説明

通信装置

【課題】無線LANインタフェースと、複数のポートを有する有線LANインタフェースとを備えた通信装置を用いたネットワークにおいて、通信パケットのボディに含まれるMACアドレスの情報に基づいて、当該通信パケットを受信した当該MACアドレスを有する電子機器に所定の動作を指示可能に構成されたプロトコルを用いて行う遠隔操作を好適に実現する。
【解決手段】通信装置は、無線子機として他の無線機器と通信可能な無線LANインタフェースと、複数のポートを備えた有線LANインタフェースとを備え、複数のポートの各々に接続された電子機器と他の無線機器との間の通信を中継する。この通信装置は、複数のポートのうちの予め定められた1つの特定ポートに電子機器が接続された場合に、電子機器のMACアドレスを取得し、それを自機のMACアドレスとして使用して、他の無線機器と通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関し、詳しくは、無線LANインタフェースと、複数のポートを有する有線LANインタフェースとを備えた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線子機として、いわゆるイーサネットコンバータ(イーサネットは登録商標)が知られている。イーサネットコンバータは、無線子機インタフェースと有線LANインタフェースとを備えており、両者の通信規格に基づいたフォーマット変換を行って、通信パケットの中継動作を行う。イーサネットコンバータの有線LANポートに、有線LANケーブルを介して、有線LANポートを備える端末やデジタル家電などの有線機器を接続することによって、有線機器は、イーサネットコンバータを介して、他の無線機器と通信を行うことができる。
【0003】
こうしたイーサネットコンバータでは、複数の有線ポートを備えたタイプが知られている。複数の有線ポートを有するイーサネットコンバータは、有線ポートに接続された有線機器から通信パケットを受信すると、フォーマット変換を行って、他の無線機器に転送する。この際、イーサネットコンバータは、他の無線機器に転送する通信パケットに、送信元アドレスとして、自機のMACアドレスを付与する。一方、他の無線機器から通信パケットを受信すると、イーサネットコンバータは、接続された有線機器のMACアドレスとIPアドレスとを対応付けたアドレステーブルと、通信パケットに含まれる宛先IPアドレスとを照合して、宛先IPアドレスを有する有線機器に通信パケットを転送する。
【0004】
一方、通信パケットのボディに含まれるMACアドレスの情報に基づいて、当該通信パケットを受信した当該MACアドレスを有する電子機器に所定の動作を指示可能に構成されたプロトコル(以下、動作指示プロトコルともいう)が開発されている。かかるプロトコルを用いた技術として、例えば、WOL(Wake-On-LAN)が知られている。WOLは、ネットワーク機器の電源の投入操作を、ネットワークを介して遠隔的に行う機能である。WOLでは、この遠隔操作は、マジックパケットと呼ばれる通信パケットを用いて行われる。マジックパケットは、ボディの任意の領域に「FF-FF-FF-FF-FF-FF」という同期用シーケンスと、それに続いて、電源操作対象となる機器のMACアドレスを16回繰り返したデータとを含んでおり、ブロードキャストで送信される。マジックパケットを受信した機器は、16回繰り返させるMACアドレスが自機のものでなければ無視し、自機のものであれば、省電力状態(例えば,ほとんど電力を消費しないスリープ状態,または、電源をOFFしたサスペンド状態など)から起動を行って通常の動作状態に移行する。
【0005】
ここで、上述した複数の有線ポートを備えたイーサネットコンバータが、無線子機インタフェースを介してマジックパケットを受信した場合、当該マジックパケットの宛先IPアドレス(ブロードキャストアドレス)は、上述のテーブルに記録されていないので、イーサネットコンバータは、このマジックパケットを破棄してしまう。その結果、有線ポートに接続された電源操作対象機器は、マジックパケットを受信することができず、WOLを実現することができなかった。仮に、マジックパケットを全ての有線ポートに転送する構成としても、マジックパケットに含まれる16回繰り返させるMACアドレスは、イーサネットコンバータのMACアドレスとなるから、マジックパケットを受信した電源操作対象機器は、このマジックパケットを無視することとなる。これは、イーサネットコンバータは、他の無線機器との通信を自機のMACアドレスで行うために、他の無線機器側では、イーサネットコンバータのMACアドレスを電源操作対象機器のMACアドレスとして認識してしまうことに起因している。
【0006】
以上説明したように、従来のイーサネットコンバータでは、WOLを好適に実現することができなかった。かかる問題は、WOLを実現する場合に限らず、動作指示プロトコルを用いて遠隔操作を行う場合に共通する問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−303078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の問題の少なくとも一部を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、無線LANインタフェースと、複数のポートを有する有線LANインタフェースとを備えた通信装置を用いたネットワークにおいて、通信パケットのボディに含まれるMACアドレスの情報に基づいて、当該通信パケットを受信した当該MACアドレスを有する電子機器に所定の動作を指示可能に構成されたプロトコルを用いて行う遠隔操作を好適に実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決することを目的とし、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]通信装置であって、
無線子機として他の無線機器と通信可能な無線LANインタフェースと、
複数のポートを備えた有線LANインタフェースと、
前記複数のポートの各々に通信可能に接続された電子機器と前記他の無線機器との間の通信を、前記無線LANインタフェースおよび前記有線LANインタフェースを介して中継する中継部と、
前記複数のポートのうちの予め定められた1つの特定ポートに前記電子機器が接続された場合に、該電子機器のMACアドレスを取得する取得部と
を備え、
前記中継部は、前記取得したMACアドレスを前記通信装置のMACアドレスとして使用して、前記無線LANインタフェースを用いた通信を行う
通信装置。
【0011】
かかる構成の通信装置は、有線LANインタフェースの複数のポートのうちの特定ポートに接続された電子機器のMACアドレスを取得し、取得したMACアドレスを通信装置のMACアドレスとして使用して、他の無線機器と無線LANインタフェースを用いた通信を行う。この特定ポートに、通信パケットのボディに含まれるMACアドレスの情報に基づいて、当該通信パケットを受信した当該MACアドレスを有する電子機器に所定の動作を指示可能に構成されたプロトコルをサポートしたサポート機器を接続すれば、通信装置は、サポート機器のMACアドレスを用いて他の無線装置と通信することとなる。したがって、他の無線装置側では、サポート機器のMACアドレスを把握できるので、当該プロトコルに係る通信パケットに、サポート機器のMACアドレスを含めることができる。その結果、通信装置が、このプロトコルに係る通信パケットを他の無線機器から受信してサポート機器に転送すれば、サポート機器は、プロトコルに係る通信パケットに基づいて、所定の動作を実行することができる。
【0012】
[適用例2]適用例1記載の通信装置であって、前記中継部は、前記MACアドレスを取得した際に、前記無線LANインタフェースを介して前記他の無線機器と接続関係を確立している場合には、該接続関係を解除し、前記取得したMACアドレスを用いて前記他の無線機器との接続関係を確立し直す通信装置。
【0013】
かかる構成の通信装置は、特定ポートに接続された電子機器のMACアドレスを取得した際に、他の無線機器と接続関係を確立している場合には、取得したMACアドレスを用いて接続関係を確立し直す。したがって、通信装置が自機のMACアドレスなどを用いて既に接続関係を確立している場合であっても、特定ポートに電子機器が接続された後は、当該電子機器のMACアドレスを用いた通信に切り替えて、適用例1の効果を奏することができる。
【0014】
[適用例3]前記取得部は、前記有線インタフェースを介して受信したARP要求に基づいて、前記MACアドレスを取得する適用例1または適用例2記載の通信装置。
【0015】
かかる構成の通信装置は、ARP(Address Resolution Protocol)要求に基づいて、特定ポートに接続された電子機器のMACアドレスを取得するので、汎用のプロトコルを用いて容易にMACアドレスを取得することができる。なお、ARP要求にはGratuitous ARPを含む。
【0016】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか記載の通信装置であって、前記特定ポートは、通信パケットのボディに含まれるMACアドレスの情報に基づいて、該通信パケットを受信した該MACアドレスを有する電子機器に所定の動作を指示可能に構成されたプロトコルをサポートした機器への接続を予定するポートである通信装置。
【0017】
かかる構成の通信装置は、特定ポートに、通信パケットのボディに含まれるMACアドレスの情報に基づいて、該通信パケットを受信した該MACアドレスを有する電子機器に所定の動作を指示可能に構成されたプロトコルをサポートした機器への接続が予定されるから、好適に適用例1または適用例2の効果を奏する。
【0018】
[適用例5]前記プロトコルは、Wake−on−LANを実現するためのプロトコルである適用例4記載の通信装置。
【0019】
かかる構成の通信装置は、Wake−on−LANを実現するためのプロトコルを好適に実現することができる。
【0020】
また、本発明は、上述した通信装置のほか、通信装置に用いるプログラム、当該プログラムを記録した記憶媒体、通信方法等としても実現することができる。勿論、これらの実現形態に対しても、適用例2〜適用例5の構成を付加することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例としてのイーサネットコンバータ30の使用例を示す説明図である。
【図2】イーサネットコンバータ30の概略構成を示す説明図である。
【図3】イーサネットコンバータ30におけるアドレス変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】アドレス変更処理とWOLによる起動処理とにおける通信の流れの具体例を示す説明図である。
【図5】比較例としての、WOLによる起動処理における通信の流れの具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.実施例:
本発明の実施例について説明する。
A−1.イーサネットコンバータ30を用いたネットワーク構成:
本発明の通信装置の実施例としてのイーサネットコンバータ30の使用例を図1に示す。図1は、イーサネットコンバータ30を用いて家庭内に構築されたホームネットワーク20の構成を示している。図示するようにホームネットワーク20は、イーサネットコンバータ30と、アクセスポイントAPと、電子機器ED1〜ED3とを備えている。
【0023】
イーサネットコンバータ30は、無線子機(無線端末)としての機能と、有線LANと無線LANとを接続するブリッジ機能とを備えている。このイーサネットコンバータ30は、2つの有線ポートを備えており、当該有線ポートには、それぞれ電子機器ED1,ED2が接続されている。電子機器ED1は、WOLをサポートする電子機器であり、本実施例ではブルーレイプレイヤである。電子機器ED2は、WOLに非対応の電子機器であり、本実施例ではテレビである。電子機器ED1はMACアドレス「MAC1」、電子機器ED2はMACアドレス「MAC2」を有しており、イーサネットコンバータ30は、無線通信インタフェースのMACアドレス「MAC3」を有している。
【0024】
このイーサネットコンバータ30は、アクセスポイントAPとの間で無線LANを構築している。アクセスポイントAPは、無線子機間の通信を中継する無線親機機能と、有線LANと無線LANとを接続するブリッジ機能と、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能とを備えている。なお、アクセスポイントAPは、ルータ機能を備え、外部ネットワークに接続可能に構成されてもよい。アクセスポイントAPには、有線ケーブルによって電子機器ED3が接続されている。電子機器ED3は、WOLをサポートする電子機器であり、本実施例では、テレビである。アクセスポイントAPはMACアドレス「MAC4」、電子機器ED3はMACアドレス「MAC5」をそれぞれ有している。なお、電子機器ED1〜ED3は、種々の電子機器とすることができ、例えば、パソコン、パソコン周辺機器、AV機器、電話、各種家電製品などとすることができる。
【0025】
かかるホームネットワーク20の各構成機器は、UPnP(Universal Plug and Play)を用いて、ネットワークデバイスを自動的に検知し、相互に機能を提供し合うことができる。また、詳しくは後述するが、ホームネットワーク20において、電子機器ED3からの操作によって、WOLを用いて電子機器ED1の起動を行うことができる。
【0026】
A−2.イーサネットコンバータ30の概略構成:
イーサネットコンバータ30の概略構成を図2に示す。図示するように、イーサネットコンバータ30は、CPU40、ROM50、RAM60、コントローラ70、有線LANインタフェース80、無線LANインタフェース90を備え、それぞれがバスにより相互に接続されている。
【0027】
コントローラ70は、スイッチング機能を有するスイッチコントローラであり、受け取った通信パケットからMACフレームを取り出し、アドレステーブルを参照して、通信パケットを宛先MACアドレスに対応するポートに送出する。なお、本願においては、通信を行うためのデータの転送単位をOSI参照モデルのレイヤとの関係にかかわらず「通信パケット」という。
【0028】
有線LANインタフェース80は、有線LANに接続するためのインタフェースである。本実施例では、有線LANインタフェース80は、IEEE802.3規格に準拠している。この有線LANインタフェース80は、2つの有線ポート81,82を備えている。有線ポート81は、WOLを実現するプロトコル、すなわち、マジックパケットを解釈して起動処理を実行可能なプロトコルをサポートする電子機器に接続を予定するポートとして予め定められたポートであり、特定ポート81ともいう。有線ポート82は、WOLを実現するプロトコルをサポートしない電子機器に接続を予定する有線ポートであり、非WOLポート82ともいう。ホームネットワーク20では、特定ポート81にWOLをサポートする電子機器ED1が、非WOLポート82にWOL非対応の電子機器ED2が接続されている。なお、有線LANインタフェース80が備える有線ポートは、2つに限らず、3つ以上であってもよい。この場合でも、WOLをサポートする機器に接続を予定するポート、すなわち、特定ポート81は1つである。
【0029】
上述した特定ポート81と非WOLポート82との区分は、後述するアドレス変更処理によってWOLを実現するために接続機器を取り決めたものであって、特定ポート81と非WOLポート82とは、同一の構成を有している。したがって、特定ポート81にWOLに非対応の電子機器を接続した場合にも、非WOLポート82に当該電子機器を接続した場合と同様の通信は可能である。なお、特定ポート81がWOLをサポートする電子機器に接続を予定したものである旨をイーサネットコンバータ30の筐体に表示したり、イーサネットコンバータ30の取扱説明書に記載したりすれば、ユーザは、特定ポート81に接続すべき機器の種類を容易に理解することができ、利便性が向上する。非WOLポート82についても、WOL非対応の電子機器の接続を予定している旨を表示してもよい。
【0030】
無線LANインタフェース90は、無線LANに接続するための無線子機としてのインタフェースである。本実施例では、無線LANインタフェース90は、IEEE802.11規格に準拠している。
【0031】
CPU40は、ROM50に記憶されたファームウェア等のプログラムをRAM60に展開して実行することで、イーサネットコンバータ30の動作全般を制御する。また、CPU40は、当該プログラムを実行することで、中継部41、取得部42としても機能する。中継部41は、無線LANインタフェース90を介してアクセスポイントAPから受信した通信パケットを、電子機器ED1,ED2のIPアドレスとMACアドレスとを対応付けたアドレステーブルを参照して、有線LANインタフェース80を介して電子機器ED1,ED2に転送し、また、有線LANインタフェース80を介して電子機器ED1,ED2から受信した通信パケットを、無線LANインタフェース90を介してアクセスポイントAPに転送する中継動作を制御する。
【0032】
この中継部41は、特定ポート81に電子機器の接続がない場合には、自機のMACアドレス「MAC3」を用いて、アクセスポイントAPとの通信を行う。例えば、有線ポート82に接続された電子機器ED2から電子機器ED3に向けた通信パケットを受信した場合には、通信パケットに含まれる送信元MACアドレスを、電子機器ED2のMACアドレス「MAC2」からイーサネットコンバータ30のMACアドレス「MAC3」に置き換えて、アクセスポイントAPに送信する。ただし、特定ポート81に電子機器の接続がある場合には、上記の説明と異なる制御を行う。その詳細については、アドレス変更処理として後述する。また、中継部41は、本実施例では、無線LANインタフェース90を介してアクセスポイントAPから宛先IPアドレスがブロードキャストアドレスである通信パケットを受信すると、有線LANインタフェース80に接続された電子機器ED1,ED2に転送するように構成されている。取得部42は、特定ポート81に電子機器が接続された場合に、当該電子機器のMACアドレスを取得する。
【0033】
A−3.アドレス変更処理:
イーサネットコンバータ30におけるアドレス変更処理について説明する。アドレス変更処理とは、ホームネットワーク20においてWOLを実現するために、イーサネットコンバータ30が、無線LANインタフェース90を用いた通信で使用するMACアドレスを変更する処理である。アドレス変更処理の流れを図3に示す。本実施例においては、アドレス変更処理は、イーサネットコンバータ30の電源投入後に開始され、通信パケットの中継動作と並行して繰り返し実行される。
【0034】
図3に示すように、アドレス変更処理が開始されると、イーサネットコンバータ30のCPU40は、まず、特定ポート81に電子機器が接続されたことを検知するまで待機する(ステップS210)。本実施例においては、イーサネットコンバータ30は、タグVLAN(Virtual Local Area Network)に対応した機器であり、特定ポート81をタグポートとして、VLAN番号が所定の値に設定されている。したがって、CPU40は、Gratuitous ARPを受信した場合に、Gratuitous ARPに含まれるタグ情報(VLAN番号)を参照して、所定のVLAN番号が含まれる場合に、特定ポート81に電子機器が接続されたと判断することができる。ただし、特定ポート81に電子機器が接続されたことの判断手法は特に限定するものではなく、例えば、CPU40は、定期的にコントローラ70にアクセスして、各々の有線ポート81への電子機器のリンク情報を取得してもよい。なお、受信した通信パケットがARPパケットであることは、当該通信パケットのタイプ領域を参照することによって判断可能である。また、受信したARPパケットがGratuitous ARPであることは、ARPパケットに含まれる送信元IPアドレスとターゲットIPアドレスとが一致していることで判断できる。Gratuitous ARPは、特定ポート81に接続された電子機器が新たにIPアドレスを取得した際に送信されるから、こうすれば、特定ポート81への電子機器の新規接続を速やかに判断することができる。
【0035】
そして、特定ポート81への電子機器への接続を検知すると(ステップS210:YES)、CPU40は、取得部42の処理として、特定ポート81に接続された電子機器のMACアドレスを取得する(ステップ220)。本実施例においては、特定ポート81には、電子機器ED1が接続されるから、取得するMACアドレスは「MAC1」である。この処理は、本実施例では、受信したGratuitous ARPに含まれる送信元MACアドレスを取得する構成とした。
【0036】
電子機器ED1のMACアドレス「MAC1」を取得すると、CPU40は、取得したMAC1を、無線LANインタフェース90を用いた無線通信用のMACアドレスとして登録する(ステップS230)。以後、CPU40は、中継部41の処理としての通信パケットの中継動作においては、登録したMAC1を自機のMACアドレスとして使用する。
【0037】
MAC1を登録すると、CPU40は、アクセスポイントAPとの間で接続関係を確立済みであるか否かを判断する(ステップS240)。その結果、アクセスポイントAPと接続関係を確立済みでなければ(ステップS240:NO)、今後、アクセスポイントAPとの接続関係が確立される際には、イーサネットコンバータ30のMACアドレスとして、上記ステップS230で登録したMAC1が用いられるということであるから、CPU40は、アドレス変更処理を終了する。
【0038】
一方、アクセスポイントAPと接続関係を確立済みであれば(ステップS240:YES)、上記ステップS230で登録されたMACアドレス以外のMACアドレスを用いて、アクセスポイントAPとの接続関係が確立されているということである。例えば、イーサネットコンバータ30は、自機のMACアドレスMAC3を用いて、アクセスポイントAPとの接続関係を確立しているということである。あるいは、特定ポート81に電子機器ED1を接続する前に、電子機器ED1以外の電子機器が接続されており、以前に実行されたアドレス変更処理によって、その電子機器のMACアドレスを用いて確立された接続関係が未だ継続しているということである。そこで、CPU40は、アクセスポイントAPとの接続関係を一旦解除する(ステップS250)。そして、CPU40は、上記ステップS230で登録したMAC1を自機のMACアドレスとして使用して、アクセスポイントAPとの接続関係を確立し直す(ステップS260)。
【0039】
こうして、アドレス変更処理は終了となる。このようにMAC1が登録されると、以後、CPU40は、有線LANインタフェース80に接続された電子機器ED1,ED2がアクセスポイントAP側に向けて送信した通信パケットを受信した場合、上記ステップS230で登録したMACアドレス「MAC1」を送信元MACアドレスとして用いて、当該通信パケットをアクセスポイントAPに転送する。これにより、アクセスポイントAP側の装置では、電子機器ED1,ED2から受信した通信パケットの送信元MACアドレスを全てMAC1と認識することとなる。一方、CPU40は、アクセスポイントAPから電子機器ED1,ED2に向けて送信した通信パケットを受信した場合、当該通信パケットに含まれる宛先MACアドレスはMAC1であるが、当該通信パケットに含まれる宛先IPアドレスと、アドレステーブルとを照合することによって、当該通信パケットを電子機器ED1,ED2に転送することができる。
【0040】
A−4.WOLによる起動処理:
ホームネットワーク20において、イーサネットコンバータ30がアドレス変更処理を実行してWOLを実現する通信の流れについて図4に示す具体例を用いて説明する。以下では、電子機器ED3を操作して電子機器ED1を起動する流れを説明する。図示するように、イーサネットコンバータ30が電源投入によって起動し(ステップS311)、アクセスポイントAPが電源投入によって起動すると(ステップS312)、イーサネットコンバータ30は、アクセスポイントAPに対してアソシエーション要求を送信する(ステップS321)。一方、アクセスポイントAPは、アソシエーション応答をイーサネットコンバータ30に送信する(ステップS322)。これによって、イーサネットコンバータ30とアクセスポイントAPとの間で無線LANによる接続関係が確立される。
【0041】
そして、電子機器ED1が電源投入によって起動すると(ステップS313)、電子機器ED1は、DHCPサーバ機能を有するアクセスポイントAPとの間で実行されるDHCPデイスカバリプロセスによって、IPアドレスを取得する(ステップS331)。このとき、電子機器ED3は、電源投入によって起動しているものとする(ステップS314)。なお、IPアドレスは、AutoIPによって取得してもよい。IPアドレスは、手動操作などによって、予め固定的に割り当てられていてもよい。この場合、アクセスポイントAPは、DHCPサーバ機能を有していなくてもよい。
【0042】
IPアドレスを取得すると、電子機器ED1は、自身に割り当てられたIPアドレスの重複を確認するためにGratuitous ARPをブロードキャストする(ステップS341)。このGratuitous ARPの送信元MACアドレスはMAC1である。
【0043】
イーサネットコンバータ30は、電子機器ED1からGratuitous ARPを受信すると、上述したアドレス変更処理の上記ステップS230に基づいて、MAC1を無線通信用のMACアドレスとして登録する(ステップS342)。そして、イーサネットコンバータ30は、上述したアドレス変更処理の上記ステップS250に基づいて、アクセスポイントAPにディスアソシエーションを送信して、接続関係の解除を要求する(ステップS343)。このディスアソシエーションの送信元MACアドレスは、接続関係を確立した際に用いたMAC3である。一方、アクセスポイントAPは、ディスアソシエーションを受信して、イーサネットコンバータ30との接続関係を解除する(ステップS344)。
【0044】
アクセスポイントAPとの接続関係が解除されると、イーサネットコンバータ30は、上述したアドレス変更処理の上記ステップS260に基づいて、MAC1を送信元MACアドレスとして使用してアクセスポイントAPにアソシエーション要求を送信し(ステップS345)、アクセスポイントAPからアソシエーション応答を受信して(ステップS346)、接続関係を確立し直す。MAC1を用いた接続関係が確立すると、イーサネットコンバータ30は、受信したGratuitous ARPを、上記ステップS230で登録したMAC1を自機のMACアドレスとして使用して、アクセスポイントAPに転送する(ステップS347)。つまり、転送するGratuitous ARPの送信元MACアドレスは、MAC1のままである。このように、接続関係の解除前に受信したGratuitous ARPを、再接続後に転送する構成とすれば、IPアドレスの重複確認を確実に行うことができる。アクセスポイントAPは、イーサネットコンバータ30からGratuitous ARPを受信すると、それを電子機器ED3に転送する(ステップS348)。
【0045】
また、電子機器ED1は、UPnPに基づいて、デバイスのネットワークへの参加を告知するNOTIFYメッセージをブロードキャストする(ステップS351)。イーサネットコンバータ30は、これを受信し、上記ステップS230で登録したMAC1を自機のMACアドレスとして使用して、つまり、送信元MACアドレスがMAC1の状態のままアクセスポイントAPに転送する(ステップS352)。アクセスポイントAPは、このNOTIFYメッセージを受信すると、電子機器ED3に転送する(ステップS353)。これによって、電子機器ED3は、ホームネットワーク20にMACアドレス「MAC1」を有する電子機器ED1が接続されたことを認識することができる。電子機器ED1は、NOTIFYメッセージを送信後、所定期間が経過するとスリープモードに移行する(ステップS361)。スリープモードとは、少なくとも無線LANインタフェース90に電力が供給され、後述するマジックパケットを受信可能な状態を保ちつつ、イーサネットコンバータ30の動作や電源供給を制限して省電力化を図るモードである。
【0046】
電子機器ED1が送信するNOTIFYメッセージは、上記ステップS343,S344によってイーサネットコンバータ30とアクセスポイントAPとの接続関係が解除され、上記ステップS345,S346によって再接続されるまでの間にイーサネットコンバータ30に受信されると、アクセスポイントAPに転送されないが、その場合には、M−SERCHメッセージによって、電子機器ED3は、MAC1を有する電子機器ED1を認識することができる。具体的には、電子機器ED3がM−SERCHメッセージをブロードキャストすると、イーサネットコンバータ30は、アクセスポイントAPを介して、このM−SERCHメッセージを受信する。本実施例では、イーサネットコンバータ30は、ブロードキャストされた通信パケットを有線LANインタフェース80側に転送するので、電子機器ED1は、M−SERCHメッセージを受信できる。M−SERCHメッセージを受信すれば、電子機器ED1は、電子機器ED3に対して応答を行う。この応答メッセージは、上述したように、イーサネットコンバータ30で転送される際に、送信元MACアドレスがMAC1のままで転送されるので、電子機器ED3は、MAC1を有する電子機器ED1を認識することができる。なお、電子機器ED3の起動が、電子機器ED1によるNOTIFYメッセージの送信よりも後に行われる場合にも同様にして、電子機器ED3は、MAC1を有する電子機器ED1を認識することができる。
【0047】
このようにして、電子機器ED3がMAC1を有する電子機器ED1を認識すると、電子機器ED3は、WOLを用いて、電子機器ED1の起動処理を行うことが可能となる。WOLによる電子機器ED1の起動処理は、電子機器ED3のユーザインタフェース、例えば、リモコンを用いてユーザが電子機器ED3に電子機器ED1の起動指示を与え、これを受け付けることで開始される(ステップS371)。
【0048】
電子機器ED3は、ユーザからの起動指示を受け付けると、マジックパケットを生成して、ブロードキャストする(ステップS372)。このマジックパケットのボディには、起動対象である電子機器ED1のMACアドレス「MAC1」を16回繰り返したデータを含んでいる。電子機器ED3が送信したマジックパケットは、アクセスポイントAPが受信してイーサネットコンバータ30に転送し(ステップS373)、さらに、イーサネットコンバータ30が受信して電子機器ED1に転送する(ステップS374)。
【0049】
電子機器ED1は、こうして転送されたマジックパケットを受信して、ボディの内容を解釈する。マジックパケットには、電子機器ED1のMACアドレス「MAC1」を16回繰り返したデータが含まれるので、電子機器ED1は、受信したマジックパケットが自機を起動する指示を含むものであると解釈して、起動処理を行う(ステップS375)。こうして、WOLを用いて電子機器ED3から電子機器ED1を起動させる処理が実現する。
【0050】
A−5.効果:
上述したイーサネットコンバータ30の効果をより明確にするために、まず、従来例としてのイーサネットコンバータ30aを用いた場合のWOLによる起動処理の流れを説明し、その後、本実施例の効果について説明する。従来例としてのイーサネットコンバータ30aを用いた場合のWOLによる起動処理の流れを図5に示す。図5において、図4と同一内容の処理の流れについては、図4と同一の符号を付して、説明を省略または簡略化する。
【0051】
図5に示すように、電子機器ED1がDHCPデイスカバリプロセスによって、IPアドレスを取得し(ステップS331)、Gratuitous ARPをブロードキャストすると(ステップS341)、イーサネットコンバータ30aは、これを受信し、受信したGratuitous ARPを、その送信元MACアドレスを電子機器ED1のMACアドレス「MAC1」から自機のMACアドレス「MAC3」に変更して、アクセスポイントAPに転送する(ステップS442)。アクセスポイントAPは、このGratuitous ARPを受信して、電子機器ED3に転送する(ステップS443)。これにより、電子機器ED3は、送信元MACアドレスがMAC3のGratuitous ARPを受信することとなる。
【0052】
また、電子機器ED1は、UPnPに基づいて、NOTIFYメッセージをブロードキャストする(ステップS351)。イーサネットコンバータ30aは、これを受信し、その送信元MACアドレスを自機のMACアドレス「MAC3」に変更して、アクセスポイントAPに転送する(ステップS452)。アクセスポイントAPは、このNOTIFYメッセージを受信して、電子機器ED3に転送する(ステップS453)。これにより、電子機器ED3は、MAC3を有する電子機器ED1がホームネットワーク20に接続されたと認識する。
【0053】
そして、ユーザが電子機器ED3に入力した電子機器ED1の起動指示を電子機器ED3が受け付けると(ステップS371)、電子機器ED3は、マジックパケットを生成して、ブロードキャストする(ステップS472)。このマジックパケットのボディには、起動対象である電子機器ED1のMACアドレスとして認識されている「MAC3」を16回繰り返したデータを含んでいる。電子機器ED3が送信したマジックパケットは、アクセスポイントAPが受信してイーサネットコンバータ30aに転送する(ステップS473)。
【0054】
マジックパケットを受信したイーサネットコンバータ30aは、マジックパケットに含まれる宛先IPアドレスであるブロードキャストアドレスがアドレステーブルに登録されていないことから、受信したマジックパケットを破棄する(ステップS474)。このように、電子機器ED3が送信したマジックパケットは、イーサネットコンバータ30aに破棄され、電子機器ED1まで到達しないので、電子機器ED1を起動させることはできない。仮に、イーサネットコンバータ30aがブロードキャストアドレスを宛先IPアドレスとする通信パケットを有線LANインタフェース80側に転送する構成とすれば、電子機器ED1は、マジックパケットを受信することはできる。しかし、この受信したマジックパケットに含まれる起動対象を表すMACアドレスは、イーサネットコンバータ30aのMACアドレスである「MAC3」であるから、電子機器ED1が受信したマジックパケットを解釈して起動処理を行うことはない。
【0055】
一方、上述した本実施例のイーサネットコンバータ30は、有線LANインタフェース80の複数の有線ポート81,82のうちの特定ポート81に接続された電子機器のMACアドレスを取得し、取得したMACアドレスをイーサネットコンバータ30のMACアドレスとして使用して、アクセスポイントAPと無線LANインタフェース90を用いた通信を行う。この特定ポート81に、WOLを実現するプロトコルをサポートした電子機器ED1を接続すれば、イーサネットコンバータ30は、電子機器ED1のMACアドレス「MAC1」を用いてアクセスポイントAPと通信することとなる。したがって、アクセスポイントAP側の装置、つまり、電子機器ED3は、電子機器ED1のMACアドレス「MAC1」を把握できるので、起動対象を表すMACアドレスを、電子機器ED1のMACアドレス「MAC1」としたマジックパケットを生成して、ブロードキャストすることができる。イーサネットコンバータ30は、アクセスポイントAPを介してこのマジックパケットを受信し、電子機器ED1に転送するので、電子機器ED1は、マジックパケットを受信し、解釈して、WOLに基づく起動処理を実行することができる。
【0056】
また、イーサネットコンバータ30は、特定ポート81に接続された電子機器ED1のMACアドレスを取得した際に、アクセスポイントAPと接続関係を確立している場合には、接続関係を一旦解除し、取得したMACアドレスを用いて接続関係を確立し直す。したがって、イーサネットコンバータ30が自機のMACアドレスを用いて既に接続関係を確立している場合であっても、特定ポート81に電子機器ED1が接続された後は、電子機器ED1のMACアドレスを用いた通信に切り替えるので、その後の通信によって、電子機器ED3は、電子機器ED1のMACアドレス「MAC1」を把握できる。
【0057】
また、イーサネットコンバータ30は、Gratuitous ARPに基づいて、特定ポート81に接続された電子機器ED1のMACアドレスを取得するので、汎用のプロトコルを用いて容易にMACアドレスを取得することができる。しかも、Gratuitous ARPは、DHCPによってIPアドレスを取得した後、電子機器ED1によって速やかに送信されるので、イーサネットコンバータ30は、電子機器ED1が特定ポート81に接続された後、速やかにMACアドレスを取得することができる。
【0058】
上述した実施形態の変形例について説明する。
B:変形例:
B−1.変形例1:
上述の実施形態においては、イーサネットコンバータ30は、Gratuitous ARPに基づいて電子機器ED1のMACアドレスを取得する構成としたが、特定ポート81に接続した電子機器から、通信相手のMACアドレスを把握するためのARP要求を受信する場合には、当該ARP要求に基づいて、接続機器のMACアドレスを取得してもよい。こうしても簡単にMACアドレスを取得することができる。
【0059】
B−2.変形例2:
ホームネットワーク20のネットワーク構成は、上述の例に限らず、イーサネットコンバータ30が無線通信可能に用いられたネットワークであればよい。例えば、アクセスポイントAPが複数の無線子機の通信パケットを中継可能に構成されていてもよいし、電子機器ED3がイーサネットコンバータ30と接続され、アクセスポイントAPが当該イーサネットコンバータと無線通信可能に構成されてもよい。あるいは、電子機器ED3には、アクセスポイントAPに代えて、イーサネットコンバータ30に接続され、当該イーサネットコンバータとイーサネットコンバータ30との間でアドホックモードによる無線通信を実現する構成としてもよい。
【0060】
B−3.変形例3:
上述の実施形態においては、特定ポート81からのGratuitous ARPの受信によって、特定ポート81に電子機器が接続されたことを検知する構成としたが、特定ポート81への電子機器の接続検知手法は、特に限定するものではない。例えば、DHCPディスカバリパケットの受信に基づいて検知してもよい。あるいは、特定ポート81へのケーブルの抜き差しを物理的に検知することで、電子機器の新規接続を検知してもよい。また、特定ポート81に電子機器が接続された際の当該電子機器のMACアドレスの取得方法も特に限定するものではなく、例えば、所定のアプリケーションなどによって取得してもよい。
【0061】
B−4.変形例4:
上述の実施形態においては、特定ポート81と非WOLポートとの区分は固定された構成としたが、これらの区分は、可変に構成されていてもよい。すなわち、有線LANインタフェース80が備える複数の有線ポートのうちのWOLをサポートする電子機器を接続すべき有線ポートをユーザインタフェースによって選択可能に構成してもよい。例えば、イーサネットコンバータ30の筐体の有線ポートの周辺にスイッチを設け、当該スイッチの操作によって、特定ポート81を選択可能に構成してもよい。かかるスイッチは、複数の有線ポートの数と同数だけ設けてもよいし、複数の有線ポートの各々に対応する位置に停止可能な1つのスイッチを設けてもよい。
【0062】
このように、特定ポート81を選択可能に構成する場合には、CPU40は、特定ポート81として選択された有線ポートを検出し、検出した有線ポートに接続された電子機器のMACアドレスを取得して、上記ステップS230で登録すればよい。かかる構成とすれば、ユーザは、有線LANインタフェース80の各々の有線ポートに電子機器を接続した後に特定ポート81を選択できるので、利便性が向上する。例えば、全ての有線ポートにWOL非対応の電子機器に接続して使用している環境において、接続済みの電子機器の1台を、WOLをサポートする電子機器に交換する場合などに、交換対象の電子機器のみを接続し直せば足りるので、利便性が向上する。
【0063】
B−5.変形例5:
上述の実施形態においては、イーサネットコンバータ30は、ブロードキャストアドレスを宛先IPアドレスとする通信パケットをアクセスポイントAPから受信した場合に、有線LANインタフェース80に接続された電子機器に転送する構成としたが、特定ポート81に電子機器が接続されていない場合には、受信した当該通信パケットを破棄する構成としてもよい。こうすれば、有線LANインタフェース80に接続された電子機器の処理負荷を軽減することができる。
【0064】
B−6.変形例6:
上述の実施形態においては、イーサネットコンバータ30を用いてWOLを実現する構成について示したが、イーサネットコンバータ30は、WOLに限らず、通信パケットのボディに含まれるMACアドレスの情報に基づいて、当該通信パケットを受信した当該MACアドレスを有する電子機器に所定の動作を指示可能に構成されたプロトコルを用いて遠隔操作を行う場合に広く適用可能である。当該プロトコルは、規格化されたものでなくてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態における本発明の構成要素のうち、独立クレームに記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略、または、組み合わせが可能である。また、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明は、通信装置としての構成のほか、通信方法、プログラム、当該プログラムを記録した記憶媒体等としても実現することができる。
【符号の説明】
【0066】
20…ホームネットワーク
30,30a…イーサネットコンバータ
40…CPU
41…中継部
42…取得部
50…ROM
60…RAM
70…コントローラ
80…有線LANインタフェース
81…特定ポート(有線ポート)
82…非WOLポート(有線ポート)
90…無線LANインタフェース
AP…アクセスポイント
ED1〜ED3…電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
無線子機として他の無線機器と通信可能な無線LANインタフェースと、
複数のポートを備えた有線LANインタフェースと、
前記複数のポートの各々に通信可能に接続された電子機器と前記他の無線機器との間の通信を、前記無線LANインタフェースおよび前記有線LANインタフェースを介して中継する中継部と、
前記複数のポートのうちの予め定められた1つの特定ポートに前記電子機器が接続された場合に、該電子機器のMACアドレスを取得する取得部と
を備え、
前記中継部は、前記取得したMACアドレスを前記通信装置のMACアドレスとして使用して、前記無線LANインタフェースを用いた通信を行う
通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信装置であって、
前記中継部は、前記MACアドレスを取得した際に、前記無線LANインタフェースを介して前記他の無線機器と接続関係を確立している場合には、該接続関係を解除し、前記取得したMACアドレスを用いて前記他の無線機器との接続関係を確立し直す
通信装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記有線インタフェースを介して受信したARP要求に基づいて、前記MACアドレスを取得する請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか記載の通信装置であって、
前記特定ポートは、通信パケットのボディに含まれるMACアドレスの情報に基づいて、該通信パケットを受信した該MACアドレスを有する電子機器に所定の動作を指示可能に構成されたプロトコルをサポートした機器への接続を予定するポートである
通信装置。
【請求項5】
前記プロトコルは、Wake−on−LANを実現するためのプロトコルである請求項4記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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