説明

通信装置、該通信装置の制御方法およびプログラム

【課題】 複数の通信インターフェイスを有する通信装置において、周囲の環境に応じて、省電力時に動作させる通信インターフェイスを選択することで省電力効果を高めることを目的とする。
【解決手段】 本発明の通信装置は、第1の通信インターフェイスを介して第1の他の装置と通信すると共に、第2の通信インターフェイスを介して第2の他の装置と通信する通信装置であって、前記第1の他の装置が前記第1の通信インターフェイスの省電力機能に対応しているか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて、前記通信装置が省電力状態となる場合に動作する通信インターフェイスを前記第1の通信インターフェイスおよび前記第2の通信インターフェイスの中から選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の通信インターフェイスを有する通信装置、該通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの通信装置には消費電力の低減する省電力状態となる機能(省電力機能)が搭載されている。例えば有線LAN規格としてIEEE802.3azにて規定されるLPI(Low Power Idle)や、無線LAN規格としてIEEE802.11シリーズにて規定されるPowerSaveがある。このような通信装置では、省電力状態においてもネットワークへの接続状態を継続している。
【0003】
また、通信装置が複数の通信インターフェイスを備えている場合、通信部における消費電力は通信インターフェイスの数が多いほど大きくなってしまう。そこで、複数の通信インターフェイスのうち1つだけを動作させる制御手法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、複数の通信インターフェイスの各々が対向装置と接続しているかを確認し、接続を確認できた通信インターフェイスのうちの1つだけを動作させている。また、特許文献2では、複数の通信インターフェイスのうちデータ通信時の消費電力の最も少ない1つの通信インターフェイスを選択して動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−280778
【特許文献2】特開2004−194220
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通信装置が省電力状態となる際、1つの通信インターフェイスを選択的に動作させる場合、選択された通信インターフェイスの対向装置が省電力機能に対応していないと、当該通信インターフェイスは省電力状態となることができない。この結果、通信装置の省電力効果が低減してしまう。
【0007】
本発明は、複数の通信インターフェイスを有する通信装置において、周囲の環境に応じて、省電力時に動作させる通信インターフェイスを選択することで省電力効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の通信装置は、第1の通信インターフェイスを介して第1の他の装置と通信すると共に、第2の通信インターフェイスを介して第2の他の装置と通信する通信装置であって、前記第1の他の装置が前記第1の通信インターフェイスの省電力機能に対応しているか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて、前記通信装置が省電力状態となる場合に動作する通信インターフェイスを前記第1の通信インターフェイスおよび前記第2の通信インターフェイスの中から選択する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、周囲の環境に応じて、省電力時に動作させる通信インターフェイスを選択するので省電力効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を実施可能な通信システム図
【図2】本発明を実施可能な通信装置のブロック構成図
【図3】主処理部、通信処理部、対向通信機器のシーケンス図
【図4】通信処理部の待受けインターフェイス選択動作を示すフローチャート図
【図5】インターフェイス決定部における対向通信機器の比較処理を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に本実施形態のシステム構成を示す。
【0012】
通信装置101は、主処理部(メインシステム)102と通信処理部(サブシステム)103とを有する。主処理部102は、通信装置101全体を制御する。例えば、通信装置101がプリンタであれば印刷、カメラであれば撮像に関する処理を行う。通信処理部103は通信に関する処理を行う。
【0013】
通信装置101は、更に複数の通信インターフェイスを有し、通信処理部103は各通信インターフェイスを介した通信の制御を行う。本実施形態では、通信処理部103は2つの通信方式に対応しており、一方の通信方式は有線通信(IEEE802.3に準拠した通信)であり、他方の通信方式は無線通信(IEEE802.11シリーズに準拠した通信)である。通信装置101は、有線通信および無線通信を同時に動作させることができる。ここで、有線通信用の通信インターフェイス(即ち、有線インターフェイス)はケーブルソケット104であり、無線通信用の通信インターフェイス(即ち、無線インターフェイス)はアンテナ107である。なお、他の規格に準拠した有線通信や無線通信であってもよい。
【0014】
ケーブルソケット104は接続ケーブル105を介して有線対向通信機器106に接続され、更に有線対向通信機器106を介してネットワーク110に接続されている。有線対向通信機器106としては、ハブやルータなどが挙げられる。
【0015】
アンテナ107は大気(無線媒体)108を介して無線対向通信機器109に接続され、更に無線対向通信機器109を介してネットワーク110に接続されている。無線対向通信機器109としては、アクセスポイント(基地局)が挙げられる。
【0016】
本実施形態では、有線対向通信機器106と無線対向通信機器109は同一のネットワークに属しているものとする。また、通信装置101とこれらの対向装置(106および109)とは各通信インターフェイスを介して直接通信するものとする。
【0017】
他の通信装置(以下、外部装置)111は、ネットワーク110を介して有線対向通信機器106、および、無線対向通信機器109と接続されており、通信装置101との間でデータ通信が可能である。例えば、通信装置101がプリンタであれば、外部装置111からネットワーク110を介して印刷指示を行うことにより、通信装置101に印刷処理を行わせることができる。
【0018】
本実施形態の通信装置101は、通常状態と省電力状態のいずれかの状態で動作するものとする。通信装置101が通常状態である場合、主処理部102および通信処理部103の各回路ブロックに通常の電力供給が行われる。
【0019】
一方、通信装置101が省電力状態である場合には、主処理部102のうち少なくとも一部の回路への電力供給の停止もしくは低減(電圧を下げる等)が行われる。このとき通信処理部103は、ケーブルソケット104および無線アンテナ107のいずれかの通信インターフェイスにより通信が可能な状態である。
【0020】
通常状態において有線インターフェイスおよび無線インターフェイスの両方を通信に利用している場合には、省電力状態移行時に、どちらか一方の通信インターフェイスが選択される。ここで、選択されなかった通信インターフェイスには、電力供給の停止もしくは低減が行われる。
【0021】
なお、本実施形態では2つの通信インターフェイスのうちの1つを選択しているが、3つ以上の通信インターフェイスを有する場合であっても、1つの通信インターフェイスを選択するものとする。これにより、通信を待ち受けるインターフェイスが1つに絞られるので、省電力効果をより高めることができる。
【0022】
通信装置101における省電力状態への移行は、外部装置111からネットワークを介して省電力状態移行命令を受信する、もしくは主処理部102が実行すべきジョブが一定の期間において発生していない場合に行われる。
【0023】
省電力状態にある通信装置101は、外部装置111から通信インターフェイスを介して起動パケットを通信処理部103が受信すると、通信装置101は省電力状態から、通常状態へ移行する。即ち、WOL(Wake−On−LAN)機能およびWOWLAN(Wake−On−Wireless−LAN)機能に対応している。
【0024】
また、ここでは、起動パケットとして、AMD社が開発したMagicPacket(登録商標)を利用するものとする。MagicPacketは、特別なデータパターンを含むパケットであり、UDP(User Datagram Protocol)を利用してブロードキャスト送信される。MagicPacketのペイロード部には、通常状態に復帰させるターゲットとなる通信装置のMAC(Media Access Control)アドレスを複数繰り返したパターンが記入されている。なお、通信装置の省電力状態を解除する信号であれば、MagicPacketでなくてもよい。
【0025】
図2に、通信装置101の内部構成を示す。
【0026】
主処理部102には、メインCPU201、メインメモリ202、電力制御部203が含まれる。メインCPU201は、通信装置全体を制御するためのアプリケーションを実行する。
【0027】
202は、ROMやRAMから構成されるメインメモリである。メインメモリ202は、メインCPU201が実行するプログラムを格納しており、また、メインCPU201で扱う各種データも格納する。なお、メインメモリ202として、ROM、RAMの代わりに、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いるようにしてもよい。
【0028】
203は電力制御部である。電力制御部203は、主処理部102の各回路への電力供給制御を行う。電力制御部203が、主処理部102の各回路への電源供給の停止や低減を行うことで、通信装置101を通常状態と省電力状態とに切替えることができる。なお、電力制御部203は、メインCPU201からの省電力移行命令に基づいて、電源供給の停止や低減を行う。また、電力制御部203は、動作状態決定部213より通常状態移行要求信号214が通知されると電源供給の停止または低減を行っていた各ブロックに対し、電源供給を再開する。なお、通信装置101の省電力状態への移行に伴う通信インターフェイスに対する電源供給の停止や低減は、後述するインターフェイス制御部212が行うものとする。
【0029】
204はメインバスである。メインバス204は、メインCPU201が各機能ブロックへアクセスするために利用される。205はローカルバスである。ローカルバス205は、通信処理部103が各機能ブロックへアクセスするために利用される。206はバスブリッジ処理部である。バスブリッジ処理部206は、メインバス204とローカルバス205の接続に関わる処理を行う。
【0030】
通信処理部103には通信制御部207、サブメモリ208、有線インターフェイス104、および無線インターフェイス107が含まれる。通信制御部207は通信処理部103の制御を担う。通信制御部207は、送信処理部209、対向通信機器調査部210、インターフェイス決定部211、インターフェイス制御部212、動作状態決定部213を含む。209は送受信処理部である。送受信処理部209は、データの送信処理または受信処理を担う。
【0031】
210は、対向通信機器調査部である。対向通信機器調査部210は、通信装置101と接続している有線対向通信機器および無線対向通信機器の対応規格の調査を行う。即ち、有線対向通信機器および無線対向通信機器が対応する各通信インターフェイスの省電力機能に対応しているか否かを判定する。
【0032】
ここでは、有線対向通信機器が802.3azに対応していれば有線対向通信機器がその旨を通知するものとする。対向通信機器調査部210は、この通知を確認することで対向通信機器が省電力機能を有するか否かの調査を行う。即ち、この通知があれば有線対向通信機器は802.3azに対応していると判定し、この通知が無ければ有線対向通信機器は802.3azに対応していないと判定する。
【0033】
また、無線対向通信機器がPowerSaveに対応していれば、無線対向通信機器はビーコンにその旨の情報を含めて送信する。対向通信機器調査部210は、ビーコンにPowerSaveに対応している旨の情報が含まれている場合には、無線対向通信機器がPowerSaveに対応していると判定する。また、ビーコンにPowerSaveに対応している旨の情報が含まれていない場合には、無線対向通信機器がPowerSaveに対応していないと判定する。
【0034】
また、対向通信機器調査部210は、有線対向通信機器および無線対向通信機器が、通信装置101に応答を要求するパケットを代理応答する機能(代理応答機能)を有するか否かを判定する。ここでは、代理応答機能を有するか否かを問い合わせるパケットを送信し、これに対して対向通信機器が、代理応答機能を有する旨の応答をした場合に、当該対向通信機器が代理応答機能を有すると判定する。
【0035】
これらの判定結果(以下、調査結果と称する)は、対向通信機器毎に対向通信機器情報記憶部215に格納される。
【0036】
ここで、代理応答機能について説明する。省電力状態にある通信装置101に、応答を返す必要のある所定の問い合わせがあった場合、通信装置101は省電力状態から通常状態に復帰し、応答を返さねばならない。例えば、ARP(Address Resolution Protocol)リクエストパケットやUPnP(Universal Plug & Play)における名前解決リクエストパケットに対して通信装置101は応答を返さねばならない。
【0037】
代理応答機能とは、このような通信装置の応答を必要とするパケットを、通信装置に転送することなく、対向通信機器が自律的に応答を返してくれる機能である。代理応答機能を有する対向通信機器が通信装置101の応答を必要とするパケットを受信すると、当該パケットの宛先が通信装置101であるにも関わらず、対向通信機器は、通信装置に当該パケットを転送することなく、適切な応答を行う。これにより、通信装置101は省電力状態を維持出来るため、より高い省電効果をあげることが出来る。
【0038】
211はインターフェイス決定部である。インターフェイス決定部211は、主処理部102が省電力状態時である場合における、起動パケットを待受ける通信インターフェイスの決定(即ち、選択)を行う。具体的には、サブメモリ208内の対向通信機器情報記憶部215に基づいて、省電力状態時に起動パケットを待受ける通信インターフェイスを決定する。ここで決定された通信インターフェイスはインターフェイス制御部212に通知される。この待受けインターフェイスの決定処理は、通信処理部103が対向通信機器とリンク接続を新しく確立した際(即ち、新たに直接接続した場合)、もしくは確立されていたリンク接続が切断した際(即ち、直接接続が切断された場合)に実行される。
【0039】
212はインターフェイス制御部である。インターフェイス制御部212は、通信処理部103が有する各通信インターフェイスへの個別の電力供給制御を行うことで、通信処理部103の通常状態と省電力状態の切替えを制御することが可能である。動作状態決定部213から省電力状態移行命令が通知された場合には、インターフェイス決定部211により通知された待受けインターフェイス以外の通信インターフェイスに対する電源供給を停止する。また、動作状態決定部213より通常状態移行要求信号が通知された場合には、電源供給を停止していた通信インターフェイスに対する電源供給を再開する。
【0040】
213は動作状態決定部である。動作状態決定部213は、通信装置101の動作状態の決定を行い、電力制御部203およびインターフェイス制御部212へ通知する。例えば、外部装置111からネットワーク110を介し省電力状態移行命令を受信した場合、インターフェイス制御部212へ省電力状態移行命令を通知する。また動作状態決定部213は、外部装置111より起動パケットを受信した際に、電力制御部203およびインターフェイス制御部212へウェイクアップ信号として通常状態移行要求信号を出力する。
【0041】
214は、動作状態決定部213から電力制御部203へ通常状態移行要求信号を通知するための信号線である。
【0042】
208はサブメモリである。サブメモリ208は、対向通信機器情報記憶部215を含む。対向通信機器情報記憶部215は、対向通信機器調査部210が行った調査結果を対向通信機器毎に格納する。
【0043】
なお、上記の内部構成は一例であり、複数の機能ブロックが一つの機能ブロックを構成してもよいし、何れかの機能ブロックが更に複数の機能ブロックを構成してもよい。
【0044】
以下に、本実施形態について図3を用いて説明を行う。図3における初期状態では、主処理部102は主電源がOFFの状態である。ここで、ユーザーからのボタン操作が行われることにより主電源がONとなり(301)、主処理部102はシステムを起動する(302)。そして、主処理部102、通信処理部103ともにシステムが起動し通常状態となる(303、304)。
【0045】
次に、主処理部102は各通信対向通信機器との通信接続を確立させるため、通信処理部103に接続要求を送信する(305)。ここでは、まず無線対向通信機器109との接続要求を送信するものとする。
【0046】
通信処理部103は無線接続要求に従って、無線インターフェイス107を介して無線対向通信機器109との接続処理を開始する(306)。無線対向通信機器109との直接接続(以下、リンク接続)が完了すると(307)、図1で示す外部装置111とネットワーク110を介した通信が可能となる。
【0047】
通信処理部103と無線対向通信機器109とのリンク接続が完了すると、通信処理部103は、無線対向通信機器109の機能調査を開始する(308)。ここでは、無線対向通信機器109が省電力規格に対応しているか否か、および、代理応答機能有するか否かを判定する。ここでは、無線対向通信機器109は省電力規格に対応していないものとする。この調査結果は対向通信機器情報記憶部215に格納される。
【0048】
通信処理部103は機能調査が完了すると、機能調査結果およびインターフェイス選択条件記憶部216に格納されている情報に基づいて省電力時に起動パケットの待受けを行う通信インターフェイス決定する(309)。この段階では、通信可能なインターフェイスが無線インターフェイス107のみであるため、無線インターフェイス107で待受けを行う。
【0049】
待受けインターフェイスの決定処理が完了すると、通信処理部103は無線対向通信機器109とのリンク接続が確立したことを主処理部102へと通知する(310)。主処理部102は、無線対向通信機器109とのリンク接続が確立したことを確認すると、通信処理部103へ有線接続要求を行う(311)。
【0050】
通信処理部103は有線接続要求に従って、有線インターフェイス104を介して有線対向通信機器106との接続処理を開始する(312)。通信処理部103と有線対向通信機器106とのリンク接続が確立すると(313)、通信処理部103は、有線対向通信機器106の機能調査を開始する(314)。この機能調査結果は、対向通信機器情報記憶部215に格納される。ここでは、有線対向通信機器106は省電力規格に対応しているものとする。
【0051】
通信処理部103は機能調査が完了すると、再度待受けインターフェイス決定処理を行う(315)。待受けインターフェイス決定処理として、まず有線インターフェイス104および無線インターフェイス107が同一のネットワークに接続されていることを確認する。ここでは、各通信インターフェイスが持つネットワークアドレス(IPアドレス)およびサブネットマスクの比較を行うことで確認する。なお、一方の通信インターフェイスから他方の通信インターフェイスへ、ネットワークを介してパケットを送信する通信テストを行うことで確認するようにしても良い。
【0052】
ここで、有線インターフェイス104および無線インターフェイス107が同一のネットワークに接続していなかった場合には、両通信インターフェイスとも起動パケットを待受ける通信インターフェイスとして決定する。複数の通信インターフェイスが異なるネットワークに接続されている場合、外部装置111からのパケットはいずれかの通信インターフェイスを介してのみ受信され、他の通信インターフェイスからは受信しない。従って、1つの通信インターフェイスだけを動作させるのでは不十分であるため、両通信インターフェイスとも起動パケットを待受ける通信インターフェイスとして決定している。これにより、複数のネットワークに接続している場合であっても、起動パケットを漏れなく受信することができる。
【0053】
本実施形態では、有線インターフェイス104および無線インターフェイス107が同一のネットワークに接続しているので、インターフェイス決定部211は、各通信インターフェイスが接続している対向通信機器の機能調査結果を比較する。ここでは、対向通信機器情報記憶部215に格納されている機能調査結果より、有線対向通信機器106が省電力規格に対応しており、無線対向通信機器109が省電力規格に対応していない。従って、インターフェイス決定部211は、待受けインターフェイスを有線インターフェイス104に決定する。
【0054】
待受けインターフェイスの決定処理が完了すると、通信処理部103は接続が確立したことを主処理部102へと通知する(316)。
【0055】
主処理部102は、各対向通信機器と接続が確立したことを確認すると、通信装置101全体を制御するアプリケーションを起動する(318)。アプリケーションに使用されるデータは、主処理部102と有線対向通信機器106との間で送受信される(319)。なお、アプリケーションデータの送受信は、図1に示す外部装置111と主処理部102の間で行われるものである。例えば、通信装置101がプリンタであり外部装置111からの指示を受け印刷ジョブを実行する場合、画像データやエラー通知等がデータとして通信される。
【0056】
また、主処理部102は、外部装置111から無線対向通信機器109を介し省電力移行要求を受けると(321)、通信処理部103に省電力移行通知を行った後(322)、省電力状態へと移行する(323)。
【0057】
通信処理部103は省電力移行通知を受信すると、起動パケットを待受ける通信インターフェイスを利用した通信テストを行い(324)、省電力移行要求を送信した外部装置111と通信可能であることを確認する。ここでは、起動パケットを待受ける通信インターフェイスを利用して外部装置111にテストパケットを送信し、送信したテストパケットに対して外部装置111が応答したか否かを確認する。なお、省電力移行通知を受信した通信インターフェイスと待受けインターフェイスが同一であった場合は、この通信テストは行わない。これにより、テストパケット等を送信しなくて済むので、ネットワーク110の通信負荷を増大させずに済む。
【0058】
ここで、通信テストの結果、通信不可であった場合には、省電力移行通知を受信した通信インターフェイスを待受けインターフェイスとする。これにより、起動パケットが受信できなくなってしまう可能性を低減することができる。
【0059】
通信テスト終了後、省電力移行処理を開始する(325)。有線対向通信機器106および無線対向通信機器109へ省電力移行通知を行い(326)、無線インターフェイス107の停止処理を行う。省電力移行通知には、起動パケット生成に必要な情報(有線インターフェイス104のMACアドレス等)が含まれる。
【0060】
また、待受けインターフェイスと異なる通信インターフェイスから省電力移行要求を受けた場合には、省電力移行要求を送信した外部装置およびそのユーザに対し、起動パケットを待受ける通信インターフェイスが異なることを通知する。
【0061】
省電力移行処理325が完了すると、選択されなかった通信インターフェイスによる接続(ここでは、無線接続)が切断される(327)。そして、通信処理部103は有線対向通信機器106が対応している省電力規格に応じた省電力状態へ移行する(328)。通信処理部103は省電力状態移行後、起動パケットの待受け状態となる。
【0062】
その後、通信装置101の省電力状態を解除する起動パケットを有線対向通信機器106を介して受信したとする(329)。起動パケットを受信すると、動作状態決定部213より通常状態移行要求信号214が主処理部102へ通知をされ(330)、主処理部102は通常状態へ復帰する(331)。また、通信処理部103においても同様に通常状態への移行処理が行われる(332)。
【0063】
図4に、情報処理部103が、起動パケットを待受ける通信インターフェイスを決定する際のフローチャートを示す。当該フローチャートは、メインCPU201がメインメモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、当該フローチャートは、図3における308および309、または、314および315の処理に該当する。
【0064】
まず、通信処理部103は新しくリンク接続を確立したか、もしくは、起動パケットを待受ける通信インターフェイスの接続(既存の接続)が切断されたかを判定する(S402)。新しくリンク接続が確立された場合であればS403へ進み、既存の接続が切断された場合であればS405へ進む。
【0065】
新しくリンク接続が確立された場合、新しくリンク接続を確立した対向通信機器が対応する省電力規格および代理応答機能について調査を行う(S403)。そして、調査結果を対向通信機器情報記憶部215へ格納する(S404)。一方、既存の接続が切断された場合、切断された対向通信機器の調査結果を削除する(S405)。その後、インターフェイス決定部211は、調査結果に基づいて、起動パケットを待ち受ける通信インターフェイス(以下、待受インターフェイス)を決定する(S406)。
【0066】
S406においてインターフェイス決定部211が実行する、待受インターフェイスの決定フローを図5に示す。
【0067】
まず、インターフェイス決定部211は、有線対向通信機器106と無線対向通信機器109が省電力規格に対応しているか否かを判定する(S502、S504)。どちらか一方のみが省電力規格に対応している場合にはS505へ進み、いずれも省電力規格に対応している場合はS506へ進み、いずれも省電力規格に対応していない場合にはS511へと進む。
【0068】
どちらか一方のみが省電力規格に対応している場合には、省電力規格に対応している対向通信機器とリンク接続している通信インターフェイスを待受インターフェイスとして決定する(S505)。
【0069】
一方、いずれも省電力規格に対応している場合には、これらの対向通信機器が代理応答機能を有するか否かを判定する(S506、S508)。いずれの対向通信機器も代理応答機能有する場合はS507へ進み、いずれか一方のみ代理応答機能を有する場合はS509へ進み、いずれの対向通信機器も代理応答機能を有さない場合はS510へと進む。
【0070】
いずれの対向通信機器も代理応答機能有する場合には、有線インターフェイス104を待受インターフェイスとして決定する(S507)。これにより、無線インターフェイスを選択するよりも、より省電力効果を高めることができる。
【0071】
いずれか一方のみ代理応答機能を有する場合には、代理応答機能をもつ対向通信機器とリンク接続している通信インターフェイスを待受インターフェイスとして決定する(S509)。
【0072】
また、いずれの対向通信機器も代理応答機能を有さない場合には、有線インターフェイス104を待受インターフェイスとして決定する(S510)。
【0073】
S511はS506と同等の処理であり、S512はS507と同等の処理であり、S513はS508と同等の処理であり、S514はS509と同等の処理であるので説明を省略する。
【0074】
S515では、有線対向通信機器のリンクスピード(規格に応じた通信速度)に応じて待受インターフェイスを決定する。S515は、有線対向通信機器106および無線対向通信機器109がいずれも省電力規格に対応しておらず、代理応答機能も有していない場合である。有線インターフェイス104は、接続しているリンク帯域が大きいほど消費電力も大きくなる。そこで、例えば有線インターフェイス104がIEEE802.3に準拠している場合、100BASE−T接続であれば有線インターフェイスを、1000BASE−T接続であれば無線インターフェイスを選択するものとする。このようにして、より消費電力の少ない通信インターフェイスを選択することができる。
【0075】
上述のようにして、通信装置が接続する対向通信機器に実装された省電力規格および代理応答機能に応じて、最も低消費電力となる状態で起動パケットを待受けることが可能となる。また、ユーザは起動パケットを受信する通信インターフェイスを選択する必要が無いので、ユーザの負荷軽減となる。
【0076】
上述の実施形態では、いずれの対向通信機器も代理応答機能を有する場合(S506、S511でYes)、待受インターフェイスとして有線インターフェイスを選択した。しかしながら、各々が有する代理応答機能に応じて待受けインターフェイスを選択するようにしてもよい。例えば、一方の対向通信機器は、通信装置101の通信では利用される第1の通信プロトコルに対する代理応答機能を有しており、他方の対向通信機器は、通信装置101の通信では利用されない第2の通信プロトコルに対する代理応答機能を有している場合がある。このような場合には、第1の通信プロトコルに対する代理応答機能を有する対向通信機器とリンク接続している通信インターフェイスを優先的に待受インターフェイスとして選択する。これにより、代理応答機能が、どのような通信プロトコルに対応した機能かに基づいて、待受インターフェイスを選択することができる。従って、より適切に省電力となる通信インターフェイスを選択することができる。
【0077】
また、現状のIEEE802.11シリーズに準拠したアクセスポイントの多くは省電力規格に対応していることから、無線対向通信機器については省電力規格に対応しているか否かを判定することなく、省電力規格に対応しているものとして処理してもよい。これにより、無線対向通信機器に対する判定を省くことができるため、より処理負荷の低減とすることができる。
【0078】
また、上述では、有線インターフェイスと無線インターフェイスとを例に説明したが、異なる無線通信方式に対応した複数の無線インターフェイスであってもよい。例えば、一方は無線LANに対応した無線インターフェイスであり、他方はBluetoothに対応した無線インターフェイスであってもよい。このような実施形態であっても、同様に、より消費電力の少ない通信インターフェイスを選択することができる。
【符号の説明】
【0079】
101 通信装置
102 主処理部
103 通信処理部
104 ケーブルソケット
105 接続ケーブル
106 有線対向通信機器
107 アンテナ
108 大気(無線媒体)
109 無線対向通信機器
110 ネットワーク
111 外部端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信インターフェイスを介して第1の他の装置と通信すると共に、第2の通信インターフェイスを介して第2の他の装置と通信する通信装置であって、
前記第1の他の装置が前記第1の通信インターフェイスの省電力機能に対応しているか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段による判定結果に基づいて、前記通信装置が省電力状態となる場合に動作する通信インターフェイスを前記第1の通信インターフェイスおよび前記第2の通信インターフェイスの中から選択する選択手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
第1の通信インターフェイスを介して第1の他の装置と通信すると共に、第2の通信インターフェイスを介して第2の他の装置と通信する通信装置であって、
前記第1の他の装置が前記第1の通信インターフェイスの省電力機能に対応しているか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記第1の他の装置が前記第1の通信インターフェイスの省電力機能に対応していない場合には、前記通信装置が省電力状態となる場合に動作する通信インターフェイスとして前記第2の通信インターフェイスを選択する選択手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
前記選択手段により選択されなかった通信インターフェイスの電力供給を停止する停止手段を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記選択手段により選択された通信インターフェイスを介して前記通信装置の省電力状態を解除するための所定のパケットを受信することで、前記通信装置の省電力状態を解除する解除手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1の他の装置と前記第2の他の装置とが同一ネットワーク上に存在することを確認する確認手段を更に有し、
前記確認手段により前記第1の他の装置と前記第2の他の装置とが同一ネットワーク上に存在すると確認された場合に、前記選択手段による選択を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2の他の装置が前記第2の通信インターフェイスの省電力機能に対応しているか否かを判定する第2の判定手段を更に有し、
前記選択手段は、前記第1の判定手段による判定結果と前記第2の判定手段による判定結果とに基づいて通信インターフェイスの選択を行う
ことを特徴とする請請求項1乃至5のいずか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記他の装置の各々が、ネットワークから前記通信装置宛てに送信されたパケットに対して、前記通信装置に当該パケットを送信することなく前記他の装置が応答する機能を更に有するか否かを判定する第3の判定手段を更に有し、
前記選択手段は、前記第1の判定手段による判定結果、前記第2の判定手段による判定結果、および、前記第3の判定手段による判定結果に基づいて、通信インターフェイスを選択する
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1の他の装置と前記第2の他の装置のいずれか1つの装置とのみ接続している場合には、前記選択手段は、当該接続している装置と通信する通信インターフェイスを選択する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信装置を省電力状態とするための通知を他の通信装置から受信する受信手段と、
前記受信手段により当該通知を受信した場合に、前記通信装置を省電力状態とする制御手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記他の通信装置に対して、前記選択手段により選択された通信インターフェイスの情報を通知する通知手段を更に有することを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記通知を受信した通信インターフェイスと前記選択手段により選択された通信インターフェイスとが異なる場合に前記通知手段による通知が行い、
前記通知を受信した通信インターフェイスと前記選択手段により選択された通信インターフェイスとが同じ場合には前記通知手段による通知が行わない
ことを特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
第1の通信インターフェイスを介して第1の他の装置と通信すると共に、第2の通信インターフェイスを介して第2の他の装置と通信する通信装置の制御方法であって、
前記第1の他の装置が前記第1の通信インターフェイスの省電力機能に対応しているか否かを判定する判定工程と、
前記判定の結果に基づいて、前記通信装置が省電力状態となる場合に動作する通信インターフェイスを前記第1の通信インターフェイスおよび前記第2の通信インターフェイスの中から選択する選択工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項13】
コンピュータを請求項1乃至11のいずれか1項に記載の通信装置として動作させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−80393(P2013−80393A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220307(P2011−220307)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】