説明

通信ラインの共用方法および基板

【課題】 CPUの通信ポートを共用してコストの低減を図ることを目的としている。
【解決手段】 サブCPU7が実装された基板7には、サブCPU7の通信を停止させる通信停止設定部、通信速度を変更設定する通信速度変更設定部およびメインCPU5の通信速度を変更するための設定部としてのピン端子25〜27を設け、全体の通信を制御する通信制御CPUが搭載されたパソコン10によって、前記各設定部を制御することにより、サブCPU7、メインCPU5およびパソコン10間で共通のシリアル通信ラインUART1を介して通信できるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ラインの共用方法および基板に関し、更に詳しくは、温度調節器や各種の入力を計測するデジタルパネルメータなどの電子機器における検査などに好適な通信ラインの共用方法および電子機器に搭載される基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータ等の各種情報処理装置では、例えば、装置を構成する制御用の基板としてCPUを搭載した複数の基板が設けられ、各基板は、例えば、UART (Universal Asynchronous Receiver and Transmitter)を介して双方向のシリアル通信ラインで接続され、データ等の交換を可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−242488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、CPUのUARTなどの通信ポートの数には、限りがあり、通信ポートの数が多いCPUは、その分高価となる。
【0004】
一方、例えば、電子機器の検査時などにおいては、上述の複数の基板の各CPUと検査装置との個別の通信が必要となる場合があるが、かかる検査時だけのために、通信ポートの数の多いCPUを使用するのは、コストの増大を招き、好ましくない。
【0005】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、CPUの通信ポートを共用してコストの低減を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0007】
すなわち、本発明の通信ラインの共用方法は、CPUがそれぞれ実装された少なくとも3つの基板の各CPUによって、通信ラインを共用する方法であって、少なくともいずれか一つの基板には、対応するCPUの通信を停止させる通信停止設定部および対応するCPUの通信速度を変更設定する通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部が設けられ、該設定部の設定を制御して通信ラインを共用するものである。
【0008】
ここで、対応するCPUとは、前記少なくともいずれか一方の設定部が設けられた基板に実装されたCPUであってもよいし、当該基板とは別の基板に実装されたCPUであってもよい。
【0009】
前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部は、例えば、基板に設けたスイッチやピン端子などで構成するのが好ましい。
【0010】
本発明によると、通信停止設定部および通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部を制御することにより、対応するCPUの通信を停止させたり、あるいは、対応するCPUの通信速度を変更して他のCPUからの通信を受け付けないようにするなどし、通信が競合しないようにして通信ラインを共用することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、前記通信ラインがシリアル通信ラインであり、いずれかの一つの基板のCPUを、各CPU間の通信の全体を制御する通信制御CPUとし、該通信制御CPUが、前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部を制御可能である。
【0012】
ここで、シリアル通信ラインとしては、UART(Universal Asynchronous Receiver and Transmitter)のシリアル通信ラインであるのが好ましい。
【0013】
また、通信制御CPUが実装された基板は、電子機器を検査するための検査処理を制御するパーソナルコンピュータなどに搭載されるのが好ましい。
【0014】
この実施態様によると、通信制御CPUが、通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部を制御して通信が競合しないようにして通信ラインを共用することができる。
【0015】
本発明の一実施態様においては、前記通信制御CPUが、出力用ターミナルを介して前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部を制御するものである。
【0016】
ここで、出力用ターミナルは、通信停止設定部あるいは通信速度変更設定部として基板に設けられた、例えば、ピン端子間の開放や短絡によって設定部の設定を制御するものであるのが好ましい。
【0017】
この実施態様によると、通信制御CPUは、出力用ターミナルを介して前記少なくともいずれか一方の設定部を制御するので、他のCPUと通信することなく、他のCPUの通信を停止させたり、通信速度を変更したりできることになる。
【0018】
本発明の他の実施態様においては、前記通信制御CPUが実装された基板以外の複数の他の基板は、機能に応じた専用回路をそれぞれ有するとともに、電子機器に搭載されるものである。
【0019】
ここで、機能とは、例えば、入力、出力、電源、通信といった機能のみならず、アナログ入力、デジタル入力、さらには、リレー出力、トランジスタ出力といった出力形式や入出力点数などの機能をいうものであり、専用回路とは、かかる機能に応じた専用の回路をいい、例えば、入力回路、出力回路、電源回路などの回路をいう。
【0020】
さらに、前記電子機器には、共用配線を有するベース基板が搭載され、該ベース基板の接続部に、前記複数の他の基板が装着されることによって前記専用回路が共用配線に接続されるものであり、前記複数の他の基板の内の一方の基板に設けられた前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部の設定を制御することによって、前記共用配線を介して他方の基板のCPUの通信の停止および通信速度の変更の少なくともいずれか一方を制御するのが好ましい。
【0021】
ここで、共用配線とは、複数の基板の間で共用される配線をいい、例えば、複数の基板の間で共用されるバス配線、電源線、アナログ信号線等をいう。
【0022】
上記構成によると、複数の基板の間の共用配線を利用して、例えば、通信停止設定部や通信速度変更設定部が設けられていない基板のCPUの通信停止や通信速度の変更を制御することが可能となる。
【0023】
本発明の好ましい実施態様においては、前記通信制御CPUは、前記電子機器の検査用のデータの送受信を、前記通信ラインを共用して行うように、前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部の設定を制御するものである。
【0024】
前記通信制御CPUが実装された基板は、電子機器の検査処理の全体を制御するパーソナルコンピュータに搭載されるのが好ましい。
【0025】
ここで、電子機器の検査には、該電子機器に搭載された基板の検査を含むものである。
【0026】
この実施態様によると、共通の通信ラインを利用して検査用データの送受信ができるので、検査のために別の通信ラインを設ける必要がない。
【0027】
また、本発明の基板は、電子機器に搭載されるとともに、共通の通信ラインを介して他の複数のCPUとの通信が可能なCPUが実装された基板であって、機能に応じた専用回路を有するとともに、対応するCPUの通信を停止させる通信停止設定部および対応するCPUの通信速度を変更設定する通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部が設けられ、該設定部の設定が制御されて前記通信ラインを共用するものである。
【0028】
本発明によると、通信停止設定部および通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部を制御することにより、対応するCPUの通信を停止させたり、あるいは、対応するCPUの通信速度を変更して該CPUが他のCPUからの通信を認知できないようにすることにより、通信が競合しないようにして通信ラインを共用することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施態様においては、前記電子機器には、共用配線を有するベース基板と、前記他の複数のCPUの内の少なくとも一つのCPUが実装されるとともに、機能に応じた専用回路を有する基板とが搭載され、前記電子機器に搭載された基板に実装された前記CPUが、前記共用配線に含まれる前記通信ラインを介して通信するものである。
【0030】
この実施態様によると、複数の基板の間の共用配線に含まれる通信ラインを共用して通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、CPUの通信を停止させる通信停止設定部およびCPUの通信速度を変更する通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部を制御することにより、通信が競合しないようにして通信ラインを共用することができ、これによって、通信ポートの少ないCPUを使用してコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面によって、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る通信ラインの共用方法が適用されるシステムの概略構成図である。
【0034】
この実施の形態では、電子機器としてのデジタルパネルメータ1の検査に適用して説明する。
【0035】
この実施の形態のデジタルパネルメータ1は、後述のように、複数の基板が搭載されて構成されており、この図1においては、ベース基板2と、入力用基板3と、BCD(Binary Coded Decimal)出力を与える出力用基板4とが示されている。
【0036】
入力用基板3には、メインCPU5が実装されており、このメインCPU5は、UART (Universal Asynchronous Receiver and Transmitter)の双方向のシリアル通信ライン(UART1,2)を2つ備えている、すなわち、UARTの2つの通信ポートを備えている。
【0037】
ベース基板2および出力用基板4には、それぞれ表示用および出力用サブCPU6,7が実装されており、各サブCPU6,7は、UARTの通信ポートをそれぞれ一つ備えている。
【0038】
入力用基板3のメインCPU5のUART通信ポートの一方は、ベース基板2の表示用サブCPU6のUART通信ポートに接続されており、他方は、出力モジュール基板4の出力用サブCPU(以下、出力用サブCPUを「サブCPU」という)7のUART通信ポートに接続されている。
【0039】
この実施の形態のデジタルパネルメータ1は、本件出願人が、平成14年5月20日に出願し、平成15年11月28日に公開された「電子機器および電子機器の使用方法」(特開2003−338674号公報)の電子機器としての基本的な構成を備えるものである。
【0040】
すなわち、この実施の形態のデジタルパネルメータ1は、図2の斜視図および図3の内部の分解斜視図に示されるように、共用配線(図示せず)を有するベース基板2のコネクタ8に対して、所要の機種に対応するように、装着用基板としての入力用基板3、出力用基板4および電源、通信などの機能毎の装着用基板9のコネクタを装着することにより、共用配線を介して各基板の図示しない専用回路、例えば、入力回路、出力回路、電源回路などが接続され、入力用基板3のメインCPU5が、各装着用基板4,9を識別してその機種に対応する制御動作を可能とし、これによって、装着用基板4,9を複数の機種で共用可能とするものである。
【0041】
このデジタルパネルメータ1は、横長のケース20を備え、このケース20の前面部に液晶等の表示部21と各種の操作キー22,22,…とが設けられている。デジタルパネルメータ1の内部回路は、機能毎にモジュール化されて、上述のように別個の基板で構成されている。
【0042】
ベース基板2は、ケース20の前面部に沿って設けられるもので、これには、表示部21の駆動回路や上述の表示用サブCPU6のほかに、他の基板3,4,9の専用回路である入力回路、出力回路、電源回路等を接続するための共用配線を備えている。
【0043】
入力用基板3は、専用回路として入力回路を備えるとともに、ベース基板2に装着された各基板4,9の専用回路の全体を制御して所要の機種として動作させる上述のメインCPU5が実装されている。
【0044】
再び、図1を参照して、この実施の形態では、デジタルパネルメータ1の出荷検査などにおいて、入力用基板3のメインCPU5と出力用基板4のサブCPU7との間のシリアル通信ライン(UART1)を、検査処理に必要な各CPU間の通信の全体を制御するパソコン10に接続し、シリアル通信ライン(UART1)を共用できるように次のように構成している。
【0045】
すなわち、出荷検査時には、通信制御CPUが実装された基板が搭載されて通信制御CPUとして機能するパソコン10を、メインCPU5とサブCPU7との間のシリアル通信ライン(UART1)に、電圧レベルを変換する通信変換機11を介して接続する一方、このパソコン10を、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)12および入出力ターミナル13に接続する。
【0046】
この実施の形態では、サブCPU7が実装された出力用基板4には、サブCPU7の通信を停止させる通信停止設定部となるピン端子25、サブCPU7の通信速度を変更する通信速度変更設定部となるピン端子26および装着用基板4の装着の有無に拘わらず、基板の種類を識別する信号の有効/無効を設定する機種設定部となるピン端子27が設けられている。
【0047】
このピン端子25およびピン端子26は、サブCPU7に接続されており、ピン端子27は、機種認識回路18に接続されており、この機種認識回路18を介して入力用基板3のメインCPU5に与えられる識別信号を有効あるいは無効とするように構成されている。
【0048】
入出力ターミナル13は、出力用基板4の前記各ピン端子25〜27および内部電源のピン端子28を用いて、サブCPU7の通信を停止させる通信停止スイッチ15、出力用基板4のサブCPU7の通信速度を変更する通信速度変更スイッチ16、および、出力用基板4を介して入力用基板3に対して装着用基板4の種類を識別する信号の有効/無効を設定する機種設定スイッチ17を構成し、各スイッチ15〜17が、パソコン10によって制御される。
【0049】
なお、ピン端子25〜28は、デジタルパネルメータ1を組み立てた状態で検査できるように、上述の図2のケース20に形成された開口から臨むように構成されている。
【0050】
上述の図3に示されるように、出力用基板4が、ベース基板2のコネクタ8に装着されると、ベース基板8の共用配線を介して出力用基板4に対応する識別用の信号が、入力用基板3のメインCPU5に与えられて装着された基板が識別されるのであるが、上述の機種設定スイッチ17は、基板の装着の有無に拘わらず、機種認識回路18およびベース基板2の共用配線を介して入力用基板3のメインCPU5に対する識別信号を有効あるいは無効とするものである。
【0051】
通信停止スイッチ15は、ONされて有効になると、サブCPU7の通信が停止され、OFFされて無効になると、サブCPU7の通信が許容される。
【0052】
また、通信速度変更スイッチ16は、ONされて有効になると、サブCPU7の通信速度が、例えば、9.6kbpsに設定され、OFFされて無効になると、サブCPU7の通信速度が、例えば、125kbpsに設定される。
【0053】
機種設定スイッチ17は、OFFされて有効になると、出力用基板4の機種認識回路18を介して入力用基板3のメインCPU5に対して、出力用基板4が装着されていることを示す識別信号が有効となり、これによって、メインCPU5は、通信速度を、例えば、125kbpsに設定する。また、ONされて無効になると、出力用基板4の機種認識回路18を介して入力用基板3のメインCPU5に対して、識別信号が無効とされ、これによって、メインCPU5は、通信速度を、例えば、9.6kbpsに設定する。
【0054】
すなわち、この実施の形態では、装着された基板の種類を識別するための信号ラインを利用してメインCPU5の通信速度の変更設定に利用している。
【0055】
なお、PLC12は、出力用基板4に接続され、出力用基板4の出力データの読み出しなどに使用され、出力用基板4が正しい出力データを出力しているか否かの検査に用いられる。
【0056】
次に、上記構成において、パソコン10、入力用基板3のメインCPU5および出力用基板4のサブCPU7によって、シリアル通信ライン(UART1)を共用して検査を行う場合の手順について、図4のフローチャートに基いて、説明する。
【0057】
この図4は、検査処理の全体を制御するパソコン10の処理を示している。
【0058】
(1)サブCPU7とメインCPU5との通信
先ず、出力用基板4のサブCPU7と入力用基板3のメインCPU5との通信を行わせるか否か判断し(ステップn1)、サブCPU7とメインCPU5との通信を行わせる場合には、入出力ターミナル13を制御して機種設定スイッチ17をOFFして識別信号を有効とし(ステップn2)、この識別信号が、出力用基板4を介して入力用基板3に与えられることにより、入力用基板3のメインCPU5は、通信速度を、例えば、125kbpsに設定する。
【0059】
次に、パソコン10は、入出力ターミナル13を制御して通信速度変更スイッチ16をOFFして無効とし(ステップn3)、これによって、出力用基板4のサブCPU7の通信速度が、例えば、125kbpsとされ、125kbpsの通信速度でサブCPU7とメインCPU5との間のシリアル通信(UART通信)が実行され、例えば、検査のためのダミーデータの送受信などが行われる(ステップn4)。このとき、パソコン10は、通信を行わず、通信が競合することがない。パソコン10は、サブCPU7とメインCPU5との通信が終了したことを、例えば、一定時間、電文の送受信がないことから判断する。
【0060】
なお、サブCPU7とメインCPU5との関係では、サブCPU7がマスタとなり、メインCPU5がスレーブとなり、スレーブであるメインCPU5は、マスタであるサブCPU7からの電文を受け付けて電文を返信し、自ら最初に電文を送信することはない。
【0061】
また、検査時以外の通常時(デフォルト状態)は、このサブCPU7とメインCPU5との通信ラインが有効となる。
【0062】
(2)サブCPU7とパソコン(PC)10との通信
ステップn1において、出力用基板4のサブCPU7と入力用基板3のメインCPU5との通信を行わせない場合には、出力用基板4のサブCPU7とパソコン(PC)10との通信を行なうか否かを判断し(ステップn5)、サブCPU7とパソコン10との通信を行う場合には、入出力ターミナル13を制御して機種設定スイッチ17をOFFして識別信号を有効とし(ステップn6)、この識別信号が、出力用基板4を介して入力用基板3に与えられることにより、入力用基板3のメインCPU5は、通信速度を、例えば、125kbpsに設定する。
【0063】
次に、パソコン10は、入出力ターミナル13を制御して通信速度変更スイッチ16をONして有効とし(ステップn7)、これによって、出力用基板4のサブCPU7の通信速度が、例えば、9.6kbpsとされ、9.6kbpsの通信速度でサブCPU7とパソコン10との間でシリアル通信(UART通信)が実行され(ステップn8)、例えば、検査のためのダミーデータの送受信などが行われる。このとき、スレーブである入力用基板3のメインCPU5は、通信速度が、125kbpsに設定されているので、9.6kbpsの通信速度で行われるサブCPU7とパソコン10と間の電文を受け付けることができず、通信が競合することはない。
【0064】
なお、サブCPU7とパソコン10との関係では、サブCPU7がマスタとなり、パソコン10がスレーブとなる。
【0065】
このサブCPU7とパソコン10との通信による検査では、出力用基板4単独としての検査が可能となる。
【0066】
(3)メインCPU5とパソコン10との通信
また、ステップn5において、出力用基板4のサブCPU7とパソコン10との通信を行わない場合には、パソコン10と入力用基板3のメインCPU5との通信を行うか否かを判断し(ステップn9)、パソコン10とメインCPU5との通信を行う場合には、入出力ターミナル13を制御して機種設定スイッチ17をONして識別信号を無効とし(ステップn10)、出力用基板4を介して入力用基板3に与えられる識別信号が無効になることにより、入力用基板3のメインCPU5は、通信速度を、例えば、9.6kbpsに変更する。次に、パソコン10は、入出力ターミナル13を制御して通信停止スイッチ15をONして有効とし(ステップn11)、これによって、出力用基板4のマスタとしてのサブCPU7が通信を停止する。
【0067】
これによって、9.6kbpsの通信速度でメインCPU5とパソコン10との間でシリアル通信(UART通信)が実行され(ステップn12)、例えば、メインCPU5へのデータの書き込みあるいはメインCPU5からのデータの読み出しが行われる。このとき、マスタとしてのサブCPU7の通信は、停止されており、通信が競合することがない。
【0068】
なお、メインCPU5とパソコン10との関係では、パソコン10がマスタとなり、メインCPU5がスレーブとなる。
【0069】
また、ベース基板2の表示用サブCPU6の検査は、シリアル通信ラインUART1を用いてメインCPU5を介して行なわれる。
【0070】
以上のようにして、検査時には、各CPU5,7およびパソコン10の間の通信が、メインCPU5のUART通信ポートとサブCPU7のUART通信ポートとの間のシリアル通信ライン(UART1)を共用して行われることになる。
【0071】
したがって、検査のために、別のシリアル通信ラインを設ける必要がない、すなわち、メインCPU5およびサブCPU7のシリアル通信ポートの数を増やす必要がなく、その分、安価なCPUを使用できることになる。
【0072】
また、メインCPU5の通信速度の変更を、メインCPU5が、ベース基板2に装着された出力用基板4やその他の装着用基板9を、識別するための共用配線を利用して行うので、別途、通信速度の変更のための信号ラインを設ける必要がない。
【0073】
さらに、デジタルパネルメータ1として組み立てた状態で、パソコン10が、通信を含む検査処理の全体を制御するので、検査の自動化を図ることが可能となる。
【0074】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、サブCPU7がマスタとして動作したけれども、例えば、メインCPUに通信停止スイッチを設けてマスタとして動作させてもよく、あるいは、マスタ/スレーブの切替えスイッチによって切替えられるようにしてもよい。
【0075】
上述の実施の形態では、入出力ターミナル13を介して各スイッチ15〜17を設定したけれども、本発明の他の実施の形態として、作業者が設定し、設定内容をパソコン10に入力するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、通信ラインを共用するデータ通信に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る通信ラインの共用方法が適用される検査システムの概略構成図である。
【図2】図1のデジタルパネルメータの斜視図である。
【図3】図2の内部の構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の動作説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 デジタルパネルメータ
5 メインCPU
7 サブCPU
10 パソコン
13 入出力ターミナル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUがそれぞれ実装された少なくとも3つの基板の各CPUによって、通信ラインを共用する方法であって、
少なくともいずれか一つの基板には、対応するCPUの通信を停止させる通信停止設定部および対応するCPUの通信速度を変更設定する通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部が設けられ、該設定部の設定を制御して通信ラインを共用することを特徴とする通信ラインの共用方法。
【請求項2】
前記通信ラインがシリアル通信ラインであり、いずれかの一つの基板のCPUを、各CPU間の通信の全体を制御する通信制御CPUとし、該通信制御CPUが、前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部を制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の通信ラインの共用方法。
【請求項3】
前記通信制御CPUが、出力用ターミナルを介して前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部を制御することを特徴とする請求項2に記載の通信ラインの共用方法。
【請求項4】
前記通信制御CPUが実装された基板以外の複数の他の基板は、機能に応じた専用回路をそれぞれ有するとともに、電子機器に搭載されることを特徴とする請求項2または3に記載の通信ラインの共用方法。
【請求項5】
前記電子機器には、共用配線を有するベース基板が搭載され、該ベース基板の接続部に、前記複数の他の基板が装着されることによって前記専用回路が共用配線に接続されるものであり、前記複数の他の基板の内の一方の基板に設けられた前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部の設定を制御することによって、前記共用配線を介して他方の基板のCPUの通信の停止および通信速度の変更の少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする請求項4に記載の通信ラインの共用方法。
【請求項6】
前記通信制御CPUは、前記電子機器の検査用のデータの送受信を、前記通信ラインを共用して行うように、前記通信停止設定部および前記通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部の設定を制御することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の通信ラインの共用方法。
【請求項7】
電子機器に搭載されるとともに、共通の通信ラインを介して他の複数のCPUとの通信が可能なCPUが実装された基板であって、
機能に応じた専用回路を有するとともに、対応するCPUの通信を停止させる通信停止設定部および対応するCPUの通信速度を変更設定する通信速度変更設定部の少なくともいずれか一方の設定部が設けられ、該設定部の設定が制御されて前記通信ラインを共用することを特徴とする基板。
【請求項8】
前記電子機器には、共用配線を有するベース基板と、前記他の複数のCPUの内の少なくとも一つのCPUが実装されるとともに、機能に応じた専用回路を有する基板とが搭載され、
前記電子機器に搭載された基板に実装された前記CPUが、前記共用配線に含まれる前記通信ラインを介して通信することを特徴とする請求項7に記載の基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−93924(P2006−93924A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274471(P2004−274471)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】