説明

通信システム

【課題】 第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するために、当該ソフトウェアの効率的な書換処理を可能にすること。
【解決手段】 親機302と子機303との間に互換性を実現させる選択部304は、親機302と子機303との間に互換性がない場合に、親機302の更新ソフト記憶部305から子機303のソフト記憶部315に更新用ソフトウェア307,308,309,310を転送させる際は、親機302の更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310のうち、親機302と子機303との間における機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択して、転送制御部312を介して、親機302の更新ソフト記憶部305から子機303のソフト記憶部315に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、協調した動作を行う複数の機器間におけるソフトウェアの互換性を確保するための通信システム及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、コードレス子機を伴う電話機などのように、複数の機器が協調して動作を行うシステムにおいて、相互のソフトウェアの組み合わせは重要である。なぜなら、通信プロトコルや、データのコード・デコードの方式、親機又は子機に備えられているハードウェア的条件(例えば、表示できる文字種など)などの仕様は、通信信頼性の向上や処理速度の向上などの技術の進歩に伴って、性能アップのために変更されることが多く、そのため、それらの仕様を認知したり互いに合わせたりしておかないと、当該システムの機能が実現できないからである。
【0003】
また、この種の商品は、一般に、親機側の機能を基準にして製品ラインアップが組まれるため、子機側の機能(例えば、子機の表示機能として漢字表示の有無など)を親機側に合わせ込む必要がある。この点、親機と子機とを一体で提供できれば、製造工程の段階で、互いに適合したソフトウェアを組み合わせることができる。しかし、この種の商品は、通常、親機とは別売りの子機を、製造工程以外の段階で、増設することが可能となっている。従って、市場には、その当時の様々な仕様を持った親機が既に複数種類も存在しており、それらの全て或いは多くの親機に対して、同一機種の別売り子機をもって適応させることは、事実上不可能であった。
【0004】
そこで、その不便さを解消するために、ソフトウェアの記憶装置として、フラッシュROMなどの書換可能なデバイスを利用することにより、ソフトウェアを必要に応じて書き換える通信技術が実用化されている。さらに、詳細に言えば、例えば、新たなプログラムとして起動させるために書換対象の機器に単にプログラムを送信するものや(例えば、特許文献1参照。)、また、子機のプログラムのバージョンと親機に保存されているプログラムのバージョンとを比較して、バージョンが違っていればアップロードするものや(例えば、特許文献2参照。)、また、複数種類の装置(スキャナ、メールボックス、ステープラなど)が接続可能な機器(プリンタ)が、接続された機器が自分と組み合わせて動作可能なものであるか否かを判断し、可能と判断した場合に、接続可能な装置用のプログラムの中から適合したもの(メールボックスが接続されていれば、メールボックスのソフトウェア)を選択し、接続された機器に送信するというものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−184702号公報
【特許文献2】特開平8−166869号公報
【特許文献3】特開2001−216167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した通信技術では、接続された同一種類の機器(親機に接続される子機)に対して、例えば、(1)機能的な互換性の有無を判断して適切なソフトウェアを送るもの、(2)細分化された機能群毎に互換性を判断してその機能のソフトウェアを送るもの、(3)ハードウェア的な条件を判断して複数ある同一の機能を実現するソフトウェアから子機のハードウェアに最適なものを送るものなど、効率的な書換処理が行われていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされた通信システム及び通信装置であって、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するために、当該ソフトウェアの効率的な書換処理を可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、転送対象の更新用ソフトウェアが記憶された送信側更新ソフト記憶手段を設けた第1通信装置と、前記更新用ソフトウェアを記憶するための受信側更新ソフト記憶手段を設けた第2通信装置と、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間に互換性がない場合に前記更新用ソフトウェアを前記送信側更新ソフト記憶手段から前記受信側更新ソフト記憶手段に転送させることにより、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段と、を有する通信システムにおいて、前記互換性実現手段は、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で互いのハードウェア的に互換可能な属性を含む機能情報を比較して、前記機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものとして判断した非互換属性がある場合には、前記更新用ソフトウェアのうち前記非互換属性に関するものを前記送信側更新ソフト記憶手段から前記受信側更新ソフト記憶手段に転送させることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載する通信システムであって、前記更新用ソフトウェアは、前記機能情報の属性又は属性群毎に個別化されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載する通信システムであって、前記機能情報は、ソフトウェアに関する属性を含むことを特徴としている。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する通信システムであって、前記第1通信装置と前記第2通信装置とを接続する際に、前記更新用ソフトウェアのうち前記非互換属性に関するものが前記送信側更新ソフト記憶手段から前記受信側更新ソフト記憶手段に転送されることを特徴としている。
【0012】
すなわち、本発明の通信システム及び通信装置では、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段は、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性がない場合に第1装置の送信側更新ソフト記憶手段から第2装置の受信側更新ソフト記憶手段に更新用ソフトウェアを転送させる際に、第1通信装置と第2通信装置との間で互いの機能情報を比較して、機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものとして判断した非互換属性がある場合には、第1装置の送信側更新ソフト記憶手段に記憶された更新用ソフトウェアのうち、第1通信装置と第2通信装置との間における機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択して、第1通信装置の送信側更新ソフト記憶手段から第2通信装置の受信側更新ソフト記憶手段に転送しており、これにより、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保し、当該ソフトウェアの効率的な書換処理を可能にしている。
【0013】
また、機能情報が、ハードウェア的に互換可能な属性を含むように構成されていれば、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段が、第1装置の送信側更新ソフト記憶手段に記憶された更新用ソフトウェアのうち、第1通信装置と第2通信装置との間における機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択する際に、第1通信装置と第2通信装置との間におけるハードウェア的な互換性を実現させる更新用ソフトウェアを選択するので、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための、当該ソフトウェアの書換処理がより効率的となる。
【0014】
尚、ハードウェア的に互換可能な属性とは、更新用ソフトウェアが問題なく動作できるハードウェアかどうかに関わる属性をいう。
【0015】
また、本発明の通信システム及び通信装置において、更新用ソフトウェアを、第1通信機器と第2通信機器との間における機能情報の属性又は属性群毎に個別化すれば、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段が、第1装置の送信側更新ソフト記憶手段に記憶された更新用ソフトウェアのうち、第1通信装置と第2通信装置との間における機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択する際に、第1通信機器と第2通信機器との間における機能情報の属性又は属性群毎に選択できるので、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための、当該ソフトウェアの書換処理がより効率的となる。
【0016】
また、機能情報には、ソフトウェアに関する属性を含んでいてもよい。
【0017】
さらに、本発明の通信システム及び通信装置において、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段が、第1通信装置の送信側更新ソフト記憶手段から第2通信装置の受信側更新ソフト記憶手段に転送するタイミングを、第1通信装置と第2通信装置とを接続するときとすれば、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための、当該ソフトウェアの書換処理に関する作業が能率的となる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、請求項1に係る通信システムでは、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段は、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性がない場合に第1装置の送信側更新ソフト記憶手段から第2装置の受信側更新ソフト記憶手段に更新用ソフトウェアを転送させる際に、第1通信装置と第2通信装置との間で互いの機能情報を比較して、機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものとして判断した非互換属性がある場合には、第1装置の送信側更新ソフト記憶手段に記憶された更新用ソフトウェアのうち、第1通信装置と第2通信装置との間における機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択して、第1通信装置の送信側更新ソフト記憶手段から第2通信装置の受信側更新ソフト記憶手段に転送しており、これにより、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するので、互換性を合わせるために必要なときだけソフトウェアの書き換えを行えるという点で効率的な当該ソフトウェアの書換処理を可能にしている。
【0019】
また、機能情報が、ハードウェア的に互換可能な属性を含んでおり、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段が、第1装置の送信側更新ソフト記憶手段に記憶された更新用ソフトウェアのうち、第1通信装置と第2通信装置との間における機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択する際に、第1通信装置と第2通信装置との間におけるハードウェア的な互換性を実現させる更新用ソフトウェアを選択するので、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための、当該ソフトウェアの書換処理が、例えば、第2通信装置に適合するまで、各種ハードウェア用のソフトウェアを転送する、あるいは、各種ハードウェアに対応した(それに伴って肥大化した)ソフトウェアを転送しなくて済むという点で、効率的となる。
【0020】
また、請求項2に係る通信システムでは、更新用ソフトウェアを、第1通信機器と第2通信機器との間における機能情報の属性又は属性群毎に個別化されており、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段が、第1装置の送信側更新ソフト記憶手段に記憶された更新用ソフトウェアのうち、第1通信装置と第2通信装置との間における機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択する際に、第1通信機器と第2通信機器との間における機能情報の属性又は属性群毎に選択できるので、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための、当該ソフトウェアの書換処理がより効率的となる。
【0021】
また、請求項3に係る通信システムでは、機能情報が、ソフトウェアに関する属性を含んでいるので、ソフトウェアの互換性を判断することができる。
【0022】
また、請求項4に係る通信システムでは、第1通信装置と第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段が、第1通信装置の送信側更新ソフト記憶手段から第2通信装置の受信側更新ソフト記憶手段に転送するタイミングを、第1通信装置と第2通信装置とを接続するときとするので、接続処理と互換性確保の処理が一時にできるため、第1通信機器と第2通信機器との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための、当該ソフトウェアの書換処理に関する作業が能率的かつ確実となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態について、図面とともに説明する。
【0024】
図1は、本発明が適用されたファクシミリ装置1の使用形態を表す説明図であり、図2は、ファクシミリ装置1の外部構成を表す概略斜視図、図3は、ファクシミリ装置1の内部構成を表す説明図である。
【0025】
図1に示すように、ファクシミリ装置1は、回線制御部3と、通信モジュール5と、を備えている。回線制御部3は、外部接続ポート4(図4参照)を備えており、この外部接続ポート4には、建造物内(家庭内、オフィス内等)に設置されたスプリッタ8の電話機用の接続ポートに繋がるアナログ線L1(2芯線、4芯線からなる所謂電話線)が接続されている。
【0026】
一方、通信モジュール5は、WAN側接続ポート6及びLAN側接続ポート7(図3参照)を備えており、WAN側接続ポート6は、スプリッタ8のADSLモデム用の接続ポートにLANケープルL2を介して接続されたADSLモデム9に繋がるLANケーブルL3に接続され、LAN側接続ポート7は、ハブ(HUB)11に接続されている。
【0027】
また、このハブ(HUB)11には、双方向通信可能な複数のPC13、14や、プリンタ16(ネットワーク接続可能なインクジェットプリンタ、レーザプリンタなど)、IP(インターネット・プロトコル)方式で音声信号を送受信可能なIP電話機15、インターネット接続可能なインターネットファクシミリ装置17などの各LAN端末13〜17が接続されている。即ち、ハブ(HUB)11は、各LAN端末13〜17から構成される建造物内のローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されている。
【0028】
一方、上記スプリッタ8は、ADSLを利用する際に使用される周知のスプリッタであり、基地局側に設定されたスプリッタ19から送信されてくる概ね4kHz以下の第一信号とそれより高周波のADSL用の第二信号とが重畳された伝送信号を、その第一信号と、第二信号に分離し、第一信号を、電話機用の上記接続ポートに出力すると共に第二信号をADSLモデム用の接続ポートに出力する一方で、各接続ポートから入力されてきた信号を重畳して、基地局側のスプリッタ19に送信する構成になっている。
【0029】
即ち、本実施の形態のファクシミリ装置1は、回線制御部3を用いて、公衆回線網(即ち、公衆交換電話綱:PSTN)内の加入者電話機に接続可能な構成にされ、更に、通信モジュール5及びADSLモデム9を介して広域ネットワーク(WAN)としてのインターネットに接続可能な構成になっている。
【0030】
更に、このファクシミリ装置1は、通信モジュール5の後述するルータ制御部101の動作により、インターネット内の通信装置(WWWサーバ21等)とLAN内の各LAN端末13〜17との間で送受信されるデータ(IPパケット)をルーティングするルータとして機能する構成になっている。
【0031】
また、本実施の形態のファクシミリ装置1は、原稿から光学的に画像を読み取り、その画像を表すイメージデータをファクシミリデータにして、上記アナログ繰L1を介して公衆回線網に接続された外部のファクシミリ装置23に送信すると共に、外部のファクシミリ装置23から公衆回線網及びアナログ線L1を介して送信されてきたファクシミリデータを受信して、記録紙にそのファクシミリデータに基づく画像を形成する通常の機能(ファクシミリ機能)の他、プリンタ機能、コピー機能を有している。
【0032】
このプリンタ機能とは、PC13、14やワードプロセッサ等から送信されてきたコードデータに基づく画像を記録紙に形成する機能のことを意味し、当該ファクシミリ装置1は、PCインタフェース(PC I/F)24を介して外部のPCからコードデータを受信したり、通信モジュール5を介してLAN内のPC13,14等からコードデータを受信すると、そのデータに基づく画像を記録紙に形成する構成になっている。また、コピー機能とは、後述するスキャナ部35及び記録部37を用いて、原稿から画像を読み取り、そのイメージデータに基づいて、記録紙に画像を形成する複写機能を意味する。
【0033】
このような機能を有するファクシミリ装置1には、図2に示すように、その本体ケース25の側部に、ハンドセット(H/S)26が取り付けられ、上面の前部に、操作パネル27が設けられている。尚、この操作パネル27には、相手側の電話番号(FAX番号)を入力するための数字キー271や、スタートキー272、選択キー273などの各種操作キー270と、各種機能に関連する情報を表示するための液晶ディスプレイ(LCD)274と、が備えられている。
【0034】
この他、本体の上部後部には、装置内に供給する記録紙を収容するための第一給紙トレイ29が設けられ、その上には記録紙を載置するためのものであって利用者による手差しで記録紙を供給するための第二給紙トレイ31が設けられている。更に、その上には、読取用の原稿用紙を載置するための原稿用給紙トレイ33が設けられている。
【0035】
また、本体には、図3に示すように、原稿から画像を読み取るためのスキャナ部35、記録紙に多色カラーの画像を形成するための記録部37、及び、これらの各部の駆動を制御するCPU39(図4参照)を搭載する基板(図示せず)、などが内蔵されている。
【0036】
スキャナ部35では、原稿用給紙トレイ33に載置された原稿が、原稿センサ(図示せず)により検出され、図3の矢印Aにて示すように、給紙ローラ41及び分離パッド43等からなる給紙機能によって一枚ずつ取り込まれ、この後に、搬送ローラ45により読取装置47まで搬送される。そして、読取装置47では、原稿上に形成されている画像が読み取られる。また、読取装置47による画像読取後の原稿は、排紙ローラ49を介して前方に設けられた第一排紙トレイ51に排出される。
【0037】
尚、このスキャナ部35には、原稿センサの他に、原稿の先頭を検出する原稿フロントセンサ53と、原稿の後端を検出する原稿リアセンサ55とが設けられており、CPU39は、これらのセンサからの検出結果に基づき、スキャナ部35内の各部を制御して紙送りを調整し、上記スキャナ部35の動作を実現する。
【0038】
一方、記録部37では、第一給紙トレイ29あるいは第二給紙トレイ31に載置された記録紙が、図3の矢印Bにて示すように、給紙ローラ57及び分離パッド59等からなる給紙機構によって一枚ずつ取り込まれる。そして、記録紙は、搬送ローラ61を介して画像形成装置63に送られる。画像形成装置63では、記録紙上に複数色(本実施の形態ではシアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のトナーの組合せによる多色カラーの画像が形成される。また、画像形成装置通過後の記録紙は、下流側の定着装置65に送られる。そして、この定着装置65では、トナーによる画像が記録紙上に定着される。更に定着装置通過後の記録紙は、排紙ローラ67を介して、本体の全面こ設けられた第二排紙トレイ69に排出される。
【0039】
尚、上記画像形成装置63は、レーザ光走査装置71を動作させて感光ドラムにレーザ光を照射し、その表面に静電潜像を形成する構成になっている。このレーザ光走査装置71は、CPU39からの指令に従って、イメージデータに基づくレーザ光を発射するレーザ発光部77と、レーザ光反射用のレンズ78、及びレンズ78に反射されたレーザ光を感光ドラムに導く反射ミラー79等を備えている。この他、画像形成差置63は、トナーを貯留するトナータンク73を備えており、静電潜像形成後の感光ドラムにトナータンク73から供給されたトナーを付着させ、転写ローラ75により、記録紙に電荷を付与して感光ドラムに付着したトナーを記録紙に転写する構成になっている。
【0040】
次に、ファクシミリ装置1の電気的構成について説明する。尚、図4は、本実施の形態のファクシミリ装置1の電気的構成を表すフロック図である。また、図5は、RAM83のデータ構成を表す説明図(図5(a))、ROM81内のデータ構成を表す説明図(図5(b))及び、後述する宛先情報記憶部83c内のデータ構成を表す説明図(図5(c))である。
【0041】
ファクシミリ装置1は、主に、CPU39、ROM81、RAM83、スキャナ部35、符号器85、記録部37、復号器87、操作キー270、LCD274、モデム89、回線制御部3、PCインタフェース(PC I/F)24、メール制御部91、機能拡張用インタフエース(I/F)93を備えており、夫々はパス95を介して接続されている。また、この機能拡張用インタフェース93には、通信モジュール5が接続されている。
【0042】
CPU39は、本装置の制御の中枢を担っており、装置全体を統括制御する構成にされている。つまり例えば、CPU39は、ROM81内に予め記録された制御処理用のプログラムを読み出し、そのプログラムに従って、ファクシミリデータの送受信や、宛先登録等の処理を実行する。
【0043】
尚、ROM81内には、当該装置をファクシミリ装置として動作させるために必要なファクシミリ機能用プログラム群81a(図5(b)参照)が記憶されている。具体的には例えば、回線制御部3が外部のファクシミリ装置23から受信したファクシミリデータに基づく画像を記録部37に形成させるための受信用プログラム等が上記ファクシミリ機能用プログラムとしてROM81に納められている。
【0044】
また、ROM81内には、当該装置をPC等から送信されてきたデータを印刷するプリンタとして動作させるために必要なプリンタ機能用プログラム群81bが記憶されている。具体的には例えば、通信モジュール5がLAN内のPC13,14から受信したデータに基づく画像を記録部37に形成させるためのPC印刷用プログラムが上記プリンタ機能用プログラムとしてROM81に納められている。
【0045】
この他、ROM81内には、上記プログラム等で呼び出される記録部制御用プログラム81cや、その他の図示しない各種プログラム、そのプログラム実行時に必要な各種データが予め記憶されている。
【0046】
一方、RAM83は、各種制御を行う際に必要なワークメモリ83a(図5(a)参照)や、ファクシミリデータ等を記憶する送受信データ記憶部83b、ファクシミリデータの送信先に閑する宛先情報を記憶する宛先情報記録部83c、として機能するように構成されている。
【0047】
また、宛先情報記憶部83cは、図5(c)に示すように、ファクシミリデータの送信先に関する宛先情報として電話番号を記録可能な構成であり、更に、この電話番号に関連づけて、メールアドレスを記憶可能な構成になっている。即ち、当該ファクシミリ装置1は、相手先装置(外部のファクシミリ装置23)が公衆回線網経由のファクシミリデータの送受信の他に、インターネット経由の電子メールの送受信を行うことが可能な構成になっている場合に備えて、一つの宛名に対して、電話番号とメールアドレスの両方を併記した形で宛先情報を登録できるように構成されている。
【0048】
スキャナ部35は、ファクシミリデータの送信やコピー(原稿の複写)等の際に、原稿を読み取るためのものである。本実施の形態のスキャナ部35は、上述したように、原稿を原稿用給紙トレイ33から取得し、読取装置47にて画像を読み取り、読取結果としてのイメージデータを符号器85などに出力する構成になっている。
【0049】
また、符号器85は、スキャナ部35によって読み取られたイメージデータをファックスフォーマットであるG3圧縮形式のイメージデータにするために、符号化処理を実行し、その処理後のイメージデータを出力する構成になっている。
【0050】
一方、復号器87は、ファックスフォーマットのイメージデータを復号化して、記録部37にて処理可能なイメージデータに変換する構成になっている。
【0051】
また、記録部37は、上述したように、カラー画像を形成可能な所謂カラーレーザプリンタとして機能する構成になっており、記録部制御用プログラム81cを実行するCPU39からの指令に従い、復号器87によって復号化されたイメージデータに基づくカラー画像を、画像形成装置63を用いて記録紙に印刷し、印例後の記録紙を出力する構成になっている。
【0052】
尚、本実施の形態の記録部37は、通常印刷モードの他に、通常より静かな音で画像を形成することが可能な静音印刷モードを備えており、これらの印刷モードをCPU39からの指令に従って切り換えて動作する構成になっている。また、記録部37は、単色印刷も可能な構成になっており、CPU39からの指令にしたがって、指定色のトナーのみを用いて画像を形成することが可能な構成になっている。
【0053】
この他、操作キー270は、上述したように操作パネル27上に設けられており、利用者の操作に従って、宛先情報の登録、宛先の指定、メモ情報の入力や選択等といった各種処理操作を行うための指令信号を装置内(CPU39など)に入力する構成になっている。
【0054】
同じく操作パネル27に設けられたLCD274は、利用者に操作手順を案内するメッセージやエラーメッセージ等の各種メッセージ等を表示するための表示手段として設けられている。また、本実施の形態のLCD274は、タッチパネルとしての機能を備えており、ファクシミリデータの宛先指定や宛先情報の登録の際に、ワンタッチキーの表示を行うと共に、利用者の操件情報を取得し装置内に入力する構成になっている。
【0055】
モデム89は、回線制御部3を介してスプリッタ8経由で公衆回線網に接続された外部のファクシミリ装置23との間でファクシミリデータの送受信を行うためのものである。回線制御部3は、公衆回線網に対するダイヤル信号の送出や、公衆回線網からの呼出信号に対する応答等の動作を行うものであり、例えば、公衆回線網を介して自身を外部のファクシミリ装置23に通信可能に接続する。
【0056】
一方、PCインタフェース24は、PCと当該ファクシミリ装置1とをパラレルインタフェース等を介して接続するときに用いられるものであり、PC13,14からのコードデータ等を受信したりする。
【0057】
また、メール制御部91は、インターネットに接続された外部の通信装置との間で電子メールの送受信を行うことによって、電子メールによるファクシミリデータの送受信を実現するものである。
【0058】
つまり、メール制御部91は、符号器85にて符号化されたファクスフォーマットのバイナリイメージデータを、テキストコードのイメージデータに変換すると共に、送信先のメールアドレス等を含むヘッダ情報をそのデータに付加することにより、ファックスフォーマットのイメージデータを、電子メールとして送信可能な電子メールフォーマットのイメージデータにフォーマット変換したり、逆にインターネット経由で通信モジュール5を介して受信した電子メールフォーマットのイメージデータを、ファックスフォーマットのイメージデータに逆フォーマット変換する処理を行う。尚、このメール制御部91によってファックスフォーマットのイメージデータに逆フォーマット変換されたデータは、復号器87によつて記録部37で出力可能なイメージデータに復号化されてから記録紙に印刷される。
【0059】
機能拡張用インタフェース(I/F)93は、別体で構成されたルータ制御部101を備える通信モジュール5を着脱自在に接続することができるように構成されたAIO(アナログ入出力)やRS232C等のシリアルインタフェースである。尚、図3に示すように、通信モジュール5は、装置の本体ケース25内に収容される。
【0060】
また、通信モジュール5は、ルータ制御部101、ハブ(HUB)103、IP電話部105、無線処理部107、ウェブプリント部110や、ルータ制御部101に繋がるインタフェース接続端子109などを備えている。尚、通信モジュール5は、このインタフェース接続端子109を介してインタフェース93に接続される。
【0061】
ルータ制御部101は、ADSLモデム9を介してインターネット内の通信装置との間でIPパケットの送受信を行うためのものであり、周知のIPマスカレード機能やルーテイング機能を備えるブロードバンドルータとして機能する。
【0062】
即ち、このルータ制御部101は、IPマスカレード機能により、LAN内で用いられるプライベートIPアドレスと、WAN(本実施の形態ではインターネット内)で用いられるグローバルIPアドレスとを相互変換し、ルーティング機能により、LAN側の端末と、WAN側の通信装置(WWWサーバ21)と、を双方向通信可能に接続する。
【0063】
例えば、ルータ制御部101は、ハブ(HUB)103を介してIP電話部105、無線処理部107、ウェブプリント部110との間でのデータの送受信を行うことにより、IP電話部105、無線処理部107及びウェブプリント部110をADSLモデム9を介してインターネットに双方向通信可能に接続する。
【0064】
また更に、ルータ制御部101は、ハブ(HUB)103を介してLAN側接続ポート7に接続されるLAN内のLAN端末13〜17との間で通信を行うことにより、LAN内のLAN端末13〜17をインターネットに双方向通信可能に接続する。つまり例えば、ルータ制御部101は、経路制御して、インターネット内のWWWサーバ21から受信したデータを、宛先のLAN端末13〜17に送信する。
【0065】
この他、ルータ制御部101は、装置本体側のCPU39とインタフェース93を介して通信を行うことができるように構成されている。即ち、LAN端末13〜17やIP電話部105、無線処理部107、ウェブプリント部110は、ルータ制御部101及びインタフェース93を介して装置本体側のCPU39と双方向通信を行うことができ、例えば、当該ファクシミリ装置1のCPU39は、ルータ制御部101を介してLAN内のPC13,14から印刷用のコードデータを取得すると、CPU39にて、プリンタ機能用プログラムを実行し、そのプログラム内で記録部制御用プログラム81cを呼び出して記録部37を制御し、そのデータに基づく画像を形成する。
【0066】
一方、このルータ制御部101にハブ103を介して接続されたIP電話部105は、音声信号をIPパケットに格納し、インターネット経由で、外部のIP電話機と、音声通信(通話)を行うことが可能な構成になっている。
【0067】
また、無線処理部107は、外部の無線通信装置と該当ファクシミリ装置1との間で無線通信を行うためのものであり、ブルートゥース規格(近距離無線通信の規格)やIrDA規格(赤外線通信の規格)による無線接続方式にて、外部の無線通信装置をファクシミリ装置1内の各部に双方向通信可能に接続する構成になっている。即ち、当該ファクシミリ装置1においては、ハブ103に接続された接続ポート7を用いることにより、有線接続方式にて各LAN端末13〜17をファクシミリ装置1に接続することができる他、この無線処理部107を用いることにより、無線接続方式にてLAN端末13〜17をファクシミリ装置1に接続することができる。
【0068】
この他、ウェブプリント部110は、CPU111、ROM113、RAM115、ネットワークインタフェース117などを備えており、ネットワークインタフエース117を介してルータ制御部101との間で通信を行うことにより、自身をインターネットに接続したり、装置本体側のCPU39と通信を行う構成になっている。
【0069】
ここで、図6は、ウェブプリント部110のRAM115内のデータ構成を表す説明図(図6(a))、ROM113内のデータ構成を表す説明図(図6(b))である。
【0070】
このウェブプリント部110におけるRAM115は、図6(a)に示すように、ワークメモリ115aや、WWWサーバ21から取得したダウンロードデータ等を記憶する送受信データ記憶部115b、WWWサーバ21のアドレス(URL:Uniform Resource Locator)情報を記憶するURL情報記憶部115c、後述する転送機能を使用する際のデータ転送先に関する転送先情報を記憶する転送先情報記憶部115d、アクセス禁止データベース115e、キーワードデータベース115f、履歴情報記憶部115g、ログ記憶部115hなどとして機能する構成になっている。
【0071】
URL情報記憶部115cは、図6(c)に示すように、データ取得先を表すURLに関連付けて、メモ情報、スケジューラ用設定データを複数個記録可能な構成になっている。
【0072】
即ち、通信モジュール5は、利用者による操作パネル27の操作等によって外部入力されたメモ情報を、対応するURLに対して関連付けてURL情報記憶部115cに登録できるように構成されている。尚、周知のようにURLは、サーバアドレス、ディレクトリ情報、ファイル名などから構成されるアドレス情報である。また、図7は、ウェブプリント部110のCPU111が実行するURL・メモ情報登録処理を表すフロ一チャートである。
【0073】
処理を実行すると、CPU111は、S101にてURL及びメモ情報の入力を求める入力指示メッセージをインタフェース93を介して装置本体側に送信することにより、装置本体側のLCD274にその入力指示メッセージを表示させる。この後、CPU111は、S103にて、URL及びメモ情報の登録指令が操作パネル27からインタフェース93を介して送信されてくるまで待機し、登録指令を受信すると、S105にて、その操作パネル27から入力されたURL及びメモ情報を装置本体側から取得し、更にS107にて、そのURL及びメモ情報を互いに関連付けてURL情報記憶部115cに記録させる。尚、メモ情報は、現状においてURLがローマ字で標記され、その表示だけではどのホームページヘアクセスするかがわかりにくく、更には、LCD274の表示領域も限られているため、目的のURLを探すのが容易ではないことから、利用者が瞬時にそのURLを判別できるようにするために設けたものである。
【0074】
この他、転送先情報記憶部115dは、後述するプリンタ転送用のアドレス情報と、PC転送用のアドレス情報とを記憶する構成になっている。尚、この転送先情報記憶部115dは、プリンタ転送用及びPC転送用のアドレス情報として、LAN内のプライベートIPアドレスに加え、ポート番号を記憶する構成になっている。
【0075】
一方、ウェブプリント部110におけるROM113内には、図6(b)に示すように、WWWサーバ21からデータを取得したり、当該装置の記録部37にWWWサーバ21から取得したダウンロードデータを印刷させるための後述する各処理を表すウェブプリント機能用プログラム群113aや、ウェブプリント機能動作時における動作条件を表すフラグ情報113b、などが記憶されている。
【0076】
詳述すると、このウェブプリント部110は、ルータ制御部101経由でWWWサーバ21から取得したダウンロードデータに基づく画像を記録部37に印刷させる印刷機能、RAM115内にデータを一時保存する保存機能、ダウンロードデータをLAN側接続ポート7を介してLANに接続された転送先のプリンタ(転送先情報記憶部115dに記憶されているプリンタ転送先のアドレス情報で特定されるプリンタ)16に転送するプリンタ転送機能、ダウンロードデータをLAN側接続ポート7を介してLANに接続されたPC13,14に転送するPC転送機能、ダウンロードデータに基づく画像を記録部37に単色で印刷させる単色印刷機能、印刷時の機械音が抑えられた上記静音印刷モードで記録部37を動作させてダウンロードデータに基づく画像を印刷させる静音印刷機能、ウェブプリント部110で実行した各処理に関するログ情報を保存するログ保存機能、エラーメッセージをLCD274に表示させるエラー情報表示機能等を備えており、これらの機能をROM113内が記憶するウェブプリント機能用プログラム群113aで実現するように構成にされ、図8に示すフラグ情報113bに基づいて、各機能を動作させるかどうか(即ち、機能のON/OFF)を切り換える構成になっいる。
【0077】
尚、図8は、フラグ情報113bとしてROM113内に記憶されているデータの構成を表す説明図である。
【0078】
ウェブプリント部110は、所定条件で、図8に示す『正常』動作モード、『URLアクセス不許可』動作モード、『印刷キャンセル』動作モード・『パスワードエラー』動作モード、『キーワードエラー』動作モード、『同一コンテンツ検出』動作モード、『夜間印刷』動作モード、『留守番』動作モード、『大量モノクロ印刷』動作モード、『紙なしエラー』動作モード、『トナーなしエラー』動作モードのいずれかを選択し、各機能の値(以下、「フラグ値」と表現する。)をフラグセット情報としてRAM115内に書き込むことによってフラグをセットするように構成されている。また、ウェブプリント部110は、フラグ値”1”以上で、その機能を動作(ON)させ、フラグ値”0”で、その機能の動作を禁止(OFF)する構成になっている。また、図8において表す記号*は、その動作モードが選択される前にフラグセット情報として記憶されているフラグ値を書き換えないようすることを示している。
【0079】
次に、本実施の形態の通信システムと通信装置について説明する。図9は、本実施の形態の通信システム301の全体構成図である。図9に示すように、本実施の形態の通信システム301は、親機302と子機303とを備えており、個別の図1のファクシミリ装置1にそれぞれ相当するものである。
【0080】
この点、親機302は、選択部304や、更新ソフト記憶部305、通信部311、転送制御部312などを備えている。また、子機303は、通信部313、更新部314、ソフト記憶部315、機能情報提供部316などを備えている。
【0081】
そして、親機302の通信部311及び子機303の通信部313は、所定の通信プロトコルをもって、機能情報や更新用ソフトウェアの通信を行うものであって、図4の通信モジュール5などが相当する。
【0082】
また、親機302の選択部304は、機能情報及びソフト属性情報により、更新すべき更新用ソフトウェアを選択するものであって、図4のCPU39や図4のROM81に記憶されたプログラムなどが相当する。
【0083】
また、親機302の転送制御部312は、選択部304で選択された一又は複数の更新用ソフトウェアを、通信部311を利用して子機303に送信するものであって、図4のCPU39や図4のROM81に記憶されたプログラムなどが相当する。
【0084】
また、子機303の機能情報提供部316は、機能情報(子機303が備えている機能に関する情報)が記憶されたものであって、図4のROM81などが相当する。尚、子機303の機能情報提供部316は、図4のROM81のように、子機303に内蔵されたものであるが、外部接続された記憶媒体であってもよい。また、子機303の各機能をスキャンして、その都度、機能情報を作成し記憶してもよい。
【0085】
また、子機303の更新部314は、親機302から受信した更新用ソフトウェアをソフト記憶部315に記憶するとともに、その更新用ソフトウェアを新しいソフトウェアとして起動させるものである。
【0086】
また、親機302の更新ソフト記憶部305は、ソフトAや、ソフトB、ソフトC、ソフトDの4つの更新用ソフトウェア307,308,309,310と、ソフト属性情報306などが記憶されているものであって、図4のROM81などが相当する。尚、図4のROM81は、書換可能な不揮発性のフラッシュメモリが望ましい。
【0087】
一方、図10は、子機303の機能情報提供部316に記憶された機能情報321(子機303が備えている機能に関する情報)の内容を示した図である。具体的には、子機303の機能としては、例えば、通信プロトコルが「Z型」、エラー検出・訂正が「C型」、データ符号化が「I型」、電話帳ソフトがバージョン「2.01」、メールソフトがバージョン「2.00」、表示桁数が「2行」、表示文字が「カナ」、国が「日本」などとなっており、ソフトウェア的機能とハードウェア的機能とがともに定義されている。
【0088】
また、図11は、親機302の更新ソフト記憶部305に記憶されたソフト属性情報306の内容を示した図である。ここで、「ソフト種」とは、ソフトAや、ソフトB、ソフトC、ソフトDの4つの更新用ソフトウェア307,308,309,310の種別を表すものである。従って、図11のソフト属性情報306は、4つの更新用ソフトウェア307,308,309,310について、それぞれ作成される。
【0089】
また、「機能」及び「情報」とは、各更新用ソフトウェア307,308,309,310の属性を図10の機能情報321と同じ内容で示したものであって、親機302に備えられたソフトウェア的機能が定義されている。この点、「機能」には、通信プロトコルや、エラー検出・訂正などの項目があるが、これらは、親機302と子機303との整合性が必要となる機能である。
【0090】
また、「メールソフト」には、子機303の表示装置(図4のLCD274に相当するもの)の仕様によりソフトウェアが異なるため、「機能」及び「情報」には、ハードウェア的な適合条件を示すものが定義されている。
【0091】
また、「条件」には、子機303のソフトウェアを更新する際の条件が記載されている。この点、「上位」とは、「ソフト種」が示すソフトウェアの方が上位版であれば「真」とするものである。また、「相違」とは、「情報」が異なれば「真」とするものである。また、「一致」とは、「情報」が同じであれば「真」とするものである。また、「and」と「or」とは、論理演算式を表している。そして、「真」となった場合に、子機303のソフトウェアが更新される。
【0092】
また、図12は、本実施の形態の通信システム301のソフト更新処理のフローチャートを示した図である。尚、このソフト更新処理に入る前に、親機302において、子機増設モードとすることにより、子機303の登録を済ませておく。そして、S11において、親機302から子機303に対して、更新モードへの移行を指示する。その後、S12では、子機303において、ソフトウェアを更新するためのプログラムを図4のROM81から図4のRAM83にロードして起動させる。
【0093】
さらに、子機303では、S13において、図10の機能情報321を機能情報提供部316から読み出し、親機302に送信する。尚、機能情報提供部316に、図10の機能情報321が存在していない場合には、子機303の機能をスキャンして図10の機能情報321を作成した、親機302に送信する。
【0094】
その後、親機302では、S14において、親機302から子機303に送信するソフトウェアを、図13のフローチャートにより、更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310から選択する。そして、親機302では、S15において、親機302から子機303に送信するソフトウェアがあるか否かを判断する。ここで、親機302から子機303に送信するソフトウェアがないと判断した場合(S15:No)には、S21に進んで、親機302から子機303に対して、更新モードの終了を通知し、終了する。 一方、親機302から子機303に送信するソフトウェアがあると判断する場合(S15:Yes)には、S16に進んで、親機302から子機303に対して、更新用ソフトウェア307,308,309,310のうち、S14で選択されたものを送信する。そして、S17では、子機303において、親機302から受信したものをソフト記憶部315に上書きし、S18において、子機303から親機302に対して、ソフト記憶部315の更新が終了したことを通知する。
【0095】
さらに、S19において、親機302から子機303に対して、更新モードの終了を通知する。その後、S20では、子機303において、ソフト記憶部315に上書きされたものを起動させる。
【0096】
また、図13は、本実施の形態の通信システム301のソフト選択処理のフローチャートを示した図であって、図12のS14の処理に相当するものである。すなわち、親機302においては、以下の処理を行う。先ず、S31において、更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310の全てについて比較がなされた否かを判断する。ここで、更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310の全てについて比較がなされたと判断する場合(S31:Yes)には、このソフト選択処理を終了し、図12のS15に進む。
【0097】
一方、更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310の全てについて比較がなされなかったと判断した場合(S31:No)には、S32に進み、新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310の中から未だ本処理の対象になっていないものを一つピックアップし、後述する図14のフローチャートにより、更新ソフト記憶部305に記憶されたソフト属性情報306(図11参照)の機能情報と、子機303から受信した機能情報321(図10参照)を比較する。
【0098】
そして、S33において、更新条件を満足するか否かを判断し、このとき、更新条件を満足すると判断する場合(S33:Yes)には、S34に進んで、子機303に転送する更新用ソフトウェアとして、S32でピックアップしたものを登録した後、S31に戻って、上述した処理を繰り返す。一方、更新条件を満足していないと判断した場合(S33:No)には、何もすることなく、S31に戻って、上述した処理を繰り返す。
【0099】
また、図14は、本実施の形態の通信システム301の判断処理のフローチャートを示した図であって、図13のS32の処理に相当するものである。すなわち、親機302においては、以下の処理を行う。先ず、S41において、ソフト属性情報306(図11参照)の全条件について処理が行われたか否かを判断し、このとき、全条件について処理が行われたと判断する場合(S41:Yes)には、S53において、後述する演算結果を出力し、図13のS33に進む。
【0100】
一方、全条件について処理が行われたと判断しない場合(S41:No)には、S42において、当該条件について判定を「偽」とする初期化を行った後、S43に進む。尚、ここでは、以下の判定が行われていない条件のうち一つをピックアップして、判定の対象とする。
【0101】
S43では、当該条件が「上位」(図11参照)であるか否かを判断する。ここで、当該条件が「上位」(図11参照)でないと判断した場合(S43:No)には、S46に進む一方、当該条件が「上位」(図11参照)であると判断する場合(S43:Yes)には、S44に進んで、子機303よりも上位版であるか否かを判断する。ここで、子機303よりも上位版であると判断する場合(S44:Yes)には、S45に進んで、当該条件について判定を「真」とした後、S46に進む。一方、子機303よりも上位版でないと判断した場合(S44:No)には、何もすることなく、S46に進む。
【0102】
S46では、当該条件が「相違」(図11参照)であるか否かを判断する。ここで、当該条件が「相違」(図11参照)でないと判断した場合(S43:No)には、S49に進む一方、当該条件が「相違」(図11参照)であると判断する場合(S46:Yes)には、S47に進んで、子機303と異なるものであるか否かを判断する。ここで、子機303と異なるものであると判断する場合(S47:Yes)には、S48に進んで、当該条件について判定を「真」とした後、S49に進む。一方、子機303と同じものであると判断した場合(S47:No)には、何もすることなく、S49に進む。
【0103】
S49では、当該条件が「一致」(図11参照)であるか否かを判断する。ここで、当該条件が「一致」(図11参照)でないと判断した場合(S49:No)には、S52に進む一方、当該条件が「一致」(図11参照)であると判断する場合(S49:Yes)には、S50に進んで、子機303と同じものであるか否かを判断する。ここで、子機303と同じものであると判断する場合(S50:Yes)には、S51に進んで、当該条件について判定を「真」とした後、S52に進む。一方、子機303と同じものでないと判断した場合(S50:No)には、何もすることなく、S52に進む。
【0104】
そして、S52では、上記演算結果を図4のRAM83に蓄積した後、S41に戻って、上述した処理を繰り返す。
【0105】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の通信システム301及び、親機302、子機303では、親機302と子機303との間に互換性を実現させる選択部304は、親機302と子機303との間に互換性がない場合に、親機302の更新ソフト記憶部305から子機303のソフト記憶部315に更新用ソフトウェア307,308,309,310を転送させる際に(図12のS16)、親機302のソフト属性情報306と子機303の機能情報321との間で互いの機能情報を比較して、機能情報が細分化された属性(図11の「機能」の各項目)で互換性を妨げるものとして判断した非互換属性がある場合には(図14のS44,S47,S50:Yes)、親機302の更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310のうち、親機302と子機303との間における機能情報が細分化された属性(図11の「機能」の各項目)で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択して(図12のS14、図13のS31〜S34)、転送制御部312を介して、親機302の更新ソフト記憶部305から子機303のソフト記憶部315に転送しており、これにより、親機302と子機303との間におけるソフトウェアの互換性を確保し、当該ソフトウェアの効率的な書換処理を可能にしている。
【0106】
さらに、本実施の形態の通信システム301及び、親機302、子機303において、更新用ソフトウェア307,308,309,310について、図10や図11に示しように、親機302と子機303との間における機能情報の属性又は属性群毎に個別化しており、親機302と子機303との間に互換性を実現させる選択部304が、親機302の更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310のうち、親機302と子機303との間における機能情報が細分化された属性(図11の「機能」の各項目)で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択する際に(図12のS14、図13のS31〜S34)、親機302と子機303との間における機能情報の属性又は属性群毎に選択できるので(図14のS41〜S53)、親機302と子機303との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための、当該ソフトウェアの書換処理がより効率的となる。
【0107】
また、本実施の形態の通信システム301及び、親機302、子機303において、親機302のソフト属性情報306と子機303の機能情報321とが、図10や図11に示すように、ハードウェア的に互換可能な属性(例えば、図4のLCD274の仕様など)を含んで構成されており、親機302と子機303との間に互換性を実現させる選択部304が、親機302の更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310のうち、親機302と子機303との間における機能情報が細分化された属性(図11の「機能」の各項目)で互換性を妨げるものと判断した非互換属性に関するものを選択する際に(図12のS14、図13のS31〜S34)、親機302と子機303との間におけるハードウェア的な互換性を実現させる更新用ソフトウェア(親機302の更新ソフト記憶部305に記憶された更新用ソフトウェア307,308,309,310のいずれか)が必ず存在することになるので、親機302と子機303との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための当該ソフトウェアの書換処理がより効率的となる。
【0108】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0109】
例えば、本実施の形態の通信システム301において、親機302と子機303との間に互換性を実現させる選択部304や、転送対象の更新用ソフトウェア307,308,309,310をした記憶更新ソフト記憶部305は、親機302に内蔵されたもの(図4のCPU39やROM81、RAM83)であるが、この点、親機302や子機303が接続されたネットワーク上のサーバに設けられていてもよい。そして、この場合には、親機302のメモリ容量の削減に貢献するとともに、上記サーバにおいて、きめ細やかな「機能」の項目(図10、図11参照)に基づいて更新用ソフトウェアの転送を行うことが可能となり、それに加えて、更新条件のアルゴリズムの修正も可能となる。
【0110】
また、本発明の通信システム及び通信装置では、本実施の形態の通信システム301及び、親機302、子機303では、親機302と子機303との間に互換性を実現させる選択部304は、転送制御部312を介して、親機302の更新ソフト記憶部305から子機303のソフト記憶部315に転送するタイミングを、親機302のおける子機303の登録が済んだ後に行っているが、この点、親機302と子機303とを接続する直後に行えば、親機302と子機303との間におけるソフトウェアの互換性を確保するための、当該ソフトウェアの書換処理に関する作業が能率的となる。即ち、互換性を合わせるために必要なときだけにソフトウェアの書換えを行えるという点で効率的である。
【0111】
特に、本実施の形態の通信システム301において、親機302と子機303とが親子電話の関係にある場合には、親子電話の親機302に親子電話の子機303を登録する際に、親子電話におけるソフトウェアの互換性を実現させるために、選択部304を実行すれば、当該ソフトウェアの書換処理に関する作業が能率的となる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本実施の形態のファクシミリ装置1の使用形態を表す説明図である。
【図2】ファクシミリ装置1の外部構成を表す概略斜視図である。
【図3】ファクシミリ装置1の内部構成を表す説明図である。
【図4】ファクシミリ装置1の電気的構成を表すブロック図である。
【図5】ROM81及びRAM83内のデータ構成を表す説明図である。
【図6】ウェブプリント部110のROM113及びRAM115内のデータ構成を表す説明図である。
【図7】ウェブプリント部110のCPU111が実行するURL・メモ情報登録処理を表すフローチャートである。
【図8】ROM113内に記憶されているフラグ情報113bに関する説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態による通信システムの全体構成図である。
【図10】本発明の一実施の形態による通信システムにおいて、子機の機能情報提供部に記憶された機能情報(子機が備えている機能に関する情報)の内容を示した図である。
【図11】本発明の一実施の形態による通信システムにおいて、親機の更新ソフト記憶部に記憶されたソフト属性情報の内容を示した図である。
【図12】本発明の一実施の形態による通信システムのソフト更新処理のフローチャートを示した図である。
【図13】本発明の一実施の形態による通信システムのソフト選択処理のフローチャートを示した図である。
【図14】本発明の一実施の形態による通信システムの判断処理のフローチャートを示した図である。
【符号の説明】
【0113】
301 通信システム
302 親機
303 子機
304 選択部
305 更新ソフト記憶部
306 ソフト属性情報
307,308,309,310 更新用ソフトウェア
311,313 通信部
312 転送制御部
314 更新部
315 ソフト記憶部
316 機能情報提供部
322 ソフト属性情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転送対象の更新用ソフトウェアが記憶された送信側更新ソフト記憶手段を設けた第1通信装置と、前記更新用ソフトウェアを記憶するための受信側更新ソフト記憶手段を設けた第2通信装置と、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間に互換性がない場合に前記更新用ソフトウェアを前記送信側更新ソフト記憶手段から前記受信側更新ソフト記憶手段に転送させることにより、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間に互換性を実現させる互換性実現手段と、を有する通信システムにおいて、
前記互換性実現手段は、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で互いのハードウェア的に互換可能な属性を含む機能情報を比較して、前記機能情報が細分化された属性で互換性を妨げるものとして判断した非互換属性がある場合には、前記更新用ソフトウェアのうち前記非互換属性に関するものを前記送信側更新ソフト記憶手段から前記受信側更新ソフト記憶手段に転送させることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載する通信システムであって、前記更新用ソフトウェアは、前記機能情報の属性又は属性群毎に個別化されていることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する通信システムであって、前記機能情報は、ソフトウェアに関する属性を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する通信システムであって、前記第1通信装置と前記第2通信装置とを接続する際に、前記更新用ソフトウェアのうち前記非互換属性に関するものが前記送信側更新ソフト記憶手段から前記受信側更新ソフト記憶手段に転送されることを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−5929(P2006−5929A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173491(P2005−173491)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【分割の表示】特願2002−93796(P2002−93796)の分割
【原出願日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】