通信装置および加熱調理器
【課題】通信の情報量に応じて、進捗の表示のための負荷を変えられて、適切な進捗表示を行うことができる通信装置および加熱調理器を提供すること。
【解決手段】制御部200の赤外線通信制御部200bで、通信の最初の段階の情報により、通信のプロトコルを判断する。通信のプロトコルがIrDAよりも高速通信を行うIrSimpleやIrSSである場合に、表示制御部200aが、液晶カラーパネルの進捗状況の表示の負荷を、通信のプロトコルがIrDAのときに液晶カラーパネルに表示させている表示の負荷よりも下げるように、液晶カラーパネルを制御する。
【解決手段】制御部200の赤外線通信制御部200bで、通信の最初の段階の情報により、通信のプロトコルを判断する。通信のプロトコルがIrDAよりも高速通信を行うIrSimpleやIrSSである場合に、表示制御部200aが、液晶カラーパネルの進捗状況の表示の負荷を、通信のプロトコルがIrDAのときに液晶カラーパネルに表示させている表示の負荷よりも下げるように、液晶カラーパネルを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信装置において、通信のプロトコルや通信速度に関係なく通信状態をプログレスバーで一定の負荷で表示する方法が知られている(特開2007−306380号公報)。
【0003】
ここで、上記従来の通信装置では、通信速度が速くて、通信が一瞬で終了する場合にもプログレスバー表示がされるが、この場合、進捗表示をしても、チラツキが目立つだけで意味がないという問題がある。
【0004】
また、通信速度が速くて高速通信が意図されている場合に、負荷のかかる進捗表示処理を行うと、通信に支障がでることがある。特に、上記従来の方法を、加熱調理器で行った場合、加熱調理器は、マイクロコンピュータの性能に制約があるから、上記通信の支障の問題が顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−306380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、通信の情報量に応じて、進捗の表示のための負荷を変えられて、適切な進捗表示を行うことができる通信装置および加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の通信装置は、
情報端末からの信号を受信する受信部と、
上記情報端末との通信の進捗状況を、図形の形態で表示可能な表示部と、
上記通信の最初の段階で送られてくる上記通信の通信速度の情報と、上記通信の最初の段階で送られてくる通信データサイズの情報とに基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変動させる制御部と
を備えることを特徴としている。
【0008】
尚、上記通信速度に関する情報には、通信に用いられているプロトコルの情報や、物理レイヤの速度の情報が含まれる。
【0009】
また、上記図形の形態には、例えば、進捗バーにおける進捗状況の表示や、ウサギやカメが走っている動画等、キャラクターのアニメーションが含まれる。
【0010】
本発明によれば、制御部が、上記通信速度の情報に基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変動させるようになっているから、例えば、通信速度が速い場合に、進捗表示の負荷を下げることができる。したがって、高速通信に支障がないようにすることができる。
【0011】
また、本発明によれば、例えば、通信速度が遅くて短時間での通信完了が意図されていない場合に、進捗表示の負荷を上げることができて、ユーザが通信時間の終了を待っている時間に、ユーザをより精巧なアニメーションで楽しませることができる。
【0012】
また、例えば、通信のプロトコルが、IrSimple (Infrared Data Associationで規定された最新の高速赤外線通信方式)である場合、500Kバイトの情報でも、1秒もかからない情報の送受信ができる。このように、通信時間が、短時間、例えば、2秒程度である場合には、複雑な進捗表示を行っても、一瞬にして、進捗表示が終了するため、表示画面に、一瞬複雑な表示がされて消えるちらつきが生じるだけで、表示が意味をなすことがない。
【0013】
本発明によれば、通信速度の情報と、通信データサイズの情報とに基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変えるようになっているから、例えば、通信時間が短いときに、複雑な進捗表示を行わないようにすることができる。したがって、この場合、表示部のちらつきを防止できる。
【0014】
また、一実施形態では、
上記制御部は、上記通信の通信速度の情報と、上記通信データサイズの情報とに基づいて、上記通信に要する時間を算出し、その時間が予め定められた時間より短いときには、上記表示部に上記図形の形態での進捗状況の表示をさせない。
【0015】
通信時間が、短時間である場合には、進捗バー等による図形の形態での表示を行っても、一瞬にして、進捗表示が終了するため、図形の形態での表示をおこなっても表示画面に、一瞬図形の形態が表示されて消えるちらつきが生じるだけで、表示が意味をなすことがない。
【0016】
上記実施形態によれば、通信時間が予め定められた時間より短いときには、図形の形態での表示が行われることがなくて、進捗状況を表示しないか、または、例えば「通信中」といった文字のみの表示がされるだけであるから、表示画面のちらつきを防止できて、意味がない表示を省略できる。
【0017】
また、一実施形態では、
上記制御部は、上記通信のプロトコルを判断し、上記通信のプロトコルが、第1のプロトコルよりも高速通信を行う第2のプロトコルである場合には、上記表示部の表示の負荷を、上記通信のプロトコルが上記第1のプロトコルのときに上記表示部に表示させる表示の負荷よりも下げるように、上記表示部を制御する。
【0018】
高速通信をおこなっているときに、表示部に精巧なアニメ等を表示すること等によって、表示部の表示の負荷が大きくなることにより通信速度がさまたげられてしまっては、高速通信の意味がなくなる。
【0019】
上記実施形態によれば、通信のプロトコルが第1のプロトコルよりも高速通信を行う第2のプロトコルである場合に、表示の負荷が第1のプロトコルのときの表示の負荷よりも下げられるから、高速通信の際に、表示部の表示によって、高速通信が妨げられることを防止できる。
【0020】
また、上記実施形態によれば、低速通信の第1のプロトコルを使用しているときに、表示部の表示の負荷が大きくなるから、通信時間待ちのユーザを表示部の表示で楽しませたり、リラックスさせたりすることができる。
【0021】
また、一実施形態では、
上記制御部は、上記通信のプロトコルを判断し、上記通信のプロトコルが、上記第1のプロトコルである場合に、上記表示部が第1の図形の形態で上記進捗状況を表示するように上記表示部を制御する一方、上記通信のプロトコルが、上記第2のプロトコルである場合には、上記表示部が第2の図形の形態で上記進捗状況を表示するように上記表示部を制御する。
【0022】
上記実施形態によれば、高速通信の第2のプロトコルで通信を行っているときと、それよりも低速通信の第1のプロトコルで通信を行っているときで、表示部に表示されている図面の形態が変えられるから、ユーザが、使用しているプロトコルが高速か低速かを認識することができる。
【0023】
また、本発明の加熱調理器は、
本発明の通信装置を備えることを特徴としている。
【0024】
加熱調理器等の家庭電気製品は、マイクロコンピュータに能力的な制約がある場合が多いから、通信速度に基づいて、進捗の表示の負荷を変えるニーズが非常に大きくなる。
【0025】
本発明によれば、マイクロコンピュータの能力に制約があって、マイクロコンピュータが負荷に弱くて、マイクロコンピュータの性能がそれ程優れていない場合であっても、適切な進捗表示ができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の通信装置によれば、制御部が、上記通信の情報に基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変えるようになっているから、例えば、通信速度が速い場合に、進捗表示の負荷を下げることができて、高速通信が妨げられないようにすることができる。
【0027】
また、逆に、通信速度が遅い場合に、進捗表示の負荷を上げることができて、ユーザが通信時間の終了を待っている時間に、ユーザをより精巧なアニメーションで楽しませることができる。
【0028】
また、通信が短時間で終わる場合に、意味がない進捗表示を省略できて、表示部のちらつきを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【図2】上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【図3】図1に示す操作パネルおよび赤外線通信ポートを拡大した概略図である。
【図4】図3のF4−F4線から見た模式断面図である。
【図5】上記蒸気調理器の制御ブロック図を示している。
【図6】上記蒸気調理器と赤外線通信が可能な端末機器の一例である携帯電話の正面図である。
【図7】上記携帯電話の背面図である。
【図8】携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図9】赤外線通信の代表的なプロトコルと、物理レイヤの速度と、通信を行う通信データサイズと、通信に要する時間との関係の一例を示す図である。
【図10】カラー液晶表示部の所定の箇所に表示される文字による進捗表示の例を示す図である。
【図11】カラー液晶表示部の所定の箇所に表示されるアニメの一例を示す図である。
【図12】カラー液晶表示部の所定の箇所に表示されるアニメの一例を示す図である。
【図13】上記蒸気調理器の一例の制御の流れを簡易に示すフローチャートである。
【図14】本発明の変形例の表示部に表示される進捗バーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【0032】
この蒸気調理器は、直方体形状のケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉2が取り付けられている。この扉2の上部にハンドル3を取り付けると共に、扉2の略中央に耐熱ガラス4を取り付けている。また、扉2の右側に操作部としての操作パネル5および受信部としての赤外線通信ポート211を設けている。この操作パネル5は、表示部の一例としてのカラー液晶表示部6とボタン群7とを有している。また、ケーシング1の上側かつ右側後方に排気ダクト8を設けている。さらに、ケーシング1の扉2の下方に、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
【0033】
図2は、上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【0034】
図2に示すように、この蒸気調理器は、水タンク11から供給された水を蒸気発生装置12で加熱して飽和水蒸気を生成する。蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気は、蒸気供給通路(図示せず)を介して、加熱庫13の右側面に取り付けられた循環ユニット14の蒸気吸込口15の加熱庫13側に供給される。
【0035】
上記蒸気供給通路に接続された蒸気供給管34を、加熱庫13の右側面と平行になるように、循環ユニット14の蒸気吸込口15の近傍に取り付けている。また、循環ユニット14内には、蒸気吸込口15に対向するように循環ファン18を配置している。循環ファン18は、ファンモータ19によって回転駆動される。
【0036】
上記加熱庫13の上面および左側面を覆うように、L字状に屈曲した蒸気ダクト100を取り付けている。この蒸気ダクト100は、加熱庫13の上面側に固定された第1ダクト部110と、第1ダクト部110の左側方から下側に屈曲する屈曲部120と、加熱庫13の左側面側に固定され、屈曲部120を介して第1ダクト部110に連なる第2ダクト部130とを有している。
【0037】
この蒸気ダクト100の第1ダクト部110に、過熱蒸気生成ヒータ20を収納している。蒸気ダクト100の第1ダクト部110と、過熱蒸気生成ヒータ20で過熱蒸気生成装置21を構成している。なお、過熱蒸気生成装置は、蒸気ダクトとは別に設けてもよい。
【0038】
そして、蒸気ダクト100の第1ダクト部110の右側は、循環ユニット14の上部に設けられた蒸気供給口22に連通している。加熱庫13の天面には、複数の第1蒸気吹出口24が設けられており、蒸気ダクト100の第1ダクト部110は、第1蒸気吹出口24を介して加熱庫13内に連通している。一方、蒸気ダクト100の第2ダクト部130は、加熱庫13の左側面に設けられた複数の第2蒸気吹出口25を介して加熱庫13内に連通している。
【0039】
上記加熱庫13と蒸気ダクト100との隙間は、耐熱樹脂などによりシールされている。また、加熱庫13と蒸気ダクト100は、加熱庫13の前面開口を除いて断熱材により覆われている。
【0040】
上記循環ユニット14と過熱蒸気生成装置21と加熱庫13とそれらを接続する接続部材とによって、蒸気の循環経路が形成されている。そして、この循環経路における循環ユニット14の加熱庫13との境界部に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気が供給される。
【0041】
また、加熱庫13の下部には、図示しないマグネトロンが配置されている。このマグネトロンで発生したマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱庫13の下部中央に導かれ、モータ37によって駆動される回転アンテナ38によって攪拌されながら加熱庫13内の上方に向かって放射されて被加熱物27を加熱する。上記加熱蒸気生成ヒータ20や、上記マグネトロンは、加熱部を構成している。
【0042】
また、ケーシング1内の下側には、冷却ファン部(図示せず)と、電装部品17とを配置している。電装部品17は、蒸気調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を有している。
【0043】
図3は、図1に示す操作パネル5および赤外線通信ポート211を拡大した概略図であり、図4は、図3のF4−F4線から見た模式断面図である。
【0044】
上記ボタン群7は、戻るキー71、取り消しキー72、手動加熱キー73、および、あたためスタートキー74で構成されている。戻るキー71は、カラー液晶パネル61の画面表示を直前の画面表示に戻すときに押す。また、取り消しキー72は、途中で加熱をやめるときや、操作を取り消すときに押す。そして、手動加熱キー73は、高周波出力および加熱出力を手動で設定するときに押す。また、あたためスタートキー74は、加熱を開始するときに押す。尚、ユーザは、操作パネル5を操作することにより、赤外線通信モードを選択することができるようになっている。また、上記赤外線通信ポート211は、後述の赤外線送受信部(図5に210で示す)に接続されている。
【0045】
赤外線通信ポート211の表面の材質は、可視光を遮り赤外線のみを透過する材質で構成されている。上記赤外線通信ポート211は、赤外線検知用の受光素子の受光部を構成している。
【0046】
図4を参照して、上記カラー液晶表示部6は、カラー液晶パネル61上にタッチパネル62を重ねて構成されている。なお、この発明の表示部は、液晶パネルに限らず、有機ELなどの他の表示デバイスを用いてもよく、カラー表示に限らず、白黒表示でもよい。
【0047】
このカラー液晶パネル61は、文字、数字、写真等をカラー表示できるものであり、加熱の種類、料理名、加熱時間、温度、料理の写真等を表示する。また、タッチパネル62は、ユーザが指でタッチすると、表面電荷を変化させる透明素材からなる静電容量方式のタッチパネルである。これにより、ユーザはタッチパネル62をタッチして、カラー液晶パネル61に表示される画像を選択できるようになっている。また、ユーザがタッチパネル62をタッチして、カラー液晶パネル61に表示される選択可能な画像を選択すると、その画像の色が変わるようになっている。つまり、カラー液晶パネル61に表示される画像は、選択状態の色が非選択状態の色と異なるようになっている。なお、タッチパネル62は、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式または電磁誘導方式のタッチパネルに換えてもよく、また、指によるタッチパネルの操作だけでなく、タッチペンなどのペン状物体を用いて操作してもよい。
【0048】
図5は、この蒸気調理器の制御ブロック図を示している。この蒸気調理器は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御部としての制御装置200を、電装品部17(図2参照)内に備えている。制御装置200には、過熱蒸気生成ヒータ20、循環ファン用モータ19、冷却ファン用モータ16、給気ダンパ用モータ44、排気ダンパ用モータ60、赤外線送受信部210、操作パネル5、庫内温度センサ29、解凍センサ50、給水ポンプ70、蒸気発生装置12、マグネトロン80および記憶部211が接続されている。上記赤外線送受信部210は、増幅回路等からなり、制御装置200によって、駆動制御されるようになっている。
【0049】
操作パネル5からの信号および庫内温度センサ29、解凍センサ50からの検出信号に基づいて、制御装置200は、過熱蒸気生成ヒータ20、循環ファン用モータ19、冷却ファン用モータ16、給気ダンパ用モータ44、排気ダンパ用モータ60、操作パネル5、給水ポンプ70、蒸気発生装置12およびマグネトロン80などを制御するようになっている。
【0050】
上記制御装置200は、表示制御部200aと、赤外線通信制御部200bとを有している。上記表示制御部200aは、カラー液晶表示部6の一画面に複数のメニューを表す複数の画像を同時に表示する等の制御を行なっている一方、赤外線通信制御部200bは、赤外線送受信部210の動作を制御するようになっている。また、上記表示制御部200aは、赤外線送受信部210からの信号を受けて、赤外線通信の進捗状況を知らせる進捗表示を制御するようになっている。
【0051】
図6は、この蒸気調理器と赤外線通信が可能な端末機器の一例である携帯電話の正面図であり、図7は、その携帯電話の背面図である。
【0052】
図6に示すように、この携帯電話機は、モニター側筐体301および操作側筐体302を備え、このモニター側筐体301と操作側筐体302とがヒンジ部303で連結され、折り畳み可能になっている。上記モニター側筐体301には、表示部305とスピーカ部306が設けられている。また、上記操作側筐体302には、通話ボタンや撮影ボタンなどを含む複数の操作ボタン307からなる操作部308とマイク部311とが設けられている。また、図7に示すように、上記モニター側筐体301の背面には、カメラ部312と赤外線通信ポート313が設けられている。
【0053】
図8は、携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【0054】
上記携帯電話機の制御回路360には、上記操作部308、マイク部311、表示部305、赤外線信号送受信部315、スピーカ部306、カメラ部312、通信部330および記憶部350が接続されている。上記制御回路360は、図示しないマイクロコンピュータ,ROM,RAM等で構成されており、上記各部の動作を制御する。上記制御回路360は、赤外線通信制御部360aを有し、この赤外線通信制御部360aで赤外線信号送受信部315の動作を制御する。
【0055】
上記操作部308の操作ボタン307が操作されると、これに対応する操作信号が制御回路360で検出される。マイク部311は、入力された音声を信号に変換して制御回路360に出力する。表示部305は、例えば液晶ディスプレイから構成され、携帯電話機が開かれている状態において、制御回路360から与えられる表示信号を表示する。
【0056】
赤外線信号送受信部315は、制御回路360から入力された信号を予め定められた赤外線通信プロトコルに基づいて赤外線信号として赤外線通信ポート313(図7参照)から外部に送信する。また、この赤外線信号送受信部315は、予め定められた赤外線通信プロトコルに基づいて赤外線通信ポート313から赤外線信号を受信して制御回路360へ入力する。また、スピーカ部311は、制御回路360から入力された信号を音声に変換して外部に出力する。上記カメラ部312は、例えばCCDカメラから構成され、撮影した画像データを制御回路360に出力する。また、通信部330は、所定の通信プロトコルに基づいて、インターネットとの接続や、携帯電話回線との通信処理を行う。記憶部350は、例えば不揮発性メモリから構成され、後述する各種の情報を記憶する。
【0057】
図9は、赤外線通信の代表的なプロトコルと、物理レイヤの速度と、通信を行う通信データサイズと、通信に要する時間との関係の一例を示す図である。
【0058】
尚、図9に示す数値は、あくまで目安の数値である。というのは、通信速度は、携帯電話等の情報端末の応答速度等によっても変化し、また、夫々のプロトコルの中でも、お互いの通信機器がサポートしている通信速度も異なるからである。すなわち、図9に示す数値は、実測でこのくらいの速度で通信可能という基準を示している。
【0059】
また、図9において、上から二行目は、プロトコルを示し、IrDAは、Infrared Data Associationで規定された旧来の赤外線通信方式を示し、IrSimpleとIrSSはInfrared Data Associationで規定された最新の高速赤外線通信方式を示す。IrDAと、IrSimpleは双方向の通信を行うときのプロトコルであり、IrSSは、片方向の通信を行うときのプロトコルである。
【0060】
また、図9において、上から三行目は、国際標準化機構により制定された異種機器のデータ通信を実現するためのネットワーク構造の設計方針OSI(Open System Interconnection)に基づく、物理レイヤの速度を示す。尚、物理レイヤは、通信プロトコルにおいて、具体的な物理的媒体(ハードウェア)を規定し、赤外線受送信モジュールの信号強度、赤外線ビームの指向性や到達距離、エラーレート、パルス変調方式等を規定するものである。また、[bps]は、データ送信速度の単位であり、1[bps]は、1秒間に1ビットのデータを転送できることを表す。尚、本願の出願時においては、通信プロトコルがIrDAである機器の殆どは、物理レイヤの速度が、115[kbps]までの場合しか対応していない。
【0061】
図9を参照して、プロトコルがIrDAで、かつ、物理レイヤの速度が115kbpsである場合は、1MBの情報を送信するのに、200〜400秒かかり、約6分程度の時間を要するのに対し、プロトコルがIrSimpleである場合は、1MBの情報を送信するのに、2〜3秒の時間しか要さないことがわかる。
【0062】
上記構成において、この蒸気調理器は、以下のように進捗表示を行うようになっている。
【0063】
ユーザが、携帯電話機の赤外線通信ポート313を、蒸気調理器の赤外線通信ポート211に向けて、携帯電話機の操作部308の操作ボタン307のうちの予め定められた赤外線通信ボタンを操作して、画像情報送信の操作を行ったとする。
【0064】
そうすると、携帯電話からの通信信号を、赤外線通信ポート211を介して受けた制御装置200の表示制御部200aが、通信の信号の初期の段階の情報に基づいて、通信のプロトコル、物理レイヤの速度、通信データサイズを取得して、通信プロトコルの種類に応じて発生する通信のオーバーヘッド(通信プロトコルにおいてデータ以外の通信(通信制御やエラー訂正など)に要する割合)、物理レイヤの速度、通信データサイズから通信に要する時間を、通信データサイズ[ビット]×(1+通信プロトコルの種類に応じて発生するオーバーヘッド)/物理レイヤの速度[bps]で算出するようになっている。通信プロトコルの種類に応じたオーバーヘッドは通信相手機器によって応答時間が異なるため一定ではないが、実機による測定結果の平均的値から、IrDAは1.0、IrSimpleは0.2、IrSSは0.1と定めることとする。そして、その通信に要する概算した時間が予め定められた時間の一例としての2秒以下である場合には、図10に示すように、カラー液晶表示部6の所定の箇所に、受信中という文字だけ記して、図面の形態の進捗表示を行わないようになっている。
【0065】
一方、通信に要する概算した時間が2秒より大きい場合には、上記初期の段階の情報に基づいて認識して、通信のプロトコルによって、異なる進捗表示を行うようになっている。
【0066】
詳しくは、通信プロトコルが、第1のプロトコルの一例としてのIrDAである場合には、図11に示すように、表示制御部200aが、カラー液晶表示部6の所定の箇所に第1の図形の形態の一例としての道を歩いて行くカメのアニメを表示させるようになっている。このアニメによって、ユーザは、道全体に対するカメの歩行位置によって、通信状況を一目で認識できるようになっており、また、カメの歩く速度で通信速度を認識できるようになっている。
【0067】
また、通信プロトコルが、IrDAよりも高速通信を行う第2のプロトコルの一例としてIrSimpleやIrSSである場合には、図12に示すように、表示制御部200aが、カラー液晶表示部6の所定の箇所に第2の図形の形態の一例としての道を走っていくうさぎのアニメを表示させるようになっている。このアニメによって、ユーザは、道全体に対するうさぎの走行位置によって、通信状況を一目で認識できるようになっており、また、うさぎが走る速度で通信速度を認識できるようになっている。
【0068】
また、上記表示制御部200aは、上記うさぎのアニメの1秒間に表示するコマ数を、カメのアニメの1秒間に表示するコマ数よりも小さくして、通信プロトコルが、IrDAよりも高速通信を行うプロトコルである場合に、進捗状況の表示に負荷がかからないようにして、通信速度に影響が少ないようにしている。
【0069】
また、上記表示制御部200aは、逆に、通信プロトコルが、IrDAである場合には、それよりも通信速度が速いプロトコル(IrSimpleやIrSS等)よりもアニメの1秒間に表示するコマ数よりも大きくして、精巧なアニメ表示をして、ユーザを楽しませたり、ユーザの苛つきを緩和させたりするようにしている。
【0070】
また、一般に、通信情報は、複数のパケットに分けて送られるが、制御装置200が、通信情報の最後のパケットを受信して、通信情報の送受信が完了すると、赤外線通信制御部200bが、携帯電話に通信が適切に完了したことを表す信号を、赤外線送受信部210に赤外線通信ポート211を介して携帯電話に送信させると共に、上記表示制御部200aが、進捗表示を終了するようになっている。
【0071】
図13は、上記制御の流れを簡易に示すフローチャートである。
【0072】
制御がスタートして、ユーザが、情報端末から赤外線通信の信号を、赤外線通信ポート211に向けて発信すると、ステップS1で、赤外線通信ポート211を介して制御装置200の表示制御部200aが、通信の信号の初期の段階の情報に基づいて、通信のプロトコル、物理レイヤの速度、通信データサイズ等を取得して、通信時間を算出する。
【0073】
次に、ステップS2で、表示制御部200aが、概算時間が予め定められた時間(例えば、1秒、1.5秒、2秒、3秒、4秒、5秒)以内であるか否かを判断する。ここで、上記概算時間が、予め定められた時間以内であると、ステップS3に移行して、カラー液晶表示部6の所定の箇所に、「受信中」とだけ表示する。
【0074】
続いて、ステップS4で、制御装置200の赤外線通信制御部200bが、通信データの送受信の完了を判断すると、ステップS5で、上記「受信中」の表示を終了して、制御がエンドになる。
【0075】
一方、ステップS2で、表示制御部200aが、上記概算時間が、予め定められた時間を超えていると判断すると、上記表示制御部200aが、プロトコルに応じた画面表示を行う。例えば、プロトコルが、IrDAである場合には、カラー液晶表示部6の所定の箇所に、道を歩いていくカメのアニメを表示するようになっている。また、プロトコルが、IrSimpleやIrSSである場合には、カラー液晶表示部6の所定の箇所に、道を走っていくうさぎのアニメを表示するようになっている。
【0076】
続いて、ステップS4で、赤外線通信制御部200bが、通信データの送受信の完了を判断すると(この時点で、カメまたはうさぎは、道の終点に到達する)、ステップS5で、表示制御部200aが、液晶カラーパネル6のアニメの表示を終了させて、制御がエンドになる。
【0077】
上記実施形態の蒸気調理器によれば、表示制御部200aが、通信の情報に基づいて、カラー液晶表示部6に表示される進捗状況の表示の形態を変えるようになっているから、例えば、通信速度が速い場合に、進捗表示の負荷を下げることができる。したがって、高速通信に支障がないようにすることができる。
【0078】
また、逆に、通信速度が遅くて短時間での通信完了が意図されていない場合に、進捗表示の負荷を上げることができて、ユーザが通信時間の終了を待っている時間に、ユーザをより精巧なアニメーションで楽しませることができる。
【0079】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、表示制御部200aが、通信に要する時間を算出し、その時間が予め定められた時間より短いときには、カラー液晶表示部6に上記図形の形態での進捗状況の表示をさせないから、表示画面がちらつくことがなく、意味がない表示を省略できる。
【0080】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、通信のプロトコルが、IrDAよりも高速通信を行うIrSimpleやIrSSである場合に、表示制御部200aが、カラー液晶表示部6の表示の負荷を、通信のプロトコルがIrDAのときにカラー液晶表示部6に表示させている表示の負荷よりも下げるように、カラー液晶表示部6を制御するから、高速通信の際に、カラー液晶表示部6の表示によって、高速通信が妨げられることを防止できる。
【0081】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、高速通信のIrSimpleやIrSSで通信を行っているときと、それよりも低速通信のIrDAで通信を行っているときで、カラー液晶表示部6に表示されている図面の形態が変えられるから、ユーザが、使用しているプロトコルが高速か低速かを容易に認識することができる。
【0082】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、低速通信のプロトコルを使用しているときに、カラー液晶表示部6の表示の負荷が大きくなるから、通信時間が比較的長い場合において、通信待ちをしているユーザを精巧なアニメで楽しませたり、リラックスさせたりすることができる。
【0083】
また、上記実施形態によれば、蒸気調理器が、本発明の通信装置を備えるから、マイクロコンピュータの性能がそれ程優れていないにも拘わらず、適切な進捗表示ができる。蒸気調理器等の家庭電気製品は、マイクロコンピュータに能力的な制約がある場合が多いから、通信速度に基づいて、進捗の表示の負荷を変えるニーズが非常に大きくなるのである。
【0084】
尚、上記実施形態の蒸気調理器では、通信のプロトコルが、高速通信のプロトコルの場合に、図形の形態の表示の負荷を、その高速通信のプロトコルよりも低速通信のプロトコルのときの図形の形態の表示の負荷よりも小さくした。しかしながら、この発明の通信装置では、通信のプロトコルが、高速通信のプロトコルの場合に、図形の形態の表示の負荷を、その高速通信のプロトコルよりも低速通信のプロトコルのときの図形の形態の表示の負荷と、同等に設定しても良く、または、高く設定しても良い。
【0085】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、通信のプロトコルが、高速通信のプロトコルの場合に、うさぎが走っているアニメを表示する一方、通信のプロトコルが、上記高速通信のプロトコルよりも遅いプロトコルの場合に、カメが歩いているアニメを表示した。しかしながら、この発明の通信装置では、高速通信のプロトコルの場合に、うさぎ以外のキャラクターのアニメを表示しても良く、また、その高速通信よりも低速の低速通信のプロトコルの場合に、かめ以外のキャラクターのアニメを表示しても良い。
【0086】
例えば、高速のプロトコルの場合に、新幹線を表示する一方、それよりも低速のプロトコルの場合に、蒸気機関車を表示しても良い。また、例えば、高速のプロトコルの場合に、ロケットを表示する一方、それよりも低速のプロトコルの場合に、飛行機を表示しても良い。また、例えば、高速のプロトコルの場合に、電車を表示する一方、それよりも低速のプロトコルの場合に、船舶を表示しても良い。すなわち、表示に用いられるキャラクターは、如何なるものであっても良い。
【0087】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、赤外線通信制御部200bが、通信時間が所定の時間(如何なる時間に設定されても良い、例えば、1秒、2秒等の5秒以下の時間が考えられる)以内であると判断したときに、図形の形態での進捗表示をしなくて、文字の形態からなる進捗表示をしたが、この発明の通信装置では、通信時間が所定の時間以内であると判断したときに、進捗表示を一切行わないようにしても良い。
【0088】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、通信時間が所定の時間以内であると判断したときに、図形の形態での進捗表示をしない一方、通信時間が所定の時間を超えると判断したときに、アニメを表示するようにしたが、この発明の通信装置では、通信時間が所定の時間を超えると判断したときに、通信プロトコルが如何なる通信プロトコルであっても、図14に示す進捗バーの図形の形態で、進捗状況を表示するようにしても良い。
【0089】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、プロトコルに基づいて、表示するキャラクターを変えるようにしたが、この発明の通信装置では、物理レイヤの速度に基づいて、所定の閾値の速度よりか高速化か否かによって、表示するキャラクターを変えるようにしても良い。また、この場合において、上記所定の閾値を、一つのみ設定しても良く、または、二以上設定しても良い。
【0090】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、IrDAと、それよりも高速通信のプロトコルであるIrSimple,IrSSとで、異なるキャラクターを表示したが、互いに異なる夫々のプロトコル毎に、異なるキャラクターを割り当てても良い。
【0091】
また、本発明の通信装置では、相手機との通信プロトコルが、IrDAの場合に、進捗バー等の図形の形態の表示をする一方、相手機との通信プロトコルが、IrSimpleまたはIrSSの場合に、進捗バー等の図形の形態の表示をしないようにしても良い。このようにして、高速通信のプロトコルの場合に、通信処理に集中させるようにしても良い。
【0092】
また、本発明の通信装置では、物理レイヤの速度が、115kbpsの場合に、進捗バー等の図形の形態の表示をする一方、物理レイヤの速度が、4Mbps以上の場合に、進捗バー等の図形の形態の表示をしないようにしても良い。このようにして、高速通信の場合に、通信処理に集中させるようにしても良い。
【0093】
また、本発明の通信装置では、通信プロトコルの種類と、物理レイヤの速度とに基づいて、進捗バーを表示するか否かの判断を行っても良い。
【0094】
また、本発明の通信装置では、表示の負荷を上げるか否かの判断を通信時間に基づいて行っても良い。そして、例えば、通信時間が、所定の時間(例えば5分以上の時間)以上であると判断したときに、表示の負荷を大きくして、精巧な進捗アニメを表示するようにしても良い。
【0095】
また、本発明の通信装置は、受信のみを行う装置であっても良く、送受信を行う装置であっても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、通信プロトコルが、IrDA、IrSimple、IrSSの場合の赤外線通信について説明を行ったが、この発明の通信装置は、通信プロトコルが、IrDA、IrSimple、IrSS以外の赤外線通信のプロトコルにも対応していても良いことは、勿論である。
【0097】
また、上記実施形態では、赤外線通信で通信のやり取りをする場合を説明したが、本発明では、電波無線通信で通信のやり取りをしても良く、また、ケーブルを介した有線通信で通信のやり取りをしても良い。また、本発明の通信装置としては、情報機器以外に、蒸気調理器以外の家庭電気製品、例えば、電子レンジ、炊飯器、冷蔵庫、掃除機、テレビジョン受像機、空気調和機、電気カミソリ、照明器具等が考えられる。また、本発明の通信装置と通信を行う装置としては、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、デジタルカメラ、モバイルPC(パーソナルコンピュータ)等が考えられる。
【符号の説明】
【0098】
6 カラー液晶表示部
200 制御装置
200a 表示制御部
200b 赤外線通信制御部
211 赤外線通信ポート
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信装置において、通信のプロトコルや通信速度に関係なく通信状態をプログレスバーで一定の負荷で表示する方法が知られている(特開2007−306380号公報)。
【0003】
ここで、上記従来の通信装置では、通信速度が速くて、通信が一瞬で終了する場合にもプログレスバー表示がされるが、この場合、進捗表示をしても、チラツキが目立つだけで意味がないという問題がある。
【0004】
また、通信速度が速くて高速通信が意図されている場合に、負荷のかかる進捗表示処理を行うと、通信に支障がでることがある。特に、上記従来の方法を、加熱調理器で行った場合、加熱調理器は、マイクロコンピュータの性能に制約があるから、上記通信の支障の問題が顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−306380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、通信の情報量に応じて、進捗の表示のための負荷を変えられて、適切な進捗表示を行うことができる通信装置および加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の通信装置は、
情報端末からの信号を受信する受信部と、
上記情報端末との通信の進捗状況を、図形の形態で表示可能な表示部と、
上記通信の最初の段階で送られてくる上記通信の通信速度の情報と、上記通信の最初の段階で送られてくる通信データサイズの情報とに基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変動させる制御部と
を備えることを特徴としている。
【0008】
尚、上記通信速度に関する情報には、通信に用いられているプロトコルの情報や、物理レイヤの速度の情報が含まれる。
【0009】
また、上記図形の形態には、例えば、進捗バーにおける進捗状況の表示や、ウサギやカメが走っている動画等、キャラクターのアニメーションが含まれる。
【0010】
本発明によれば、制御部が、上記通信速度の情報に基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変動させるようになっているから、例えば、通信速度が速い場合に、進捗表示の負荷を下げることができる。したがって、高速通信に支障がないようにすることができる。
【0011】
また、本発明によれば、例えば、通信速度が遅くて短時間での通信完了が意図されていない場合に、進捗表示の負荷を上げることができて、ユーザが通信時間の終了を待っている時間に、ユーザをより精巧なアニメーションで楽しませることができる。
【0012】
また、例えば、通信のプロトコルが、IrSimple (Infrared Data Associationで規定された最新の高速赤外線通信方式)である場合、500Kバイトの情報でも、1秒もかからない情報の送受信ができる。このように、通信時間が、短時間、例えば、2秒程度である場合には、複雑な進捗表示を行っても、一瞬にして、進捗表示が終了するため、表示画面に、一瞬複雑な表示がされて消えるちらつきが生じるだけで、表示が意味をなすことがない。
【0013】
本発明によれば、通信速度の情報と、通信データサイズの情報とに基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変えるようになっているから、例えば、通信時間が短いときに、複雑な進捗表示を行わないようにすることができる。したがって、この場合、表示部のちらつきを防止できる。
【0014】
また、一実施形態では、
上記制御部は、上記通信の通信速度の情報と、上記通信データサイズの情報とに基づいて、上記通信に要する時間を算出し、その時間が予め定められた時間より短いときには、上記表示部に上記図形の形態での進捗状況の表示をさせない。
【0015】
通信時間が、短時間である場合には、進捗バー等による図形の形態での表示を行っても、一瞬にして、進捗表示が終了するため、図形の形態での表示をおこなっても表示画面に、一瞬図形の形態が表示されて消えるちらつきが生じるだけで、表示が意味をなすことがない。
【0016】
上記実施形態によれば、通信時間が予め定められた時間より短いときには、図形の形態での表示が行われることがなくて、進捗状況を表示しないか、または、例えば「通信中」といった文字のみの表示がされるだけであるから、表示画面のちらつきを防止できて、意味がない表示を省略できる。
【0017】
また、一実施形態では、
上記制御部は、上記通信のプロトコルを判断し、上記通信のプロトコルが、第1のプロトコルよりも高速通信を行う第2のプロトコルである場合には、上記表示部の表示の負荷を、上記通信のプロトコルが上記第1のプロトコルのときに上記表示部に表示させる表示の負荷よりも下げるように、上記表示部を制御する。
【0018】
高速通信をおこなっているときに、表示部に精巧なアニメ等を表示すること等によって、表示部の表示の負荷が大きくなることにより通信速度がさまたげられてしまっては、高速通信の意味がなくなる。
【0019】
上記実施形態によれば、通信のプロトコルが第1のプロトコルよりも高速通信を行う第2のプロトコルである場合に、表示の負荷が第1のプロトコルのときの表示の負荷よりも下げられるから、高速通信の際に、表示部の表示によって、高速通信が妨げられることを防止できる。
【0020】
また、上記実施形態によれば、低速通信の第1のプロトコルを使用しているときに、表示部の表示の負荷が大きくなるから、通信時間待ちのユーザを表示部の表示で楽しませたり、リラックスさせたりすることができる。
【0021】
また、一実施形態では、
上記制御部は、上記通信のプロトコルを判断し、上記通信のプロトコルが、上記第1のプロトコルである場合に、上記表示部が第1の図形の形態で上記進捗状況を表示するように上記表示部を制御する一方、上記通信のプロトコルが、上記第2のプロトコルである場合には、上記表示部が第2の図形の形態で上記進捗状況を表示するように上記表示部を制御する。
【0022】
上記実施形態によれば、高速通信の第2のプロトコルで通信を行っているときと、それよりも低速通信の第1のプロトコルで通信を行っているときで、表示部に表示されている図面の形態が変えられるから、ユーザが、使用しているプロトコルが高速か低速かを認識することができる。
【0023】
また、本発明の加熱調理器は、
本発明の通信装置を備えることを特徴としている。
【0024】
加熱調理器等の家庭電気製品は、マイクロコンピュータに能力的な制約がある場合が多いから、通信速度に基づいて、進捗の表示の負荷を変えるニーズが非常に大きくなる。
【0025】
本発明によれば、マイクロコンピュータの能力に制約があって、マイクロコンピュータが負荷に弱くて、マイクロコンピュータの性能がそれ程優れていない場合であっても、適切な進捗表示ができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の通信装置によれば、制御部が、上記通信の情報に基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変えるようになっているから、例えば、通信速度が速い場合に、進捗表示の負荷を下げることができて、高速通信が妨げられないようにすることができる。
【0027】
また、逆に、通信速度が遅い場合に、進捗表示の負荷を上げることができて、ユーザが通信時間の終了を待っている時間に、ユーザをより精巧なアニメーションで楽しませることができる。
【0028】
また、通信が短時間で終わる場合に、意味がない進捗表示を省略できて、表示部のちらつきを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【図2】上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【図3】図1に示す操作パネルおよび赤外線通信ポートを拡大した概略図である。
【図4】図3のF4−F4線から見た模式断面図である。
【図5】上記蒸気調理器の制御ブロック図を示している。
【図6】上記蒸気調理器と赤外線通信が可能な端末機器の一例である携帯電話の正面図である。
【図7】上記携帯電話の背面図である。
【図8】携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図9】赤外線通信の代表的なプロトコルと、物理レイヤの速度と、通信を行う通信データサイズと、通信に要する時間との関係の一例を示す図である。
【図10】カラー液晶表示部の所定の箇所に表示される文字による進捗表示の例を示す図である。
【図11】カラー液晶表示部の所定の箇所に表示されるアニメの一例を示す図である。
【図12】カラー液晶表示部の所定の箇所に表示されるアニメの一例を示す図である。
【図13】上記蒸気調理器の一例の制御の流れを簡易に示すフローチャートである。
【図14】本発明の変形例の表示部に表示される進捗バーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【0032】
この蒸気調理器は、直方体形状のケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉2が取り付けられている。この扉2の上部にハンドル3を取り付けると共に、扉2の略中央に耐熱ガラス4を取り付けている。また、扉2の右側に操作部としての操作パネル5および受信部としての赤外線通信ポート211を設けている。この操作パネル5は、表示部の一例としてのカラー液晶表示部6とボタン群7とを有している。また、ケーシング1の上側かつ右側後方に排気ダクト8を設けている。さらに、ケーシング1の扉2の下方に、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
【0033】
図2は、上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【0034】
図2に示すように、この蒸気調理器は、水タンク11から供給された水を蒸気発生装置12で加熱して飽和水蒸気を生成する。蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気は、蒸気供給通路(図示せず)を介して、加熱庫13の右側面に取り付けられた循環ユニット14の蒸気吸込口15の加熱庫13側に供給される。
【0035】
上記蒸気供給通路に接続された蒸気供給管34を、加熱庫13の右側面と平行になるように、循環ユニット14の蒸気吸込口15の近傍に取り付けている。また、循環ユニット14内には、蒸気吸込口15に対向するように循環ファン18を配置している。循環ファン18は、ファンモータ19によって回転駆動される。
【0036】
上記加熱庫13の上面および左側面を覆うように、L字状に屈曲した蒸気ダクト100を取り付けている。この蒸気ダクト100は、加熱庫13の上面側に固定された第1ダクト部110と、第1ダクト部110の左側方から下側に屈曲する屈曲部120と、加熱庫13の左側面側に固定され、屈曲部120を介して第1ダクト部110に連なる第2ダクト部130とを有している。
【0037】
この蒸気ダクト100の第1ダクト部110に、過熱蒸気生成ヒータ20を収納している。蒸気ダクト100の第1ダクト部110と、過熱蒸気生成ヒータ20で過熱蒸気生成装置21を構成している。なお、過熱蒸気生成装置は、蒸気ダクトとは別に設けてもよい。
【0038】
そして、蒸気ダクト100の第1ダクト部110の右側は、循環ユニット14の上部に設けられた蒸気供給口22に連通している。加熱庫13の天面には、複数の第1蒸気吹出口24が設けられており、蒸気ダクト100の第1ダクト部110は、第1蒸気吹出口24を介して加熱庫13内に連通している。一方、蒸気ダクト100の第2ダクト部130は、加熱庫13の左側面に設けられた複数の第2蒸気吹出口25を介して加熱庫13内に連通している。
【0039】
上記加熱庫13と蒸気ダクト100との隙間は、耐熱樹脂などによりシールされている。また、加熱庫13と蒸気ダクト100は、加熱庫13の前面開口を除いて断熱材により覆われている。
【0040】
上記循環ユニット14と過熱蒸気生成装置21と加熱庫13とそれらを接続する接続部材とによって、蒸気の循環経路が形成されている。そして、この循環経路における循環ユニット14の加熱庫13との境界部に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気が供給される。
【0041】
また、加熱庫13の下部には、図示しないマグネトロンが配置されている。このマグネトロンで発生したマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱庫13の下部中央に導かれ、モータ37によって駆動される回転アンテナ38によって攪拌されながら加熱庫13内の上方に向かって放射されて被加熱物27を加熱する。上記加熱蒸気生成ヒータ20や、上記マグネトロンは、加熱部を構成している。
【0042】
また、ケーシング1内の下側には、冷却ファン部(図示せず)と、電装部品17とを配置している。電装部品17は、蒸気調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を有している。
【0043】
図3は、図1に示す操作パネル5および赤外線通信ポート211を拡大した概略図であり、図4は、図3のF4−F4線から見た模式断面図である。
【0044】
上記ボタン群7は、戻るキー71、取り消しキー72、手動加熱キー73、および、あたためスタートキー74で構成されている。戻るキー71は、カラー液晶パネル61の画面表示を直前の画面表示に戻すときに押す。また、取り消しキー72は、途中で加熱をやめるときや、操作を取り消すときに押す。そして、手動加熱キー73は、高周波出力および加熱出力を手動で設定するときに押す。また、あたためスタートキー74は、加熱を開始するときに押す。尚、ユーザは、操作パネル5を操作することにより、赤外線通信モードを選択することができるようになっている。また、上記赤外線通信ポート211は、後述の赤外線送受信部(図5に210で示す)に接続されている。
【0045】
赤外線通信ポート211の表面の材質は、可視光を遮り赤外線のみを透過する材質で構成されている。上記赤外線通信ポート211は、赤外線検知用の受光素子の受光部を構成している。
【0046】
図4を参照して、上記カラー液晶表示部6は、カラー液晶パネル61上にタッチパネル62を重ねて構成されている。なお、この発明の表示部は、液晶パネルに限らず、有機ELなどの他の表示デバイスを用いてもよく、カラー表示に限らず、白黒表示でもよい。
【0047】
このカラー液晶パネル61は、文字、数字、写真等をカラー表示できるものであり、加熱の種類、料理名、加熱時間、温度、料理の写真等を表示する。また、タッチパネル62は、ユーザが指でタッチすると、表面電荷を変化させる透明素材からなる静電容量方式のタッチパネルである。これにより、ユーザはタッチパネル62をタッチして、カラー液晶パネル61に表示される画像を選択できるようになっている。また、ユーザがタッチパネル62をタッチして、カラー液晶パネル61に表示される選択可能な画像を選択すると、その画像の色が変わるようになっている。つまり、カラー液晶パネル61に表示される画像は、選択状態の色が非選択状態の色と異なるようになっている。なお、タッチパネル62は、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式または電磁誘導方式のタッチパネルに換えてもよく、また、指によるタッチパネルの操作だけでなく、タッチペンなどのペン状物体を用いて操作してもよい。
【0048】
図5は、この蒸気調理器の制御ブロック図を示している。この蒸気調理器は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御部としての制御装置200を、電装品部17(図2参照)内に備えている。制御装置200には、過熱蒸気生成ヒータ20、循環ファン用モータ19、冷却ファン用モータ16、給気ダンパ用モータ44、排気ダンパ用モータ60、赤外線送受信部210、操作パネル5、庫内温度センサ29、解凍センサ50、給水ポンプ70、蒸気発生装置12、マグネトロン80および記憶部211が接続されている。上記赤外線送受信部210は、増幅回路等からなり、制御装置200によって、駆動制御されるようになっている。
【0049】
操作パネル5からの信号および庫内温度センサ29、解凍センサ50からの検出信号に基づいて、制御装置200は、過熱蒸気生成ヒータ20、循環ファン用モータ19、冷却ファン用モータ16、給気ダンパ用モータ44、排気ダンパ用モータ60、操作パネル5、給水ポンプ70、蒸気発生装置12およびマグネトロン80などを制御するようになっている。
【0050】
上記制御装置200は、表示制御部200aと、赤外線通信制御部200bとを有している。上記表示制御部200aは、カラー液晶表示部6の一画面に複数のメニューを表す複数の画像を同時に表示する等の制御を行なっている一方、赤外線通信制御部200bは、赤外線送受信部210の動作を制御するようになっている。また、上記表示制御部200aは、赤外線送受信部210からの信号を受けて、赤外線通信の進捗状況を知らせる進捗表示を制御するようになっている。
【0051】
図6は、この蒸気調理器と赤外線通信が可能な端末機器の一例である携帯電話の正面図であり、図7は、その携帯電話の背面図である。
【0052】
図6に示すように、この携帯電話機は、モニター側筐体301および操作側筐体302を備え、このモニター側筐体301と操作側筐体302とがヒンジ部303で連結され、折り畳み可能になっている。上記モニター側筐体301には、表示部305とスピーカ部306が設けられている。また、上記操作側筐体302には、通話ボタンや撮影ボタンなどを含む複数の操作ボタン307からなる操作部308とマイク部311とが設けられている。また、図7に示すように、上記モニター側筐体301の背面には、カメラ部312と赤外線通信ポート313が設けられている。
【0053】
図8は、携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【0054】
上記携帯電話機の制御回路360には、上記操作部308、マイク部311、表示部305、赤外線信号送受信部315、スピーカ部306、カメラ部312、通信部330および記憶部350が接続されている。上記制御回路360は、図示しないマイクロコンピュータ,ROM,RAM等で構成されており、上記各部の動作を制御する。上記制御回路360は、赤外線通信制御部360aを有し、この赤外線通信制御部360aで赤外線信号送受信部315の動作を制御する。
【0055】
上記操作部308の操作ボタン307が操作されると、これに対応する操作信号が制御回路360で検出される。マイク部311は、入力された音声を信号に変換して制御回路360に出力する。表示部305は、例えば液晶ディスプレイから構成され、携帯電話機が開かれている状態において、制御回路360から与えられる表示信号を表示する。
【0056】
赤外線信号送受信部315は、制御回路360から入力された信号を予め定められた赤外線通信プロトコルに基づいて赤外線信号として赤外線通信ポート313(図7参照)から外部に送信する。また、この赤外線信号送受信部315は、予め定められた赤外線通信プロトコルに基づいて赤外線通信ポート313から赤外線信号を受信して制御回路360へ入力する。また、スピーカ部311は、制御回路360から入力された信号を音声に変換して外部に出力する。上記カメラ部312は、例えばCCDカメラから構成され、撮影した画像データを制御回路360に出力する。また、通信部330は、所定の通信プロトコルに基づいて、インターネットとの接続や、携帯電話回線との通信処理を行う。記憶部350は、例えば不揮発性メモリから構成され、後述する各種の情報を記憶する。
【0057】
図9は、赤外線通信の代表的なプロトコルと、物理レイヤの速度と、通信を行う通信データサイズと、通信に要する時間との関係の一例を示す図である。
【0058】
尚、図9に示す数値は、あくまで目安の数値である。というのは、通信速度は、携帯電話等の情報端末の応答速度等によっても変化し、また、夫々のプロトコルの中でも、お互いの通信機器がサポートしている通信速度も異なるからである。すなわち、図9に示す数値は、実測でこのくらいの速度で通信可能という基準を示している。
【0059】
また、図9において、上から二行目は、プロトコルを示し、IrDAは、Infrared Data Associationで規定された旧来の赤外線通信方式を示し、IrSimpleとIrSSはInfrared Data Associationで規定された最新の高速赤外線通信方式を示す。IrDAと、IrSimpleは双方向の通信を行うときのプロトコルであり、IrSSは、片方向の通信を行うときのプロトコルである。
【0060】
また、図9において、上から三行目は、国際標準化機構により制定された異種機器のデータ通信を実現するためのネットワーク構造の設計方針OSI(Open System Interconnection)に基づく、物理レイヤの速度を示す。尚、物理レイヤは、通信プロトコルにおいて、具体的な物理的媒体(ハードウェア)を規定し、赤外線受送信モジュールの信号強度、赤外線ビームの指向性や到達距離、エラーレート、パルス変調方式等を規定するものである。また、[bps]は、データ送信速度の単位であり、1[bps]は、1秒間に1ビットのデータを転送できることを表す。尚、本願の出願時においては、通信プロトコルがIrDAである機器の殆どは、物理レイヤの速度が、115[kbps]までの場合しか対応していない。
【0061】
図9を参照して、プロトコルがIrDAで、かつ、物理レイヤの速度が115kbpsである場合は、1MBの情報を送信するのに、200〜400秒かかり、約6分程度の時間を要するのに対し、プロトコルがIrSimpleである場合は、1MBの情報を送信するのに、2〜3秒の時間しか要さないことがわかる。
【0062】
上記構成において、この蒸気調理器は、以下のように進捗表示を行うようになっている。
【0063】
ユーザが、携帯電話機の赤外線通信ポート313を、蒸気調理器の赤外線通信ポート211に向けて、携帯電話機の操作部308の操作ボタン307のうちの予め定められた赤外線通信ボタンを操作して、画像情報送信の操作を行ったとする。
【0064】
そうすると、携帯電話からの通信信号を、赤外線通信ポート211を介して受けた制御装置200の表示制御部200aが、通信の信号の初期の段階の情報に基づいて、通信のプロトコル、物理レイヤの速度、通信データサイズを取得して、通信プロトコルの種類に応じて発生する通信のオーバーヘッド(通信プロトコルにおいてデータ以外の通信(通信制御やエラー訂正など)に要する割合)、物理レイヤの速度、通信データサイズから通信に要する時間を、通信データサイズ[ビット]×(1+通信プロトコルの種類に応じて発生するオーバーヘッド)/物理レイヤの速度[bps]で算出するようになっている。通信プロトコルの種類に応じたオーバーヘッドは通信相手機器によって応答時間が異なるため一定ではないが、実機による測定結果の平均的値から、IrDAは1.0、IrSimpleは0.2、IrSSは0.1と定めることとする。そして、その通信に要する概算した時間が予め定められた時間の一例としての2秒以下である場合には、図10に示すように、カラー液晶表示部6の所定の箇所に、受信中という文字だけ記して、図面の形態の進捗表示を行わないようになっている。
【0065】
一方、通信に要する概算した時間が2秒より大きい場合には、上記初期の段階の情報に基づいて認識して、通信のプロトコルによって、異なる進捗表示を行うようになっている。
【0066】
詳しくは、通信プロトコルが、第1のプロトコルの一例としてのIrDAである場合には、図11に示すように、表示制御部200aが、カラー液晶表示部6の所定の箇所に第1の図形の形態の一例としての道を歩いて行くカメのアニメを表示させるようになっている。このアニメによって、ユーザは、道全体に対するカメの歩行位置によって、通信状況を一目で認識できるようになっており、また、カメの歩く速度で通信速度を認識できるようになっている。
【0067】
また、通信プロトコルが、IrDAよりも高速通信を行う第2のプロトコルの一例としてIrSimpleやIrSSである場合には、図12に示すように、表示制御部200aが、カラー液晶表示部6の所定の箇所に第2の図形の形態の一例としての道を走っていくうさぎのアニメを表示させるようになっている。このアニメによって、ユーザは、道全体に対するうさぎの走行位置によって、通信状況を一目で認識できるようになっており、また、うさぎが走る速度で通信速度を認識できるようになっている。
【0068】
また、上記表示制御部200aは、上記うさぎのアニメの1秒間に表示するコマ数を、カメのアニメの1秒間に表示するコマ数よりも小さくして、通信プロトコルが、IrDAよりも高速通信を行うプロトコルである場合に、進捗状況の表示に負荷がかからないようにして、通信速度に影響が少ないようにしている。
【0069】
また、上記表示制御部200aは、逆に、通信プロトコルが、IrDAである場合には、それよりも通信速度が速いプロトコル(IrSimpleやIrSS等)よりもアニメの1秒間に表示するコマ数よりも大きくして、精巧なアニメ表示をして、ユーザを楽しませたり、ユーザの苛つきを緩和させたりするようにしている。
【0070】
また、一般に、通信情報は、複数のパケットに分けて送られるが、制御装置200が、通信情報の最後のパケットを受信して、通信情報の送受信が完了すると、赤外線通信制御部200bが、携帯電話に通信が適切に完了したことを表す信号を、赤外線送受信部210に赤外線通信ポート211を介して携帯電話に送信させると共に、上記表示制御部200aが、進捗表示を終了するようになっている。
【0071】
図13は、上記制御の流れを簡易に示すフローチャートである。
【0072】
制御がスタートして、ユーザが、情報端末から赤外線通信の信号を、赤外線通信ポート211に向けて発信すると、ステップS1で、赤外線通信ポート211を介して制御装置200の表示制御部200aが、通信の信号の初期の段階の情報に基づいて、通信のプロトコル、物理レイヤの速度、通信データサイズ等を取得して、通信時間を算出する。
【0073】
次に、ステップS2で、表示制御部200aが、概算時間が予め定められた時間(例えば、1秒、1.5秒、2秒、3秒、4秒、5秒)以内であるか否かを判断する。ここで、上記概算時間が、予め定められた時間以内であると、ステップS3に移行して、カラー液晶表示部6の所定の箇所に、「受信中」とだけ表示する。
【0074】
続いて、ステップS4で、制御装置200の赤外線通信制御部200bが、通信データの送受信の完了を判断すると、ステップS5で、上記「受信中」の表示を終了して、制御がエンドになる。
【0075】
一方、ステップS2で、表示制御部200aが、上記概算時間が、予め定められた時間を超えていると判断すると、上記表示制御部200aが、プロトコルに応じた画面表示を行う。例えば、プロトコルが、IrDAである場合には、カラー液晶表示部6の所定の箇所に、道を歩いていくカメのアニメを表示するようになっている。また、プロトコルが、IrSimpleやIrSSである場合には、カラー液晶表示部6の所定の箇所に、道を走っていくうさぎのアニメを表示するようになっている。
【0076】
続いて、ステップS4で、赤外線通信制御部200bが、通信データの送受信の完了を判断すると(この時点で、カメまたはうさぎは、道の終点に到達する)、ステップS5で、表示制御部200aが、液晶カラーパネル6のアニメの表示を終了させて、制御がエンドになる。
【0077】
上記実施形態の蒸気調理器によれば、表示制御部200aが、通信の情報に基づいて、カラー液晶表示部6に表示される進捗状況の表示の形態を変えるようになっているから、例えば、通信速度が速い場合に、進捗表示の負荷を下げることができる。したがって、高速通信に支障がないようにすることができる。
【0078】
また、逆に、通信速度が遅くて短時間での通信完了が意図されていない場合に、進捗表示の負荷を上げることができて、ユーザが通信時間の終了を待っている時間に、ユーザをより精巧なアニメーションで楽しませることができる。
【0079】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、表示制御部200aが、通信に要する時間を算出し、その時間が予め定められた時間より短いときには、カラー液晶表示部6に上記図形の形態での進捗状況の表示をさせないから、表示画面がちらつくことがなく、意味がない表示を省略できる。
【0080】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、通信のプロトコルが、IrDAよりも高速通信を行うIrSimpleやIrSSである場合に、表示制御部200aが、カラー液晶表示部6の表示の負荷を、通信のプロトコルがIrDAのときにカラー液晶表示部6に表示させている表示の負荷よりも下げるように、カラー液晶表示部6を制御するから、高速通信の際に、カラー液晶表示部6の表示によって、高速通信が妨げられることを防止できる。
【0081】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、高速通信のIrSimpleやIrSSで通信を行っているときと、それよりも低速通信のIrDAで通信を行っているときで、カラー液晶表示部6に表示されている図面の形態が変えられるから、ユーザが、使用しているプロトコルが高速か低速かを容易に認識することができる。
【0082】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、低速通信のプロトコルを使用しているときに、カラー液晶表示部6の表示の負荷が大きくなるから、通信時間が比較的長い場合において、通信待ちをしているユーザを精巧なアニメで楽しませたり、リラックスさせたりすることができる。
【0083】
また、上記実施形態によれば、蒸気調理器が、本発明の通信装置を備えるから、マイクロコンピュータの性能がそれ程優れていないにも拘わらず、適切な進捗表示ができる。蒸気調理器等の家庭電気製品は、マイクロコンピュータに能力的な制約がある場合が多いから、通信速度に基づいて、進捗の表示の負荷を変えるニーズが非常に大きくなるのである。
【0084】
尚、上記実施形態の蒸気調理器では、通信のプロトコルが、高速通信のプロトコルの場合に、図形の形態の表示の負荷を、その高速通信のプロトコルよりも低速通信のプロトコルのときの図形の形態の表示の負荷よりも小さくした。しかしながら、この発明の通信装置では、通信のプロトコルが、高速通信のプロトコルの場合に、図形の形態の表示の負荷を、その高速通信のプロトコルよりも低速通信のプロトコルのときの図形の形態の表示の負荷と、同等に設定しても良く、または、高く設定しても良い。
【0085】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、通信のプロトコルが、高速通信のプロトコルの場合に、うさぎが走っているアニメを表示する一方、通信のプロトコルが、上記高速通信のプロトコルよりも遅いプロトコルの場合に、カメが歩いているアニメを表示した。しかしながら、この発明の通信装置では、高速通信のプロトコルの場合に、うさぎ以外のキャラクターのアニメを表示しても良く、また、その高速通信よりも低速の低速通信のプロトコルの場合に、かめ以外のキャラクターのアニメを表示しても良い。
【0086】
例えば、高速のプロトコルの場合に、新幹線を表示する一方、それよりも低速のプロトコルの場合に、蒸気機関車を表示しても良い。また、例えば、高速のプロトコルの場合に、ロケットを表示する一方、それよりも低速のプロトコルの場合に、飛行機を表示しても良い。また、例えば、高速のプロトコルの場合に、電車を表示する一方、それよりも低速のプロトコルの場合に、船舶を表示しても良い。すなわち、表示に用いられるキャラクターは、如何なるものであっても良い。
【0087】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、赤外線通信制御部200bが、通信時間が所定の時間(如何なる時間に設定されても良い、例えば、1秒、2秒等の5秒以下の時間が考えられる)以内であると判断したときに、図形の形態での進捗表示をしなくて、文字の形態からなる進捗表示をしたが、この発明の通信装置では、通信時間が所定の時間以内であると判断したときに、進捗表示を一切行わないようにしても良い。
【0088】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、通信時間が所定の時間以内であると判断したときに、図形の形態での進捗表示をしない一方、通信時間が所定の時間を超えると判断したときに、アニメを表示するようにしたが、この発明の通信装置では、通信時間が所定の時間を超えると判断したときに、通信プロトコルが如何なる通信プロトコルであっても、図14に示す進捗バーの図形の形態で、進捗状況を表示するようにしても良い。
【0089】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、プロトコルに基づいて、表示するキャラクターを変えるようにしたが、この発明の通信装置では、物理レイヤの速度に基づいて、所定の閾値の速度よりか高速化か否かによって、表示するキャラクターを変えるようにしても良い。また、この場合において、上記所定の閾値を、一つのみ設定しても良く、または、二以上設定しても良い。
【0090】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、IrDAと、それよりも高速通信のプロトコルであるIrSimple,IrSSとで、異なるキャラクターを表示したが、互いに異なる夫々のプロトコル毎に、異なるキャラクターを割り当てても良い。
【0091】
また、本発明の通信装置では、相手機との通信プロトコルが、IrDAの場合に、進捗バー等の図形の形態の表示をする一方、相手機との通信プロトコルが、IrSimpleまたはIrSSの場合に、進捗バー等の図形の形態の表示をしないようにしても良い。このようにして、高速通信のプロトコルの場合に、通信処理に集中させるようにしても良い。
【0092】
また、本発明の通信装置では、物理レイヤの速度が、115kbpsの場合に、進捗バー等の図形の形態の表示をする一方、物理レイヤの速度が、4Mbps以上の場合に、進捗バー等の図形の形態の表示をしないようにしても良い。このようにして、高速通信の場合に、通信処理に集中させるようにしても良い。
【0093】
また、本発明の通信装置では、通信プロトコルの種類と、物理レイヤの速度とに基づいて、進捗バーを表示するか否かの判断を行っても良い。
【0094】
また、本発明の通信装置では、表示の負荷を上げるか否かの判断を通信時間に基づいて行っても良い。そして、例えば、通信時間が、所定の時間(例えば5分以上の時間)以上であると判断したときに、表示の負荷を大きくして、精巧な進捗アニメを表示するようにしても良い。
【0095】
また、本発明の通信装置は、受信のみを行う装置であっても良く、送受信を行う装置であっても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、通信プロトコルが、IrDA、IrSimple、IrSSの場合の赤外線通信について説明を行ったが、この発明の通信装置は、通信プロトコルが、IrDA、IrSimple、IrSS以外の赤外線通信のプロトコルにも対応していても良いことは、勿論である。
【0097】
また、上記実施形態では、赤外線通信で通信のやり取りをする場合を説明したが、本発明では、電波無線通信で通信のやり取りをしても良く、また、ケーブルを介した有線通信で通信のやり取りをしても良い。また、本発明の通信装置としては、情報機器以外に、蒸気調理器以外の家庭電気製品、例えば、電子レンジ、炊飯器、冷蔵庫、掃除機、テレビジョン受像機、空気調和機、電気カミソリ、照明器具等が考えられる。また、本発明の通信装置と通信を行う装置としては、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、デジタルカメラ、モバイルPC(パーソナルコンピュータ)等が考えられる。
【符号の説明】
【0098】
6 カラー液晶表示部
200 制御装置
200a 表示制御部
200b 赤外線通信制御部
211 赤外線通信ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末からの信号を受信する受信部と、
上記情報端末との通信の進捗状況を、図形の形態で表示可能な表示部と、
上記通信の最初の段階で送られてくる上記通信の通信速度の情報と、上記通信の最初の段階で送られてくる通信データサイズの情報とに基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変動させる制御部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
上記制御部は、上記通信の通信速度の情報と、上記通信データサイズの情報とに基づいて、上記通信に要する時間を算出し、その時間が予め定められた時間より短いときには、上記表示部に上記図形の形態での進捗状況の表示をさせないことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信装置において、
上記制御部は、上記通信のプロトコルを判断し、上記通信のプロトコルが、第1のプロトコルよりも高速通信を行う第2のプロトコルである場合には、上記表示部の表示の負荷を、上記通信のプロトコルが上記第1のプロトコルのときに上記表示部に表示させる表示の負荷よりも下げるように、上記表示部を制御することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信装置において、
上記制御部は、上記通信のプロトコルを判断し、上記通信のプロトコルが、上記第1のプロトコルである場合に、上記表示部が第1の図形の形態で上記進捗状況を表示するように上記表示部を制御する一方、上記通信のプロトコルが、上記第2のプロトコルである場合には、上記表示部が第2の図形の形態で上記進捗状況を表示するように上記表示部を制御することを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の通信装置を備えることを特徴とする加熱調理器。
【請求項1】
情報端末からの信号を受信する受信部と、
上記情報端末との通信の進捗状況を、図形の形態で表示可能な表示部と、
上記通信の最初の段階で送られてくる上記通信の通信速度の情報と、上記通信の最初の段階で送られてくる通信データサイズの情報とに基づいて、上記表示部に表示される進捗状況の表示の形態を変動させる制御部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
上記制御部は、上記通信の通信速度の情報と、上記通信データサイズの情報とに基づいて、上記通信に要する時間を算出し、その時間が予め定められた時間より短いときには、上記表示部に上記図形の形態での進捗状況の表示をさせないことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信装置において、
上記制御部は、上記通信のプロトコルを判断し、上記通信のプロトコルが、第1のプロトコルよりも高速通信を行う第2のプロトコルである場合には、上記表示部の表示の負荷を、上記通信のプロトコルが上記第1のプロトコルのときに上記表示部に表示させる表示の負荷よりも下げるように、上記表示部を制御することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信装置において、
上記制御部は、上記通信のプロトコルを判断し、上記通信のプロトコルが、上記第1のプロトコルである場合に、上記表示部が第1の図形の形態で上記進捗状況を表示するように上記表示部を制御する一方、上記通信のプロトコルが、上記第2のプロトコルである場合には、上記表示部が第2の図形の形態で上記進捗状況を表示するように上記表示部を制御することを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の通信装置を備えることを特徴とする加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−20371(P2013−20371A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152089(P2011−152089)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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