説明

通信装置及び通信方法

【課題】適切な品質設定の状態でメディア制御プロトコルを開始することのできる通信装置及び通信方法を提供する。
【解決手段】通信装置は、セッション制御プロトコルを実行し、データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルを実行するためのセッションを確立し、該セッションが確立された後、メディア制御プロトコルを実行することにより、当該セッション上でデータの配信制御に関する通信を行う。また、セッションを確立する際、当該セッションを識別するためのセッション識別子を決定してネットワークに送信し、決定されたセッション識別子により特定されるセッション上で通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質保証型ネットワークを介したメディア配信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
NGN(Next Generation Network)に代表される品質保証型ネットワークでは、SIP(Session Initiation Protocol:非特許文献1参照)に代表されるセッション制御プロトコルによって、セッションの品質(QoS(Quality of Service))に関する制御が行われる。この品質に関する制御には帯域制御や優先制御が含まれ、それらは認証を伴う。
【0003】
通信の品質は、映像の再生品質のようなサービス品質と、通信に対する課金とに関連する。通信品質が高ければユーザへのサービスの品質は高くなり、その一方でユーザへ課金される料金も高くなる。
【0004】
これまで、品質保証型ネットワークは双方向で通話を行う電話サービスに用いられることが多かった。このような電話サービスでは双方向のメディアの送受信が1つのセッションで実現される。
【0005】
しかし電話の他に、映像配信サービスにも品質保証型ネットワークを用いることが考えられる。映像配信サービスは、映像のデータを蓄積している配信サーバからユーザの受信機に映像を配信し、受信機に映像を再生させるサービスである。映像配信サービスの実現にはメディア制御プロトコルとメディア配信プロトコルが用いられる。そのため、セッション制御プロトコルは1つのサービスを実現するために複数のセッションを制御することとなる。
【0006】
図11は、品質保証型ネットワークを介して映像を配信する通信システムの構成を示すブロック図である。図11を参照すると、通信システムは配信サーバ91と受信機92を有している。配信サーバ91と受信機92とは品質保証型ネットワーク93を介して接続される。例えば、受信機92から配信サーバ91に映像の配信を要求し、配信サーバ91は、その要求に応じて受信機92に映像を配信する。映像の配信は、RTSP(Real Time Streaming Protocol)に代表されるメディア制御プロトコルと、RTP(Real time Transport Protocol)に代表されるメディア配信プロトコルによって実現される。
【0007】
メディア制御プロトコルは、映像の再生、停止、記録など映像配信の状態を制御するためのプロトコルである。その代表であるRTSPは、一般にTCP(Transmission Control Protocol)上に実装される。
【0008】
メディア配信プロトコルは、実際に映像のデータを転送するためのプロトコルである。その代表であるRTPは、一般にUDP(User Datagram Protocol)上に実装される。
【0009】
配信サーバ92と受信機91には、メディア制御プロトコルおよびメディア配信プロトコルと、それらのセッションを制御するセッション制御プロトコルとが実装される。セッション制御プロトコルはメディア制御プロトコルやメディア配信プロトコルの通信品質を保証するためにセッション制御を行う。例えば、メディア制御プロトコルの優先制御や、メディア配信プロトコルの帯域確保の制御が行われることが考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】RFC3261−SIP:Session Initiation Protocol、June 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらのプロトコルの開始手順としては、まずセッション制御プロトコルが開始され、セッション記述を品質保証型ネットワーク93に通知し、セッションの制御が可能な状態となってから、セッション制御プロトコルによる制御の対象となるプロトコルが開始される。上述した映像配信サービスの例ではセッション制御プロトコルによる制御対象はメディア制御プロトコルとメディア配信プロトコルである。
【0012】
セッション制御プロトコルの制御対象のうち、メディア制御プロトコルは上述したようにTCP上に実装される。TCPでは、TCPハンドシェークが開始されるときに送信元ポート番号が決定される。そのため、TCPハンドシェークが開始されるまではメディア制御プロトコルのセッションをポート番号で特定することができず、セッション制御プロトコルはメディア制御プロトコルのセッションに対して品質設定等の制御を行うことができない。
【0013】
本発明の目的は、適切な品質設定の状態でメディア制御プロトコルを開始することのできる通信装置及び通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため本発明の通信装置は、セッション制御プロトコルを実行し、データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルを実行するためのセッションを確立するセッション制御プロトコル実行部と、
前記セッション制御プロトコル実行部によって前記セッションが確立された後、前記メディア制御プロトコルを実行することにより、当該セッション上で前記データの配信制御に関する通信を行うメディア制御プロトコル実行部とを備え、
前記セッション制御プロトコル実行部は、前記セッションを確立する際、当該セッションを識別するためのセッション識別子を決定してネットワークに送信し、
前記メディア制御プロトコル実行部は、決定された前記セッション識別子により特定されるセッション上で通信を行う構成である。
【0015】
一方、本発明の通信方法は、セッション制御プロトコルを実行し、データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルを実行するためのセッションを確立するステップと、
前記セッションを確立するステップにおいて前記セッションが確立された後、前記メディア制御プロトコルを実行することにより、当該セッション上で前記データの配信制御に関する通信を行うステップとを備え、
前記セッションを確立するステップにおいて、前記セッションを確立する際、当該セッションを識別するためのセッション識別子を決定してネットワークに送信し、
決定された前記セッション識別子により特定されるセッション上で通信を行う方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、適切な品質設定の状態でメディア制御プロトコルを開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態による通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による通信システムにおける映像配信を開始するときの動作を示すシーケンス図である。
【図3】本実施形態による配信サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態による受信機の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】第2の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】第3の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図8】第4の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図9】第5の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図10】第6の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図11】品質保証型ネットワークを介して映像を配信する通信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態による通信システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、通信システムは配信サーバ11と受信機12を有している。配信サーバ11と受信機12とは品質保証型ネットワーク13を介して相互に接続される。品質保証型ネットワーク13は通信に確保する帯域や優先度を設定し、設定された品質を保証するネットワークである。
【0020】
受信機12から品質保証型ネットワーク13を介して配信サーバ11に映像の配信を要求し、配信サーバ11は、その要求に応じて品質保証型ネットワーク13を介して受信機12に映像を配信する。その際、受信機12と配信サーバ11との間の通信に対して設定された品質が品質保証型ネットワーク13によって保証される。
【0021】
このような映像配信サービスは、RTSPに代表されるメディア制御プロトコルと、RTPに代表されるメディア配信プロトコルというメディアの配信に関連する2つのプロトコルによって実現される。これらのプロトコルにはそれぞれにセッションが確立され、そのセッション単位で品質の設定が可能である。
【0022】
配信サーバ12と受信機11には、メディア制御プロトコルおよびメディア配信プロトコルと、それらのセッションを制御するSIPに代表されるセッション制御プロトコルとが実装される。
【0023】
図2は、本実施形態による通信システムにおける映像配信を開始するときの動作を示すシーケンス図である。映像配信を開始するとき、配信サーバ12と受信機11は、まずセッション制御プロトコルの実行を開始する。配信サーバ12と受信機11は、セッション制御プロトコルによって、メディア制御プロトコルのためのセッションと、メディア配信プロトコルのためのセッションを確立する(ステップ101)。その際、セッション制御プロトコルは、メディア制御プロトコルのセッションを特定するためのセッション識別子を決定する。
【0024】
メディア制御プロトコルのセッション識別子が決定されることによりメディア制御プロトコルを特定してのセッション制御が可能な状態となる。この状態で、配信サーバ12と受信機11は、メディア制御プロトコルの開始前にセッション確立の一環としてあるいはセッション確立の後、メディア制御プロトコルのセッションの優先制御等の品質を設定する制御を行ってもよい(ステップ102)。メディア制御プロトコルの優先度を適切に設定することにより、メディア制御プロトコルの開始時からメディア制御の実行における応答性を確保することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、メディア配信プロトコルはUDP上に実装されているため、開始前からポート番号によってセッションの特定が可能であるものとする。それ故、セッション制御プロトコルがメディア配信プロトコルのセッション識別子を決定しなくても、メディア配信プロトコルのセッションを特定した制御が可能である。この状態で、配信サーバ12と受信機11は、メディア配信プロトコルの確保帯域等の品質を適切に設定してもよい。
【0026】
続いて、配信サーバ12と受信機11は、受信機11に対するユーザの操作に従って、メディア制御プロトコルによるメディア制御を行う(ステップ103)。そのメディア制御に従って、メディア配信プロトコルにより配信サーバ12から受信機11に映像が配信される(ステップ104)。受信機11は配信サーバ12から受信した映像を再生する。
【0027】
図3は、本実施形態による配信サーバの構成を示すブロック図である。図3を参照すると、配信サーバ12は、セッション制御プロトコル実行部21、メディア制御プロトコル実行部22、メディア配信プロトコル実行部23、およびメディア格納部24を有している。
【0028】
セッション制御プロトコル実行部21は、SIPに代表されるセッション制御プロトコルを実行することにより、制御対象となるプロトコルのセッションの確立、変更、および切断を行う。映像配信サービスでは、セッション制御プロトコルによる制御対象となるプロトコルとして、RTSPに代表されるメディア制御プロトコルと、RTPに代表されるメディア配信プロトコルとがある。
【0029】
確立されたセッションには品質が設定され、そのセッション上では設定された品質で通信が行われる。セッションに設定される品質の項目として優先度と確保帯域とがある。それらの品質設定は変更が可能である。
【0030】
メディア制御プロトコルでは、再生の開始や停止等の応答性が優先度の設定に依存すると想定される。また、メディア配信プロトコルでは映像の再生品質が確保帯域の設定に依存すると想定される。
【0031】
セッション制御プロトコル実行部21は、セッションを確立するとき、受信機11と連携して、メディア制御プロトコルのセッションを特定するためのセッション識別子を決定する。さらにセッション制御プロトコル実行部21は、決定したセッション識別子を用いてメディア制御プロトコルを特定することにより受信機11と連携し、メディア制御プロトコルのセッションの品質を適切に設定する制御を行ってもよい。
【0032】
メディア制御プロトコル実行部22は、メディア制御プロトコルを実行することにより、受信機11と連携して映像の再生や停止等のメディア制御を行う。メディア制御プロトコルは、これらのメディア制御のための受信機11との通信を、セッション制御プロトコルによって設定された品質で行う。
【0033】
メディア配信プロトコル実行部23は、メディア配信プロトコルを実行することにより、メディア制御プロトコル実行部22によるメディア制御に従って、メディア格納部24に格納されている映像のデータを受信機11に配信する。メディア配信プロトコルは、これらのメディア配信を、セッション制御プロトコルによって設定された品質で行う。
【0034】
メディア格納部24は、受信機11に配信するための映像のデータを格納している。
【0035】
図4は、本実施形態による受信機の構成を示すブロック図である。図4を参照すると、受信機11は、セッション制御プロトコル実行部31、メディア制御プロトコル実行部32、およびメディア配信プロトコル実行部33を有している。また、この例では、受信機11は、操作部34、記憶部35、および再生部36を自身で備えているものとする。ただし、操作部34、記憶部35、および再生部36の1つまたは複数が受信機11とは別個の装置に備えられていてもよい。
【0036】
セッション制御プロトコル実行部31は、セッション制御プロトコルを実行することにより、映像配信サービスのためのメディア制御プロトコルとメディア配信プロトコルのセッションの確立、変更、および切断を行う。確立されたセッションには品質が設定される。
【0037】
セッション制御プロトコル実行部31は、セッションを確立するとき、配信サーバ12と連携して、メディア制御プロトコルのセッションを特定するためのセッション識別子を決定する。さらにセッション制御プロトコル実行部31は、決定したセッション識別子を用いてメディア制御プロトコルを特定することにより配信サーバ12と連携し、メディア制御プロトコルのセッションの品質を適切に設定する制御を行ってもよい。
【0038】
メディア制御プロトコル実行部32は、メディア制御プロトコルを実行することにより、配信サーバ12と連携して映像の再生や停止等のメディア制御を行う。メディア制御プロトコル実行部32による映像の再生や停止はユーザによる操作部34への操作に従って行われる。メディア制御プロトコルは、これらのメディア制御のための配信サーバ12との通信を、セッション制御プロトコルによって設定された品質で行う。
【0039】
メディア配信プロトコル実行部33は、メディア配信プロトコルを実行することにより、メディア制御プロトコル実行部22によるメディア制御に従って、配信サーバ12から配信された映像のデータを受信する。受信されたデータは記憶部35に一旦記録された後に再生部36で再生される。メディア配信プロトコルは、これらのメディア配信を、セッション制御プロトコルによって設定された品質で行う。
【0040】
操作部34は、ユーザによる操作を受け付け、操作内容を各部に伝える。例えば、セッション制御プロトコル実行部31によるセッションの確立や切断はユーザの操作で起動されてもよい。また、メディア制御プロトコル実行部32による映像再生の開始や停止はユーザの操作で起動されてもよい。
【0041】
記憶部35は、メディア配信プロトコル実行部33の受信した映像のデータを記憶する。再生部36は、記憶部35に記録された映像のデータを再生する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、セッション制御プロトコルによってセッションを確立するときに、メディア制御プロトコルのセッションを特定するためのセッション識別子を決定するので、メディア制御プロトコル自体が開始する前に、そのメディア制御プロトコルのセッションの品質制御が可能となり、開始時から適切な品質を確保することができる。また、本実施形態を実現するのに品質保証型ネットワーク13に対して特殊な処理や機能を追加する必要が無いので、本実施形態では一般的な品質保証型ネットワークをそのまま用いることができる。
【0043】
本実施形態では、セッション制御プロトコルがセッションを確立するときに、メディア制御プロトコルのセッションを特定するためのセッション識別子を決定している。その際、配信サーバ12と受信機11の間でセッション識別子を含むセッション情報をやり取りすることにより、セッション識別子を決定することにしてもよい。例えば、配信サーバ12がセッション識別子を決定し、それを受信機11に通知することにしてもよい。また、受信機11がセッション識別子を決定し、それを配信サーバ12に通知することにしてもよい。あるいは、配信サーバ12と受信機11が相互に確認しながら、双方で使用可能なセッション識別子を選択することにしてもよい。また、決定した、メディア制御プロトコルのセッション識別子は、そのメディア制御プロトコルが維持されている間、配信サーバ11、受信機12、品質保証型ネットワーク13内のセッション制御サーバ(不図示)のいずれか1つが管理することとしてもよく、あるいはそれらの複数、あるいはそれら全てがそれぞれに管理することにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、配信サーバ12と受信機11は、セッション識別子を決定するときに、メディア制御に必要なセッション情報を決定してしまうこととし、メディア制御プロトコルの開始時のセッション情報の決定を省略することにしてもよい。映像配信サービスの開始時の手順を簡略化することができる。
【0045】
一般的にはメディア制御プロトコルは初期状態から待機状態に移行することにより、映像の再生等が可能な状態となる。例えば、RTSPでは、メディア制御の動作を契機として、"Initial"、"Ready"、"Playing"、"Recording"という4つの状態を遷移する。メディア制御が"Initial"状態を経て"Ready"状態に移行することにより映像の再生が可能となる。
【0046】
しかし、上述したようにセッション確立時にセッション識別子およびその他のセッション情報を決定することとした場合、セッション制御プロトコルがセッションを確立したことを契機として、メディア制御プロトコルが初期状態を経ずに、映像の再生等が可能な待機状態になることにしてもよい。例えば、RTSPでは、"Initial"状態を経ずに"Ready"状態に移行することにより映像の再生が可能な状態になることにしてもよい。
【0047】
さらに、その場合、メディア制御プロトコルは初期状態という状態を持たず、セッション制御プロトコルがセッションを切断したことを契機として、初期状態を経ずに状態管理を開放して終了することにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、メディア配信プロトコルは、送信元/宛先IPアドレスと送信元/宛先ポート番号とのペアによってセッションを特定できるため、セッション制御プロトコルは、セッション確立時、メディア制御プロトコルのセッション識別子だけを決定し、メディア配信プロトコルのセッション識別子を決定しないとしていた。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。他の例として、セッション制御プロトコルは、セッション確立時、メディア制御プロトコルのセッション識別子とメディア配信プロトコルのセッション識別子の両方を決定することにしてもよい。そうすれば、メディア配信プロトコルにデフォルトのポートではなく、動的に選択したポートを用いる場合でも、セッションを確立した直後からメディア配信のための帯域確保等のメディア配信プロトコルのセッション制御が可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、映像配信サービスがメディア制御プロトコルとメディア配信プロトコルとで実現されている例を示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。他の例として、映像配信サービスの実現に、エラー訂正プロトコルとQoSレポートプロトコルの一方あるいは両方が更に用いられているものとしてもよい。その場合、セッション制御プロトコルは、エラー訂正プロトコルのセッションとQoSレポートプロトコルのセッションも制御することとなる。そのため、セッション制御プロトコルは、セッション確立時に、エラー訂正プロトコルとQoSレポートプロトコルの一方あるいは両方のセッションのセッション識別子も決定することにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、配信サーバ12が物理的に1つの装置で構成されていることを想定した例を示した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。他の例として、配信サーバ12は、セッション制御プロトコル実行部21、メディア制御プロトコル実行部22、およびメディア配信プロトコル実行部23が複数の装置に分散して配置された構成であってもよい。
【0051】
また、本実施形態では、受信機11が物理的に1つの装置で構成されていることを想定した例を示した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。他の例として、受信機11は、セッション制御プロトコル実行部31、メディア制御プロトコル実行部32、およびメディア配信プロトコル実行部33が複数の装置に分散して配置された構成であってもよい。配信サーバ12も同様であり、セッション制御プロトコル実行部21、メディア制御プロトコル実行部22、およびメディア配信プロトコル実行部23が複数の装置に分散して配置された構成であってもよい。
【0052】
また、本実施形態ではユニキャストの映像配信を想定した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。1つの配信サーバ12から複数の受信機11にマルチキャストで映像を配信する場合においても、セッション確立時にセッション識別子を決定することにしてもよい。
(第1の実施例)
第1の実施例では、セッション制御プロトコルとしてSIPを用い、メディア制御プロトコルとしてRTSPを用い、メディア配信プロトコルとしてRTPを用いるものとする。また第1の実施例では、配信サーバ12がメディア制御プロトコルのセッション識別子を決定するものとする。
【0053】
図5は、第1の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。図5を参照すると、受信機11が品質保証型ネットワーク13に向けて、セッションの確立を要求する"SIP INVITE"メッセージを送ると(ステップ201)、品質保証型ネットワーク13から配信サーバ12に"SIP INVITE"メッセージが送られる(ステップ202)。
【0054】
"SIP INVITE"メッセージを受信した配信サーバ12は、セッションの開始の要求を受け入れることを示す"SIP 200 OK"メッセージを品質保証型ネットワーク13に返送する(ステップ203)。本実施例では、上述したように配信サーバ12がRTSPのセッション識別子を決定する。配信サーバ12の決定したRTSPのセッション識別子(図ではsession ID)は、この"SIP 200 OK"メッセージのSIP−SDP(Session Description Protocol)に挿入される。
【0055】
"SIP 200 OK"メッセージを受信した品質保証型ネットワーク13は、受信機11に"SIP 200 OK"メッセージを送信する(ステップ204)。本実施例では、メディア制御プロトコルのセッション識別子を含むセッション情報は、この"SIP 200 OK"メッセージのSIP−SDPにも挿入される。そうすることにより受信機11もメディア制御プロトコルのセッションを特定できるようになる。ただし、セッション制御上、受信機11がメディア制御プロトコルのセッションを特定する必要が無ければ、品質保証型ネットワーク13から受信機11への"SIP 200 OK"メッセージに、メディア制御プロトコルのセッション識別子が挿入されていなくてもよい。
【0056】
"SIP 200 OK"メッセージを受信した受信機11は、セッションの確立を確認したことを示す"SIP ACK"メッセージを品質保証型ネットワーク13に送ると(ステップ205)、品質保証型ネットワーク13も配信サーバ12に"SIP ACK"メッセージを送る(ステップ206)。
【0057】
なお、本実施例では、ステップ203の"SIP 200 OK"メッセージには、RTSPのセッション識別子を含むセッション情報が挿入されるものとする。またSIP−SDPにセッション情報が挿入されることにより、RTSPのセッションが開始されるものとする。その結果として、このセッションには適切な帯域が確保され、適切な優先度が設定されるので、RTSPにおいてSETUPやDESCRIBEの手順は省略される(ステップ207)。
【0058】
RTSPのSETUPやDESCRIBEを省略すれば、即座に映像を再生することができる"Ready"状態となる。図5の例では、受信機11が配信サーバ12に"RTSP PLAY"メッセージを送ることにより、映像再生の要求を送る(ステップ208)。"RTSP PLAY"メッセージを受信した配信サーバ12は、要求を受け入れることを示す"RTSP 200 OK"メッセージを受信機11に返信し(ステップ209)、RTPにより映像のデータを受信機11に配信する(ステップ201)。映像のデータを受信した受信機11は、映像のデータを記憶部35に一旦格納した後に再生部36で再生する。
【0059】
本実施例では、"Ready"状態から"Initial"状態を経ずにセッションを開放するものとする。そのためRTSP−TEARDOWNの手順は省略される(ステップ211)。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、一般的な状態遷移に従って"Ready"状態から"Initial"状態を経てセッションを開放することとしてもよい。
【0060】
受信機11が品質保証型ネットワーク13に向けて、セッションの切断を要求する"SIP BYE"メッセージを送ると(ステップ212)、品質保証型ネットワーク13から配信サーバ12に"SIP BYE"メッセージが送られる(ステップ213)。
【0061】
"SIP BYE"メッセージを受信した配信サーバ12は、セッションの切断の要求を受け入れることを示す"SIP 200 OK"メッセージを品質保証型ネットワーク13に送ると(ステップ214)、品質保証型ネットワーク13から受信機11にも"SIP 200 OK"メッセージが送られる(ステップ215)。これによりセッションが切断されて通信が終了する。
(第2の実施例)
第2の実施例では、第1の実施例と同様に、セッション制御プロトコルとしてSIPを用い、メディア制御プロトコルとしてRTSPを用い、メディア配信プロトコルとしてRTPを用いるものとする。ただし、第2の実施例では、第1の実施例と異なり、受信機11がメディア制御プロトコルのセッション識別子を決定するものとする。
【0062】
図6は、第2の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。第2の実施例では、第1の実施例と同様に、受信機11が品質保証型ネットワーク13に向けて、セッションの確立を要求する"SIP INVITE"メッセージを送る(ステップ301)。しかし、図5に示した第1の実施例ではステップ203の"SIP 200 OK"メッセージに挿入された、メディア制御プロトコルのセッション識別子(session ID)を含むセッション情報が、本実施例では、"SIP INVITE"メッセージに挿入される。
【0063】
続いて、品質保証型ネットワーク13から配信サーバ12に"SIP INVITE"メッセージが送られる(ステップ302)。本実施例では、メディア制御プロトコルのセッション識別子を含むセッション情報は、この"SIP INVITE"メッセージのSIP−SDPにも挿入される。そうすることにより配信サーバ12もメディア制御プロトコルのセッションを特定できるようになる。
【0064】
"SIP INVITE"メッセージを受信した配信サーバ12は、セッションの開始の要求を受け入れることを示す"SIP 200 OK"メッセージを品質保証型ネットワーク13に返送する(ステップ303)。本実施例では、この"SIP 200 OK"メッセージには、メディア制御プロトコルのセッション識別子を挿入しなくてもよい。"SIP 200 OK"メッセージを受信した品質保証型ネットワーク13は、受信機11に"SIP 200 OK"メッセージを送信する(ステップ304)。それ以降は、図5に示した第1の実施例と同じである(ステップ205〜215)。
(第3の実施例)
第3の実施例では、第1の実施例と同様に、セッション制御プロトコルとしてSIPを用い、メディア制御プロトコルとしてRTSPを用い、メディア配信プロトコルとしてRTPを用いるものとする。また第3の実施例では、第1の実施例と同様に、配信サーバ12がメディア制御プロトコルのセッション識別子を決定するものとする。ただし、第3の実施例では、第2の実施例と異なり、メディア制御プロトコルのセッション識別子を含むセッション情報が"SIP 183 session progress"メッセージで通知される。
【0065】
図7は、第3の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。受信機11が品質保証型ネットワーク13に向けて、セッションの確立を要求する"SIP INVITE"メッセージを送ると(ステップ201)、品質保証型ネットワーク13から配信サーバ12に"SIP INVITE"メッセージが送られる(ステップ202)。
【0066】
"SIP INVITE"メッセージを受信した配信サーバ12は、暫定的な応答として"SIP 183 session progress"メッセージを品質保証型ネットワーク13に送信する(ステップ401)。この"SIP 183 session progress"メッセージのSIP−SDPには、配信サーバ12が決定した、メディア制御プロトコルのセッション識別子を含むセッション情報が挿入される。これにより、メディア制御プロトコルのセッション情報が品質保証型ネットワーク13に通知される。
【0067】
"SIP 183 session progress"メッセージを受信した品質保証型ネットワーク13は、その"SIP 183 session progress"メッセージを受信機11に送信する(ステップ402)。
【0068】
"SIP 183 session progress"メッセージを受信した受信機11は、暫定的な応答を確認したことを示す"SIP PRACK"メッセージを品質保証型ネットワーク13に返送する(ステップ403)。"SIP PRACK"メッセージを受信した品質保証型ネットワーク13は、"SIP PRACK"メッセージを配信サーバ12に送信する(ステップ404)。
【0069】
"SIP PRACK"メッセージを受信した配信サーバ12は、セッションの開始の要求を最終的に受け入れることを示す"SIP 200 OK"メッセージを品質保証型ネットワーク13に返送する(ステップ405)。"SIP 200 OK"メッセージを受信した品質保障型ネットワーク13は、"SIP 200 OK"メッセージを受信機11に送信する(ステップ406)。それ以降は、図5に示した第1の実施例と同じである(ステップ205〜215)。
(第4の実施例)
第4の実施例では、第1の実施例と同様に、セッション制御プロトコルとしてSIPを用い、メディア制御プロトコルとしてRTSPを用い、メディア配信プロトコルとしてRTPを用いるものとする。また第4の実施例では、第2の実施例と同様に、受信機11がメディア制御プロトコルのセッション識別子を決定するものとする。第4の実施例では、第3の実施例と同様に、配信サーバ12から"SIP 183 session progress"メッセージを送るが、そこにはメディア制御プロトコルのセッション識別子を含むセッション情報が挿入されない。第4の実施例では、メディア制御プロトコルのセッション識別子を含むセッション情報が、"SIP 183 session progress"メッセージに対する確認を示す"SIP PRACK"メッセージにセッション情報が挿入される。
【0070】
図8は、第4の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。"SIP INVITE"メッセージを受信した配信サーバ12は、品質保証型ネットワーク13に、暫定的な応答として"SIP 183 session progress"メッセージを送信する(ステップ501)。"SIP 183 session progress"メッセージを受信した品質保証型ネットワーク13は、"SIP 183 session progress"メッセージを受信機11に送信する(ステップ502)。
【0071】
"SIP 183 session progress"メッセージを受信した受信機11は、暫定的な応答を確認したことを示す"SIP PRACK"メッセージを品質保証型ネットワーク13に返送する(ステップ503)。この"SIP PRACK"メッセージに、メディア制御プロトコルのセッション識別子を含むセッション情報が挿入される。"SIP PRACK"メッセージを受信した品質保証型ネットワーク13は、"SIP PRACK"メッセージを配信サーバ12に送信する(ステップ504)。それ以降は、図7に示した第3の実施例と同じである(ステップ405〜406、205〜215)。
(第5の実施例)
第5の実施例では、第1の実施例と同様に、セッション制御プロトコルとしてSIPを用い、メディア制御プロトコルとしてRTSPを用い、メディア配信プロトコルとしてRTPを用いるものとする。また第5の実施例では、配信サーバ12がSIPで受信機11と通信して、配信サーバ12と受信機11の双方が受け入れ可能であることを確認してから、メディア制御プロトコルの最終的なセッション識別子を決定するものとする。
【0072】
図9は、第5の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。品質保証型ネットワーク13から"SIP INVITE"メッセージを受信した配信サーバ12は、品質保証型ネットワーク13に、"SIP 183 session progress"メッセージを送信する(ステップ601)。このメッセージには、配信サーバ12の選択した、メディア制御プロトコルのセッション識別子が挿入される。"SIP 183 session progress"メッセージを受信した品質保証型ネットワーク13は、メディア制御プロトコルのセッション識別子が挿入された"SIP 183 session progress"メッセージを受信機11に送信する(ステップ602)。
【0073】
その後、受信機11が、配信サーバ12の選択したセッション識別子の候補を受け入れることができるか否かを配信サーバ12に通知し、必要に応じてセッション識別子を更新する(ステップ603〜610)。受信機11と配信サーバ12の双方の合意のもとでメディア制御プロトコルのセッション識別子を決定すると共に、配信サーバ611において映像のデータを取り出す(ステップ611〜616)。
【0074】
配信サーバ12にて映像のデータが取り出されると、配信サーバ12からの応答を契機としてセッションの確立が完了する(ステップ617〜620)。その後は、それ以降は、図5に示した第1の実施例と同じである(ステップ207〜215)。
【0075】
なお、本実施例では、配信サーバ12の選択したセッション識別子を受信機11が受け入れることができるか否か判断し、その判断結果を配信サーバ12に通知することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他に、配信サーバ12と受信機11がそれぞれの受け入れることのできるセッション識別子を互いに通知しあいながら、実際に用いるセッション識別子を決定することにしてもよい。
【0076】
また、本実施例では、配信サーバ12にて映像のデータを取り出し中であることを、配信サーバ12から受信機11に"SIP 180 Ringing"メッセージによって通知する例を示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ステップ713、714の"SIP 180 Ringing"メッセージを省いてもよい。
(第6の実施例)
第6の実施例では、第5の実施形態とは逆に受信機11がSIPで配信サーバ12と通信して、配信サーバ12と受信機11の双方が受け入れ可能であることを確認してから、メディア制御プロトコルの最終的なセッション識別子を決定するものとする。
【0077】
図10は、第6の実施例における通信システムの動作を示すシーケンス図である。受信機11は、受信機11の選択した、メディア制御プロトコルのセッション識別子を含むセッション情報を挿入した"SIP INVITE"メッセージを品質保証型ネットワーク13に送信する(ステップ701)。"SIP INVITE"メッセージを受信した品質保証型ネットワーク13は、セッション識別子を含むセッション情報の挿入された"SIP INVITE"メッセージを配信サーバ12に送信する(ステップ702)。
【0078】
その後、配信サーバ12が、受信機11の選択したセッション識別子の候補を受け入れることができるか否かを受信機11に通知し、必要に応じてセッション識別子を更新する(ステップ703〜712)。受信機11と配信サーバ12の双方の合意のもとでメディア制御プロトコルのセッション識別子を決定すると共に、配信サーバ611において映像のデータを取り出す(ステップ713〜716)。
【0079】
配信サーバ12にて映像のデータが取り出されると、配信サーバ12からの応答を契機としてセッションの確立が完了する(ステップ719〜722)。その後は、それ以降は、図5に示した第1の実施例と同じである(ステップ207〜215)。
【0080】
なお、上述した実施形態あるいは各実施例における受信機11は、セッション制御プロトコル実行部21、メディア制御プロトコル実行部22、およびメディア配信プロトコル実行部23の動作を規定したソフトウェアプログラムをコンピュータに実行させることにより実現することもできる。
【0081】
また、上述した実施形態あるいは各実施例における配信サーバ12も、セッション制御プロトコル実行部31、メディア制御プロトコル実行部32、およびメディア配信プロトコル実行部33の動作を規定したソフトウェアプログラムをコンピュータに実行させることにより実現することもできる。
(付記)
(付記1)
セッション単位で品質を設定することのできる品質保障型ネットワークを介して第1及び第2の通信装置間でデータを転送する通信システムであって、
前記第1の通信装置は、
セッション制御プロトコルを実行し、前記データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルのための第1のセッション及び前記データの配信に用いるメディア配信プロトコルのための第2のセッションを確立する第1セッション制御プロトコル実行部と、
前記セッション制御プロトコル実行部によって前記第1及び第2のセッションが確立された後、前記メディア制御プロトコル及び前記メディア配信プロトコルを実行することにより、前記第1及び第2のセッション上で前記データの転送に関する通信を行う第1メディア制御プロトコル実行部及び第1メディア配信プロトコル実行部とを含み、
前記第2の通信装置は、
前記セッション制御プロトコルを実行して前記第1セッション制御プロトコル実行部と通信し、前記第1の通信装置との間で前記第1及び第2のセッションを確立する第2セッション制御プロトコル実行部と、
前記第1及び第2のセッションが確立された後、前記メディア配信プロトコル及び前記メディア制御プロトコルを実行することにより、前記第1及び第2のセッション上で前記データの転送に関する通信を行う第2メディア制御プロトコル実行部及び第2メディア配信プロトコル実行部とを含み、
前記第1及び第2セッション制御プロトコル実行部は、前記第1のセッションを確立する際、当該第1のセッションを識別するためのセッション識別子を決定して前記品質保障型ネットワークに送信し、
前記第1及び第2メディア制御プロトコル実行部は、前記第1及び第2セッション制御プロトコル実行部によって決定されたセッション識別子によって一意に特定される第1のセッション上で通信を行う、通信システム。
(付記2)
前記品質保障型ネットワークは、前記第1の通信装置から受け取った前記セッション識別子を前記第2の通信装置に送信する、付記1に記載の通信システム。
(付記3)
前記第1の通信装置は配信サーバであり、前記第2の通信装置は受信装置であり、
前記受信装置が前記配信サーバにセッションの確立を要求した際、前記第1セッション制御プロトコル実行部がセッション識別子を決定する、付記1または2に記載の通信システム。
(付記4)
前記第1の通信装置が受信装置であり、第2の通信装置が配信サーバであり、
前記受信装置が前記配信サーバにセッションの確立を要求する際、前記第1セッション制御プロトコル実行部がセッション識別子を決定する、付記1または2に記載の通信システム。
(付記5)
前記セッション制御プロトコルがSession Initiation Protocolであり、前記メディア配信プロトコルがReal Time Transport Protocolであり、前記メディア制御プロトコルがReal Time Streaming Protocolであり、前記Real Time Streaming ProtocolがTransmission Control Protocol上に実装されている、付記1から4のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記6)
前記第1の通信装置と前記第2の通信装置は、前記セッション制御プロトコルの実行により、前記セッション識別子を含むセッション情報を送受信し、前記メディア制御プロトコルの状態を、配信開始要求を即座に実施することが可能な状態にする、付記1から5のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記7)
前記第1の通信装置と前記第2の通信装置のいずれか一方が前記データを配信する配信サーバであり、他方が前記配信サーバから前記データを受信する受信機であり、
前記配信サーバと前記受信機が前記セッション上で前記データの転送に関する前記メディア制御プロトコルの通信を行うことにより、前記配信サーバから前記受信機に対して前記データを配信し、
前記配信サーバから複数の前記受信機にマルチキャストで前記データを配信する、付記1から6のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記8)
前記第1の通信装置と前記第2の通信装置は、前記セッション識別子が決定されることにより前記メディア制御プロトコルを特定してのセッションの制御が可能な状態となると、前記メディア制御プロトコルの通信を開始する前に前記メディア制御プロトコル及び前記メディア配信プロトコルの少なくとも一方のセッションの品質を設定する、付記1から7のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記9)
前記メディア制御プロトコル及び前記メディア配信プロトコルの少なくとも一方のためのセッションが維持されている間、前記セッションのセッション識別子を、前記第1の通信装置、前記第2の通信装置、前記品質保証型ネットワークのいずれか1つまたは複数または全てが管理する、付記1から8のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記10)
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置の少なくとも一方が1つまたは複数の装置で構成され、前記セッション制御プロトコルと前記メディア制御プロトコルと前記メディア配信プロトコルとを、前記1つまたは複数の装置で実行する、付記1から9のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記11)
前記第1の通信装置は、前記セッション制御プロトコルで、前記第2の通信装置と通信することにより、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置の双方が受け入れ可能であることを確認してから最終的なセッション識別子を決定する、付記1から10のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記12)
セッション単位で品質を設定することのできる品質保障型ネットワークを介して第1及び第2の通信装置間でデータを転送するための通信方法であって、
前記第1の通信装置は、
セッション制御プロトコルを実行し、前記データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルのための第1のセッション及び前記データの配信に用いるメディア配信プロトコルのための第2のセッションを確立する第1セッション制御プロトコル実行部と、
前記セッション制御プロトコル実行部によって前記第1及び第2のセッションが確立された後、前記メディア制御プロトコル及び前記メディア配信プロトコルを実行することにより、前記第1及び第2のセッション上で前記データの転送に関する通信を行う第1メディア制御プロトコル実行部及び第1メディア配信プロトコル実行部とを含み、
前記第2の通信装置は、
前記セッション制御プロトコルを実行して前記第1セッション制御プロトコル実行部と通信し、前記第1の通信装置との間で前記第1及び第2のセッションを確立する第2セッション制御プロトコル実行部と、
前記第1及び第2のセッションが確立された後、前記メディア配信プロトコル及び前記メディア制御プロトコルを実行することにより、前記第1及び第2のセッション上で前記データの転送に関する通信を行う第2メディア制御プロトコル実行部及び第2メディア配信プロトコル実行部とを含み、
前記第1及び第2セッション制御プロトコル実行部が、
前記第1のセッションを確立する際、当該第1のセッションを識別するためのセッション識別子を決定して前記品質保障型ネットワークに送信し、
前記第1及び第2メディア制御プロトコル実行部が、
前記第1及び第2セッション制御プロトコル実行部によって決定されたセッション識別子によって一意に特定される第1のセッション上で通信を行う、通信方法。
(付記13)
セッション単位で品質を設定することのできる品質保障型ネットワークを介してデータを転送する通信装置であって、
セッション制御プロトコルを実行し、前記データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルのための第1のセッション及び前記データの配信に用いるメディア配信プロトコルのための第2のセッションを確立するセッション制御プロトコル実行部と、
前記セッション制御プロトコル実行部によって前記第1及び第2のセッションが確立された後、前記メディア制御プロトコル及び前記メディア配信プロトコルを実行することにより、前記第1及び第2のセッション上で前記データの転送に関する通信を行うメディア制御プロトコル実行部及びメディア配信プロトコル実行部とを含み、
前記セッション制御プロトコル実行部は、
前記第1のセッションを確立する際、当該第1のセッションを識別するためのセッション識別子を決定して前記品質保障型ネットワークに送信し、
前記メディア制御プロトコル実行部が、
前記セッション制御プロトコル実行部によって決定されたセッション識別子によって一意に特定される第1のセッション上で通信を行う、通信装置。
(付記14)
セッション単位で品質を設定することのできる品質保障型ネットワークを介してデータを転送する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
セッション制御プロトコルを実行させ、前記データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルのための第1のセッション及び前記データの配信に用いるメディア配信プロトコルのための第2のセッションを確立させるセッション制御プロトコル実行処理と、
前記セッション制御プロトコル実行処理によって前記第1及び第2のセッションが確立された後、前記メディア制御プロトコル及びメディア配信プロトコルを実行させることにより、前記第1及び第2のセッション上で前記データの転送に関する通信を行うメディア制御プロトコル実行処理及びメディア配信プロトコル実行処理とを含み、
前記セッション制御プロトコル実行処理において、
前記第1のセッションを確立する際、当該第1のセッションを識別するためのセッション識別子を決定して前記品質保障型ネットワークに送信させ、
前記メディア制御プロトコル実行処理において、
前記セッション制御プロトコル処理によって決定されたセッション識別子によって一意に特定される第1のセッション上で通信を行うための処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0082】
11 配信サーバ
12 受信機
13 品質保証型ネットワーク
21 セッション制御プロトコル実行部
22 メディア制御プロトコル実行部
23 メディア配信プロトコル実行部
24 メディア格納部
31 セッション制御プロトコル実行部
32 メディア制御プロトコル実行部
33 メディア配信プロトコル実行部
34 操作部
35 記憶部
36 再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セッション制御プロトコルを実行し、データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルを実行するためのセッションを確立するセッション制御プロトコル実行部と、
前記セッション制御プロトコル実行部によって前記セッションが確立された後、前記メディア制御プロトコルを実行することにより、当該セッション上で前記データの配信制御に関する通信を行うメディア制御プロトコル実行部とを備え、
前記セッション制御プロトコル実行部は、前記セッションを確立する際、当該セッションを識別するためのセッション識別子を決定してネットワークに送信し、
前記メディア制御プロトコル実行部は、決定された前記セッション識別子により特定されるセッション上で通信を行う、通信装置。
【請求項2】
セッション制御プロトコルを実行し、データの配信制御に用いるメディア制御プロトコルを実行するためのセッションを確立するステップと、
前記セッションを確立するステップにおいて前記セッションが確立された後、前記メディア制御プロトコルを実行することにより、当該セッション上で前記データの配信制御に関する通信を行うステップとを備え、
前記セッションを確立するステップにおいて、前記セッションを確立する際、当該セッションを識別するためのセッション識別子を決定してネットワークに送信し、
決定された前記セッション識別子により特定されるセッション上で通信を行う、通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−178881(P2012−178881A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128819(P2012−128819)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2007−268851(P2007−268851)の分割
【原出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】