説明

通信装置、方法およびプログラムならびに通信システム

【課題】HTTPをはじめとするリクエスト。レスポンス形式の通信プロトコルを利用した通信システムにおいて、プッシュ通知のリアルタイム性とクライアントとなる通信装置の省電力化の両立を図る。
【解決手段】ネットワークに接続されたサーバ装置に対してリクエストを送信してこのリクエストに対応したレスポンスを受信する通信装置10に、自装置の動作モードを所定の設定条件に基づいて、ポーリング方式での送受信動作を行うポーリング動作モードとリクエスト保留方式による送受信動作を行うリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替える動作モード制御手段101と、自装置の動作モードに応じたリクエストの送信処理とレスポンスの受信処理を行う送受信制御手段102とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、方法およびプログラムならびに通信システムに関し、特に、HTTPをはじめとするリクエスト・レスポンス形式の通信プロトコルを利用する通信装置、方法およびプログラムならびに通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、インターネット等のネットワークに接続されたサーバからそのネットワークを介してクライアントのリクエストに応じた情報を送信することは広く行われている。例えば、サーバからネットワークを介してクライアントに対して電子メールを配信するには、送信された電子メールをサーバが受け取り、この電子メールの宛先であるクライアントのリクエストに応じて、サーバがこの電子メールをクライアントに対して送信する。すなわち、サーバは情報である電子メールを、クライアントのリクエストに応じて送信することが行われている。このように、サーバからクライアントに対して情報を送信することは「プッシュ」と呼ばれる。
【0003】
一般的に、HTTPをはじめとするリクエスト・レスポンス形式の通信プロトコルを利用した通信において、サーバがクライアントに対して情報を送信すること、特にサーバにおいてクライアントに対するイベントが発生したことを通知することを「プッシュ通知」と呼ぶことがある。プッシュ通知の方法として、ポーリング方式とリクエスト保留方式が広く利用されている。
ポーリング方式は、定期的にクライアントがサーバに対してリクエストを発行し、サーバ側でクライアントに対して通知すべきイベントが発生していないかをサーバに対して問い合わせ、サーバはこのリクエストに対して応答するレスポンスをクライアントに送信する方式である。このポーリング方式は、クライアントが送信するリクエストの送信間隔を調整することによってプッシュ通知のリアルタイム性と密接な関係であるサーバとの通信回数を調整できる。すなわち、ポーリング方式は、リクエストの送信間隔を短くするとサーバとの通信回数が増加しプッシュ通知のリアルタイム性は向上するが、通信回数が増加することによって消費電力も同様に増加する、という特徴を有している。
このポーリング方式において、リクエスト発行間隔の調整やリクエスト発行間隔を指定する技術が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、リクエスト保留方式は、クライアントが発行したリクエストに対して、サーバは即時にレスポンスを返さず、サーバ側でクライアントに対するプッシュ通知が発生した際に、クライアントに対しレスポンスを送信する方式である。このリクエスト保留方式は、リアルタイムのプッシュ通知を実現することが可能であるが、クライアントとサーバ間においては常に通信接続を保持している必要があり、特にクライアントにとってはポーリング方式と比べて消費電力が大きくなるという特徴を有している。
このリクエスト保留方式において、サーバ装置のウェブサーバによって自動的に所定のイベントが発生した時にクライアントのウェブブラウザに対してイベント発生の通知を行う技術が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−056725号公報
【特許文献2】特開2004−153572号公報
【特許文献3】特表2007−516527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術においては、プッシュ通知のリアルタイム性と省電力化の両立を図ることは困難であるという問題があった。例えば、特許文献1の技術においては、ポーリング方式に特化したシステム管理の簡易化とサーバ装置に関するリソースの最適化を図ることを目的とした、リクエスト発行タイミングの制御手段であり、特許文献2の技術においては、ユーザがその都度クライアント端末を操作することなく予め指定された時間にクライアントがサーバに対してリクエストを発行してプッシュ通知を受けることを目的としたプッシュ通知の受信手段であり、特許文献3の技術においては、ウェブブラウザとウェブサーバ間の通信において情報の送受信のリアルタイム性を目的としたリクエスト保留方式のプッシュ通知の手段であり、いずれもプッシュ通知のリアルタイム性とクライアントの省電力化の両立を図ることを目的とするものではない。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決すべく、リクエスト・レスポンス形式の通信プロトコルを利用した通信システムにおいて、プッシュ通知のリアルタイム性とクライアントとなる通信装置の省電力化を両立させる通信システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、ネットワークに接続されたサーバ装置に対してリクエストを送信してこのリクエストに対応したレスポンスを受信処理する通信装置に、自装置の動作モードを所定の設定条件に基づいて、ポーリング方式での送受信動作を行うポーリング動作モードとリクエスト保留方式による送受信動作を行うリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替える動作モード制御手段と、ネットワークに接続されたサーバ装置に対して自装置の動作モードに応じたリクエストの送信処理とレスポンスの受信処理を行う送受信制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる通信システムは、ネットワークに接続されたサーバ装置に対してリクエストを送信してこのリクエストに対応したレスポンスを受信処理する通信装置として、上述した通信装置を用いており、前記通信装置から送信されるリクエストを受信処理して、この受信したリクエストに応じたレスポンスを送信処理する送受信制御手段を有するサーバ装置を用いたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる通信システムは、ネットワークに接続されたプロキシサーバ装置に対してリクエストを送信してこのリクエストに対応したレスポンスを受信処理する通信装置として、上述した通信装置を用いており、通信装置から送信されるリクエストを受信処理しこの受信したリクエストに応じたレスポンスを送信処理する送受信制御手段と、複数のアプリケーションサーバ装置とリクエスト保留方式による通信を行うリクエスト保留通信手段とを備えたプロキシサーバ装置を用いており、このプロキシサーバ装置とリクエスト保留方式による通信を行うリクエスト保留通信手段を備えるアプリケーションサーバ装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リクエスト・レスポンス形式の通信プロトコルを利用した通信システムにおいて、プッシュ通知の異なる方式であるポーリング方式とリクエスト保留方式について、クライアントである通信装置の状況に応じて切り替えることにより、プッシュ通知のリアルタイム性とクライアントの省電力化を両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態にかかる通信装置の概要を示す機能ブロック図である。
本実施の形態にかかる通信装置は、自装置の動作モードをポーリング方式での送受信動作を行うポーリング動作モードとリクエスト保留方式による送受信動作を行うリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替えて、ネットワークに接続されたサーバ装置に対してリクエストを送信し、このリクエストに対応したレスポンスを受信処理する通信装置である。図1に示すように、通信装置10は、自装置の動作モードの切り替え制御を行う動作モード制御部101と、自装置の動作モードに応じた送受信制御を行う送受信制御部102とから構成されている。
なお、これらの構成要素は、CPU(中央演算装置)やメモリ、インターフェースを備えたコンピュータに、コンピュータプログラムをインストールすることにより、上記の通信装置10のコンピュータのハードウェア資源とソフトウェアとが協働して実現されるものである。
【0014】
次に、動作モード制御部101と送受信制御部102の動作を説明しながら、本実施の形態における通信装置10の動作について述べる。
動作モード制御部101は、通信装置11の図示しない記憶部に記憶している所定の設定条件に基づいて、自装置の動作モードをポーリング動作モードとリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替え、通信装置10の図示しない記憶部に自装置の動作モードの状態を記憶する。
送受信制御部102は、動作モード制御部101により切り替えられた自装置の動作モードの最新の状態を判定する。送受信制御部102はこの判定結果における動作モードに応じて、ポーリング方式とリクエスト保留方式とのいずれかの方式によってネットワークに接続されたサーバ装置に対するリクエストの送信制御と、そのサーバ装置から送信されるレスポンスの受信制御とを行う。
このように、通信装置の動作モードをポーリング方式での送受信動作を行うポーリング動作モードとリクエスト保留方式による送受信動作を行うリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替えることにより、通信装置は自装置の状況に応じてプッシュ通知の方式であるポーリング方式とリクエスト保留方式とのいずれかを選択することが可能となる。
【0015】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態にかかる通信システムの概要を示す図である。
本実施の形態にかかる通信システムは、ポーリング方式とリクエスト保留方式とに切り替えてプッシュ通知を行うものであり、図2に示すように、ネットワーク1に接続される通信装置10とサーバ装置20とから構成される。通信装置10は、第1の実施の形態かかる通信装置10と同じ構成のため、同一の符号を用いその説明は省略する。
サーバ装置20は、通信装置10から送信されるリクエストを受信処理して、この受信したリクエストに応じたレスポンスを送信処理する送受信制御部201から構成されている。
なお、これらの構成要素は、CPU(中央演算装置)やメモリ、インターフェースを備えたコンピュータに、コンピュータプログラムをインストールすることにより、上記の通信装置10ならびにサーバ装置20のコンピュータのハードウェア資源とソフトウェアが協働して実現されるものである。
【0016】
次に通信装置10とサーバ装置20の動作を説明しながら、本実施の形態にかかるポーリング方式とリクエスト保留方式を切り替えてプッシュ通知を行う通信システムの動作について述べる。
【0017】
図3は、本実施の形態における通信装置10の送受信処理手順を示すフローチャートである。図4は、HTTPリクエスト構造におけるカプセル化を説明する概要図である。図5は、HTTPレスポンス構造におけるカプセル化を説明する概要図である。図6は、本実施の形態における通信装置10に動作モードの切り替えが発生した際の送受信処理手順を示すフローチャートである。図7は、本実施の形態におけるサーバ装置20の送受処理手順を示すフローチャートである。図8は、本実施の形態にかかる通信システムの動作シーケンスを示すシーケンス図である。
【0018】
本実施の形態における通信装置10の動作を説明する。
通信装置10の送受信制御部102は、図3に示すように、まず、サーバ装置20から所望の情報を受信するために、第1のHTTPリクエストを発行する(S101)。
この第1のHTTPリクエストは、通信装置10が受信すべきサーバ装置20から送信される所望の情報に対する受信要求であり、常にリクエスト保留方式による情報の受信を要求するHTTPリクエストである。このような第1のHTTPリクエストに対応するプッシュ通知は、サーバ装置20が第1のHTTPリクエストに応じたイベントの発生を通知するHTTPレスポンスを通信装置10に対して送信し、通信装置10がこのHTTPレスポンスを受信することによって成し遂げられる。しかし、この第1のHTTPリクエストをサーバ装置20に対して直接送信したのでは、通信装置10はリクエスト保留方式による情報の受信しかできないことになってしまう。
【0019】
そこで、送受信制御部102は、図4に示すように、HTTPリクエストのボディ部に第1のHTTPリクエストを入れ込んだ第2のHTTPリクエストを発行する(S102)。この第2のHTTPリクエストは、通信装置10からサーバ装置20に対するプッシュ通知の開始要求である。
このように、HTTPリクエストのボディ部に任意のデータや任意の他のHTTPリクエストを入れ込むことを「カプセル化」といい、他のHTTPリクエスト等がカプセル化されたHTTPリクエストを「カプセル化したHTTPリクエスト」という。
【0020】
送受信制御部12は、第2のHTTPリクエストをサーバ装置20に対して送信して、サーバ装置20からのプッシュ通知の受信開始の登録をする(S103)。この第2のHTTPリクエストを受信したサーバ装置20からは、プッシュ通知の開始登録が完了したことを通知するレスポンスが送信される。この時点では、プッシュ通知の方式は確定していない。
【0021】
サーバ装置20からのレスポンスを受け取った送受信制御部102は、自装置の動作モードを判定する(S104)。この判定の詳細については後述する。
その結果、自装置の動作モード判定結果がポーリング動作モードの場合(S104で「ポーリング方式」)、送受信制御部102は、ポーリング方式によるプッシュ通知を要求する第3のHTTPリクエストを発行して、サーバ装置20に対してこの第3のHTTPリクエストを送信する(S105)。この第3のHTTPリクエストは、通信装置10が受信すべきサーバ装置20から送信されるプッシュ通知に対するポーリング方式の問い合わせである。
【0022】
この第3のHTTPリクエストを送信した送受信制御部102は、サーバ装置20から送信される第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンス、すなわち、ポーリング方式のリクエストに対するレスポンスの待ち受け状態となり、サーバ装置20から送信されるHTTPレスポンスを受信すると、サーバ装置20との通信を一旦切断する(S106)。ここで受信するHTTPレスポンスは、第3のHTTPリクエストすなわちポーリング方式の問い合わせに対する応答であると同時に、第1のHTTPリクエストに対するプッシュ通知の有無に関する情報がカプセル化されたHTTPレスポンスである。
この第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスは、図5に示すように、HTTPレスポンスのボディ部に第1のHTTPリクエストに対するプッシュ通知の有無に関するデータと第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスとを入れ込んだ状態でサーバ装置20から送信される。
【0023】
送受信制御部102は、サーバ装置20から送信された第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを解析し、その中に、第1のHTTPリクエストに対するプッシュ通知が有るか否かを判定する(S107)。
【0024】
サーバ装置20から送信されたHTTPリクエストの解析の結果、第1のHTTPリクエストに対するプッシュ通知が無かった場合(S107で「No」)、送受信制御部102は、通信装置10の図示しない記憶部に記憶されている所定のポーリング間隔だけサーバ装置20との通信を再開せずに待機状態となる(S108)。所定のポーリング間隔が経過した後、送信制御部102はサーバ装置20に対して再びポーリング方式の第3のHTTPリクエストを発行してサーバ装置2に対して再び第3のHTTPリクエストを送信する(S105)。以下、プッシュ通知があるまで、所定のポーリング間隔ごとにS105〜S108の手順をくり返す。
【0025】
サーバ装置20から送信されたHTTPレスポンスの解析の結果、第1のHTTPリクエストに対するプッシュ通知が有った場合(S107で「Yes」)、送受信制御部102はこのHTTPレスポンスから、第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを取り出す(S112)。
送受信制御部102は、サーバ装置20から送信された第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスから取り出した第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスについて受信処理を行い(S113)、送受信制御動作を終了する。
【0026】
一方、自装置の動作モード判定結果がリクエスト保留動作モードの場合(S104で「リクエスト保留方式」)、送受信制御部102はサーバ装置20に対してリクエスト保留方式によるプッシュ通知の受信要求である第3のHTTPリクエストを発行してサーバ装置20に対してこの第3のHTTPリクエストを送信する(S109)。ここで発行される第3のHTTPリクエストは、通信装置10が受信すべきサーバ装置20から送信されるプッシュ通知に対するリクエスト保留方式の受信要求である。
【0027】
第3のHTTPリクエストは、リクエスト保留方式によるプッシュ通知の受信要求なので、サーバ装置20においては、通信装置10に対するイベントが発生するまで、すなわち、第1のHTTPリクエストに応じたプッシュ通知が発生するまでHTTPレスポンスを送信しない。したがって、受信制御部102は、サーバ装置20において第1のHTTPリクエストに応じたプッシュ通知が発生するまでの間、継続して、サーバ装置20から送信されるHTTPレスポンスの受信待機状態となる(S110)。
本実施の形態においては、このレスポンスの受信待機状態時に、一定時間サーバ装置20においてイベントの発生が無く、受信制御部102との送受信が途絶えている場合には、サーバ装置20は、通信装置10が動作していることを確認するために生存確認(keep-alive)レスポンスを通信装置10に対して送信し、送受信制御部102はサーバ装置20から送信されたkeep-aliveレスポンスを受信する。このkeep-aliveレスポンスを受信した送受信制御部102は、即座に前回送信したリクエスト保留方式の第3のHTTPリクエストをサーバ装置20に対して再送し、再度サーバ装置20からのHTTPレスポンスの受信待機状態となる。
【0028】
サーバ装置20において、第1のHTTPリクエストに応じたプッシュ通知が発生すると、通信装置10に対してサーバ装置20からのHTTPレスポンスが送信され、送受信装置102は、このHTTPレスポンスを受信する(S111)。ここでサーバ装置20から送信されるHTTPレスポンスは、図5に示すように、HTTPレスポンスのボディ部に第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスがカプセル化されている。
送受信制御部102はこの受信したHTTPレスポンスから、第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを取り出す(S112)。
【0029】
送受信制御部102は、サーバ装置20から送信された第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスから抽出した、第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスについて受信処理を行い(S113)、送受信制御動作を終了する。
【0030】
[通信装置の動作モードが切り替わる際の通信装置における送受信制御]
次に、通信装置10の動作モードが切り替わる際の送受信制御の手順について説明する。図6に示すように、動作モード制御部101は、通信装置10の図示しない記憶部に記憶されている所定の設定条件に基づいて、自装置の動作モードをポーリング動作モードとリクエスト保留動作モードのいずれかに切り替える(S201)。所定の設定条件として、通信装置10の電池残量や動作環境、また、時刻や動作の経過時間、さらに、ユーザの明示的な指示などを設定条件としてもよい。
動作モード制御部101が通信装置10の動作モードを切り替えた後、送受信制御部102は、自装置の動作状態がプッシュ通知要求動作中であるか否かの判定を行う(S202)。ここで、プッシュ通知要求動作中である状態とは、送受信制御部12が第3のHTTPリクエストを発行し、第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを受信して第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスの取り出しを行うまでのいずれかの状態にあることを示す。
自装置の動作状態の判定結果がプッシュ通知要求動作中でなかった場合(S202で「No」)、通信装置10とサーバ装置20との間において、第3のHTTPリクエストに対応したプッシュ通知を実施するための処理は行われていないので、通信装置10の動作モードが切り替わる際の送受信制御処理は終了する。
自装置の動作状態判定結果がプッシュ通知要求動作中であった場合(S202で「Yes」)、送受信制御部102は、自装置の動作モードを確認する(S203)。
【0031】
自装置の動作モードがリクエスト保留動作モードからポーリング動作モードへ切り替わっていた場合(S203でポーリング方式)、送受信制御部102は、その時点においてサーバ装置20に対して送信しているリクエスト保留方式の第3のHTTPリクエストに対応した処理を中断する要求をサーバ装置20に対して送信する(S204)。すると、サーバ装置20は、この中断要求を受信してリクエスト保留方式による第3のHTTPリクエストに対する処理を中断し、処理の中断が完了したことを通信装置10に通知する。
送受信制御部102は、サーバ装置20からリクエスト保留方式の第3のHTTPリクエストに対応した処理が中断された通知を受信すると(S205)、ポーリング方式の第3のHTTPリクエストを発行して、サーバ装置20に対してこの第3のHTTPリクエストを送信する(S206)。
これに対し、自装置の動作モードがポーリング動作モードからリクエスト保留動作モードへ切り替わっていた場合(S203でリクエスト保留方式)、送受信制御部102は、所定のポーリング間隔の待機状態を中断し(S207)、リクエスト保留方式の第3のHTTPリクエストを発行して、サーバ装置2に対してこの第3のHTTPリクエストを送信する(S208)。
【0032】
次に、本実施の形態にかかるサーバ装置20の動作について説明する。
サーバ装置20にある送受信制御部201は、図7に示すように、通信装置1から送信された第2のHTTPリクエストを受信する。ここで受信した第2のHTTPリクエストには、リクエスト保留方式による情報の受信要求である第1のHTTPリクエストがカプセル化されているので、送受信制御部201は第2のHTTPリクエストのカプセル化を解除し、第1のHTTPリクエストを取り出す(S301)。
送受信制御部201は、自装置が取り出した第1のHTTPリクエストに応じたイベントの発生の待機状態となるとともに、プッシュ通知の登録が完了したことを通知するべく、第2のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを通信装置10に対して送信する(S302)。
【0033】
送受信制御部201は、第2のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを送信した後、通信装置10から送信されるポーリング方式もしくはリクエスト保留方式によるプッシュ通知の受信要求である第3のHTTPリクエストの受信を待ち受ける状態となる(S303)。
通信装置10から送信された第3のHTTPリクエストを受信すると(S304)、受信制御部201は、受信した第3のHTTPリクエストにおけるプッシュ通知の方式がポーリング方式であるのか、リクエスト保留方式であるのか判定を行う(S305)。
【0034】
第3のHTTPリクエストにおけるプッシュ通知の方式がポーリング方式であった場合(S305で「ポーリング方式」)、送受信制御部201は、第3のHTTPリクエストから取り出した第1のHTTPリクエストに応じたイベントの発生を確認する。すなわち、通信装置10に対するプッシュ通知の有無を確認する(S306)。
送受信制御部201は、通信装置10に対するプッシュ通知の有無の確認結果に対応した、HTTPレスポンスを通信装置10に送信する(S307)。ここで、送受信装置201が送信するHTTPレスポンスは、図5に示すように、HTTPレスポンスのボディ部にプッシュ通知の有無に関するデータと第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスがカプセル化されている。
【0035】
送受信制御部201は、通信装置10に対するプッシュ通知が無かった場合、プッシュ通知が無かったことを示すデータをHTTPレスポンスのボディ部に入れ込みカプセル化したHTTPレスポンスを通信装置10に対して送信する。
送受信制御部201は、通信装置10に対するプッシュ通知が有った場合、プッシュ通知が有ったことを示すデータと第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスをカプセル化したHTTPレスポンスを通信装置10に対して送信する。
【0036】
第3のHTTPリクエストにおけるプッシュ通知の方式がリクエスト保留方式であった場合(S305で「リクエスト保留方式」)、送受信制御部201は、通信装置10に対するプッシュ通知が発生するまで、すなわち、第1のHTTPリクエストに応じたイベントが発生するまで待機し(S308)、第1のHTTPリクエストに応じたイベントが発生したら、第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスにカプセル化し(S309)、このカプセル化したHTTPレスポンスを通信装置10に対して送信する。
【0037】
通信制御部201は、HTTPレスポンスを通信装置10に送信した後、再び通信装置10から送信されるリクエストの待ち受け状態となる(S303)。
【0038】
次に、本実施の形態にかかる通信システムの動作について、図8を参照して説明する。本実施の形態にかかるポーリング方式とリクエスト保留方式とを切り替えてプッシュ通知を行う通信システムは、ネットワーク1に接続された通信装置10とサーバ装置20とが互いにHTTPをはじめとするリクエスト・レスポンス形式の通信プロトコルを利用して、ネットワーク1を介して通信装置10が送信したリクエストに対してサーバ装置20がレスポンスを送信することによって成立する。
図6に示すように、通信装置10がサーバ装置20から所望の情報を受信するためにプッシュ通知の開始要求であるリクエストを発行する(S1)。次に、通信装置10は発行したプッシュ通知の開始要求であるリクエストをサーバ装置20に対して送信し、サーバ装置20からのプッシュ通知の受信開始の登録であるプッシュ登録を行う(S2)。
サーバ装置20は、通信装置10から送信されたプッシュ開始要求であるリクエストを受信する。サーバ装置20は、この受信したリクエストに対応したイベント発生の待ち受け状態となる一方、通信装置10から要求されたプッシュ通知を開始するための登録が完了したことを通信装置10に対して通知する(S3)。
サーバ装置20は、通信装置10に対してプッシュ通知を開始するための登録が完了したことを通知した後、通信装置10から送信されるプッシュ通知の受信要求であるリクエストの待ち受け状態となる(S4)。
サーバ装置20からプッシュ通知開始の登録が完了したことを受信した通信装置10は、自装置の動作モードに応じてポーリング方式とリクエスト保留方式とのいずれかのプッシュ通知方式に切り替えて、プッシュ通知の受信要求であるリクエストを発行して、サーバ装置20に対しこのリクエストを送信する(S5)。
通信装置10から送信されたプッシュ通知の受信要求であるリクエストを受信したサーバ装置20は、この受信したリクエストにおけるプッシュ通知の方式に応じたレスポンスを発行し、このリクエストに応じたレスポンスを通信装置10に対して送信することにより、プッシュ通知を実行する(S6)。
通信装置10は、サーバ装置20から送信されたプッシュ通知のレスポンスを受信し(S7)、受信したレスポンスから所望の情報を抽出する受信処理を行う(S8)。
【0039】
このように、通信装置10の状況に応じてポーリング方式とリクエスト保留方式とを切り替えてプッシュ通知を行うことによって、プッシュ通知のリアルタイム性と通信装置の省電力化を両立させることができる。
【0040】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図9〜図11を参照して説明する。
本実施の形態にかかる通信システムは、ポーリング方式とリクエスト保留方式を切り替えてプッシュ通知を行うものであり、特に、自装置の状況に対応して柔軟にポーリング方式とリクエスト保留方式とを切り替えることが可能な通信装置とサーバ装置とから構成される通信システムである。
図9に示すように、ネットワーク1に接続される通信装置11とサーバ装置20から構成される。
通信装置11は、自装置の動作モードを設定条件に基づいて、ポーリング方式での送受信動作を行うポーリング動作モードとリクエスト保留方式による送受信動作を行うリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替える動作モード制御部111と、自装置の動作モードを図示しない通信装置11の記憶部に記憶して、ネットワークに接続されたサーバ装置20に対し自装置の動作モードに応じたリクエストとレスポンスの送受信処理を行う送受信制御部102とから構成されている。
この動作モード制御部111は、設定条件を決定するための判定基準となる動作ポリシーを記憶する動作ポリシー管理部112と、この動作ポリシーに則り決定した設定条件に基づいて自装置の動作モードをポーリング動作モードとリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替える動作モード切り替え部113とから構成されている。
なお、これらの構成要素は、CPUやメモリ、インターフェースを備えたコンピュータに、コンピュータプログラムをインストールすることにより、上記の通信装置11ならびにサーバ装置20のコンピュータのハードウェア資源とソフトウェアが協働して実現されるものである。
また、本実施の形態における通信装置11の送受信制御部102と、サーバ装置20とは、第2の実施の形態において説明した通信装置11の送受信制御部102とサーバ装置20とが同一の構成および機能を有するため、ここでは同一の符号を用い、その説明は省略する。
【0041】
次に通信装置11にある動作モード制御部111の動作を中心に説明しながら、本実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。
通信装置11にある動作モード制御部111は、動作ポリシーに則り自装置の動作モードを切り替える設定条件を決定し、自装置の動作モードを切り替える。
【0042】
ここで、動作ポリシーについて説明する。
動作モード制御部111は、通信装置11の図示しない記憶部に記憶されている自装置の動作モードを切り替える条件について記述された複数の外部データに対して所定の重み付けを行うことによって動作ポリシーを作成する。
また、動作ポリシーを構成する各外部データについて、ユーザによる設定に加えて、プッシュ通知を行うサーバ装置からの設定や通信キャリアによる設定が可能な外部データとしてもよい。
【0043】
動作ポリシーの例を図10に示す。
図10に示すように、自装置の動作モードを切り替えるために参照する自装置の状態を「項目」とし、各項目に対する「条件」と、この条件に合致した時に選択すべき「動作モード」とが対応付けられて記述されている。この例においては、複数の条件が重なった場合、より上位に記述されている条件に基づいて判定がなされるものとする。
例えば、図10の実施例において、動作モード制御部111は、通信装置11の電池残量が10%未満であっても、通信装置の場所が自宅である場合は、リクエスト保留動作モードを選択するように、設定条件が決定される。
したがって、通信装置11の状況に応じて柔軟に動作モードを切り替えることが可能となり、通信装置11は動作モード制御部111により切り替えられた動作モードに応じたプッシュ通知の方式でサーバ装置20との通信を行う。
【0044】
次に、動作モード制御部111の動作について図11を参照して説明する。
図11は、動作モード制御部111の動作モード切り替え動作手順を示した動作フローチャートである。動作モード制御部111にある動作ポリシー管理部112は、自装置の動作モードを切り替えるタイミングが記述された外部データから動作ポリシーを作成し(S401)、作成した動作ポリシーを図示しない通信装置11の記憶部に記憶する(S402)。
【0045】
次に、動作ポリシー管理部112はこの動作ポリシーに基づいて自装置の動作モードを切り替えるための設定条件を決定する(S403)。設定条件の決定は、複数の外部データ、すなわち、通信装置11の動作モードを切り替えるタイミングが記述されている複数の条件に対して、動作ポリシーに則り優先順位を付けこの優先順位が最上位の条件が設定条件となるようにする。
【0046】
次に、動作モード切り替え部113は、決定した設定条件に基づいて自装置の動作モードの切り替え制御を行い(S404)、送受信制御部102へ自装置の現在の動作モードを通知する(S405)。その結果、動作モード切り替え部113により切り替えられた動作モードで通信装置11はサーバ装置20との通信を行う。
【0047】
このように、自装置の切り替えタイミングが記述された複数の外部データに順応した動作ポリシーを管理する通信装置11は、自装置の状況に柔軟に対応した動作モードの切り替え動作が可能となる。したがって、より柔軟にポーリング方式とリクエスト保留方式を切り替えてプッシュ通知を行うことが可能となり、プッシュ通知のリアルタイム性と通信装置の省電力化の両立がさらに効率よく実現させることができる。
【0048】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態にかかる通信システムは、ネットワークに接続された複数のアプリケーションサーバ装置とプロキシサーバ装置と通信装置とから構成される通信システムであり、通信装置とプロキシサーバ装置の間においてポーリング方式とリクエスト保留方式を切り替えてプッシュ通知を行い、プロキシサーバ装置とアプリケーションサーバ装置との間においては常にリクエスト保留方式による送受信を行う通信システムである。
図12は、本実施の形態にかかる通信システムの概要を示す図である。図12に示すように、ネットワーク1に接続される通信装置11とプロキシサーバ装置21と複数のアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nとから構成される。なお、本実施の形態にかかる通信装置11は、第2の実施の形態において説明した通信装置11と同一の構成および機能を有するものとして、対応する要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0049】
プロキシサーバ装置21は、複数のアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nに対してリクエスト保留方式のリクエストを発行して送信し、複数のアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nから送信されるレスポンスを受信する一方、通信装置11から送信されるリクエストを受信処理して、この受信したリクエストにおけるポーリング方式とリクエスト保留方式とのいずれかのプッシュ通知の方式に応じたレスポンスの送信処理を行うプロキシサーバ送受信制御部211を備えている。
複数のアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nを構成するアプリケーションサーバ装置は、プロキシサーバ装置21から送信されるリクエスト保留方式のHTTPリクエストを受信し、受信したHTTPリクエストに対応するレスポンスをプロキシサーバ装置21に対して送信するAPサーバ送受信制御部221を備えている。
なお、これらの構成要素は、CPUやメモリ、インターフェースを備えたコンピュータに、コンピュータプログラムをインストールすることにより、上記の通信装置11やプロキシサーバ装置21ならびにアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nのコンピュータのハードウェア資源とソフトウェアが協働して実現されるものである。
【0050】
次に、プロキシサーバ装置21ならびにアプリケーションサーバ装置22の動作を中心に説明しながら、本実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。
【0051】
図13はプロキシサーバ装置21の動作フローを示したフローチャートである。プロキシサーバ装置21にあるプロキシサーバ送受信制御部211は、通信装置11から送信された第2のHTTPリクエストを受信する。ここで受信した第2のHTTPリクエストは、リクエスト保留方式の第1のHTTPリクエストがカプセル化されており、送受信制御部21は第2のHTTPリクエストのカプセル化を解除し、第1のHTTPリクエストを取り出す(S601)。ここで、第2のHTTPリクエストから取り出す第1のHTTPリクエストは、通信装置11がアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nから受信すべき所望の情報に対する受信要求であり、すなわち、本実施の形態においては、複数のアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nから送信される複数の情報に対する受信要求である。
プロキシサーバ送受信制御部211は、カプセル化を解除して取り出したリクエスト保留方式の第1のHTTPリクエストに対応するアプリケーションサーバ装置に対して、対応する第1のHTTPリクエストを送信し(S602)、かつ、第2のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを通信装置11に対して送信して、プッシュ通知の登録が完了したことを通知する(S603)。
プロキシサーバ送受信制御部211は、通信装置11からの第3のHTTPリクエストの待ち受け状態となる(S604)。
【0052】
ここで、通信装置11の動作について簡単に説明する。本実施の形態にかかる通信システムにおいて、通信装置11の動作は、第3の実施の形態における通信装置11の動作と同一であるため、その説明は省略する。ただし、本実施の形態における通信装置11は、プロキシサーバ装置21との間においてリクエストとレスポンスの送受信動作を行うものであり、第3の実施の形態における通信装置11の動作手順内で記載されている「サーバ装置20」を「プロキシサーバ装置21」に読み替えることとする。
【0053】
次に、プロキシサーバ送受信制御部211は、複数のアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nに対して送信した全ての第1のHTTPリクエストに応じたレスポンスの受信待機状態となり(S605)、それぞれのアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nから送信される第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスをそれぞれ受信する(S606)。
【0054】
一方で、プロキシサーバ送受信制御部211は、通信装置11から送信される第3のHTTPリクエストを受信し(S607)、このHTTPリクエストにおけるプッシュ通知の方式がポーリング方式であるのか、リクエスト保留方式であるのか判定を行う(S608)。
この判定結果がポーリング方式であった場合(S608でポーリング方式)、プロキシサーバ送受信制御部211は、複数のアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nに対して送信した全ての第1のHTTPリクエストに応じたレスポンス受信の有無を確認する。すなわち、通信装置11が受信を要求している情報に対する全てのプッシュ通知の有無を確認する(S609)。
プロキシサーバ送受信制御部211は、通信装置11に対する全てのプッシュ通知の有無の確認を行った後、全てのプッシュ通知の有無に関する情報と、プッシュ通知が有った第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスとをカプセル化した第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを通信装置11に送信する(S610)。ここで、プロキシサーバ送受信装置211が送信するHTTPレスポンスは、図5に示すように、HTTPレスポンスのボディ部にプッシュ通知の有無に関する全てのデータとプッシュ通知が有った第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスがカプセル化されている。
【0055】
第3のHTTPリクエストにおけるプッシュ通知の方式がリクエスト保留方式であった場合(S608「でリクエスト保留方式」)、プロキシサーバ送受信制御部211は、ある一つの通信装置11に対するプッシュ通知が発生すると、すなわち、ある一つの第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスをアプリケーションサーバ装置22−nから受信した際、即座にその第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスをカプセル化した第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを発行し、このカプセル化したHTTPレスポンスを通信装置11に対して送信する(S611)。ここで送受信装置21が送信するHTTPレスポンスは、図5に示すように、HTTPレスポンスのボディ部に第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを含ませてカプセル化されている。
プロキシサーバ送受信制御部211は、アプリケーションサーバ装置22−1〜22−nに対して送信した全ての第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを受信するまで、上述した動作をくり返す(S612)。
【0056】
プロキシサーバ通信制御部21は、再び通信装置11から送信されるリクエストの待ち受け状態となる。
【0057】
次に、アプリケーションサーバ装置22−nの動作について説明する。
図14はアプリケーションサーバ装置22−nの動作フローを示したフローチャートである。アプリケーションサーバ装置22にあるAPサーバ送受信制御部221は、プロキシサーバ装置211から送信されるリクエスト保留方式の第1のHTTPリクエストを受信する(S701)。APサーバ送受信制御部221は、受信したリクエスト保留方式の第1のHTTPリクエストに応じたイベントが発生した際、即座にプロキシサーバ装置21に対して第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを送信し(S702)、プロキシサーバからのリクエスト保留方式のリクエストの待ち受け状態となる(S703)。
【0058】
図15は、本実施の形態にかかる通信システムも動作シーケンスを示すシーケンス図である。
図15に示すように、通信装置11が複数のアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nから所望の情報を受信するために、通信装置11はリクエスト保留方式による所望の情報に対する受信要求である第1のHTTPリクエストをカプセル化したプッシュ通知の開始要求である第2のHTTPリクエストを発行する(S11)。次に、通信装置11は、発行した第2のHTTPリクエストをプロキシサーバ装置21に対して送信して、プロキシサーバ装置21からのプッシュ通知の受信開始の登録であるプッシュ登録を行う(S12)。
【0059】
通信装置11から送信されたプッシュ通知の開始要求である第2のHTTPリクエストを受信したプロキシサーバ装置21は、この第2のHTTPリクエストのカプセル化を解除して第1のHTTPリクエストを取り出し、この第1のHTTPリクエストに対応したアプリケーションサーバ装置22−1〜22−nに対して、この第1のHTTPリクエストを送信する一方、通信装置11から要求されたプッシュ通知を開始するための登録が完了したことを通信装置11に対して通知する(S13)。
プロキシサーバ装置21は、通信装置11に対してプッシュ通知を開始するための登録が完了したことを通知した後、通信装置11から送信される第3のHTTPリクエストとアプリケーションサーバ装置から送信される第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスの受信待ち受け状態となる(S14)。
【0060】
プロキシサーバ装置21から送信されたプッシュ通知開始の登録が完了したことを受信した通信装置11は、自装置の動作モードに応じてポーリング方式とリクエスト保留方式とのいずれかのプッシュ通知の方式に切り替えて、プッシュ通知の受信要求である第3のHTTPリクエストを発行して、プロキシサーバ装置21に対しこの第3のHTTPリクエストを送信する(S15)。
【0061】
アプリケーションサーバ装置22−nは、プロキシサーバ装置21から送信されたリクエスト保留方式の第1のHTTPリクエストを受信し(S16)、この第1のHTTPリクエストに応じたイベントの発生待機状態となる(S17)。
アプリケーションサーバ装置22−nは、第1のHTTPリクエストに応じたイベントが発生した際、即座にプロキシサーバ装置21に対して、このHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを送信する(S18)。
【0062】
プロキシサーバ装置21は、通信装置11から送信された第3のHTTPリクエストを受信する一方で、アプリケーションサーバ装置22−nから送信された第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスを受信する。
プロキシサーバ装置21は、受信した第3のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスに、受信した第1のHTTPリクエストに応じたHTTPレスポンスをカプセル化した状態で発行する。このHTTPレスポンスを通信装置11に対して送信することにより、プッシュ通知を実行する(S19)。
【0063】
通信装置11は、プロキシサーバ装置21から送信されたプッシュ通知であるHTTPレスポンスを受信し(S20)、受信したHTTPレスポンスから所望の情報を抽出する受信処理を行う(S21)。
【0064】
このように、本実施の形態にかかる通信システムによれば、通信装置において、複数のアプリケーションサーバ装置から情報を受信する場合、アプリケーションサーバ装置ごとにプッシュ通知の方式を指定することなく、通信装置の状況に応じてポーリング方式とリクエスト保留方式を切り替えて複数のプッシュ通知を並行して受けることが可能となる。
また、本実施の形態にかかる通信システムのように、複数のアプリケーションサーバ装置から情報を受信する場合において、通信装置が利用する通信路はプロキシサーバ装置との間のみであり、通信網におけるトラフィックの面においてもメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、ネットワークを介したインターネットメールの到着通知をはじめとした、リアルタイム性が要求されるネットワークサービスにおいて、クライアントの電力消費を抑えたサーバからクライアントに対する情報のプッシュを行うといった用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる通信装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。
【図3】送受信制御部の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】HTTPリクエスト構造におけるカプセル化を概念的に説明する概念図である。
【図5】HTTPレスポンス構造におけるカプセル化を概念的に説明する概念図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における通信装置において動作モードの切り替えが発生した際の送受信手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるサーバ装置の送受信手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。
【図10】動作ポリシーの一例を示す図である。
【図11】動作モード制御部の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。
【図13】プロキシサーバ装置の動作手順を示したフローチャートである。
【図14】アプリケーションサーバ装置の動作手順を示したフローチャートである。
【図15】本発明の第4の実施の形態にかかる通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0067】
1…ネットワーク、10,11…通信装置、20…サーバ装置、21…プロキシサーバ装置、22−1〜22−n…アプリケーションサーバ装置、101,111…動作モード制御部、112…動作ポリシー管理部、113…動作モード切り替え部、102…送受信制御部(通信装置)、201…送受信制御部(サーバ装置)、211…プロキシサーバ送受信制御部、221…APサーバ送受信制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたサーバ装置に対してリクエストを送信しこのリクエストに対応したレスポンスを受信する通信装置において、
自装置の動作モードを所定の設定条件に基づき、前記サーバ装置に対して定期的に問い合わせを発行し前記サーバ装置からの応答を受信するポーリング動作モードと、前記サーバ装置によって通知すべき応答が発生した際に送信されるその応答を受信するリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替える動作モード制御手段と、
前記サーバ装置に対して自装置の動作モードに応じたリクエストの送信制御とレスポンスの受信制御を行う送受信制御手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載された通信装置において、
前記動作モード制御手段は、前記設定条件を決定する判定基準である動作ポリシーを記憶する動作ポリシー管理手段と、
前記動作ポリシーに則り決定した設定条件に基づいて自装置の動作モードを前記ポーリング動作モードと前記リクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替える動作モード切り替え手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項3】
ネットワークに接続されたサーバ装置に対してリクエストを送信しこのリクエストに対応したレスポンスを受信する通信装置の送受信制御方法において、
自装置の動作モードを所定の設定条件に基づいて、前記サーバ装置に対するリクエストを定期的に発行し前記サーバ装置からのレスポンスを受信するポーリング動作モードと、前記サーバ装置によって通知すべきレスポンスが発生した際に送信されるそのレスポンスを受信するリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替える動作モード切り替えステップと、
前記サーバ装置に対して自装置の動作モードに応じたリクエストの送信制御とレスポンスの受信制御を行う送受信制御ステップと
を有することを特徴とする携帯端末装置の送受信制御方法。
【請求項4】
ネットワークに接続されたサーバ装置に対してリクエストを送信しこのリクエストに対応したレスポンスを受信する通信装置に搭載されているコンピュータに、
自装置の動作モードを所定の設定条件に基づいて、前記サーバ装置に対するリクエストを定期的に発行し前記サーバ装置からのレスポンスを受信するポーリング動作モードと、前記サーバ装置によって通知すべきレスポンスが発生した際に送信されるそのレスポンスを受信するリクエスト保留動作モードとのいずれかに切り替える動作モード切り替えステップと、
前記サーバ装置に対して自装置の動作モードに応じたリクエストの送信制御とレスポンスの受信制御を行う送受信制御ステップと
を実行させることを特徴とする携帯端末装置の送受信制御プログラム。
【請求項5】
ネットワークに接続されたサーバ装置とこのサーバ装置に対してリクエストを送信してこのリクエストに対応したレスポンスを受信する通信装置とからなる通信システムにおいて、
前記通信装置は、請求項1又は請求項2に記載された通信装置であり、
前記サーバ装置は、前記通信装置から送信されるリクエストを受信処理して、この受信したリクエストに応じたレスポンスを送信処理する送受信制御手段を
備えることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
ネットワークに接続される通信装置とプロキシサーバ装置と複数のアプリケーションサーバ装置とが互いに通信を行う通信システムにおいて、
前記通信装置は、請求項1又は請求項2に記載された通信装置であり、
前記プロキシサーバ装置は、前記通信装置から送信されるリクエストを受信処理して、この受信したリクエストに応じたレスポンスを送信処理する送受信制御手段と、前記複数のアプリケーションサーバ装置とリクエスト保留方式による通信を行うリクエスト保留通信手段とを備え、
前記アプリケーションサーバ装置は、前記プロキシサーバ装置とリクエスト保留方式による通信を行うリクエスト保留通信手段を
備えることを特徴とする通信システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−141851(P2010−141851A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318970(P2008−318970)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】