説明

通信端末装置

【課題】通信帯域を有効利用する装置を提供する。
【解決手段】アドホックによりデータ送信を行う通信システムにおいて、パケットを受信する受信部と、パケットを送信する送信部と、タイミング信号を生成する信号生成部と、他の装置と送受信するパケットを処理する処理部とを備え、自装置が送信データを有するとき、送信部はデータを送信する送信期間の割り当てを希望する無線端末を確認する希望調査パケットを送信し、受信部は希望調査パケットに対する割当要求パケットを受信し、処理部は割当要求パケットに基づいて、自装置と送信期間の割り当てを要求する他の無線端末とに送信期間を割り当て、他の無線端末に送信期間割当結果を通知する結果通達パケットを作成し、送信部は結果通達パケットを送信し、信号生成部は時間情報に基づくタイミング信号を生成し、送信部はタイミング信号に同期して自装置に割り当てた送信期間にデータを送信する、通信装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
通信ネットワークにおける通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アドホックネットワーク(ad hoc network)において、複数の無線通信端末装置(以下、ノードともいう)による通信多重を行う場合、Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance(CSMA/CA、搬送波感知多重アクセス/衝突回避)方式を使用することが多い。無線通信端末装置の数が少ない場合は、通信の衝突の発生の確率が低く、制御が容易であり、装置の構成が簡便となるからである。
【0003】
アドホックネットワークでは、アクセスポイントを介在させなくとも、複数の無線通信端末装置間で無線信号を送受信することで無線通信を行うことができる。アドホックネットワーク内では、無線通信端末装置の移動にともない、無線通信端末装置が孤立することもある。
【0004】
CSMA/CA方式は、同一の通信チャネルにおいて複数の無線通信端末装置が通信する際の競合を回避する方式である。各無線通信端末装置は、通信チャネルが一定時間以上継続して空いていることを確認し、データを送信する。最後の通信からデータを送信するまでの時間は、所定時間にランダムな長さの時間を加えた時間である。これにより、直前の通信の後、一定時間後に複数の無線通信端末装置が同時に送信して信号が衝突することを防止する。CSMA/CA方式は、非同期通信方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−295400号公報
【特許文献2】特開2007−67654号公報
【特許文献3】特開2002−77978号公報
【特許文献4】特開2002−77979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線通信端末装置の数が少ないアドホックネットワークでは、通信の衝突発生の確率が低い。しかし、CSMA/CA方式を使用するアドホックネットワークにおいて、無線通信端末装置の数が増えた場合、通信の衝突発生の頻度が増大する。通信の衝突が発生すると、無線通信端末装置はデータを再送信することが必要となる。この結果、アドホックネットワークにおける通信帯域の利用効率が低下する。
【0007】
本発明は、通信帯域を有効利用する無線通信端末装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の通信端末装置は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
【0009】
即ち、第1の態様は、
複数の通信端末装置がアドホックによりデータ送信を行う無線通信システムにおける通信端末装置であって、
パケットを受信する受信部と、パケットを送信する送信部と、タイミング信号を生成する信号生成部と、他の装置と送受信するパケットを処理する処理部と、を備え、
自装置が送信データを有するとき、
前記送信部は、データを送信する送信期間の割り当てを希望する無線端末装置を確認する第1希望調査パケットを送信し、
前記受信部は、前記第1希望調査パケットに対する第1割り当て要求パケットを受信し、
前記処理部は、前記第1割り当て要求パケットに基づいて、自装置と前記送信期間の割り当てを要求する他の無線端末装置とに、送信期間を割り当て、前記他の無線端末装置に第1送信期間割り当て結果を通知する第1結果通達パケットを作成し、
前記送信部は、前記第1結果通達パケットを送信し、
前記信号生成部は、時間情報に基づくタイミング信号を生成し、
前記送信部は、前記タイミング信号に同期して、自装置に割り当てた前記送信期間にデータを送信する、
通信端末装置とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の実施形態によれば、通信帯域を有効利用する無線通信端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、通信システムの概略構成例を示す図である。
【図2】図2は、ノードの機能ブロック図を示す図である。
【図3】図3は、タイムスロット希望調査パケットの送信の例を示す図である。
【図4】図4は、タイムスロット希望調査パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【図5】図5は、タイムスロット割り当て要求パケットの送信を示す図である。
【図6】図6は、タイムスロット割り当て要求パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【図7】図7は、タイムスロット割り当て要求パケットの送信を示す図である。
【図8】図8は、タイムスロット割り当て要求パケットの送信のタイミングを示す図である。
【図9】図9は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの送信の例を示す図である。
【図10】図10は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【図11】図11は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの例を示す図である。
【図12】図12は、タイムスロットが各ノードに割り当てられている状態を示す図である。
【図13】図13は、タイムスロットが割り当てられたノードが通信する状態を示す図である。
【図14】図14は、TDMAモードにおけるタイムスロット割り当て希望調査パケットの送信の例を示す図である。
【図15】図15は、TDMAモードにおけるタイムスロット割り当て希望調査パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【図16】図16は、タイムスロット割り当て要求パケットが同時に送信された場合の例を示す図である。
【図17】図17は、タイムスロット割り当て要求パケットが同時に送信された場合の送信タイミングの例を示す図である。
【図18】図18は、新たなタイムスロット割り当て結果通達パケットが送信されない状態の例を示す図である。
【図19】図19は、新たなタイムスロット割り当て結果通達パケットが送信されない状態のタイミングの例を示す図である。
【図20】図20は、タイムスロット割り当て要求パケットが再送信された場合の例を示す図である。
【図21】図21は、タイムスロット割り当て要求パケットが再送信された場合の送信タイミングの例を示す図である。
【図22】図22は、タイムスロット割り当て要求パケットが再送信された場合の例を示す図である。
【図23】図23は、タイムスロット割り当て要求パケットが再送信された場合の送信タイミングの例を示す図である。
【図24】図24は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの送信を示す図である。
【図25】図25は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの送信タイミングを示す図である。
【図26】図26は、タイムスロット割り当て要求パケットが、再度、同時に送信された場合の例を示す図である。
【図27】図27は、タイムスロット割り当て要求パケットが、再度、同時に送信された場合の送信タイミングの例を示す図である。
【図28】図28は、ノードの全体のフローチャート(1)を示す図である。
【図29】図29は、ノードの全体のフローチャート(2)を示す図である。
【図30】図30は、ノードの全体のフローチャート(3)を示す図である。
【図31】図31は、ノードの全体のフローチャート(4)を示す図である。
【図32】図32は、ノードの全体のフローチャート(5)を示す図である。
【図33】図33は、ノードの全体のフローチャート(6)を示す図である。
【図34】図34は、ノードの全体のフローチャート(7)を示す図である。
【図35】図35は、ノードの全体のフローチャート(8)を示す図である。
【図36】図36は、ノードの全体のフローチャート(9)を示す図である。
【図37】図37は、ノードの全体のフローチャート(10)を示す図である。
【図38】図38は、ノードの全体のフローチャート(11)を示す図である。
【図39】図39は、ノードの全体のフローチャート(12)を示す図である。
【図40】図40は、レイヤの連携を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、開示の実施形態の構成に限定されない。
【0013】
〔実施形態〕
(時間分割多重接続方式)
時間分割多重接続(Time division multiple Access、TDMA)方式は、複数の無線
通信端末装置が共通の通信経路を介して接続されるシステムにおいて、一定の通信時間毎に区切られた送信可能時間(以下、タイムスロットともいう)を各無線通信端末装置に割り当てを行うことで、無線通信端末装置毎に送信機会を与えられる方式である。TDMA方式では、各無線通信端末装置は、一定時間毎にデータを送信する機会を与えられる。
【0014】
TDMA方式では、送信データを有するノードに対してタイムスロットを割り当てることで、CSMA/CA方式(他の送信信号と衝突が発生し得る送信形式)と比較して、通信帯域の利用効率が高くなる。
【0015】
(構成)
図1は、本実施形態の通信システムの概略構成例を示す図である。本実施形態の通信シ
ステムは、5台の無線通信端末装置(ノード、200A−200E)を有する。それぞれの無線端末装置は、少なくとも1つの無線通信端末装置と通信できる位置に存在する。ここで、5台の無線通信端末装置としたのは、例示であって、5台に限定されるものではない。また、本実施形態の通信システムの各無線通信端末装置は、固定的に存在するものではなく、加入や脱退により、台数が増減することが起こり得る。
【0016】
図2は、本実施形態の無線通信端末装置(ノード、Node)の機能ブロック図を示す図である。
【0017】
無線通信端末装置200は、Global Positioning System(GPS)用アンテナ262
、GPSレシーバ部202、フレームタイミング(Frame Timing)部204、無線送信部(TxRF)212、デジタルアナログ(Digital/Analog、D/A)変換部214、変調用Digital Signal Processor(DSP)部216、送信側外部インタフェース(Interface、IF)部218、無線受信部(RxRF)232、アナログデジタル(Analog/Digital、A/D)変換部234、復調用DSP部236、受信側外部インタフェース238、
送受信用アンテナ264、スイッチ(Switch、SW)部252、Central Processing Unit(CPU)222、メモリ224、記憶装置226を備える。
【0018】
変調用DSP部216、送信側外部IF218、復調用DSP236、受信側外部IF238、CPU222、記憶装置226は、バスに接続される。
【0019】
GPSレシーバ部202は、GPSアンテナ262を経由して、GPS衛星からのクロック信号を受信する。フレームタイミング部204は、GPSレシーバ部202が受信したクロック信号に基づき、正確な時間情報を取得する。正確な時間情報は、GPSシステムを使用せずに、他の方法によって取得されてもよい。フレームタイミング部204は、信号作成部として機能しうる。
【0020】
フレームタイミング部204は、正確な時間情報を使用して、所定時間毎に区切られたタイムスロットに同期するためのタイミング信号を生成し、無線送信部212に送信する。タイミング信号は、TDMAモードでデータ等を送信する場合、CSMA/CAモードでタイムスロット割り当て要求パケットを主ノードに割り当てられたタイムスロットで送信する場合等に、使用される。
【0021】
無線送信部212、デジタルアナログ変換部214、変調用DSP部216、送信側外部インタフェース218は、送信部として機能する。
【0022】
変調用DSP部216は、送信側外部インタフェース218から入力されるデータや、CPU222で演算されたデータを、送信デジタル信号に変調する。デジタルアナログ変換部214は、変調用DSP部216で変調された送信デジタル信号を、送信アナログ信号に変換する。無線送信部212は、送信アナログ信号をベースバンド周波数から無線周波数に変調する。また、無線送信部212は、必要に応じて、フレームタイミング部204からのタイミング信号により、信号を送信するタイミングを決定する。変調された送信アナログ信号は、スイッチ部252、送受信アンテナ264を経由して送信される。
【0023】
無線受信部232、アナログデジタル変換部234、復調用DSP部236、受信側外部インタフェース238は、受信部として機能する。
【0024】
送受信アンテナで受信した信号は、スイッチ部252を経由して、無線受信部232に入力される。無線受信部232は、受信した信号を無線周波数からベースバンド周波数に変調する。アナログデジタル変換部234は、無線受信部232で変調された受信アナロ
グ信号を受信デジタル信号に変換する。復調用DSP部236は、受信アナログ信号を復調する。復調されたデータは、受信用外部インタフェース238や、CPU222に入力されて処理される。
【0025】
CPU222は、各機能部を制御する制御部および各パケットの情報を処理する演算部として機能しうる。CPU222は、タイムスロット割り当て希望調査パケット、タイムスロット割り当て要求パケット、タイムスロット割り当て結果通達パケット、バックオフ回数の閾値超え通達パケットその他のパケットを生成することができる。CPU222は、受信したタイムスロット割り当て要求パケットに基づいて、タイムスロットを各ノードに割り当てることができる。CPU222は、パケットを作成する作成部として機能しうる。CPU222は、各種タイマとして機能しうる。
【0026】
記憶装置226は、送受信データ、各種タイマの待機時間(所定時間)、バックオフ処理回数、バックオフ処理回数の閾値等を格納することができる。
【0027】
(動作例)
〈全体の動作〉
本実施形態の全体の動作概略を説明する。
【0028】
主ノードとして動作するノードが、CSMA/CAモードにて、周辺のノードに対して、タイムスロット希望調査を行う。タイムスロットは、Time Division Multiple Access
(TDMA、時間分割多重接続)モードで使用する、ノード毎に割り当てられる送信可能時間(送信期間ともいう)である。周辺のノードは、タイムスロットの割り当てを希望する場合、タイムスロット割り当て要求をする。主ノードは、タイムスロット割り当て要求に基づいて、TDMAモードで使用するタイムスロットを割り当てる。主ノードは、タイムスロット割り当て結果を周辺のノードに通知する。タイムスロットを割り当てられた各ノードは、TDMAモードにて、割り当てに従って通信を行う。
【0029】
図3は、タイムスロット希望調査パケットの送信の例を示す図である。
【0030】
図4は、タイムスロット希望調査パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【0031】
他のノードに対する送信データを有するノード200Aは、ノード200Aの周辺のノードに対し、CSMA/CAモードにて、ある時間T01において、タイムスロット(Time Slot)割り当て希望調査パケットを送信する。尚、T01は、所定の周期でおとずれ
る所定のタイミング、ノード200Aにより選択されたいずれかのタイミングとすることもできる。このとき、衝突なく当該パケットが送信されると、ノード200Aは主ノードとして動作する。他のノードは、それぞれ、ノード200Aからのタイムスロット希望調査パケットを受信する。
【0032】
尚、ノード200Aは、別の条件でタイムスロット割り当て希望調査パケットを送信するようにすることもできる。例えば、所定の時刻になったことを検出した場合、周囲に無線通信可能な所定数のノードを検出した場合等である。
【0033】
図5は、タイムスロット割り当て要求パケットの送信の例を示す図である。
【0034】
図6は、タイムスロット割り当て要求パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【0035】
ノード200Bは、他のノードに対して送信するデータを有しているとする。ノード2
00Aからタイムスロット割り当て希望調査パケットを受信したノード200Bは、CSMA/CAモードにて、ある時間T03において、タイムスロット割り当て要求パケットを、ノード200Aに対して送信する。ノード200Aは、タイムスロット割り当て要求パケットを、ノード200Bから受信する。この時間T03において、他のノードからパケットが送信されていないので、ノード200Aは、ノードBからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信することができる。
【0036】
図7は、タイムスロット割り当て要求パケットの送信を示す図である。
【0037】
図8は、タイムスロット割り当て要求パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【0038】
ノード200Bと同様に、ノード200Cも、他のノードに対すて送信するデータを有しているとする。ノード200Aからタイムスロット割り当て希望調査パケットを受信したノード200Cは、CSMA/CAモードにて、ある時間T04において、タイムスロット割り当て要求パケットを、ノード200Aに対して送信する。ノード200Aは、タイムスロット割り当て要求パケットを、ノード200Cから受信する。この時間T04において、他のノードからパケットが送信されていないので、ノード200Aは、ノードBからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信することができる。
【0039】
ノード200D、ノード200Eは、他のノードに対する送信データを有していないとする。このとき、ノード200D、ノード200Eは、ノード200Aからのタイムスロット割り当て希望調査パケットに対するタイムスロット割り当て要求パケットを送信しない。しかし、他の例では、将来的なデータ送信のために、タイムスロット割り当て要求パケットを送信するようにすることもできる。
【0040】
図9は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの送信の例を示す図である。
【0041】
図10は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【0042】
ノード200Aは、時間T01において、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信した後、所定時間、他のノードからタイムスロット割り当て要求パケットを受信するために待機する。所定時間経過後、ノード200Aは、待機中に受信した、タイムスロット割り当て要求パケットに基づいて、タイムスロットの割り当てを行う。主ノードは、自ノードに対してもタイムスロットの割り当てを行う。ここでは、ノード200A、ノード200B、および、ノード200Cの3台のノードにタイムスロットが、割り当てられる。タイムスロットの割り当ての結果は、記憶装置226に格納することができる。
【0043】
ノード200Aは、タイムスロットの割り当てをすると、タイムスロット割り当て結果通達パケットを、他のノードに対して送信する。
【0044】
図11は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの例を示す図である。
【0045】
タイムスロット割り当て結果通達パケットは、サイクル数、タイムスロットを割り当てられたノード名を含む。サイクル数は、一連のタイムスロットを共有するノードの台数を示す情報である。ノード名は、タイムスロットを割り当てられた順番に記載される。図11の例では、サイクル数は、ノード200A、ノード200B、ノード200Cの3台で共有されるので、「3」である。また、ノード名は、ノード200A、ノード200B、ノード200Cの順に、タイムスロットが割り当てられたので、第1ノードとして「A」
、第2ノードとして「B」、第3ノードとして「C」と順に記載される。尚、サイクル数(割り当てにより送信に利用可能なタイムスロットの周期に関する情報の1例)を、自局
を含めたタイムスロット割り当て要求パケットを送信したノードの数より大きい値とすることもできる。未割り当てのスロットが生ずるが、データが送信されない期間が確保され、その期間においてCSMA/CAに従った送信処理を行うことが可能となる。特に後から移動してきたノードは、その期間を利用してタイムスロットの割り当てを要求したり、また、別のノードとの間でCSMA/CAにより無線通信を行ったりすることもできる。
【0046】
また、自局を含め、タイムスロット割り当て要求パケットを送信したノードの総数が所定数(例えば、1)より少ない場合は、TDMA方式に移行せず、CSMA/CA方式によりそのまま通信を行うようにすることもできる。衝突の可能性が低いからである。移行しない旨は、タイムスロット割り当て結果通達パケットを送信しないこと又はタイムスロット割り当て結果通達パケットにタイムスロット割り当ては行わず、CSMA/CAで動作すべきことを通知する信号を含めることで各ノードに通知することもできる。
【0047】
図12は、タイムスロットが各ノードに割り当てられている状態を示す図である。
【0048】
図12に示すように、ノード200A、ノード200B、ノード200Cが、通信に参加することにより、サイクリックに、3台のノードに対して、タイムスロットが割り当てられる。
【0049】
図13は、タイムスロットが割り当てられたノードが通信する状態を示す図である。
【0050】
タイムスロット割り当て結果通達パケットが送信されると、そのパケットの受信により、通信する各ノードは、CSMA/CAモードから、TDMAモードに遷移する。
【0051】
ノード200A、ノード200B、ノード200Cは、それぞれ、割り当てられたタイムスロットで、他のノードに対してデータを送信する。タイムスロットが割り当てられていない、ノードD、および、ノードEは、原則として、データを送信することはできない。
【0052】
図14は、TDMAモードにおけるタイムスロット割り当て希望調査パケットの送信の例を示す図である。
【0053】
図15は、TDMAモードにおけるタイムスロット割り当て希望調査パケットの送信のタイミングの例を示す図である。
【0054】
TDMAモードでノード200B、ノード200Cと通信中の、主ノードであるノード200Aは、自身のタイムスロットを使用して、周辺のノードに対して、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信する。ノード200A、ノード200B、ノード200C以外の周辺のノードは、通信状況をモニタすることにより、ノード200A、ノード200B、ノード200CがTDMAモードで通信していることを認識することができる。また、タイムスロット割り当て希望調査パケットがノード200Aに割り当てられたタイムスロットで送信されていることを、周辺のノードは認識することができる。
【0055】
図16は、タイムスロット割り当て要求パケットが同時に送信された場合の例を示す図である。
【0056】
図17は、タイムスロット割り当て要求パケットが同時に送信された場合の送信タイミングの例を示す図である。
【0057】
ノード200Aからのタイムスロット割り当て希望調査パケットに対して、新たにタイムスロットの割り当てを希望するノード200D、および、ノード200Eは、ノード200Aに対して、それぞれ、ノード200Aに割り当てられたタイムスロットにおいて、タイムスロット割り当て要求パケットを送信する。このとき、ノード200D、および、ノード200Eから、同時にタイムスロット割り当て要求パケットが送信されると、ノード200Aは、どちらのタイムスロット割り当て要求パケットも受信することができない。
【0058】
この場合、ノード200Aは、所定時間待機してもタイムスロット割り当て要求パケットを受信しないので、新たなタイムスロット割り当て結果通達パケットを送信しない。
【0059】
図18は、新たなタイムスロット割り当て結果通達パケットが送信されない状態の例を示す図である。
【0060】
図19は、新たなタイムスロット割り当て結果通達パケットが送信されない状態のタイミングの例を示す図である。
【0061】
ノード200Aは、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信してから所定時間経過後まで、タイムスロット割り当て要求パケットを受信できなかったので、新たなタイムスロット割り当て結果通達パケットを送信しない。
【0062】
タイムスロット割り当て結果通達パケットを受信しなかったノード200Dは、送信したタイムスロット割り当て要求パケットがノード200Aに受信されなかったことを認識する。ノードEも、同様に、送信したタイムスロット割り当て要求パケットがノード200Aに受信されなかったことを認識する。
【0063】
主ノードであるノード200Aは、所定時間経過後、再び、自身のタイムスロットを使用して、周辺のノードに対して、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信する。主ノードは、所定時間毎または所定タイムスロット毎に、自身のタイムスロットを使用して、周辺のノードに対して、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信することができる。
【0064】
図20は、タイムスロット割り当て要求パケットが再送信された場合の例を示す図である。
【0065】
図21は、タイムスロット割り当て要求パケットが再送信された場合の送信タイミングの例を示す図である。
【0066】
ノード200Dは、再び、ノード200Aからのタイムスロット割り当て希望調査パケットを受信したとする。
【0067】
ノード200Dは、所定時間にランダム時間を加算した時間後(例えば、時間T41)のノード200Aに割り当てられたタイムスロットにて、再びタイムスロット割り当て要求パケットを、ノード200Aに対して、送信する。このタイムスロット割り当て要求パケットは他のパケットと衝突していないので、ノード200Aは、ノード200Dからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信することができる。
【0068】
図22は、タイムスロット割り当て要求パケットが再送信された例を示す図である。
【0069】
図23は、タイムスロット割り当て要求パケットが再送信された場合の送信タイミングの例を示す図である。
【0070】
ノード200Eも、ノード200Dと同様に、再び、ノード200Aからのタイムスロット割り当て希望調査パケットを受信したとする。
【0071】
ノード200Eも、所定時間にランダム時間を加算した時間後(例えば、時間T44)のノード200Aに割り当てられたタイムスロットにて、再びタイムスロット割り当て要求パケットを、ノード200Aに対して、送信する。このタイムスロット割り当て要求パケットも他のパケットと衝突していないので、ノード200Aは、ノード200Dからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信することができる。
【0072】
ノード200Aは、ノード200Dおよびノード200Eが新たにタイムスロットの割り当てを希望していることを認識することができる。
【0073】
ノード200Aは、タイムスロット割り当て要求パケットに基づいて、タイムスロットの割り当てを行う。主ノードは、自ノードに対しても割り当てを行う。また、既にTDMAモードで通信中のノードに対してもタイムスロットを割り当てる。ここでは、ノード200A、ノード200B、ノード200C、ノード200Dおよびノード200Eの5台にタイムスロットが、割り当てられる。但し、現在、通信を行っていないノードに対しては、タイムスロットを割り当てないとすることもできる。
【0074】
図24は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの送信を示す図である。
【0075】
図25は、タイムスロット割り当て結果通達パケットの送信タイミングを示す図である。
【0076】
ここでは、サイクル数は、ノード200A、ノード200B、ノード200C、ノード200D、ノード200Eの5台で共有されるので、「5」である。また、ノード名は、ノード200A、ノード200B、ノード200C、ノード200D、ノード200Eの順に、タイムスロットが割り当てられたので、第1ノードとして「A」、第2ノードとして「B」、第3ノードとして「C」、第4ノードとして「D」、第5ノードとして「E」と順に記載される。
【0077】
図26は、タイムスロット割り当て要求パケットが、再度、同時に送信された場合の例を示す図である。
【0078】
図27は、タイムスロット割り当て要求パケットが、再度、同時に送信された場合の送信タイミングの例を示す図である。
【0079】
ノード200D、および、ノード200Eが、ノード200Aのタイムスロットにおいて、再度、タイムスロット割り当て要求パケットを送信するとき、ノード200D、および、ノード200Eから、再度、同時にタイムスロット割り当て要求パケットが送信されると、ノード200Aは、どちらのタイムスロット割り当て要求パケットも受信することができない。
【0080】
すると、図18の例と同様に、主ノードであるノードAは、新たなタイムスロット割り当て結果通達パケットを送信しない。
【0081】
タイムスロット割り当て結果通達パケットを受信しなかったノード200D、および、
ノードEは、送信したタイムスロット割り当て要求パケットがノード200Aに受信されなかったことを認識する。
【0082】
このように、タイムスロット割り当て要求パケットを送信しているにもかかわらず、新たなタイムスロット割り当て結果通達パケットを受信できないことが所定回数続いた場合、ノード200D、および、ノード200Eは、ノード200Aに対して、TDMAモードからCSMA/CAモードへ遷移することを要求するパケット(バックオフ回数の閾値超え通知パケット)を送信する。
【0083】
当該パケットを受信したノード200Aは、周辺のノードに対し、TDMAモードからCSMA/CAモードへ遷移することを通達する。主ノード、および、当該主ノードとTDMAモードで通信する周辺のノードは、TDMAモードからCSMA/CAモードに遷移する。
【0084】
これにより、主ノードは、CSMA/CAモードで、新たに、周辺のノードに対し、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信する。
【0085】
〈ノードの動作〉
図28乃至図39は、本実施形態の個々の無線通信端末装置(ノード)の動作フローチャートを示す図である。
【0086】
ノード200の初期状態は、CSMA/CAモードである。タイムスロットが割り当てられていないため、TDMAモードでは通信できないからである。
【0087】
ノード200は、発信するデータがあるか否かを確認する(図28:S1002)。発信するデータが無い場合(S1002;NO)、ノード200は、発信するデータが発生するまで、待機する。
【0088】
発信するデータがある場合(S1002;YES)、ノード200は、既にタイムスロット割り当て希望調査パケットを受信しているかを確認する(図28:S1004)。
【0089】
タイムスロット割り当て希望調査パケットを受信していない場合(S1004;NO)、ノード200は、タイムスロット割り当て希望調査パケットを周辺のノードに対して送信する(図28:S1006)。タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信するノードを、主ノードと呼ぶ。
【0090】
ノード200は、希望調査タイマを起動する(図29:S1008)。希望調査タイマは、タイムスロット割り当て希望調査パケットに対する応答を待機する時間を計測するタイマである。タイムスロット割り当て希望調査パケットに対する応答を待機する時間は、あらかじめ設定され得る。
【0091】
ノード200は、希望調査タイマが所定の時間に達したか否かを判断する(図29:S1010)。
【0092】
希望調査タイマが所定の時間に達していない場合(S1010;NO)、ノード200は、他ノードからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信したか否かを確認する(図29:S1012)。
【0093】
他ノードからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信した場合(S1012;YES)、ノード200は、当該他ノードを、タイムスロット割り当てを希望するノードと
して、記憶装置226に記憶し(図29:S1014)、ステップS1010に戻る。
【0094】
他ノードからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信していない場合(S1012;NO)、ステップS1010に戻る。
【0095】
希望調査タイマが所定の時間に達した場合(S1010;YES)、ノード200はタイムスロット割り当て希望パケットを受信したか否かを確認する(図30:S1018)。
【0096】
タイムスロット割り当て希望パケットを受信した場合(1018;YES)、ノード200は、記憶装置226に記憶したタイムスロットの割り当てを希望するノードの情報を記憶装置226から取り出し、タイムスロットの割り当てを行う。ノード200は、周辺のノードに対し、タイムスロット割り当て結果通達パケットを送信する(図30:S1020)。タイムスロット割り当て希望パケットを受信しなかった場合(1018;YES)、ステップS1002にもどる。
【0097】
主ノードであるノード200は、自装置をCSMA/CAモードからTDMAモードに遷移させる(図30:S1022)。これにより、主ノードは、タイムスロットを割り当てたノードと、TDMAモードで通信することができる。
【0098】
ノード200は、自装置に割り当てたタイムスロットにおいてデータを送信する(図30:S1024)。
【0099】
自装置が主ノードである場合(図31:S1026;YES)、ノード200は、後述のバックオフ回数の閾値超え通知パケットを受信したか否かを確認する。
【0100】
バックオフ回数の閾値超え通知パケットを受信していない場合(図31:S1028;NO)、割り当てたタイムスロットによる通信と、現実の通信状況とが一致しているか否かを確認する(図31:S1030)。主ノードは、通信状況をモニタすることで、通信を取りやめた脱退ノードが存在するか否かを確認することができる。主ノードは、脱退ノードが存在する場合は、脱退ノードを除いて改めてタイムスロットを割り当てることで通信帯域を有効利用することができる。
【0101】
割り当てたタイムスロットによる通信と現実の通信状況とが一致している場合(図31:1028;YES)、ノード200は、自装置のタイムスロットにおいて、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信する(図31:S1032)。主ノードは、このタイムスロット割り当て希望調査パケットの送信を、周期的に主ノードに割り当てられたタイムスロットにおいて毎回行うのではなく、所定タイムスロット毎に行うことができる。また、主ノードは、所定時間毎に、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信してもよい。
【0102】
ノード200は、希望調査タイマを起動する(図32:S1034)。希望調査タイマは、タイムスロット割り当て希望調査パケットに対する応答を待機する時間を計測するタイマである。タイムスロット割り当て希望調査パケットに対する応答を待機する時間は、あらかじめ設定され得る。
【0103】
ノード200は、希望調査タイマが所定の時間に達したか否かを判断する(図32:S1036)。
【0104】
希望調査タイマが所定の時間に達していない場合(S1036;NO)、ノード200
は、他のノードからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信したか否かを確認する(図32:S1038)。
【0105】
他のノードからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信した場合(S1038;YES)、ノード200は、当該他のノードを、タイムスロット割り当てを希望するノードとして、記憶装置226に記憶し(図32:S1040)、ステップS1036に戻る。
【0106】
他ノードからのタイムスロット割り当て要求パケットを受信していない場合(S1038;NO)、ステップS1036に戻る。
【0107】
希望調査タイマが所定の時間に達した場合(S1036;YES)、ノード200はタイムスロット割り当て希望パケットを受信したか否かを確認する(図33:S1050)。
【0108】
タイムスロット割り当て希望パケットを受信した場合(図33:S1050;YES)、ノード200は、タイムスロットの割り当てを希望するノードの情報、および、現在タイムスロットを割り当てているノードの情報を記憶装置226から取り出し、取り出した各ノードに、新たにタイムスロットの割り当てを行う。ノード200は、周辺のノードに対し、タイムスロット割り当て結果通達パケットを送信する(図33:S1052)。タイムスロット割り当て希望パケットを受信しなかった場合(S1050;NO)、ステップS1026に戻る。
【0109】
ノード200は、新たに自装置に割り当てられたタイムスロットにてデータ送信をする(図33:S1054)。
【0110】
以上が、ノードが、主に、主ノードとして動作するときの動作フローである。
【0111】
次に、ノードが、主に、主ノード以外のノードとして動作するときの動作フローを説明する。
【0112】
図28に戻って、発信データを有しており(S1002;YES)、タイムスロット割り当て希望調査パケットを受信している場合(S1004;YES)、ノード200は、タイムスロット割り当て希望調査パケットがTDMAモードで送信されたか否かを判断する(図34:S1100)。ノード200は、周辺の通信状況をモニタすることで、TDMAモードで通信が行われているか、CSMA/CAモードで通信が行われているかを判断することができる。TDMAモードでは、タイムスロットに従って通信が行われるからである。
【0113】
タイムスロット割り当て希望調査パケットがTDMAモードで送信されていない場合(S1100;NO)、ノード200は、タイムスロット割り当て要求パケットを、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信した主ノードに、送信する(図34:S1102)。タイムスロット割り当て要求パケットを送信したノード200は、結果通達タイマを起動する(図34:S1104)。タイムスロット割り当て要求パケットに対する応答(タイムスロット割り当て結果通達パケット)を待機する時間は、あらかじめ設定され得る。
【0114】
ノード200は、結果通達タイマが所定の時間に達したか否かを判断する(図35:S1106)。
【0115】
結果通達タイマが所定の時間に達していない場合(S1106;NO)、ノード200は、主ノードから、自装置にタイムスロットが割り当てられたことを通知するタイムスロット割り当て結果通達パケットを受信したか否かを確認する(図35:S1108)。
【0116】
ノード200は、自装置にタイムスロットが割り当てられたことを通知するタイムスロット割り当て結果通達パケットを受信した場合(S1108;YES)、CSMA/CAモードからTDMAモードに遷移する(図35:S1110)。発信するデータを有するノード200が、割り当てられたタイムスロットを使用して、TDMAモードで通信するためである。
【0117】
ノード200は、自装置に割り当てられたタイムスロットにおいてデータを送信する(図35:S1112)。
【0118】
自装置が主ノードでない場合(図31:S1026;NO)、ノード200は、自装置が第2ノードであるか否かを判断する(図36:S1202)。自装置が第2ノードであるか否かは、受信したタイムスロット割り当て結果通達パケットにより判断することができる。タイムスロット割り当て結果通達パケットにおいて自装置が主ノードに次いで第2番目にタイムスロットを割り当てられている場合、ノード200は、自装置が第2ノードであると判断できる。自装置が第2ノードであると判断した場合(S1202;YES)、ノード200は、通信をしながら、主ノードの通信状況をモニタする(図36:S1204)。自装置が第2ノードではないと判断した場合(S1202;NO)、ステップS1026に戻る。
【0119】
主ノードの通信が途絶えたと第2ノードが判断した場合(図36:S1206)、当該第2ノードが主ノードにとって代わる(図36:S1208)。
【0120】
ノード200は、主ノードとして、改めてタイムスロット割り当てを行うため、TDMAモードからCSMA/CAモードに遷移することを周囲のノードに通達する(図36:S1210)。ノード200は、TDMAモードからCSMA/CAモードに遷移する。また、上記の通達を受信した周囲のノードも、同様に、CSMA/CAモードに遷移する。
【0121】
また、図31に戻って、主ノードであるノード200がバックオフ回数の閾値越え通知パケットを受信した場合(図31:S1028;YES)、または、主ノードであるノード200が既存の割り当てノードの通信状況とパケット割り当て結果通達パケットとが一致していないことを認識した場合(図31:S1030;NO)、改めてタイムスロット割り当てを行うため、TDMAモードからCSMA/CAモードに遷移することを周囲のノードに通達する(図36:S1210)。
【0122】
図34に戻って、タイムスロット割り当て希望調査パケットがTDMAモードで送信されている場合(図34:S1100;YES)、ノード200は、タイムスロット割り当て要求パケットを、タイムスロット割り当て希望調査パケットを送信した主ノードに、主ノードに割り当てられたタイムスロットで、送信する(図37:S1302)。タイムスロット割り当て要求パケットを送信したノード200は、結果通達タイマを起動する(図37:S1304)。
【0123】
ノード200は、結果通達タイマが所定の時間に達したか否かを判断する(図38:S1306)。
【0124】
結果通達タイマが所定の時間に達していない場合(S1306;NO)、ノード200
は、主ノードから、自装置にタイムスロットが割り当てられたことを通知するタイムスロット割り当て結果通達パケットを受信したか否かを確認する(図38:S1308)。
【0125】
ノード200は、自装置にタイムスロットが割り当てられたことを通知するタイムスロット割り当て結果通達パケットを受信した場合(S1308;YES)、ノード200は、CSMA/CAモードからTDMAモードに遷移し、自装置に割り当てられたタイムスロットにおいてデータを送信する(図38:S1310)。
【0126】
自装置にタイムスロットが割り当てられたことを通知するタイムスロット割り当て結果通達パケットを受信すること無く(S1308;NO)、結果通達タイマが所定の時間に達した場合(S1306;YES)、ノード200は、タイムスロット割り当て要求パケットが主ノードに受信されなかったことを認識する。
【0127】
ノード200は、ランダム時間のバックオフ処理を行う(図39:S1312)。バックオフ処理とは、ノード200が、タイムスロット割り当て希望調査パケット受信から所定時間経過後さらにランダム時間経過後の主ノードに割り当てられたタイムスロットにて、タイムスロット割り当て要求パケットを、送信することを決定することである。所定時間にランダム時間を加算することで、ノード200が送信するタイムスロット割り当て要求パケットと他のノードが送信する通信パケットとの衝突を避けやすくなる。
【0128】
ノード200は、バックオフ処理の回数が所定の閾値を超えたか否かを判断する(図39:S1314)。バックオフ処理の回数が所定の閾値を超えていない場合(S1314;NO)、ノード200は、主ノードからタイムスロット割り当て希望調査パケットを待って、上記の決定をしたタイムスロットで、タイムスロット割り当て要求パケットを送信する(図37:S1302)。
【0129】
バックオフ処理の回数が所定の閾値を超えた場合(S1314;YES)、ノード200は、主ノードに、バックオフ処理の回数の閾値越え通知パケットを送信する(図39:S1316)。この通知パケットは、主ノードに、TDMAモードからCSMA/CAモードに遷移する通知を送信することを要求する通信パケットである。
【0130】
バックオフ処理を行うことは、タイムスロット割り当て要求パケットが主ノードに受信されていないことを意味する。よって、バックオフ処理の回数が多いことは、タイムスロット割り当て要求パケットが主ノードに受信されないことが多いことを意味する。タイムスロット割り当て要求パケットが主ノードに受信されないことが多いことは、主ノードのタイムスロットにおいて、タイムスロット割り当て要求パケットを送信するノードが複数存在することが考えられる。このような場合、CSMA/CAモードでタイムスロット割り当て希望調査を行うことで、タイムスロット割り当ての希望をするノードに、タイムスロットが割り当てられ易くなる。CSMA/CAモードでは、送信時間が特定のタイムスロットに制限されないからである。そこで、ノード200は、主ノードに対し、TDMAモードからCSMA/CAモードに遷移して、CSMA/CAモードでタイムスロット割り当て希望調査を行うこと促す。
【0131】
ノード200は、TDMAモードからCSMA/CAモードへの遷移の通達パケットを受信したか否かを判断する(図39:S1318)。
【0132】
TDMAモードからCSMA/CAモードへの遷移の通達パケットを受信していない場合(S1318;NO)、ノード200は再び主ノードにバックオフ処理の回数の閾値超え通知パケットを送信する(S1316)。
【0133】
TDMAモードからCSMA/CAモードへの遷移の通達パケットを受信した場合(S1318;YES)、ステップS1002に戻る。
【0134】
〈レイヤの連携〉
図40は、レイヤの連携を示す図である。
【0135】
主ノードであるノード200は、所定時間毎等に、タイムスロットの割り当てを行い、タイムスロット割り当て結果通達パケットを送信することができる。これによって一時的にMACレイヤでの通信が遮断されたとする。このとき、MACレイヤからのリトライがリトライアウトする。すると、MACレイヤから上位レイヤにリトライアウト通知がされる。リトライアウト通知を受信し通信の遮断を認識した上位レイヤは、リトライ指示を下位レイヤに行う。このように、MACレイヤでの通信が一時的に遮断されても、上位レイヤのリトライ指示により通信の復旧が可能となる。
【0136】
上位レイヤは、通信コネクションを保証できるプロトコルであればよい。上位レイヤの例としては、Transmission Control Protocol(TCP)、User Datagram Protocol(U
DP)等が挙げられる。
【0137】
〈その他〉
本実施形態は、高速道路上を走行する自動車に搭載される無線端末によるネットワーク上の通信や、災害発生時に緊急的に構築されるネットワーク上の通信において、適用することができる。
【0138】
〈実施形態の作用効果〉
本実施形態によると、アドホックネットワークにおけるノードは、CSMA/CAモードで、タイムスロット割り当て希望調査を行い、TDMAモードで使用するタイムスロットをタイムスロット割り当てを要求するノードに割り当てることができる。タイムスロット割り当てを行ったノードは、TDMAモードで通信中に、タイムスロット割り当て希望調査を行い、新たにタイムスロットの割り当てを希望するノードに対しても、TDMAモードで使用するタイムスロットの割り当てを行うことができる。
【0139】
本実施形態によれば、ノードは、CSMA/CAモードでタイムスロット割り当て希望調査を行い、タイムスロットを各ノードに割り当てて、TDMAモードでデータの通信を行うことで、通信帯域の利用効率を高くすることができる。また、ノードは、TDMAモードにおいても、タイムスロット割り当て希望調査を行うことで、新たに参入を希望するノードに対してタイムスロットを割り当てて、通信に参加させることができる。
【符号の説明】
【0140】
200 無線通信端末装置(ノード)
200A 無線通信端末装置(ノード)A
200B 無線通信端末装置(ノード)B
200C 無線通信端末装置(ノード)C
200D 無線通信端末装置(ノード)D
200E 無線通信端末装置(ノード)E
202 GPSレシーバ部
204 フレームタイミング部
212 無線送信部
214 デジタルアナログ変換部
216 変調用DSP部
218 送信側外部インタフェース部
222 CPU
224 メモリ
226 記憶装置
232 RxRF
234 アナログデジタル変換部
236 復調用DSP
238 受信側外部インタフェース部
252 スイッチ部
262 GPS用アンテナ
264 送受信用アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末装置がアドホックによりデータ送信を行う無線通信システムにおける通信端末装置であって、
パケットを受信する受信部と、パケットを送信する送信部と、タイミング信号を生成する信号生成部と、他の装置と送受信するパケットを処理する処理部と、を備え、
自装置が送信データを有するとき、
前記送信部は、データを送信する送信期間の割り当てを希望する無線端末装置を確認する第1希望調査パケットを送信し、
前記受信部は、前記第1希望調査パケットに対する第1割り当て要求パケットを受信し、
前記処理部は、前記第1割り当て要求パケットに基づいて、自装置と前記送信期間の割り当てを要求する他の無線端末装置とに、送信期間を割り当て、前記他の無線端末装置に第1送信期間割り当て結果を通知する第1結果通達パケットを作成し、
前記送信部は、前記第1結果通達パケットを送信し、
前記信号生成部は、時間情報に基づくタイミング信号を生成し、
前記送信部は、前記タイミング信号に同期して、自装置に割り当てた前記送信期間にデータを送信する、
通信端末装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記送信部が前記第1希望調査パケットを送信した後、所定時間、前記受信部が前記第1希望調査パケットに対する前記第1割り当て要求パケットを受信しない場合、前記送信部に、前記第1希望調査パケットを送信することを指示する、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記タイミング信号を使用して、自装置に割り当てた前記送信期間に、前記送信期間の割り当てを希望する無線端末装置を確認する第2希望調査パケットを送信し、
前記受信部は、前記第2希望調査パケットに対する第2割り当て要求パケットを受信し、
前記処理部は、前記第1割り当て要求パケットと前記第2割り当て要求パケットとに基づいて、自装置と前記送信期間の割り当てを要求する他の無線端末装置とに、送信期間を割り当て、前記他の無線端末装置に第2送信期間割り当て結果を通知する第2結果通達パケットを作成し、
前記送信部は、前記タイミング信号を使用して、前記第1送信期間割り当て結果に基づいて自装置に割り当てた前記送信期間に、前記第2結果通達パケットを送信し、
前記送信部は、前記タイミング信号に同期して、自装置に割り当てた前記送信期間にデータを送信する、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記受信部が他の装置から送信期間割り当て結果に基づく通信を中止することを求めるパケットを受信した時、送信期間割り当て結果に基づく通信を中止し、
前記送信部は、再度、前記送信期間の割り当てを希望する装置を確認する第1希望調査パケットを送信する、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項5】
複数の通信端末装置がアドホックによりデータ送信を行う無線通信システムにおける通信端末装置であって、
パケットを受信する受信部と、パケットを送信する送信部と、タイミング信号を生成する信号生成部と、他の装置と送受信するパケットを処理する処理部を備え、
前記受信部は、前記複数の通信端末装置のうち送信データを有するある通信端末装置から、データを送信する送信期間の割り当てを希望する装置を確認する第1希望調査パケットを受信し、
前記処理部は、他の無線端末装置に送信するデータがある場合、前記第1希望調査パケットに対して送信期間の割り当てを要求する第1割り当て要求パケットを作成し、
前記送信部は、前記第1送信期間割り当て希望調査パケットに対する第1送信期間割り当て要求パケットを送信し、
前記受信部は、前記第1割り当て要求パケットに応じて前記ある通信端末装置が割り当てた送信期間を示す、第1結果通達パケットを受信し、
前記信号生成部は、時間情報に基づくタイミング信号を生成し、
前記送信部は、前記タイミング信号を使用して、前記第1結果通達パケットに基づいて、自装置に割り当てられた前記送信期間にデータを送信する、
通信端末装置。
【請求項6】
前記送信部が前記第1希望調査パケットに対する前記第1割り当て要求パケットを送信後、所定時間内に、前記受信部が前記第1結果通達パケットを受信した場合、前記信号生成部が時間情報に基づくタイミング信号を生成し、前記送信部が前記タイミング信号を使用して前記結果通達パケットに基づいて自装置に割り当てられた前記送信期間にデータを送信する、
請求項5に記載の通信端末装置。
【請求項7】
前記処理部が、前記第1結果通達パケットを送信した前記ある無線端末装置が通信していないことを認識した場合、第1結果通達パケットに基づく通信を中止し、
前記送信部は、前記送信期間の割り当てを希望する無線端末装置を確認する第2希望調査パケットを送信し、
前記受信部は、前記第2希望調査パケットに対する第2割り当て要求パケットを受信し、
前記処理部は、前記第2割り当て要求パケットに基づいて、自装置と前記送信期間の割り当てを要求する他の無線端末装置とに、送信期間を割り当て、前記他の無線端末装置に第2送信期間割り当て結果を通知する第2結果通達パケットを作成し、
前記送信部は、前記第2結果通達パケットを送信し、
前記信号生成部は、時間情報に基づくタイミング信号を生成し、
前記送信部は、前記タイミング信号に同期して、自装置に割り当てた前記送信期間にデータを送信する、
請求項5に記載の通信端末装置。
【請求項8】
複数の通信端末装置がアドホックによりデータ送信を行う無線通信システムにおける通信端末装置であって、
パケットを受信する受信部と、パケットを送信する送信部と、タイミング信号を生成する信号生成部と、他の無線端末装置と送受信するパケットを処理する処理部を備え、
前記受信部は、送信データを有するある無線端末装置に割り当てられた送信期間に当該他の無線端末装置から送信され、データを送信する送信期間の割り当てを希望する無線端末装置を確認する第1希望調査パケットを受信し、
前記処理部は、他の無線端末装置に送信するデータがある場合、前記第1希望調査パケットに対して送信期間の割り当てを要求する第1割り当て要求パケットを作成し、
前記信号生成部は、時間情報に基づくタイミング信号を生成し、
前記送信部は、前記タイミング信号を使用して、前記他の無線端末装置に割り当てられた送信期間に、前記第1希望調査パケットに対する前記第1割り当て要求パケットを送信し、
前記受信部は、前記第1割り当て要求パケットに応じて前記ある通信端末装置が割り当
てた送信期間を示す、第1結果通達パケットを受信し、
前記信号生成部は、時間情報に基づくタイミング信号を生成し、
前記送信部は、前記タイミング信号を使用して、前記第1結果通達パケットに基づいて、自装置に割り当てられた前記送信期間にデータを送信する、
通信端末装置。
【請求項9】
前記処理部が、前記第1結果通達パケットを送信した前記ある無線端末装置が通信していないことを認識した場合、前記第1結果通達パケットに基づく通信を中止し、
前記送信部は、前記送信期間の割り当てを希望する装置を確認する第2希望調査パケットを送信し、
前記受信部は、前記第2希望調査パケットに対して送信期間の割り当てを要求する第2割り当て要求パケットを受信し、
前記処理部は、前記割り当て要求パケットに基づいて、自装置と前記送信期間の割り当てを要求する他の無線端末装置とに、送信期間を割り当て、前記他の無線端末装置に第2割り当て結果を通知する第2結果通達パケットを作成し、
前記送信部は、前記第2結果通達パケットを送信し、
前記信号生成部は、時間情報に基づくタイミング信号を生成し、
前記送信部は、前記タイミング信号に同期して、自装置に割り当てた前記送信期間にデータを送信する、
請求項8に記載の通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2013−48479(P2013−48479A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−240642(P2012−240642)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【分割の表示】特願2010−505053(P2010−505053)の分割
【原出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】