを、迅速・容易にバージョンアップすることができるようにした通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明にかかる通信システムは、それぞれプログラムを実行して通信を行う複数の通信装置と、前記通信装置のプログラムを改訂する改訂装置とを有する通信システムであって、前記複数の通信装置の1つ以上は、前記改訂装置と接続され、前記複数の通信装置は相互に接続され、前記通信装置それぞれは、他の前記通信装置または前記改訂装置から前記プログラムを受信するプログラム受信手段と、前記受信されたプログラムにより、前記プログラムの改訂を行うプログラム改訂手段と、前記他の通信装置または前記改訂装置から受けたプログラムを、他の前記通信装置に対して送信し、前記プログラムを改訂させるプログラム送信手段とを有する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、通信システムに含まれる多くの通信装置で動作するプログラムの全てを、迅速・容易にバージョンアップすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
[移動体通信システム1]
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明にかかる移動体通信システム1の構成を例示する図である。
図1に示すように、移動体通信システム1は、m(m≧2)台の無線基地局(BTS;Base Transmission Station)2−1〜2−mと、無線ネットワーク制御装置(RNC)3およびオペレーションシステム(OPS)4が、ATM通信網あるいはIP伝送路などの有線伝送路100を介して相互に通信可能に接続され、1台以上の移動局102が、無線伝送路104を介して、無線基地局2−1〜2−mとの間で通信可能に接続されて構成される。
なお、以下、無線基地局2−1〜2−mなど、複数ある構成部分を特定せずに示すときには、単に無線基地局2などと略記することがある。
また、以下、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4を、ノードと総称することがある。
【0007】
移動体通信システム1は、これらの構成部分により、移動局102に対する移動体通信機能を提供する。
また、移動体通信システム1は、無線基地局2上で動作するプログラム(図4を参照して後述)を、移動体通信システム100を介してバージョンアップする。
【0008】
[各ノードのハードウエア構成]
図2は、図1に示した移動体通信システム1の無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4のハードウエア構成を例示する図である。
図2に示すように、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4は、制御装置20、および、制御装置20の制御を受けて、有線伝送路100を介して他のノードとの間の通信を行う通信装置222を含む。
制御装置20は、共有メモリ202、不揮発性メモリ204、FROM206、キャッシュメモリ208、CF(compact flash memory)210、音声・AV・パケット用のFIFO212、RAM214、および、FROM206・キャッシュメモリ208・RAM214にロードされたプログラム(図4など)を実行するCPU200などを含む。
【0009】
図3は、図2に示したFIFO212の構成およびこれに対する転送制御を例示する図である。
実際には、無線基地局2において、図2に示したFIFO212は、音声用FIFO、音声・画像(AV)用FIFOおよびパケット用のFIFOを含み、図4などを参照して後述するプログラム制御によって、有線伝送路100との間でデータを転送する。
【0010】
また、無線基地局2は、制御装置20の制御を受けて、無線伝送路104(図1)を介して移動局102との間で通信を行う無線通信装置224をさらに含む。
また、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4は、必要に応じて、表示装置およびキーボードなどを含む表示・入力装置220、および、記録媒体228に対する情報の記録・再生を行う記録装置226をさらに含む。
【0011】
つまり、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4の制御装置20は、不揮発性メモリ204あるいは記録媒体228などを介して供給されるプログラム(図4を参照して後述する無線基地局プログラム24など)を実行可能なコンピュータとしての構成部分を含み、さらに、それぞれの動作に必要な構成部分を有している。
また、無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4は、実際には、これらの架体(図示せず)内に設けられた伝送路(図5を参照して後述する無線基地局2の架内伝送路108など)により接続された複数の制御装置20を含んでいたり、架体内伝送路で接続された複数の基板により実現されることがある。
【0012】
[無線ネットワーク制御装置3・オペレーションシステム4]
移動体通信システム1(図1)において、無線ネットワーク制御装置3は、有線伝送路100を介して無線基地局2を制御し、呼設定および呼解放などの呼制御を行う。
オペレーションシステム4は、有線伝送路100を介して、無線基地局2に対する保守監視、および、無線基地局2上で動作するプログラムのバージョンアップなどのための処理を行う。
なお、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4の処理の詳細は、図6〜図9を参照してさらに後述される。
【0013】
[無線基地局2・無線基地局プログラム24]
図4は、図1,図2に示した無線基地局2上で動作する無線基地局(BTS)プログラム24の構成を示す図である。
図4に示すように、無線基地局プログラム24は、オペレーティングシステム(OS)・デバイスドライバ240、仮想架内バス通信処理部242、呼制御部244、無線通信制御部250、有線通信制御部252、データ転送部254、保守監視制御部246、OPS機能部248およびバージョンアップ処理部260から構成される。
【0014】
図5は、無線基地局2(図1,図2)が複数の制御装置20−1〜20−n(図5にはn=4の場合を例示)を含むときに、図4に示した無線基地局プログラム24が、架内伝送路108を介して接続された複数の制御装置20に分割されて実現される態様を例示する図である。
なお、図5に示すように、無線基地局プログラム24は、無線基地局2が複数の制御装置20を含むときには、無線基地局プログラム24の各構成部分が、複数の無線基地局プログラム26−1〜26−nに分割されて実現されることがあるが、図5に示した無線基地局プログラム26−1〜26−n全体と、図4に示した無線基地局プログラム24とは、同じ機能を実現しうる。
なお、以下、説明の具体化・明確化のために、無線基地局2において、無線基地局プログラム24(図4)が実行される場合を具体例とする。
【0015】
無線基地局プログラム24は、その一部または全部が、オペレーションシステム4(図1)または他の無線基地局2から有線伝送路100を介して、あるいは、不揮発性メモリ204(図2)に記憶された状態で無線基地局2に供給され、RAM214にロードされて、CPU200により実行される。
無線基地局プログラム24は、これらの構成部分により、無線基地局2の機能、つまり、無線基地局2と有線伝送路100を介した他のノードとの間の通信、無線伝送路104を介した無線基地局2と移動局102との間の通信、および、無線基地局プログラム24の構成部分の全部または一部のバージョンアップなどの機能を実現する。
なお、無線基地局プログラム24は、その構成部分の全部がバージョンアップされても、一部(例えば、無線基地局プログラム24のOPS機能部248などを除く無呼制御部244、線通信制御部250および有線通信制御部252)のみがバージョンアップされてもよいが、以下の説明においては、無線基地局プログラム24の構成部分の全部がバージョンアップされるか、一部がバージョンアップされるかを、特に区別しない。
【0016】
無線基地局プログラム24において、OS・デバイスドライバ240は、無線基地局プログラム24の各構成部分の実行制御、および、無線基地局プログラム24の各構成部分が、無線基地局2のハードウエア(図2)を制御するために必要な機能を提供する。
仮想架内バス通信処理部242は、無線基地局2の架内伝送路108、あるいは、有線伝送路100(図1)の種類を隠蔽し、伝送路の種類に依存しない無線基地局2の架体内およびノード間の通信を実現する。
つまり、仮想架内バス通信処理部242により、架内伝送路および有線伝送路100が、ATM伝送路であるか、イーサネット(登録商標)伝送路であるかなどに依存しない無線基地局プログラム24の各構成部分の処理が実現される。
呼制御部244は、有線伝送路100を介して無線ネットワーク制御装置3の制御に従って、無線通信制御部250、有線通信制御部252およびデータ転送部254などを制御し、呼制御に必要な処理を行わせる。
【0017】
無線通信制御部250は、呼制御部244からの制御に従って、無線通信装置224(図2)などを制御して、無線伝送路104を介した無線基地局2と移動局102(図1)との間の通信のための処理を行う。
有線通信制御部252は、呼制御部244からの制御に従って、通信装置222などを制御して、有線伝送路100を介した無線基地局2と他のノードとの間の通信のための処理を行う。
【0018】
OPS機能部248は、他の無線基地局2に対して、無線ネットワーク制御装置3と同様な処理を行う。
つまり、OPS機能部248は、自らの無線基地局プログラム24がバージョンアップされたときに、データ転送部254を制御して、他の無線基地局2に対して、有線伝送路100を介して、バージョンアップされた無線基地局プログラム24を転送させ、転送先の無線基地局2に、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行わせる。
データ転送部254は、呼制御部244などからの制御に従って、他のノードとの間で、データの転送を行う。
つまり、データ転送部254は、有線伝送路100を介して、オペレーションシステム4または他の無線基地局2から、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24などのデータを受信する。
また、データ転送部254は、同様に、他の無線基地局2に対して、バージョンアップされた無線基地局プログラム24などのデータを送信する。
なお、図3に例示したように、データ転送部254、無線通信制御部250および有線通信制御部252は、FIFO212の3種類のFIFOそれぞれを制御し、無線通信装置224およびRAM214などと有線伝送路100との間で、音声データ、AVデータおよびパケットデータを、伝送遅延が多く許容される種類のデータほど広い時間間隔で転送する処理を行い、データ転送処理が、CPU200(図2)の処理時間を不要に多く消費しないようにする。
【0019】
保守監視制御部246は、有線伝送路100(図1)を介したオペレーションシステム4からの制御に従って、オペレーションシステム4が無線基地局2を保守および監視するために必要な機能(CF210に対する制御、状態変更および自己診断などの機能)を提供する。
バージョンアップ処理部260は、データ転送部254により受信され、CF210に記憶されたバージョンアップ用の無線基地局プログラム24を用いて、無線基地局プログラム24をバージョンアップする。
【0020】
[移動体通信システム1の動作]
以下、移動体通信システム1の第1の動作を説明する。
図6は、移動体通信システム1(図1)における第1のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
図6には、無線基地局2における呼処理と、無線基地局プログラム24のバージョンアップ処理との競合を回避するための処理が示されている。
【0021】
図6に示すように、無線ネットワーク制御装置3(図1)は、無線基地局2上で動作する無線基地局プログラム24(図4)の呼制御部244に対して、呼設定(呼設定1)を行うと、呼制御部244は、無線基地局プログラム24の各構成部分に対して、呼設定のために必要な制御および設定を行い、さらに、データ転送部254を制御して、データリンクの設定を行う。
データ転送部254は、図3に示したように、有線伝送路100と、通信装置222(図2)などとの間で、各種データの転送を行う。
呼制御部244は、無線基地局プログラム24の構成部分に対する制御および設定が終了すると、その旨を、保守監視制御部246および無線ネットワーク制御装置3に対して通知する。
【0022】
無線基地局2の無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う必要が生じると、オペレーションシステム4は、保守監視制御部246に対して、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24をファイル転送する旨の命令を送信する。
オペレーションシステム4から無線基地局2への無線基地局プログラム24のファイル転送、CF制御および自己診断は、無線基地局2のCPU200の処理時間の多くを占有するので、無線基地局2が閉塞状態でないときには、実行できない。
従って、保守監視制御部246は、無線基地局2が閉塞状態ではないときには、無線基地局プログラム24のファイルを受信できない旨の応答(NG)をオペレーションシステム4に返す。
【0023】
次に、オペレーションシステム4は、保守監視制御部246に対して、無線基地局2を閉塞させる準備を行わせる命令を送信する。
保守監視制御部246は、呼制御部244に対して、閉塞準備を行わせるための制御および設定を行う。
呼制御部244は、保守監視制御部246の制御に従った処理が終了すると、その旨を通知し、保守監視制御部246は、閉塞準備を行った旨を、オペレーションシステム4に対して通知する。
【0024】
次に、無線ネットワーク制御装置3が、呼制御部244に対して、新たな呼設定(呼設定2)を行うと、呼制御部244は、閉塞準備中なので、呼設定が出来ない旨(NG)を、無線ネットワーク制御装置3に対して通知する。
次に、無線ネットワーク制御装置3が、呼設定1により設定された呼の解放(呼解放1)を、呼制御部244に対して行うと、呼制御部244は、呼設定1により設定された呼を解放し、さらに、データ転送部254に設定されていたデータリンクを開放する。
これらの処理が終了すると、呼制御部244は、保守監視制御部246および無線ネットワーク制御装置3に、その旨を通知する。
【0025】
無線基地局2に設定されていた呼の全てが解放されると、保守監視制御部246は、無線基地局2を閉塞し、無線基地局2を閉塞した旨を、オペレーションシステム4に通知する。
この通知を受けて、オペレーションシステム4は、保守監視制御部246に対して、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24をファイル転送する。
保守監視制御部246は、データ転送部254などを介して、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24のファイルを受信し、CF210(図2)などに格納する。
保守監視制御部246は、バージョンアップ用の無線基地局プログラム24の受信が終了すると、その旨を、オペレーションシステム4に通知する。
【0026】
オペレーションシステム4は、保守監視制御部246に対して、無線基地局2をシステムリセットするための命令を送信すると、保守監視制御部246は、無線基地局2をシステムリセットする。
システムリセットが終了後、保守監視制御部246(バージョンアップ処理部260)は、CF210に記憶された無線基地局プログラム24のバージョンを判定し、システムリセット以前のバージョンよりも新しいバージョンであるときには、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う。
【0027】
次に、移動体通信システム1の第2の動作を説明する。
図7は、移動体通信システム1(図1)における無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4の接続形態を例示する図である。
以下に説明する移動体通信システム1の第2の動作は、図7に示すように、移動体通信システム1において、3台の無線基地局2−1〜2−3(BTS1〜3)、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステム4が、3つの有線伝送路100−1〜100−3を介して接続され、オペレーションシステム4による無線基地局プログラム24のバージョンアップを受けた無線基地局2−1が、予めバージョンアップの対象として登録された無線基地局2−2,2−3に対するバージョンアップを行う場合を具体例とする。
【0028】
図8は、移動体通信システム1(図1)における第2のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
なお、以下の通信シーケンス図においては、無線ネットワーク制御装置3およびその処理は省略されている。
図8に示すように、オペレーションシステム4は、無線基地局2−1に対して、閉塞準備を行わせるための命令を送信する。
無線基地局2−1の保守監視制御部246(図3)は、図6に示したように、無線基地局2−1における全ての呼が解放されると、無線基地局2−1を閉塞し、その旨をオペレーションシステム4に通知する。
さらに、オペレーションシステム4は、図6に示したように、無線基地局2−1に対する無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う。
【0029】
次に、無線基地局2−1のOPS機能部248(図3)は、無線基地局2−2の保守監視制御部246に対して、閉塞準備を行わせるための命令を出し、無線基地局2−2の保守監視制御部246は、無線基地局2−2の閉塞を行うと、その旨を、無線基地局2−1のOPS機能部248に通知する。
無線基地局2−1のOPS機能部248は、オペレーションシステム4が、無線基地局2−1の保守監視制御部246およびバージョンアップ処理部260に対して行った処理と同様の処理を行い、無線基地局2−2に対して、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行う。
【0030】
なお、無線基地局2−1が、さらに、無線基地局2−3のバージョンアップを行ってもよく、あるいは、無線基地局2−2に、予め、バージョンアップの対象として無線基地局2−3を登録しておき、無線基地局2−2が、無線基地局2−3の無線基地局プログラム24をバージョンアップしてもよい。
このように、移動体通信システム1における複数の無線基地局2のいずれかに対してオペレーションシステム4が、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行った後に、無線基地局2の間で、順次、無線基地局プログラム24のバージョンアップが行われうるようにすると、移動体通信システム1に含まれる全ての無線基地局2に対する無線基地局プログラム24のバージョンアップを、迅速に、しかも、オペレーションシステム4の負荷を少なく行うことができる。
従って、オペレーションシステム4の装置規模を小さくすることができ、オペレーションシステム4の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0031】
なお、以下に示すように、図8に示した無線基地局2のOPS機能部248の処理に、他の無線基地局2の無線基地局プログラム24のバージョンを問い合わせ、他の無線基地局2の無線基地局プログラム24のバージョンが、バージョンアップを要するときにのみ、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行うようにしてもよい。
図9は、移動体通信システム1(図1)における第3のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
【0032】
図9に示すように、オペレーションシステム4が、図6などに示したように、無線基地局2−1(BTS1)に対して、無線基地局プログラム24のバージョンアップを行うと、無線基地局2−1の無線基地局プログラム24のOPS機能部248は、無線基地局2−2(BTS2)の保守監視制御部246に対して、無線基地局2−2の無線基地局プログラム24のバージョンを問い合わせる。
無線基地局2−2の保守監視制御部246は、CF210(図2)などに記憶された無線基地局プログラム24のバージョンを、無線基地局2−1のOPS機能部248に通知する。
OPS機能部248は、無線基地局2−2の保守監視制御部246から返されたバージョンを判断し、例えば、無線基地局2−2の無線基地局プログラム24のバージョンアップが必要であるときには、無線基地局2−2の無線基地局プログラム24をバージョンアップする。
【0033】
次に、無線基地局2−1の無線基地局プログラム24のOPS機能部248は、無線基地局2−3(BTS3)の保守監視制御部246に対して、無線基地局2−3の無線基地局プログラム24のバージョンを問い合わせる。
無線基地局2−3の保守監視制御部246は、CF210(図2)などに記憶された無線基地局プログラム24のバージョンを、無線基地局2−1のOPS機能部248に通知する。
OPS機能部248は、無線基地局2−3の保守監視制御部246から返されたバージョンを判断し、例えば、無線基地局2−3の無線基地局プログラム24のバージョンアップが必要でないときには、無線基地局2−2の無線基地局プログラム24をバージョンアップせずに、処理を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、通信システムに含まれる通信装置のプログラムのバージョンアップなどのために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかる移動体通信システムの構成を例示する図である。
【図2】図1に示した移動体通信システムの無線基地局、無線ネットワーク制御装置およびオペレーションシステムのハードウエア構成を例示する図である。
【図3】図2に示したFIFOの構成およびこれに対する転送制御を例示する図である。
【図4】図1,図2に示した無線基地局上で動作する無線基地局(BTS)プログラムの構成を示す図である。
【図5】無線基地局(図1,図2)が複数の制御装置を含むときに、図4に示した無線基地局プログラムが、架内伝送路を介して接続された複数の制御装置に分割されて実現される態様を例示する図である。
【図6】移動体通信システム(図1)における第1のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
【図7】移動体通信システム(図1)における無線基地局2、無線ネットワーク制御装置3およびオペレーションシステムの接続形態を例示する図である。
【図8】移動体通信システム(図1)における第2のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
【図9】移動体通信システム(図1)における第3のバージョンアップ処理を示す通信シーケンス図である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・移動体通信システム、
2・・・無線基地局(BTS)、
20・・・制御装置、
200・・・CPU、
202・・・共有メモリ、
204・・・不揮発性メモリ、
206・・・FROM、
208・・・キャッシュメモリ、
210・・・CF、
212・・・FIFO、
214・・・RAM、
24,26・・・無線基地局プログラム、
240・・・OS・デバイスドライバ、
242・・・仮想架内バス通信処理部、
244・・・呼制御部、
246・・・保守監視制御部、
248・・・OPS機能部、
250・・・無線通信制御部、
252・・・有線通信制御部、
254・・・データ転送部、
260・・・バージョンアップ処理部、
3・・・無線ネットワーク制御装置(RNC)、
4・・・オペレーションシステム(OPS)、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれプログラムを実行して通信を行う複数の通信装置と、前記通信装置のプログラムを改訂する改訂装置とを有する通信システムであって、前記複数の通信装置の1つ以上は、前記改訂装置と接続され、前記複数の通信装置は相互に接続され、
前記通信装置それぞれは、
他の前記通信装置または前記改訂装置から前記プログラムを受信するプログラム受信手段と、
前記受信されたプログラムにより、前記プログラムの改訂を行うプログラム改訂手段と、
前記他の通信装置または前記改訂装置から受けたプログラムを、他の前記通信装置に対して送信し、前記プログラムを改訂させるプログラム送信手段と
を有する
通信システム。
【請求項1】
それぞれプログラムを実行して通信を行う複数の通信装置と、前記通信装置のプログラムを改訂する改訂装置とを有する通信システムであって、前記複数の通信装置の1つ以上は、前記改訂装置と接続され、前記複数の通信装置は相互に接続され、
前記通信装置それぞれは、
他の前記通信装置または前記改訂装置から前記プログラムを受信するプログラム受信手段と、
前記受信されたプログラムにより、前記プログラムの改訂を行うプログラム改訂手段と、
前記他の通信装置または前記改訂装置から受けたプログラムを、他の前記通信装置に対して送信し、前記プログラムを改訂させるプログラム送信手段と
を有する
通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−5395(P2006−5395A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176462(P2004−176462)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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