説明

通信装置及び通信方法

【課題】アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトが収束するまでの時間を低減することが可能な技術を提供する。
【解決手段】受信ウェイト処理部51の受信ウェイト算出部は、アレイアンテナで受信されたOFDM信号に含まれる複数のサブキャリアがそれぞれ含む複数の既知信号を用いて、当該複数のサブキャリアに共通に適用する受信ウェイトを、逐次推定アルゴリズムを用いて算出する。パラメータ決定部54は、変動度合取得部53において求められた、複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合に基づいて、受信ウェイトが更新される際に前回の受信ウェイトが参照される割合を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイアンテナを用いた通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から無線通信に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、アダプティブアレイアンテナ方式で通信を行う通信装置が開示されている。特許文献1の技術では、アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトを、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムやRLS(Recursive Least-Squares)アルゴリズムなどの逐次推定アルゴリズムを用いて算出している。逐次推定アルゴリズムを用いて受信ウェイトを算出する際には、アレイアンテナで受信された既知信号についての参照信号に対する誤差が小さくなるように受信ウェイトが逐次更新される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−219637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RLSアルゴリズム等の逐次推定アルゴリズムでは、受信ウェイトを更新する際に使用されるパラメータであって、前回の受信ウェイトを引き継ぐ程度を示すパラメータ、言い換えれば、前回の受信ウェイトを参照する割合を示すパラメータが存在する。このパラメータは、LMSアルゴリズムでは「更新ステップサイズ」として、RLSアルゴリズムでは「忘却係数」として知られている。以後、このパラメータを「引き継ぎパラメータ」と呼ぶ。
【0005】
一方で、アレイアンテナでの受信信号に現れるマルチパスフェージングが大きい場合には、受信ウェイトの推定精度が劣化する。このような場合に、引き継ぎパラメータの値が大きいときには、受信ウェイトの更新時に、誤差を多く含んだ前回の受信ウェイトを多く引き継ぐことなることから、受信ウェイトが収束するまでの時間が非常に長くなる。
【0006】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトが収束するまでの時間を低減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、複数のアンテナから成るアレイアンテナを用いて通信を行う通信装置であって、互いに直交する複数のサブキャリアが重畳された無線信号を受信する、複数のアンテナから成るアレイアンテナと、前記無線信号に含まれる複数のサブキャリアがそれぞれ含む複数の既知信号を用いて、当該複数のサブキャリアに共通に適用する、前記アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトを、逐次推定アルゴリズムを用いて算出する受信ウェイト算出部と、前記無線信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合を求める変動度合取得部と、前記受信ウェイト算出部が受信ウェイトを更新する際に前回の受信ウェイトを参照する割合を、前記変動の度合に基づいて決定する決定部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る通信装置の一態様では、前記決定部は、前記変動の度合が大きいほど前記参照する割合を小さくする。
【0009】
また、本発明に係る通信装置の一態様では、前記変動度合取得部は、前記無線信号に含まれる複数のサブキャリアの受信電力についての標準偏差を求めて、当該標準偏差を前記変動の度合とする。
【0010】
また、本発明に係る通信方法は、複数のアンテナから成るアレイアンテナを用いて通信を行う通信方法であって、(a)互いに直交する複数のサブキャリアが重畳された無線信号を前記アレイアンテナを用いて受信する工程と、(b)前記工程(a)で受信された無線信号に含まれる複数のサブキャリアがそれぞれ含む複数の既知信号を用いて、当該複数のサブキャリアに共通に適用する、前記アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトを、逐次推定アルゴリズムを用いて算出する工程と、(c)前記無線信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合を求める工程と、(d)前記工程(b)において受信ウェイトが更新される際に前回の受信ウェイトが参照される割合を、前記工程(c)で求められた前記変動の度合に基づいて決定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトが収束するまでの時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る制御部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る受信ウェイト処理部の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るTDMA/TDDフレームの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るPRUの構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る通信装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】受信ウェイトの更新回数と誤差信号の大きさとの関係を示す図である。
【図8】複数のサブキャリアの受信電力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施の形態に係る通信装置100の構成を示す図である。本実施の形態に係る通信装置100は、例えば、次世代PHSに準拠した基地局であって、TDMA/TDD(Time Division Multiple Access/Time Division Duplexing)方式で複数の通信相手装置(通信端末)と通信を行う。また、通信装置100では、多元接続方式としてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式も採用されている。OFDMA方式では、互いに直交する複数のサブキャリアが重畳されたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号が使用される。通信装置100は、時間軸と周波数軸とからなる2次元で特定される無線リソースを複数の通信相手装置のそれぞれに個別に割り当てることによって、当該複数の通信相手装置と同時に通信することが可能となっている。また、通信装置100は、送受信アンテナとしてアレイアンテナを有し、アダプティブアレイアンテナ方式を用いてアレイアンテナの指向性を希望波に向けることが可能である。
【0014】
図1に示されるように、本実施の形態に係る通信装置100は、無線通信部1と、複数のD/A変換部2と、複数のA/D変換部3と、制御部4とを備えている。
【0015】
制御部4は、例えばCPUやメモリなどで構成されており、通信装置100の動作を統括的に制御する。制御部4は、送信用のベースバンドのOFDM信号を生成して複数のD/A変換部2に出力する。また制御部4は、複数のA/D変換部3から出力されるOFDM信号に含まれる、通信相手装置が生成したビットデータを取得する。
【0016】
無線通信部1は、複数のアンテナ10aから成るアレイアンテナ10と、複数の送信部11と、複数の受信部12とを備えている。各アンテナ10aは、通信相手装置から送信されるOFDM信号を受信する。複数のアンテナ10aで受信されたOFDM信号は、複数の受信部12にそれぞれ入力される。また、複数の送信部11が出力するOFDM信号は複数のアンテナ10aにそれぞれ入力される。これにより、各アンテナ10aからOFDM信号が無線送信される。
【0017】
各D/A変換部2は、制御部4から入力される、デジタル形式のOFDM信号をアナログ形式のOFDM信号に変換して出力する。複数の送信部11には、複数のD/A変換部2から出力されるOFDM信号がそれぞれ入力される。各送信部11は、入力されたベースバンドのOFDM信号を搬送帯域のOFDM信号に変換して出力する。
【0018】
各受信部12は、入力される搬送帯域のOFDM信号をベースバンドのOFDM信号に変換して出力する。複数のA/D変換部3には、複数の受信部12から出力されるアナログ形式のOFDM信号がそれぞれ入力される。各A/D変換部3は、入力されるアナログ形式のOFDM信号をデジタル形式のOFDM信号に変換して出力する。
【0019】
図2は制御部4の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、制御部4は、複数のIDFT部40と、送信ウェイト処理部41と、送信信号生成部42とを備えている。さらに制御部4は、複数のDFT部50と、受信ウェイト処理部51と、受信データ取得部52と、変動度合取得部53と、パラメータ決定部54とを備えている。
【0020】
複数のDFT部50には、複数のA/D変換部3から出力されるOFDM信号がそれぞれ入力される。各DFT部50は、入力されるOFDM信号に対して離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)を行う。これにより、各DFT部50では、入力されたOFDM信号を構成する複数のサブキャリアをそれぞれ変調する複数の複素シンボルが得られる。以後、DFT部50で得られる複素シンボルを「受信シンボル」と呼ぶ。また、DFT部50で得られる複数の複素シンボルを「受信シンボル列」と呼ぶ。各DFT部50で得られた受信シンボル列は、受信ウェイト処理部51に入力される。
【0021】
受信ウェイト処理部51は、各アンテナ10aでの受信信号、つまり、各DFT部50から出力される受信シンボル列に適用する受信ウェイトを、例えばMMSE(最小二乗誤差法)を用いて算出する。受信ウェイトは、通信相手装置(通信端末)から送信されるOFDM信号に含まれるサブキャリアを変調する既知の複素シンボル(後述のトレーニング信号)に基づいて算出することができる。
【0022】
受信ウェイト処理部51は、入力された複数の受信シンボル列のそれぞれについて、当該受信シンボル列を構成する複数の複素シンボルのそれぞれに対して、対応する受信ウェイトを乗算(複素乗算)する。そして、受信ウェイト処理部51は、複数の受信シンボル列に含まれる、同一のサブキャリアについての受信ウェイト乗算後の複数の複素シンボルを加算する。これにより、アレイアンテナ10の指向性が、特定の通信相手装置からの1つのサブキャリア(希望波)に向けられるようになり、当該1つのサブキャリアについての希望シンボルを取得することができる。つまり、複数の復調シンボル列に含まれる、同一のサブキャリアについての受信ウェイト乗算後の複数の複素シンボルを足し合わせて得られる新たな複素シンボルでは、干渉成分が除去されており、当該新たな複素シンボルが希望シンボルとして取得される。受信ウェイト処理部51は、OFDM信号を構成する複数のサブキャリアのそれぞれについて希望シンボルを取得して出力する。
【0023】
受信データ取得部52は、受信ウェイト処理部51から出力される、OFDM信号を構成する複数のサブキャリアについての希望シンボルをビットデータに変換する。これにより、受信データ取得部52では、通信相手装置から送信されるOFDM信号に含まれるビットデータが取得される。
【0024】
変動度合取得部53は、アレイアンテナ10で受信されたOFDM信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合を求める。パラメータ決定部54は、変動度合取得部53で求められた、複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合に基づいて、受信ウェイト処理部51が受信ウェイトを算出する際に使用する逐次推定アルゴリズムでの引き継ぎパラメータの値を決定する。つまり、パラメータ決定部54は、複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合に基づいて、受信ウェイトを更新する際の前回の受信ウェイトを引き継ぐ程度を決定する。そして、パラメータ決定部54は、決定した引き継ぎパラメータの値を通知するためのパラメータ通知信号NSを受信ウェイト処理部51に出力する。変動度合取得部53及びパラメータ決定部54の動作については後で詳細に説明する。
【0025】
送信信号生成部42は、通信相手装置に送信する送信データを生成する。そして、送信信号生成部42は、生成した送信データに対応する複数の複素シンボルを生成して送信ウェイト処理部41に入力する。以後、送信信号生成部42で生成される複素シンボルを「送信シンボル」と呼ぶ。また、送信信号生成部42で生成される複数の複素シンボルを「送信シンボル列」と呼ぶ。
【0026】
送信ウェイト処理部41は、入力された送信シンボル列を、アンテナ10aの数だけ準備する。この複数の送信シンボル列は、複数のアンテナ10aからそれぞれ送信される。そして、送信ウェイト処理部41は、各送信シンボル列に適用する送信ウェイト、言い換えれば、各アンテナ10aからの送信信号に適用する送信ウェイトを算出する。送信ウェイトは、受信ウェイト処理部51で算出された受信ウェイトに基づいて算出することができる。
【0027】
送信ウェイト処理部41は、入力された複数の送信シンボル列のそれぞれについて、当該送信シンボル列を構成する複数の送信シンボルのそれぞれに対して、対応する送信ウェイトを乗算する。その後、送信ウェイト処理部41は、送信ウェイト乗算後の複数の送信シンボル列を、複数のIDFT部40にそれぞれ入力する。
【0028】
各IDFT部40は、入力される送信シンボル列に対して逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse DFT)を行う。これにより、IDFT部40では、送信シンボル列を構成する複数の送信シンボルで変調された複数のサブキャリアが合成されたベースバンドのOFDM信号が得られる。
【0029】
図3は受信ウェイト処理部51の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、受信ウェイト処理部51は、複数の複素乗算部510と、加算部512と、ウェイト算出部513とを備えている。ウェイト算出部513は、複数の受信ウェイトRWを更新するウェイト更新部513aと、誤差信号生成部513bとを備えている。
【0030】
複数の複素乗算部510には、複数のDFT部50で取得された、同一のサブキャリアについての受信シンボルRSがそれぞれ入力される。また、複数の複素乗算部510には、ウェイト算出部513から出力される複数の受信ウェイトRWがそれぞれ入力される。各複素乗算部510は、入力された受信シンボルRSに対して、入力された受信ウェイトRWを複素乗算し、受信ウェイトRWが乗算された受信シンボルRSを出力する。加算部512は、複数の複素乗算部510から出力される、受信ウェイトRWが乗算された受信シンボルRSを足し合わせて、それによって得られた新たな受信シンボルを復調シンボルDSとして出力する。
【0031】
誤差信号生成部513bは、加算部512で得られた既知の復調シンボルDSについての参照信号REFに対する誤差を求めて、当該誤差を示す誤差信号ESを生成して出力する。参照信号REFは、加算部512で得られた既知の復調シンボルDSについての理想的な信号である。
【0032】
ウェイト更新部513aは、逐次推定アルゴリズムを用いて、誤差信号ESが小さくなるように複数の受信ウェイトRWを更新する。このとき、ウェイト更新部513aは、引き継ぎパラメータの値として、パラメータ決定部54から出力されるパラメータ通知信号NSが示す値を使用する。つまり、ウェイト更新部513aは、引き継ぎパラメータの値として、パラメータ決定部54が、複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合に基づいて決定した値を使用する。本実施の形態に係るウェイト更新部513aは、例えばRLSアルゴリズムを使用して受信ウェイトRWを更新する。
【0033】
ウェイト更新部513aは、複数の受信ウェイトRWを所定回数更新すると、複数の受信ウェイトRWの更新を終了する。更新終了後の複数の受信ウェイトRWが複数の複素乗算部510にそれぞれ入力されると、加算部512からは、干渉成分が除去された復調シンボルDS、つまり希望シンボルが出力されるようになる。このようにして、受信ウェイト処理部51からは、各サブキャリアについての希望シンボルが出力される。
【0034】
本実施の形態に係る通信装置100では、上述のようにTDMA/TDD方式が採用されていることから、送信期間と受信期間とが交互に現れることになる。図4は通信装置100で使用されるTDMA/TDDフレーム200の構成を示す図である。
【0035】
図4に示されるように、TDMA/TDDフレーム200は、横軸及び縦軸に時間及び周波数をそれぞれ示す時間−周波数平面上で特定される。1つのTDMA/TDDフレーム200は、通信装置100から通信相手装置へ信号を送信するための送信フレーム200sと、通信装置100が通信相手装置からの信号を受信するための受信フレーム200rとで構成されている。
【0036】
送信フレーム200s及び受信フレーム200rのそれぞれは、時間方向に4つのスロットSL、周波数方向に第1サブチャネルSCH1〜第iサブチャネルSCHi(i≧2)を含んでいる。本実施の形態では、例えばi=9であって、図4に示されるように、送信フレーム200s及び受信フレーム200rのそれぞれは、周波数方向に第1サブチャネルSCH1〜第9サブチャネルSCH9を含んでいる。以後、第1サブチャネルSCH1〜第9サブチャネルSCH9を特に区別する必要が無い場合には、それぞれを単に「サブチャネルSCH」と呼ぶことがある。
【0037】
TDMA/TDDフレーム200では、1つのスロットSLの時間幅は625μsに設定されている。したがって、送信フレーム200s及び受信フレーム200rのそれぞれの時間長は2.5msとなり、1つのTDMA/TDDフレーム200の時間長は5msとなる。また、1つのサブチャネルSCHの帯域幅は900kHzであって、1つのサブチャネルSCHは24本のサブキャリアで構成されている。
【0038】
1つのスロットSLと1つのサブチャネルSCHとで、単位無線リソースであるPRU(Physical Resourse Unit)300が構成されている。送信フレーム200s及び受信フレーム200rのそれぞれは、32個のPRU300で構成されている。通信装置100と通信相手装置との通信はPRU300単位で行われる。例えば、通信装置100では、通信相手装置に対する無線リソースの割り当てはPRU300単位で行われる。通信相手装置に対する無線リソースの割り当ては制御部4で行われる。制御部4は、送信フレーム200s及び受信フレーム200rのそれぞれについて、複数の通信相手装置のそれぞれに対して36個のPRU300のうちの少なくとも1つのPRU300を、当該複数の通信相手装置の間で重複しないように割り当てる。制御部4において各通信相手装置に対してPRU300が割り当てられると、通信装置100は、各通信相手装置と、割り当てられたPRU300を使用して通信を行う。
【0039】
図5はPRU300の構成例を示す図である。図5では横方向及び縦方向が時間及び周波数をそれぞれ示している。図5のS1〜S19はOFDMシンボルの番号を示しており、図5のF1〜F24はサブキャリアの周波数番号を示している。F1〜F24の順に周波数が大きくなっている。
【0040】
図5に示されるように、PRU300は、例えば、複数のデータシンボル301と、複数のトレーニングシンボル302と、複数のパイロットシンボル303と、複数のヌルシンボル304とを含んでいる。PRU300には、時間軸方向において、先頭に第1ガードタイムGT1が、末尾に第2ガードタイムGT2がそれぞれ設けられている。図5の例では、OFDMシンボルS1に含まれる、周波数F2〜F12,F14〜F24のサブキャリアのそれぞれがトレーニングシンボル302となっており、OFDMシンボルS5,S9,S13,S17のそれぞれに含まれる、周波数F3,F7,F11,F15,F19,F23のサブキャリアのそれぞれがパイロットシンボル303となっている。また周波数F1のサブキャリアがガードキャリアとなっており、周波数F13のサブキャリアがDCキャリアとなっている。そして、OFDMシンボルS1〜S19のそれぞれのガードキャリア及びDCキャリアのそれぞれがヌルシンボル304となっている。
【0041】
トレーニングシンボル302に係るサブキャリアは既知の複素シンボルで変調される。つまり、トレーニングシンボル302には既知の複素シンボルが含められる。本通信装置100は、通信相手装置から送信される、この既知の複素シンボルを用いて、受信ウェイトRWを算出する。以後、トレーニングシンボル302が含む既知の複素シンボルを「トレーニング信号」と呼ぶ。
【0042】
<ウェイト更新動作>
次に、受信ウェイトRWが更新される際の通信装置100の動作について説明する。上述のように、1つのPRU300においては、周波数F2〜F12のサブキャリアに係る11個のトレーニングシンボル302と、周波数F14〜F24のサブキャリアに係る11個のトレーニングシンボル302とが含まれている。本実施の形態に係る通信装置100は、受信フレーム200rの先頭のスロットSLにおける第1サブチャネルSCH1〜第9サブチャネルSCH9のそれぞれについて、当該サブチャネルSCHの周波数F2〜F12のサブキャリアが含む11個のトレーニング信号を用いて、当該サブチャネルSCHの周波数F2〜F12のサブキャリアに共通に適用する受信ウェイトRWを各アンテナ10aについて算出する。
【0043】
また、本通信装置100は、受信フレーム200rの先頭のスロットSLにおける第1サブチャネルSCH1〜第9サブチャネルSCH9のそれぞれについて、当該サブチャネルSCHの周波数F14〜F24のサブキャリアが含む11個のトレーニング信号を用いて、当該サブチャネルSCHの周波数F14〜F24のサブキャリアに共通に適用する受信ウェイトRWを各アンテナ10aについて算出する。
【0044】
このように、本実施の形態では、9個のサブチャネルSCHのそれぞれについて、周波数F2〜F12のサブキャリアに適用される、複数の受信ウェイトRWから成る受信ウェイトベクトル(以後、「上位側受信ウェイトベクトル」と呼ぶ)と、周波数F14〜F24のサブキャリアに適用される、複数の受信ウェイトRWから成る受信ウェイトベクトル(以後、「下位側受信ウェイトベクトル」と呼ぶ)とが、受信フレーム200rの先頭のスロットSLにおいて算出される。したがって、1つの受信フレーム200rにおいては、18個(=9×2)の受信ウェイトベクトルが算出される。
【0045】
以後、1つの受信ウェイトベクトルを算出する際に使用される11個のトレーニング信号を、当該トレーニング信号を含むサブキャリアの周波数が低いものから順に第1〜第11のトレーニング信号とそれぞれ呼ぶ。したがって、例えば、周波数F2のサブキャリアが含むトレーニング信号及び周波数F14のサブキャリアが含むトレーニング信号のそれぞれは、第1のトレーニング信号となる。また、1つの受信ウェイトベクトルを算出する際に使用される11個のトレーニング信号をそれぞれ含む11個のサブキャリアを、周波数が低いものから順に第1〜第11のサブキャリアとそれぞれ呼ぶ。通信装置100は、各アンテナ10aで受信される1つのトレーニング信号を用いて、各アンテナ10aに適用される受信ウェイトRWを1回更新する。したがって、本実施の形態では、受信ウェイトベクトルが11回更新されると、受信ウェイトベクトルの更新が終了する。
【0046】
図6は、第nサブチャネルSCHn(1≦n≦9)に適用される受信ウェイトベクトル(上位側受信ウェイトベクトルあるいは下位側受信ウェイトベクトル)を更新する際の通信装置100の動作を示すフローチャートである。第nサブチャネルSCHnに適用される上位側受信ウェイトベクトル及び下位側受信ウェイトベクトルを更新する際の通信装置100の動作は同じである。通信装置100では、図6に示される処理が、第1サブチャネルSCH1〜第9サブチャネルSCH9のそれぞれについて行われる。
【0047】
受信フレーム200rの先頭のスロットSLが開始すると、図6に示されるように、ステップs1において、変動度合取得部53が、各DFT部50で取得された第1〜第11のトレーニング信号に基づいて、当該第1〜第11のトレーニング信号をそれぞれ含む第1〜第11のサブキャリア(周波数F2〜F12のサブキャリアあるいは周波数F14〜F24のサブキャリア)の受信電力を算出する。具体的には、変動度合取得部53は、複数のDFT部50で取得された第mのトレーニング信号(1≦m≦11)の大きさの平均値を求める。そして、変動度合取得部53は、求めた平均値を、第mのトレーニング信号を含む第mのサブキャリアの受信電力とする。なお、複数のDFT部50で取得された第mのトレーニング信号の大きさの最小値を、第mのサブキャリアの受信電力としても良い。
【0048】
次にステップs2において、変動度合取得部53は、第1〜第11のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合(以後、単に「変動度合」と呼ぶ)を求める。変動度合取得部53は、例えば、第1〜第11のサブキャリアの受信電力についての標準偏差を求めて、この標準偏差を変動度合とする。なお、第1〜第11のサブキャリアの受信電力において、最小値と最大値の差を求めて、これを変動度合としても良い。
【0049】
次にステップs3において、パラメータ決定部54は、変動度合取得部53が求められた変動度合に基づいて、ウェイト更新部513aで使用される逐次推定アルゴリズム(本例ではRLSアルゴリズム)での引き継ぎパラメータ(本例では忘却係数)の値を決定する。パラメータ決定部54は、引き継ぎパラメータについて、複数の候補値を記憶しており、当該複数の候補値から、ウェイト更新部513aが使用する引き継ぎパラメータの値を決定する。引き継ぎパラメータには1以下の値が設定され、その値が大きいほど、受信ウェイトベクトルを更新する際に、前回の受信ウェイトベクトルを引き継ぐ程度が大きくなっている。本実施の形態では、例えば、“0.980”、“0.833”及び“0.666”の3つの候補値がパラメータ決定部54に記憶されている。
【0050】
パラメータ決定部54は、変動度合取得部53で取得された変動度合(標準偏差)が第1のしきい値TH1以下の場合には、引き継ぎパラメータの値を“0.980”とする。パラメータ決定部54は、変動度合取得部53で取得された変動度合(標準偏差)が第1のしきい値TH1よりも大きく第2のしきい値TH2(>TH1)以下の場合には、引き継ぎパラメータの値を“0.833”とする。そして、パラメータ決定部54は、変動度合取得部53で取得された変動度合(標準偏差)が第2のしきい値TH2よりも大きい場合には、引き継ぎパラメータの値を“0.666”とする。パラメータ決定部54は、引き継ぎパラメータの値を決定すると、当該値を通知するためのパラメータ通知信号NSを受信ウェイト処理部51に出力する。
【0051】
このように、本実施の形態に係るパラメータ決定部54は、複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合が大きいほど、引き継ぎパラメータの値を小さくして、受信ウェイトベクトルを更新する際に前回の受信ウェイトベクトルを引き継ぐ程度(参照する割合)を小さくしている。アレイアンテナ10での受信信号に現れるマルチパスフェージングが大きくなると、複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合が大きくなることから、マルチパスフェージングが大きいほど、受信ウェイトベクトルを更新する際に前回の受信ウェイトベクトルを引き継ぐ程度を小さくすることができる。よって、受信ウェイトベクトルの更新時に、誤差を多く含んだ前回の受信ウェイトベクトルを引き継ぐ程度を小さくすることができ、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間を短くすることができる。この点については後で詳細に説明する。
【0052】
引き継ぎパラメータの値が決定されると、ステップs4において、ウェイト更新部513aは、複数の複素乗算部510にそれぞれ入力する複数の受信ウェイトRWに初期値を設定する。
【0053】
次にステップs5において、受信ウェイト処理部51は、各DFT部50で取得された第1〜第11のトレーニング信号のうちの一つのトレーニング信号を使用して、受信ウェイトベクトルを1回更新する。ステップs5で使用されるトレーニング信号を「使用対象トレーニング信号」と呼ぶ。
【0054】
ステップs5では、複数の複素乗算部510に対して、複数のDFT部50で取得された使用対象トレーニング信号がそれぞれ入力される。また、複数の複素乗算部510には、現状(更新前)の複数の受信ウェイトRWがそれぞれ入力される。したがって、加算部512からは、現状の複数の受信ウェイトRWがそれぞれ乗算された、複数の使用対象トレーニング信号が加算されて得られる復調シンボルDSが出力される。以後、この復調シンボルDSを「復調使用対象トレーニング信号」と呼ぶ。
【0055】
誤差信号生成部513bは、加算部512で得られた復調使用対象トレーニング信号について、当該復調使用対象トレーニング信号の理想的な信号を示す参照信号REFに対する誤差を求めて、当該誤差を示す誤差信号ESを生成する。ウェイト更新部513aは、この誤差信号ESと、複数のDFT部50からの使用対象トレーニング信号とを用いて、複数の受信ウェイトRWを1回更新する。このとき、ウェイト更新部513aは、引き継ぎパラメータの値として、パラメータ決定部54からのパラメータ通知信号NSが示す値を使用する。
【0056】
次にステップs6において、受信ウェイト処理部51は、受信ウェイトベクトルを所定回数、具体的には11回更新したかを判断する。言い換えれば、受信ウェイト処理部51は、第1〜第11のトレーニング信号のすべてを使用対象トレーニング信号に設定したかを判断する。受信ウェイト処理部51は、受信ウェイトベクトルを所定回数更新していないと判断すると、ステップs5を再度実行する。このステップs5では、第1〜第11のトレーニング信号のうち、前回のステップs5での使用対象トレーニング信号とは別のトレーニング信号が使用対象トレーニング信号とされる。
【0057】
一方で、ステップs6において、受信ウェイト処理部51が、受信ウェイトベクトルを所定回数更新したと判断すると、ウェイト更新部513aは、受信ウェイトベクトルの更新を終了する。以後、受信ウェイト処理部51では、更新終了後の受信ウェイトベクトルが使用され、受信ウェイト処理部51から希望シンボルが出力される。
【0058】
以上のように、本実施の形態に係る通信装置100では、アレイアンテナ10で受信されたOFDM信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合に基づいて、引き継ぎパラメータの値を決定している。つまり、本実施の形態に係る通信装置100では、アレイアンテナ10で受信されたOFDM信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合に基づいて、受信ウェイトベクトルを更新する際に前回の受信ウェイトベクトルを参照する割合を決定している。これにより、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間を低減することができる。以下にこのことについて詳細に説明する。
【0059】
図7は、受信ウェイトベクトルの更新回数と、誤差信号ESの大きさとの関係を示す図である。図7の横軸は、受信ウェイトベクトルの更新回数を示している。図7の縦軸は、対応する横軸の回数、受信ウェイトベクトルを更新する際の誤差信号ESの大きさを「誤差電力」として示している。
【0060】
図7において、グラフ600,601は、引き継ぎパラメータの値を“0.980”に設定した場合のグラフである。グラフ700は、引き継ぎパラメータの値を“0.833”に設定した場合のグラフである。グラフ800は、引き継ぎパラメータの値を“0.666”に設定した場合のグラフである。また、グラフ600は、アレイアンテナ10での受信信号にマルチパスフェージングが現れていない場合のグラフである。グラフ601,700,800は、アレイアンテナ10での受信信号に、大きなマルチパスフェージングが現れている場合のグラフである。
【0061】
グラフ600,601に示されるように、引き継ぎパラメータの値が大きい場合において、アレイアンテナ10での受信信号にマルチパスフェージングが現れると、言い換えれば、アレイアンテナ10での受信信号に遅延波の影響が現れると、誤差信号ESを十分に小さくするためには、受信ウェイトベクトルをより多くの回数更新する必要があり、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間が長くなる。これは、アレイアンテナ10での受信信号にマルチパスフェージングが現れると、受信ウェイトベクトルの推定精度が劣化し、更新時に、誤差を多く含んだ前回の受信ウェイトベクトルを多く引き継ぐためである。
【0062】
これに対して、グラフ700,800に示されるように、引き継ぎパラメータの値が小さく、受信ウェイトベクトルの更新時において前回の受信ウェイトベクトルを引き継ぐ程度が小さい場合には、アレイアンテナ10での受信信号にマルチパスフェージングが現れた場合であっても、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間はグラフ600と比較して、それほど長くならない。これは、受信ウェイトベクトルの更新時に、誤差を多く含んだ前回の受信ウェイトベクトルをあまり引き継がないためである。
【0063】
また、アレイアンテナ10での受信信号にマルチパスフェージングが現れていない場合には、グラフ600に示されるように、引き継ぎパラメータの値を大きくして、受信ウェイトベクトルの更新時に前回の受信ウェイトベクトルを多く引き継ぐ方が、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間を短くすることができる。
【0064】
以上より、アレイアンテナ10での受信信号に現れるマルチパスフェージングが大きいほど、引き継ぎパラメータの値を小さくすることによって、マルチパスフェージングの大きさにかかわらず、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間を短くすることができる。
【0065】
ここで、アレイアンテナ10での受信信号に現れるマルチパスフェージングが大きくなると、アレイアンテナ10で受信されたOFDM信号に含まれる複数のサブキャリアの間で受信電力の変動の度合が大きくなる。したがって、複数のサブキャリアの間で受信電力の変動の度合が大きいほど、引き継ぎパラメータの値を小さくすることによって、アレイアンテナ10での受信信号に現れるマルチパスフェージングの大きさにかかわらず、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間を短くすることができる。
【0066】
図8は、アレイアンテナ10で受信されたOFDM信号に含まれる複数のサブキャリアの受信電力を示す図である。図8の横軸はサブキャリア番号を示している。図8の縦軸は、対応する横軸のサブキャリア番号を有するサブキャリアの受信電力を示している。図8の例では、OFDM信号を構成する複数のサブキャリアに対して、周波数が小さいものから順に1から始まる連続する番号を付与している。例えば、サブキャリア番号1〜24のサブキャリアは、第1サブチャネルSCH1の周波数F1〜F24のサブキャリアをそれぞれ示している。なお、ガードキャリア及びDCキャリアの受信電力はほぼ零となっている。
【0067】
図8のグラフ900は、図7のグラフ600と同様に、アレイアンテナ10での受信信号にマルチパスフェージングが現れていない場合のグラフである。図8のグラフ910は、図7のグラフ601,700,800と同様に、アレイアンテナ10での受信信号に、大きなマルチパスフェージングが現れている場合のグラフである。
【0068】
グラフ900に示されるように、アレイアンテナ10での受信信号にマルチパスフェージングが現れていない場合には、複数のサブキャリアの間において受信電力の変動はほとんど見られない。
【0069】
これに対して、グラフ910に示されるように、アレイアンテナ10での受信信号にマルチパスフェージングが現れると、複数のサブキャリアの間において受信電力が大きく変動する。これは、マルチパスフェージングには周波数依存性があるためである。
【0070】
以上の点に鑑み、本実施の形態では、アレイアンテナ10で受信されたOFDM信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合に基づいて、引き継ぎパラメータの値、つまり受信ウェイトを更新する際の前回の受信ウェイトを引き継ぐ程度を決定している。言い換えれば、アレイアンテナ10で受信されたOFDM信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合に基づいて、受信ウェイトを更新する際に前回の受信ウェイトを参照する割合を決定している。これにより、アレイアンテナ10での受信信号に現れるマルチパスフェージングが大きい場合であっても、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間を低減することができる。
【0071】
なお、図7のグラフ601,700,800及び図8のグラフ910は、上述のステップ3において、変動度合取得部53で取得された変動度合が第2のしきい値TH2よりも大きくなるぐらい大きなマルチパスフェージングがアレイアンテナ10での受信信号に現れている場合のグラフである。したがって、このような場合には、上述のステップs3のように、引き継ぎパラメータの値を“0.666”に設定することによって、グラフ800に示されるように、受信ウェイトベクトルが収束するまでの時間を短くすることができる。
【0072】
上述の説明では、本発明を次世代PHSの基地局に適用する場合について説明したが、本発明は、OFDM信号を用いて通信する通信装置であれば、他の通信装置にも適用することができる。例えば、本発明は、LTE(Long Term Evolution)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)での基地局に適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 アレイアンテナ
10a アンテナ
53 変動度合取得部
54 パラメータ決定部
100 通信装置
513 受信ウェイト算出部
RW 受信ウェイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナから成るアレイアンテナを用いて通信を行う通信装置であって、
互いに直交する複数のサブキャリアが重畳された無線信号を受信する、複数のアンテナから成るアレイアンテナと、
前記無線信号に含まれる複数のサブキャリアがそれぞれ含む複数の既知信号を用いて、当該複数のサブキャリアに共通に適用する、前記アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトを、逐次推定アルゴリズムを用いて算出する受信ウェイト算出部と、
前記無線信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合を求める変動度合取得部と、
前記受信ウェイト算出部が受信ウェイトを更新する際に前回の受信ウェイトを参照する割合を、前記変動の度合に基づいて決定する決定部と
を備える、通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であって、
前記決定部は、前記変動の度合が大きいほど前記参照する割合を小さくする、通信装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の通信装置であって、
前記変動度合取得部は、前記無線信号に含まれる複数のサブキャリアの受信電力についての標準偏差を求めて、当該標準偏差を前記変動の度合とする、通信装置。
【請求項4】
複数のアンテナから成るアレイアンテナを用いて通信を行う通信方法であって、
(a)互いに直交する複数のサブキャリアが重畳された無線信号を前記アレイアンテナを用いて受信する工程と、
(b)前記工程(a)で受信された無線信号に含まれる複数のサブキャリアがそれぞれ含む複数の既知信号を用いて、当該複数のサブキャリアに共通に適用する、前記アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトを、逐次推定アルゴリズムを用いて算出する工程と、
(c)前記無線信号に含まれる複数のサブキャリアの間での受信電力の変動の度合を求める工程と、
(d)前記工程(b)において受信ウェイトが更新される際に前回の受信ウェイトが参照される割合を、前記工程(c)で求められた前記変動の度合に基づいて決定する工程と
を備える、通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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