説明

通信端末装置及びデータ量報告方法

【課題】直ぐには送信できないデータが有る状況において、無駄な無線リソースが割り当てられることを防ぎ、無線リソースを効率よく割り当てること。
【解決手段】BSR MACコントロール・エレメント生成部115は、メモリ使用量管理部106から入力した送信可能データ量通知と、メモリ使用量管理部111から入力した送信可能データ量通知とから求めた送信可能なデータ量を基地局に報告するためのBSR MAC control elementを生成する。メモリ使用量管理部106は、メモリ使用量管理部111からリソースが枯渇した通知を受けた際、または暗号化前データバッファ102もしくは暗号化後データバッファ104の格納データ量が閾値を超えた際に、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104の格納データ量を「0」とする送信可能データ量通知をBSR MACコントロール・エレメント生成部115に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末装置及びデータ量報告方法に関し、例えばLTE(Long Term Evolution)のアップリンク共通チャネルを使用した移動体通信システムにおいて、アップリンク共通チャネルのリソースを動的に割り当てる通信端末装置及びデータ量報告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE通信方式では、移動機等の通信端末装置(UE)は、複数の基地局(eNodeB)から構成されるE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)に接続し、ユーザデータの送受信を行う(例えば、非特許文献1)。通信端末装置と基地局との間で送受信されるユーザデータは、LTE通信プロトコルのレイヤ1及びレイヤ2により制御される。
【0003】
図1は、LTE通信方式のプロトコル構成を示す図である。図1より、LTE通信プロトコルのレイヤ2は、MACレイヤ、RLCレイヤ及びPDCPレイヤである。通信端末装置は、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ及び物理レイヤ(L1)の順に送信データを順次送出するとともに、各レイヤにおいて送信データに対して所定のプロトコル処理を施す。そして、通信端末装置は、物理レイヤにおけるプロトコル処理を行った送信データを基地局に送信する。また、PDCPレイヤは、送信データを一時的に格納するデータバッファを有する。また、RLCレイヤは、送信データの管理情報をメモリのデータ管理領域に格納してデータ管理を行う。また、RLCレイヤは、ネットワークからの送達確認を受信するまでは、新たなデータを送信することはできない。
【0004】
このようなプロコトル構成を有する通信端末装置は、アップリンク(UL-SCH)でデータを送信するためには、基地局により無線リソース(UL grant)を割り当ててもらう必要がある。無線リソースは、通信端末装置からの送信データのデータ量の報告(buffer status report(BSR))(以下、「BSR」と記載する)に基づいて、送信単位時間(Transmission Time Interval=TTI)毎に、基地局において割り当てられる。通信端末装置は、このBSRを用いて、PDCPレイヤのデータバッファのデータ量、及びデータの管理情報を格納するために使用している、RLCレイヤのメモリのデータ管理領域の使用量を基地局に報告する。これにより、通信端末装置は、該当する送信単位時間において基地局により割り当てられた無線リソース分のデータ量を送信することができる。
【0005】
このように、LTEのアップリンク共通チャネルを使用した移動体通信システムでは、通信端末装置からのデータバッファのデータ量、及びデータの管理情報を格納するために使用しているデータ管理領域における使用量の報告に基づいて、ネットワーク側においてアップリンクのリソースを動的に割り当てる制御を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS36.300 Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN);Overall description;Stage2(Release 8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のシステムにおいては、基地局に多数の通信端末装置が接続されている場合、または電波環境が悪い場合には、基地局は、通信端末装置における送信可能なデータ量に対して、十分な無線リソースを割り当てることができない。従って、通信端末装置は、送信可能な送信データがあるにも関わらず、送信可能な送信データを送信できないため、送信可能な送信データを格納しているデータバッファ、及び送信可能な送信データの管理情報を格納しているメモリのデータ管理領域を解放できない。この状況が継続すると、特に通信端末装置の送信処理系列上で物理レイヤから遠いレイヤ(図1の場合は、PDCPレイヤ)は、データバッファに格納している送信データを次のレイヤ(図1の場合は、RLCレイヤ)に渡せない。従って、送信処理系列上で物理レイヤから遠いレイヤのデータバッファに格納されている送信データは、直ぐには送信できないこととなる。この場合に、通信端末装置が各レイヤにおけるデータバッファ内の送信可能なデータ量をBSRで報告すると、基地局は直ぐには送信できない送信データに対する無線リソースを割り当てることになる。この結果、通信端末装置は、割り当てられた無線リソースを使いきれず、無線リソースの無駄使いになるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、直ぐには送信できないデータが有る状況において、無駄な無線リソースが割り当てられることを防ぐことができ、無線リソースを効率よく割り当てることができる通信端末装置及びデータ量報告方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通信端末装置は、第1のレイヤにおいて送信データに対して第1のプロトコル処理を施す第1のデータ処理手段と、前記第1のプロトコル処理を施す際に送信データを格納するデータ格納手段と、第2のレイヤにおいて、前記第1のプロトコル処理を施した送信データに対して第2のプロトコル処理を施す第2のデータ処理手段と、前記第2のプロトコル処理を行う送信データの管理情報をメモリのデータ管理領域に格納して、前記第2のプロトコル処理を行う送信データのデータ管理を行うデータ管理手段と、前記データ格納手段に格納されている送信データの格納データ量と、前記管理情報の格納に使用している前記データ管理領域の使用量とから求めた送信可能なデータ量を通信相手に報告する報告手段と、前記送信可能なデータ量に対して前記通信相手により割り当てられたリソースを使用して、前記第2のプロトコル処理を施した送信データを順次送信する送信手段と、前記送信手段により送信した送信データの前記通信相手における受信が成功した場合に、前記データ格納手段に格納されている前記受信が成功した送信データを解放するとともに、前記受信が成功した送信データの前記管理情報の格納に使用している前記データ管理領域の解放を行う解放手段と、前記格納データ量と前記使用量の少なくとも一方が所定量を超えた場合に、前記格納データ量を無しとして求めた前記送信可能なデータ量を、前記報告手段により報告させる報告管理手段と、を具備する構成を採る。
【0010】
本発明のデータ量報告方法は、通信端末装置の送信可能なデータ量を報告するデータ量報告方法であって、第1のレイヤにおいて送信データに対して第1のプロトコル処理を施す第1のデータ処理ステップと、前記第1のプロトコル処理を施す際に送信データを格納するデータ格納ステップと、第2のレイヤにおいて、前記第1のプロトコル処理を施した送信データに対して第2のプロトコル処理を施す第2のデータ処理ステップと、前記第2のプロトコル処理を行う送信データの管理情報をメモリのデータ管理領域に格納して、前記第2のプロトコル処理を行う送信データのデータ管理を行うデータ管理ステップと、前記データ格納ステップにより格納した送信データの格納データ量と、前記管理情報の格納に使用している前記データ管理領域の使用量とから求めた送信可能なデータ量を通信相手に報告する報告ステップと、前記送信可能なデータ量に対して前記通信相手により割り当てられたリソースを使用して、前記第2のプロトコル処理を施した送信データを順次送信する送信ステップと、前記送信ステップにより送信した送信データの前記通信相手における受信が成功した場合に、前記データ格納ステップにより格納した前記受信が成功した送信データを解放するとともに、前記受信が成功した送信データの前記管理情報の格納に使用している前記データ管理領域の解放を行う解放ステップと、前記格納データ量と前記使用量の少なくとも一方が所定量を超えた場合に、前記格納データ量を無しとして求めた前記送信可能なデータ量を、前記報告ステップにより報告させる報告管理ステップと、を具備するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、直ぐには送信できないデータが有る状況において、無駄な無線リソースが割り当てられることを防ぐことができ、無線リソースを効率よく割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】LTE通信方式のプロトコル構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態に係る通信端末装置が送信するMAC PDUのフォーマットを示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態)
図2は、本発明の実施の形態に係る通信端末装置100の構成を示すブロック図である。
【0015】
通信端末装置100は、上位レイヤ101と、暗号化前データバッファ102と、暗号化処理部103と、暗号化後データバッファ104と、解放可能メモリ確認部105と、メモリ使用量管理部106と、PDCP PDU生成部107と、RLC SDU管理部108と、RLC PDU生成部109と、レポート解析部110と、メモリ使用量管理部111と、MAC PDU生成部112と、HARQ制御部113と、MAC PDU受信部114と、BSR MACコントロール・エレメント生成部115と、データ受信部116と、送信部117と、送信用無線リソース受信部118とから主に構成される。
【0016】
また、PDCPレイヤ150は、暗号化前データバッファ102と、暗号化処理部103と、暗号化後データバッファ104と、解放可能メモリ確認部105と、メモリ使用量管理部106と、PDCP PDU生成部107とを含む。
【0017】
また、RLCレイヤ160は、RLC SDU管理部108と、RLC PDU生成部109と、レポート解析部110と、メモリ使用量管理部111とを含む。
【0018】
また、MACレイヤ170は、MAC PDU生成部112と、HARQ制御部113と、MAC PDU受信部114と、BSR MACコントロール・エレメント生成部115とを含む。
【0019】
また、物理レイヤ180は、データ受信部116と、送信部117と、送信用無線リソース受信部118とを含む。
【0020】
上位レイヤ101は、送信データとしてPDCP SDUを生成し、生成したPDCP SDUを暗号化前データバッファ102へ出力する。
【0021】
暗号化前データバッファ102は、上位レイヤ101から入力したPDCP SDUを順次格納する。また、暗号化前データバッファ102は、格納しているPDCP SDUの格納データ量を、使用量通知によりメモリ使用量管理部106に通知する。また、暗号化前データバッファ102は、解放可能メモリ確認部105よりメモリ解放要求を受けた際に、解放を要求されたPDCP SDUを暗号化処理部103へ出力する。
【0022】
暗号化処理部103は、暗号化前データバッファ102から入力したPDCP SDUを、第1のプロトコル処理である暗号化処理して暗号化データを生成する。また、暗号化処理部103は、生成した暗号化データを暗号化後データバッファ104へ出力する。
【0023】
暗号化後データバッファ104は、暗号化処理部103から入力した暗号化データを順次格納する。また、暗号化後データバッファ104は、格納している暗号化データの格納データ量を、使用量通知によりメモリ使用量管理部106に通知する。また、暗号化後データバッファ104は、解放可能メモリ確認部105よりメモリ解放要求を受けた際に、解放を要求された暗号化データをPDCP PDU生成部107へ出力する。
【0024】
解放可能メモリ確認部105は、レポート解析部110から後述する送達確認済みPDCP PDU通知が入力した際に、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104に対して、通知された送達確認済みのPDCP PDUを解放する要求であるメモリ解放要求を行う。
【0025】
メモリ使用量管理部106は、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104から使用量通知により通知された格納データ量を、基地局に報告するための送信可能データ量通知を生成する。この際、メモリ使用量管理部106は、メモリ使用量管理部111からリソースが枯渇した通知を受けた場合には、送信可能データ量通知における格納データ量を「0」にする。また、メモリ使用量管理部106は、メモリ使用量管理部111からリソースが枯渇した通知を受けた後に、リソースの枯渇が解消した通知を受けた場合には、送信可能データ量通知における格納データ量を、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104から入力した実際の格納データ量に戻す。また、メモリ使用量管理部106は、暗号化前データバッファ102もしくは暗号化後データバッファ104の格納データ量が閾値を超えた場合には、送信可能データ量通知における格納データ量を「0」にする。また、メモリ使用量管理部106は、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104のリソースが解放され、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104の格納データ量が閾値以下となった場合には、送信可能データ量通知における格納データ量を、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104から使用量通知により通知された実際の格納データ量に戻す。また、メモリ使用量管理部106は、生成した送信可能データ量通知をBSR MACコントロール・エレメント生成部115へ出力する。メモリ使用量管理部106は、PDCPレイヤ150でのデータ処理を行う毎に、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104から格納データ量の通知を受ける。
【0026】
PDCP PDU生成部107は、暗号化後データバッファ104から入力した暗号化後データを用いてPDCP PDUを生成する。また、PDCP PDU生成部107は、生成したPDCP PDUを送信データとしてRLC SDU管理部108へ出力する。
【0027】
RLC SDU管理部108は、PDCP PDU生成部107からRLC SDU(PDCP PDU)を取得して、RLCレイヤ160におけるRLC SDUのデータ処理を行う際のデータ管理を行う。具体的には、RLC SDU管理部108は、取得したRLC SDUを管理するための管理情報(データポインタ、データ長及びRadio Bearer ID等の情報)を、メモリのデータ管理領域に格納する。また、RLC SDU管理部108は、管理情報を格納するために使用しているデータ管理領域における使用量をメモリ使用量管理部111に通知(使用量通知)する。また、RLC SDU管理部108は、レポート解析部110よりメモリ解放要求を受けた際に、解放を要求されたRLC SDUの管理情報を格納しているデータ管理領域を解放するとともに、解放を要求されたRLC SDUをRLC PDU生成部109へ出力する。
【0028】
RLC PDU生成部109は、MAC PDU生成部112からMAC SDUの取得の要求を受けた場合に、RLC SDU管理部108で管理する管理情報(RLC SDUに関する情報)を参照し、RLC SDUデータを必要量だけ結合または分離してRLC PDUを生成する第2のプロトコル処理を行う。また、RLC PDU生成部109は、生成したRLC PDUを送信データとしてMAC PDU生成部112へ出力する。
【0029】
レポート解析部110は、MAC PDU受信部114よりRLC Status Reportが入力した際に、入力したRLC Status Reportを解析することにより、基地局から送信された受信成功を示す、RLC SDUの送達確認の有無を確認する。また、レポート解析部110は、RLC SDUの送達確認が有る場合には、RLC SDU管理部108に対して、送達確認を取得したRLC SDUを解放する要求であるメモリ解放要求を行う。また、レポート解析部110は、送達確認を取得したRLC SDUを、送達確認済みPDCP PDU通知として解放可能メモリ確認部105へ出力する。
【0030】
メモリ使用量管理部111は、RLC SDU管理部108から入力したデータ管理領域における使用量を、基地局に報告するための送信可能データ量通知を生成する。また、メモリ使用量管理部111は、生成した送信可能データ量通知をBSR MACコントロール・エレメント生成部115へ出力する。また、メモリ使用量管理部111は、RLC SDU管理部108から入力したデータ管理領域における使用量が閾値を超えた場合には、メモリが枯渇したものと判断して、メモリ使用量管理部106に対して、リソースが枯渇した通知(リソース枯渇通知)を行う。また、メモリ使用量管理部111は、RLC SDU管理部108から入力したデータ管理領域における使用量が閾値以下になった場合には、メモリの枯渇が解消したものと判断して、メモリ使用量管理部106に対して、リソースの枯渇が解消した通知(リソース枯渇解消通知)を行う。メモリ使用量管理部111は、RLCレイヤ160でのデータ処理を行う毎に、データ管理領域における使用量をRLC SDU管理部108から取得する。
【0031】
MAC PDU生成部112は、RLC PDU生成部109から入力した複数のMAC SDU(RLC PDU)を結合してMAC PDUを生成する。また、MAC PDU生成部112は、新規な送信データの生成の要求をHARQ制御部113から受けた場合に、RLC PDU生成部109に対してMAC SDUの取得を要求する。また、MAC PDU生成部112は、この要求により、RLC PDU生成部109からMAC SDU(RLC PDU)を取得してMAC PDUを生成する。また、MAC PDU生成部112は、MAC PDUを生成する際に、BSR MACコントロール・エレメント生成部115から入力した後述するBSR MAC control elementを付加してMAC PDUを生成する。また、MAC PDU生成部112は、生成したMAC PDUをHARQ制御部113へ出力する。
【0032】
HARQ制御部113は、再送制御を行う。具体的には、HARQ制御部113は、MAC PDU生成部112から入力したMAC PDUを初回送信として送信部117へ出力する。また、HARQ制御部113は、基地局より再送要求を受けた際に、再送要求を受けたMAC PDUの再送を行うために、再送するMAC PDUを送信部117へ出力する。この際、HARQ制御部113は、受信成功するまで、または規定の最大再送回数に到達するまで再送を繰り返す。また、HARQ制御部113は、送信用無線リソース受信部118から入力した送信無線リソース通知に基づいて送信データを決定し、必要に応じて、MAC PDU生成部112に対して、初回送信用の新規な送信データの生成の要求を行う。
【0033】
MAC PDU受信部114は、データ受信部116から入力した受信データであるMAC PDUに含まれるRLC Status Reportを検出し、検出したRLC Status Reportをレポート解析部110へ出力する。
【0034】
BSR MACコントロール・エレメント生成部115は、メモリ使用量管理部106及びメモリ使用量管理部111の各々から送信可能データ量通知により通知された格納データ量及びデータ管理領域の使用量により、通信端末装置100として送信可能な送信データ量を求める。具体的には、BSR MACコントロール・エレメント生成部115は、メモリ使用量管理部106及びメモリ使用量管理部111の各々から実際の格納データ量及びデータ管理領域の使用量の通知を受けた際には、それらを用いて送信可能な送信データ量を求める。また、BSR MACコントロール・エレメント生成部115は、メモリ使用量管理部106から送信データ無しの通知を受けた際には、メモリ使用量管理部111から入力した実際のデータ管理領域の使用量のみを用いて送信可能な送信データ量を求める。また、BSR MACコントロール・エレメント生成部115は、求めた送信可能なデータ量を基地局に報告するBSR MAC control elementを生成する。また、BSR MACコントロール・エレメント生成部115は、生成したBSR MAC control elementをMAC PDU生成部112へ出力する。
【0035】
データ受信部116は、ネットワークから受信した、自分宛の物理チャネル上のデータに対して物理レイヤのデータ処理を施してMAC PDUを取り出す。また、データ受信部116は、取り出したMAC PDUをMAC PDU受信部114へ出力する。
【0036】
送信部117は、HARQ制御部113から入力したMAC PDUに対して物理レイヤのデータ処理を施し、物理チャネルに載せてネットワークへ送信する。
【0037】
送信用無線リソース受信部118は、ネットワークから受信した、自分宛の物理チャネル上のデータに対して物理レイヤのデータ処理を施して送信無線リソース通知を取り出す。また、送信用無線リソース受信部118は、取り出した送信無線リソースをHARQ制御部113へ出力する。
【0038】
図3は、通信端末装置100が送信するMAC PDUのフォーマットを示す図である。図3より、MAC control Elementは、MACヘッダ(MAC header)に付加される。また、複数のMAC SDUは、MAC control Elemenに付加される。また、MACペイロード(MAC payload)は、MAC control Element及びMAC SDUを含む。
【0039】
上記の構成を有する通信端末装置100は、基地局との間の無線回線の品質の劣化により、アップリンクの無線リソースが十分に割り当てられない状況が生じ得る。または、通信端末装置100は、基地局との間の無線回線の品質の劣化により、RLC Status ReportによるRLC SDU(PDCP PDU)の送達確認を取得できない状況が生じ得る。これらの状況が生じた場合には、通信端末装置100では、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104の枯渇、及びRLC SDU管理部108のデータ管理領域の枯渇が発生する。これにより、通信端末装置100は、新規データの送信ができない状況になる。また、このような状況は、通信端末装置100がRLC Status ReportによるRLC SDU(PDCP PDU)の送達確認を取得するまで継続する。即ち、上記の状況は、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104、またはRLCレイヤ160のRLC SDU管理部108のデータ管理領域が解放されるまで継続する。
【0040】
本実施の形態では、このような場合、PDCPレイヤ150のメモリ使用量管理部106は、メモリ枯渇の検出後、送信可能データ量通知を「0」(送信可能データ無し)とする。そして、メモリ使用量管理部106は、メモリのリソースが解放されてメモリ枯渇が解消され次第、通常通り、暗号化前データバッファ102及び暗号化後データバッファ104に格納されている送信可能な送信データのデータ量を通知する。
【0041】
また、メモリ使用量管理部111は、RLC SDU管理部108のデータ管理領域のメモリ枯渇の検出時に、メモリ使用量管理部106へメモリの枯渇を通知する。メモリ使用量管理部106は、メモリ使用量管理部111からのリソースが枯渇した通知を受けることにより、送信可能データ量通知を「0」(送信可能データ無し)としてBSR MACコントロール・エレメント生成部115へ通知する。一方、メモリ使用量管理部111は、メモリ使用量管理部106へリソースが枯渇した通知を行った後も、通常通り、RLC SDU管理部108から通知された実際のデータ管理領域における使用量を、BSR MACコントロール・エレメント生成部115へ通知し続ける。こうすることで、RLCレイヤ160で即時送信可能なデータ量分は、アップリンクの無線リソースを割り当ててもらうことができる。ここで、RLCレイヤ160で即時送信可能なデータは、RLC SDU管理部108のデータ管理領域の枯渇による影響を受けず、RLC Status Reportによる送達確認を待たずに送信可能なデータである。これにより、RLCレイヤ160のRLC SDU管理部108のデータ管理領域の枯渇が理由で送信できないPDCPレイヤ150の送信可能データ量分については、BSR MAC control elemntにおいては抑制できる。従って、無駄にアップリンクの無線リソースを割り当てられることを防ぐことができる。
【0042】
このように、本実施の形態では、PDCPレイヤのデータバッファに格納されている送信データの格納データ量が所定量を超えた場合に、PDCPレイヤのデータバッファに格納されている送信データの格納データ量を送信データ無しとして報告する。これにより、本実施の形態によれば、直ぐには送信できないデータが有る状況において、無駄な無線リソースが割り当てられることを防ぐことができ、無線リソースを効率よく割り当てることができる。
【0043】
また、本実施の形態では、RLCレイヤのメモリの管理情報を格納するために使用している、データ管理領域における使用量が所定量を超えた場合に、PDCPレイヤのデータバッファに格納されている送信データの格納データ量を送信データ無しとして報告する。これにより、本実施の形態によれば、直ぐには送信できないデータが有る状況において、無駄な無線リソースが割り当てられることを防ぐことができ、無線リソースを効率よく割り当てることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、RLCレイヤのメモリの管理情報を格納するために使用している、データ管理領域における使用量が所定量を超えた場合であっても、RLCレイヤのメモリの管理情報を格納するために使用している、データ管理領域における実際の使用量を報告する。これにより、本実施の形態によれば、即時送信可能なデータ量分の無線リソースを割り当ててもらうことができる。
【0045】
なお、本実施の形態において、PDCPレイヤのデータバッファの格納データ量と、RLCレイヤのメモリの管理情報を格納するために使用している、データ管理領域における使用量の双方をPDCPレイヤのメモリ使用量管理部に通知する。しかしながら、本発明はこれに限らず、上記のデータ管理領域における使用量をPDCPレイヤのメモリ使用量管理部に通知しなくてもよい。
【0046】
また、本実施の形態において、PDCPレイヤのデータバッファには暗号化処理前後の送信データを格納したが、本発明はこれに限らず、暗号化処理以外の任意のデータ処理前後の送信データを格納することができる。
【0047】
また、本実施の形態において、PDCPレイヤでは、暗号化処理前後の送信データを各々格納する2つのデータバッファの格納データ量を通知したが、本発明はこれに限らず、任意の1つまたは3つ以上の任意の数のデータバッファの格納データ量を通知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明にかかる通信端末装置及びデータ量報告方法は、例えばLTEのアップリンク共通チャネルを使用した移動体通信システムにおいて、アップリンク共通チャネルのリソースを動的に割り当てるのに好適である。
【符号の説明】
【0049】
100 通信端末装置
101 上位レイヤ
102 暗号化前データバッファ
103 暗号化処理部
104 暗号化後データバッファ
105 解放可能メモリ確認部
106、111 メモリ使用量管理部
107 PDCP PDU生成部
108 RLC SDU管理部
109 RLC PDU生成部
110 レポート解析部
112 MAC PDU生成部
113 HARQ制御部
114 MAC PDU受信部
115 BSR MACコントロール・エレメント生成部
116 データ受信部
117 送信部
118 送信用無線リソース受信部
150 PDCPレイヤ
160 RLCレイヤ
170 MACレイヤ
180 物理レイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレイヤにおいて送信データに対して第1のプロトコル処理を施す第1のデータ処理手段と、
前記第1のプロトコル処理を施す際に送信データを格納するデータ格納手段と、
第2のレイヤにおいて、前記第1のプロトコル処理を施した送信データに対して第2のプロトコル処理を施す第2のデータ処理手段と、
前記第2のプロトコル処理を行う送信データの管理情報をメモリのデータ管理領域に格納して、前記第2のプロトコル処理を行う送信データのデータ管理を行うデータ管理手段と、
前記データ格納手段に格納されている送信データの格納データ量と、前記管理情報の格納に使用している前記データ管理領域の使用量とから求めた送信可能なデータ量を通信相手に報告する報告手段と、
前記送信可能なデータ量に対して前記通信相手により割り当てられたリソースを使用して、前記第2のプロトコル処理を施した送信データを順次送信する送信手段と、
前記送信手段により送信した送信データの前記通信相手における受信が成功した場合に、前記データ格納手段に格納されている前記受信が成功した送信データを解放するとともに、前記受信が成功した送信データの前記管理情報の格納に使用している前記データ管理領域の解放を行う解放手段と、
前記格納データ量と前記使用量の少なくとも一方が所定量を超えた場合に、前記格納データ量を無しとして求めた前記送信可能なデータ量を、前記報告手段により報告させる報告管理手段と、
を具備する通信端末装置。
【請求項2】
前記報告管理手段は、前記格納データ量を無しとする際に、前記使用量により前記送信可能なデータ量を求める請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記報告管理手段は、前記格納データ量を無しとして求めた前記送信可能なデータ量を前記報告手段により報告させた後に、前記格納データ量と前記使用量の双方が所定量以下になった場合に、実際の前記格納データ量と前記使用量とから求めた前記送信可能なデータ量を前記報告手段により報告させる請求項1記載の通信端末装置。
【請求項4】
通信端末装置の送信可能なデータ量を報告するデータ量報告方法であって、
第1のレイヤにおいて送信データに対して第1のプロトコル処理を施す第1のデータ処理ステップと、
前記第1のプロトコル処理を施す際に送信データを格納するデータ格納ステップと、
第2のレイヤにおいて、前記第1のプロトコル処理を施した送信データに対して第2のプロトコル処理を施す第2のデータ処理ステップと、
前記第2のプロトコル処理を行う送信データの管理情報をメモリのデータ管理領域に格納して、前記第2のプロトコル処理を行う送信データのデータ管理を行うデータ管理ステップと、
前記データ格納ステップにより格納した送信データの格納データ量と、前記管理情報の格納に使用している前記データ管理領域の使用量とから求めた送信可能なデータ量を通信相手に報告する報告ステップと、
前記送信可能なデータ量に対して前記通信相手により割り当てられたリソースを使用して、前記第2のプロトコル処理を施した送信データを順次送信する送信ステップと、
前記送信ステップにより送信した送信データの前記通信相手における受信が成功した場合に、前記データ格納ステップにより格納した前記受信が成功した送信データを解放するとともに、前記受信が成功した送信データの前記管理情報の格納に使用している前記データ管理領域の解放を行う解放ステップと、
前記格納データ量と前記使用量の少なくとも一方が所定量を超えた場合に、前記格納データ量を無しとして求めた前記送信可能なデータ量を、前記報告ステップにより報告させる報告管理ステップと、
を具備するデータ量報告方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−134829(P2012−134829A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286143(P2010−286143)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000187725)パナソニック モバイルコミュニケーションズ株式会社 (38)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】