説明

通信端末

【課題】 UNICODEとS−JISコード間の変換テーブルに起因する変換エラーの発生をなくし、円滑なファイル交換が行える通信端末を提供する。
【解決手段】 UNICODEのファイル名部分の文字について、変換不可能UNICODE記憶部21に予め格納されている変換不可能UNICODE規格のコード「0xFF5E」(〜)、「0x2225」(‖)、「0xFF0D」(−)を削除する(ステップS1)。残った文字コードで構成されるUNICODEのファイル名を変換処理部3の入力として設定し(S4)、変換処理(S5)をコールする。変換処理(S5)は、市販の変換処理ユニットであり、変換テーブルAを備えている。変換処理(S5)では、入力されたファイル名を変換テーブルAにより変換処理を行い、UNICODEからS−JISコードに変換してファイル制御部2へ出力する(S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線通信でのファイル交換において、UNICODEで定義されたファイル名を受信してS−JISコードに変換する通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術1)
文字総数の多いUNICODE体系から、文字総数の少ないJISコード体系へフォントを自動的に切り換えて印刷する文字印刷方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1では、UNICODE体系からJISコード体系への変換にあって、変換がうまくいかない時には、予め指定してある近似のイメージフォントのJISコードへの変換や、特定のJISコード「FFFF」への変換により、何らかの変換が行われている。
【0003】
(背景技術2)
赤外線通信でファイル交換を行う通信端末がある。赤外線通信規格では、UNICODEを使用することが決められている。通信端末の内部は、ファイル名管理や表示などの文字コードはS−JISコード(シフトJISコード。簡易JISコード)が使用される。そのため、UNICODEとS−JISコード間の変換を行っている。
S−JISコードは、日本国内で主に使われる文字や記号について定義された独自コードである。UNICODEは、日本も包含した世界で使われる膨大な文字や記号について定義された独自コードであり、用途に応じて文字数を限定したUNICODE規格が複数存在する。ところが、赤外線通信規格では、どのUNICODE規格を使用するかは規定されていない。
【0004】
図7は、一般的なS−JISコードとUNICODE規格の対応を示す文字コード表であり、一部の文字と記号について図示している。101欄に文字と記号を示し、102欄にS−JISコード規格、103欄にUNICODE規格「JISX0221」、104欄にUNICODE規格「Windows(R)NT」を示す。
定義する文字や記号の内、一部の特殊な記号については、類似の複数の記号がある。例えば記号「〜」は、S−JISコードでは、1種類であり、「0x8160」で定義されている。UNICODEでは2種類あり、1つは、UNICODE規格「JISX0221」の「0x301C」で定義したWave Dashと称する「〜」がある。また、UNICODE規格「Windows(R)NT」の「0xFF5E」で定義したFullwidth Tildeと称する「〜」がある。
定義する文字や記号の内、一律に特定できる「?」、「あ」、「a」等の標準的な文字記号は、UNICODE規格「JISX0221」と「Windows(R)NT」で同じコード番号が定義されている。
これらのS−JISコードとUNICODE間の変換テーブルが各種市販されているが、文字記号によって、図7のコード表のどの部分をカバーしているかにより、変換エラーが発生するなどの問題があった。
【特許文献1】特開2002−2032号公報(第3〜4頁、図2、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の背景技術2の通信端末では、変換エラーが発生した場合に、ファイル交換を行えないという問題があり、これは変換テーブルに起因しておりユーザに責任がなくても発生し、ユーザから苦情を受ける恐れもある。また、変換エラーが発生した時の対策として、背景技術1のように何らかの変換を行うことも考えられるが、変換手段が増えるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、通信端末において、UNICODEとS−JISコード間の変換テーブルに起因する変換エラーの発生をなくし、円滑なファイル交換が行える通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の通信端末は、第1の文字コードと第2の文字コードとが対応付けて格納された変換テーブルと、入力された第1の文字コードを前記変換テーブルに基づいて第2の文字コードへ変換する変換処理手段と、前記変換テーブルに備わっていない第1の文字コードを予め変換不可能第1の文字コードとして記憶する手段と、第1の文字コードで定義されたファイル名の文字列から前記変換不可能第1の文字コードを削除して残りの文字列のファイル名を前記変換処理手段への入力データとして供給し、前記変換処理手段からの第2の文字コードに変換されたファイル名でファイル制御を行うファイル制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信端末は、ファイル名をUNICODEからS−JISコードに変換する前に、予め設定されている変換不可能UNICODEをファイル名から削除するという簡単な処理により、変換エラーの発生を防ぐことが可能になり、ファイル交換が停止してしまうことを防止することが可能となる。また、市販の変換処理ユニットをそのまま使用することができ、新たな変換処理ユニットを開発する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の各実施例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の各実施例に係る通信端末の構成図である。通信端末は、図示しない他の装置との間で赤外線通信により、ファイル交換等のデータ通信を行う。この赤外線通信規格では、文字コードは、UNICODEを使用することが決められているが、複数のUNICODE規格のどの規格を使うか、また、複数のUNICODE規格をどこまで重複してカバーするかなどは規定されていない。一方、通信端末の内部のファイル名や表示などの文字コードはS−JISコード(シフトJISコード。簡易JISコード)が使用される。
【0010】
通信端末の構成について以下に説明する。通信端末は、赤外線通信部1、ファイル制御部2、変換不可能UNICODE記憶部21、UNICODE−UNICODE変換テーブル22、変換処理部3、UNICODE−SJIS変換テーブル31、ファイル管理部4、ファイル記憶部5などによって構成される。変換処理部3は、市販されている変換処理ユニットであり、内蔵しているUNICODE−SJIS変換テーブル31の種類は、以降変換テーブルAと称する。この内、変換不可能UNICODE記憶部21は後述の実施例1と実施例2で使用する。また、UNICODE−UNICODE変換テーブル22は後述の実施例2で使用する。
【0011】
赤外線通信部1は、図示しない他の装置との間で赤外線通信により、ファイル交換等のデータ通信を行う。ファイル交換でのファイルは、ファイル名等を含むヘッダーと、ファイル本文とから構成され、それらの文字はUNICODEで定義されている。
他の装置からファイルを受信するときの動作について説明する。赤外線通信部1は他の装置からファイルを受信し、ファイル制御部2へ送出する。ファイル制御部2は、受信したファイルからファイル名を取り出して、UNICODEのファイル名を変換処理部3へ送出する。変換処理部3は、変換テーブルAなる種別のUNICODE−SJIS変換テーブル31を参照して、UNICODEのファイル名をS−JISコードのファイル名に変換し、変換後のS−JISコードのファイル名をファイル制御部2へ返す。ファイル制御部2はこれをファイル管理部4へ送る。ファイル管理部4は、S−JISコードのファイル名とファイル本文とを対応付けて、ファイル記憶部5に記憶させる。ファイル制御部2は、必要に応じて、S−JISコードのファイル名とファイル本文を図示しない表示部に表示する。
【0012】
他の装置へファイルを送信するときの動作について説明する。ファイル制御部2は、ファイル管理部4から、送信するファイル名(S−JISコード)とファイル本文を入手する。そして、ファイル制御部2は、S−JISコードのファイル名を変換処理部3へ送出する。変換処理部3は、変換テーブルAなる種別のUNICODE−SJIS変換テーブル31を参照して、S−JISコードのファイル名をUNICODEのファイル名に変換し、変換後のUNICODEのファイル名をファイル制御部2へ返す。ファイル制御部2はこのUNICODEのファイル名とファイル本文とから構成されるファイルを赤外線通信部1へ送出する。赤外線通信部1は、このファイルを他の装置へ送信する。
【0013】
図2は、本発明の各実施例に係る変換テーブルAおよび変換不可能UNICODE記憶部の内容を説明する図である。図7で説明した文字コード表に対して、変換テーブルAおよび変換不可能UNICODE記憶部の内容を示す。101欄に文字と記号を示し、102欄にS−JISコード規格、103欄にUNICODE規格「JISX0221」、104欄にUNICODE規格「Windows(R)NT」を示す。
定義する文字や記号の内、一部の特殊な記号については、類似の複数の記号がある。例えば記号「〜」は、S−JISコードでは、1種類であり、「0x8160」で定義されている。UNICODEでは2種類あり、1つは、UNICODE規格「JISX0221」の「0x301C」で定義したWave Dashと称する「〜」がある。また、UNICODE規格「Windows(R)NT」の「0xFF5E」で定義したFullwidth Tildeと称する「〜」がある。他の「‖」、「−」、「\」、「¢」、「£」等についても、類似の記号が存在する。一律に特定できる「?」、「あ」、「a」等の標準的な文字記号は、UNICODE規格「JISX0221」と「Windows(R)NT」で同じコード番号が定義されている。
【0014】
これらのS−JISコードとUNICODE間の変換テーブルが各種市販されており、その1つである変換テーブルAがカバーしている範囲をハッチングで図示する。変換テーブルAは、S−JISで定義された文字と記号のほとんどについて、両方のUNICODE規格に対応しているが、一部の記号「〜」、「‖」、「−」については、103欄のUNICODE規格「JISX0221」しか対応していない。これは、記号「〜」、「‖」、「−」については、UNICODEで定義された類似の記号を、S−JISコードで定義した記号にどう対応付けるかの解釈が変換テーブルの種類によって色々あることを意味する。記号「\」、「¢」、「£」等についても、類似の記号が存在するが、市販の変換テーブルでは、両方のUNICODE規格に対応しているものが多い。
【0015】
そのため、例えば、UNICODE規格「Windows(R)NT」のUNICODEを受信して、変換テーブルAによりS−JISコードに変換する場合、変換テーブルAには104欄のUNICODE「0xFF5E」(「〜」)、「0x2225」(「‖」)、「0xFF0D」(「−」)が存在しないため、変換不可能である。この変換テーブルAに存在しない104欄のUNICODE「0xFF5E」(「〜」)、「0x2225」(「‖」)、「0xFF0D」(「−」)を予め、変換不可能UNICODE記憶部21に格納しておく。
【0016】
図2では特定の例について、説明したが、一般的な定義について、以下に説明する。変換テーブルAは、UNICODE−SJIS間の変換に限定しない。変換テーブルAは、複数の規格の存在する第1の文字コード(UNICODEなど)と1種類に限定した第2の文字コード(S−JISコードなど)間の変換テーブルである。そして、第1の文字コード(UNICODEなど)については、すべての複数の規格に対応する必要はなくて、例えば、日本国内で使用する当該通信端末の赤外線通信というアプリケーションで一般的に使用されるUNICODE規格をピックアップすればよい。そして、ピックアップした複数の規格の第1の文字コード(UNICODEなど)の内、変換テーブルAが備えていないUNICODEを予め、変換不可能UNICODEとして、変換不可能UNICODE記憶部21に格納しておく。
【0017】
なお、第1の文字コード(UNICODEなど)の規格としては、ハングル語やアラビア語等、世界中の多くの規格があり、変換テーブルAには当然備えていない。従って、変換テーブルAが備える第2の文字コード(S−JISコードなど)に限定して、対応する第1の文字コード(UNICODEなど)を判断すればよい。仮に、ハングル語やアラビア語等の第1の文字コード(UNICODEなど)を受信したとしても、それは、通信端末側に帰する問題ではなく、エラー処理としてよい。
【実施例1】
【0018】
図3は、実施例1に係る通信端末のファイル制御のフローチャートである。実施例1は、変換する前に、ファイル名から、予め設定してある変換不可能UNICODE規格のコードを削除する例である。ファイル制御部2は、他の装置から赤外線通信部1を経由して受信したUNICODEのファイルのファイル名部分の文字について、変換不可能UNICODE記憶部21に予め格納されている変換不可能UNICODE規格のコードがあるかをチェックし、「0xFF5E」(〜)、「0x2225」(‖)、「0xFF0D」(−)がファイル名に有れば、この文字コードを削除する(ステップS1)。変換可能なUNICODE規格のコード「0x301C」(〜)、「0x2016」(‖)、「0x2212」(−)については、削除しない。ファイル名を構成する文字コードがすべて削除されてしまったら(S2でYES)、ファイル名がなくなってしまうのでエラー処理を行う(S3)。すべて削除されたのでなければ(S2でNO)、残った文字コードで構成されるファイル名とする。そして、このファイル名(UNICODE)を変換処理部3の入力として設定して(S4)、変換処理(S5)をコールする。
【0019】
変換処理(S5)は、市販の変換処理ユニットであり、変換テーブルAを備えている。変換処理(S5)では、入力されたファイル名を変換テーブルAにより変換処理を行い、変換可能な場合(S6でYES)、UNICODEからS−JISコードに変換してファイル制御部2へ出力する(S7)。変換できない場合(S6でNO)、変換できない文字をS−JISコードの「?」に一律変換してファイル制御部2へ出力する(S8)。
【0020】
ファイル制御部2は、受け取ったS−JISコードのファイル名に、ファイル名として使用してはいけないとよく知られている文字「/」、「?」などが含まれているかをチェックし(S9)、含まれていなければ(S10で無し)、受け取ったS−JISコードのファイル名でファイルを管理する(S12)。文字「/」、「?」などが含まれていれば(S10で有り)、エラー処理を行う(S11)。ここで、含まれている文字「?」には、2通りの意味がある。1つ目は、他の装置から送られてきたファイル名そのものに、文字「?」が有った場合である。2つ目は、変換処理(S5)において、変換できない文字があったために、変換処理(S5)の中で文字「?」に変換した場合(S8)である。
【0021】
しかし、ステップS1において、変換できない可能性のあるUNICODE規格の「〜」、「‖」、「−」を削除しているために、前記2つ目のステップS8となることは、ほとんど発生しない。従って、ステップS9、S10において、文字「/」、「?」などが含まれている場合(S10でYES)、これは、ほぼ、他の装置から送られてきたファイル名そのものに、ファイル名として使用してはいけない文字「/」、「?」などがあったと判断できる。そのため、エラー処理(S11)としても、通信端末の変換性能に起因する問題ではなく、他の装置側でのファイル名の付け方に問題があったということになり、通信端末に対する問題指摘等は発生することはない。
【0022】
他の装置へUNICODEを送信する場合について説明する。文字「〜」、「‖」、「−」については、自端末がどのようなUNICODE規格のコードで他の装置へ送信したとしても、これを受信した他の装置次第で変換エラーとなる可能性がある。そのため、自端末はファイル名として、文字「〜」、「‖」、「−」のS−JISコードが含まれる場合、このS−JISコードを削除してから、残りの文字をUNICODEに変換する。そしてこれを他の装置へ送信する。これにより、他の装置は、問題となる文字「〜」、「‖」、「−」のUNICODEを受信することはないため、エラーが発生することはない。
【0023】
なお、変換テーブルAとして、図2のハッチング部分を例示したが、これに限らず、通信端末に搭載した変換テーブルのカバー範囲により、カバーしていないUNICODEを予め記憶しておくことにより、どのような変換テーブルにも対応することが可能である。
【0024】
実施例1によれば、ファイル名をUNICODEからS−JISコードに変換する前に、予め設定されている変換不可能UNICODEをファイル名から削除するという簡単な処理により、変換エラーの発生を防ぐことが可能になり、ファイル交換が停止してしまうことを防止することが可能となる。また、市販の変換処理ユニットをそのまま使用することができ、新たな変換処理ユニットを開発する必要がない。
また、送信時、変換エラーが起こり得る可能性のある文字「〜」、「‖」、「−」のS−JISコードを予め削除してから、残りをUNICODEに変換して、他の装置へ送信することにより、他の装置でのエラー発生を防止することができる。
【実施例2】
【0025】
図4は、実施例2に係る通信端末のファイル制御のフローチャートである。実施例2は、UNICODEからS−JISコードに変換する前に、予め設定してある変換不可能UNICODE規格の「〜」、「‖」、「−」コードを、予め設定してある変換可能なUNICODE規格の「〜」、「‖」、「−」コードに変換する例である。
ファイル制御部2は、他の装置から赤外線通信部1を経由して受信したUNICODEのファイルのファイル名部分の文字について、変換不可能UNICODE記憶部21に予め格納されている変換不可能UNICODE規格のコードがあるかをチェックする。そして、「0xFF5E」(〜)、「0x2225」(‖)、「0xFF0D」(−)がファイル名に有れば、この文字コードを、UNICODE−UNICODE変換テーブル22を参照して、「0x301C」(〜)、「0x2016」(‖)、「0x2212」(−)に変換する(S21)。そして、このファイル名(UNICODE)を変換処理部3の入力として設定して(S24)、変換処理(S25)をコールする。変換処理(S25)は、実施例1、図3の変換処理(S5)と同じ処理であるが、与えられた入力がすでに変換できるUNICODEであるため、「〜」、「‖」、「−」をS−JISコードに変換して出力する。
【0026】
ファイル制御部2は、受け取ったS−JISコードのファイル名に、ファイル名として使用してはいけないとよく知られている文字「/」、「?」などが含まれているかをチェックし(S29)、含まれていなければ(S30で無し)、受け取ったS−JISコードのファイル名でファイルを管理する(S32)。文字「/」、「?」などが含まれていれば(S30で有り)、エラー処理を行う(S31)。
【0027】
なお、UNICODEとS−JISコード間の変換テーブルAとして、図2のハッチング部分を例示したが、これに限らず、通信端末に搭載した変換テーブルのカバー範囲により、カバーしていないUNICODEと、当該UNICODEについてのUNICODE−UNICODE変換テーブルを予め備えておくことにより、どのようなUNICODEとS−JISコード間の変換テーブルにも対応することが可能である。
【0028】
実施例2によれば、ファイル名をUNICODEからS−JISコードに変換する前に、予め設定してある変換不可能UNICODE規格の「〜」、「‖」、「−」コードを、予め設定してある変換可能なUNICODE規格の「〜」、「‖」、「−」コードに変換するという簡単な処理により、変換エラーの発生を防ぐことが可能になり、ファイル交換が停止してしまうことを防止することが可能となる。また、市販の変換処理ユニットをそのまま使用することができ、新たな変換処理ユニットを開発する必要がない。
【実施例3】
【0029】
図5は、実施例3に係る通信端末のファイル制御のフローチャートである。実施例3は、変換処理を行った後で、変換不可能な文字を削除する例である。ファイル制御部2は、他の装置から赤外線通信部1を経由して受信したUNICODEのファイルのファイル名を変換処理部3の入力として設定して(S41)、変換処理(S42)をコールする。この変換処理(S42)は、実施例1の図4の変換処理(S5)と同じ処理の市販の変換処理ユニットであるが、変換テーブルの種類は限定しない。変換処理(S42)では、入力されたファイル名を変換テーブルにより変換処理を行い、変換可能な場合(S43でYES)、UNICODEからS−JISコードに変換してファイル制御部2へ出力する(S44)。変換できない場合(S43でNO)、変換できない文字をS−JISコードの「?」に一律変換してファイル制御部2へ出力する(S45)。
【0030】
ファイル制御部2は、出力されたS−JISコードのファイル名が文字「?」である場合、この出力に該当する変換処理(S42)の入力文字(UNICODE)をチェックする(S46)。そして、S47でUNICODEの当該入力文字が「?」以外であれば、変換できなかったために出力がS−JISコードの「?」になったと判断して、当該出力のS−JISコードの「?」を削除する(S48)。これは、変換した結果、変換できなかった文字を自動で削除するものである。従って、変換テーブルの種類によっては、文字「〜」、「‖」、「−」以外の変換できない文字も見逃すことなく、削除することができる。
S47でUNICODEの入力文字が「?」の場合は、図2に示すように、UNICODEの「?」は確実にS−JISコードに変換できることがわかっているので、入力文字そのものが「?」であると判断して、削除せずに次のS49へ進む。
【0031】
そして、出力されたS−JISコードのファイル名に、ファイル名として使用してはいけないとよく知られている文字「/」、「?」などが含まれているかをチェックし(S49)、含まれていなければ(S50で、無し)、受け取ったS−JISコードのファイル名でファイルを管理する(S52)。文字「/」、「?」などが含まれていれば(S50で、有り)、エラー処理を行う(S51)。
【0032】
実施例2によれば、変換できない文字を予め決めておく必要がない。そして、変換テーブルの種類が何であっても、変換できない文字を見逃すことなく、削除することができる。また、市販の変換処理ユニットをそのまま使用することができ、新たな変換処理ユニットを開発する必要がない。
【実施例4】
【0033】
図6は、実施例4に係る通信端末のファイル制御のフローチャートである。実施例4は、変換処理ユニットに変更を加えて、変換処理ユニットが変換ステータスを出力する。そして、ファイル制御部は、変換処理ユニットが変換処理を行った後で、変換不可能な文字を削除する例である。
ファイル制御部2は、他の装置から赤外線通信部1を経由して受信したUNICODEのファイルのファイル名を変換処理部3の入力として設定して(S61)、変換処理(S62)をコールする。この変換処理(S62)は、市販の変換処理ユニットに変更を加えている。変換テーブルの種類は限定しない。変換処理(S62)では、入力されたファイル名を変換テーブルにより変換処理を行い、変換可能な場合(S63でYES)、UNICODEからS−JISコードに変換してファイル制御部2へ出力する(S64)。そして、変換ステータスを「正常」にして出力する(S65)。変換できない場合(S63でNO)、変換できない文字をS−JISコードの「?」に一律変換してファイル制御部2へ出力する(S66)。そして、変換ステータスを「異常」にして出力する(S67)。
【0034】
ファイル制御部2は、出力された変換ステータスが異常の場合(S68で異常)、当該変換出力のS−JISコードの「?」を削除する(S69)。なお、この削除は、変換処理ユニットの中のステップS66において削除処理を行ってもよい。その場合、ファイル制御部2のステップS69の削除は不要となる。一般に、変換処理ユニットは、変換処理と変換ステータスを出力し、後の削除等の処理は、変換処理ユニットを使う側のファイル制御部に任せるのが普通であろう。
【0035】
次に、出力されたS−JISコードのファイル名に、ファイル名として使用してはいけないとよく知られている文字「/」、「?」などが含まれているかをチェックし(S70)、含まれていなければ(S71で、無し)、受け取ったS−JISコードのファイル名でファイルを管理する(S73)。文字「/」、「?」などが含まれていれば(S71で、有り)、エラー処理を行う(S72)。
【0036】
実施例3によれば、予め、変換できない文字を決めておく必要がない。そして、変換テーブルの種類が何であっても、変換できない文字を見逃すことなく、削除することができる。
なお、各実施例は、赤外線通信を行う通信端末について実施例を示したが、第1の文字コードと第2の文字コード間の変換を行う装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の各実施例に係る通信端末の構成図。
【図2】本発明の各実施例に係る変換テーブルAおよび変換不可能UNICODE記憶部の内容を説明する図。
【図3】実施例1に係る通信端末のファイル制御のフローチャート。
【図4】実施例2に係る通信端末のファイル制御のフローチャート。
【図5】実施例3に係る通信端末のファイル制御のフローチャート。
【図6】実施例4に係る通信端末のファイル制御のフローチャート。
【図7】一般的なS−JISコードとUNICODE規格の対応を示す文字コード表。
【符号の説明】
【0038】
1 赤外線通信部
2 ファイル制御部
21 変換不可能UNICODE記憶部
22 UNICODE−UNICODE変換テーブル
3 変換処理部
31 変換テーブル
4 ファイル管理部
5 ファイル記憶部
101 文字
102 S−JISコード
103 UNICODE規格「JISX0221」
104 UNICODE規格「Windows(R)NT」

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の文字コードと第2の文字コードとが対応付けて格納された変換テーブルと、
入力された第1の文字コードを前記変換テーブルに基づいて第2の文字コードへ変換する変換処理手段と、
前記変換テーブルに備わっていない第1の文字コードを予め変換不可能第1の文字コードとして記憶する手段と、
第1の文字コードで定義されたファイル名の文字列から前記変換不可能第1の文字コードを削除して残りの文字列のファイル名を前記変換処理手段への入力データとして供給し、前記変換処理手段からの第2の文字コードに変換されたファイル名でファイル制御を行うファイル制御手段とを
具備することを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記第1の文字コードはUNICODEであり、前記第2の文字コードはS−JISコードであり、前記変換不可能第1の文字コードは、記号「〜」、「‖」、および「−」を表すUNICODEであることを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記ファイル制御手段は、
前記第1の文字コードで定義されたファイル名の文字列がすべて前記変換不可能第1の文字コードの場合、エラー処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
第1の文字コードと第2の文字コードとが対応付けて格納された変換テーブルと、
入力された第1の文字コードを前記変換テーブルに基づいて第2の文字コードへ変換する変換処理手段と、
前記変換テーブルに備わっていない第1の文字コードを予め変換不可能第1の文字コードとして記憶する手段と、
前記変換不可能第1の文字コードと別の第1の文字コードとが対応付けて格納された第1の文字コード間変換テーブルと、
第1の文字コードで定義されたファイル名の文字列から前記変換不可能第1の文字コードを前記別の第1の文字コードに変換し、当該変換後の第1の文字コードファイル名を前記変換処理手段への入力データとして供給し、前記変換処理手段からの第2の文字コードに変換されたファイル名でファイル制御を行うファイル制御手段とを
具備することを特徴とする通信端末。
【請求項5】
第1の文字コードと第2の文字コードとが対応付けて格納された変換テーブルと、
入力された第1の文字コードを前記変換テーブルに基づいて第2の文字コードへ変換する変換処理手段と、
第1の文字コードで定義されたファイル名を前記変換処理手段への入力データとして供給し、前記変換処理手段で変換エラーとなった前記変換処理手段からの第2の文字コード出力を削除し、削除した残りの文字列のファイル名でファイル制御を行うファイル制御手段とを
具備することを特徴とする通信端末。
【請求項6】
第1の文字コードと第2の文字コードとが対応付けて格納された変換テーブルと、
入力された第1の文字コードを前記変換テーブルに基づいて第2の文字コードへ変換し、変換異常の場合に変換異常を表す特定文字の第2の文字コードを出力する変換処理手段と、
第1の文字コードで定義されたファイル名を前記変換処理手段への入力データとして供給し、前記変換処理手段からの出力が前記特定文字の第2の文字コードである場合、当該特定文字に対応する入力データが前記特定文字の第1の文字コードでなければ当該特定文字のS−JISコードを削除した残りの文字列のファイル名でファイル制御を行うファイル制御手段とを
具備することを特徴とする通信端末。
【請求項7】
第1の文字コードと第2の文字コードとが対応付けて格納された変換テーブルと、
入力された第1の文字コードを前記変換テーブルに基づいて第2の文字コードへ変換して出力すると共に、変換の正常および異常を表す変換ステータスを出力する変換処理手段と、
第1の文字コードで定義されたファイル名を前記変換処理手段への入力データとして供給し、前記変換ステータスが異常の場合、当該異常に該当する第2の文字コードを削除した残りの文字列のファイル名でファイル制御を行うファイル制御手段とを
具備することを特徴とする通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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