説明

通信機器、サーバーおよびそのプログラム

【課題】従来の集中監視では、インターネットにおける通信の不確実さのため、必ずしもサーバー104でメータ101の状態が常に監視できないという課題を有していた。
【解決手段】顧客宅側の通信機器1に、サーバー10との通信状況を調べるため、テスト情報通信部からサーバー10に対して所定の間隔でテスト信号を送信する。サーバー10側には、テスト信号の受信を行い、各通信機器1毎にテスト信号の通信間隔を計測するサーバー側テスト情報通信部12と、サーバー側テスト情報通信部12で得られた通信間隔が所定の時間以上である通信機器を検出する非接続機器情報取得部14を設ける。これにより、サーバー側でインターネット通信に問題のある通信機器1を判定することができる。また、この情報を用いて、メータの検針・遮断・弁開・復帰等の制御を、通信に問題のある機器に対して実施することを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、水道、電力などのメータの集中監視を行うための通信機器、サーバーおよびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のシステムは、例えば、特許文献1のような構成が多い。図9は、前記特許文献1に記載された従来システムの構成を示すものである。
【0003】
図9では、顧客宅側にメータ101、通信機器102、上位通信機器103が設置され、集中監視センター側にサーバー104が設置されている。
【0004】
サーバー104と顧客宅側の機器はインターネットを介して接続している。上位通信機器103は、通信機器102をインターネットへ接続させるための機器であり、具体的な構成としては、ADSLモデム、メディアコンバータ、ケーブルモデム、回線終端装置、ルータなどである。上位通信機器103の構成は、回線種別により異なる。
【0005】
通信機器102は、メータ101の制御信号をインターネットを経由してサーバー104とやり取りを行う機器である。具体的には、NCU(Network Control Unit:網制御装置)や伝送盤などの専用機器、あるいは、パソコン、情報端末などの一般機器などである。特許文献1には、通信機器102としてパソコンを利用したケースが記載されている。
【0006】
通信機器102は、主に次の2つの動作を行う。(1)メータ101から送信される検針情報やセキュリティ情報をインターネットを経由してサーバー104へ送信する。(2)サーバー104から送信される検針・遮断・復帰・弁開などのメータ制御指示を受信してメータ101に送信し、メータ101を制御する。なお、セキュリティ情報とは、メータ101が圧力低下、ガス漏れ、地震などの振れ、ボンベ交換時期などを検知したときに、サーバー104へ送信する情報である。
【0007】
以上のような構成により、通信機器102は、インターネットを介してメータ情報の送受信をサーバー104と行なう。これによりサーバー104は、メータの検針値や状態取得、メータの遠隔制御などの集中監視業務を行うことができる。
【特許文献1】特開平10−173800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、通信機器102とサーバー104の間がインターネットを介して通信しているため、必ずしも接続性が保証されない。例えば、顧客が契約しているADSLや光回線等の回線接続業者やISP(インターネットサービスプロバイダ)のトラブルや、メンテナンスなどにより、一時的に通信ができなくなることは多い。
【0009】
また、上位通信機器103であるADSLモデムやケーブルモデムなどの電源ケーブルが抜けていたり、停電でも通信ができなくなる。また、上位通信機器103と通信機器102の間が無線LANを用いている場合では、電波状況によって通信ができなくなる。
【0010】
このようなインターネットにおける接続性の不確実さのため、必ずしもサーバー104でメータ101の状態が常に監視できないという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明では、顧客宅側の通信機器に、サーバーとの通信状況を調べるため、サーバーに対して所定の間隔でテスト信号を送信するテスト情報通信部を設ける。そして、サーバー側で通信機器からのテスト信号の受信を行い、各通信機器毎にテスト信号の通信間隔を計測するサーバー側テスト情報通信部と、サーバー側テスト情報通信部で得られた通信間隔が所定の時間以上である通信機器を検出する非接続機器情報取得部を設ける。これにより、サーバー側でインターネット通信に問題のある通信機器を判定し、管理することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の通信機器およびサーバーを用いることにより、サーバー側でインターネット通信に問題のある通信機器を把握することができる。サーバーのオペレータは、この情報から、通信に問題のある通信機器を持つ顧客に対してコンタクトを行うなどして、状況を改善させることができ、インターネットをベースとした集中監視システムのトータルとしての信頼性を高めることができる。
【0013】
また、サーバー側テスト情報通信部で得られる情報から、非接続判定日時、非接続終了日時を検出して通信機器毎に記憶する接続履歴管理部や、現時点での接続可能な通信機器の情報を取得する制御可能機器情報取得部を備えることにより、接続不良問題の原因追及の効率化や、非接続機器に対する制御指示(検針・遮断・復帰・弁開等)の回避を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明は、メータに対して検針などの制御指示情報を通信しメータを制御するメータ制御部と、サーバーとの通信状況を調べるため、サーバーに対して所定の間隔でテスト信号を送信するテスト情報通信部と、サーバーおよびメータ制御部とメータの制御指示情報の通信を行うメータ通信部とを備えた通信機器である。テスト信号をサーバーに送信することにより、サーバー側でインターネット通信に問題のある通信機器を把握することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、テスト情報通信部が通信するテスト信号をUDP(User Datagram Protocol)にする。UDPはTCPを用いるよりも通信制御が簡単であり、特にサーバー側の通信トラフィックや負荷を軽くすることができる。
【0016】
第3の発明は、複数の通信機器に対してテスト信号の通信を行い、各通信機器毎にテスト信号の通信間隔を計測するサーバー側テスト情報通信部と、サーバー側テスト情報通信部で得られた通信間隔が所定の時間以上である通信機器を接続状態に無いものとして検出し記憶・管理する非接続機器情報取得部と、非接続機器情報取得部で得られた通信機器情報やその通信機器を持つ顧客の情報を表示する表示部とを備えたサーバーである。サーバー側で、通信機器からのテスト信号が途絶えた、あるいは、遅れている通信機器を管理することにより、オペレータに対してインターネット接続に問題のある通信機器をリストアップして表示することなどができる。
【0017】
第4の発明は、第3の発明において、通信機器毎に、(1)サーバー側テスト情報通信部でテスト信号を受信した最新の日時(最終アクセス日時)、(2)非接続機器情報取得部で通信機器を接続状態に無いと検出した日時(非接続判定日時)およびテスト情報の通信が再開したときの日時(再接続日時)とを検出して、通信機器毎に記憶する接続履歴管理部と、接続履歴管理部で得られた非接続情報を表示する表示部を備える。このような接続履歴情報を管理・記憶し、オペレータに対して表示することにより、インターネット接続に問題のある通信機器に対して、原因追及の効率化を行うことができる。
【0018】
第5の発明は、第3の発明または第4の発明において、顧客情報、通信機器情報、メータ情報を関連づけて記憶している顧客情報データベースと、顧客情報データベースに管理されている通信機器情報および非接続機器情報取得部で得られた情報から、接続可能な通信機器の情報を取得する制御可能機器情報取得部と、制御可能機器情報取得部で得られた通信機器に接続されたメータに対してのみ、検針などの制御指示が入力可能なメータ制御指示入力部を備える。これにより、インターネット接続などに問題がありサーバーと通信ができない通信機器に対して、無効な制御指示を与えることが無くなり、サーバー側の運用が効率化される。
【0019】
第6の発明は、第3〜5の発明において、通信機器を指定して、メータに対して検針などの制御指示が入力可能なメータ制御指示入力部と、メータ制御指示入力部で入力された制御指示を指定された通信機器に対して通信を行うメータ制御情報送受信部と、非接続機器情報取得部で得られた情報からメータ制御入力部で指定された通信機器が接続状態かどうかを判断し、接続状態であれば制御指示情報をメータ制御情報送受信部に出力し、接続状態でなければ制御指示情報をメータ制御情報送受信部に出力しない指示送信判断部を備える。これにより、入力したメータ制御指示情報を、通信機器へ送信する直前に、通信機器が通信可能状態かどうか判断できる。したがって、無効な制御指示を確実に減らすことができる。
【0020】
第7の発明は、第1、第2のいずれか1つの発明に記載の通信機器の機能の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【0021】
第8の発明は、第3、第4、第5、第6のいずれか1つの発明に記載のサーバーの機能の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【0022】
プログラムであるので電気・情報機器、コンピュータ等のハードリソースを協働させて用いて本発明の機能の一部あるいは全部を容易に実現することができる。また、記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布やインストール作業が簡単にできる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の通信機器1の構成を示した図である。通信機器1は、インターネットを介したサーバー10との通信とメータ6との通信を行うNCU(Network Control Unit)である。また、メータ6の集中監視に用いられるため、集中伝送盤とも呼ばれる。
【0025】
図1において、通信部2は宅内の上位通信機器(ADSLルータ、CATVモデム、光ファイバーの回線終端装置、メディアコンバータ、ホームPNA装置、ゲートウェイ、ルータ、スイッチングハブなど)と接続し、インターネットを介してサーバー10と通信を行う装置である。具体的には、イーサネット(登録商標)に対応しTCP/IP通信を行い、上位通信機器に接続する。なお、通信部2はIEEE 802.11 などの無線LAN通信を行い、無線で上位通信機器に接続しても良い。
【0026】
テスト情報通信部3は、回線状況(サーバー10との接続可能性)を調べるために、テスト信号を所定の時間間隔でサーバー10に向けて通信する。本実施の形態ではテスト信号はUDP(User Datagram Protocol)を用いて通信を行う。UDPはTCPを用いるよりも通信制御が簡単であり、特にサーバー側の通信トラフィックや負荷を軽くすることができる。
【0027】
メータ通信部4は、サーバー10から送信されるメータ制御指示情報を通信部2を介して受信し、受信した情報からメータ制御電文を取り出しメータ制御部5に送信する。また、メータ6から発信された電文をメータ制御部5を介して受信し、サーバー10に対してメータ情報として送信することも行う。
【0028】
メータ制御部5は、無線通信あるいは有線通信でメータと接続しており、制御や状態に関する電文のやり取りを行う。一般に、通信部2から上位通信機器の間のLAN通信と、メータ制御部5からメータ6の間の通信は、通信媒体やプロトコルが異なっている。通信機器1はプロトコル変換を行うゲートウェイとしても動作する。
【0029】
図2は、本実施の形態のサーバー10の構成を示したものである。サーバー10はインターネットを介して複数の通信機器1と接続し、メータ6の集中監視を行う。
【0030】
図2において、サーバー通信部11は、通信機器1からの通信をインターネットを介して受けつける通信機器である。具体的には、回線終端装置、メディアコンバータ、モデム、ルータ、スイッチなどで構成される。
【0031】
サーバー側テスト情報通信部12は、通信機器1からのテスト通信(UDP)を受信し、必要に応じて応答を返信する。また、通信機器1毎にテスト信号の受信間隔を計算する。
【0032】
接続履歴管理部13は、サーバー側テスト情報通信部12で受信したテスト情報の通信履歴(最終アクセス日時、非接続判定日時、再接続日時など)を通信機器1毎に記憶・管理する。
【0033】
非接続機器情報取得部14は、サーバー側テスト情報通信部12で受信したテスト情報の受信間隔から通信機器1がインターネットに接続しているかどうかを判断する。
【0034】
制御可能機器情報取得部15は、非接続機器情報取得部14から得た非接続状態の通信機器情報および顧客情報データベース16に登録された通信機器情報から、現時点で通信可能な通信機器に関する情報を管理し、表示部20に表示する。
【0035】
顧客情報データベース16は、通信機器1、顧客(ユーザ)、メータ6の情報を関連づけて記憶・管理している。なお、顧客情報データベース16はサーバー10外にあってネットワークで接続された形態でも良い。
【0036】
メータ制御指示入力部17は、オペレータが顧客宅内のメータ6に対して検針・遮断・弁開・復帰などの制御指示を行う装置である。具体的には、マウス、タッチパネル、キーボード、押しボタンなどの入力デバイスとその制御装置で構成される。なお、本実施の形態ではガスメータについて説明するが、水道メータ、電力メータであっても構わない。また、制御指示は検針のみであってもよい。
【0037】
指示送信判断部18は、メータ制御指示入力部17でオペレータから入力された制御指示を、非制御機器情報取得部14から得た通信機器1の接続状態に基づいて、通信機器1へ送信するかどうかの判断を行う。
【0038】
メータ制御情報送受信部19はサーバー通信部11を制御して、指示送信判断部18で送信すべきと判断されたメータ制御指示を通信機器1へ送信する。
【0039】
以上のように構成された通信機器1とサーバー2の動作を、図3〜4のフローチャートにより説明する。
【0040】
図3は、通信機器1の動作を示した図である。
【0041】
(ステップA1)通信機器1のテスト情報通信部3は、前回のテスト信号送信から所定時間経過したかどうかを判断する。通信機器1の起動時は、前回のテスト信号送信が無いので、その場合は所定時間が経過しているものと判断する。所定時間経過したと判断した場合はステップA2へ進み、そうでなければステップA3へ進む。なお、この所定時間はテスト情報通信部3に固定的に設定されている値でも良いし、また、通信状態や設定に応じて変更できるようにしても良い。なお、本実施の形態では固定の値とし、例えば、1分などに設定している。
【0042】
(ステップA2)テスト情報通信部3は、前回のテスト信号送信から所定時間以上経過しているので、テスト信号をサーバー10に向けて送信する。なお、このテスト信号はUDP(User Datagram Protocol)を用いて通信を行う。
【0043】
一般に、インターネットの通信はTCPを用いることが多い。TCPプロトコルには再送制御など複雑な通信手順があり、通信先に確実にデータを届けるような制御を行う。しかし、テスト通信のような、通信機器1から短時間で繰り返しサーバーへ送信する情報については、すべての情報をTCPプロトコルで送信すると、特にサーバー側の負荷が大きくなり、多くの通信機器1からの通信を同時にひとつのサーバーで受信できないという課題がある。
【0044】
一方、UDPは再送制御などが無いシンプルな通信手順であるため、本実施の形態のようにテスト通信にUDPを用いた場合、TCPを用いるよりもより多くの通信機器1との接続が可能になるというメリットがある。
【0045】
(ステップA3)メータ制御部5が、メータ6からの情報を受信したかどうかを判断する。メータ6はガスの圧力低下や振動などを検知した場合や、ボンベ内のガスが少なくなった時など様々なケースで、状態を外部へ通知しようとする。このメータ6からの通知情報をメータ制御部5が受信する。メータ制御部5がメータ6からの情報を受信した場合は、ステップA4へ進み、そうでなければ、ステップA5へ進む。
【0046】
(ステップA4)メータ制御部5がメータ6からの情報を受信した場合、その情報をメータ通信部4へ出力する。メータ通信部4は通信部2を制御して、その情報をインターネットを介してサーバー10へ送信する。なお、メータ通信部4は、メータ6からメータ制御部5が受信した電文情報をそのままサーバー10へ送信しても良いし、サーバー10へ送信するのに適したフォーマット(例えば、XML、HTMLなど)に変換して、サーバー10へ送信しても良い。つまりメータ通信部2にプロトコル変換機能を有していても良い。
【0047】
(ステップA5)通信部2は、サーバー10からの制御指示命令を受信したかどうかを判断する。サーバー10からは、メータ6に対して検針・遮断・弁開・復帰などの制御指示電文を送信する。ここでは、通信部2がこれらの情報を受信したかどうかを判断する。制御電文を受信した場合はステップA6へ進み、そうでなければステップA1に戻り、ステップA1からの動作を繰り返す。なお、メータ6の制御電文としては、上記した検針・遮断・弁開・復帰以外のメータ設定電文等でも良い。
【0048】
(ステップA6)通信部2がサーバー10から制御指示命令を受信した場合、メータ通信部4はメータ制御部5を制御して、受信した制御情報をメータ6へ通信する。ステップA4と同様に、メータ6とメータ制御部5の間のプロトコルや電文は、サーバー10から通信部2の間と異なる場合がある、この場合、メータ通信部4はプロトコル変換や電文変換を行う。ステップA6終了後はステップA1に遷移し、上述したステップを繰り返す動作を行う。
【0049】
以上のような動作により、通信機器1は、メータ6およびサーバー10との通信だけでなく、サーバー10に対しテスト情報の通信を行う。通信機器1からのテスト情報がサーバー10に届かない場合は、(1)ADSLモデムやケーブルモデムなどの上位通信機器が故障している、(2)上位通信機器に電源が行っていない、(3)インターネット回線(ISP,回線事業者など)に障害が出ている、などの障害が考えられる。
【0050】
次に、図4を用いて、サーバー10が通信機器1からのデータ受信を行う時の動作を説明する。
【0051】
(ステップB1)サーバー通信部11は、通信機器1からの通信の受信待ち受けを行う。
【0052】
(ステップB2)サーバー通信部11は、通信機器1から受信した信号の種類に応じて、処理を分岐させる。具体的には、プロトコル種別(TCP、UDP)もしくは、通信のポート番号などに基づいて処理を振り分ける。テスト情報を受信した場合はステップB4へ、メータ6の制御などに関する電文を受信した場合はステップB3へ進み、何も受信しない場合はステップB6へ進む。
【0053】
(ステップB3)サーバー通信部11でメータ制御に関する電文を受信した場合、サーバー通信部11は、メータ制御情報送受信部19に情報を送信する。メータ制御情報送受信部19は、サーバー通信部11を介して通信機器1に対して応答などを返し、一連の通信が終了した後に、受信した内容を表示部20で表示する。通信機器1から発呼して来るメータ制御に関する電文としては、メータ6での圧力低下、感振遮断などの状態通知電文などが主である。メータ制御情報送受信部19は、これらの情報をオペレータに対して通知する。
【0054】
(ステップB4)サーバー通信部11でテスト情報(UDP)を受信した場合、サーバー通信部11は、サーバー側テスト情報通信部12に情報を送信する。サーバー側テスト情報通信部12は、通信機器1毎にテスト情報の受信日時(時刻)の記憶・管理と、通信間隔の計算を行い、通信機器1の情報と関連付けて出力する。なお、サーバー側テスト情報通信部12での記憶・管理は、最新(最終)のテスト情報の受信日時だけでも良い。
【0055】
(ステップB5)サーバー側テスト情報通信部12は、テスト情報の受信日時を接続履歴管理部13に出力する。接続履歴管理部13では、通信機器1毎もしくは顧客毎にテスト情報のアクセス履歴情報を記憶・管理している。ここでのアクセス履歴情報とは、(1)サーバー側テスト情報通信部12でテスト信号を受信した最新の日時(最終アクセス日時)、(2)非接続機器情報取得部14で通信機器を接続状態に無いと検出した日時(非接続判定日時)およびテスト情報の通信が再開したときの日時(再接続日時)などの接続履歴情報のことである。
【0056】
接続履歴管理部13は、サーバー側テスト情報通信部12からの「どの通信機器1から、いつテスト信号を受信した」という情報を受け、アクセス履歴情報を更新する。アクセス履歴の更新後は、ステップB1に戻る処理を行う。
【0057】
なお、接続履歴管理部13は、管理しているアクセス履歴情報を表示部20に表示する。表示例を図6に示す。図6では、通信機器1に関係づけられている顧客情報(事業所コード(販売店などのコード)、顧客コード、氏名、通信機器ID)、最終アクセス日時、接続履歴を表示している。図では、接続不良発生の日時が非接続判定日時に対応し、再接続確認の時刻が再接続日時に対応する。なお、この表示を行うために、接続履歴記憶部13は顧客情報データベース16に接続し、通信機器1に関連付けられている顧客情報を取得する。
【0058】
(ステップB6)サーバー通信部11で何も受信が無かった場合、サーバー側テスト情報通信部12は、すべての通信機器1それぞれについて、前回のテスト情報の受信時刻(最終アクセス時刻)から現時刻までの経過時間を計算する。計算した経過時間は非接続機器情報取得部14に出力する。
【0059】
(ステップB7)非接続機器情報取得部14は、計算した経過時間が所定時間を越えている通信機器1を、サーバー10との通信がうまく行っていない非接続機器として判定し、その情報を記憶・管理する。所定時間としては、例えば10分など、テスト信号の送信間隔に等しいか、それより大きな値を設定する。
【0060】
非接続機器とは、通信機器1が何らかの理由のためサーバー10に接続できない状態や、通信機器1自体の電源が落ちていて通信ができない状態にある通信機器を意味している。通信機器1がサーバー10に接続できない理由は、宅内のLANケーブルが通信機器1から抜けている場合、ADSLモデムなどの上位通信機器の電源が落ちている場合、ISPがトラブルで不通の場合など、様々な理由が考えられる。
【0061】
非接続機器情報取得部14は、非接続機器と判定した通信機器1の情報(判定日時、状態)を、接続履歴記憶部13に出力する。接続履歴記憶部13はこの情報を記憶・管理し、図6のような形でオペレータに表示を行う。
【0062】
なお、非接続機器情報取得部14は、現時点における非接続機器の情報を表示部20を用いてオペレータに対して表示する。表示例を図7に示す。図7では、例として2004年12月1日12:15時点の非接続機器の一覧画面を表示している。非接続機器情報取得部14は、顧客情報データベース16にアクセスして、サーバー10に接続できていない通信機器1に割り付けられている事業所コード(販売店コード)、顧客コード、氏名、電話番号、通信機器IDを表示する。なお、ステップB7終了後は、ステップB1に遷移し、上述した動作を繰り返す。
【0063】
以上のステップB1〜B7により、サーバー10で、通信がうまく行っていない通信機器1をリストアップすることができ、さらに、通信機器1の接続履歴をオペレータに対して表示することができる。宅内の通信に無線LANを用いた場合など、サーバー10との接続が不安定な通信機器1は、メータ6の集中監視を行うには不適切である。本実施の形態によると、オペレータが通信の不適切な通信機器1を把握することができ、ユーザに通信機器1の設置方法などの改善提案なども可能になる。
【0064】
次に、図5のフローチャートを用いて、サーバー10が通信機器1へ制御指示の送信を行う時の動作を説明する。
【0065】
(ステップC1)制御可能機器情報取得部15は、非接続機器情報取得部14および顧客情報データベース16の情報へアクセスする。これにより、現時点で通信機器1からサーバー10への通信が可能な通信機器1を持つ顧客の一覧を表示部20で表示する。
【0066】
具体的には顧客情報データベース16に登録されているすべての通信機器1のうち、非接続機器情報取得部14で非接続機器としてリストアップされた機器を除外し、残った通信機器1に割り当てられた顧客の情報を表示する。図8に表示例を示す。図8では、接続が確認された通信機器1に割り当てられた事業所コード(販売店コード)、顧客コード、氏名、通信機器ID、制御項目を表示している。制御項目は、次のステップで用いるものである。
【0067】
(ステップC2)オペレータは、メータ制御指示入力部17を用い、制御可能機器情報取得部15で表示された通信機器1に対して、メータの制御指示命令を入力する。本実施の形態では、図8に示すように顧客氏名に対応する形で、制御指示が選択できるようになっている。オペレータは、制御指示を与えたいメータを持つ顧客に対応した制御指示をチェックし、実行ボタンを押すことで制御指示を与えることができる。このような接続可能な通信機器1の一覧からのみ、制御指示を与えるようにすることで、非接続状態の通信機器1に対して制御指示を行うことを無くすことができる。これによりサーバー側でのオペレーションの効率化が可能となる。
【0068】
メータ制御指示入力部17は、対象となる通信機器1の情報(IDなど)と入力された制御指示を、指示送信判断部18へ出力する。
【0069】
(ステップC3)指示送信判断部18は、非接続機器情報取得部14にアクセスし、オペレータから指定された制御対象である通信機器1の接続状況を確認する。上記ステップC1〜C2で接続可能な通信機器1に対する制御指示が行われているので、基本的には接続状況には問題は無いはずである。しかし、ステップC1による表示タイミングとステップC2の入力タイミングには、時間的なずれが発生する可能性があり、入力された時点で通信機器1が非接続状態になっている可能性がある。これを避けるために、指示送信判断部18は非接続機器情報取得部14にアクセスし、送信時点において、制御対象である通信機器1が非接続状態で無いかどうかを再確認する。
【0070】
(ステップC4)指示送信判断部18は、制御対象である通信機器1の接続状況により、処理を分岐させる。対象通信機器1が非接続機器情報取得部14で管理されている非接続機器に含まれていれば、ステップC1に戻り、制御指示は通信機器1に送信しない。非接続機器でなければ、ステップC5に進む。
【0071】
(ステップC5)制御指示を送信しようとする通信機器1が非接続機器で無い場合、指示送信判断部18は、メータ制御情報送受信部19へ制御指示情報を出力する。
【0072】
(ステップC6)メータ制御情報送受信部19は、制御指示情報を適切な電文に変換し、サーバー通信部11を制御して、インターネット経由で通信機器1に送信する。これによりメータ6の制御指示を送信することができる。
【0073】
以上のようなステップC1〜C6の動作により、メータ6に対する制御指示を入力する前に、制御可能機器情報取得部15がサーバー10と接続可能な機器を一覧表示するため、非接続の通信機器1に対して制御指示を送信するようなことが無くなる。また指示送信判断部18により、たとえ非接続状態の通信機器1に制御指示を送信しようとしても、送信直前に非接続機器情報取得部14の情報から、対象通信機器1が非接続の場合は送信されない。これにより、無駄な制御通信が無くなり、サーバー側のオペレーションも効率化される。
【0074】
なお、指示送信判断部18で、接続状態が非接続状態であった場合、表示部20を用いて、制御指示情報が送信されない理由をオペレータに対して表示させても良い。
【0075】
また、テスト情報通信部3は定期的にテスト情報を送信するとしたが、一定間隔でなく、通信状況や上位通信機器の機種などに応じて変化するようにしても良い。さらに、テスト情報は、繰り返し送信する種類の情報であれば何でもよく、通信機器1の他の定期通信をテスト情報の変わりに用いても良い。
【0076】
なお、本実施の形態で説明した図1、図2の構成部は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明にかかる通信機器、サーバーおよびそのプログラムは、宅内の通信機器の通信可能性をサーバー側で管理でき、効率的な集中監視が可能になる。これは、メータの集中監視だけでなく、他の監視システムや、センサー機器などの通信機器、NCU、伝送盤にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1における通信機器の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1におけるサーバーの構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態1の通信機器動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1のサーバー受信動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1のサーバー送信動作を示すフローチャート
【図6】本発明の実施の形態1における接続履歴表示例を示す図
【図7】本発明の実施の形態1における非接続機器表示例を示す図
【図8】本発明の実施の形態1における制御可能機器表示例を示す図
【図9】従来の全体構成を示す図
【符号の説明】
【0079】
1 通信機器
2 通信部
3 テスト情報通信部
4 メータ通信部
5 メータ制御部
6 メータ
10 サーバー
11 サーバー通信部
12 サーバー側テスト情報通信部
13 接続履歴管理部
14 非接続機器情報取得部
15 制御可能機器情報取得部
16 顧客情報データベース
17 メータ制御指示入力部
18 指示送信判断部
19 メータ制御情報送受信部
20 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メータに対して検針などの制御指示情報を通信しメータを制御するメータ制御部と、サーバーとの通信状況を調べるためサーバーに対して所定の間隔でテスト信号を通信するテスト情報通信部と、サーバーおよび前記メータ制御部と前記制御指示情報の通信を行うメータ通信部とを備えたことを特徴とする通信機器。
【請求項2】
テスト情報通信部が通信するテスト信号はUDP(User Datagram Protocol)を用いることを特徴とする請求項1記載の通信機器。
【請求項3】
複数の通信機器に対してテスト信号の通信を行い各通信機器毎にテスト信号の通信間隔を計測するサーバー側テスト情報通信部と、前記サーバー側テスト情報通信部で得られた通信間隔が所定の時間以上である通信機器を接続状態に無いものとして検出し記憶・管理する非接続機器情報取得部と、前記非接続機器情報取得部で得られた通信機器情報やその通信機器を持つ顧客の情報を表示する表示部とを備えたことを特徴とするサーバー。
【請求項4】
通信機器毎に、(1)サーバー側テスト情報通信部でテスト信号を受信した最新の日時(最終アクセス日時)、(2)非接続機器情報取得部で通信機器を接続状態に無いと検出した日時(非接続判定日時)およびテスト情報の通信が再開したときの日時(再接続日時)とを検出して、通信機器毎に記憶する接続履歴管理部と、前記接続履歴管理部で得られた非接続情報を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項3記載のサーバー。
【請求項5】
顧客情報、通信機器情報、メータ情報を関連づけて記憶している顧客情報データベースと、前記顧客情報データベースに管理されている通信機器情報および非接続機器情報取得部で得られた情報から、接続可能な通信機器の情報を取得する制御可能機器情報取得部と、前記制御可能機器情報取得部で得られた通信機器に接続されたメータに対してのみ、検針などの制御指示が入力可能なメータ制御指示入力部とを備えたことを特徴とする請求項3または4に記載のサーバー。
【請求項6】
通信機器を指定して、メータに対して検針などの制御指示が入力可能なメータ制御指示入力部と、メータに対する制御指示を指定された通信機器に対して通信を行うメータ制御情報送受信部と、非接続機器情報取得部で得られた情報から前記メータ制御入力部で指定された通信機器が接続状態かどうかを判断し、接続状態であれば前記制御指示を前記メータ制御情報送受信部に出力し、接続状態でなければ前記制御指示を前記メータ制御情報送受信部に出力しない指示送信判断部とを備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のサーバー。
【請求項7】
請求項1、2のいずれか1項記載の通信機器の機能の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項3、4、5、6のいずれか1項記載のサーバーの機能の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−174221(P2006−174221A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365701(P2004−365701)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】