説明

通信装置及び診断システム

【課題】リモート診断を円滑に実行する。
【解決手段】複数の通信回線を収容し、当該通信回線を介して所定のセンター装置200と通信可能に接続されたファクシミリ装置100であって、センター装置200から診断処理に関する実行命令を受けた場合には、その診断処理を行う診断実行部と、センター装置200から診断処理に関する実行命令を受けた場合であっても、いずれかの通信回線が使用されている場合には、所定の実行命令を受け、かつ、その使用が終了するまでは、診断実行部に前記診断処理を行わせない診断制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔制御により所定の診断動作を行うファクシミリ装置等の通信装置及びこの通信装置と遠隔診断を行うホスト装置とからなる診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ装置等の通信装置は、その通信機能を利用することにより、遠隔にあるホスト装置(センター局)から故障診断や故障修復を実施できるようになっている。
具体的には、センター局からの遠隔操作により、データやプログラムを送受信したり、ジョブを実行したりすることができる。
【0003】
このため、サービスマンがリモート局にわざわざ出向くこと無くファクシミリ装置に関する種々の診断が可能となるため、装置の保守・運用を行う上で利便を供していた。
ところが、このようなリモート診断では、診断の実行中にファクシミリ装置側で停電やソフトウェアロック等が発生した場合、ハードウェア上のリセット処理や診断処理のやり直し等、人的な作業や冗長な処理が発生することがある。
つまり、この様な事態の発生によってリモート診断の利便性が損なわれることとなっていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、個々のファクシミリ装置に対するリモート処理に必要な各ジョブが登録されたジョブファイルを用意し、ジョブファイルに登録されたジョブをスプールし、スプール中のジョブに対応するファクシミリ端末との間の通信を実行して、ファクシミリ端末との通信によりリモート処理の終了したジョブをジョブファイルから削除するリモート処理装置が提案されている。このリモート処理装置は、ファクシミリ装置との通信中にジョブが異常終了した場合にはスプール中のジョブを停止し、当該ジョブに対してオペレータから再通信指示があれば通信を再開して残りのジョブを実行するようにしている。
したがって、このようなリモート処理装置によれば、ファクシミリ端末側において停電やソフトウェアロック等が発生して診断作業が中断された場合であっても、安全かつ容易にリモート診断の再開を行うことができることとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−166066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるリモート処理装置によれば、中断されたリモート診断が適切に実行されないために、円滑にその実行を終了することができない問題があった。
例えば、リモート診断としてファームウェア等の更新が行われている間に他のファクシミリ通信が行われると通信エラーが発生し、これが原因でファームウェアの更新が中断されることがある。
【0007】
すなわち、受信した原稿の出力動作が完了していない状態で、ファームウェア等の更新が完了すると、受信した原稿を正しく処理することができない不具合が発生する場合があるので、このような不具合を避けるために、回線は強制的に切断されることとなる。
【0008】
しかしながら、その後、センター局からのリダイヤル等によりプログラムの書換を再開したときに、他のポートがファクシミリ通信に使用されている場合には、やはり同様のエラーが発生することとなる。つまり、すべてのポートが使用されていない状態下でプログラムの書換が行われない限りこのようなエラーが繰り返されることとなる。
また、係るエラーが繰り返されると回線やポートなどのハードウェア資源を無駄に占有することとなるため、機器の使用効率を低下させる原因にもなっていた。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、リモート診断を円滑に実行できる通信装置及び診断システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明の通信装置は、複数の通信回線を収容し、当該通信回線を介して所定のホスト装置と接続された通信装置であって、前記ホスト装置から診断処理に関する実行命令を受けた場合には、その診断処理を行うことができる診断実行部と、前記ホスト装置から診断処理に関する実行命令を受けた場合であっても、いずれかの通信回線が使用されている場合には、前記診断実行部に前記診断処理を行わせない診断制御部とを備える構成としてある。
【0011】
また、本発明の診断システムは、所定のホスト装置と、複数の通信回線が収容された通信装置とからなり、前記ホスト装置は、前記通信装置に対し、前記通信回線を介して診断処理に関する実行命令を送る遠隔診断命令部を備えるとともに、前記通信装置は、前記ホスト装置から前記診断処理に関する実行命令を受けた場合には、その診断処理を行うことができる診断実行部と、前記ホスト装置から前記診断処理に関する実行命令を受けた場合であっても、いずれかの通信回線が使用されている場合には、前記診断実行部に前記診断処理を行わせない診断制御部とを備える構成としてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リモート診断を円滑に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置及びそのファクシミリ装置とセンター局とからなるリモート診断システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係るファクシミリ装置の主制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】リモート診断の開始から予約IDが通知されるまでにセンター局とファクシミリ装置間で送受される各種信号を示すシーケンス図である。
【図4】ファクシミリ装置で行われるリモート診断に関する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の通信装置に相当するファクシミリ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置及びそのファクシミリ装置とセンター局とからなるリモート診断システムの概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、ファクシミリ装置100は、センター局200や他の相手機300と図略の電話回線を介して物理的に接続されている。
【0015】
センター局200は、ファクシミリ装置100のリモート診断を行う上で必要なホストコンピューター(ホスト装置)であり、相手機300は、外部のファクシミリ装置やファクシミリ機能を有する通信装置等である。
典型的には、センター局200は、ファクシミリ装置100の保守・運用を請け負うサービスセンター等に設置され、必要に応じファクシミリ装置100の電話回線にダイヤルしてリモートメンテナンスを行うパーソナルコンピュータ等が該当し、相手機300は、通常的にファクシミリ通信を行う取引先や関連部門などに設置されたファクシミリ装置等が該当する。
【0016】
ファクシミリ装置100は、図1に示すように、主制御部1と予約情報記憶部2と回線制御部3とを備える。
主制御部1は、各種制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)及び制御プログラム等をROMから読み出して実行するマイクロコンピューターやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェア回路からなり、上記各部に対する各種制御信号の送受信を行い、ファクシミリ装置100の動作制御を司る。
また、回線制御部3は、回線制御部3a及び回線制御部3bを有し、各回線制御部3にはそれぞれ電話回線が収容されている。
【0017】
ここで、本実施形態の主制御部1は、図2に示すように、診断実行部11と、診断制御部12と、通信制御部13と、予約情報通知部14とを備える。
診断実行部11は、センター局200からのリモート診断の実行命令の受信に応じて所定のリモート診断を実行する。
例えば、センター局200から、回線制御部3aに接続された電話回線を介し、リモート診断の開始信号やリモート診断の内容を示す信号等が送信され、ファクシミリ装置100がこのような各種信号に対応したリモート診断の動作を行う。
【0018】
診断制御部12は、センター局200からリモート診断の実行命令を受けた場合であっても、ファクシミリ装置100に収容されているいずれかの電話回線がファクシミリの送信又は受信を行っている場合には、通信エラーと判断して、そのリモート診断を中断する。
これは、従来における問題として述べたように、リモート診断と並行して他のファクシミリ通信が行われることによる通信エラー(例えば、ファームウェアの書換時における整合性エラーによるもの)を防ぐものであって、リモート診断の円滑な実行を妨げる不具合の発生を未然に防止するためである。
【0019】
ただし、診断制御部12は、このようにリモート診断が中断された場合であっても、その後、センター局200からリダイヤル機能等によって他のファクシミリ通信の終了後に所定の予約ID(後述する予約情報通知部14によって予めセンター局200に通知されるID)を伴うリモート診断の実行命令を受信した場合には、そのリモート診断を実行するように制御する。
【0020】
通信制御部13は、センター局200からリモート診断の実行命令を受けた場合であっても、いずれかの通信回線が使用されている場合には、そのリモート診断の再実行が終了するまでは、そのリモート診断を実行する目的以外の目的で通信回線を使用することを禁止する。
すなわち、通信エラーと判断されて中断されたリモート診断の再実行を優先的に実行するものであり、リモート診断に用いる回線のみならず、他のすべての回線をそのリモート診断の円滑な実行のために確保するものである。
【0021】
具体的には、後述する予約情報通知部14によって予約IDがセンター局200に通知されるとともに、その予約IDが所定の記憶媒体に記憶され、この記憶された予約IDはリモート診断の再実行とともに消去するようにしているため(後述する予約情報記憶部2を参照)、通信制御部13は、予約IDが記憶媒体に記憶されたときから消去されるまでの間は、そのリモート診断の実行以外の目的による通信回線の使用を禁止する。
【0022】
予約情報通知部14は、センター局200からリモート診断の実行命令を受けた場合で、かつ、いずれかの電話回線が使用されている場合に、所定の予約ID(例えば、6桁の英数字等からなる一意な文字列等)を生成してセンター局200に通知する処理を行う。これを受け、センター局200は、受信した予約IDを所定の記憶媒体に記憶し、例えば、リダイヤル機能等にもとづく所定のタイミングで、リモート診断の実行命令とともにこの予約IDをファクシミリ装置100に対し送信する動作を行う。
【0023】
なお、予約情報通知部14は、予約IDを、電話回線の使用が終了したタイミングで通知するようにしてもよい。そして、この場合、センター局200は、予約IDの受信に応じてリモート診断の実行命令をファクシミリ装置100に送るようにするとよい。
このようにすると、中断されたリモート診断の再開時には、すべての通信回線は確実に使用されていないため、より円滑にリモート診断を実行し、かつ、完了させることができる。
【0024】
図1に示す予約情報記憶部2は、予約情報通知部14によりセンター局200に送信される予約IDをメモリー等の所定の記憶媒体に記憶するとともに、その後、センター局200からその予約IDを伴ったリモート診断の実行命令を受けてリモート診断が再実行されたときにはその予約IDを記憶媒体から消去する処理を行う。
【0025】
予約情報記憶部2によって記憶媒体に記憶される予約IDは、センター局200から実行命令をうけるリモート診断が、優先的に実行すべき対象か否かを判別するために用いることができる。具体的には、所定の通信エラーによってリモート診断が中断された後、センター局200からリモート診断の実行命令を受信した場合には、その実行命令に予約IDが付されていることだけでなく、付された予約IDが、予約情報記憶部2により記憶媒体に記憶された予約IDと一致するか否かによって識別することができる。
これにより、通常のリモート診断と中断により再開されるリモート診断とを区別し、再開されるリモート診断を優先して実行することができる。また、中断したリモート診断が複数発生した場合であっても、その発生の順に応じて、円滑にリモート診断が再実行されることとなる。
【0026】
また、予約情報記憶部2は、予約IDを記憶媒体に記憶したときから所定の時間が経過したときにはその予約IDを記憶媒体から消去するようにしている。
これは、センター局200側で、トラブルその他何らかの原因で、リモート診断に係るリダイヤル処理等が行われないなど不測の事態を想定したものである。
つまり、予約IDを記憶したときから回線の一般的使用は制限されるため、このような制限を余りにも長時間続けると、通常のファクシミリ通信等に支障が生ずる。このため、予め設定した時間を経過した場合に予約IDを消去することにより回線の使用制限を解除することで、ファクシミリ装置の通常使用に支障を生じないようにしている。
【0027】
なお、このように、予約情報記憶部2によって予約IDが記憶されている間は再開すべきリモート診断が優先的に処理されるため、この間の状態を予約中とみなして関連する処理を制御することもできる。反対に、予約IDが消去された後は通信回線は開放されるため、予約が解除されたものとみなして関連する処理を制御することもできる(図4のS12、S22等参照)。
【0028】
次に、本実施形態のリモート診断の処理手順について図面を参照しながら説明する。
図3は、リモート診断の開始から予約IDが通知されるまでにセンター局とファクシミリ装置間で送受される各種信号を示すシーケンス図である。
なお、説明の便宜上、各種信号の送受信は、ファクシミリ装置100の回線制御部3aに収容された電話回線を介して行われるものとし、回線制御部3bに収容された電話回線は、相手機300とのファクシミリ通信に使用されているものとする。
【0029】
図3に示すように、まず、センター局200からのダイヤルアクセス等(図略)に応じ、ファクシミリ装置100は、所定の応答信号(NSF/CSI/DIS)をセンター局200に送信する(S1)。
ここで、「NSF」は、非標準装置信号であり、端末装置の機能を識別する役割を担う。例えば、この信号によりセンター局200は、ファクシミリ装置100がリモート診断機能を有するか否かを確認することができる。「CSI」は、被呼局識別信号であり、これにより端末装置に割り当てられた電話番号等の確認を行うことができる。「DIS」は、ディジタル識別信号であり、端末装置の機能がTTC標準のJT−T30であることを示す。すなわち、一般交換電話網で使用するG1,G2,G3ファクシミリ機器の伝送制御手順に基づくものである。
【0030】
次に、センター局200は、ファクシミリ装置100に対してNSS/TCF信号を送信する(S2)。
ここで、「NSS」は、非標準機能設定信号であり、本実施形態では、このNSS信号によりリモート診断であることをファクシミリ装置100に通知する。「TCF」は、予めトレーニングチェックを行うための信号である。
なお、リモート診断の実行要求(NSS)を受けたファクシミリ装置100は、診断制御部12が、そのリモート診断を実行するか否かの判断を行うが、回線制御部3bに収容された電話回線を介してファクシミリ通信が行われているため、診断制御部12は、これを通信エラーとみなして、リモート診断処理を中断する。
【0031】
このため、ファクシミリ装置100は、予約情報通知部14は、予約IDが埋め込まれたNSF信号をセンター局200に送信する(S3)。なお、センター局200は、このNSF信号の受信、又は、その後にファクシミリ装置100から送られるエラー信号の受信をもって、リモート診断が通信エラーとなったことを検知する。
そして、NSF信号を受けたセンター局200は、DCN信号をファクシミリ装置100に送信する(S4)。すなわち、予約IDを受け、リモート診断における通信エラーの発生を検知したセンター局200とDCN信号を受けたファクシミリ装置100は、この回線を切断する。なお、「DCN」は、回線切断命令信号である。
【0032】
次に、本実施形態に係るファクシミリ装置で行われるリモート診断に関する処理の手順について図4を参照しながら説明する。
同図に示すように、まず、ファクシミリ装置100の主制御部1は、通信を開始するか否かを確認する(S11)。具体的には、主制御部1が、外部からのダイヤルアクセス等を介して通信の要求があるか否かを、回線制御部3を介して確認する。なお、外部とは、図略の電話回線を介して接続された他のファクシミリ装置その他通信機能を有する装置等を示し、本実施形態におけるセンター局200や相手機300が相当する。
ここで、通信の開始が確認されると(S11:YES)、主制御部1は、このファクシミリ装置100においてリモート診断の予約がされているか否かを確認する(S12)。具体的には、所定の記憶媒体に予約IDが記憶されている場合には、所定のリモート診断が予約中であり、予約IDが記憶されていない場合には、リモート診断は予約されてないものと判断する。
【0033】
リモート診断が予約中でないと判断された場合(S12:NO)、診断制御部12は、使用可能な電話回線が2回線以上あるか否かを判断する(S13)。なお、「使用可能」とは休止中や故障中の電話回線を除外する趣旨である。
ここで、使用可能な電話回線が2回線以上あると判断された場合(S13:YES)、主制御部1は、他の回線で通信中か否かを判断する(S14)。なお、「他の回線で通信中」とは、これから使用とする電話回線のみならず、他のいずれか電話回線で何らかの通信が行われている状態を示す。
【0034】
そして、他の回線で通信中であると判断された場合(S14:YES)、主制御部1は、開始しようとしている通信がリモート診断に関する通信か否かを判断する(S15)。
この結果、開始しようとしている通信が、リモート診断に関する通信でないと判断された場合(S15:NO)、回線制御部3(回線制御部i又は回線制御部ii)は、収容された電話回線を介して外部との通信を開始する(S16)。
一方、開始しようとしている通信が、リモート診断に関する通信であると判断された場合(S15:YES)、予約情報通知部14が予約IDをセンター局200に送信した後、回線制御部3は、その通信を切断する(S17)。また、このとき、予約情報記憶部2が、その予約IDを記憶する。
【0035】
なお、ステップS13において、使用可能な電話回線が1回線しかないことが確認された場合(S13:NO)や、ステップS14において、他の回線で通信中でないことが確認された場合(S14:NO)、回線制御部3は、収容された電話回線を介して外部との通信を開始する(S16)。
【0036】
ここで、S12において、リモート診断の予約中であることを確認した場合(S12:YES)、主制御部1は、開始しようとしている通信がリモート診断に関する通信か否かを判断する(S18)。
開始しようとしている通信がリモート診断に関する通信であると判断された場合(S18:YES)、そのリモート診断が予約したものか否かを判断する。具体的には、予約したリモート診断である場合、センター局200からは所定の予約IDが送信されるため、その予約IDと予約情報記憶部2が予め記憶した予約IDとの対比によって判別する(S19)。
【0037】
この結果、センター局200より受信した予約IDが記憶しているIDと一致していると判断された場合(S19:YES)、回線制御部3は、収容された電話回線を介してセンター局200との通信を開始する(S20)。
なお、ステップS18において、開始しようとしている通信がリモート診断に関する通信でないと判断された場合(S18:NO)や、ステップS19において、センター局200より受信した予約IDが記憶しているIDと一致しないと判断された場合(S19:NO)、回線制御部3は、その通信を切断する(S21)。
【0038】
ここで、ステップS11において、通信を開始しない場合(S11:NO)であって、ファクシミリ装置100においてリモート診断が予約中であると判断された場合(S22:YES)、主制御部1は、予約開始時からの時間が一定時間を経過したか否かを確認する(S23)。具体的には、診断情報記憶部2が予約IDを所定の記憶媒体に記憶した時からの計測時間にもとづいて判断する。
この結果、予約開始時からの時間が一定時間を経過したもの判断されると(S23:YES)、主制御部1は、リモート診断の予約中の状態を解除する(S24)。具体的には、予約情報記憶部2が、その予約IDを消去することで予約中の状態を解除することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態のファクシミリ装置100及びこのファクシミリ装置100とセンター局200とからなる診断システムによれば、リモート診断と他のファクシミリ通信とが同じタイミングで行われる場合にはリモート診断を一旦中断し、その予約を行うようにしている。
具体的には、予約IDをファクシミリ装置100とセンター局200とに保有させ、センター局200からはリダイヤル等の再アクセス時にこの予約IDを送信し、ファクシミリ装置100では受信した予約IDと自己が保有する予約IDとが一致するか否かを確認し、一致した場合にはそのリモート診断を実行するようにしている。
【0040】
なお、予約IDの発行後は、通信制御部13が、すべての通信回線の使用を制限することで、予約したリモート診断を円滑に実行できるようにしている。
また、予約したリモート診断が実行された後や、一定時間その実行がされない場合には、保有していた予約IDを消去することによって、一般のファクシミリ通信の使用に支障が生じないようにしている。
【0041】
したがって、本実施形態に係るファクシミリ装置100及びこのファクシミリ装置100とセンター局200とからなるシステムによれば、リモート診断の円滑な実行を阻害する通信エラーの発生を未然に防止するとともに、その防止のために中断したリモート診断の再度の実行を円滑に行うことができる。
このため、リモート診断をより円滑に実施することができるようになる。
【0042】
以上、本発明について、実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、ファクシミリ装置単体のみならず、ファクシミリ機能を有するMFPその他の通信装置に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、複数回線を収容したファクシミリ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 主制御部
11 診断実行部
12 診断制御部
13 通信制御部
14 予約情報通知部
2 予約情報記憶部
3 回線制御部
100 ファクシミリ装置
200 センター局
300 相手機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信回線を収容し、当該通信回線を介して所定のホスト装置と接続された通信装置であって、
前記ホスト装置から診断処理に関する実行命令を受けた場合には、その診断処理を行うことができる診断実行部と、
前記ホスト装置から診断処理に関する実行命令を受けた場合であっても、いずれかの通信回線が使用されている場合には、前記診断実行部に前記診断処理を行わせない診断制御部とを備えること
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記ホスト装置から診断処理に関する実行命令を受けた場合であっても、いずれかの通信回線が使用されている場合には、前記診断処理が終了するまでは、当該診断処理以外の目的による通信回線の使用を制限する通信制御部とを備える
請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記ホスト装置から診断処理に関する実行命令を受けた場合で、かつ、いずれかの通信回線が使用されている場合には、所定の予約IDを前記ホスト装置に通知する予約情報通知部と、
前記予約IDの通知とともに当該予約IDを所定の記憶媒体に記憶し、前記ホスト装置からの前記予約IDを伴う実行命令に応じて診断処理が実行されたときに当該予約IDを前記記憶媒体から消去する予約情報記憶部とを備え、
前記診断制御部は、
いずれかの通信回線を介して、前記ホスト装置から前記記憶媒体に記憶された予約IDを伴う実行命令を受けた場合に、他の通信回線が使用されていない場合には、前記診断処理を前記診断実行部に行わせ、前記予約IDを伴う実行命令を受けない場合、又は、他の通信回線が使用されている場合には、前記診断処理を前記診断実行部に行わせない
請求項1又は2記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、
前記予約IDが前記記憶媒体に記憶されたときから当該予約IDが前記記憶媒体から消去されるときまでの、当該診断処理以外の目的による通信回線の使用を制限する
請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
前記予約情報記憶部が、
前記記憶媒体に予約IDを記憶したときから所定の時間を経過したときは当該予約IDを前記記憶媒体から消去する
請求項3又は4記載の通信装置。
【請求項6】
所定のホスト装置と、複数の通信回線が収容された通信装置とからなり、
前記ホスト装置は、
前記通信装置に対し、前記通信回線を介して診断処理に関する実行命令を送る遠隔診断命令部を備え、
前記通信装置は、
前記ホスト装置から前記診断処理に関する実行命令を受けた場合には、その診断処理を行うことができる診断実行部と、
前記ホスト装置から前記診断処理に関する実行命令を受けた場合であっても、いずれかの通信回線が使用されている場合には、前記診断処理部に前記診断処理を行わせない診断制御部とを備える
ことを特徴とする診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−211525(P2011−211525A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77758(P2010−77758)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】