説明

通信端末、通信方法選択方法、通信方法及びこれらを実現するサーバ

【課題】一つの通信端末上で複数の独立した各種通信サービスを利用する利用者が、通信サービス毎に異なる通信相手のコンタクト情報を簡便に管理し、必要に応じて望む通信手段によって容易に通信相手との通信を確立できる方法を提供する。
【解決手段】各通信サービスとは独立した共通サービスによって、各通信端末に対して一意性を保証するための認識票を配布し、これらに関連づけて通信サービスごとのコンタクト情報を情報端末間で授受し、表示装置上に通信相手と通信サービス表示のマトリクスを表示した上、任意の通信サービス表示を選択することで、通信が開始されるような通信端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、通信端末間で通信相手との接続に必要な情報を入手した上で通信を確立するための、通信端末、コンタクト情報、コンタクトリスト、アドレス帳、住所録、電話帳、表示方法、情報処理方法、およびデータベースに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの通信端末では、通信相手との接続に必要な情報を記憶する記憶装置を有するか、または通信相手との接続に必要な情報を記憶したサーバなどとの通信手段を有する。通信端末の利用者は、必要に応じて通信相手との接続に必要な、利用する通信サービス内で通信相手を一意に特定するための情報(以下コンタクト情報と称する)を端末の記憶装置またはサーバなどから呼び出して、通信を開始することができる。たとえば、ほとんどの場合、携帯電話端末の利用者は、数字ボタンを押してコンタクト情報である電話番号を入力することで通話を開始できるだけでなく、あらかじめ登録しておいた通信相手の名前などを、携帯電話端末の記憶装置から呼び出すことで、その名前に関連づけられた電話番号を利用して通話を開始できる。また、パーソナル・コンピュータなどの汎用情報端末で広く使われている電子メール、チャット、IP電話などによる通信でも、あらかじめ情報端末の記憶装置に記憶しておくか、もしくはサービス事業者のサーバからネットワークを通じて入手した、通信相手の名前を呼び出すことで、その名前に関連づけられたコンタクト情報であるアドレスやユーザ名を利用して通信を開始できる。このようにすることで、相手のコンタクト情報を利用者自身が通信端末に直接入力しなくとも、通信を開始できるという利点がある。
【0003】
さて、近年各種ネットワーク技術の発展に伴い、通信手段の選択肢が広がっている。たとえば、携帯電話機の多くにはIP(InternetProtocol)通信機能が搭載されている。このため、携帯電話機を使うと、IP通信機能を利用して電子メールやSMS(ShortMessageService)による通信が可能であり、さらに最近では、通常の音声通話に加えてIP電話による通話が可能な携帯電話機もある。つまり携帯電話機の利用者は、一つの携帯電話機を使って、電子メール、SMS、携帯電話機の提供する音声通話、IP電話による音声通話といった複数の通信方法を必要に応じて選択しながら、任意の相手と通信することができる。
【0004】
このような状況は、パーソナル・コンピュータなどの汎用情報端末を使った通信ではさらに著しい。パーソナル・コンピュータの利用者は、インターネットを利用した電子メール、IP電話を利用した音声通話やテレビ会議、文字によるチャット、FTP(File Transfer Protocol)やHTTP(HyPer text Transfer Protocol)などによる任意のファイル転送などといった、複数の通信方法を必要に応じて選択しながら、任意の相手と通信している。さらに近年は、利用者の認証手段を有するウェブサイトを通じてサーバの記憶装置上に電子メールのデータを記憶させた上、パーソナル・コンピュータなどの情報端末のウェブブラウザからインターネットを通じてこのデータにアクセスする、いわゆるウェブメール型の電子メールが急速に普及している。情報端末の利用者は、このようなウェブメール型の電子メールサービスを複数利用している場合が多く、従来から使われてきたSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP(Post Office Protocol)などのプロトコルに依存する電子メールの電子メールサービスに加えて、ウェブメールサービス毎に異なる複数の電子メールサービスを、必要に応じて選択しながら、任意の相手と通信している。
【0005】
加えて、近年急速に普及したソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下SNSと称す)(文献1)と呼ばれるサービスでは、情報の開示者となる情報端末の利用者は、認証手段を有するウェブサイトを通じて、サーバの記憶装置に日記、写真、音声など様々な情報を記憶させた上で、この認証手段によって認証され、かつ開示者が明示的にウェブサイトを通じて指定した特定の被開示者となる別の利用者に対して、これらの情報を開示することができる。これも情報の開示者と被開示者との間の通信であり、SNSサービスごとに、通信相手を一意に特定するためのコンタクト情報であるユーザ名が各ユーザに割り当てられており、このユーザ名をもとに様々な情報の開示および被開示がおこなわれる。SNSについても、前記ウェブメールと同様に利用者の多くは複数のSNSサービスを必要に応じて選択しながら、任意の相手との各種情報のやりとりをしている。
【0006】
そしてこのような各種通信サービスにおいては、通信相手のコンタクト情報は、各々の通信サービスごとに通信端末の記憶装置にあらかじめ記憶しておき、これを呼び出すか、または通信サービス事業者の提供するサーバから検索したコンタクト情報をインターネットを通じて情報端末が入手する。このような通信端末の記憶装置もしくはサーバからのコンタクト情報の保持と呼び出しの機能は、一般にはそれぞれの通信サービスが独立して提供している。
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,069,308号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
携帯電話機やパーソナル・コンピュータといった通信端末で利用される、前記のような様々な通信サービスでは、各々の通信サービスが独立して、その通信サービスの中で通信の際に通信相手を一意に特定するためのコンタクト情報を各利用者に与える。このような状況において、前記のように情報端末の利用者同士が複数の通信サービスを必要に応じて選択しながら、通信をおこなう場合には、利用者がその情報端末において、サービスごとに異なる利用者自身のコンタクト情報を持つ必要がある。たとえば、あるパーソナル・コンピュータの利用者Aが、1つの電子メール、2つのIP電話、そして1つの文字チャットの、合計4つの通信サービスを利用しているとする。各々の通信サービスのコンタクト情報は独立しており、各コンタクト情報は各通信サービス事業者から天下り的に与えられるか、または各通信サービス内で既に他者に使われているコンタクト情報は取得できないため、この利用者Aがこれら4つの通信サービス用に同じコンタクト情報を利用できる場合は少ない。たとえば、IP電話のアドレスをそのまま電子メールアドレスに使うことは、データフォーマットの違いで許されないかもしれない。このため同一人物である利用者Aが、通信サービスごとに多くのコンタクト情報を持つことになる。これは利用者Aの通信相手である他者であっても同様であり、ネットワーク全体を通じて同一人物が多くのコンタクト情報を持つことになる。
【0009】
図1を参照して、このような状況でおこる問題について説明する。図1に示す一例では、利用者Aは情報端末11を使って、電子メールサービスV、IP電話サービスWとX、および文字チャットサービスZの4つの通信サービスを利用している。同様に利用者Bの通信端末12では、V、X、YおよびZの通信サービスを、利用者Cの通信端末ではV、W、およびXの通信サービスを、そして利用者Dの端末ではV、W、およびYの通信サービスをそれぞれ利用している。この状態では、利用者Aの端末では、電子メールサービスV用15、IP電話サービスW用16、IP電話サービスX用17、および文字チャットサービスZ用18の4つのコンタクトリストが利用可能である。各々のコンタクトリストには、その通信サービスにおける通信相手のコンタクト情報が含まれる。たとえば、IP電話サービスXのコンタクトリスト17には、利用者BのIP電話サービスXのコンタクト情報CntX(B)、および利用者CのIP電話サービスXにおけるコンタクト情報CntX(C)が記憶されている。各々のコンタクトリストは、利用者Aの端末11の記憶装置に記憶されていても、あるいは各通信サービス事業者のサーバなどに記憶され、インターネットを通じて利用者Aの通信端末11から呼び出されるものでもよい。ここで利用者Aの端末11はSNSサービスYを使っていないのでSNSサービスY用のコンタクトリストにはアクセスできない。
【0010】
このような状態で、利用者Aがその通信端末11を通じ、利用可能な通信サービスV、W、Y、およびZを必要に応じて使い分けながら、利用者B、C、またはDと通信する。その際、利用者Aにとっては、次の3つの問題がある。
【0011】
第一の問題は、同一人物である通信相手のコンタクト情報が、異なるコンタクトリストに分散して存在することである。再び図1を参照して、たとえば利用者Aの通信端末からみて、利用者Cのコンタクト情報は、電子メールサービスV用15、IP電話サービスW用16、およびIP電話サービスX用17、の3つのコンタクトリストに分散している。ここでたとえば、利用者AがBと通信をしようとする場合、まず利用する通信サービスを選択して、次に呼び出したコンタクトリストの中から利用者Cのコンタクト情報を選択する。いま、利用者AがIP電話で利用者Bと通信したいとする。利用者Aにとって、単にすぐにBと通話ができれば良いのであって、どのIP電話サービスを使うかには関心がない。しかし、Aはたとえば、まずIP電話サービスWのコンタクトリストを、情報端末の記憶装置または事業者Wのサーバから呼び出した上で、BのIP電話サービスWにおけるコンタクト情報を検索する。しかし、利用者BはIP電話サービスWを利用していないので、コンタクトリスト16の中から利用者Bのコンタクト情報は発見できない。そこで次に、別のIP電話サービスXのコンタクトリストを同様に呼び出して、利用者BのIP電話サービスXのコンタクト情報を検索し、CntX(B)を検出するとこれをもとに利用者Aは利用者Bとの通信を開始する。もし利用者BがIP電話サービスWもIP電話サービスXも利用していない場合はさらに同様の手順で電子メールや有線電話などの他の通信手段を探さなければならないかもしれない。この一連の行為で利用者Aが達成したいことの本質は、利用者Bと連絡をとることであって、特定の通信サービスを使うことではない。にもかかわらず、利用者Aはまず利用する通信サービスを選択し、次に通信相手を選択するという順番での操作を強いられる。このような状況では、利用者Aがすべての通信相手が各々どの通信サービスを利用しているか、という対応関係を理解した上で、最初に利用する通信サービスを選ぶ必要があるが、通信サービスや通信相手が増えればこれは難しい作業となる。同一人物である通信相手のコンタクト情報が、各々の通信サービスの提供する独立した複数のコンタクトリストに散在していることが、利用者Aがこのような煩雑な操作をしなければならない理由である。その上、これらの操作の目的である利用者Aとの通話ができるか否かが、この一連の操作を終えた後でないとわからないという問題もある。
【0012】
第二の問題は、同一人物である通信相手が通信サービスごとに異なる多くのコンタクト情報を持っているため、複数の通信サービスを使い分ける利用者にとって、通信相手の管理が煩雑になる点である。再び図1を参照すると、利用者Aが使っている通信サービスのコンタクト情報は、CntV(A)、CntW(A)、CntX(A)、およびCntZ(A)の4つである。前記の理由によってこれらのコンタクト情報は異なる場合が多く、同一人物である利用者Aがいくつものコンタクト情報を持つ。これは他の利用者B、C、およびDでも同じである。この状態で、利用者Aが様々な通信サービスを、必要に応じて使い分けながらB、C、およびDと通信をしているとする。たとえば、電子メールサービスVのコンタクトリスト15にあるCntV(B)、Xのコンタクトリスト17にあるCntW(B)、およびZのコンタクトリスト18にあるCntZ(B)がすべて異なる場合、これらがすべて同一人物の利用者Bであることを、利用者Aの通信端末が各々のサービス事業者から提供されるコンタクト情報から判断する方法はない。
【0013】
従来の方法によれば、この問題を回避するために、各々の通信サービスごとのコンタクトリストにおいて、各々のコンタクト情報にその通信サービスで通信相手が名乗っている名前を関連づけている。たとえば、携帯電話のコンタクトリストである電話帳では、通信相手の電話番号と通信相手の名前が関連づけられて記憶されているため、携帯電話の利用者は、コンタクト情報である電話番号を意識せず、相手の名前を選択するだけで、その相手に電話をかけることができる。こうすれば、異なる通信サービスにおいて同一人物が複数のコンタクト情報を使っていたとしても、異なる通信サービスで通信相手が同じ名前を名乗っていれば、利用者Aの端末でそれが同一人物であることがわかる。しかしこの方法の問題は、通信相手が名乗る名前は、すべての通信サービスで同じとは限らない点である。特にウェブ電子メール、IP電話やSNSサービスなどの、いわゆるウェブサービスでは、コンタクト情報に関連づけられた利用者の情報を、通信サービス事業者のサーバに記憶した上、これらをすべての利用者から検索できるようにしている場合が多い。このためセキュリティの観点から、これらの通信サービスの利用者の多くが、コンタクト情報と関連づける名前に、実名を使わずに匿名性の高いニックネームを使うか、そもそも名前などの個人情報を関連づけずに利用している。同一人物が通信サービス毎に異なるニックネームを使っている場合も多く、さらに同じニックネームをその通信サービス内で使う人は複数する者がいる場合が多い。したがって、結局のところ、利用者A自身がどの通信サービスのどのコンタクト情報は誰のものであるか、という対応関係を自ら管理する必要があり、これが煩雑である点は変わらない。特に利用する通信サービスの数が増え、かつ通信相手が増えると、この問題は加速度的に深刻になる。
【0014】
第三の問題としては、利用者が使っていない通信サービスのコンタクトリストが得られないことである。再び図1を参照すると、利用者Aの端末11では、SNSサービスYは利用していないため、SNSサービスYのコンタクトリストは利用できない。たとえば、利用者Aは、SNSサービスYを使っていなくとも、利用者Aの他の通信サービスによる通信相手の中で、誰がSNSサービスYを使っているかを知りたい場合がある。たとえば、もし利用者DがSNSサービスYを使っていることを利用者Aが知っていれば、利用者A自身がSNSサービスYの利用者になることによって、利用者DのSNSページを閲覧したいかもしれない。しかし、図1に示すとおり従来の技術において各通信サービスが独立してコンタクトリストを提供している状況では、利用者Aは、自分が使っていない通信サービスYを、利用者Aの知人であるBやDが利用していることを、コンタクトリストを通じて知ることはできないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の本願発明の一実施形態によると、
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数個収集する手段と、
前記複数個収集された通信相手となる利用者の情報セットを蓄積する手段と、
を具備することを特徴とする通信端末が提供される。
【0016】
請求項2記載の本願発明の一実施形態によると、
請求項1記載の通信端末において、さらに、
前記複数収集して蓄積された通信相手となる利用者の情報セットの各々から、特定の通信相手に対応する前記通信サービス情報を複数抽出する手段と、
前記複数抽出された前記通信サービス情報に各々対応する通信サービス表示を、前記特定の通信相手に関連づけて表示する手段と、
を具備することを特徴とする通信端末が提供される。
【0017】
請求項3記載の本願発明の一実施形態によると、
請求項1記載の通信端末において、前記認識票は、前記複数の通信サービスのコンタクト情報とは独立して、すべての前記複数の通信サービスのすべての利用者の中で、前記通信相手となる利用者を一意に特定できることを特徴とする通信端末が提供される。
【0018】
請求項4記載の本願発明の一実施形態によると、
請求項2記載の通信端末において、さらに、
前記特定の通信相手に関連づけて表示された、前記複数の通信サービス表示のいずれかが選択されると、その選択された通信サービス表示に対応する通信サービスを用いた、前記特定の通信相手との通信を開始する手段とを具備することを特徴とする通信端末。
【0019】
請求項5記載の本願発明の一実施形態によると、
請求項2記載の通信端末において、さらに、
前記特定の通信相手に関連づけて表示された、前記複数の通信サービス表示のいずれかが選択されると、その選択された通信サービス表示に対応する通信サービスを用いて、前記特定の通信相手の情報をサーバより取得する手段を具備することを特徴とする通信端末が提供される。
【0020】
請求項6記載の本願発明の一実施形態によると、
請求項1記載の通信端末において、前記通信相手となる利用者の情報セットには、通信相手となる利用者を特定する認識票、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報、に加えて、前記特定の通信サービスにおける前記通信相手となる利用者のステータスを示すステータス情報が含まれることを特徴とする、通信端末が提供される。
【0021】
請求項7記載の本願発明の一実施形態によると
請求項2記載の通信端末において、前記通信相手となる利用者の情報セットには、通信相手となる利用者を特定する認識票、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報、に加えて、前記特定の通信サービスにおける前記通信相手となる利用者のステータスを示すステータス情報が含まれ、前記ステータス情報に対応して、前記通信サービス表示が変化するよう構成したことを特徴とする通信端末が提供される。
【0022】
請求項8記載の本願発明の一実施形態によると
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数取得し、
複数取得した前記通信相手となる利用者の情報セットを記憶装置内に蓄積し、
蓄積した前記通信相手となる利用者の情報セットより、選択された特定の利用者に対応する前記通信サービス情報を抽出し、
抽出された前記通信サービス情報を、前記特定の利用者に関連づけて表示する手段ことを特徴とする通信サービスの選択方法が提供される。
【0023】
請求項9記載の本願発明の一実施形態によると、
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数取得し、
複数取得した前記通信相手となる利用者の情報セットを記憶装置内に蓄積し、
蓄積した前記通信相手となる利用者の情報セットより、選択された特定の利用者に対応する前記通信サービス情報を抽出し、
抽出された前記通信サービス情報を、前記特定の利用者に関連づけて表示し、
前記特定の利用者に関連づけて表示した複数の通信サービス表示のいずれかを選択して、その選択された通信サービス表示に対応する通信サービスを用いて、前記特定の利用者との通信を開始する通信方法が提供される。
【0024】
請求項10記載の本願発明の一実施形態によると、
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数取得し、
複数取得した前記通信相手となる利用者の情報セットを記憶装置内に蓄積し、
蓄積した前記通信相手となる利用者の情報セットより、選択された特定の利用者に対応する前記通信サービス情報を抽出し、
抽出された前記通信サービス情報を、前記特定の利用者に関連づけて表示し、
前記特定の利用者に関連づけて表示した複数の通信サービス表示のいずれかを選択して、その選択された通信サービス表示に対応する通信サービスを用いて、前記特定の利用者の情報をサーバより取得する、情報取得方法が提供される。
【0025】
請求項11記載の本願発明の一実施形態によると、
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数個収集する手段と、前記複数個収集された通信相手となる利用者の情報セットを蓄積する手段と、を具備する通信端末に対して、前記通信相手となる利用者を特定する認識票を送信することを特徴とするサーバが提供される。
【0026】
請求項12記載の本願発明の一実施形態によると、
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数個収集する手段と、
前記複数個収集された通信相手となる利用者の情報セットを蓄積する手段と、
前記複数収集して蓄積された通信相手となる利用者の情報セットの各々から、特定の通信相手に対応する前記通信サービス情報を複数抽出する手段と、
前記複数抽出された前記通信サービス情報に各々対応する通信サービス表示を、前記特定の通信相手に関連づけて表示する手段と、を具備する通信端末に対して、前記通信相手となる利用者を特定する認識票を送信することを特徴とするサーバが提供される。
【発明の効果】
【0027】
本願発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、一つの通信端末上で複数の独立した各種通信サービスを利用する利用者が、通信サービス毎に異なる通信相手のコンタクト情報を簡便に管理し、必要に応じて望む通信手段によって容易に通信相手との通信を確立できる方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に本願発明を実施するための現在考えられる最善の形態について説明する。本願発明の範囲は、添付特許請求の範囲によって明確に定義されているため、この説明は限定的な意味に解釈すべきではなく、単に発明の一般原理を例示する目的で行う。
【0029】
(定義)
コンタクト情報とは、ある特定の通信サービス内で、通信相手を一意に特定し、かつその通信相手との通信開始に必要な情報を指す。たとえば携帯電話事業者から利用者に与えられるコンタクト情報は携帯電話番号であり、電子メールサービス事業者から利用者に与えられるコンタクト情報は電子メールアドレスであり、SNSサービス事業者から利用者に与えられるコンタクト情報はSNS名である。
【0030】
コンタクトリストとは、通信端末の記憶装置に記憶した、または通信サービス事業者のサーバに記憶され必要に応じて通信端末の記憶装置に呼び出すことのできる、通信相手のコンタクト情報の集合であって、かつその中でコンタクト情報を利用者が情報端末に直接入力することなく、各々のコンタクト情報に関連づけられた名前などの通信相手の情報を選択することで、相手との通信が開始できる形で利用者に提供されるものと定義する。たとえば、パーソナル・コンピュータ上の電話帳プログラムによって表示装置に表示された電話番号を、利用者自ら携帯電話機のボタンを押して入力しなければならない場合、この電話帳プログラムによって管理されているコンタクト情報である電話番号の集合は、コンタクトリストではない。しかし、携帯電話機の電話帳にあらかじめ登録され、通信相手の名前を選択するだけで、電話番号を入力することなく相手との通信を開始できる場合、この電話帳に登録された電話番号の集合はコンタクトリストである。また他の一例では、ソーシャル・ネットワーク・サイトを閲覧する際、情報端末のウェブブラウザ上に表示される友人のリストは、コンタクト情報である利用者のこのサービスのユーザ名を直接入力せずとも、友人のサイトを閲覧できるものであれば、その友人の認識票の集合はコンタクトリストである。
【0031】
本願発明は、ネットワークに接続された様々な通信端末に利用できる。ここで使われる通信端末は、パーソナル・コンピュータ、携帯型情報端末、有線電話機、携帯電話機、ゲーム機、テレビ、ビデオレコーダ、カメラ、ビデオカメラ、携帯型音楽プレーヤー、など何でもよい。またここでは、主とした目的が通信ではない端末、たとえばパーソナル・コンピュータ、ゲーム機、コンピュータ、カメラなどであっても、ネットワークに接続が可能であり、他者と何らかの通信が可能な情報端末はすべて通信端末と呼ぶ。また通信する2つ以上の通信端末が同じ種類の情報端末である必要はない。たとえば、本願発明による方法で、パーソナル・コンピュータから、携帯電話機のコンタクト情報および、ゲーム機のコンタクト情報を選択し、この3つの端末で三者通話を行うような場合にも、本願発明は適用される。また、本願発明は、前記通信端末上で動くさまざまな通信サービスについて利用される。ここで使われる通信サービスは、音声通話、動画通話、ウェブサイトでの様々な情報の閲覧、ウェブサイトへの情報のアップロード、チャット、電子メール、ファイル転送、など、どのような通信サービスであってもよい。
【0032】
図1に示す一例では、利用者Aは情報端末11を使って、電子メールサービスV、IP電話サービスW、IP電話サービスX、および文字チャットサービスZの4つの通信サービスを利用している。同様に利用者Bの通信端末12では、V、X、YおよびZの通信サービスを、利用者Cの通信端末ではV、W、およびXの通信サービスを、そして利用者Dの端末ではV、W、およびYの通信サービスをそれぞれ利用している。各利用者は、その必要または通信相手に応じて通信サービスを使い分けている。この状態で図2を参照すると、本願発明の一実施形態では、上記V、W、X、Y、およびZの通信サービスに加えて、これらの通信サービスにおけるコンタクト情報を交換するために、これらとは独立したもう一つの共通サービスPを有する。この共通サービスPの構成要素としては、認識票発行サーバ21、および情報中継サーバ22を有する。いま、利用者A、B、C、およびDはすべてこの共通サービスPの利用者である。なお、以下の説明をフローチャートとして図3に示す。
【0033】
(実施形態1)
本実施形態1の第一のステップでは、共通サービスPの認識票発行サーバ21が、共通サービスPの利用者の各々を一意に特定するための認識票を、各々の利用者の通信端末に送る。(ステップS301)図2に示す一例では、A、B、C、およびDの各通信端末に、ID(A)、ID(B)、ID(C)およびID(D)の4つの認識票を各々送っている。次に、これらの認識票を受け取った各々の端末では、その端末が利用する通信サービスで利用する自分のコンタクト情報とともに、受け取った認識票を自分の情報用記憶装置または記憶領域23に記憶する。またこのとき、これら認識票およびコンタクト情報とともに、利用者Bが通信相手の通信端末で認識されやすいように名乗る任意の名前を決め、これを自分の情報用記憶装置または記憶領域23に記憶してもよい。(ステップS302)たとえば、利用者Bの端末では、認識票発行サーバ21から受け取ったID(B)に加えて、利用者Bの使っている各種通信サービスの利用者B自身のコンタクト情報であるCntV(B)、CntX(B)、CntY(B)およびCntZ(B)、さらに自分が通信相手に名乗る名前Name(B)を、利用者Bの端末の、自分の情報用の記憶装置または記憶領域23に記憶している。ここで自分の名乗る名前は、利用しているすべての通信サービスに共通の名前でも、通信サービスごとに異なる名前でもよい。通信サービスごとに異なる名前を名乗る場合は、通信サービスごとのコンタクト情報と名乗る名前を関連づけて記憶する。利用者A、C、およびDの通信端末でも同様に、各自のコンタクト情報、認識票、および通信相手に名乗る名前を、自分の情報の記憶装置または記憶領域23に記憶する。
【0034】
次に、第二のステップでは、利用者が各々の情報端末に前記第一のステップで記憶した、通信サービス名、自分のコンタクト情報、および通信相手に名乗る自分の名前を、共通サービスPの認識票およびと関連づけた状態で、各々の通信相手の通信端末に送る。(ステップS303)この認識票と関連づけられた通信サービス名、自分のコンタクト情報および通信相手に名乗る自分の名前の送受信は、共通サービスPの情報中継サーバを用いてもよいし、これらの情報の送信者とその通信相手が共通して利用している通信サービスを用いてもよい。また、サーバを経由してもよいし、ピア・ツー・ピア接続によるネットワークを経由してもよい。たとえば、図2に示す一例では、利用者B、C、およびDが、それぞれの通信端末で利用している通信サービス名、その通信サービスにおける自分のコンタクト情報、および通信相手に名乗る名前を、共通サービスPの認識票と関連づけた状態で、利用者Aの通信端末に、共通サービスPの情報中継サーバを経由して送っている。たとえば、利用者Bの通信端末は、通信サービス名V、その通信サービスでの利用者Bのコンタクト情報CntV(B)、および利用者Bが通信相手であるAに対して名乗る名前Name(B)の3つを、Bの共通サービスPにおける認識票ID(B)に関連づけた状態で、利用者Aの通信端末に送っている。
【0035】
また、このステップでは、すべての通信相手に、自分の認識票と関連づけられたすべての通信サービス名、自分のコンタクト情報および通信相手に名乗る自分の名前を送る必要はなく、特定の通信相手に対してこれらの情報を送らないことにより、その相手からの特定の通信サービスでの通信要求を回避することもできる。たとえば、図2において、利用者Bが自分の認識票ID(B)に関連づけられた通信サービス名V、そのコンタクト情報CntV(B)、および名乗る名前「John」を意図して利用者Aの端末11に送信しないことによって、利用者Aの端末にはこれらが記憶されず、そのため以下のステップで利用者Aの端末11からの利用者Bの端末12への、電子メールサービスVを通じた通信要求を回避することができる。
【0036】
また、認識票と関連づけて通信相手に送る、その通信相手に対して名乗る名前は、通信サービスごとに異なる名前でもよい。たとえば、図2の一例においては、利用者Bの通信端末12からBの認識票ID(B)に関連づけられて利用者Aの通信端末11に送られた、利用者Aが利用者Bに対して名乗る名前は、通信サービスV、X、YおよびZのすべてについて「John」と同じ名前を使っているが、通信サービスごとに異なる名前を関連づけて送ってもよい。
【0037】
また、認識票と関連づけて通信相手に送る、その通信相手に対して名乗る名前は、通信相手ごとに異なる名前でもよい。たとえば図2の一例において、利用者Bの通信端末12からBの認識票ID(B)に関連づけられて利用者Aの通信端末11に送られた、利用者Aが利用者Bに対して名乗る名前は「John」であるが、同様にたとえばBの認識票ID(B)に関連づけられた利用者Cの通信端末に送られる、利用者Aが利用者Cに対して名乗る名前は「John」以外の名前、たとえば何らかのニックネームでもよい。
【0038】
また、異なる利用者が同じ名前を名乗ってもよい。たとえば、図2の一例において、利用者Bと利用者Dが、利用者Aに対して同じ「Smith」を名乗ってもよい。本願発明においては、すべての利用者の名乗る名前は、利用者間での一意性を持った認識票と関連づけられて利用されるため、各利用者が名乗る名前によって利用者が一意に特定できる必要はない。
【0039】
なお、図2および図4中で、利用者Aの情報端末に記憶したにおける通信相手の中で、付加情報を示す「Priority」で始まる情報、および「NG」は、実施形態2の説明において使い、本実施形態では使わない。
【0040】
図4には、図2に示す利用者Aの通信端末11の構成要素をブロック図で示す。図4を参照して、第三のステップでは、前記第二のステップで、利用者B、C、およびDから送信された、共通サービスPの認識票と関連づけられた通信サービス名、その通信サービスにおける送信者のコンタクト情報、および送信者が名乗る名前の各情報を、通信装置401で受信した後、オペレーティングシステム403上で作動する共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404に記述された指示に従って、マイクロプロセッサ407がバス408を通じて、外部記憶装置405に記憶する。(ステップS304)共通サービスPのプログラム404は、利用者Aの通信端末11の主記憶412上にあっても、ネットワークを通じた他の通信端末の記憶装置にあってもよい。その後、利用者Aがキーボード409やマウス410などを操作して、前記利用者B、C、およびDから受信した、各自の共通サービスPの認識票と関連づけられた状態の、通信サービス名、その通信サービスにおける各自のコンタクト情報、および各自が名乗る名前を含む通信相手のデータベース411を、主記憶装置412にロードする。(ステップS306)同様に、各々の通信サービスに関連づけられた画像や文字列などのデータベース413(以下アイコンデータベースと呼ぶ)を主記憶装置412にロードする。このアイコンデータベースは、あらかじめ利用者Aが作成し、外部記憶装置405に記憶しておいてもよいし、必要に応じてネットワークから通信装置401を通じて取得し(ステップS320)、外部記憶装置に記憶した上で(ステップS321)、主記憶にロードしてもよい(ステップS306)。または、前記第二のステップにおいて、利用者Aの通信相手が、通信サービス名、コンタクト情報および名前とともに、さらに通信サービスに関連づけられたアイコンを認識票に関連づけて送信し、これを利用者Aの通信端末で受信した後、本第三のステップでロードした、アイコン情報を含む通信相手のデータベースから作成してもよい。また、このアイコンは画像データであっても、何らかの文字情報であってもよい。
【0041】
次に、第四のステップでは、利用者Aがキーボート409やマウス410を操作して、共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404に対し、通信開始画面の表示を指示すると、マイクロプロセッサ407は、このソフトウェア404の指示に従い、表示制御装置414を通じて表示装置415に表示されるグラフィカル・ユーザ・インタフェイス416(以下GUIと称する)の中に、前記第三のステップにおいて利用者Aの端末の主記憶装置にロードした、通信相手のデータベース411およびアイコンデータベース413をもとにして、通信開始画面417の表示を行う。通信開始画面417には、通信相手ごとのコンタクト情報および認識票は表示されず、通信相手の認識票に関連づけられた相手が名乗る名前、および通信サービスの種類が表示される。(ステップS307)図4に示した通話開始画面の一例では、「John」を名乗る利用者Bの行418には、アイコンデータベースおいて電子メールサービスVに関連づけられたアイコン421、IP電話サービスXに関連づけられたアイコン423、SNSサービスYに関連づけられたアイコン424、および文字チャットZに関連づけられたアイコン425、の4つのアイコンが表示されている。同様に、「Laura」を名乗る利用者Cの行には、V、W、およびXに各々関連づけられたアイコンが、また「Steve」を名乗る利用者Dの行にはV、W、およびYに各々関連づけられたアイコンが並んでいる。この通信開始画面417では行と列は入れ替わっていてもよい。また、通信開始画面に表示するのは、アイコンに限らず、コンタクト情報以外の、通信相手の認識票に関連づけられた情報なら何もよい。
【0042】
次に、第五のステップでは、利用者Aがキーボード309やマウス310を操作して、通信開始画面417上に表示された、通信したい相手の、利用したい通信サービスに関連づけられたアイコンを選択する(ステップS308)。もし、この通信サービスを実行するためのアプリケーションソフトウェアが、主記憶412上に存在し、このサービスが利用可能である場合には、選択されたアイコンに関連づけられた通信サービス名と、通信相手の名前に関連づけられたその認識票を検索キーとして、共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404は、主記憶装置412上の通信相手のデータベース411内にある、コンタクト情報を検索する(ステップS310)。検索されたコンタクト情報は、選択された通信サービスのアプリケーションソフトウェアに、この検索結果であるコンタクト情報を渡す(ステップS311)。この通信サービスのアプリケーションソフトウェアは、渡されたコンタクト情報をもとに、通信装置401を通じて、選択された相手との通信を開始する(ステップS312)。図4に示す一例では、たとえば、利用者Aが通信開始画面417上に表示された、「Steve」を名乗る利用者Dに電子メールを送る場合、利用者Aはマウス410を操作して、通信開始画面417上にある、「Steve」を名乗る利用者Dの電子メールサービスVを表すアイコン426を選択すると、アプリケーションソフトウェアPは、その管理する通信相手のデータベース411の中から、利用者Dの認識票ID(D)と電子メールサービスVの二つを検索キーとして、この二つに関連づけられたコンタクト情報を検索する。検索の結果得られた利用者Dの電子メールサービスVのコンタクト情報CntV(D)は、電子メールサービスVのアプリケーションソフトウェア431に送られ、このアプリケーションソフトウェアは、このCntV(D)を利用して、通信装置401を通じて、電子メールVのサーバ28を経由して利用者Dの通信端末と通信を開始する。また、たとえば、利用者Aがアイコン427を選択すると、利用者Bの文字チャットサービスZにおけるコンタクト情報CntZ(B)が、Webブラウザ432に送られ、チャットサービスZのサーバ29を経由して利用者Aは「John」を名乗る利用者Bの文字チャットサービスZ上のページを閲覧することができる。
【0043】
以上、実施形態1を使って説明した本願発明の、従来の通信サービスごとに独立したコンタクトリストを使って通信を開始する方法と比べた効果としては、以下の8つが挙げられる。
【0044】
第一の効果としては、通信端末の利用者が、通信したい人を先に選択して、次に通信サービスを選択することができる点である。従来の方法によれば、同一人物のコンタクト情報が通信サービスごとのコンタクトリストに散在していたため、特定の通信相手と通信を開始したい場合、通信サービスを先に選択した後、次に通信相手を選択することが必要であった。本願発明による通信端末では、最初に通信相手を選択し、次にその通信相手との通信に利用可能な通信サービスを選択することによっても、また従来の方法のように、最初に通信サービスを選択し、次にその通信サービスで通信可能な通信相手を選択することによっても、通信端末の利用者の望む通信サービスで、その利用者の望む通信相手との通信を開始することができる。本来の通信の目的に照らせば、通信サービスを選択することではなく、目的の相手を選択することの方が重要であり、本願発明によるこの第一の効果によって、通信端末の利便性を著しく高めることができる。
【0045】
第二の効果としては、通信相手ごとに利用可能な通信サービスが一覧表示されるため、情報端末の利用者が、通信相手ごとにどの通信サービスが利用可能かを、自ら管理する必要がなくなる点である。たとえば図1に示す一例において、従来の方法によれば、利用者Aは利用者Cが電子メールサービスV、IP電話サービスW、およびIP電話サービスXの3つの通信サービスを使っていることを、自ら記憶しておき、利用者Cと通信する場合には、その際利用可能な通信サービスのコンタクトリストを通信端末の表示装置に表示させた上で、その中から利用者Cを選択して通信を開始しなければならなかった。本願発明によれば、たとえば図4における通信開始画面417に「Laura」を名乗る利用者Cが、通信サービスV、WおよびXを利用している旨、アイコンを使って一覧表示されるため、この通信端末11の利用者であるAが、利用者Cと通信可能な通信サービスを自ら記憶するなどして管理する必要がない。
【0046】
第三の効果としては、1つの通信開始画面上の複数のアイコンを選択するという単純な操作によって、複数の相手に対して、または複数の通信サービスを通じた通信を開始することができる点である。図1に示す一例では、従来の方法によれば、利用者Aが利用者BとIP電話サービスXとチャットサービスZの二つの通信サービスを同時に使って通信したい場合には、利用者AはまずIP電話サービスXのコンタクトリスト17を表示装置に表示させ、次にこのなかからCntX(B)を選択して利用者BとのこのサービスXによる通話を開始し、次に文字チャットサービスZのコンタクトリストZを表示装置に表示させた上で、同じ利用者Bを表す異なるコンタクト情報CntZ(B)を選択して、同じ利用者BとのサービスZでの通信を開始する必要があった。つまり、従来の方法によれば、一つの通信サービスのコンタクトリストのなかから複数の通信相手を同時に選択して、これら通信相手との通信を開始することは容易であったが、複数の通信サービスを用いて、一人または複数の通信相手との通信を開始するためには、情報端末の利用者がこのような複数の複雑なステップを実行する必要があった。しかし、図4を参照すると本願発明によれば、たとえば利用者Aは、表示装置415上のGUI416上にある通信開始画面417の、「John」の行418にあるIP電話サービスXのアイコン435と、文字チャットサービスのアイコン427を両方選択するだけで、これら二つの通信サービスを同時に使って利用者Bとの通信を開始できる。これを実現する具体的手段としては、本願発明においては、これら二つのアイコンが選択されると、共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404は、「John」を名乗る利用者Bの、IP電話サービスXのコンタクト情報、および文字チャットサービスZのコンタクト情報を通信相手のデータベース411から検索した上各々のコンタクト情報を、サービスXのアプリケーションソフトウェア434、およびサービスZを担うWebブラウザ432に各々送る。これらのコンタクト情報に基づいて、各々のアプリケーションソフトウェアが、利用者Bとの通信を開始する。このようにして、本願発明によれば、通信開始画面の複数のアイコンを選択するという単純な操作によって、複数の通信サービスを用いた一人または複数の通信相手との通信を開始することができる。
【0047】
第四の効果としては、通信相手となる同一人物が、通信サービスごとに異なるコンタクト情報を使っている場合にも、これらの異なるコンタクト情報を同一人物として通信端末が認識した上、通信開始画面に一覧として表示することができる点である。図1に示す一例では、従来の方法によれば、利用者Aの通信端末11に表示されるIP電話サービスWのコンタクトリスト16中にあるCntW(C)およびIP電話サービスXのコンタクトリスト17中にあるCntX(C)が異なる場合、これら二つのコンタクト情報が利用者Cという同一人物のものであることを、利用者Aの通信端末が認識する手段はなかった。ところが、図2を参照して、本願発明によれば、共通サービスPの認識票発行サーバから利用者Cの端末14に発行された認識票ID(C)に、利用者Cの名乗る名前「Laura」、利用者Cの端末14に保存された複数の通信サービスV、WおよびXの各々のコンタクト情報であるCntV(C)、CntW(C)、およびCntX(C)が関連づけられた状態で、利用者Aの情報端末11の通信相手の情報を保存するための記憶装置または記憶領域に保存される。共通サービスPの認識票ID(C)は、各通信サービスV、W、X、Y、およびZで使われるコンタクト情報とは独立して、各利用者を一意に特定するための情報である。次に図4を参照すると、通信相手のデータベース411に、これらCntV(C)、CntW(C)、およびCntX(C)の各々に認識票ID(C)および利用者Cが名乗っている名前「Laura」が関連づけられて保存されている。このため、利用者Aの通信端末11の主記憶装置412上に読み込まれた共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404は、これら三つの異なるコンタクト情報が、「Laura」を名乗る同一人物である利用者Cものであることを認識できる。その結果、表示装置415に表示されるGUI416の中で、「Laura」を名乗る利用者Cの行419に、利用者Aが利用者Cとの通信に利用可能な通信サービスの一覧として、通信サービスV、W、およびXのアイコンを表示することができる。
【0048】
第五の効果としては、異なる通信サービス上で同じコンタクト情報を使っている異なる人物である複数の通信相手を、通信端末が同一人物ではなく異なる通信相手として認識した上、その旨を通信開始画面に表示することができる点である。従来の方法によれば、たとえば図1に示す一例では、利用者Aの通信端末で利用可能な各々の通信サービスのコンタクトリスト15,16,17および18は各々独立している。各々の通信サービスで通信相手を特定する必要があることから、各々の通信サービスのコンタクトリスト内での通信相手ごとのコンタクト情報の一意性は保証されているが、異なる通信サービスで用いられるコンタクト情報が重複しない保証はない。たとえば、利用者Aの通信端末11において、IP電話サービスWでの利用者Cのコンタクト情報CntW(C)と、IP電話サービスXでの利用者Bのコンタクト情報CntX(B)が同じである可能性がある。したがって、従来の方法では、利用者Aの情報端末がこのCntW(C)とCntX(B)を異なる通信相手のコンタクト情報であるか同じ通信相手なのかを判断する手段はなかった。ところが本願発明によれば、図4を参照すると、通信相手のデータベース411において、利用者Bおよび利用者Cがともに共通サービスPの利用者であるため、CntW(C)にはID(C)が、NCtX(B)にはID(B)が各々関連づけられて記憶されている。そのため、たとえCntW(C)=CntX(B)であったとしても、共通サービスPの利用者に関する認識票の一意性は保証されている。すなわちID(C)≠ID(B)は常に成り立つために、利用者Aの通信端末11の共通サービスPのアプリケーションソフトウェア404は、これら二つのコンタクト情報が、異なる通信相手のものだということを認識できる。このためCntW(C)=CntX(B)であっても、共通サービスPのアプリケーションソフトウェア304は、通信開始画面417上においては、CntW(C)に基づいて「Laura」を名乗る利用者Bの行にIP電話サービスWに関連づけられたアイコン429を、またCntX(B)に基づいて「John」を名乗る利用者Bの行にIP電話サービスXに関連づけられたアイコン435を各々表示し、同じコンタクト情報を異なる通信相手へのコンタクト情報として表示することができる。
【0049】
第六の効果としては、情報端末の利用者が利用していない通信サービスを、通信相手が利用していることを容易に知ることができる点である。図1に示す一例では、従来の方法によれば、利用者AはSNSサービスYを利用していないため、サービスYのコンタクトリストは利用できない。したがって、たとえば利用者Aが他の通信サービスを使って通信している利用者Bや利用者Dが各々の通信端末で、SNSサービスYを利用している事実、あるいは各々のSNSサービスYにおけるコンタクト情報を、SNSサービスYを通じて知る手段はない。従って、従来の方法で利用者Aは、SNSサービスYのコンタクト情報を入手するためには、SNSサービスY以外の、利用者Aと利用者Bが共通して使っている通信サービスを通じて、まず利用者Aが明示的に利用者Bにそのコンタクト情報を要求し、次に利用者Bの情報端末がこれらの情報を利用者Aの情報端末に送る必要があった。しかしそもそも利用者AはSNSサービスのコンタクトリストを利用できないため、利用者BがSNSサービスYの利用者であるという事実そのものを知らないので、利用者Aは利用者Bに対してSNSサービスYのコンタクト情報を要求することは、通常ない。ところが、図4を参照すると、本願発明による方法では、利用者Aの情報端末では、SNSサービスYを利用していないにもかかわらず、利用者BおよびDから送られた、SNSサービスYの利用者BおよびDの通信端末のコンタクト情報が、通信相手のデータベース411に記憶されている。このため、通信開始画面417には、「John」を名乗る利用者Bの行418にSNSサービスYに関連づけられたアイコン437、および「Steve」を名乗る利用者Dを表す行420にもSNSサービスYに関連づけられたアイコン436が表示されている。利用者Aの通信端末11ではSNSサービスYを利用していないので、利用者Aがこれらのアイコンをマウス410などで選択しても、SNSサービスYを使って利用者BやDと通信を開始することはできない。しかし、利用者Aがこれらのアイコンを選択することで、利用者Aの通信端末11のWebブラウザ432が通信装置401を通じて、SNSサービスYの事業者のサーバに接続し、そのプログラムやコンタクト情報などを取得することで、新たにSNSサービスYの利用者となることができる(ステップ313)。こうして利用者Aは、利用者BやDとSNSサービスYを使って通信することができるようになる。この第六の効果は、利用者Aにとって、煩雑な操作をしなくても、自分が利用していない通信サービスを利用している他者を捜せるという利点だけではなく、通信サービスを提供する事業者にとって、その通信サービスを利用していない人に、そのサービスを利用開始させる強い動機を与え、商業的に最も重要な利用者数の増大に貢献する、という大きな利点を併せ持つ。
【0050】
第七の効果としては、特定の通信相手に対して、自分の通信端末で利用可能な通信サービスの中コンタクト情報の中から、一部を選択的に自分の認識票に関連づけて送ることで、その通信相手からの通信要求を受ける通信サービスを任意に選択できる点である。たとえば図5に示す一例では、利用者Aの端末11では、電子メールサービスV、IP電話サービスW、IP電話サービスX、および文字チャットサービスZの4つの通信サービスが利用可能である。ここで利用者AはV、W、またはZの通信サービスによって利用者Bからの通信要求を受けてもよいと考え、その旨、利用者Aの通信端末に入力したとする。すると利用者Aの端末は、利用者Bの通信端末に対しては、V、W、およびZの三つの通信サービスのコンタクト情報を、利用者Aの認識票ID(A)と関連づけて送り、これを利用者Bの通信端末12では、通信相手の情報の記憶装置または記憶領域24に記憶する。ここで利用者Aは利用者BからIP電話サービスXを通じて通信要求を受けたくないので、これを利用者Bの情報端末に送っていない。同様の方法で利用者Aは、利用者Cからは電子メールサービスVを通じてのみ通信を受け、利用者Dからは文字チャットを通じてのみ通信を受ける、というように通信相手によって利用する通信サービスを選択的に指定できる。
【0051】
第八の効果としては、通信相手に対して名乗る名前を柔軟に変えることができる点である。従来の方法によっても、異なる通信サービス間では、異なる通信相手に対して異なる名前を使うことができた。たとえば、図1を参照して、利用者AはIP電話サービスWで、このサービスにおける利用者Aのコンタクト情報CntW(A)に関連づけることによって通信相手である利用者CおよびDに対して名乗る名前と、IP電話サービスXで、このサービスにおける利用者Aのコンタクト情報CntX(A)に関連づけることによって通信相手である利用者BおよびCに対して名乗る名前には、異なる名前を使うことができた。しかし従来の方法では、たとえばIP電話サービスWの中では、名前が関連づけられるAのコンタクト情報CntW(A)が一つしかないために、同じIP電話サービスWを使う利用者Cおよび利用者Dに対して、利用者Aが異なる名前を名乗ることはできなかった。しかし、本願発明の方法によれば、従来の方法よりも柔軟に異なる名前を通信相手に名乗ることができる。図5に示す一例では、たとえば利用者Aは、文字チャットサービスZの通信相手である利用者Bと利用者Dには同じ「Pat」というニックネームを名乗っている。しかし、電子メールサービスVの通信相手である利用者Bには「Betty」という名前を、また利用者Cには「Pat」というニックネーム、というように一つの通信サービスの異なる通信相手に対して異なる名前を名乗ることができる。この第八の効果は、特性の異なる様々な通信サービスを使い分ける利用者には特に利点が大きい。たとえば、SNSサービスの多くでは、通信相手に対して実名を開示せずに、ネットワーク上の匿名同士の通信が求められるため、IP電話サービスとは異なる名前を名乗る必要がある。またたとえば、同じIP電話サービスの二人の通信相手のうちの一人が仕事の関係、もう一人が私的な関係だった場合には、仕事関係の通信相手には実名を、私的関係の通信相手にはニックネームを名乗りたいかもしない。本願発明による方法では、通信サービスに依存しない認識票を使うことによって、通信相手に対して名乗る名前を柔軟に変えることができる。
【0052】
(実施形態2)
以下では、他の実施形態の一例を示す。前記実施形態1では、通信サービス利用者の通信端末では、共通サービスP上で一意に特定するための認識票に、通信サービスのコンタクト情報および通信相手に対して名乗る名前を関連づけた上で通信相手に送った。本実施形態2においては、共通サービスPの認識票に、コンタクト情報と通信相手に対して名乗る名前に加えて、さらに付加情報を関連づけて通信相手に送り、通信相手の端末でそれを利用することで、本願発明の効果を追加する方法について説明する。なお、本実施形態2の説明においては、前記実施形態1の説明と重複する部分は適宜省略し、またその説明に必要な図面には図2、図3、および図4を利用する。
【0053】
本実施形態2における第一のステップでは、前記実施形態1と同様に、共通サービスPの認識票発行サーバ21が認識票を、各々の利用者の通信端末に送る(ステップS301)。図2に示す一例では、A、B、C、およびDの各通信端末に、ID(A)、ID(B)、ID(C)およびID(D)の4つの認識票を各々送っている。次に、これらの認識票を受け取った端末では、ここで受け取った認識票、その端末が利用可能な通信サービスで各々利用する自分のコンタクト情報およびこの時各利用者が通信相手に対して名乗る名前などを自分の情報用記憶装置または記憶領域に記憶する(ステップS302)。
【0054】
次に第二のステップでは、通信端末が利用可能な通信サービス名、そのコンタクト情報、およびこの通信サービスで自分が名乗る名前、およびコンタクト情報ごとの付加情報を、前記第一のステップで記憶した共通サービスPの認識票と関連づけた状態で、各々の通信相手の情報端末に送る(ステップS303)。この場合の付加情報はどのような情報であってもよい。また、付加情報の数はいくつであってもよい。たとえば、この場合、個々の付加情報は、これが関連づけられた通信サービスでその通信端末の利用者が通信開始を要求されてもよいかどうかを表すフラグであってよい。またこの通信端末の利用者が通信開始を要求される場合の希望優先順位を表すフラグであってもよく、または認証や暗号化に使われる鍵、パスコードなどであってもよい。また、この付加情報は、この通信端末の利用者のニックネーム、別名、何らかのコンタクト情報など何でもよい。また、付加情報は前記のとおり、各通信サービスのコンタクト情報ごとに個別に付加してもよいが、通信端末ごとに一つのフラグを付加する方法でもよい。この場合の付加情報もどのような情報であってもよい。たとえば、この場合、情報端末の利用者が現在通信可能な状態にあるかどうかを表すフラグであってよく、また各々の情報端末の認証や暗号化に使われる鍵、パスコードなど何であってよい。図2に示す一例では、たとえば、利用者Bの通信端末は、通信サービス名V、その通信サービスでの利用者Bのコンタクト情報CntV(B)、利用者Bが通信相手であるAに対して名乗る名前Name(B)、および付加情報「Priority1」の3つを、Bの共通サービスPにおける認識票ID(B)に関連づけた状態で、利用者Aの通信端末に送っている。他のコンタクト情報、他の利用者も同様である。
【0055】
次に第三のステップでは、図4を参照して、前記第二のステップで、利用者B、C、およびDから送信された、共通サービスPの認識票と関連づけられた通信サービス名、その通信サービスにおける送信者のコンタクト情報、送信者が名乗る名前の各情報、および付加情報を、通信装置401で受信した後、前記実施形態1と同様の処理によって、外部記憶装置405に記憶され(ステップS304)、さらにこれが通信相手のデータベース411として主記憶412上にロードされる(ステップS306)。ここで図2および図4に示す一例では、利用者B、CおよびDから送られ、利用者Aの通信端末で記憶された情報の中の前記付加情報は、これらの情報を送信した情報端末の各利用者が、送信する時点で、どの通信サービスで利用者Aと通信したいかという希望の優先順位を表す情報である。たとえば、図4において通信相手のデータベース411を参照すると、利用者Bは、利用者Aが利用者Bに対して通信を要求する際には、電子メールサービスV、IP電話サービスX、SNSサービスY、そして最後に文字チャットサービスZという順番で通信を要求して欲しいという優先順位を、各々の利用者Bのコンタクト情報に関連づけられた「Priority1」、「Priority2」、「Priority3」、および「Priority4」というフラグによって表している。また同じく図4の通信相手のデータベース411を参照すると、利用者Cは、利用者AからはIP電話サービスWを通じて通信したくないことを「NG」というフラグによって表している。たとえば、利用者Bが付加情報によって通信サービスごとの優先順位を指定する場合には、利用者Bの通信相手すべてに対して同じ優先順位をつけても、利用者Bの通信相手ごとに異なる優先順位を表す付加情報をつけてもよい。たとえば、利用者Bが、その知人である利用者Aからは主として電子メールで通信をしたいが、別の知人である利用者Eとは主としてSNSサービスを通じて通信したいと思っている場合には、通信相手ごとに、通信サービスについての異なる優先順位を表すフラグを関連づけて送ることによって実現できる。
【0056】
次に第四のステップでは、前記実施形態1における第四のステップと同様の方法で図3に示す通信開始画面317が表示される。図4に示す一例では、本実施形態2における前記第二のステップにおいて、利用者B、C、およびDから送られた各通信サービスのコンタクト情報ごとに、付加情報として関連づけられた優先順位の順番で通信開始画面417上に、各通信サービスに関連づけられたアイコンが表示されている(ステップS307)。たとえば、通信開始画面417の「John」を名乗る利用者Bを表す行には、左から電子メールサービスVに関連づけられたアイコン、IP電話サービスWに関連づけられたアイコン、SNSサービスYに関連づけられたアイコン、最後に文字チャットサービスZに関連づけられたアイコンの順番で並んでおり、これが利用者Bが利用者Aと通信をする場合に使いたい通信サービスの優先順位を表している。また、図4の通信相手のデータベース411を参照して、「Laura」を名乗る利用者Cは、IP電話サービスWのコンタクト情報に関連づけた付加情報「NG」によって、IP電話サービスWを通じて利用者Aとは通話したくない意志を表明しているため、通信開始画面417では、これに対応するアイコン429に「×」印が表示されている。
【0057】
次に第五のステップでは、利用者Aがキーボード309やマウス310を操作して通信開始画面317上に表示された、通信したい相手の、利用したい通信サービスに関連づけられたアイコンを選択する(ステップS308)と、前記実施形態1における第五のステップと同様の方法で、通信が開始される(ステップS312)。
【0058】
以上、本実施形態2を使って説明した本願発明の、通信サービスごとに独立したコンタクトリストを使って通信を開始する従来の方法と比べた効果として、前記八つの効果に加えて、更に以下に示す効果がある。
【0059】
本実施形態2にかかわる効果としては、通信相手ごとの、かつ通信サービスごとの通信サービスの状態、通信相手の意志、または通信サービスに関連する何らかの情報を、表示装置に一覧表示し、またはこれらの情報によって通信相手との通信を制御することができる点である。たとえば図1を参照すると、利用者Aと利用者Bはともに、電子メールサービスV、IP電話サービスX、および文字チャットサービスZの3つの通信サービスを共通して利用しているため、利用者Aが利用者Bと通信したい場合には、利用者Aはこのうちいずれの通信サービスを使って利用者Bとの通信を開始することができる。しかし、一方で利用者Bは、外出時に利用者Aから通信を要求される場合には、IP電話などによる通話ではなく、電子メールでの通信を望んでいるかもしれない。このような状況において、従来の方法によれば、利用者AはまずIP電話サービスXのコンタクトリストを表示装置に表示し、次にその中から利用者Bのコンタクト情報CntX(B)を選択して通信を試みるが利用者Bはその時点でサービスXを利用していないため通話ができないことを知り、次に利用者Aは文字チャットサービスZのコンタクトリストを表示し、そのなかからCntZ(B)を選択して通信を試みるが、その時点で利用者BがサービスZを利用していないことを知り、さらに次に電子メールサービスVのコンタクトリストを表示させ、次そのなかからCntV(B)を選択して利用者Bに電子メールを送るという数多くのステップを実行する必要があった。ところが、本願発明の方法によれば、図4における通信相手のデータベース411を参照して、利用者Bから共通サービスPの認識票ID(B)と関連づけられて利用者Aの通信端末に送られたコンタクト情報とともに、各々のコンタクト情報の付加情報として、利用者Aが利用者Bに通信を試みる際の希望優先順位を表すPiority1〜4が関連づけられている。これを利用して通信開始画面417では、「John」を名乗る利用者Bが、利用者Aから通信を試みる際の希望順に、すなわち通信サービスV,X、Y、最後にZの順に、通信サービスと関連づけられたアイコンが各々表示されている。このため、利用者Aは、実際に通信を試みる以前に、利用者Bが使うことを望んでいる通信サービスを知ることができ、前記従来の方法による複雑な操作をおこなわなくてもよいという効果がある。これらの優先順位はアイコンの表示順だけではなく、文字情報、グラフなどあらゆる手段で表示装置415上に表示されてよい。
【0060】
ここで各々の通信相手がコンタクト情報および認識票に関連づける付加情報は何でもよい。他の一例では、たとえば図1を参照して、利用者Aが利用者CとIP電話で通話を開始する操作をおこなう場合、その操作を始める時点で、利用者Cの通信端末においてIP電話サービスW、IP電話サービスXのどちらか一方または両方が利用可能であるかどうかを知る手段はなかった。しかし、本願発明における付加情報として、通信相手が現時点でどの通信サービスが利用可能かを示すフラグを、通信相手の認識票および各通信サービスのコンタクト情報に関連づけ、利用者Aの端末に送り、利用者Aの端末における通信相手のデータベースにこれらを記憶することによって、利用者Aは、図3の通信開始画面317で現在利用可能な通信サービスに関連づけられたアイコンのみを表示させることもできる。通信相手が現時点で、ある通信サービスで通信が可能かどうかを、この通信サービス内のコンタクトリストとともにリアルタイムで表示するサービスは一般にプレゼンスサービスと呼ばれ、従来の方法でもIP電話など一部の通信サービス内では実現していた。しかし、複数の通信サービスでのプレゼンス情報を一括して通信端末の利用者が管理する方法はなかった。本願発明によれば、複数の通信サービスのプレゼンス情報が、たとえば図4の示す通信開始画面417のように、一覧表示され、通信端末の利用者にとっての利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】複数の情報端末で、複数の通信サービスを利用している状況の説明図
【図2】共通サービスが各通信端末を一意に認識するための認識票を送付する状況の説明図
【図3】本願発明の各ステップを説明するフロー図
【図4】本願発明による通信端末の構成要素の説明図
【図5】認識票に関連づけられたコンタクト情報、名乗る名前、付加情報などの一部を限定的に通信相手に送付する状況の説明図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数個収集する手段と、
前記複数個収集された通信相手となる利用者の情報セットを蓄積する手段とを具備することを特徴とする通信端末。
【請求項2】
請求項1記載の通信端末において、さらに、
前記複数収集して蓄積された通信相手となる利用者の情報セットの各々から、特定の通信相手に対応する前記通信サービス情報を複数抽出する手段と、
前記複数抽出された前記通信サービス情報に各々対応する通信サービス表示を、前記特定の通信相手に関連づけて表示する手段と、を具備することを特徴とする通信端末。
【請求項3】
請求項1記載の通信端末において、前記認識票は、前記複数の通信サービスのコンタクト情報とは独立して、すべての前記複数の通信サービスのすべての利用者の中で、前記通信相手となる利用者を一意に特定できることを特徴とする通信端末。
【請求項4】
請求項2記載の通信端末において、さらに、
前記特定の通信相手に関連づけて表示された、前記複数の通信サービス表示のいずれかが選択されると、その選択された通信サービス表示に対応する通信サービスを用いた、前記特定の通信相手との通信を開始する手段とを具備することを特徴とする通信端末。
【請求項5】
請求項2記載の通信端末において、さらに、
前記特定の通信相手に関連づけて表示された、前記複数の通信サービス表示のいずれかが選択されると、その選択された通信サービス表示に対応する通信サービスを用いて、前記特定の通信相手の情報をサーバより取得する手段を具備することを特徴とする通信端末。
【請求項6】
請求項1記載の通信端末において、前記通信相手となる利用者の情報セットには、通信相手となる利用者を特定する認識票、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報、に加えて、前記特定の通信サービスにおける前記通信相手となる利用者のステータスを示すステータス情報が含まれることを特徴とする、請求項1記載の通信端末。
【請求項7】
請求項2記載の通信端末において、前記通信相手となる利用者の情報セットには、通信相手となる利用者を特定する認識票、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報、に加えて、前記特定の通信サービスにおける前記通信相手となる利用者のステータスを示すステータス情報が含まれ、前記ステータス情報に対応して、前記通信サービス表示が変化するよう構成したことを特徴とする通信端末。
【請求項8】
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数取得し、
複数取得した前記通信相手となる利用者の情報セットを記憶装置内に蓄積し、
蓄積した前記通信相手となる利用者の情報セットより、選択された特定の利用者に対応する前記通信サービス情報を抽出し、
抽出された前記通信サービス情報を、前記特定の利用者に関連づけて表示する手段ことを特徴とする通信サービスの選択方法。
【請求項9】
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数取得し、
複数取得した前記通信相手となる利用者の情報セットを記憶装置内に蓄積し、
蓄積した前記通信相手となる利用者の情報セットより、選択された特定の利用者に対応する前記通信サービス情報を抽出し、
抽出された前記通信サービス情報を、前記特定の利用者に関連づけて表示し、
前記特定の利用者に関連づけて表示した複数の通信サービス表示のいずれかを選択して、その選択された通信サービス表示に対応する通信サービスを用いて、前記特定の利用者との通信を開始する通信方法。
【請求項10】
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数取得し、
複数取得した前記通信相手となる利用者の情報セットを記憶装置内に蓄積し、
蓄積した前記通信相手となる利用者の情報セットより、選択された特定の利用者に対応する前記通信サービス情報を抽出し、
抽出された前記通信サービス情報を、前記特定の利用者に関連づけて表示し、
前記特定の利用者に関連づけて表示した複数の通信サービス表示のいずれかを選択して、その選択された通信サービス表示に対応する通信サービスを用いて、前記特定の利用者の情報をサーバより取得する、情報取得方法。
【請求項11】
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数個収集する手段と、前記複数個収集された通信相手となる利用者の情報セットを蓄積する手段と、を具備する通信端末に対して、前記通信相手となる利用者を特定する認識票を送信することを特徴とするサーバ。
【請求項12】
通信相手となる利用者を特定する認識票と、複数の通信サービスのうち特定の通信サービスに対応する通信サービス情報と、前記特定の通信サービスにおいて前記通信相手となる利用者のコンタクト情報と、からなる通信相手となる利用者の情報セットを複数個収集する手段と、
前記複数個収集された通信相手となる利用者の情報セットを蓄積する手段と、
前記複数収集して蓄積された通信相手となる利用者の情報セットの各々から、特定の通信相手に対応する前記通信サービス情報を複数抽出する手段と、
前記複数抽出された前記通信サービス情報に各々対応する通信サービス表示を、前記特定の通信相手に関連づけて表示する手段と、を具備する通信端末に対して、前記通信相手となる利用者を特定する認識票を送信することを特徴とするサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−259153(P2008−259153A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121676(P2007−121676)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(506183731)リプレックス株式会社 (20)
【Fターム(参考)】