説明

通信方法、通信装置及び車載システム

【課題】車載装置間を接続する伝送線の本数の増加を抑制することにより、車両への設置等の状況下における作業性を向上させ、車両重量の増加を抑制し、敷設スペースの不足の問題を解消することが可能な通信方法、通信装置及び車載システムを提供する。
【解決手段】画像データ、音声データ、システムデータ等の非同期で生成される規格が異なるデータを受け付け、主マルチプレクサ115にて、受け付けた夫々のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成し、生成したシリアルデータを連続したデータとして伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間で通信を行う通信方法、該通信方法に用いられる通信装置、及び該通信装置を備える車載システムに関し、特に省線化を実現することが可能な通信方法、通信装置及び車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されるナビゲーション装置、オーディオビジュアル装置等の各種車載装置が増加の一途を辿っており、これらの各種装置を伝送線で接続する様々な車載システムが提案され、また実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
車載システムにて用いられるナビゲーション装置等の車載装置は、高機能化が進んでおり、車載装置から出力されるデータとしては、画像、音声、システム制御用信号、周辺機器制御用信号等の様々な規格のデータがあり、様々な規格のデータは、夫々の規格に基づくインターフェースに適合した専用の伝送線が割り当てられて伝送される。
【0004】
【特許文献1】特開2002-152244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら様々な規格のインターフェースに適合する伝送線を用いるため、複数の伝送線が必要となり、その本数は車載装置の高機能化が進むにつれて増加する。そして伝送線の本数の増加は、伝送線と車載装置との接続、車両への車載装置の設置等の状況下において煩雑な作業を要するため利便性の低下に繋がるという問題、更には車両重量の増加及び敷設スペースの不足という問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の規格のインターフェースから出力された複数の規格のデータを、所定の順序で配列したシリアルデータを生成し伝送することにより、利便性を向上させ、車両重量の増加を抑制し、敷設スペースの不足の問題を解消することが可能な通信方法、該通信方法に用いられる通信装置、及び該通信装置を備える車載システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る通信方法は、複数の規格の入出力インターフェース及び他の装置と通信する通信インターフェースを有する通信部を備えた通信装置間で通信を行う通信方法において、第1の通信装置は、前記通信部が、各入出力インターフェースから入力された複数の規格のデータに基づくシリアルデータを生成し、該シリアルデータを通信インターフェースから通信相手となる第2の通信装置へ送信し、該第2の通信装置は、受信したシリアルデータを、配列されている順序に従って複数の規格の入出力インターフェースから出力することを特徴とする。
【0008】
本発明では、複数の規格のデータから、シリアルデータを生成することにより、複数の規格のデータを一本の伝送線で伝送することができるので、装置に伝送線を接続する場合の利便性を向上させ、車両重量の増加を抑制し、敷設スペースの不足の問題を解消することが可能である。
【0009】
第2発明に係る通信方法は、複数の規格の入出力インターフェース及び他の装置と通信する通信インターフェースを有する通信部を備えた通信装置間で通信を行う通信方法において、第1の通信装置は、前記通信部が、各入出力インターフェースから入力された複数の規格のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成し、該シリアルデータを通信インターフェースから通信相手となる第2の通信装置へ送信し、該第2の通信装置は、受信したシリアルデータを、配列されている順序に従って複数の規格の入出力インターフェースから出力することを特徴とする。
【0010】
本発明では、複数の規格のデータから、シリアルデータを生成することにより、複数の規格のデータを一本の伝送線で伝送することができるので、装置に伝送線を接続する場合の利便性を向上させ、車両重量の増加を抑制し、敷設スペースの不足の問題を解消することが可能である。
【0011】
第3発明に係る通信装置は、複数の規格の入力インターフェース及び他の装置へデータを送信する送信インターフェースを有する通信部を備える通信装置において、各入力インターフェースから入力された複数の規格のデータに基づくシリアルデータを生成する生成手段と、該シリアルデータを送信インターフェースから通信相手となる他の装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明では、様々な規格のデータからシリアルデータを生成することにより、複数の規格のデータを一本の伝送線で伝送することができるので、伝送線を接続する場合の利便性を向上させ、車両重量の増加を抑制し、敷設スペースの不足の問題を解消することが可能である。
【0013】
第4発明に係る通信装置は、第3発明において、前記生成手段は、複数の規格のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明では、配列する順序が予め決められているので配列の決定等の処理が不要である。
【0015】
第5発明に係る通信装置は、複数の規格の入力インターフェース及び他の装置へデータを送信する送信インターフェースを有する通信部を備える通信装置において、一の規格の入力インターフェースから一の規格のデータを受け付ける手段と、受け付けた一の規格のデータを一時的に記録する一のラッチ回路と、他の規格の入力インターフェースから受け付けた他の規格のデータを受け付ける手段と、受け付けた他の規格のデータを一時的に記録する他のラッチ回路と、通信制御に用いる制御データを生成する手段と、生成した制御データ、一のラッチ回路に記録されている一の規格のデータ及び他のラッチ回路に記録されている他の規格のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成する生成手段と、該シリアルデータを送信インターフェースから通信相手となる他の装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明では、入力インターフェースから受け付けた複数の規格のデータからシリアルデータを生成することにより、複数の規格のデータを一本の伝送線で伝送することができるので、装置に伝送線を接続する場合の利便性を向上させ、車両重量の増加を抑制し、敷設スペースの不足の問題を解消することが可能である。
【0017】
第6発明に係る通信装置は、第5発明において、前記一の規格のデータは、画像データであり、前記他の規格のデータは、複数の規格の入力インターフェースから受け付けた複数の規格のデータであることを特徴とする。
【0018】
本発明では、画像データ、並びに画像データと異なる音声データ、システム制御用信号、周辺機器制御信号等の様々な入力インターフェースから受け付けたデータからシリアルデータを生成することにより、ナビゲーション装置等の画像伝送を含め多機能化が進む装置に対応することが可能である。
【0019】
第7発明に係る通信装置は、第6発明において、前記画像データは、画像を構成する複数の色成分の階調を夫々示す複数の画像要素データであり、前記生成手段は、制御データ、一の規格の複数の画像要素データ、及び他の複数の規格の中から所定の順序で選択された規格のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
本発明では、伝送すべきデータ量が多い画像データを構成する複数のデータと、データ量が少ない画像データ以外の複数種類のデータから選択される一のデータとからシリアルデータを生成することにより、データ量が異なる複数の規格のデータを配分して、効率的な伝送を行うことができるシリアルデータを生成することが可能である。
【0021】
第8発明に係る通信装置は、第3発明乃至第7発明のいずれかにおいて、前記生成手段は、データを所定の順序で配列した連続するシリアルデータを生成するように構成してあることを特徴とする。
【0022】
本発明では、生成したシリアルデータを断続的なパケット単位ではなく連続したデータとして送信することにより、同期に要するヘッダ情報のビット総数を少なくすることができるので、スループットが高く伝送効率の高い伝送を実現することが可能である。
【0023】
第9発明に係る通信装置は、第3発明乃至第8発明のいずれかにおいて、他の装置からシリアルデータを受信する受信インターフェースと、複数の規格の出力インターフェースと、受信インターフェースにより、通信相手となる他の装置からシリアルデータを受信する手段と、受信したシリアルデータに配列されたデータを、配列されている順序に従って複数の規格の出力インターフェースから夫々出力する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0024】
本発明では、送信用の回路と受信用の回路とを備えることにより、送信装置及び受信装置を夫々独立させる場合と比較して、共用部分が多くなるため、消費電力を低減することが可能である。
【0025】
第10発明に係る通信装置は、第9発明において、送信するシリアルデータ及び受信するシリアルデータのデータ配列は、夫々独立して設定されることを特徴とする。
【0026】
本発明では、シリアルデータのデータ配列を、夫々に応じて最適化することができ、またデータ配列の最適化は、夫々の通信速度を独立して設定することをも可能とするので、伝送するデータに応じた最適な回路規模の実現を可能とし、このため消費電力を低減することも可能である。
【0027】
第11発明に係る通信装置は、第3発明乃至第10発明のいずれかにおいて、複数の規格のデータを生成する処理を行う処理部を更に備え、該処理部は、複数の規格のデータを、前記通信部が備える入力インターフェースへ、夫々に対応する規格のデータを出力する複数の規格の出力インターフェースを備えることを特徴とする。
【0028】
本発明では、例えばカーナビゲーション装置に適用した場合、画像データ、音声データ等の様々な規格のデータを生成する処理を行うカーナビゲーション装置本来の機能を有する処理部と、通信に関する処理を行う通信部とを一体化した装置として提供することが可能である。
【0029】
第12発明に係る通信装置は、第11発明において、前記複数の出力インターフェースは、夫々のタイミングでデータを出力するように構成していることを特徴とする。
【0030】
本発明では、非同期の様々なデータからシリアルデータを生成することが可能である。
【0031】
第13発明に係る通信装置は、第3発明乃至第12発明のいずれかにおいて、複数の規格のデータを生成する処理を行う処理装置に接続するように構成してあり、前記通信部が備える入力インターフェースは、前記処理装置から出力される複数の規格のデータの入力を受け付けるように構成してあることを特徴とする。
【0032】
本発明では、画像データ、音声データ等の様々な規格のデータを生成する処理を行うカーナビゲーション装置に接続することにより、様々な規格に対応すべく複数の伝送線の接続を要する従来の通信仕様の処理装置を、省線化された装置として用いることが可能となる。
【0033】
第14発明に係る車載システムは、第3発明乃至第13発明のいずれかに記載の通信装置と、該通信装置から送信されるシリアルデータを伝送する伝送線とを備えることを特徴とする。
【0034】
本発明では、複数の規格のデータから、シリアルデータを生成することにより、複数の規格のデータを一本の伝送線で伝送することができるので、通信装置と伝送線とを接続する場合、車両に設置する場合等の状況において作業が容易であり、作業時の利便性を向上させ、車両重量の増加を抑制し、敷設スペースの不足の問題を解消することが可能である。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る通信方法、通信装置及び車載システムでは、画像データ、音声データ、システム制御用信号等の非同期で生成される規格が異なるデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成し、連続したデータとして伝送する。
【0036】
この構成により、複数の規格のデータを、シリアルデータを伝送する一本の伝送線で伝送することが可能となるので、車両に搭載されるナビゲーション装置等の高機能化が進む通信装置に適用した場合に、省線化による取り回しの効率化、具体的には通信装置と伝送線との接続等の配線時において作業が容易であり、利便性を向上させることが可能である等、優れた効果を奏する。さらに省線化は、車両重量の増加の抑制、敷設スペースの不足の問題の解消等の優れた効果を奏する。しかもパケット単位ではなく連続したデータとして送信することにより、同期に要するヘッダ情報のビット総数を少なくすることができるので、スループットが高く伝送効率の高い伝送を実現することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0037】
また伝送すべきデータ量が多い画像データを夫々の成分の階調を示す複数の画像要素データ、画像データ以外の複数の規格のデータから所定の順序で選択された規格のデータ、及び同期データ等の制御データを所定の順序で配列したシリアルデータを生成する。
【0038】
この構成により、データ量が異なる複数の規格のデータを配分して、効果的な伝送を行うことが可能なシリアルデータを生成することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0039】
さらに送信用の回路と受信用の回路とを一つの通信部に組み込むことにより、送信回路及び受信回路を夫々独立させる場合と比較して、共用部分が多くなるため、製造時のコストを抑えることが可能であり、更には消費電力を低減して稼動時のコストを抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0041】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における車載システムの構成を示すブロック図である。図1中1は、自動車等の車両であり、車両1には、カーナビゲーション装置の本体等の第1通信装置10が配設されている。第1通信装置10には、ダウンリンク(Down Link) 用及びアップリンク(Up Link) 用の2組の差動より対線(差動ツイストペアケーブル)を一本の線として用いた伝送線2の一端が接続され、伝送線2の他端にはカーナビゲーション装置にて生成された画像を表示するモニタ等の表示手段、音声を出力するスピーカ等の音声出力手段、撮影処理を行うビデオカメラ等の撮影手段、音声の入力を受け付けるマイク等の音声入力手段、Bluetooth等の規格に基づく微弱無線機と通信する無線通信手段等の各種構成要素を備える第2通信装置20が接続されている。なお伝送線2としては、差動より対線に限らず、同軸ケーブル、光ケーブル等の様々な伝送線を用いることが可能である。
【0042】
伝送線2に含まれる2組の差動より対線の一方であるダウンリンク用伝送線2aは、ダウンリンク方向となる第1通信装置10から第2通信装置20へデータを伝送する。第1通信装置10から第2通信装置20へ伝送されるデータとは、24ビットフルカラー画像用の画像データ、スピーカ出力音声用の音声データ、システム設定及び制御を行うシステム制御用信号であるシステムデータ、表示手段、撮影手段等の周辺機器を制御するための周辺機器制御用信号である周辺制御データ、微弱無線機へ送信する各種情報又は制御信号である無線データ等の各種データである。
【0043】
伝送線2に含まれる2組の差動より対線の他方であるアップリンク用伝送線2bは、アップリンク方向となる第2通信装置20から第1通信装置10へデータを伝送する。第2通信装置20から第1通信装置10へ伝送されるデータとは、ビデオカメラが撮影して得られた画像データ、マイクから入力された音声である音声データ、微弱無線機から受信した各種情報又は制御信号である無線データ、周辺機器から受信した制御信号に対する応答信号である応答データ、タッチパネルから入力された操作のための信号である操作データ等の各種データである。
【0044】
第1通信装置10は、装置本来の機能を有し、画像データ、音声データ等の各種データの生成等の処理を行う処理部100と、処理部100が生成したデータを受け取って第2通信装置20へ送信し、第2通信装置20からデータを受信した場合に、受信したデータを処理部100へ渡すLSI(Large Scale IC)にて構成される通信部110とを備えている。第2通信装置20は、処理部200及び通信部210とを備える。なお図1では、第1通信装置10及び第2通信装置20として示している通信装置を、処理部及び通信部を一体とした一台の装置として示しているが、通信部を備えるカーナビゲーション装置等の処理装置を、処理装置と着脱可能な通信部を備える通信装置に接続して用いる形態であっても良い。また通信部を備える一台の通信装置に、モニタ、マイク等の夫々異なる処理部を備える複数の処理装置を接続して用いる形態であっても良い。
【0045】
図2及び図3は、本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる各種装置の構成を示すブロック図であり、図2が主に第1通信装置10を示し、図3が主に第2通信装置20を示している。第1通信装置10が備える処理部100は、24ビットフルカラー画像を表示させるための画像データ、スピーカから音声を出力させるための音声データ、システム設定及び制御を行う信号であるシステムデータ、周辺機器を制御するための信号である周辺制御データ、Bluetooth等の規格に基づく無線通信用の信号である無線データ等の様々な規格のデータを生成すべくなしてあり、生成した各データを出力する出力インターフェース101,101,…と、ビデオカメラが撮影して得られた画像データ、マイクから入力された音声である音声データ、無線データ、周辺機器から受信した応答信号である応答データ、タッチパネル等の操作手段に基づく操作のための信号である操作データ等の様々な規格のデータの入力を受け付ける入力インターフェース102,102,…とを備えている。なお処理部100にて生成され出力される様々な規格のデータは、夫々の規格に応じたタイミングで出力される非同期なデータである。
【0046】
次に通信部110の構成として、先ずデータを送信するダウンリンク方向の伝送を行うための構成について説明する。通信部110は、処理部100から出力された画像データ、音声データ等の様々な規格のデータを夫々受け付ける複数の入力インターフェース111,111,…を備え、各入力インターフェース111,111,…が受け付けた画像データ、音声データ等の複数の規格のデータは、夫々のデータを一時的に記録する複数の入力ラッチ回路112,112,…に夫々記録される。なお以降の説明において、画像データを記録する入力ラッチ回路112を第1入力ラッチ回路112a、その他の規格のデータである音声データ、システムデータ、周辺制御データ及び無線データを記録する入力ラッチ回路112,112,…を夫々第2入力ラッチ回路112b、第3入力ラッチ回路112c、第4入力ラッチ回路112d及び第5入力ラッチ回路112eとして示す。
【0047】
また通信部110は、通信に関する制御を行うための通信制御データを生成する通信制御データ生成手段113と、装置を制御するコマンドとなる装置制御データを生成する装置制御データ生成手段114とを備えている。通信制御データ生成手段113にて生成される通信制御データとしては、例えば第1通信装置10から送信されるシリアルデータを構成するフレームの同期を取るためのデータであるユニークワード及びフレームの順番を示すフレーム番号がある。装置制御データ生成手段114にて生成される装置制御データとしては、例えば第2通信装置20に対して各種の処理を要求する制御コマンド及び第2通信装置20から送信された制御コマンドを受信したことを示す応答がある。
【0048】
さらに通信部110は、複数のデータを多重化してシリアルデータを生成して出力する主マルチプレクサ115、並びに主マルチプレクサ115の補助的な処理として、複数のデータの中から一のデータを選択して出力する第1副マルチプレクサ116a及び第2副マルチプレクサ116bを備えている。第1副マルチプレクサ116aは、通信制御データ生成手段113にて生成される通信制御データ及び装置制御データ生成手段114にて生成される装置制御データの中から一の制御データを選択し、主マルチプレクサ115へ出力する。第2副マルチプレクサ116bは、第2入力ラッチ回路112bに記録された音声データ、第3入力ラッチ回路112cに記録されたシステムデータ、第4入力ラッチ回路112dに記録された周辺制御データ及び第5入力ラッチ回路112eに記録された無線データ、即ち画像データ以外の様々な規格のデータの中から一のデータを選択し、主マルチプレクサ115へ出力する。
【0049】
主マルチプレクサ115では、第1副マルチプレクサ116aから出力されるデータ及び第2副マルチプレクサ116bから出力されるデータ並びに第1入力ラッチ回路112aに記録された画像データを、所定の順序で配列したシリアルデータを生成し、生成したシリアルデータを、伝送線2の一端が接続する送信インターフェース(送信I/F)117へ出力する。シリアルデータを形成すべき複数のデータの中のいずれかが存在しない場合、例えば第5入力ラッチ回路112eに伝送すべき無線データが記録されていない場合、無線データを配列すべき位置にはダミーデータが配列されてシリアルデータが形成される。
【0050】
主マルチプレクサ115に入力される画像データは、24ビットのフルカラー画像用のデータであり、画像データを構成するR(Red)成分、G(Green)成分及びB(Blue)成分の階調を夫々示す画像要素データである。各色成分は8ビットの階調に分級されており、各ビットの値が画像要素データにより示される。即ち3成分の夫々について階調を示す8個の画像要素データが用いられるので、第1ラッチ回路112aに記録された画像データは、ダウンリンク第1チャネル(CH D01)〜第24チャネル(CHD024)が割り当てられた24チャネル分の画像要素データとして主マルチプレクサ115に入力される。また第1副マルチプレクサ116aから入力されるデータにはダウンリンク第0チャネル(CH D00)が割り当てられ、第2副マルチプレクサ116bから入力されるデータにはダウンリンク第25チャネル(CH D25)が割り当てられるため、主マルチプレクサ115に入力されるデータは、26チャネルのパラレルデータであると見なすことができる。
【0051】
送信インターフェース117は、主マルチプレクサ115から入力されたシリアルデータを、LVDS(低電圧差動通信:Low Voltage Differential Signaling)等のインターフェース規格に基づき伝送線2に含まれるダウンリンク用伝送線2aを介して第2通信装置20へ送信する。なお送信インターフェース117から第2通信装置20へ送信されるシリアルデータは、断続的なパケット単位ではなく連続したデータとして送信される。
【0052】
さらに通信部110は、周波数が36MHzのクロック信号を出力するクロック信号出力手段118と、クロック信号出力手段118から出力されたクロック信号を受け付け、28逓倍した同期信号を送信インターフェース117へ出力する28逓倍PLL(Phase Locked Loop) 発振手段119とを備えている。そして送信インターフェース117では、28逓倍PLL発振手段119から受け付けた同期信号に基づいてシリアルデータを送信する。
【0053】
次に通信部110のアップリンク方向の伝送を行うための構成について説明する。通信部110は、伝送線2に含まれるアップリンク用伝送線2bの一端が接続し、第2通信装置20からアップリンク用伝送線2bを介して送信される連続したデータを受信する受信インターフェース(受信I/F)121を備えている。第2通信装置20からアップリンク用伝送線2bを介して送信される連続したデータとは、画像データと、無線データと、音声データ、応答データ又は操作データと、通信制御データ又は装置制御データとを所定の順序で配列したシリアルデータである。また受信インターフェース121は、クロック信号出力手段118から周波数が36MHzのクロック信号を受け付けて4分周の同期信号を出力する4分周PLL発振手段122と信号の入出力を行うことにより、受信したシリアルデータの同期をとる。
【0054】
さらに通信部110は、シリアル/パラレル変換を行う主デマルチプレクサ123、並びに主デマルチプレクサ123の補助的な処理を行う第1副デマルチプレクサ124a及び第2副デマルチプレクサ124bを備えている。主デマルチプレクサ123は、受信インターフェース121にて受信したシリアルデータを受け付け、配列されている順序に従って4チャネルのパラレルデータに変換し、第1副デマルチプレクサ124a及び第2副デマルチプレクサ124b並びに第1出力ラッチ回路125a及び第2出力ラッチ回路125bへ出力する。
【0055】
第1副デマルチプレクサ124aに入力されるデータは、アップリンク第0チャネル(CH U00)の制御データであり、第1副デマルチプレクサ124aでは、入力された制御データがフレームの同期をとるユニークワード等の通信制御データである場合、フレーム同期処理を行う同期処理手段126へ出力し、制御データが制御コマンド等の装置制御データである場合、通信部110にて処理可能な命令に再生する再生手段127へ出力する。同期処理手段126では、入力された通信制御データに基づいて後述するフレーム単位での同期をとるフレーム同期信号を主デマルチプレクサ123へ出力し、主デマルチプレクサ123では、フレーム同期信号に基づいてフレーム単位の同期処理を行う。再生手段127では、後述する様に制御データが、本来の制御コマンドを分割したデータである場合に、夫々のデータから制御コマンドを再生する処理を行う。
【0056】
第2副デマルチプレクサ124bに入力されるデータは、アップリンク第3チャネル(CH U03)のデータであり、操作データ、音声データ及び応答データの中のいずれかの規格のデータである。第2副デマルチプレクサ124bでは、入力されたデータが操作データである場合、第3出力ラッチ回路125cに記録し、音声データである場合、第4出力ラッチ回路125dに記録し、そして応答データである場合、第5出力ラッチ回路125eに記録する。
【0057】
主デマルチプレクサ123から第1出力ラッチ回路125aへ出力されるデータは、アップリンク第1チャネル(CH U01)の無線データであり、第1出力ラッチ回路125aにて記録される。主デマルチプレクサ123から第2出力ラッチ回路125bへ出力されるデータは、アップリンク第2チャネルの画像データであり、第2出力ラッチ回路125bにて記録される。
【0058】
さらに通信部110は、画像データ、音声データ等の複数の規格のデータを夫々出力する複数の出力インターフェース128,128,…を備え、各出力インターフェース128,128,…は、第1出力ラッチ回路125aに記録された無線データ、第2出力ラッチ回路125bに記録された画像データ、第3出力ラッチ回路125cに記録された操作データ、第4出力ラッチ回路125dに記録された音声データ及び第5出力ラッチ回路125eに記録された応答データを、処理部100が備える夫々の規格に適合した入力インターフェース102,102,…へ出力する。
【0059】
次に第2通信装置20が備える通信部210のダウンリンク方向の伝送を行うための構成について説明する。通信部210は、ダウンリンク用伝送線2aの他端が接続し、第1通信装置10からダウンリンク用伝送線2aを介して送信される連続したシリアルデータを受信する受信インターフェース(受信I/F)211を備えている。
【0060】
また通信部210は、周波数が36MHzのクロック信号を出力するクロック信号出力手段212と、クロック信号出力手段212から出力されたクロック信号を受け付け、28逓倍した同期信号を受信インターフェース211へ出力する28逓倍PLL発振手段213とを備えている。そして受信インターフェース211では、28逓倍PLL発振手段213と信号の入出力を行うことにより、受信したシリアルデータの同期をとる。
【0061】
さらに通信部210は、シリアル/パラレル変換を行う主デマルチプレクサ214、並びに主デマルチプレクサ214の補助的な処理を行う第1副デマルチプレクサ215a及び第2副デマルチプレクサ215bを備えている。主デマルチプレクサ214は、受信インターフェース211にて受信したシリアルデータを受け付け、配列されている順序に従って26チャネルのパラレルデータに変換し、第1副デマルチプレクサ215a及び第2副デマルチプレクサ215b並びに第1出力ラッチ回路216aへ出力する。
【0062】
第1副デマルチプレクサ215aに入力されるデータは、ダウンリンク第0チャネルの制御データであり、第1副デマルチプレクサ215aでは、入力された制御データがフレームの同期をとるユニークワード等の通信制御データである場合、フレーム同期処理を行う同期処理手段217へ出力し、制御データが制御コマンド等の装置制御データである場合、通信部210にて処理可能な命令に再生する再生手段218へ出力する。同期処理手段217では、入力された通信制御データに基づくフレーム同期信号を主デマルチプレクサ214へ出力し、主デマルチプレクサ214では、フレーム同期信号に基づいてフレーム単位の同期処理を行う。
【0063】
第2副デマルチプレクサ215bに入力されるデータは、ダウンリンク第25チャネルのデータであり、システムデータ、音声データ、周辺制御データ及び無線データの中のいずれかの規格のデータである。第2副デマルチプレクサ215bでは、入力されたデータがシステムデータである場合、第2出力ラッチ回路216bに記録し、音声データである場合、第3出力ラッチ回路216cに記録し、周辺制御データである場合、第4出力ラッチ回路216dに記録し、そして無線データである場合、第5出力ラッチ回路216eに記録する。
【0064】
主デマルチプレクサ214から第1出力ラッチ回路216aへ出力されるデータは、ダウンリンク第1チャネルからダウンリンク第24チャネルの画像要素データであり、画像要素データは、各画像要素データにて示される3色の成分の夫々の階調を示す8桁の値から24ビットのフルカラー画像を示す画像データとして再構築され、第1出力ラッチ回路216aに記録される。
【0065】
さらに通信部210は、画像データ、音声データ等の複数の規格のデータを夫々出力する複数の出力インターフェース219,219,…を備え、各出力インターフェース219,219,…は、第1出力ラッチ回路216aに記録された画像データ、第2出力ラッチ回路216bに記録されたシステムデータ、第3出力ラッチ回路216cに記録された音声データ、第4出力ラッチ回路216dに記録された周辺制御データ及び第5出力ラッチ回路に記録された無線データを、処理部200へ出力する。
【0066】
次に第2通信装置20が備える通信部210のアップリンク方向の伝送を行うための構成について説明する。通信部210は、処理部200から出力される様々な規格のデータを夫々受け付ける複数の入力インターフェース221,221,…を備え、各入力インターフェース221,221,…が受け付けた複数の規格のデータは、夫々のデータを一時的に記録する複数の入力ラッチ回路222,222,…に夫々記録される。なお以降の説明において、無線データを記録する入力ラッチ回路222を第1入力ラッチ回路222a、画像データを記録する入力ラッチ回路222を第2入力ラッチ回路222b、操作データを記録する入力ラッチ回路222を第3入力ラッチ回路222c、音声データを記録する入力ラッチ回路222を第4入力ラッチ回路222d及び応答データを記録する入力ラッチ回路を第5入力ラッチ回路222eとして示す。
【0067】
また通信部210は、通信制御データ生成手段223及び装置制御データ生成手段224を備えている。
【0068】
さらに通信部210は、主マルチプレクサ225、第1副マルチプレクサ226a及び第2副マルチプレクサ226bを備えている。第1副マルチプレクサ226aは、通信制御データ生成手段223にて生成される通信制御データ又は装置制御データ生成手段224にて生成される装置制御データを主マルチプレクサ225へ出力する。第2副マルチプレクサ226bは、第3入力ラッチ回路222cに記録された操作データ、第4入力ラッチ回路222dに記録された音声データ及び第5入力ラッチ回路222eに記録された応答データの中から一のデータを選択し、主マルチプレクサ225へ出力する。
【0069】
主マルチプレクサ225では、第1副マルチプレクサ226aから出力されるデータ及び第2副マルチプレクサ226bから出力されるデータ並びに第1入力ラッチ回路222aに記録された無線データ及び第2入力ラッチ回路222bに記録された画像データを、所定の順序で配列したシリアルデータを生成し、生成したシリアルデータを、送信インターフェース(送信I/F)227から出力する。
【0070】
送信インターフェース227は、主マルチプレクサ225から入力されたシリアルデータを、LVDS等のインターフェース規格に基づきアップリンク用伝送線2bを介して第1通信装置10へ送信する。
【0071】
さらに通信部210は、4分周PLL発振手段228を備え、送信インターフェース227では、4分周PLL発振手段228から受け付けた同期信号に基づいてシリアルデータを送信する。
【0072】
次に第2通信装置20が備える処理部200の構成について説明する。処理部200は、通信部210が備える出力インターフェース219,219,…から出力される様々な規格のデータの入力を受け付ける入力インターフェース201,201,…及び通信部210が備える入力インターフェース221,221,…へ様々な規格のデータを出力する出力インターフェース202,202,…を備えている。
【0073】
また処理部200は、入力インターフェース201から入力された画像データを受け付けるLCD(Liquid Crystal Display)コントローラ等の表示制御手段2001と、表示制御手段2001が受け付けた画像データに基づく画像を表示制御手段2001の制御に基づき表示するLCDディスプレイ等の表示手段2002と、表示手段2002の表面に貼設されるタッチパネル等の操作手段2003とを備えている。そして操作手段2003が受け付けた操作は、アナログ操作信号として第1A/D変換手段2004へ出力され、第1A/D変換手段2004では、受け付けたアナログ操作信号をデジタルに変換した操作データとして出力インターフェース202から通信部210へ出力する。
【0074】
さらに処理部200は、入力インターフェース201から入力されたシステムデータを受け付ける制御手段2005を備え、制御手段2005では、受信したシステムデータに基づき各種システム設定及び制御処理を行う。
【0075】
さらに処理部200は、入力インターフェース201から入力された音声データを受け付け、アナログ音声信号に変換して増幅処理を行うアンプ等の増幅手段2006と、増幅手段2006にて増幅されたアナログ音声信号を音声として出力するスピーカ等の音声出力手段2007とを備えている。
【0076】
さらに処理部200は、入力インターフェース201から入力された無線データを受け付けるBluetoothモジュール等の無線通信手段2008を備え、無線通信手段2008にて携帯電話等の無線装置3と無線通信を行い、無線装置3から受信した無線データを出力インターフェース202から通信部210へ出力する。
【0077】
さらに処理部200は、入力インターフェース201から入力された周辺制御データを、周辺機器4へ送信し、周辺機器4から受信した応答信号である応答データを出力インターフェース202から通信部210へ出力する。
【0078】
さらに処理部200は、ビデオカメラ等の撮影手段2009と、撮影手段2009が撮影した画像を圧縮符号化するエンコーダ等の符号化手段2010とを備え、符号化手段2010にて符号化された画像は、画像データとして出力インターフェース202から通信部210へ出力される。
【0079】
さらに処理部200は、マイク等の音声入力手段2011と、音声入力手段2011から出力されるアナログ音声信号をデジタルに変換する第2A/D変換手段2012とを備え、第2A/D変換手段2011にてデジタル信号に変換された音声データは、出力インターフェース202から通信部210へ出力される。
【0080】
なお表示手段2002、操作手段2003、音声出力手段2007、撮影手段2009、音声入力手段2011等の各種手段は、前述した様に、第2通信装置20に着脱可能な他の処理装置として構成する様にしても良い。
【0081】
次に本発明の車載システムにて用いられる第1通信装置10が備える通信部110の主マルチプレクサ115及び第2通信装置20が備える通信部210の主マルチプレクサ225のデータ処理について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる第1通信装置10が備える通信部110の主マルチプレクサ115のチャネル構成を示す説明図である。図4では、縦方向にダウンリンク第0チャネルからダウンリンク第25チャネルまでの26のチャネルを示し、横方向に各チャネルに割り当てられるデータを時系列的に並べて示している。図4に示す様に各チャネルに割り当てられるデータは、図4中左方向から右方向に示す順でチャネル毎に配列される。
【0082】
各チャネルは、16ビットを単位とする1スロット毎にデータが区切られ、更に4スロットで1フレームを構成し、16フレームで1スーパーフレームを構成する。ダウンリンク第0チャネルでは、1スロットに対し1の制御データが割り当てられ、更に1フレーム毎に所定の順序で4種類の制御データの配列が繰り返される。具体的には、フレームの先頭となる最初のスロットには、フレームの同期をとるために用いられる特定のパターンを持ったユニークワード(UW)である通信制御データが配列され、2番目のスロットには、フレーム番号(FRM#)を示す通信制御データが配列され、3番目のスロットには、処理を要求する制御コマンド(CTRL)を示す装置制御データが配列され、そして4番目のスロットには、制御コマンドを受信したことを示す応答(ACK)を示す装置制御データが配列される。そしてスーパーフレームを形成する最初のフレームの最初のスロットには、ユニークワードではなく、スーパーフレームの同期をとるために用いられるユニークワードとは別の特定のパターンを持ったスーパーユニークワード(SUW)を示す通信制御データが配列される。なお制御コマンド(CTRL)を示す装置制御データに対しては、ユニークワードを識別可能なように1スロットあたり4ビットのみが割り当てられ、受信側の装置にて、1スーパーフレームとして伝送される16の制御コマンドから再形成することにより、本来の1個の64ビット、即ち8バイトの制御コマンドが再生される。応答(ACK)を示す装置制御データについても同様である。
【0083】
ダウンリンク第1チャネルからダウンリンク第24チャネルでは、伝送すべき画像要素データが16ビットのスロット単位で伝送される。前述した様に各チャネルの画像要素データは、色成分毎に8ビットに分級された階調を示す8桁の夫々の値を示している。具体的には、ダウンリンク第1チャネルからダウンリンク第8チャネルがR成分の階調を示す8桁の夫々の値R0,R1,…,R7を示し、ダウンリンク第9チャネルからダウンリンク第16チャネルがG成分の階調を示す8桁の夫々の値G0,G1,…,G7を示し、そしてダウンリンク第17チャネルからダウンリンク第24チャネルがB成分の階調を示す8桁の夫々の値B0,B1,…,B7を示している。
【0084】
ダウンリンク第25チャネルでは、夫々のスロットに音声データ、システムデータ、周辺制御データ及び無線データが順に配列されたフレームが形成されて伝送される。なおフレームを形成すべきデータに空きが生じる場合、例えば第5入力ラッチ回路112eに伝送すべき無線データが記録されていない場合、無線データを配列すべきスロットにはダミーデータが配列される。
【0085】
図5は、本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる第2通信装置20が備える通信部210の主マルチプレクサ225のチャネル構成を示す説明図である。図5では、縦方向にアップリンク第0チャネルからアップリンク第3チャネルまでの4チャネルを示し、横方向に各チャネルに割り当てられるデータを時系列的に並べて示している。図5に示す様に各チャネルに割り当てられるデータは、チャネル毎に図5中左方向から右方向に示す順で配列される。
【0086】
各チャネルは、16ビットを単位とする1スロット毎にデータが区切られ、更に4スロットで1フレームを構成し、16フレームで1スーパーフレームを構成する。アップリンク第0チャネルには、ダウンリンク第0チャネルと同様の順序で各制御データが配列される。アップリンク第1チャネルでは、夫々のスロットに無線データが配列されたフレームが形成されて伝送される。アップリンク第2チャネルでは、夫々のスロットに画像データが配列されたフレームが形成されて伝送される。アップリンク第3チャネルには、夫々のスロットに操作データ、音声データ及び応答データが順に配列されたフレームが形成されて伝送される。
【0087】
図6は、本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる第1通信装置10が備える通信部110のシリアルデータ形成処理を示す説明図である。主マルチプレクサ115では、図2〜図5を用いて説明した様にチャネル毎に配列されるデータを、所定の順序で配列する処理を繰り返すことにより連続したシリアルデータを形成し、形成したシリアルデータは、送信インターフェース117から送信される。図6(a)は、形成されたシリアルデータを示しており、図6(b)は、チャネル毎に配列されたデータを示している。なお図6及び以降では、一般化した説明とするため、チャネル0〜チャネルNに配列されたデータからシリアルデータを形成する形態を示しているが、図1〜図5を用いて説明した第1通信装置10が備える通信部110においては、チャネル0がダウンリンク第0チャネルに相当し、チャネルNがダウンリンク第25チャネルに相当する。また第2通信装置20が備える通信部210においては、チャネル0がアップリンク第0チャネルに相当し、チャネルNがアップリンク第3チャネルに相当する。また図6に[0-0]、[0-1]、…として示したデータは、必ずしも図5に示したデータとデータ長が一致する必要はなく、例えば図5では、16ビットを単位としてチャネル毎の配列を行っているが、シリアルデータを形成する場合には、1ビットを単位として配列する様にしても良い。最も双方のデータ長が一致しても良いことは言うまでもない。以下の説明では1ビットを単位として各チャネルのデータを配列する形態を例示している。
【0088】
シリアルデータは、各チャネルに配列されたデータをチャネル番号の順に1ビットずつ配列することで形成される。具体的には、チャネル0の先頭に配列されているデータ[0-0]、チャネル1の先頭に配列されているデータ[0-1]、…、チャネルNの先頭に配列されているデータ[0-N]、チャネル0の2番目に配列されているデータ[1-0]、…の順で配列される。チャネル0からチャネルNまでのN+1個のデータを配列することにより、1シリアルデータフレーム分のデータ部が形成され、形成されたデータ部の先頭に常に「1」となる先頭同期ビット[SynH]を付加し、末尾に常に「0」となる末尾同期ビット[SynL]を付加することで、N+3ビットのデータ長のシリアルデータフレームが形成される。そしてシリアルデータフレームを形成する処理を連続して繰り返し、連続したシリアルデータとして送信側の通信装置から受信側の通信装置へ伝送する。受信側の通信装置では、先頭同期ビット及び末尾同期ビットに基づいて同期をとり、チャネル毎にデータを再配列することが可能となる。
【0089】
以上詳述した様に本発明では、画像データ、音声データ等の非同期で生成される規格が異なるデータにチャネルを割り当て、チャネル毎のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成し、連続したシリアルデータとして送信する。特にデータ量が24ビットフルカラー画像等のデータに対しては、色成分及び階調毎にチャネルを割り当て、データ量が小さいデータに対しては複数の規格のデータに対して一のチャネルを割り当てることで効率的なシリアルデータを形成する。そして受信側ではシリアルデータとして配列されたデータをチャネル毎のデータになるようにシリアル/パラレル変換を行い、夫々のチャネルのデータとして処理する。
【0090】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1における処理部と通信部とを異なる装置とする構成である。図7は、本発明の実施の形態2における車載システムの構成を示すブロック図である。車両1には、複数の規格のデータを生成する処理を行うカーナビゲーション装置本体等の第1処理装置10aが配設されており、第1処理装置10aには、コネクタ等を介して第1通信装置10bが接続されている。第1通信装置10bには、2組の差動より対線であるダウンリンク用伝送線2a及びアップリンク用伝送線2bを一本の線として用いた伝送線2の一端が接続され、伝送線2の他端にはコネクタ等を介して第2通信装置20bが接続されている。そして第2通信装置20bには、カーナビゲーション装置にて生成された画像を表示するモニタ等の表示手段、音声を出力するスピーカ等の音声出力手段、撮影処理を行うビデオカメラ等の撮影手段、音声の入力を受け付けるマイク等の音声入力手段、Bluetooth等の規格に基づく微弱無線機と通信する無線通信手段等の各種構成要素を備える第2処理装置20bが接続されている。
【0091】
第1通信装置10bは、LSIにて構成される通信部110を有しており、通信部110により、第1処理装置10aが生成したデータを受け取って第2通信装置20bへ送信し、第2通信装置20bからデータを受信した場合に、受信したデータを第1処理装置10aに出力する。同様にして第2通信装置20bは、通信部210を備えている。
【0092】
図8及び図9は、本発明の実施の形態2における車載システムにて用いられる各種装置の構成を示すブロック図であり、図8が主に第1処理装置10a及び第1通信装置10bを示し、図9が主に第2処理装置20a及び第2通信装置20bを示している。第1処理装置10aは、画像データ、音声データ、システムデータ、周辺制御データ、無線データ等の様々な規格のデータを生成すべくなしてあり、生成した各データを出力する出力インターフェース101,101,…と、画像データ、音声データ、無線データ、応答データ、操作データ等の様々な規格のデータの入力を受け付ける入力インターフェース102,102,…とを備えている。第1通信装置10bが備える通信部110の構成は、実質的に実施の形態1と同様であるので、実施の形態1と同一符号を付し、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。
【0093】
また第2通信装置20bが備える通信部210の構成は、実質的に実施の形態1と同様であるので、実施の形態1と同一符号を付し、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。第2処理装置20aは、第2通信装置20bが備える出力インターフェース219,219,…から出力される様々な規格のデータの入力を受け付ける入力インターフェース201,201,…及び第2通信装置20bが備える入力インターフェース221,221,…へ様々な規格のデータを出力する出力インターフェース202,202,…を備えている。
【0094】
第1通信装置10bが備える通信部110及び第2通信装置20bが備える通信部210の各種処理は、実質的に実施の形態1と同様であるので、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。
【0095】
前記実施の形態1及び2では、画像データを複数種類の画像要素データとして複数チャネルを割り当て、音声データ、システムデータ、周辺制御データ及び無線データに一のチャネルを割り当てる形態を示したが、本発明はこれに限らず、データ量の多い任意のデータを複数の要素に分解して複数のチャネルを割り当て、データ量の少ない任意の複数のデータに一つのチャネルを割り当てることが可能である。例えばパート毎に録音されたオーケストラの音楽を再生する場合、パート毎にチャネルを割り当てる様にしても良い。
【0096】
また前記実施の形態1及び2では、車載装置に適用する形態を示したが、本発明はこれに限らず、ホームネットワーク等の様々な通信システムに適用することが可能である。そしてカーナビゲーション装置に限らず、DVD再生装置、テレビジョン受像機、オーディオ機器等の様々な装置に適用することが可能である。
【0097】
さらに前記実施の形態1及び2では、複数の種類の非同期データからシリアルデータを生成する形態を示したが、本発明はこれに限らず、複数の種類の同期データからシリアルデータを生成する形態であっても良い。
【0098】
実施の形態1及び2において、伝送線2としては、対撚り線や同軸ケーブル、電気通信ケーブル等のメタル線、さらには、光ファイバ等を用いることができる。光ファイバを用いた場合には、送信インターフェース117,227や受信インターフェース121,211に、光信号を電気信号へ又は電気信号を光信号に変換する変換回路が設けられる。
【0099】
より具体的には、ダウンリンク用伝送線2a,アップリンク用伝送線2bの双方にメタル線を用いてもよいし、それらの双方に光ファイバを用いてもよい。また、ダウンリンク用伝送線2a及びアップリンク用伝送線2bのうちの一方にメタル線を用い、他方に光ファイバを用いてもよい。この場合、例えば、アップリング用伝送線2bとしてメタル線を用いると共にダウンリンク用伝送線2aとして光ファイバを用いる等、画像データや音声データ等を含む比較的大量のデータを伝送する側の伝送線として、高速通信に適した光ファイバを用いることが好ましい。
【0100】
また、1本の光ファイバにてアップリンク方向及びダウンリンク方向への波長多重を用いた双方向の光信号を伝送するようにしてもよい。
【0101】
また、第1の通信装置10と第2の通信装置20間でデータを伝送する伝送媒体としては、メタル線や光ファイバの他、電波等を用いることもできる。また、これらの各伝送媒体が伝送されるデータの内容や量、通信経路等の状況に応じて適宜使い分けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施の形態1における車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる各種装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる各種装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる第1通信装置が備える通信部の主マルチプレクサのチャネル構成を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる第2通信装置が備える通信部の主マルチプレクサのチャネル構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1における車載システムにて用いられる第1通信装置が備える通信部のシリアルデータ形成処理を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2における車載システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態2における車載システムにて用いられる各種装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2における車載システムにて用いられる各種装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0103】
1 車両
2 伝送線
10 第1通信装置
100 処理部
110 通信部
112a〜112e 入力ラッチ回路
115 主マルチプレクサ
116a,116b 副マルチプレクサ
125a〜125e 出力ラッチ回路
20 第2通信装置
200 処理部
210 通信部
214 主デマルチプレクサ
215a,215b副デマルチプレクサ
216a〜216e 出力ラッチ回路
222a〜222e 入力ラッチ回路
10a 第1処理装置
10b 第1通信装置
20a 第2処理装置
20b 第2通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の規格の入出力インターフェース及び他の装置と通信する通信インターフェースを有する通信部を備えた通信装置間で通信を行う通信方法において、
第1の通信装置は、
前記通信部が、各入出力インターフェースから入力された複数の規格のデータに基づくシリアルデータを生成し、
該シリアルデータを通信インターフェースから通信相手となる第2の通信装置へ送信し、
該第2の通信装置は、
受信したシリアルデータを、配列されている順序に従って複数の規格の入出力インターフェースから出力する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項2】
複数の規格の入出力インターフェース及び他の装置と通信する通信インターフェースを有する通信部を備えた通信装置間で通信を行う通信方法において、
第1の通信装置は、
前記通信部が、各入出力インターフェースから入力された複数の規格のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成し、
該シリアルデータを通信インターフェースから通信相手となる第2の通信装置へ送信し、
該第2の通信装置は、
受信したシリアルデータを、配列されている順序に従って複数の規格の入出力インターフェースから出力する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項3】
複数の規格の入力インターフェース及び他の装置へデータを送信する送信インターフェースを有する通信部を備える通信装置において、
各入力インターフェースから入力された複数の規格のデータに基づくシリアルデータを生成する生成手段と、
該シリアルデータを送信インターフェースから通信相手となる他の装置へ送信する手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項4】
前記生成手段は、複数の規格のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成するように構成してあることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
複数の規格の入力インターフェース及び他の装置へデータを送信する送信インターフェースを有する通信部を備える通信装置において、
一の規格の入力インターフェースから一の規格のデータを受け付ける手段と、
受け付けた一の規格のデータを一時的に記録する一のラッチ回路と、
他の規格の入力インターフェースから受け付けた他の規格のデータを受け付ける手段と、
受け付けた他の規格のデータを一時的に記録する他のラッチ回路と、
通信制御に用いる制御データを生成する手段と、
生成した制御データ、一のラッチ回路に記録されている一の規格のデータ及び他のラッチ回路に記録されている他の規格のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成する生成手段と、
該シリアルデータを送信インターフェースから通信相手となる他の装置へ送信する手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項6】
前記一の規格のデータは、画像データであり、
前記他の規格のデータは、複数の規格の入力インターフェースから受け付けた複数の規格のデータである
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記画像データは、画像を構成する複数の色成分の階調を夫々示す複数の画像要素データであり、
前記生成手段は、制御データ、一の規格の複数の画像要素データ、及び他の複数の規格の中から所定の順序で選択された規格のデータを所定の順序で配列したシリアルデータを生成するように構成してある
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記生成手段は、データを所定の順序で配列した連続するシリアルデータを生成するように構成してあることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の通信装置。
【請求項9】
他の装置からシリアルデータを受信する受信インターフェースと、
複数の規格の出力インターフェースと、
受信インターフェースにより、通信相手となる他の装置からシリアルデータを受信する手段と、
受信したシリアルデータに配列されたデータを、配列されている順序に従って複数の規格の出力インターフェースから夫々出力する手段と
を更に備えることを特徴とする請求項3乃至請求項8のいずれかに記載の通信装置。
【請求項10】
送信するシリアルデータ及び受信するシリアルデータのデータ配列は、夫々独立して設定されることを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
複数の規格のデータを生成する処理を行う処理部を更に備え、
該処理部は、
複数の規格のデータを、前記通信部が備える入力インターフェースへ、夫々に対応する規格のデータを出力する複数の規格の出力インターフェースを備える
ことを特徴とする請求項3乃至請求項10のいずれかに記載の通信装置。
【請求項12】
前記複数の出力インターフェースは、夫々のタイミングでデータを出力するように構成していることを特徴とする請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
複数の規格のデータを生成する処理を行う処理装置に接続するように構成してあり、
前記通信部が備える入力インターフェースは、前記処理装置から出力される複数の規格のデータの入力を受け付けるように構成してある
ことを特徴とする請求項3乃至請求項12のいずれかに記載の通信装置。
【請求項14】
請求項3乃至請求項13のいずれかに記載の通信装置と、
該通信装置から送信されるシリアルデータを伝送する伝送線と
を備えることを特徴とする車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−60800(P2006−60800A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214021(P2005−214021)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】