説明

通信方式判定方法、通信方式判定システム

【課題】現実の通信サービスにおける種々の条件に応じて的確にMIMO方式とSISO方式とを切換えて選択的に適用し得る実用的な通信方式判定方法、通信方式判定システムを提供する。
【解決手段】利用サービスの種別を認識する利用サービス認識部11において認識されている利用サービス、および、受信品質を認識する受信品質認識部12において認識されている受信品質とに基づいて、通信方式判定部13が当該通信にMIMO方式を適用するかSISO方式を適用するかを判定する。この判定には無線リソースの空き容量を認識する無線リソース空き容量認識部において認識されている無線リソースの空き容量を併せ勘案するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信等における通信方式判定方法、および、通信方式判定システムに関し、特に、MIMO(Multi-Input Multi-Output)方式と非MIMO方式(例えばSISO(Single-Input Single-Output)方式等)とを含む複数の通信方式のうち何れかの通信方式を選択的に適用する場合における適用すべき通信方式を判定する方法、および、このような判定を行う通信方式判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
MIMO方式は、複数のアンテナを用いて情報を伝送する通信方式であり、周波数スペクトラムを拡大することなく伝送ビットレートを飛躍的に向上させ、受信品質の向上を図ることが可能な通信方式として近年注目されている(例えば、非特許文献1参照)。このため、例えば画像データ等の大容量のデータを高速で伝送する場合等に適合した無線通信方式として、MIMOの応用に関する研究も進展する趨勢にある。
【0003】
しかしながら、MIMO通信方式は、受信電力、アンテナの空間相関、移動速度など、伝搬環境状況に強く依存している。即ち、受信電力の低い環境、アンテナ相関の高い環境では、MIMO方式における信号の分離が難しく多重効果が劣化する。
また、高速度での移動ではドップラーフェージングの影響によりMIMO方式による効果が劣化する。
【0004】
以上のような種々の伝搬環境に応じて、MIMO方式における信号の伝送速度は、従来のSISO方式より劣る場合があることは既に多くの実験結果からも知られている。
また、サービスのデータ量と求められるQoS品質によっては、SISO方式の方が確実な通信が行える。
従って、伝搬環境やサービスのデータ量の条件に応じてMIMO方式を適用すべきか否かを判断する必要がある。
MIMO方式を適用するに適した条件において、この方式を適用する技術は従来より種々提案されている。
例えば、MIMO方式の通信品質および指向性通信方式の通信品質の何れか一方に応じて、MIMO方式および指向性通信方式の何れか一方を選択的に適用するといった提案がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の提案では、MIMO方式で通信(受信)を行うMIMO受信処理機能部で復調されたMIMO用パイロット信号に基づいて、MIMO方式による場合の通信品質、例えば受信SIR(Signal to Interference Ratio)を測定する。
一方、ダイバーシチ受信信号処理機能部によって基地局から指向性通信方式で送信された信号の復調を行い、該復調された信号中のビームフォーミング用パイロット信号に基づいて、指向性通信方式における通信品質、例えば受信SIRを測定する。
【0006】
そして、これら両方式による各受信SIRの測定値のうち少なくとも何れかに基づいて、切換え制御手段によって、MIMO方式および指向性通信方式の何れか一方を選択的に適用する。
上記特許文献1の提案よりも更に一般的に、異なる通信方式を切換えて適用する技術が、特許文献1に先立って提案されている。
即ち、移動機を使用するユーザが利用する通信の種別を示す通信種別情報を通信種別情報取得手段で取得し、該通信種別情報に基づいて、ユーザが利用する移動機と基地局との間での通信に適用する無線通信方式を切換えるという提案である(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
他方、MIMO方式の通信におけるアンテナ素子の数を増やすことなく受信信号のレベル差の低減と高感度化を図る技術において、状況に応じて、通信方式をMIMO方式からSISO方式に切換えることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
更にまた、アダプティブアレイ方式またはMIMO方式の何れが優位であるかを適宜判断して、両方式を、通信の連続性を保持したままで切換えるといった技術も提案されている(例えば、特許文献4および5参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2006−287669号公報(要約、請求項1、段落0012〜段落0021等)
【特許文献2】特開2003−125447号公報(要約、請求項1、段落0048〜段落0049等)
【特許文献3】特開2008−72704号公報(請求項5、請求項6、段落0099等)
【特許文献4】特開2007−124207号公報(要約、請求項1、請求項3、段落0036等)
【特許文献5】特開2006−270730号公報(要約、請求項1、段落0020〜段落0022等)
【非特許文献1】“Introduction to Space-Time Wireless Communication”, “2003”, “Arogyaswami Paulraj, Rohit Nabar, Dhananjay Gore 著”, “Cambridge University Press 発行”, “ISBN 0-521-82615-2”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、現在のIEEE802.11nの無線LANシステムや、近未来のLTE(Long Term Evolution)移動通信システム(Super 3G)においてMIMOの技術が導入されている。MIMO方式の通信システムでは、利用するアンテナの数と演算の形態を選択することによって、従来のSISO方式の通信システムとして作動させることが可能である。
しかしながら、MIMO方式とSISO方式(非MIMO方式)とを切換えて選択的に適用する場合、その選択における判定の基準については未だ定義されるに到っていない。
【0010】
また、上掲の何れの特許文献においても、現実の場面において考慮される種々の条件に応じて的確にMIMO方式と非MIMO方式とを切換えて選択的に適用し得る実用的な判定の基準を提供し得ていない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、現実の通信サービスにおける種々の条件に応じて的確にMIMO方式と非MIMO方式とを切換えて選択的に適用し得る実用的な通信方式判定方法、通信方式判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するべく、本願では次に列記するような技術を提案する。
本発明の請求項1の通信方式判定方法は:
所定のノード間における通信にMIMO(Multi-Input Multi-Output)方式とMIMO方式に依らない非MIMO方式とを含む複数の通信方式のうちの一の通信方式を選択的に適用するための判定を行う通信方式判定方法であって、
当該ノード間での通信における利用サービスの種別を認識する利用サービス認識ステップと、
当該ノード間での通信における受信品質を認識する受信品質認識ステップと、
前記利用サービス認識ステップで認識された利用サービスの種別と前記受信品質認識ステップで認識された受信品質とに応じて当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定する通信方式判定ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0012】
上記請求項1の通信方式判定方法では、所定のノード間における通信にMIMO方式とMIMO方式に依らない非MIMO方式とを含む複数の通信方式のうちの一の通信方式を選択的に適用するための判定を行う。
上記利用サービス認識ステップでは、当該ノード間での通信における利用サービスの種別を認識する。
また、上記受信品質認識ステップでは、当該ノード間での通信における受信品質を認識する。
上述の利用サービス認識ステップおよび受信品質認識ステップは、双方のステップを実行する順序は問わない。
上記通信方式判定ステップでは、利用サービス認識ステップで認識された利用サービスの種別と受信品質認識ステップで認識された受信品質とに応じて当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定する。
【0013】
本発明の請求項2の通信方式判定方法は:
上記請求項1の通信方式判定方法において特に、当該ノード間での通信における現在時点での無線リソースの空き容量を認識する無線リソース空き容量認識ステップを更に含み、
前記通信方式判定ステップは、前記利用サービス認識ステップで認識された利用サービスの種別、前記受信品質認識ステップで認識された受信品質、および、前記無線リソース空き容量認識ステップで認識された無線リソースの空き容量に応じて、当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定することを特徴とする。
【0014】
上記請求項2の通信方式判定方法では、上記無線リソース空き容量認識ステップによって当該ノード間での通信における現在時点での無線リソースの空き容量を認識する。
そして特に、上記通信方式判定ステップで、前記利用サービス認識ステップで認識された利用サービスの種別、前記受信品質認識ステップで認識された受信品質、および、前記無線リソース空き容量認識ステップで認識された無線リソースの空き容量に応じて、当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定する。
【0015】
本発明の請求項3の通信方式判定方法は:
上記請求項1の通信方式判定方法において特に、
前記非MIMO方式はSISO(Single-Input Single-Output)方式、受信ダイバーシチ方式、送信ダイバーシチ方式、および、アダプティブアレーアンテナ方式の何れかであることを特徴とする。
上記請求項3の通信方式判定方法では、前記非MIMO方式としてSISO方式、受信ダイバーシチ方式、送信ダイバーシチ方式、および、アダプティブアレーアンテナ方式の何れかの方式が適用される。
【0016】
本発明の請求項4の通信方式判定システムは:
所定のノード間における通信にMIMO(Multi-Input Multi-Output)方式とMIMO方式に依らない非MIMO方式とを含む複数の通信方式のうちの一の通信方式を選択的に適用するための通信方式判定方法が実施されるシステムの概要であって、
当該ノード間での通信における利用サービスの種別を認識するように当該ノードの何れかに設けられた利用サービス認識部と、
当該ノード間での通信における受信品質を認識するように当該ノードの何れかに設けられた受信品質認識部と、
前記利用サービス認識部で認識された利用サービスの種別と前記受信品質認識部で認識された受信品質とに応じて当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定するように当該ノードの何れかに設けられた通信方式判定部と、
を含むことを特徴とする。
【0017】
上記請求項4の通信方式判定システムでは、所定のノード間における通信にMIMO方式とMIMO方式に依らない非MIMO方式とを含む複数の通信方式のうちの一の通信方式を選択的に適用するための判定を行う。
上記利用サービス認識部では、当該ノード間での通信における利用サービスの種別を認識する。
【0018】
また、上記受信品質認識部では、当該ノード間での通信における受信品質を認識する。
更に、上記通信方式判定部では、前記利用サービス認識部で認識された利用サービスの種別と前記受信品質認識部で認識された受信品質とに応じて当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定する。
上記利用サービス認識部、受信品質認識部、および、通信方式判定部は、前記所定のノードのうち、各該当するノードに設けられ、上述の如く機能する。
【0019】
本発明の請求項5の通信方式判定システムは:
上記請求項4の通信方式判定システムにおいて特に、当該ノード間での通信における現在時点での無線リソースの空き容量を認識する認識するように当該ノードの何れかに設けられた無線リソース空き容量認識部を更に含み、
前記通信方式判定部は、前記利用サービス認識部で認識された利用サービスの種別、前記受信品質認識部で認識された受信品質、および、前記無線リソース空き容量認識部で認識された無線リソースの空き容量に応じて、当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定することを特徴とする。
【0020】
上記請求項5の通信方式判定システムでは、上記無線リソース空き容量認識部によって当該ノード間での通信における現在時点での無線リソースの空き容量を認識する。
そして特に、上記通信方式判定部で、前記利用サービス認識部で認識された利用サービスの種別、前記受信品質認識部で認識された受信品質、および、前記無線リソース空き容量認識部で認識された無線リソースの空き容量に応じて、当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定する。
上記利用サービス認識部、受信品質認識部、および、通信方式判定部、ならびに、無線リソース空き容量認識部は、前記所定のノードのうち、各該当するノードに設けられ、上述の如く機能する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現実の通信サービスにおける種々の条件に応じて的確にMIMO方式と非MIMO方式とを切換えて選択的に適用し得る実用的な通信方式判定方法、通信方式判定システムが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより本発明を明らかにする。
尚、以下に参照する各図では、本発明の要部に係わる部分については適宜誇張し、それ以外の部分については適宜簡略化され、ないしは、省略されている。
(本発明の第1の実施の形態としての携帯情報端末装置の構成)
図1は、本発明の通信方式判定方法が実施されるシステムの概要を表す概念図である。
【0023】
図1において、本発明の通信方式判定方法が実施される通信方式判定システム10は、利用サービス認識部11、受信品質認識部12、および、通信方式判定部13を含んで構成される。
本発明の一つの実施の形態において、この通信方式判定システム10は、更に、破線図示の無線リソース空き容量認識部14を含んで構成され得る。
【0024】
しかしながら、本発明の通信方式判定方法が実施される通信方式判定システムは、必ずしもこの無線リソース空き容量認識部14(これによる処理である無線リソース空き容量認識ステップ)が設定されることを必須とするものではない。
これら利用サービス認識部11、受信品質認識部12、および、通信方式判定部13、ならびに、無線リソース空き容量認識部14は、本発明の方法が実施される通信方式判定システムに含まれる所定の複数のノードのうち、例えば基地局(BTS:Base Transceiver Station)や移動端末装置(UE:User Equipment)である各該当するノードに設けられる。
【0025】
利用サービス認識部11、受信品質認識部12、および、通信方式判定部13、ならびに、無線リソース空き容量認識部14である各機能部が、具体的に何れのノードに実装されるかについては種々の態様が選択され得るが、これらの例については後述する。
上述の構成において、利用サービス認識部11では、当該ノード間での通信における利用サービスの種別を認識する。
【0026】
受信品質認識部12では、当該ノード間での通信における受信品質を認識する。
通信方式判定部13では、利用サービス認識部11で認識された利用サービスの種別と受信品質認識部12で認識された受信品質とに応じて当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定する。
この判定は、後に詳述するように、移動端末装置における利用サービスによって、MIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定し、更に、移動端末装置における受信品質に応じてこの判定を行う態様が採られ得るが、利用サービスと受信品質との双方を勘案して一度に判定を行なう態様を採ることもできる。
【0027】
図2は、図1のシステムの一つの態様を表す概念図である。移動端末装置(UE)21は情報の伝搬路としての無線空間WTを介して基地局(BTS)22と接続され、この基地局22はサービスゲートウェイ23と有線で接続されている。
サービスゲートウェイ23はインターネット24と接続され、このインターネット24に接続された接続先のサイトないしサーバ25から情報が取得される。
以上の構成において、移動端末装置(UE)21は基地局(BTS)22を通してサービスゲートウェイ23にサービス要求を送信する。
サービスゲートウェイ23は、移動端末装置(UE)21の情報とサービス要求から接続先を検出して、移動端末装置(UE)21から接続先のサイトないしサーバ25への接続を確立する。
【0028】
図2において、移動端末装置(UE)21から基地局(BTS)22に向けての「サービス要求」と表記された実線の矢線、および、基地局(BTS)22からサービスゲートウェイ23に向けての「ユーザ情報および要求サービス送信」と表記された実線の矢線は、移動端末装置(UE)21、基地局(BTS)22、および、サービスゲートウェイ23間における接続制御の流れを表している。
また、接続先のサイトないしサーバ25→インターネット24→サービスゲートウェイ23→基地局(BTS)22→移動端末装置(UE)21の実線の矢線は、接続先とのデータの流れを表している。
本発明における通信方式判定システム20として観念される部分は、上記のうち、移動端末装置(UE)21とサービスゲートウェイ23との間の部分である。
【0029】
後に詳述するように、移動端末装置(UE)21と基地局(BTS)22とは複数のアンテナを用いてMIMO方式の通信を行なうことが可能に構成される。
本発明のシステムでは、サービスゲートウェイ23から基地局(BTS)22に向けた「サービス概要を送信」と表記された破線の矢線のように情報が供給され、更に、基地局(BTS)22から移動端末装置(UE)21に向けた「MIMOの通知」と表記された破線の矢線のように情報が供給されて、移動端末装置(UE)21および基地局(BTS)22間でMIMO方式の通信が行なわれる。
【0030】
図3は、図1の通信方式判定システム10においてリソース余裕度合い認識部14を含まない第1の実施の形態を表す機能ブロック図である。
図1の通信方式判定システム10に対応する通信方式判定システム300は、移動端末装置310と基地局350とが無線による情報の伝搬路である無線空間WTで結ばれて構成される。
移動端末装置310は、複数のアンテナ311を備えたアンテナ回路312が接続されて外部と無線により情報の授受を行う送受信部313が設けられ、この送受信部313における受信レベルが受信レベル測定部314によって検出されるように構成されている。
【0031】
これらアンテナ回路312、送受信部313、および、受信レベル測定部314は、この移動端末装置310の動作を統括的に管理する制御部315によって管理され、ユーザによる操作を受付ける操作部316からの操作に関する信号もこの制御部315に入力されるように構成されている。
制御部315は、例えば、マイクロプロセッサを主体に構成され、基地局350との通信に適用する通信方式を基地局350側から通知されたときに、該通知された通信方式で作動するように移動端末装置310側における該当各部を設定する通信方式設定部317が設けられている。
【0032】
一方、基地局350は、複数のアンテナ351aを備え一または複数の移動端末装置と無線によって情報の授受を行う無線通信部351、サービス要求受付け部352、サービス・ユーザ情報取得部353、利用サービス認識部354、受信品質情報取得部355、および、受信品質認識部356が設けられ、これらは、基地局350の動作を統括的に管理する制御部317によって管理されるように構成されている。
【0033】
この制御部357に、後述する通信方式判定部358が設定される。
サービス要求受付け部352は、移動端末装置310側からのサービス要求に関する受付け処理を実行する。
サービス・ユーザ情報取得部353は、この種の移動通信における通信用の伝送路確立の過程において一般的に行なわれる様に、図示されないHLR(Home Location Resister)などとの通信によって、ユーザ情報を取得する。
【0034】
利用サービス認識部354は、サービス要求受付け部352で受付けたユーザからの操作に基づくサービスの要求内容およびサービス・ユーザ情報取得部353が取得したユーザ情報等に基づくサービスゲートウェイ23(図2)との情報の授受に基づいてユーザが意図している通信に係る利用サービスの種別を割り出して認識する。
受信品質情報取得部355は、移動端末装置310の受信レベル測定部314によって検出され、送信され無線通信部351で受信した受信レベルの情報を受信品質情報として取得する。
【0035】
更に、受信品質認識部356は、受信品質情報取得部355が取得した情報に基づいて移動端末装置310における受信品質を認識する。
上述のようにして、利用サービス認識部354で認識された利用サービスの種別に関する情報、および、受信品質認識部356で認識された移動端末装置310における受信品質に関する情報に基づいて、制御部357の通信方式判定部358が、移動端末装置310と基地局350との通信に適用する通信方式を判定する。この判定の詳細については適宜図面を参照して後述する。
【0036】
以上述べたところから容易に理解されるとおり、図3の、本発明の第1の実施の形態では、基地局350主導の形態で通信方式の判定が行なわれる。
このようにして基地局350(その通信方式判定部358)によって判定された通信方式の種別が無線通信部351から無線空間WTを通して移動端末装置310のアンテナ回路312から制御部315に通知される。
上述のように判定された通信方式がMIMO方式である場合には、この通知に基づいて、制御部315に設けられた通信方式設定部317が、アンテナ回路312におけるアンテナの適用のし方や演算の方式をMIMO方式の通信を行なうに適合した形態に設定する。
【0037】
他方、上述のように判定された通信方式がMIMO方式以外の非MIMO方式である場合には、この通知に基づいて、制御部315に設けられた通信方式設定部317が、アンテナ回路312におけるアンテナの適用のし方や演算の方式を非MIMO方式の通信を行なうに適合した形態に設定する。
ここに、非MIMO方式としては、SISO(Single-Input Single-Output)方式、または、受信ダイバーシチ方式、もしくは、送信ダイバーシチ方式のうちの何れか一のものが選択され得る。
【0038】
図4は、図1の通信方式判定システム10において無線リソース空き容量認識部14を含む本発明の第2の実施の形態を表す機能ブロック図である。
図1の通信方式判定システム10に対応する通信方式判定システム400は、移動端末装置410と基地局450とが無線による情報の伝搬路である無線空間WTで結ばれて構成される。
通信方式判定システム400における移動端末装置410の構成は、図3の第1の実施の形態におけるものと同様である。
【0039】
即ち、移動端末装置410は、複数のアンテナ411を備えたアンテナ回路412が接続されて外部と無線により情報の授受を行う送受信部413が設けられ、この送受信部413における受信レベルが受信レベル測定部414によって検出されるように構成されている。
これらアンテナ回路412、送受信部413、受信レベル測定部414は、この移動端末装置410の動作を統括的に管理する制御部415によって管理され、ユーザによる操作を受付ける操作部416からの操作に関する信号もこの制御部415に入力されるように構成されている。
【0040】
また、制御部415は、例えば、マイクロプロセッサを主体に構成され、基地局450との通信に適用する通信方式を基地局450側から通知されたときに、該通知された通信方式で作動するように移動端末装置410側における該当各部を設定する通信方式設定部417が設けられている。
一方、基地局450に、複数のアンテナ451aを備えた無線通信部451、サービス要求受付け部452、サービス・ユーザ情報取得部453、利用サービス認識部454、受信品質情報取得部455、および、受信品質認識部456が設けられ、これらが制御部457によって統括的に管理される構成については、図3の第1の実施の形態同様である。
【0041】
特に、この図4の第2の実施の形態では、無線リソース空き容量認識部459が設けられ、この無線リソース空き容量認識部459によって、現在時点での通信における無線リソースの空き容量が認識される。
制御部457に設けられた通信方式判定部458は、この無線リソース空き容量認識部459による無線リソースの空き容量に係る認識を併せ勘案して通信方式を判定するように構成され、この点では図3の第1の実施の形態と異なる。
【0042】
即ち、制御部457の通信方式判定部458は、利用サービス認識部454で認識された利用サービスの種別に関する情報、および、受信品質認識部456で認識された移動端末装置410における受信品質に関する情報、ならびに、無線リソース空き容量認識部459で認識された現在時点での通信における無線リソースの空き容量に関する情報に基づいて、移動端末装置410と基地局450との通信に適用する通信方式を判定する。この判定の詳細については適宜図面を参照して後述する。
【0043】
以上のとおり、図4の、本発明の第2の実施の形態においても、基地局450主導の形態で通信方式の判定が行なわれる。
このようにして基地局450(その通信方式判定部458)によって判定された通信方式の種別が無線通信部451から無線空間WTを通して移動端末装置410のアンテナ回路412から制御部415に通知される。
上述のように判定された通信方式がMIMO方式である場合には、この通知に基づいて、制御部415に設けられた通信方式設定部417が、アンテナ回路412におけるアンテナの適用のし方や演算の方式をMIMO方式の通信を行なうに適合した形態に設定する。
【0044】
他方、上述のように判定された通信方式がMIMO方式以外の非MIMO方式である場合には、この通知に基づいて、制御部415に設けられた通信方式設定部417が、アンテナ回路412におけるアンテナの適用のし方や演算の方式を非MIMO方式の通信を行なうに適合した形態に設定する。
図3の実施の形態と同様に、非MIMO方式としては、SISO方式、または、受信ダイバーシチ方式、もしくは、送信ダイバーシチ方式のうちの何れか一のものが選択され得る。
【0045】
図5は、図1の通信方式判定システム10においてリソース余裕度合い認識部14を含まない本発明の第3の実施の形態を表す機能ブロック図である。
図1の通信方式判定システム10に対応する通信方式判定システム500は、移動端末装置510と基地局550とが無線による情報の伝搬路である無線空間WTで結ばれて構成される。
移動端末装置510は、複数のアンテナ511を備えたアンテナ回路512が接続されて外部と無線により情報の授受を行う送受信部513が設けられ、この送受信部513における受信レベルが受信レベル測定部514によって検出されるように構成されている。
【0046】
移動端末装置510には、更に、操作部516、利用サービス認識部517、および、受信品質認識部518が設けられている。
操作部516は、ユーザによる操作を受付け、受付けた操作を表す信号を生成する。
利用サービス認識部517は、後述するように基地局550側との情報の授受によってユーザが意図している通信に係る利用サービスの種別を割り出して認識する。
【0047】
受信品質認識部518は、受信レベル測定部514が検出した受信レベルの情報に基づいて移動端末装置510における受信品質を認識する。
上述の、アンテナ回路512、送受信部513、受信レベル測定部514、利用サービス認識部517、および、受信品質認識部518は、この移動端末装置510の動作を統括的に管理する制御部515によって管理され、ユーザによる操作を受付ける操作部516からの操作に関する信号もこの制御部515に入力されるように構成されている。
【0048】
制御部515は、例えば、マイクロプロセッサを主体に構成され、通信方式判定部519、および、通信方式設定部520が設けられている。
通信方式判定部519は、利用サービス認識部517が認識している利用サービスの種別を表す情報、および、受信品質認識部518が認識している受信品質を表す情報に基づいて、基地局550との通信に適用する通信方式を判定する。
【0049】
また、通信方式設定部520は、通信方式判定部519によって判定された通信方式で作動するように移動端末装置510の該当各部を設定する。
一方、基地局550は、複数のアンテナ551aを備え一または複数の移動端末装置と無線によって情報の授受を行う無線通信部551、サービス要求受付け部552、および、サービス・ユーザ情報取得部553が設けられ、これらは、基地局550の動作を統括的に管理する制御部554によって管理されるように構成されている。
【0050】
サービス要求受付け部552は、移動端末装置510側からのサービス要求に関する受付け処理を実行する。
サービス・ユーザ情報取得部553は、この種の移動通信における通信用の伝送路確立の過程において一般的に行なわれる様に、図示されないHLR(Home Location Resister)などとの通信によって、ユーザ情報を取得する。
サービス・ユーザ情報取得部553は、また、サービス要求受付け部552で受付けたユーザからの操作に基づくサービスの要求内容、および、サービス・ユーザ情報取得部553が取得したユーザ情報等に基づいて、ユーザが意図している通信に係る利用サービスの種別に関連する情報を取得する。
【0051】
上述のようにしてサービス・ユーザ情報取得部553が取得した情報は、無線通信部551を通して移動端末装置510に供給される。
移動端末装置510の利用サービス認識部517は、サービス・ユーザ情報取得部553が取得し無線通信部551を通して供給された情報に基づいてユーザが意図している通信に係る利用サービスの種別を割り出して認識する。
【0052】
既述のように、移動端末装置510側では、通信方式判定部519が、上述のようにして利用サービス認識部517が認識している利用サービスの種別を表す情報、および、受信品質認識部518が認識している受信品質を表す情報に基づいて、基地局550との通信に適用する通信方式を判定し、通信方式設定部520が、該判定された通信方式で作動するように移動端末装置510の該当各部を設定する。この判定の詳細については適宜図面を参照して後述する。
【0053】
以上述べたところから容易に理解されるとおり、図5の、本発明の第3の実施の形態では、移動端末装置510主導の形態で通信方式の判定が行なわれる。
上述のように判定された通信方式がMIMO方式である場合には、この判定に基づいて、制御部515に設けられた通信方式設定部520が、アンテナ回路512におけるアンテナの適用のし方や演算の方式をMIMO方式の通信を行なうに適合した形態に設定する。
【0054】
他方、上述のように判定された通信方式がMIMO方式以外の非MIMO方式である場合には、この判定に基づいて、制御部515に設けられた通信方式設定部520が、アンテナ回路512におけるアンテナの適用のし方や演算の方式を非MIMO方式の通信を行なうに適合した形態に設定する。
ここに、非MIMO方式としては、SISO方式、または、受信ダイバーシチ方式、もしくは、送信ダイバーシチ方式のうちの何れか一のものが選択され得る。
【0055】
図6は、図1の通信方式判定システム10において無線リソース空き容量認識部14を含む本発明の第4の実施の形態を表す機能ブロック図である。
図1の通信方式判定システム10に対応する通信方式判定システム600は、移動端末装置610と基地局650とが無線による情報の伝搬路である無線空間WTで結ばれて構成される。
通信方式判定システム600における移動端末装置610の構成は、図5の第3の実施の形態におけるものと同様の部分を含み、更に、後述する無線リソース空き容量認識部621を含んでいる。
【0056】
即ち、移動端末装置610は、複数のアンテナ611を備えたアンテナ回路612が接続されて外部と無線により情報の授受を行う送受信部613が設けられ、この送受信部613における受信レベルが受信レベル測定部614によって検出されるように構成されている。
移動端末装置610には、更に、操作部616、利用サービス認識部617、および、受信品質認識部618、ならびに、無線リソース空き容量認識部621が設けられている。
【0057】
操作部616は、ユーザによる操作を受付け、受付けた操作を表す信号を生成する。
また、利用サービス認識部617は、後述するように基地局650側との情報の授受によってユーザが意図している通信に係る利用サービスの種別を割り出して認識する。
受信品質認識部618は、受信レベル測定部614が検出した受信レベルの情報に基づいて移動端末装置610における受信品質を認識する。
【0058】
更に、無線リソース空き容量認識部621は、後述するように基地局650側から供給される情報に基づいて、現在時点での通信における無線リソースの空き容量を認識する。
上述の、アンテナ回路612、送受信部613、受信レベル測定部614、利用サービス認識部617、および、受信品質認識部618、ならびに、無線リソース空き容量認識部621は、この移動端末装置610の動作を統括的に管理する制御部615によって管理され、ユーザによる操作を受付ける操作部616からの操作に関する信号もこの制御部615に入力されるように構成されている。
【0059】
制御部615は、例えば、マイクロプロセッサを主体に構成され、通信方式判定部619、および、通信方式設定部620が設けられている。
特に、この図6の第4の実施の形態では、無線リソース空き容量認識部621が設けられ、この無線リソース空き容量認識部621によって、現在時点での通信における無線リソースの空き容量が認識される。
【0060】
無線リソース空き容量認識部621は、後述する基地局650の無線リソース空き容量情報取得部655から無線通信部651を通して供給される情報に基づいて、現在時点での通信における無線リソースの空き容量を認識する。
制御部615に設けられた通信方式判定部619は、この無線リソース空き容量認識部621による無線リソースの空き容量に係る認識を併せ勘案して通信方式を判定するように構成され、この点では図5の第3の実施の形態としての移動端末装置510とは構成を異にする。
【0061】
即ち、制御部615の通信方式判定部619は、利用サービス認識部617で認識された利用サービスの種別に関する情報、および、受信品質認識部618で認識された移動端末装置610における受信品質に関する情報、ならびに、無線リソース空き容量認識部621で認識された現在時点での通信における無線リソースの空き容量に関する情報に基づいて、移動端末装置610と基地局650との通信に適用する通信方式を判定する。この判定の詳細については適宜図面を参照して後述する。
【0062】
一方、基地局650の構成も、部分的には、既述の図5の第3の実施の形態と同様である。
即ち、複数のアンテナ651aを備え一または複数の移動端末装置と無線によって情報の授受を行う無線通信部651、サービス要求受付け部652、および、サービス・ユーザ情報取得部653が設けられ、これらは、基地局650の動作を統括的に管理する制御部654によって管理されるように構成されている。
サービス要求受付け部652は、移動端末装置610側からのサービス要求に関する受付け処理を実行する。
サービス・ユーザ情報取得部653は、この種の移動通信における通信用の伝送路確立の過程において一般的に行なわれる様に、図示されないHLR(Home Location Resister)などとの通信によって、ユーザ情報を取得する。
【0063】
サービス・ユーザ情報取得部653は、また、サービス要求受付け部652で受付けたユーザからの操作に基づくサービスの要求内容、および、サービス・ユーザ情報取得部653が取得したユーザ情報等に基づいて、ユーザが意図している通信に係る利用サービスの種別に関連する情報を取得する。
特に、この図6の第4の実施の形態では、無線リソース空き容量情報取得部655が設けられ、この無線リソース空き容量情報取得部655によって、現在時点での通信における無線リソースの空き容量の情報が取得される。
【0064】
上述のようにしてサービス・ユーザ情報取得部653が取得した情報、および、無線リソース空き容量情報取得部655が取得した情報は、無線通信部651を通して移動端末装置610に供給され、既述のように無線リソース空き容量認識部621で認識される。
移動端末装置610の利用サービス認識部617は、サービス・ユーザ情報取得部653が取得し無線通信部651を通して供給された情報に基づいてユーザが意図している通信に係る利用サービスの種別を割り出して認識する。
【0065】
移動端末装置610側では、通信方式判定部619が、上述のようにして利用サービス認識部617が認識している利用サービスの種別を表す情報、および、受信品質認識部618が認識している受信品質を表す情報、ならびに、無線リソース空き容量認識部621が認識している無線リソースの空き容量の情報に基づいて、基地局650との通信に適用する通信方式を判定し、通信方式設定部620が、該判定された通信方式で作動するように移動端末装置610の該当各部を設定する。この判定の詳細については適宜図面を参照して後述する。
【0066】
以上のとおり、図6の、本発明の第4の実施の形態も、図5の、本発明の第3の実施の形態と同様に、移動端末装置610主導の形態で通信方式の判定が行なわれる。
上述のように判定された通信方式がMIMO方式である場合には、この判定に基づいて、制御部615に設けられた通信方式設定部620が、アンテナ回路612におけるアンテナの適用のし方や演算の方式をMIMO方式の通信を行なうに適合した形態に設定する。
【0067】
他方、上述のように判定された通信方式がMIMO方式以外の非MIMO方式である場合には、この判定に基づいて、制御部615に設けられた通信方式設定部620が、アンテナ回路612におけるアンテナの適用のし方や演算の方式を非MIMO方式の通信を行なうに適合した形態に設定する。
ここに、非MIMO方式としては、SISO方式、または、受信ダイバーシチ方式、もしくは、送信ダイバーシチ方式のうちの何れか一のものが選択され得る。
【0068】
以上、図3、図4、図5、および図6を参照して説明した本発明の第1ないし第4の実施の形態としての通信方式判定システムにおける、移動端末装置、基地局、および、サービスゲートウェイ間での情報の授受における手順に関して、それぞれシーケンスチャートを参照して説明する。
尚、シーケンスチャートを参照しての説明では、移動端末装置および基地局の何れの機能部の作用によって、該当する各動作が行なわれるかについては、図3、図4、図5、および図6を参照して説明したところから自明であるため、各個の機能部の作用を再度に亘って説明することは省略する。
【0069】
また、基地局が、自局で適用する通信方式を認識した場合には、その通信方式で通信を行なう状態に各部が設定されることは当然であり、以下の各シーケンスチャートを参照しての説明では、逐一この点に言及することは省略してある。
図7は、図3の通信方式判定システムの動作の一例を表すシーケンスチャートである。
ユーザの操作に応じて移動端末装置から基地局にサービス要求が発せられると(ステップS701)、基地局では、このサービス要求に対応するサービスの内容を表す情報(「要求サービス」と表記)およびユーザ情報(その移動端末装置に関する加入者情報等)をサービスゲートウェイに送る(ステップS702)。
【0070】
サービスゲートウェイは、ステップS702で送られてきた情報に応答して、その利用サービスの概要を表す情報を基地局に返す(ステップS703)。
基地局は、ステップS703で返されてきた情報に基づいて、ステップS701におけるサービス要求に該当する利用サービスの種別を認識する(ステップS704)。
ステップS704において認識される利用サービスの種別は、例えば、MIMO方式を用いるに適合する種別であり得る。
【0071】
基地局は、次いで、移動端末装置に受信品質を表す情報の送信を要求する(ステップS705)。
ステップS705の要求に応じて、移動端末装置は、受信品質を表す情報を基地局に供給する(ステップS706)。
ステップS706で供給された情報に基づいて、基地局は、現在時点での受信品質を認識する(ステップS707)。
基地局は、ステップS704で認識した利用サービスの種別に関する情報、および、ステップS707で認識した現在時点での受信品質に関する情報に基づいて、現在時点の条件下で適用すべき通信方式を判定する(ステップS708)。
【0072】
ステップS708における判定では、例えば、MIMO方式を適用するという結果を得ることになる。
基地局は更に、ステップS708で判定した結果としての通信方式を表す情報を移動端末装置に通知する(ステップS709)。
ステップS709での通知を受けた移動端末装置では、アンテナの適用のし方や演算の態様を通知された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS710)。
【0073】
図8は、図3の通信方式判定システムの動作の他の例を表すシーケンスチャートである。
ユーザの操作に応じて移動端末装置から基地局にサービス要求が発せられると(ステップS801)、基地局では、このサービス要求に対応するサービスの内容を表す情報(「要求サービス」と表記)およびユーザ情報(その移動端末装置に関する加入者情報等)をサービスゲートウェイに送る(ステップS802)。
サービスゲートウェイは、ステップS802で送られてきた情報に応答して、その利用サービスの概要を表す情報を基地局に返す(ステップS803)。
【0074】
この、図8の場合は、図7の場合と異なり、基地局は、ステップS803で返されてきた利用サービスの概要を表す情報に基づいて、現在時点の条件下で適用すべき通信方式を判定する(ステップS804)。
ステップS804における判定結果としての通信方式は、例えば、MIMO方式であり得る。
基地局はステップS804における判定結果を移動端末装置に通知する(ステップS805)。
ステップS805での通知に応じて、移動端末装置は、アンテナの適用のし方や演算の態様を通知された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS806)。
【0075】
ステップS806での設定が完了すると、移動端末装置は基地局に対し、通信方式設定完了通知を発する(ステップS807)。
ステップS807での通知を受信した基地局は、移動端末装置に対し、現在時点での受信品質を表す情報の送信を要求する(ステップS808)。
ステップS808の要求に応じて、移動端末装置は、受信品質を表す情報を基地局に供給する(ステップS809)。
ステップS809で供給された情報に基づいて、基地局は、現在時点での受信品質を認識する(ステップS810)。
【0076】
基地局は、ステップS810で認識した現在時点での受信品質に関する情報に基づいて、現在時点の条件下で適用すべき通信方式を判定する(ステップS811)。
ステップS811における判定では、例えば、先にステップS806で設定されたMIMO方式を維持するという結果を得ることになる。
基地局は更に、ステップS811で判定した結果としての通信方式を表す情報を移動端末装置に通知する(ステップS812)。
【0077】
ステップS812での通知を受けた移動端末装置では、アンテナの適用のし方や演算の態様を通知された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS813)。
ステップS813での設定は、ステップS811での判定結果が、例えば、先にステップS806で設定されたMIMO方式を維持するという趣旨である場合には、この設定を変更する必要がないため、ステップS806での設定を維持することになる。
【0078】
図9は、図4の通信方式判定システムの動作の一例を表すシーケンスチャートである。
ユーザの操作に応じて移動端末装置から基地局にサービス要求が発せられると(ステップS901)、基地局では、このサービス要求に対応するサービスの内容を表す情報(「要求サービス」と表記)およびユーザ情報(その移動端末装置に関する加入者情報等)をサービスゲートウェイに送る(ステップS902)。
【0079】
サービスゲートウェイは、ステップS902で送られてきた情報に応答して、その利用サービスの概要を表す情報を基地局に返す(ステップS903)。
基地局は、ステップS903で返されてきた情報に基づいて、ステップS901におけるサービス要求に該当する利用サービスの種別を認識する(ステップS904)。
ステップS904において認識される利用サービスの種別は、例えば、MIMO方式を用いるに適合する種別であり得る。
【0080】
基地局は、次いで、移動端末装置に受信品質を表す情報の送信を要求する(ステップS905)。
ステップS905の要求に応じて、移動端末装置は、受信品質を表す情報を基地局に供給する(ステップS906)。
ステップS906で供給された情報に基づいて、基地局は、現在時点での受信品質を認識する(ステップS907)。
【0081】
基地局は更に、現在時点での無線リソースの空き容量を認識する(ステップS908)。この無線リソースの空き容量は、例えばMIMO方式を適用することが可能な状態か否かという判定を可能にする尺度で表される。
基地局は、ステップS904で認識した利用サービスの種別に関する情報、および、ステップS907で認識した現在時点での受信品質に関する情報、ならびに、ステップS908で認識した無線リソースの空き容量の情報に基づいて、現在時点の条件下で適用すべき通信方式を判定する(ステップS909)。
【0082】
ステップS909における判定では、例えば、MIMO方式を適用するという結果を得ることになる。
基地局は更に、ステップS909で判定した結果としての通信方式を表す情報を移動端末装置に通知する(ステップS910)。
ステップS910での通知を受けた移動端末装置では、アンテナの適用のし方や演算の態様を通知された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS911)。
【0083】
図10は、図4の通信方式判定システムの動作の他の例を表すシーケンスチャートである。
ユーザの操作に応じて移動端末装置から基地局にサービス要求が発せられると(ステップS1001)、基地局では、このサービス要求に対応するサービスの内容を表す情報(「要求サービス」と表記)およびユーザ情報(その移動端末装置に関する加入者情報等)をサービスゲートウェイに送る(ステップS1002)。
サービスゲートウェイは、ステップS1002で送られてきた情報に応答して、その利用サービスの概要を表す情報を基地局に返す(ステップS1003)。
【0084】
この、図10の場合は、図9の場合と異なり、基地局は、ステップS1003で返されてきた利用サービスの概要を表す情報に基づいて、現在時点の条件下で適用すべき通信方式を判定する(ステップS1004)。
ステップS1004における判定結果としての通信方式は、例えば、MIMO方式であり得る。
基地局はステップS1004における判定結果を移動端末装置に通知する(ステップS1005)。
ステップS1005での通知に応じて、移動端末装置は、アンテナの適用のし方や演算の態様を通知された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS1006)。
【0085】
ステップS1006での設定が完了すると、移動端末装置は基地局に対し、通信方式設定完了通知を発する(ステップS1007)。
ステップS1007での通知を受信した基地局は、移動端末装置に対し、現在時点での受信品質を表す情報の送信を要求する(ステップS1008)。
ステップS1008の要求に応じて、移動端末装置は、受信品質を表す情報を基地局に供給する(ステップS1009)。
ステップS1009で供給された情報に基づいて、基地局は、現在時点での受信品質を認識する(ステップS1010)。
【0086】
基地局は更に、現在時点での無線リソースの空き容量を認識する(ステップS1011)。この無線リソースの空き容量は、例えばMIMO方式を適用することが可能な状態か否かという判定を可能にする尺度で表される。
基地局は、ステップS1004で認識した利用サービスの種別に関する情報、および、ステップS1010で認識した現在時点での受信品質に関する情報、ならびに、ステップS1011で認識した無線リソースの空き容量の情報に基づいて、現在時点の条件下で適用すべき通信方式を判定する(ステップS1012)。
ステップS1012における判定では、例えば、先にステップS1006で設定されたMIMO方式を維持するという結果を得ることになる。
【0087】
基地局は更に、ステップS1012で判定した結果としての通信方式を表す情報を移動端末装置に通知する(ステップS1013)。
ステップS1013での通知を受けた移動端末装置では、アンテナの適用のし方や演算の態様を通知された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS1014)。
ステップS1014での設定は、ステップS1012での判定した結果が、例えば、先にステップS1006で設定されたMIMO方式を維持するという趣旨である場合には、この設定を変更する必要がないため、ステップS1006での設定を維持することになる。
【0088】
図11は、図5の通知方式判定システムの動作の一例を表すシーケンスチャートである。
ユーザの操作に応じて移動端末装置から基地局にサービス要求が発せられると(ステップS1101)、基地局では、このサービス要求に対応するサービスの内容を表す情報(「要求サービス」と表記)およびユーザ情報(その移動端末装置に関する加入者情報等)をサービスゲートウェイに送る(ステップS1102)。
【0089】
サービスゲートウェイは、ステップS1102で送られてきた情報に応答して、その利用サービスの概要を表す情報を基地局に返す(ステップS1103)。
基地局は、ステップS1103で返された利用サービスの概要を表す情報を移動端末装置に送信する(ステップS1104)。
移動端末装置では、ステップS1104で得た利用サービスの概要を表す情報に基づいて、利用サービスの種別を認識する(ステップS1105)。
【0090】
ステップS1105での認識は、例えば、MIMO方式を適用することが妥当であるという趣旨のものとなる。
移動端末装置は、更に、現在時点での受信レベルを計測し、この計測結果から受信品質を認識する(ステップS1106)。
次いで、移動端末装置は、ステップS1105で認識された利用サービスの情報、および、ステップS1106で認識された受信品質の情報に基づいて、適用すべき通信方式を判定する(ステップS1107)。
【0091】
ステップS1107の判定では、例えば、MIMO方式を適用するという結果を得ることになる。
移動端末装置は、ステップS1107での判定結果を基地局に通知する(ステップS1108)。
更に、移動端末装置は、アンテナの適用のし方や演算の態様をステップS1107判定された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS1109)。
尚、ステップS1107の判定で、非MIMO方式を適用するという結果を得た場合には、ステップS1108における通知、および、ステップS1109での設定も、非MIMO方式を適用する趣旨で実行されることは勿論である。
【0092】
図12は、図5の通知方式判定システムの動作の他の例を表すシーケンスチャートである。
ユーザの操作に応じて移動端末装置から基地局にサービス要求が発せられると(ステップS1201)、基地局では、このサービス要求に対応するサービスの内容を表す情報(「要求サービス」と表記)およびユーザ情報(その移動端末装置に関する加入者情報等)をサービスゲートウェイに送る(ステップS1202)。
サービスゲートウェイは、ステップS1202で送られてきた情報に応答して、その利用サービスの概要を表す情報を基地局に返す(ステップS1203)。
【0093】
基地局は、ステップS1203で返された利用サービスの概要を表す情報を移動端末装置に送信する(ステップS1204)。
この、図12の場合は、図11の場合と異なり、移動端末装置は、ステップS1204で受けた利用サービスの概要を表す情報に基づいて、利用サービスの種別を認識する(ステップS1205)。
次いで、移動端末装置は、ステップS1205での認識に基づいて、その認識下で適用すべき通信方式を判定する(ステップS1206)。
ステップS1206の判定では、例えば、MIMO方式を適用するという結果を得ることになる。
基地局はステップS1206における判定結果を移動端末装置に通知する(ステップS1207)。
【0094】
ステップS1206での判定結果に応じて、移動端末装置は、アンテナの適用のし方や演算の態様を通知された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS1208)。
ステップS1208での設定が完了すると、移動端末装置は、更に、現在時点での受信レベルを計測し、この計測結果から受信品質を認識する(ステップS1209)。
次いで、移動端末装置は、ステップS1209で認識された受信品質の情報に基づいて、現在時点で適用すべき通信方式を判定する(ステップS1210)。
【0095】
ステップS1210の判定では、例えば、MIMO方式を適用するという結果を得ることになる。
移動端末装置は、ステップS1210での判定結果を基地局に通知する(ステップS1211)。
更に、移動端末装置は、アンテナの適用のし方や演算の態様をステップS1211判定された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS1212)。
【0096】
ステップS1212での設定は、ステップS1210での判定結果が、例えば、先にステップS1208で設定されたMIMO方式を維持するという趣旨である場合には、この設定を変更する必要がないため、ステップS1208での設定を維持することになる。
尚、ステップS1206、および、ステップS1210の判定で、非MIMO方式を適用するという結果を得た場合には、ステップS1207における通知、および、ステップS1208における設定も、非MIMO方式を適用する趣旨で実行されることは勿論である。
【0097】
図13は、図6の通知方式判定システムの動作の一例を表すシーケンスチャートである。
ユーザの操作に応じて移動端末装置から基地局にサービス要求が発せられると(ステップS1301)、基地局では、このサービス要求に対応するサービスの内容を表す情報(「要求サービス」と表記)およびユーザ情報(その移動端末装置に関する加入者情報等)をサービスゲートウェイに送る(ステップS1302)。
【0098】
サービスゲートウェイは、ステップS1302で送られてきた情報に応答して、その利用サービスの概要を表す情報を基地局に返す(ステップS1303)。
基地局は、ステップS1303で返された利用サービスの概要を表す情報を移動端末装置に送信する(ステップS1304)。
移動端末装置では、ステップS1304で得た利用サービスの概要を表す情報に基づいて、利用サービスの種別を認識する(ステップS1305)。
【0099】
ステップS1305での認識は、例えば、MIMO方式を適用することが妥当であるという趣旨のものとなる。
移動端末装置は、更に、現在時点での受信レベルを計測し、この計測結果から受信品質を認識する(ステップS1306)。
次いで、移動端末装置は、基地局に無線リソースの空き容量の情報を要求する(ステップS1307)。
ステップS1307の要求に応じて、基地局は、現在時点での無線リソースの空き容量の情報を検出して取得する(ステップS1308)。
【0100】
ステップS1308における無線リソースの空き容量は、例えば、MIMO方式を適用することが可能な状態か否かという判定を可能にする尺度で表される。
基地局は、ステップS1308で取得した無線リソースの空き容量を表す情報を移動端末装置に送信する(ステップS1309)
移動端末装置では、ステップS1309で受けた情報に基づいて、現在時点での無線リソースの空き容量を認識する(ステップS1310)。
【0101】
移動端末装置では、ステップS1305で認識された利用サービスの情報、および、ステップS1306で認識された受信品質の情報、ならびに、ステップS1310で認識された無線リソースの空き容量の情報に基づいて、適用すべき通信方式を判定する(ステップS1311)。
ステップS1311の判定では、例えば、MIMO方式を適用するという結果を得ることになる。
【0102】
移動端末装置は、ステップS1311での判定結果を基地局に通知する(ステップS1312)。
更に、移動端末装置は、アンテナの適用のし方や演算の態様をステップS1310で判定された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS1313)。
尚、ステップS1311の判定で、例えば、非MIMO方式を適用するという結果を得た場合には、ステップS1312における通知、ならびに、ステップS1313での設定も、非MIMO方式を適用する趣旨で実行されることは勿論である。
【0103】
図14は、図6の通知方式判定システムの動作の他の例を表すシーケンスチャートである。
ユーザの操作に応じて移動端末装置から基地局にサービス要求が発せられると(ステップS1401)、基地局では、このサービス要求に対応するサービスの内容を表す情報(「要求サービス」と表記)およびユーザ情報(その移動端末装置に関する加入者情報等)をサービスゲートウェイに送る(ステップS1402)。
【0104】
サービスゲートウェイは、ステップS1402で送られてきた情報に応答して、その利用サービスの概要を表す情報を基地局に返す(ステップS1404)。
基地局は、ステップS1404で返された利用サービスの概要を表す情報に基づいて利用サービスの種別を認識する(ステップS1405)。
移動端末装置では、ステップS1405で認識した利用サービス種別に関する認識に基づいて、適用すべき通信方式を判定する(ステップS1406)。
【0105】
ステップS1406の判定では、例えば、MIMO方式を適用するという結果を得ることになる。
移動端末装置は、ステップS1406での判定結果を基地局に通知し(ステップS1407)、アンテナの適用のし方や演算の態様をステップS1406での判定結果に応じた通信方式に適合する態様に設定する(ステップS1408)。
移動端末装置は、更に、現在時点での受信レベルを計測し、この計測結果から受信品質を認識する(ステップS1409)。
次いで、移動端末装置は、基地局に無線リソースの空き容量の情報を要求する(ステップS1410)。
【0106】
ステップS1410の要求に応じて、基地局は、現在時点での無線リソースの空き容量を検出して取得する(ステップS1411)。
ステップS1411における無線リソースの空き容量は、例えば、MIMO方式を適用することが可能な状態か否かという判定を可能にする尺度で表される。
基地局は、ステップS1411で取得した無線リソースの空き容量を表す情報を移動端末装置に送信する(ステップS1412)
移動端末装置では、ステップS1412で受けた情報に基づいて、現在時点での無線リソースの空き容量を認識する(ステップS1413)。
【0107】
移動端末装置では、ステップS1409で認識された受信品質の情報、および、ステップS1413で認識された無線リソースの空き容量の情報に基づいて、適用すべき通信方式を判定する(ステップS1414)。
ステップS1414の判定では、例えば、MIMO方式を適用するという結果を得ることになる。
移動端末装置は、ステップS1414での判定結果を基地局に通知する(ステップS1415)。
【0108】
更に、移動端末装置は、アンテナの適用のし方や演算の態様をステップS1414で判定された通信方式に適合する態様に設定する(ステップS1416)。
尚、ステップS1406、および、ステップS1414の判定で、例えば、非MIMO方式を適用するという結果を得た場合には、ステップS1407、および、ステップS1415における通知、ならびに、ステップS1416での設定も、非MIMO方式を適用する趣旨で実行されることは勿論である。
【0109】
図15は、図1ないし図6のシステムにおける通信方式判定に関する条件と判定結果との関係を例示する図である。
図15において「受信品質」は移動端末装置における既述のような受信レベルの測定値に基づいて認識される受信品質である。
また、「利用サービス」は、伝送するデータ量と求められるサービス品質(QoS)の程度によって、本例では、MIMO方式の適用の可否が4種類の階層に分類されている。
ここに、データ量が「データ大」か「データ小」かについては、例えば、次のように区分される。
即ち、伝送可能なデータ量に注目して、その大小を一定の閾値を超えた値であるか否かによって区分する。この閾値は通信システムと通信事業者によって定義されるものである。
【0110】
例えば、現行のHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)システムの下りチャンネルの最大速度が3.6Mbpsであり、この下りチャンネルを10のユーザが利用すると仮定すると、1ユーザ毎に1秒間に360kbpのデータ量の受信が可能となる。
全体の無線リソースを勘案して、5秒間でダウンロード可能な2.1Mbのデータ量がシステムの一つの限界と考えられ、この場合は、2.1Mbが上述のデータ量の大小の区分に係る閾値である。
【0111】
一方、QoSの高低の区分については、例えば、次の図16におけるQoSのクラス指標であるQCIの何れかを閾値を設定して当該高低の区分をすることが可能である。
図16は、図15に表記されたサービス品質に関する条件をより具体的に説明するための図である。
QoSはサービス品質に関して複数のクラスに区分されており、QoSに関する高低の閾値は、これらのQoSクラス指標(QoS Class Identifier:QCI)によって設定することができる。
【0112】
図16として表記された図中のデータは、3GPP仕様書TS 23.401におけるTable B-1として公開されているデータに依拠したものであり、QoSクラス指標、および、それらの特徴、ならびに、サービスの例が示してある。
このQoSクラス指標のうち、例えばQoSクラス5(IMS Signaling)を上述の高低の区分に係る閾値として、QCIが1〜4の範囲をQoS高、5〜8の範囲をQoS低として区分することができる。
【0113】
これら「受信品質」と「利用サービス」とに基づいて、適用すべき通信方式が判定されるが、図15において「△」に関して表記されたように、通信を行なうに際しての無線リソースの空き容量をも一つのパラメータとして、適用すべき通信方式が判定され得る。
図15から判読されるように、極めて概括的には、受信品質が良好で、且つ、伝送するデータ量が大きい場合にMIMO方式が適用され、これとは反対に、受信品質が悪く、且つ、伝送するデータ量が少ない場合に非MIMO方式が適用されるといった傾向を呈している。
【0114】
図17は、図1ないし図6のシステムにおける通信方式判定に関する受信品質と判定結果との関係を例示するフローチャートである。
尚、以下の説明における受信品質の指標たる「指数」としては、例えば:
SNR(Signal-to-Noise Ratio:信号対雑音電力比);
SINR(Signal-to-Interference. and Noise Power Ratio:信号対雑音.干渉電力比);
CQI(Channel Quality Indicator:チャンネル品質指数)
等が適用可能である。
【0115】
これらの指数は、何れも、その値が大きい方が受信品質が良好である。
通信が開始されると、先ず、指数の算定処理を実行する(ステップS1701)。
次いで、ステップS1701で算定した値を保存する(ステップS1702)。
更に、S1702で保存された指数について、所定区間(期間)毎の移動平均を算出する(ステップS1703)。
ステップS1703で算出された移動平均の値を所定の閾値と比較する(ステップS1704)。
【0116】
ステップS1704で、移動平均の値が所定の閾値より大きいと判断された場合は(ステップS1704:Yes)、基地局に受信品質は良好である趣旨の通知を行なう(ステップS1705)。
一方、ステップS1704で、移動平均の値が所定の閾値以下であると判断された場合は(ステップS1704:No)、基地局に受信品質は悪い趣旨の通知を行なう(ステップS1706)。
【0117】
ステップS1705およびステップS1706の通知後、通信終了か否かを監視し(ステップS1707)、通信終了が認識されないうちは(ステップS1707:No)、ステップS1701からステップSS1705(ステップS1706)までの処理を繰り返し、通信終了の認識があったときに(ステップS1707:Yes)、処理を終了する。
【0118】
図18は、図1ないし図6のシステムにおける通信方式判定に関する受信品質の移動平均の経時的推移と判定結果との関係を例示する図である。
図18において、縦軸は図17における「指数」としての受信SNR値であり、横軸は時間である。
移動平均期間△t1の平均SNRが所定の閾値SNRthより大きい期間においてはMIMO方式が適合するものと判定される。
一方、伝搬環境が悪化して移動平均期間△t2の平均SNRが所定の閾値SNRthより小さい期間においてはMIMO方式は不適合と判定されSISO方式等の非MIMO方式が適用される。
【0119】
また、SISO方式(非MIMO方式)での通信が継続中に、伝搬環境が回復して移動平均期間△t3の平均SNRが所定の閾値SNRthより大きくなった場合には、SISO方式(非MIMO方式)からMIMO方式へと切換える。
以上の通り、本発明においては、利用サービスや受信品質(伝搬環境)等の条件に応じて、MIMO方式による通信が他方式より優位である場合に、MIMO方式を的確に適用することができるため、常時MIMO方式を適用するような従来の通信システムに比して、スループットの高い特性を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、現実の通信サービスにおける種々の条件に応じて的確にMIMO方式と非MIMO方式とを切換えて選択的に適用し得る実用的な通信方式判定方法、通信方式判定システムの実現に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の通信方式判定方法が実施されるシステムの概要を表す概念図である。
【図2】図1のシステムの一つの態様を表す概念図である。
【図3】本発明の通信方式判定システムの、第1の実施の形態を表す機能ブロック図である。
【図4】本発明の通信方式判定システムの、第2の実施の形態を表す機能ブロック図である。
【図5】本発明の通信方式判定システムの、第3の実施の形態を表す機能ブロック図である。
【図6】本発明の通信方式判定システムの、第4の実施の形態を表す機能ブロック図である。
【図7】図3のシステムの動作の一例を表すシーケンスチャートである。
【図8】図3のシステムの動作の他の例を表すシーケンスチャートである。
【図9】図4のシステムの動作の一例を表すシーケンスチャートである。
【図10】図4のシステムの動作の他の例を表すシーケンスチャートである。
【図11】図5のシステムの動作の一例を表すシーケンスチャートである。
【図12】図5のシステムの動作の他の例を表すシーケンスチャートである。
【図13】図6のシステムの動作の一例を表すシーケンスチャートである。
【図14】図6のシステムの動作の他の例を表すシーケンスチャートである。
【図15】図1ないし図6のシステムにおける通信方式判定に関する条件と判定結果との関係を例示する図である。
【図16】図15に表記された条件をより具体的に例示する図である。
【図17】図1ないし図6のシステムにおける通信方式判定に関する受信品質と判定結果との関係を例示するフローチャートである。
【図18】図1ないし図6のシステムにおける通信方式判定に関する受信品質の移動平均の経時的推移と判定結果との関係を例示する図である。
【符号の説明】
【0122】
10…通信方式判定システム
11…利用サービス認識部
12…受信品質認識部
13…通信方式判定部
14…無線リソース空き容量認識部
20…通信方式判定システム
21…移動端末装置
22…基地局
23…サービスゲートウェイ
24…インターネット
25…接続先サイト/サーバ
300,400,500,600…通信方式判定システム
310,410,510,610…移動端末装置
311,411,511,611…アンテナ
312,412,512,612…アンテナ回路
313,413,513,613…送受信部
314,414,514,614…受信レベル測定部
315,415,515,615…制御部
316,416,516,616…操作部
317,417,520,620…通信方式設定部
350,450,550,650…基地局
351,451,551,651…無線通信部
351a,451a,551a,651a…アンテナ
352,452,552,652…サービス要求受付け部
353,453,553,653…サービス・ユーザ情報取得部
354,454…利用サービス認識部
355,455…受信品質情報取得部
356,456…受信品質認識部
357,457,557,657…制御部
358,458,519,619…通信方式判定部
459,621…無線リソース空き容量認識部
655…無線リソース空き容量情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のノード間における通信にMIMO(Multi-Input Multi-Output)方式とMIMO方式に依らない非MIMO方式とを含む複数の通信方式のうちの一の通信方式を選択的に適用するための判定を行う通信方式判定方法であって、
当該ノード間での通信における利用サービスの種別を認識する利用サービス認識ステップと、
当該ノード間での通信における受信品質を認識する受信品質認識ステップと、
前記利用サービス認識ステップで認識された利用サービスの種別と前記受信品質認識ステップで認識された受信品質とに応じて当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定する通信方式判定ステップと、
を含むことを特徴とする通信方式判定方法。
【請求項2】
当該ノード間での通信における現在時点での無線リソースの空き容量を認識する無線リソース空き容量認識ステップを更に含み、
前記通信方式判定ステップは、前記利用サービス認識ステップで認識された利用サービスの種別、前記受信品質認識ステップで認識された受信品質、および、前記無線リソース空き容量認識ステップで認識された無線リソースの空き容量に応じて、当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定することを特徴とする請求項1に記載の通信方式判定方法。
【請求項3】
前記非MIMO方式はSISO(Single-Input Single-Output)方式、受信ダイバーシチ方式、送信ダイバーシチ方式、および、アダプティブアレーアンテナ方式の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の通信方式判定方法。
【請求項4】
所定のノード間における通信にMIMO(Multi-Input Multi-Output)方式とMIMO方式に依らない非MIMO方式とを含む複数の通信方式のうちの一の通信方式を選択的に適用するための通信方式判定システムであって、
当該ノード間での通信における利用サービスの種別を認識するように当該ノードの何れかに設けられた利用サービス認識部と、
当該ノード間での通信における受信品質を認識するように当該ノードの何れかに設けられた受信品質認識部と、
前記利用サービス認識部で認識された利用サービスの種別と前記受信品質認識部で認識された受信品質とに応じて当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定するように当該ノードの何れかに設けられた通信方式判定部と、
を含むことを特徴とする通信方式判定システム。
【請求項5】
当該ノード間での通信における現在時点での無線リソースの空き容量を認識する認識するように当該ノードの何れかに設けられた無線リソース空き容量認識部を更に含み、
前記通信方式判定部は、前記利用サービス認識部で認識された利用サービスの種別、前記受信品質認識部で認識された受信品質、および、前記無線リソース空き容量認識部で認識された無線リソースの空き容量に応じて、当該ノード間における通信にMIMO方式または非MIMO方式の何れの通信方式を適用するかを判定することを特徴とする請求項4に記載の通信方式判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−303029(P2009−303029A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156771(P2008−156771)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】