説明

通信セッション中のコンテキスト配信を促進する方法、コンピュータ・システム、およびコンピュータ・プログラム

【課題】 通信セッション中のコンテキスト配信を促進する手法を提供する。
【解決手段】 この手法は、プログラミング命令を有するコンピュータ可読記憶媒体上に有形に具現化されたコンピュータ実行可能コードを有するコンピュータ・インフラストラクチャに実装することができ、このプログラミング命令は、通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのサービスを提供し、通信セッションの情報を収集し、ユーザ装置とサービス・プロバイダとの間で通話がセットアップされたときに通信セッションの情報をサービス・プロバイダに送信するように動作可能である。サービス・プロバイダは、サービス・プロバイダによる表示のために通信セッションの情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、通信セッションに関し、詳細には、通信セッション中のコンテキスト配信(context delivery)の促進に関する。
【背景技術】
【0002】
エンタープライズおよび通信サービス・プロバイダは、その加入者向けの重要なタッチポイント(touchpoint)として急速にインターネットに転向している。インターネットまたはモバイルWebブラウザを使用して、顧客は、新しいサービスおよび提供品への加入、商品の電子的な購入、経験している問題の解決、知識ベースの検索などを行うことができる。顧客のタッチポイントとしてインターネットを使用するこの傾向は、コストを削減したいというプロバイダの要望によるものである可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
顧客のタッチポイントとしてインターネットをこのように使用しても、依然として、顧客が常に他の人からのヘルプにアクセスできることを保証する必要がある。このため、多くのコール・センタでは、顧客に対してより効率的なヘルプを提供するために、対話式音声応答ユニット(Interactive Voice Response Units IVRU)を使用して顧客のトラフィックを操作し管理している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、プログラミング命令を有するコンピュータ可読記憶媒体上に有形に具現化されたコンピュータ実行可能コードを有するコンピュータ・インフラストラクチャに実装された方法であって、このプログラミング命令が、通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのサービスを提供(render)し、通信セッションの情報を収集し、ユーザ装置とサービス・プロバイダとの間で通話がセットアップされたときに通信セッションの情報をサービス・プロバイダに送信するように動作可能である方法が提供される。サービス・プロバイダは、サービス・プロバイダによる表示のために通信セッションの情報を提供する。
【0005】
本発明の他の態様では、ハードウェアに実装されたシステムは、通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのサービスを提供し、通信セッションの情報を収集し、ユーザ装置とコール・センタとの間で通話がセットアップされたときに通信セッションの情報をコール・センタに送信するように動作可能なサーバを含む。コール・センタは、コール・センタによる表示のために通信セッションの情報を提供する。
【0006】
本発明の追加の態様では、コンピュータ・プログラムであって、このコンピュータ・プログラムは、ユーザ装置とアプリケーション・サーバとの間の通信セッションについてキャッシュに格納したコンテキストへの参照を含むセッション開始プロトコル(SIP)通知メッセージをアプリケーション・サーバから受信し、通信セッションの持続期間全体を通してキャッシュに格納したすべてのコンテキストへの参照を含むプレゼンス・ドキュメント(presence document)の構築および更新のうちの少なくとも一方を行い、プレゼンス・ドキュメントを含むSIP公開メッセージ(publish message)をコール・センタに送信するように動作可能な少なくとも1つのコンポーネントを含む。コール・センタは、コール・センタ・エージェント(call center agent)による表示のために通信セッションの情報を提供する。
【0007】
本発明の他の態様では、通信セッション中のコンテキスト配信を促進する方法は、通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのサービスを提供し、通信セッションの情報を収集し、ユーザ装置とサービス・プロバイダとの間で通話がセットアップされたときに通信セッションの情報をサービス・プロバイダに送信するように動作可能なコンピュータ・インフラストラクチャを提供することを含む。サービス・プロバイダは、サービス・プロバイダによる表示のために通信セッションの情報を提供する。本発明の他の態様では、通信セッション中のコンテキスト配信を促進するためのコンピュータ・システムは、CPU、コンピュータ可読メモリ、およびコンピュータ可読記憶媒体と、通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのWebサイトを提供するための第1のプログラム命令と、通信セッションの情報を収集するための第2のプログラム命令と、収集した通信セッションの情報をキャッシュに格納するための第3のプログラム命令と、通信セッションの持続期間全体を通してキャッシュに格納したすべての情報への参照を含むプレゼンス・ドキュメントの構築および更新のうちの少なくとも一方を行うための第4のプログラム命令と、ユーザ装置とサービス・プロバイダとの間で通話がセットアップされたときにセッション開始プロトコル(SIP)公開メッセージをサービス・プロバイダに送信するための第5のプログラム命令とを含む。SIP公開メッセージはプレゼンス・ドキュメントを含み、サービス・プロバイダはサービス・プロバイダによる表示のために通信セッションの情報を提供する。通信セッションの情報は、ユーザが表示する少なくとも1つのWebページのハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)コンテンツと、ユーザが表示するWebページのメディア・コンテンツと、パーソナル・ユーザ・データと、ユーザ装置データと、ユーザ認証データのうちの少なくとも1つを含む。第1、第2、第3、第4、および第5のプログラム命令は、コンピュータ可読メモリを介してCPUによって実行するためにコンピュータ可読記憶媒体上に保管される。
【0008】
本発明の模範的な諸実施形態の非制限的な例により、顕著な複数の図面を参照して、以下に示す詳細な説明において本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の諸態様により諸ステップを実装するための例示的な環境を示す図である。
【図2】本発明の諸態様により諸ステップを実装するための他の例示的な環境を示す図である。
【図3】本発明の諸態様による模範的な流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、一般に、通信セッションに関し、詳細には、通信セッション中のコンテキスト配信の促進に関する。より具体的には、本発明は、ユーザがWebサイトをブラウズするときに通信セッション情報およびコンテキストを収集して保管する、アプリケーション・サーバおよびインターネット・プロトコル・マルチメディア・サブシステム(IMS)対応プレゼンス・サーバを提供する。セッション情報は、その後、セッション開始プロトコル(SIP)通信セッションの開始時にコール・センタ・エージェントに対して提示可能になる。
【0011】
たとえば、運用中に、加入者は、製品を購入するために本発明を使用してWebサイトにログインすることができる。加入者は、そのサイトが操作しにくいと気付く場合がある。たとえば、製品を選択した後、加入者は、その製品に関連する付属品を探し出して、自分の電子ショッピング・カートに入れようと試みる可能性がある。その付属品を見つけられない場合、その後、加入者は、そのWebサイトとの通信セッションを終了し始める可能性がある。しかし、セッションを終了する前に、加入者は、サイト上の「クリック・トゥー・コール(click-to-call)」ボタンまたはポップアップを選択することができる。加入者がそのボタンまたはポップアップをクリックすると、加入者はそのWebサイトに自分の携帯電話または固定電話の番号を入力し、コール・センタ・エージェントからの電話を受信することができる。
【0012】
有利なことに、本発明によって提供されるコール・センタ・エージェントには、加入者によるWebサイトとの通信セッションの正確なレプリカが提示され、提示されたレプリカに基づいて加入者の問題を解決する手助けをすることができる。たとえば、コール・センタ・エージェントは、加入者が探しているまさにその付属品を見つけ、その付属品をショッピング・カートに追加し、そのカートを加入者に提示することができる。他の例では、コール・センタ・エージェントは、加入者が自分でカートを編集するのを支援することもできる。その後、加入者は、チェックアウトする、たとえば、付属品とともに製品を電子的に購入することができる。
【0013】
システム環境
当業者であれば認識するように、本発明の諸態様は、システム、方法、またはコンピュータ・プログラムとして実施することができる。したがって、本発明の諸態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェア態様とハードウェア態様を結合した一実施形態の形を取ることができ、このような実施形態は一般に本明細書ではいずれも「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ぶことができる。さらに、本発明の諸態様は、コンピュータ可読プログラム・コードがそこに実施されている1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に実施されたコンピュータ・プログラムの形を取ることもできる。
【0014】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを使用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体にすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、たとえば、電子、磁気、光、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、あるいはデバイス、もしくはこれらの任意の適切な組み合わせにすることができるが、これらに限定されないものである。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的リスト)としては、1つまたは複数のワイヤを有する電気接続、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、またはこれらの任意の適切な組み合わせを含むであろう。本書に関連して、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによりあるいはそれに関連して使用するためのプログラムを収容または保管可能な任意の有形媒体にすることができる。
【0015】
コンピュータ可読信号媒体は、たとえば、ベースバンド内にまたは搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラム・コードがそこに具現化されている伝搬データ信号を含むことができる。このような伝搬信号は、電磁、光、またはこれらの任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な形のいずれかを取ることができる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによりあるいはそれに関連して使用するためのプログラムを伝達、伝搬、または移送可能な任意のコンピュータ可読媒体にすることができる。
【0016】
コンピュータ可読媒体上に具現化されたプログラム・コードは、無線、有線、光ファイバ・ケーブル、RFなど、またはこれらの任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な媒体を使用して伝送することができる。
【0017】
本発明の諸態様に関する動作を実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Java(R)、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語ならびに「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成することができる。このプログラム・コードは、スタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして、完全にユーザのコンピュータ上で、一部分はユーザのコンピュータ上で、一部分はユーザのコンピュータ上でしかも一部分はリモート・コンピュータ上で、あるいは完全にリモート・コンピュータまたはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続される場合もあれば、(たとえば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して接続が行われる場合もある。
【0018】
本発明の諸実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラムの流れ図あるいはブロック図またはその両方に関連して、本発明の諸態様について以下に説明する。流れ図あるいはブロック図またはその両方の各ブロックならびに流れ図あるいはブロック図またはその両方の複数ブロックの組み合わせは、コンピュータ・プログラム命令によって実装可能であることが理解されるであろう。これらのコンピュータ・プログラム命令は、マシンを生産するために汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、またはその他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供することができ、それにより、コンピュータまたはその他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令は流れ図あるいはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実装するための手段を作成することになる。
【0019】
また、これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータ、その他のプログラマブル・データ処理装置、またはその他のデバイスに対して特定の方法で機能するよう指示することができるコンピュータ可読媒体に保管することもでき、それにより、コンピュータ可読媒体に保管された命令は流れ図あるいはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実装する命令を含む装置(article of manufacture)を生産することになる。
【0020】
また、これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータ、その他のプログラマブル・データ処理装置、またはその他のデバイス上にロードして、コンピュータによって実装されるプロセスを生成するためにコンピュータ、その他のプログラマブル装置、またはその他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させることができ、それにより、コンピュータまたはその他のプログラマブル装置上で実行される命令は流れ図あるいはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供することになる。
【0021】
図1は、本発明によりプロセスを管理するための例示的な環境10を示している。この範囲では、環境10は、本明細書に記載されているプロセスを実行することができるサーバまたはその他のコンピュータ・システム12を含む。特に、サーバ12はコンピューティング・デバイス14を含む。コンピューティング・デバイス14は、サード・パーティ・サービス・プロバイダのネットワーク・インフラストラクチャまたはコンピューティング・デバイス(そのうちのいくつかは図1に一般的に表されている)上に常駐することができる。
【0022】
また、コンピューティング・デバイス14は、プロセッサ20、メモリ22A、入出力インターフェース24、およびバス26も含む。メモリ22Aは、プログラム・コードの実際の実行中に使用されるローカル・メモリと、大容量記憶装置と、実行中に大容量記憶装置からコードを検索しなければならない回数を削減するために少なくとも何らかのプログラム・コードの一時記憶を提供するキャッシュ・メモリとを含むことができる。加えて、コンピューティング・デバイスは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、およびオペレーティング・システム(O/S)を含む。
【0023】
コンピューティング・デバイス14は、外部入出力装置/リソース28およびストレージ・システム22Bと通信状態にある。たとえば、入出力装置28は、ある個人がコンピューティング・デバイス14と対話できるようにする任意のデバイス(たとえば、ユーザ・インターフェース)または任意のタイプの通信リンクを使用してコンピューティング・デバイス14が1つまたは複数の他のコンピューティング・デバイスと通信できるようにする任意のデバイスを含むことができる。外部入出力装置/リソース28は、たとえば、ハンドヘルド・デバイス、PDA、ハンドセット、キーボードなどにすることができる。
【0024】
一般に、プロセッサ20は、メモリ22Aあるいはストレージ・システム22Bまたはその両方に保管可能なコンピュータ・プログラム・コード(たとえば、プログラム制御44)を実行する。その上、本発明の諸態様により、プログラム制御44は、アプリケーション・サーバ・クラスタ105およびプレゼンス・クラスタ110を制御、たとえば、本明細書に記載されているプロセスのように、する。アプリケーション・サーバ・クラスタ105およびプレゼンス・クラスタ110は、個別または複合モジュールとしてメモリ22A内に保管されたプログラム制御44内の1つまたは複数のプログラム・コードとして実装することができる。さらに、アプリケーション・サーバ・クラスタ105およびプレゼンス・クラスタ110は、これらのツールの機能を提供するために個別の専用プロセッサまたは単一あるいは複数プロセッサとして実装することができる。コンピュータ・プログラム・コードを実行している間、プロセッサ20は、メモリ22A、ストレージ・システム22B、あるいは入出力インターフェース24、またはこれらの組み合わせに対してデータの読み取りあるいは書き込みまたはその両方を行うことができる。プログラム・コードは、本発明のプロセス、たとえば、通信セッション中のコンテキスト配信の促進を実行する。バス26は、コンピューティング・デバイス14内のそれぞれのコンポーネント間の通信リンクを提供する。
【0025】
コンピューティング・デバイス14は、そこにインストールされたコンピュータ・プログラム・コードを実行可能な任意の汎用コンピューティング装置(たとえば、パーソナル・コンピュータ、サーバなど)を含むことができる。しかし、コンピューティング・デバイス14は、本明細書に記載されたプロセスを実行可能な、考えられる様々な同等のコンピューティング・デバイスの見本に過ぎないことは言うまでもない。この範囲では、諸実施形態では、コンピューティング・デバイス14によって提供される機能は、汎用あるいは特殊目的またはその両方のハードウェアあるいはコンピュータ・プログラム・コードまたはその両方の任意の組み合わせを含むコンピューティング装置によって実装することができる。各実施形態では、それぞれ、標準のプログラミング技法およびエンジニアリング技法を使用して、プログラム・コードおよびハードウェアを作成することができる。
【0026】
同様に、コンピューティング・インフラストラクチャ12は、本発明を実装するための様々なタイプのコンピュータ・インフラストラクチャの例証に過ぎない。たとえば、諸実施形態では、サーバ12は、本明細書に記載されているプロセスを実行するために、ネットワーク、共用メモリなどの任意のタイプの通信リンクにより通信する2つまたはそれ以上のコンピューティング・デバイス(たとえば、サーバ・クラスタ)を含む。さらに、本明細書に記載されているプロセスを実行している間、サーバ12上の1つまたは複数のコンピューティング・デバイスは、任意のタイプの通信リンクを使用して、サーバ12の外部の1つまたは複数の他のコンピューティング・デバイスと通信することができる。通信リンクは、有線リンクあるいは無線リンクまたはその両方の任意の組み合わせ、1つまたは複数のタイプのネットワーク(たとえば、インターネット、広域ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、仮想私設網など)の任意の組み合わせを含むか、あるいは伝送技法およびプロトコルの任意の組み合わせを使用するか、またはその両方を行うことができる。
【0027】
諸実施形態では、アプリケーション・サーバ・クラスタ105は、エンタープライズまたは通信サービス・プロバイダのWebサイトの提供など、少なくとも1つのビジネス・サービスをそのサービスの顧客または加入者に提供することができる。たとえば、アプリケーション・サーバ・クラスタ105は、スマートフォン・ユーザ装置またはブラウザベースのユーザ装置(たとえば、パーソナル・コンピュータまたはラップトップ)などのユーザ装置120との通信セッションを介して顧客に対してWebサイトを提供することができる。アプリケーション・サーバ・クラスタ105とユーザ装置120との間の通信セッションは、たとえば、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)を使用することができる。
【0028】
諸実施形態では、アプリケーション・サーバ・クラスタ105は、その顧客に特別または「高価値(high-value)」顧客としてのフラグを立て、必要であれば、後でその特別顧客がWebサイトをブラウズしていることをコール・センタにアラートできるようにすることができる。諸実施形態では、その特別または高価値顧客は、そのWebサイトでメンバシップ・アカウントを有する顧客あるいはアプリケーション・サーバ・クラスタ105によって提供されるサービスの加入者またはその両方にすることができる。また、アプリケーション・サーバ・クラスタ105は、たとえば、顧客がそのサイトで「クリック・トゥー・コール」ボタンまたはポップアップをクリックして、自分のVoIP番号をそのサイトに入力したときに、自分のユーザ装置120を使用する顧客とコール・センタ対話式音声応答ユニット(IVRU)125との間でIP上の音声(VoIP:Voice over IP)通話をセットアップすることもできる。この実施形態では、顧客が高価値顧客である場合、VoIP通話を完了する前に、アプリケーション・サーバ・クラスタ105は、自動的にその通話を専門コール・センタ・エージェントの待ち行列に経路指定することができる。顧客とコール・センタIVRU125との間の通話は、その顧客が依然としてWebサイトをブラウズしている間に行うことができる。
【0029】
ユーザ装置120とのWebサイト通信セッション中に、アプリケーション・サーバ・クラスタ105は、たとえば、顧客が表示または操作(たとえば、ダウンロード)するWebページのハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)コンテンツを含む、セッションに関する情報(たとえば、コンテキスト)を収集する。諸実施形態では、通信セッション情報は、顧客が表示するWebページのWebアプレット、ピクチャ、およびビデオ(「メディア・コンテンツ」)、パーソナル・ユーザ・データ(たとえば、顧客の名前およびアカウント番号)、ユーザ装置データ(たとえば、スマートフォン番号、デバイス・タイプ)、ならびにユーザ認証データ(たとえば、顧客のログインおよびパスワード)を含むこともできる。アプリケーション・サーバ・クラスタ105は共通データ・キャッシュ115にセッション情報を転送し、そこでセッション情報がキャッシュに格納されるかまたは保管される。
【0030】
アプリケーション・サーバ・クラスタ105は、SIPを介して、特に、SIP通知メッセージに入れて、プレゼンス・クラスタ110にも通信セッション情報を転送する。プレゼンス・クラスタ110は、セッション情報を含むSIP通知メッセージを受信し、そのセッション情報をプレゼンス情報として扱う。すなわち、プレゼンス・クラスタ110は、顧客とアプリケーション・サーバ・クラスタ105との間の通信セッションの持続期間全体を通してセッション情報のすべてを含むプレゼンス・ドキュメントを構築または更新する。その結果、諸実施形態では、プレゼンス・ドキュメントは、そのセッション中に顧客が表示するすべてのWebページのHTMLコンテンツを含むことができる。諸実施形態では、プレゼンス・ドキュメントおよびSIP通知メッセージは、拡張可能マークアップ言語(XML)データ・フォーマットにすることができる。諸実施形態では、アプリケーション・サーバ・クラスタ105は、その代わりに、共通データ・キャッシュ115に保管されたセッション情報への参照を転送することができ、したがって、プレゼンス・ドキュメントは、その代わりに、共通データ・キャッシュ115に保管されたセッション情報への参照を含むことができる。
【0031】
また、プレゼンス・クラスタ110は、コール・センタIVRU125からSIP加入メッセージを受信して管理する。SIP加入メッセージは、特定の時間に、たとえば、ユーザ装置120とコール・センタIVRU125との間で通話がセットアップされたときに、プレゼンス・クラスタ110からプレゼンス・ドキュメントを受信する(たとえば、それに加入する)ことを求める要求である。諸実施形態では、この通話は、セルラー・ネットワーク、インターネット(たとえば、VoIP)、または電話サービス回線によるものにするか、あるいは顧客が依然としてWebサイトをブラウズしている間に、インターネットによるインスタント・メッセージング(IM)セッションにすることができる。特定の時間に、プレゼンス・クラスタ110は、プレゼンス・ドキュメントを含むSIP公開メッセージをコール・センタIVRU125に自動的に送信する。次に、コール・センタIVRU125は、コール・センタ・エージェントによる表示のために、プレゼンス・ドキュメントに基づいて、通信セッション中に顧客が表示した少なくとも1つのWebページ(たとえば、コンテンツ履歴あるいはコンテキストまたはその両方)を提供する。有利なことに、本発明によって提供されるように、コール・センタ・エージェントは、顧客によるWebサイトとの通信セッションの正確なレプリカを表示することができ、それによりコール・センタ・エージェントがWebサイトでの顧客の問題を効率的に解決する手助けをすることができる。
【0032】
図2は、本発明の諸態様により諸ステップを実装するための他の例示的な環境200を示している。環境200は、加入者およびユーザ層205と、アクセス層210と、サービス層215と、IMS制御プレーン220とを含む。諸実施形態では、加入者およびユーザ層205は、スマートフォン・ユーザ装置あるいはブラウザベースのユーザ装置またはその両方などの少なくとも1つのユーザ装置225と、ビジネス・トゥー・ビジネス(B2B)サーバ230と、コール・センタIVRU235とを含むことができる。ユーザ装置225およびコール・センタIVRU235は、それぞれ、図1のユーザ装置120およびコール・センタIVRU125と同様の機能を含むことができる。B2Bサーバ230は、サービス層215によって提供されるサービスを使用したいと要望する、他のエンタープライズまたは通信サービス・プロバイダなど、他の企業のサーバにすることができる。
【0033】
加入者およびユーザ層205内のエンティティは、アクセス層210の無線/有線ネットワーク240に接続される。無線/有線ネットワーク240は、たとえば、加入者およびユーザ層205内のエンティティがサービス層215と通信できるようにする、インターネットあるいはセルラー・ネットワークまたはその両方を含むことができる。サービス層215は、ロード・バランシング層245と、アプリケーション・サーバ・クラスタ250と、プレゼンス・クラスタ255と、共通データ・キャッシュ260とを含む。ロード・バランシング層245は、無線/有線ネットワーク240からデータ(たとえば、負荷)を受信し、クラスタ250、255など、サービス層215内のエンティティ間に均等にデータを配布することができる。たとえば、ロード・バランシング層245は、ネットワーク・スイッチおよびゲートウェイ・ルータ内に設けることができる。ロード・バランシング層245は、WebクライアントとSIPクライアントを含み、ロード・バランシング層245がSIPおよびHTTPでクラスタ250、255などの他のSIP対応エンティティあるいはHTTP対応エンティティまたはその両方と通信できるようになっている。
【0034】
諸実施形態では、アプリケーション・サーバ・クラスタ250、プレゼンス・クラスタ255、および共通データ・キャッシュ260は、それぞれ、図1のアプリケーション・サーバ・クラスタ105、プレゼンス・クラスタ110、および共通データ・キャッシュ115と同じ機能を実行することができる。諸実施形態では、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は、アプリケーション・サーバ265Aおよびアプリケーション・サーバ265Bなどの複数のアプリケーション・サーバ265A、265Bを含むことができる。アプリケーション・サーバ265A、265Bのそれぞれは、エンタープライズまたは通信サービス・プロバイダのWebサイトの提供など、少なくとも1つのビジネス・サービスをそのサービスの顧客または加入者に提供することができる。たとえば、アプリケーション・サーバ265Aは、ユーザ装置225との通信セッションを介して顧客に対してWebサイトを提供することができる。アプリケーション・サーバ・クラスタ250と加入者およびユーザ層205内のエンティティとの間の通信セッション中に、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は、通信セッション情報(たとえば、コンテキスト)を収集し、そのセッション情報で共通データ・キャッシュ260を更新する。さらに、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は、セッション情報または共通データ・キャッシュ260内のセッション情報への参照を含むSIP通知メッセージをプレゼンス・クラスタ255に転送する。
【0035】
プレゼンス・クラスタ255はプレゼンス・サーバ270とXMLデータ管理サーバ(XDMS)275とを含む。プレゼンス・サーバ270は、通信セッション情報を含むSIP通知メッセージを受信し、セッション情報をXDMS275に転送する。XDMS275は、顧客とアプリケーション・サーバ・クラスタ250との間の通信セッションの持続期間全体を通してセッション情報(または共通データ・キャッシュ260内のセッション情報への参照)のすべてを含むプレゼンス・ドキュメントを構築または更新する。また、プレゼンス・サーバ270は、特定の時間に、たとえば、ユーザ装置225とコール・センタIVRU235との間で通話がセットアップされたときに、プレゼンス・サーバ270からプレゼンス・ドキュメントを受信することを要求する、コール・センタIVRU235からのSIP加入メッセージも受信して管理する。特定の時間に、プレゼンス・サーバ270は、プレゼンス・ドキュメントを含むSIP公開メッセージをコール・センタIVRU235に自動的に送信する。次に、コール・センタIVRU235は、コール・センタ・エージェントによる表示のために、プレゼンス・ドキュメントに基づいて、通信セッション中に顧客が表示した少なくとも1つのWebページ(たとえば、コンテキスト)を提供する。有利なことに、本発明によって提供されるように、コール・センタ・エージェントは、いずれも顧客とのコール中に、顧客が表示するものと同じWebページを表示することができ、表示したWebページに基づいて、Webサイトでの顧客の問題を迅速に理解し、顧客を支援することができる。
【0036】
諸実施形態では、共通データ・キャッシュ260は、複数のデータベース280A、280B、280C、280Dを含むことができる。データベース280A、280B、280C、280Dのそれぞれは、顧客とアプリケーション・サーバ・クラスタ250との間の1つのタイプの通信セッション情報をキャッシュに格納するかまたは保管することができる。たとえば、データベース280Aは顧客が表示または操作するWebページのHTMLコンテンツおよびメディアを含むことができ、データベース280Bはパーソナル・ユーザ・データを含むことができ、データベース280Cはユーザ装置データを含むことができ、データベース280Dはユーザ認証データを含むことができる。諸実施形態では、データベース280Dは、IMSのホーム加入者サーバ(HSS)にすることができ、したがって、加入者の加入関連情報、たとえば、加入者のプロファイルを含むことができる。
【0037】
諸実施形態では、IMS制御プレーン220は、呼セッション制御機能(CSCF)285と、複数のゲートウェイ290A、290Bと、複数の通話機能295A、295Bとを含むことができる。CSCF285は、顧客とアプリケーション・サーバ・クラスタ250との間のSIP通信セッションを制御するSIPサーバである。CSCF285は、コール・センタIVRU235とプレゼンス・クラスタ255との間ならびにクラスタ250、255間のSIPメッセージングも制御する。
【0038】
諸実施形態では、ゲートウェイ290A、290Bは、異なる通信ネットワーク間(たとえば、無線/有線ネットワーク240内)でデジタル・メディアを変換するメディア・ゲートウェイ290Aと、加入者およびユーザ層205内のエンティティ間でメッセージ(たとえば、ショート・メッセージ・サービス(SMS)メッセージ)を転送するメッセージング・ゲートウェイ290Bを含むことができる。諸実施形態では、通話機能295A、295Bは、ドメイン名システム(DNS)を使用して通信セッションを経路指定できないとCSCF285が判断したときにCSCF285からデータを経路指定するブレークアウト・ゲートウェイ制御機能(BGCF)295Aを含むことができる。通話機能295A、295Bは、IMS内の通信セッションの課金または会計情報を収集する課金収集機能(CCF)295Bも含むことができる。
【0039】
流れ図
図3は、本発明の諸態様を実行するための模範的な流れを示している。図3の諸ステップは、たとえば、図1〜図2の環境で実装することができる。
【0040】
上記の図面内の流れ図およびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラムについて可能な実装例のアーキテクチャ、機能、および動作を例示している。この点に関しては、流れ図またはブロック図内の各ブロックは、指定の論理機能(複数も可)を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、コードのモジュール、セグメント、または一部分を表すことができる。また、いくつかの代替実装例では、ブロック内に示された機能は図面内に示された順序から外れて行われる可能性があることにも留意されたい。たとえば、連続して示されている2つのブロックは、関係する機能に応じて、実際にはほぼ同時に実行される場合もあれば、ときには逆の順序で実行される場合もある。また、ブロック図あるいは流れ図またはその両方の各ブロックならびにブロック図あるいは流れ図またはその両方の複数ブロックの組み合わせは、指定の機能または動作を実行する特殊目的ハードウェアベースのシステムによって、または特殊目的ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせによって、実装可能であることも留意されるであろう。
【0041】
さらに、本発明は、コンピュータまたは任意の命令実行システムによりあるいはそれに関連して使用するためのプログラム・コードを提供するコンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムの形を取ることができる。ソフトウェアあるいはコンピュータ・プログラムまたはその両方は、図1〜図2の環境で実装することができる。この説明のために、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによりあるいはそれに関連して使用するためのプログラムを収容、保管、伝達、伝搬、または移送可能な任意の装置にすることができる。この媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外線、または半導体システム(または装置あるいはデバイス)、または伝搬媒体にすることができる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、半導体またはソリッド・ステート・メモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータ・ディスケット、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、および光ディスクを含む。光ディスクの現在の例としては、コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、書き換え可能なコンパクト・ディスク(CD−R/W)、およびDVDを含む。
【0042】
図3は、本発明の諸態様によるプロセス300の模範的な流れを描写している。プロセス300は、ユーザおよびトランスポート・プレーン305と、サービス・プレーン310と、IMS制御プレーン315とを含み、これらは、それぞれ、図2の加入者およびユーザ層205、サービス層215、およびIMS制御プレーン220に対応することができる。ユーザおよびトランスポート・プレーン305は、図2に示されているユーザ装置225を含む。サービス・プレーン310は、図2に示されているアプリケーション・サーバ・クラスタ250およびプレゼンス・クラスタ255を含む。IMS制御プレーン315は、図2に示されているコール・センタIVRU235と、たとえば、図2のCCF295Bに実装可能な会計サーバ320とを含む。
【0043】
ステップS325でプロセスが始まり、コール・センタIVRU235は、プレゼンス・クラスタ255にSIP加入メッセージを送信し、少なくとも1人の顧客または加入者とアプリケーション・サーバ・クラスタ250との間の通信セッション情報について通知を受ける。諸実施形態では、コール・センタIVRU235は、特別または高価値顧客のみのセッション情報について、あるいはログインして人気商品ショッピング・セッションを開始した顧客のセッション情報について通知するよう要求することができる。諸実施形態では、特別または高価値顧客は、たとえば、そのWebサイトでメンバシップ・アカウントを有する顧客あるいはアプリケーション・サーバ・クラスタ250によって提供されるサービスの加入者またはその両方にすることができる。人気商品ショッピング・セッションは、たとえば、顧客とアプリケーション・サーバ・クラスタ250によって提供されるショッピングWebサイトとの間の通信セッションであって、顧客が人気品目または最近発売された品目を探している通信セッションにすることができる。ステップS330で、顧客はユーザ装置225を介して、たとえば、自分のWebサイト通信セッションを継続し、様々なWebページでクリックすることにより、アプリケーション・サーバ・クラスタ250からサービスを要求する。ステップS335で、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は、それが提供されるたびにセッション情報でキャッシュ(たとえば、図2の共通データ・キャッシュ260)を更新する。
【0044】
ステップS340で、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は、ユーザ装置225に対して、要求されたサービスを提供する(たとえば、Webページを送信する)。ステップS345で、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は、更新された通信セッション情報またはキャッシュ内の更新されたセッション情報への参照を含む、SIP通知メッセージをプレゼンス・クラスタ255に送信する。ステップ350で、プレゼンス・クラスタ255は、顧客とアプリケーション・サーバ・クラスタ250との間のセッションの持続期間全体を通してセッション情報(またはキャッシュ内のセッション情報への参照)のすべてを含むプレゼンス・ドキュメントを構築または更新する。ステップS355で、顧客は、受信したWebページについて問題を抱えている可能性があり、コール・センタ・エージェントとの通話を開始したいと望んでいることをアプリケーション・サーバ・クラスタ250に通知する。諸実施形態では、これは、顧客がそのサイトで「クリック・トゥー・コール」ボタンまたはポップアップをクリックして、自分のVoIP番号をそのサイトに入力したときに、達成することができる。
【0045】
ステップS360で、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は、顧客がコール・センタIVRU235への通話をセットアップしたいと要望していることを示すSIP通知メッセージをプレゼンス・クラスタ255に送信する。ステップS365で、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は、自分のユーザ装置225を使用する顧客とコール・センタIVRU235との間のVoIP通話をセットアップする。ステップS370で、プレゼンス・クラスタ255は、プレゼンス・ドキュメントを含むSIP公開メッセージをコール・センタIVRU235に送信する。次に、ステップS375で、コール・センタIVRU235は、コール・センタ・エージェントによる表示のために、プレゼンス・ドキュメントに基づいて、通信セッション中に顧客が表示した少なくとも1つのWebページ(たとえば、コンテキスト)を提供する。諸実施形態では、コール・センタIVRU235は、コンテキストを提供するためにキャッシュ内の通信セッション情報の参照を読み取ることができる。提供されたコンテキストにより、コール・センタ・エージェントは、Webサイトにおける顧客の体験をより適切に支援することができる。
【0046】
ステップS380は、コール・センタIVRU235はユーザ装置225との通話を終了する。諸実施形態では、コール・センタIVRU235は、たとえば、通話が始まった時間と終了した時間あるいは通話の持続時間またはその両方を含む、通話に関する情報をユーザ装置225に送信することができる。ステップS385で、アプリケーション・サーバ・クラスタ250は会計サーバ320による会計レコードを切断する。諸実施形態では、会計レコードの切断は、通話が終了したこと、セキュリティ・レコード(たとえば、ユーザ認証)をリリースしなければならないこと、ならびに会計のために通話が終了した時間でコール・センタ・レコードを更新しなければならないことを会計サーバ320に示すことを含むことができる。ステップS385で、プロセスは終了する。
【0047】
諸実施形態では、ソリューション・インテグレータなどのサービス・プロバイダは、本明細書に記載されているプロセスの実行を提供できるであろう。この場合、サービス・プロバイダは、1人または複数の顧客について本発明のプロセス・ステップを実行するコンピュータ・インフラストラクチャの作成、維持、配備、サポートなどを行うことができる。これらの顧客は、たとえば、技術を使用する任意の企業にすることができる。それと引き替えに、サービス・プロバイダは、加入契約あるいは料金契約またはその両方に基づいて顧客(複数も可)から支払を受けるか、1人または複数のサード・パーティに対して広告コンテンツを販売したことによる支払を受けるか、その両方を受けることができる。
【0048】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを記述するためのものであって、本発明の制限を意図するものではない。本明細書で使用する単数形は、文脈が他に明確に指示しない限り、複数形も含むことを意図するものである。本明細書で使用する場合、「含む」という用語は、明記された特徴、整数、ステップ、操作、要素、あるいはコンポーネント、またはこれらの組み合わせを指定するが、1つまたは複数のその他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、あるいはそれらのグループ、またはこれらの組み合わせの存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されるであろう。
【0049】
適用可能であれば、特許請求の範囲内のすべての手段またはステップならびに機能要素に対応する構造、材料、動作、およびそれと同等のものは、具体的に請求されたその他の請求要素と組み合わせてその機能を実行するための任意の構造、材料、または動作を含むことを意図するものである。本発明の記述は、例示および説明のために提示されているが、網羅することまたは開示された形の本発明に限定することを意図するものではない。多くの変更例および変形例は、本発明の範囲および精神を逸脱せずに、当業者にとって明らかになるであろう。諸実施形態は、本発明の原理および実践的な適用例を最もよく説明し、企図されている特定の用途に適した様々な変更例とともに様々な実施形態についてその他の当業者が本発明を理解できるようにするために、選択され記載されている。したがって、諸実施形態に関して本発明が記述されているが、当業者であれば、特許請求の範囲の精神および範囲内で変更例とともに本発明を実践できることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0050】
12 サーバ
14 コンピューティング・デバイス
20 プロセッサ
22A メモリ
22B ストレージ・システム
24 入出力インターフェース
26 バス
28 入出力装置
44 プログラム制御
105 アプリケーション・サーバ・クラスタ
110 プレゼンス・クラスタ
115 共通データ・キャッシュ
120 ユーザ装置
125 コール・センタIVRU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラミング命令を有するコンピュータ可読記憶媒体上に有形に具現化されたコンピュータ実行可能コードを有するコンピュータ・インフラストラクチャに実装された方法であって、前記プログラミング命令が、
通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのサービスを提供し、
前記通信セッションの情報を収集し、
前記ユーザ装置とサービス・プロバイダとの間で通話がセットアップされたときに前記通信セッションの前記情報を前記サービス・プロバイダに送信し、前記サービス・プロバイダが前記サービス・プロバイダによる表示のために前記通信セッションの前記情報を提供する
ように動作可能である、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのサービスが、前記サービス・プロバイダのWebサイトの提供を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記通信セッションの前記情報が、
ユーザが表示する少なくとも1つのWebページのハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)コンテンツと、
前記ユーザが表示する前記Webページのメディア・コンテンツと、
パーソナル・ユーザ・データと、
ユーザ装置データと、
ユーザ認証データ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記プログラミング命令が、収集した前記通信セッションの前記情報をキャッシュに格納するようにさらに動作可能である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記プログラミング命令が、
前記通信セッションの持続期間全体を通してキャッシュに格納したすべての前記情報への参照を含むプレゼンス・ドキュメントの構築および更新のうちの少なくとも一方を行い、
前記ユーザ装置と前記サービス・プロバイダとの間で前記通話がセットアップされたときに、前記プレゼンス・ドキュメントを含むセッション開始プロトコル(SIP)公開メッセージを前記サービス・プロバイダに送信する
ようにさらに動作可能である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記プログラミング命令が、
前記通信セッションの持続期間全体を通して収集したすべての前記情報を含むプレゼンス・ドキュメントの構築および更新のうちの少なくとも一方を行い、
前記ユーザ装置と前記サービス・プロバイダとの間で前記通話がセットアップされたときに、前記プレゼンス・ドキュメントを含むセッション開始プロトコル(SIP)公開メッセージを前記サービス・プロバイダに送信する
ようにさらに動作可能である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記プログラミング命令が、
前記ユーザ装置と前記サービス・プロバイダとの間で前記通話がセットアップされたときに前記通信セッションの前記情報を受信することを求める要求を含むセッション開始プロトコル(SIP)加入メッセージを前記サービス・プロバイダから受信して管理し、
前記ユーザ装置と前記サービス・プロバイダとの間で前記通話がセットアップされたときに、前記通信セッションの前記情報を含むSIP公開メッセージを前記サービス・プロバイダに送信する
ようにさらに動作可能である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記サービス・プロバイダがコール・センタ対話式音声応答ユニット(IVRU)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記プログラミング命令が、
前記ユーザに特別ユーザとしてのフラグを立て、
前記特別ユーザについて前記サービス・プロバイダにアラートすることと、
前記特別ユーザと前記サービス・プロバイダとの間の通話を専門サービス・プロバイダ・エージェントに経路指定すること
のうちの少なくとも一方を行う
ようにさらに動作可能である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記サービス・プロバイダが、前記コンピュータ・インフラストラクチャの作成、維持、配備、およびサポートのうちの少なくとも1つを行う、請求項1記載の方法。
【請求項11】
請求項1の諸ステップが、加入、広告、あるいは手数料、またはこれらの組み合わせを基礎として、前記サービス・プロバイダによって提供される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ハードウェアに実装されたシステムであって、
通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのサービスを提供し、
前記通信セッションの情報を収集し、
前記ユーザ装置とコール・センタとの間で通話がセットアップされたときに前記通信セッションの前記情報を前記コール・センタに送信し、前記コール・センタが前記コール・センタによる表示のために前記通信セッションの前記情報を提供する
ように動作可能なサーバを含む、システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのサービスが、サービス・プロバイダのWebサイトの提供を含む、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記通信セッションの前記情報が、
ユーザが表示する少なくとも1つのWebページのハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)コンテンツと、
前記ユーザが表示する前記Webページのメディア・コンテンツと、
パーソナル・ユーザ・データと、
ユーザ装置データと、
ユーザ認証データ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項12記載のシステム。
【請求項15】
前記通信セッションの前記情報をキャッシュに格納するように動作可能な共通データ・キャッシュをさらに含む、請求項12記載のシステム。
【請求項16】
前記サーバが、
前記通信セッションの持続期間全体を通してキャッシュに格納したすべての前記情報への参照を含むプレゼンス・ドキュメントの構築および更新のうちの少なくとも一方を行い、
前記ユーザ装置と前記コール・センタとの間で前記通話がセットアップされたときに、前記プレゼンス・ドキュメントを含むセッション開始プロトコル(SIP)公開メッセージを前記コール・センタに送信する
ようにさらに動作可能である、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記サーバが、
前記通信セッションの持続期間全体を通して収集したすべての前記情報を含むプレゼンス・ドキュメントの構築および更新のうちの少なくとも一方を行い、
前記ユーザ装置と前記コール・センタとの間で前記通話がセットアップされたときに、前記プレゼンス・ドキュメントを含むセッション開始プロトコル(SIP)公開メッセージを前記コール・センタに送信する
ようにさらに動作可能である、請求項12記載のシステム。
【請求項18】
前記サーバが、
前記ユーザ装置と前記コール・センタとの間で前記通話がセットアップされたときに前記通信セッションの前記情報を受信することを求める要求を含むセッション開始プロトコル(SIP)加入メッセージを前記コール・センタから受信して管理し、
前記ユーザ装置と前記コール・センタとの間で前記通話がセットアップされたときに、前記通信セッションの前記情報を含むSIP公開メッセージを前記コール・センタに送信する
ようにさらに動作可能である、請求項12記載のシステム。
【請求項19】
前記コール・センタがコール・センタ対話式音声応答ユニット(IVRU)を含む、請求項12記載のシステム。
【請求項20】
前記サーバが、
前記ユーザに特別ユーザとしてのフラグを立て、
前記特別ユーザについて前記コール・センタにアラートすることと、
前記特別ユーザと前記コール・センタとの間の通話を専門コール・センタ・エージェントに経路指定すること
のうちの少なくとも一方を行う
ようにさらに動作可能である、請求項12記載のシステム。
【請求項21】
コンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・プログラムが、
ユーザ装置とアプリケーション・サーバとの間の通信セッションについてキャッシュに格納したコンテキストへの参照を含むセッション開始プロトコル(SIP)通知メッセージを前記アプリケーション・サーバから受信し、
前記通信セッションの持続期間全体を通してキャッシュに格納したすべての前記コンテキストへの前記参照を含むプレゼンス・ドキュメントの構築および更新のうちの少なくとも一方を行い、
前記プレゼンス・ドキュメントを含むSIP公開メッセージをコール・センタに送信し、前記コール・センタがコール・センタ・エージェントによる表示のために前記通信セッションの前記コンテキストを提供する
ように動作可能な少なくとも1つのコンポーネントを含む、コンピュータ・プログラム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのコンポーネントが、前記ユーザ装置と前記コール・センタとの間で通話がセットアップされたときに前記SIP公開メッセージを前記コール・センタに送信するようにさらに動作可能である、請求項21記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項23】
通信セッション中のコンテキスト配信を促進する方法であって、
通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのサービスを提供し、
前記通信セッションの情報を収集し、
前記ユーザ装置とサービス・プロバイダとの間で通話がセットアップされたときに前記通信セッションの前記情報を前記サービス・プロバイダに送信し、前記サービス・プロバイダが前記サービス・プロバイダによる表示のために前記通信セッションの前記情報を提供する
ように動作可能なコンピュータ・インフラストラクチャを提供することを含む、方法。
【請求項24】
前記コンピュータ・インフラストラクチャが、
前記通信セッションの持続期間全体を通して収集したすべての前記情報を含むプレゼンス・ドキュメントの構築および更新のうちの少なくとも一方を行い、
前記ユーザ装置と前記サービス・プロバイダとの間で前記通話がセットアップされたときに、前記プレゼンス・ドキュメントを含むセッション開始プロトコル(SIP)公開メッセージを前記サービス・プロバイダに送信する
ようにさらに動作可能である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
通信セッション中のコンテキスト配信を促進するためのコンピュータ・システムであって、前記システムが、
CPU、コンピュータ可読メモリ、およびコンピュータ可読記憶媒体と、
通信セッションを介してユーザ装置に少なくとも1つのWebサイトを提供するための第1のプログラム命令と、
前記通信セッションの情報を収集するための第2のプログラム命令と、
収集した前記通信セッションの前記情報をキャッシュに格納するための第3のプログラム命令と、
前記通信セッションの持続期間全体を通してキャッシュに格納したすべての前記情報への参照を含むプレゼンス・ドキュメントの構築および更新のうちの少なくとも一方を行うための第4のプログラム命令と、
前記ユーザ装置とサービス・プロバイダとの間で通話がセットアップされたときに、前記プレゼンス・ドキュメントを含むセッション開始プロトコル(SIP)公開メッセージを前記サービス・プロバイダに送信し、前記サービス・プロバイダが前記サービス・プロバイダによる表示のために前記通信セッションの前記情報を提供するための第5のプログラム命令と
を含み、
前記通信セッションの前記情報が、
ユーザが表示する少なくとも1つのWebページのハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)コンテンツと、
前記ユーザが表示する前記Webページのメディア・コンテンツと、
パーソナル・ユーザ・データと、
ユーザ装置データと、
ユーザ認証データ
のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1、第2、第3、第4、および第5のプログラム命令が、前記コンピュータ可読メモリを介して前記CPUによって実行するために前記コンピュータ可読記憶媒体上に保管される、コンピュータ・システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−120164(P2012−120164A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255150(P2011−255150)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】