説明

通信端末装置及びプログラム

【課題】通信端末装置と他の通信端末装置とを近距離通信を介して接続する場合に、事前に特別な操作を行うことなくしてそれらの接続を確立できるようにする。
【解決手段】腕時計1は、その移動検出部17が腕時計1の移動開始を検出すると、近距離通信部18を駆動させ、近距離通信を介して携帯電話機(他の通信端末装置)2との接続の準備を行ったのち、その接続準備が完了したか否かを判別し、接続準備が完了した場合に、当該接続を確立する。この場合、腕時計1は、その識別情報の発信を接続の準備として行い、この識別情報が携帯電話機2に受信されることによって当該携帯電話機2から近距離通信の接続許可が返信された場合に、この接続許可の返信を条件に接続準備が完了したと判別して当該接続を確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信端末装置が他の通信端末装置に対して情報を送信する技術として、例えば、携帯電話機で音声通話の着信通知などの各種情報を、近距離通信を介してユーザが装着している腕時計(他の通信端末装置)に送信して腕時計側に表示させることが可能となっているが、腕時計は、ファッションや使用目的などに応じて複数個所有して使い分けることが多いため、使用する腕時計を変える毎に、携帯電話との接続を設定しなければならなかった。そこで、従来では、無線通信端末の組み合わせを記述したリストの中から選択した組み合わせの無線通信端末同士を接続することによって、その接続に要する時間を短縮するようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−217463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した先行技術にあっても組み合わせリストの中から所望する組み合わせを選択する操作を必要としそれだけユーザに負担をかけるほか、その選択を間違えるおそれもあるために、より手間をかけることなく、使用する腕時計と携帯電話機とを簡単に接続できる技術が望まれる。
【0005】
本発明の課題は、通信端末装置と他の通信端末装置とを近距離通信を介して接続する場合に、事前に特別な操作を行うことなくそれらの接続を確立できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置であって、当該通信端末装置の状態の変化を検出する検出手段と、この検出手段によって状態の変化が検出された場合に、前記近距離通信を介して他の通信端末装置との接続を準備する接続準備手段と、この接続準備手段によって前記他の通信端末装置との接続準備が完了したか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって前記他の通信端末装置との接続準備が完了したと判別された場合に、当該接続を確立する接続手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記接続準備手段は、当該通信端末装置の識別情報の発信を接続の準備として行い、前記判別手段は、前記接続準備手段によって発信された識別情報が前記他の通信端末装置に受信されることによって前記他の通信端末装置から前記近距離通信の接続許可が返信された場合に、この接続許可を条件に接続準備が完了したと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記接続準備手段は、前記通信機能による前記近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報の発信を接続の準備として行い、前記判別手段は、前記接続準備手段によって発信された通知情報が前記他の通信端末装置に受信されることによって前記他の通信端末装置から発信された識別信号の送信要求に応答して当該通信端末装置の識別信号を発信した後、前記他の通信端末装置から前記近距離通信の接続許可が返信された場合に、この接続許可を条件に接続準備が完了したと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1〜3いずれかに従属する発明として、前記検出手段は、当該通信端末装置の移動をその状態の変化として検出する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1〜3いずれかに従属する発明として、前記検出手段は、当該通信端末装置の人体への装着をその状態の変化として検出する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項5に従属する発明として、前記検出手段は、当該通信端末装置の人体への装着をその状態の変化として検出する以外に、当該通信端末装置の人体からの装着の解除をその状態の変化として検出し、前記接続手段は、前記他の通信端末装置との接続が確立されている状態で、前記検出手段によって当該通信端末装置の人体からの装着が解除されたことが検出された場合に、前記確立されている接続を切断する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決するために請求項7記載の発明は、近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置であって、前記近距離通信を介して当該通信端末装置との接続を許可する他の通信端末装置に対応してその識別情報を記憶する記憶手段と、前記他の通信端末装置の状態が変化に応じて前記他の通信端末装置から発信された情報を受信する受信手段と、この受信手段によって受信された情報が前記他の通信端末装置の識別情報であれば、この識別情報と前記記憶手段に記憶されている識別情報とが合致するか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって両識別情報が合致すると判別された場合に、前記近距離通信を介して前記他の通信端末装置との接続を確立する接続手段と、を具備したことを特徴とする。
【0013】
請求項7に従属する発明として、当該通信端末装置の移動を検出する移動検出手段を更に備え、前記受信手段は、前記移動検出手段によって当該通信端末装置の移動が検出された場合に、前記他の通信端末装置の識別情報を受信する動作を行う、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項7に従属する発明として、前記受信手段によって受信された情報が、前記通信機能による前記近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報であれば、前記他の通信端末装置に対してその識別情報の送信を要求する送信要求手段を更に備え、前記判別手段は、前記送信要求手段による送信要求に対して前記他の通信端末装置から発信された識別情報を受信した場合に、この受信した識別情報と前記記憶手段に記憶されている識別情報とが合致するか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0015】
また、上述した課題を解決するために請求項10記載の発明は、コンピュータに対して、近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置で実行されるプログラムであって、当該通信端末装置の状態の変化を検出する機能と、当該通信端末装置の状態の変化が検出された場合に、前記近距離通信を介して他の通信端末装置との接続を準備する機能と、前記他の通信端末装置との接続準備が完了したか否かを判別する機能と、前記他の通信端末装置との接続準備が完了したと判別された場合に、当該接続を確立する機能と、を実現させることを特徴とする。
【0016】
また、上述した課題を解決するために請求項11記載の発明は、コンピュータに対して、近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置で実行されるプログラムであって、当該通信端末装置との接続を許可する他の通信端末装置に対応してその識別情報を記憶管理する機能と、前記他の通信端末装置の状態が変化に応じて前記他の通信端末装置から発信された情報を受信する機能と、前記受信された情報が前記他の通信端末装置の識別情報であれば、この識別情報と前記記憶手段に記憶されている識別情報とが合致するか否かを判別する機能と、前記両識別情報が合致すると判別された場合に、前記近距離通信を介して前記他の通信端末装置との接続を確立する機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通信端末装置と他の通信端末装置とを近距離通信を介して接続する場合に、事前に特別な操作を行うことなくそれらの接続を確立することができ、実用効果の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】通信端末装置として、近距離通信機能付き腕時計に適用した場合を例示したもので、(1)は、この腕時計1の基本的な構成要素を示したブロック図、(2)は、腕時計1と近距離通信を介して接続される他の通信端末装置(近距離通信機能付き携帯電話機)2の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】携帯電話機2側に設けられている識別情報テーブルDTを説明するための図。
【図3】腕時計1の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図4】携帯電話機2の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図5】第2実施形態において腕時計1の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図6】第2実施形態において携帯電話機2の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図7】第3実施形態において腕時計1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図8】第3実施形態において腕時計1の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図9】第4実施形態において腕時計1の全体動作の概要を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、図1〜図4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態は、通信端末装置として、近距離通信機能付き腕時計に適用した場合を例示したもので、図1(1)は、この腕時計1の基本的な構成要素を示したブロック図、(2)は、腕時計1と近距離通信を介して接続される他の通信端末装置(近距離通信機能付き携帯電話機)2の基本的な構成要素を示したブロック図である。
腕時計1は、図1(1)に示すように構成されている。すなわち、腕時計1は、計時機能のほかに、近距離通信機能を有する構成で、その制御部11は、太陽電池などを備えた電池部12からの電力供給によって動作し、記憶部13内の各種のプログラムに応じてこの腕時計1の全体動作を制御する中央演算処理装置やメモリ(図示省略)などを有している。
【0020】
腕時計1の記憶部13には、図3に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、それに必要とする情報として、自己の識別情報(例えば、製造番号、ユーザ設定情報)DMが記憶されている。なお、記憶部13は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよい。表示部14は、高精細液晶を使用し、例えば、時刻情報、文字情報、画像情報などを表示する。操作部15は、時刻調整ボタンや、コマンド入力ボタンなどを有し、制御部11は、この操作部15からの入力操作信号に応じた処理を実行する。時計部16は、現在日時を計時するもので、表示部14からデジタル表示又は指針表示される。
【0021】
移動検出部17は、ユーザが腕時計1を腕に装着するために手に取ったり、腕時計1を装着した状態で歩き始めたりするという自然な行動(腕時計1の移動)を腕時計1の状態の変化として検出するもので、腕時計1の状態の変化(腕時計1の移動)に応じて加わる振動状態を検出する3軸タイプの加速度センサ(3軸方向振動センサ)を有し、この加速度センサによる振動状態によって腕時計1の移動開始を検出するようにしている。なお、移動検出部17は、速度センサ、歩行センサによって腕時計1の移動開始を検出するようにしてもよい。近距離通信部18は、アンテナAT1を有し、通常、一緒に携帯所持する携帯電話機(他の通信端末装置)2との間において非接触タイプのBluetooth(登録商標)による近距離通信を行うもので、その通信可能エリア内(例えば、半径5m以内)で交信が可能となっている。なお、近距離通信部18は、Bluetooth(登録商標)通信に限らず、赤外線通信、非接触ICカードによる通信などであってもよい。
【0022】
この移動検出部17が腕時計1の移動開始を検出すると、制御部11は、近距離通信部18を駆動させ、近距離通信を介して携帯電話機(他の通信端末装置)2との接続の準備を行ったのち、その接続準備が完了したか否かを判別し、接続準備が完了した場合に、当該接続を確立するようにしている。この場合、腕時計1は、その識別情報(例えば、製造番号、ユーザ設定情報など)の発信を接続の準備として行い、この識別情報が携帯電話機2に受信されることによって当該携帯電話機2から近距離通信の接続許可が返信された場合に、この接続許可の返信を条件に接続準備が完了したと判別して当該接続を確立するようにしている。
【0023】
携帯電話機2は、図1(2)に示すように構成されている。すなわち、携帯電話機2は、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、近距離通信機能などが備えられている。携帯電話機2の制御部21は、二次電池(図示省略)を備えた電池部22からの電力供給によって動作し、記憶部23内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機2の全体動作を制御する中央演算処理装置やメモリ(図示省略)などを有している。記憶部23には、図4に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、それに必要とする情報として、後述する識別情報テーブルDTなどが記憶されている。なお、記憶部23は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよい。表示部24は、高精細液晶を使用し、例えば、文字情報、画像情報などを表示する。操作部25は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、制御部21は、この操作部25からの入力操作信号に応じた処理を実行する。
【0024】
通信部26は、図示しない無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などの動作時に、最寄りの基地局(図示省略)との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、電話部27を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを電話部27から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナAT2から発信出力させる。
【0025】
移動検出部28は、ユーザが携帯電話機2を携帯所持するために手に取ったり、携帯電話機2を携帯した状態で歩き始めたりするという自然な行動(携帯電話機2の移動)を携帯電話機2の状態の変化として検出するもので、携帯電話機2の状態の変化(携帯電話機2の移動)に応じて加わる振動状態を検出する3軸タイプの加速度センサ(3軸方向振動センサ)を有し、この加速度センサによる振動状態によって携帯電話機2の移動開始を検出するようにしている。なお、移動検出部28は、速度センサ、歩行センサによって携帯電話機2の移動開始を検出するようにしてもよい。近距離通信部29は、アンテナAT3を有し、通常、一緒に携帯所持する腕時計1との間において非接触タイプのBluetooth(登録商標)による近距離通信を行うもので、その通信可能エリア内(例えば、半径5m以内)で交信が可能となっている。なお、近距離通信部29は、Bluetooth(登録商標)通信に限らず、赤外線通信、非接触ICカードによる通信などであってもよい。
【0026】
図2は、携帯電話機2側に設けられている識別情報テーブルDTを説明するための図である。
識別情報テーブルDTは、携帯電話機2に近距離通信を介して接続される腕時計1に関する情報を複数の腕時計1に対応付けて記憶するもので、腕時計1毎にその「識別情報」、「通信手段」、「利用可能機能」を記憶する構成となっている。「識別情報」は、腕時計1の製造番号などの識別情報を示し、「通信手段」は、腕時計1の近距離通信部としてBluetooth(登録商標)通信であるか、赤外線通信であるかを示している。「利用可能機能」は、携帯電話機2側の各種機能のうち、腕時計1でも利用可能な機能を示している。なお、“メール着信”は、携帯電話機2側で着信したメールを腕時計1に送信して表示させて閲覧可能とする機能である。同様に、“アドレス帳”は、携帯電話機2側に登録されているアドレス帳を腕時計1に送信して表示させて閲覧可能とする機能である。“スケジュール”は、携帯電話機2側に登録されているスケジュールデータを腕時計1に送信して表示させて閲覧可能とする機能である。
【0027】
次に、この第1実施形態における腕時計1、携帯電話機2の動作概念を図3、図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなど伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0028】
図3は、腕時計1の全体動作の概要を示したフローチャートである。図4は、携帯電話機2の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、腕時計1において制御部11は、電源を投入する電源オン操作が行われると、電源供給を開始させて所定のメモリなどを初期化する初期化処理を実行したのち(図3のステップA1)、携帯電話機2と接続中であるか否かを調べたり(ステップA2)、何らかの操作が行われたか否かを調べたりする(ステップA3〜A5)。この状態において、携帯電話機2との接続が未確立で携帯電話機2に接続中でなければ(ステップA2でNO)、移動検出部17によって腕時計1の移動開始が検出されたかを調べる(ステップA6)。いま、その移動開始が検出されなければ(ステップA6でNO)、上述のステップA2に戻るが、腕時計1の移動開始が検出されたときには(ステップA6でYES)、近距離通信部18を駆動して、記憶部13から自己の識別情報DMを読み出すと共に、近距離通信接続の準備として、この識別情報を近距離通信部18から発信させる(ステップA7)。
【0029】
一方、携帯電話機2において、制御部21は、電源を投入する電源オン操作が行われると、電源供給を開始させて所定のメモリなどを初期化して受信の待ち受け状態となる(図4のステップB1)。この状態において、腕時計1に接続中であるか否かを調べたり(ステップB2)、何らかの操作が行われたか否かを調べたりする(ステップB3〜B5)。ここで、腕時計1との接続が未確立で腕時計1に接続中でなければ(ステップB2でNO)、移動検出部28によって携帯電話機2の移動開始が検出されたかを調べる(ステップB6)。いま、その移動開始が検出されなければ(ステップB6でNO)、上述のステップB2に戻るが、携帯電話機2の移動開始が検出されたときには(ステップB6でYES)、近距離通信部29を駆動し、腕時計1から発信される識別情報の受信を開始してその受信可能な状態とする(ステップB7)。
【0030】
この状態において、腕時計1から発信された識別情報を携帯電話機2側で受信したかを調べ(ステップB8)、それを受信しなければ、上述のステップB2に戻るが、腕時計1の識別情報を受信したときには(ステップB8でYES)、識別情報テーブルDTを参照し(ステップB9)、受信した識別情報は、識別情報テーブルDTに登録されている識別情報のいずれかに合致するかを調べる(ステップB10)。いま、いずれの識別情報にも合致していなければ(ステップB10でNO)、上述のステップB2に戻るが、いずれかの識別情報に合致していれば(ステップB10でYES)、腕時計1に対して接続許可を示す信号を発信するほか(ステップB11)、通信速度などの情報を相互に交換しながら腕時計1との近距離通信を確立したのち(ステップB12)、上述のステップB2に戻る。
【0031】
ここで、腕時計1側では、上述したように自己の識別情報を発信させたのち(図3のステップA7)、携帯電話機2から発信される接続許可信号を受信したかを調べ(ステップA8)、それを受信しなければ(ステップA8でNO)、上述のステップA2に戻るが、携帯電話機2からの接続許可信号を受信したときには(ステップA8でYES)、通信速度などの情報を相互に交換しながら携帯電話機2との近距離通信を確立したのち(ステップA9)、上述のステップA2に戻る。
【0032】
このように腕時計1側では、携帯電話機2との通信接続が確立されている状態(接続中の状態)において(図3のステップA2でYES)、携帯電話機2との通信操作が行われると(ステップA3でYES)、その通信内容に応じた処理の実行に移る(ステップA10)。同様に、携帯電話機2側でも、腕時計1との通信接続が確立されている状態(接続中の状態)において(図4のステップB2でYES)、腕時計1との通信操作が行われると(ステップB3でYES)、その通信内容に応じた処理の実行に移る(ステップB13)。例えば、腕時計1毎に決められている「利用可能機能」の範囲内において、“メール着信”の機能が選択された場合には、携帯電話機2側で着信したメールを腕時計1に送信して表示させて閲覧可能としたり、“アドレス帳”の機能が選択された場合には、携帯電話機2側に登録されているアドレス帳を腕時計1に送信して表示させて閲覧可能としたり、“スケジュール”
の機能が選択された場合には、携帯電話機2側に登録されているスケジュールデータを腕時計1に送信して表示させて閲覧可能としたりする。
【0033】
また、腕時計1側では、携帯電話機2との接続中に(図3のステップA2でYES)、携帯電話機2との切断操作が行われたときには(ステップA4でYES)、その近距離通信を切断する処理の実行に移る(ステップA11)。また、その他の操作が行われたときには(ステップA5でYES)、操作に応じた処理として、メール表示画面、アドレス帳表示画面などを消去して時刻表示に切り替えたりする画面切り換え処理や時刻修正処理などを行う(ステップA12)。同様に、携帯電話機2側でも、腕時計1との接続中に(図4のステップB2でYES)、腕時計1との切断操作が行われたときには(ステップB4でYES)、その近距離通信を切断する処理の実行に移る(ステップB14)。また、その他の操作が行われたときには(ステップB5でYES)、その操作に応じた処理として、電話・メール発着信処理などを行う(ステップB15)。
【0034】
以上のように、第1実施形態において腕時計1は、その状態の変化を検出すると、近距離通信部18を駆動させ、近距離通信を介して携帯電話機(他の通信端末装置)2との接続の準備を行ったのち、その接続準備が完了したか否かを判別し、接続準備が完了した場合に、当該接続を確立するようにしたので、腕時計1と携帯電話機2とを近距離通信を介して接続する場合に、複数個の腕時計1をファッションや使用目的などに応じて使い分けたとしても、使用する腕時計を変える毎に携帯電話機2との接続を設定する特別な操作を行うことなくそれらの接続を確立することができ、実用効果の高いものとなる。
【0035】
腕時計1の識別情報の発信を接続の準備として行い、発信した識別情報が携帯電話機2で受信されたのち、携帯電話機2から近距離通信の接続許可が返信された場合に準備が完了したと判別するようにしたことで、携帯電話機2との近距離通信の接続を素早く確立することができる。
【0036】
腕時計1は、その移動をその状態の変化として検出するようにしたので、例えば、ユーザが腕時計1を腕に装着するために手に取ったり、腕時計1を装着した状態で歩き始めたりするという自然な行動(腕時計1の移動)を行うだけで、携帯電話機2との接続を確立することができる。
【0037】
携帯電話機2は、腕時計1の状態変化に応じて発信される腕時計1の当該識別情報を受信した場合に、識別情報テーブルDTを参照し、受信した識別情報が登録されている識別情報に合致すれば、近距離通信を介して腕時計1との接続を確立するようにしたことで、腕時計1と携帯電話機2とを近距離通信を介して接続する場合に、複数個の腕時計1をファッションや使用目的などに応じて使い分けたとしても、使用する腕時計1を変える毎に携帯電話機2との接続を設定する特別な操作を行うことなくそれらの接続を確立することができ、実用効果の高いものとなる。
【0038】
携帯電話機2は、その移動をその状態の変化として検出した場合に、腕時計1からの識別情報の受信するようにしたので、例えば、ユーザが携帯電話機2を携帯するために手に取ったり、携帯電話機2を携帯した状態で歩き始めたりするという自然な行動(携帯電話機2の移動)を行うだけで、携帯電話機2を利用中と判断して腕時計1からの識別情報の受信を行うことができ、無駄な電力の消費を避けることができる点でも有利なものとなる。
【0039】
なお、上述した第1実施形態において腕時計1側の移動検出部17及び携帯電話機2側の移動検出部28を加速度センサによって構成してその移動を検出するようにしたが、加速度センサに限らず、上述したように、速度センサ、歩行センサなどであってよく、また、GPS(Global Positioning System)受信部によって取得した位置情報からその移動を検出したり、気圧の変化などを検出したりするようにしてもよい。
【0040】
上述した第1実施形態において携帯電話機2は、その移動を携帯電話機2の状態の変化として検出した場合に腕時計1からの識別情報の受信するようにしたが(図4のステップB6、B7)、携帯電話機2は、その移動検出を条件とせずに、常時、腕時計1からの識別情報を受信可能としてもよい。
【0041】
(実施形態2)
以下、本発明の第2実施形態について図5及び図6を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、腕時計1の識別情報の発信を接続の準備として行い、発信した識別情報が携帯電話機2で受信されたのち、携帯電話機2から近距離通信の接続許可が返信された場合に準備が完了したと判別するようにしたが、この第2実施形態における腕時計1は、近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報の発信を接続の準備として行い、発信した通知情報が携帯電話機2に受信されることによって当該携帯電話機2から発信された識別信号の送信要求に応答して、腕時計1の識別信号を発信したのち、携帯電話機2から近距離通信の接続許可近距離通信の接続許可信号が返信された場合に、この接続許可を条件に接続準備が完了したと判別するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。なお、第2実施形態において、腕時計1、携帯電話機2の構成は、上述した図1(1)、(2)と同様であり、携帯電話機2側に設けられている識別情報テーブルDTも図2と同様である。
【0042】
図5は、第2実施形態において腕時計1の全体動作の概要を示したフローチャートである。図6は、第2実施形態において携帯電話機2の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、腕時計1において制御部11は、上述した第1実施形態と同様に、電源オン操作が行われると、初期化処理を実行したのち(図5のステップC1)、携帯電話機2と接続中であるか否かを調べたり(ステップC2)、何らかの操作が行われたか否かを調べたりする(ステップC3〜C5)。この状態において、携帯電話機2との接続が未確立で携帯電話機2に接続中でなければ(ステップC2でNO)、腕時計1の移動開始が検出されたかを調べる(ステップC6)。いま、その移動開始が検出されなければ(ステップC6でNO)、上述のステップC2に戻るが、腕時計1の移動開始が検出されたときには(ステップC6でYES)、近距離通信接続の準備として、その通信接続が可能な状態にあることを示す接続可能通知情報を発信する(ステップC7)。
【0043】
一方、携帯電話機2において制御部21は、上述した第1実施形態と同様に、電源オン操作が行われると、待ち受け状態となる(図6のステップD1)。この状態において、腕時計1に接続中であるか否かを調べたり(ステップD2)、何らかの操作が行われたか否かを調べたりする(ステップD3〜D5)。ここで、腕時計1との接続が未確立で腕時計1に接続中でなければ(ステップD2でYES)、携帯電話機2の移動開始が検出されたかを調べる(ステップD6)。
【0044】
いま、携帯電話機2の移動開始が検出されなければ(ステップD6でNO)、上述のステップD2に戻るが、携帯電話機2の移動開始が検出されたときには(ステップD6でYES)、近距離通信部29を駆動し、腕時計1から発信される情報の受信を開始してその受信可能な状態とする(ステップD7)。この状態において、腕時計1から発信された接続可能通知情報を携帯電話機2側で受信したかを調べ(ステップD8)、それを受信しなければ(ステップD8でNO)、上述のステップD2に戻るが、接続可能通知情報を受信したときには(ステップD8でYES)、腕時計1に対してその識別信号の送信要求を発信する(ステップD9)。
【0045】
ここで、腕時計1は、上述のように接続可能通知情報を発信したのちは(図5のステップC7)、携帯電話機2から識別信号の送信要求を受信したかを調べ(ステップC8)、それを受信しなければ(ステップC8でNO)、上述のステップC2に戻るが、識別信号送信要求を受信したときには(ステップC8でYES)、記憶部13から自己の識別情報DMを読み出し、この識別情報を近距離通信部18から発信させる(ステップC9)。
【0046】
携帯電話機2は、上述のように腕時計1に対してその識別信号送信要求を発信したのちは(図6のステップD9)、それに応答して腕時計1からその識別情報を受信したかを調べ(ステッD10)、それを受信しなければ(ステップD10でNO)、上述のステップD2に戻るが、腕時計1の識別情報を受信したときには(ステップD10でYES)、識別情報テーブルDTを参照し(ステップD11)、受信した識別情報は、識別情報テーブルDTに登録されている識別情報のいずれかに合致するかを調べる(ステップD12)。いま、いずれの識別情報にも合致していなければ(ステップD12でNO)、上述のステップD2に戻るが、いずれかの識別情報に合致していれば(ステップD12でYES)、腕時計1に対して接続許可を示す信号を発信すると共に(ステップD13)、腕時計1との近距離通信を確立したのち(ステップD14)、上述のステップD2に戻る。
【0047】
ここで、腕時計1側では、上述したように自己の識別情報を読み出して発信させたのちは(図5のステップC9)、それに応答して携帯電話機2からの接続許可信号を受信したかを調べ(ステップC10)、接続許可信号を受信しなければ(ステップC10でNO)、上述のステップC2に戻るが、携帯電話機2からの接続許可信号を受信したときには(ステップC10でYES)、携帯電話機2との近距離通信を確立したのち(ステップC11)、上述のステップC2に戻る。
【0048】
このように腕時計1側では、携帯電話機2との通信接続が確立されている状態(接続中の状態)において(図5のステップC2でYES)、携帯電話機2との通信操作が行われると(ステップC3でYES)、その通信内容に応じた処理の実行に移る(ステップC12)。同様に、携帯電話機2側では、腕時計1との通信接続が確立されている状態(接続中の状態)において(図6のステップD2でYES)、腕時計1との通信操作が行われると(ステップD3でYES)、その通信内容に応じた処理の実行に移る(ステップD15)。
【0049】
また、腕時計1側では、携帯電話機2との接続中に(図5のステップC2でYES)、携帯電話機2との切断操作が行われたときには(ステップC4でYES)、その近距離通信を切断する処理の実行に移る(ステップC13)。また、その他の操作が行われたときには(ステップC5でYES)、その操作に応じた処理を行う(ステップC14)。同様に、携帯電話機2側では、腕時計1との接続中に(図6のステップD2でYES)、腕時計1との切断操作が行われた場合には(ステップD4でYES)、その近距離通信を切断する処理の実行に移る(ステップD16)。また、その他の操作が行われたときには(ステップD5でYES)、その操作に応じた処理を行う(ステップD17)。
【0050】
以上のように、第2実施形態において腕時計1は、近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報の発信を接続の準備として行い、発信した通知情報が携帯電話機2に受信されることによって当該携帯電話機2から発信された識別信号の送信要求に応答して、腕時計1の識別信号を発信したのち、携帯電話機2から近距離通信の接続許可近距離通信の接続許可信号が返信された場合に、この接続許可を条件に接続準備が完了したと判別するようにしたので、上述した第1実施形態と同様に、腕時計1と携帯電話機2とを近距離通信を介して接続する場合に、複数個の腕時計1をファッションや使用目的などに応じて使い分けたとしても、使用する腕時計を変える毎に携帯電話機2との接続を設定する特別な操作を行うことなくそれらの接続を確立することができ、実用効果が高くなるほか、腕時計1がその識別情報をいきなり発信することで他の通信端末装置が当該識別情報を不用意に取得するという事態を防ぐこともできる。
【0051】
腕時計1は、その移動を腕時計1の状態の変化として検出するようにしたので、例えば、ユーザが腕時計1を腕に装着するために手に取ったり、腕時計1を装着した状態で歩き始めたりするという自然な行動(腕時計1の移動)を行うだけで携帯電話機2との接続を確立することができる。
【0052】
携帯電話機2は、腕時計1の状態変化に応じて発信される腕時計1の当該識別情報を受信した場合に、識別情報テーブルDTを参照し、受信した識別情報が識別情報テーブルDTに登録されている識別情報に合致すれば、近距離通信を介して腕時計1との接続を確立するようにしたので、腕時計1と携帯電話機2とを近距離通信を介して接続する場合に、複数個の腕時計1をファッションや使用目的などに応じて使い分けたとしても、使用する腕時計1を変える毎に携帯電話機2との接続を設定する特別な操作を行うことなくそれらの接続を確立することができ、実用効果の高いものとなる。
【0053】
なお、上述した第2実施形態においても、腕時計1側の移動検出部17及び携帯電話機2側の移動検出部28は、加速度センサに限らず、速度センサ、歩行センサなどであってよく、また、GPS受信部によって取得した位置情報からその移動を検出したり、気圧の変化などによって検出したりするようにしてもよい。また、携帯電話機2は、その移動を携帯電話機2の状態の変化として検出した場合に腕時計1からの識別情報を受信するようにしたが(図6のステップD6、D7)、携帯電話機2は、その移動検出を条件とせずに、常時、腕時計1からの識別情報を受信可能としてもよい。
【0054】
(実施形態3)
以下、本発明の第3実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、腕時計1の状態の変化として、腕時計1の移動開始を検出するようにしたが、この第3実施形態においては、腕時計1の状態の変化として、腕時計1の人体への装着を検出したり、人体からの装着解除を検出したりするようにしたものである。この場合、人体への装着を検出した際には、携帯電話機2への近距離通信接続の準備として、腕時計1の識別情報を発信し、人体の装着解除を検出した際には、携帯電話機2への近距離通信の接続を切断するようにしている。
【0055】
ここで、第1・第3の両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第3実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。なお、第3実施形態において、携帯電話機2の構成は、上述した図1(2)と同様であり、携帯電話機2側に設けられている識別情報テーブルDTも図2と同様である。また、携帯電話機2の動作は、図4のフローチャートと同様である。
【0056】
図7は、第3実施形態において携帯電話機2と近距離通信を介して接続される腕時計1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この第3実施形態の腕時計1も図1(1)と基本的には同様の構成で、制御部11、電源部12、記憶部13、表示部14、操作部15、時計部16、近距離通信部18を有するほか、図1(1)で示した移動検出部17に代わって人体装着検出部19を有する構成となっている。人体装着検出部19は、腕時計1の状態の変化として、腕時計1が腕に装着されたかポケット内に入れられたかなど、腕時計1の人体への装着を検出するもので、例えば、温度センサ、接触センサ、脈拍センサ、機械的スイッチ、明度センサによって腕時計1が人体に装着されているかに関する情報(温度、接触の有無、機械的スイッチのオン/オフ、明度など)を検出するもので、この装着検出部19によって腕時計1の人体への装着が検出されると、制御部11は、近距離通信部18を駆動させ、近距離通信を介して携帯電話機2との接続準備を行ったのち、その接続準備が完了したか否かを判別し、接続準備の完了に応じて当該接続を確立するようにしている。
【0057】
図8は、第3実施形態において腕時計1の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、腕時計1において制御部11は、電源オン操作が行われると、初期化処理を実行したのち(図8のステップE1)、携帯電話機2と接続中であるか否かを調べたり(ステップE2)、何らかの操作が行われたかを調べたり(ステップE3、E4、E6)、人体からの装着解除が検出されたかを調べたりする(ステップE5)。この状態において、携帯電話機2との接続が未確立で携帯電話機2に接続中でなければ(ステップE2でNO)、装着検出部19によって人体への装着が検出されたかを調べ(ステップE7)、人体への装着が検出されなければ(ステップE7でNO)、上述のステップE2に戻る。
【0058】
また、腕時計1が腕に装着されたかポケット内に入れられたかなど、人体への装着が検出されたときには(ステップE7でYES)、記憶部13から自己の識別情報DMを読み出し、近距離通信接続の準備として、この識別情報を発信させる(ステップE8)。このように腕時計1の識別情報の発信を接続の準備として行い、発信した識別情報が携帯電話機2で受信されたのち、携帯電話機2から近距離通信の接続許可が返信されてきたときには(ステップE9でYES)、携帯電話機2との近距離通信を確立したのち(ステップE10)、上述のステップE2に戻る。
【0059】
このように腕時計1側では、携帯電話機2との通信接続が確立されている状態(接続中の状態)において(ステップE2でYES)、携帯電話機2との通信操作が行われると(ステップE3でYES)、その通信内容に応じた処理の実行に移る(ステップE11)。また、携帯電話機2との切断操作が行われると(ステップE4でYES)、その近距離通信を切断する処理の実行に移る(ステップE12)。また、装着検出部19によって人体への装着解除が検出されたときにも(ステップE5でYES)、その近距離通信を切断する処理の実行に移る(ステップE12)。また、その他の操作が行われたときには(ステップE6でYES)、その操作に応じた処理を行う(ステップE13)。
【0060】
以上のように、この第3実施形態において腕時計1は、腕時計1の状態の変化として、装着検出部19によって腕時計1の人体への装着を検出した際に、近距離通信接続の準備として、その識別情報を発信するようにしたので、腕時計1を人体に装着するという自然な動作を行うだけで、携帯電話機2との通信接続を確立させることができる。
【0061】
携帯電話機2との接続が確立されている状態で、装着検出部19によって腕時計1の人体への装着解除を検出した際に、その接続を切断するようにしたので、人体との装着を解除するという自然な動作を行うだけで携帯電話機2との接続を確実かつ容易に切断することができる。
【0062】
(実施形態4)
以下、本発明の第4実施形態について図9を参照して説明する。
なお、この第4実施形態では上述した第2実施形態と同様に、腕時計1は、近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報の発信を接続の準備として行うほかに、上述した第3実施形態と同様に、腕時計1の状態の変化として腕時計1の人体への装着を検出したり、人体からの装着解除を検出したりするようにしたものである。すなわち、第4実施形態は、腕時計1の状態の変化として腕時計1の人体への装着を検出した場合に、携帯電話機2との接続の準備として、近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報を発信するようにしたものである。
【0063】
ここで、第1・第4の両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第4実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。なお、第4実施形態において、腕時計1の構成は、上述した図7と同様であり、携帯電話機2の構成は、上述した図1(2)と同様である。また、携帯電話機2側に設けられている識別情報テーブルDTも図2と同様であり、携帯電話機2の動作は、図6のフローチャートと同様である。
【0064】
図9は、第4実施形態において腕時計1の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、腕時計1において制御部11は、電源オン操作が行われると、初期化処理を実行したのち(ステップF1)、携帯電話機2と接続中であるか否かを調べたり(ステップF2)、何らかの操作が行われたかを調べたり(ステップF3、F4、F6)、人体からの装着解除が検出されたかを調べたりする(ステップF5)。この状態において、携帯電話機2との接続が未確立で携帯電話機2に接続中でなければ(ステップF2でNO)、装着検出部19によって人体への装着が検出されたかを調べ(ステップF7)、人体への装着が検出されなければ(ステップF7でNO)、上述のステップF2に戻るが、人体への装着が検出されたときには(ステップF7でYES)、近距離通信接続の準備として、その通信接続が可能な状態にあることを示す接続可能通知情報を発信する(ステップF8)。
【0065】
このように腕時計1は、接続可能通知情報を発信したのちは(ステップF8)、それに応答して携帯電話機2から識別信号の送信要求を受信したかを調べ(ステップF9)、それを受信しなければ(ステップF9でNO)、上述のステップF2に戻るが、識別信号送信要求を受信したときには(ステップF9でYES)、記憶部13から自己の識別情報DMを読み出し、この識別情報を近距離通信部18から発信させる(ステップF10)。そして、この識別情報の発信に応答して携帯電話機2側からの接続許可信号を受信したかを調べ(ステップF11)、接続許可信号を受信しなければ(ステップF11でNO)、上述のステップF2に戻るが、携帯電話機2からの接続許可信号を受信したときには(ステップF11でYES)、携帯電話機2との近距離通信を確立したのち(ステップF12)、上述のステップF2に戻る。
【0066】
このように携帯電話機2との通信接続が確立されている状態(接続中の状態)において(ステップF2でYES)、携帯電話機2との通信操作が行われたときには(ステップF3でYES)、その通信内容に応じた処理の実行に移る(ステップF13)。また、携帯電話機2との切断操作が行われたときには(ステップF4でYES)、その近距離通信を切断する処理の実行に移る(ステップF14)。また、装着検出部19によって人体への装着解除が検出されたときにも(ステップF5でYES)、その近距離通信を切断する処理の実行に移る(ステップF14)。また、その他の操作が行われたときには(ステップF6でYES)、その操作に応じた処理を行う(ステップF15)。
【0067】
以上のように、この第4実施形態において腕時計1は、腕時計1の状態の変化として腕時計1の人体への装着を検出した場合に、携帯電話機2との接続の準備として、近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報の発信を行い、発信した通知情報が携帯電話機2に受信されることによって当該携帯電話機2から発信された識別信号の送信要求に応答して、腕時計1の識別信号を発信したのち、携帯電話機2から近距離通信の接続許可近距離通信の接続許可信号が返信された場合に、この接続許可を条件に接続準備が完了したと判別するようにしたので、腕時計1と携帯電話機2とを近距離通信を介して接続する場合に、複数個の腕時計1をファッションや使用目的などに応じて使い分けたとしても、使用する腕時計を変える毎に携帯電話機2との接続を設定する特別な操作を行うことなくそれらの接続を確立することができ、実用効果の高いものとなるほか、腕時計1がその識別情報をいきなり発信することによって不用意に他の通信端末装置に当該識別情報が取得されないようにすることもできる。
【0068】
携帯電話機2との接続が確立されている状態で、装着検出部19によって腕時計1の人体への装着解除を検出した際に、その接続を切断するようにしたので、人体との装着を解除するという自然な動作を行うだけで携帯電話機2との接続を確実かつ容易に切断することができる。
【0069】
なお、上述した各実施形態においては、携帯端末装置として腕時計1を示したが、近距離通信機能を備えた電子装身具、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、ゲーム機器それらの複合機などであってもよい。
また、上述した各実施形態においては、相手側の携帯端末装置として携帯電話機2を示したが、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、ゲーム機器、それらの複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 腕時計
2 携帯電話機
11、21 制御部
13、23 記憶部
14、24 表示部
15、25 操作部
17、28 移動検出部
18、29 近距離通信部
19 人体装着検出部
DT 識別情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置であって、
当該通信端末装置の状態の変化を検出する検出手段と、
この検出手段によって状態の変化が検出された場合に、前記近距離通信を介して他の通信端末装置との接続を準備する接続準備手段と、
この接続準備手段によって前記他の通信端末装置との接続準備が完了したか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって前記他の通信端末装置との接続準備が完了したと判別された場合に、当該接続を確立する接続手段と、
を具備したことを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記接続準備手段は、当該通信端末装置の識別情報の発信を接続の準備として行い、
前記判別手段は、前記接続準備手段によって発信された識別情報が前記他の通信端末装置に受信されることによって前記他の通信端末装置から前記近距離通信の接続許可が返信された場合に、この接続許可を条件に接続準備が完了したと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記接続準備手段は、前記通信機能による前記近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報の発信を接続の準備として行い、
前記判別手段は、前記接続準備手段によって発信された通知情報が前記他の通信端末装置に受信されることによって前記他の通信端末装置から発信された識別信号の送信要求に応答して当該通信端末装置の識別信号を発信した後、前記他の通信端末装置から前記近距離通信の接続許可が返信された場合に、この接続許可を条件に接続準備が完了したと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記検出手段は、当該通信端末装置の移動をその状態の変化として検出する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記検出手段は、当該通信端末装置の人体への装着をその状態の変化として検出する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記検出手段は、当該通信端末装置の人体への装着をその状態の変化として検出する以外に、当該通信端末装置の人体からの装着の解除をその状態の変化として検出し、
前記接続手段は、前記他の通信端末装置との接続が確立されている状態で、前記検出手段によって当該通信端末装置の人体からの装着が解除されたことが検出された場合に、前記確立されている接続を切断する、
ようにしたことを特徴とする請求項5記載の通信端末装置。
【請求項7】
近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置であって、
前記近距離通信を介して当該通信端末装置との接続を許可する他の通信端末装置に対応してその識別情報を記憶する記憶手段と、
前記他の通信端末装置の状態が変化に応じて前記他の通信端末装置から発信された情報を受信する受信手段と、
この受信手段によって受信された情報が前記他の通信端末装置の識別情報であれば、この識別情報と前記記憶手段に記憶されている識別情報とが合致するか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって両識別情報が合致すると判別された場合に、前記近距離通信を介して前記他の通信端末装置との接続を確立する接続手段と、
を具備したことを特徴とする通信端末装置。
【請求項8】
当該通信端末装置の移動を検出する移動検出手段を更に備え、
前記受信手段は、前記移動検出手段によって当該通信端末装置の移動が検出された場合に、前記他の通信端末装置の識別情報を受信する動作を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項7記載の通信端末装置。
【請求項9】
前記受信手段によって受信された情報が、前記通信機能による前記近距離通信が可能状態にあることを示す通知情報であれば、前記他の通信端末装置に対してその識別情報の送信を要求する送信要求手段を更に備え、
前記判別手段は、前記送信要求手段による送信要求に対して前記他の通信端末装置から発信された識別情報を受信した場合に、この受信した識別情報と前記記憶手段に記憶されている識別情報とが合致するか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項7記載の通信端末装置。
【請求項10】
コンピュータに対して、
近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置で実行されるプログラムであって、
当該通信端末装置の状態の変化を検出する機能と、
当該通信端末装置の状態の変化が検出された場合に、前記近距離通信を介して他の通信端末装置との接続を準備する機能と、
前記他の通信端末装置との接続準備が完了したか否かを判別する機能と、
前記他の通信端末装置との接続準備が完了したと判別された場合に、当該接続を確立する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータに対して、
近距離通信を行う通信機能を備えた通信端末装置で実行されるプログラムであって、
当該通信端末装置との接続を許可する他の通信端末装置に対応してその識別情報を記憶管理する機能と、
前記他の通信端末装置の状態が変化に応じて前記他の通信端末装置から発信された情報を受信する機能と、
前記受信された情報が前記他の通信端末装置の識別情報であれば、この識別情報と前記記憶手段に記憶されている識別情報とが合致するか否かを判別する機能と、
前記両識別情報が合致すると判別された場合に、前記近距離通信を介して前記他の通信端末装置との接続を確立する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−258561(P2010−258561A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103846(P2009−103846)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】