説明

通信解析装置および通信解析方法

【課題】SIP通信を行う通信端末の通信状態を、SIPサーバ装置の機能によらず、より的確に解析する通信解析装置を提供する。
【解決手段】SIPに基づく通信メッセージを中継し、中継した通信メッセージが通信ログとして記憶されるSIPサーバ装置から、判定要求に対応する通信ログを読み出し、読み出した通信ログと、予め記憶された判定条件とを比較して、一致する判定条件に対応付けられて予め記憶されている通信状態情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIPに基づいて通信を行う通信端末の通信状態を解析する通信解析装置および通信解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IPネットワーク上で、SIP(Session Initiation Protocol)に基づいた電話通信が行われている。図7は、従来技術によるSIP通信システムの概念を示す図である。一般的なSIP通信システムは、IP電話網601に接続され、IP電話網601を介して電話端末604(電話端末604−1、電話端末604−2、電話端末604−3)へ送信される通信メッセージを中継してSIP通信の呼制御を行うSIPサーバ装置602(SIPサーバ装置602−1、SIPサーバ装置602−2、SIPサーバ装置602−3)や、電話端末604に入出力される情報の送受信やプロトコル変換を行うターミナルアダプタ(TA)603(ターミナルアダプタ603−1、ターミナルアダプタ603−2、ターミナルアダプタ603−3)などにより構成される。
【0003】
SIPサーバ装置602は、電話端末604の状態管理を行う。例えば、SIPサーバ装置602−1は、自身が管理する電話端末604−1が電話端末604−2を宛先とする通信要求を行う際、SIPサーバ装置602−2とSIPによる通信メッセージの送受信を行い、通信を確立する。SIPサーバ装置602−1がSIPサーバ装置602−2との通信を確立すると、電話端末604−1と電話端末604−2とは、IP電話網601を介した通話を開始する。ここで、SIPサーバ装置602−1は、電話端末604−1が電話端末604−2と通話している間に、電話端末604−3から電話端末604−1への通信要求に基づいてSIPサーバ装置602−3から送信される通信メッセージを受信した際には、SIPサーバ装置602−3に対して、電話端末604−1は通話中であることを示すBT(Busy Tone)を送信する。
特許文献1には、従来の固定電話サービスで提供される113番(電話故障調べ)や114番(話中調べ)等と同様のサービスを、SIP通信で行う方法が提案されている。ここでは、電話端末への通信要求に対してBTが応答された場合、その電話端末の通信状態を管理するSIPサーバ装置に、電話端末の通信状態の問い合わせを行う。
【特許文献1】特開2006−165919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようにSIPサーバ装置によって管理される電話端末の情報は、実際の電話端末の通信状態とは必ずしも一致しない場合があり、また電話端末の通信状態を詳細に区別することはできない。例えば、電話端末604−1は通話を行っていないが、受話器が外れたままになっている場合、SIPサーバ装置602−1はその状態を知ることはできず、その間にSIPサーバ装置602−1に対して電話端末604−1の通信状態を問い合わせても、電話端末604−1が空き状態であることを示す情報が応答され、電話端末604−1の状態に応じた適切な応答がされているとはいえない。また、例えば、ターミナルアダプタ603−1が回線から外れていて電話端末604−1への通信が行えないような場合も、同様に、SIPサーバ装置602−1はその状態に応じた通信状態情報を提供することはできない。
【0005】
このように、従来の技術では、SIP通信において、通信端末に通信要求を行ってBTが応答された場合、SIPサーバ装置に問い合わせることによっては、通信要求先の電話端末が通話中である場合、通信要求先の電話端末の受話器が外れている場合、通信要求先のSIPサーバ装置と電話端末との間の回線に故障があると考えられる場合、などの通信状態の切り分けを行うことはできない。ここで、通信先の電話端末の通信状態は、より詳細な情報を取得できることが望ましい。また、SIPサーバ装置に、そのSIPサーバ装置が送受信した通信メッセージのログが記憶される場合、オペレータがこのログを解析することによって電話端末の通信状態を特定する方法も考えられるが、このような解析には時間がかかり面倒である上、オペレータのスキルレベルによって異なる通信状態と判定されることが考えられるなど、判定結果の信用性は安定しないものとなる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、SIP通信を行う通信端末の通信状態を、SIPサーバ装置の機能によらず、より的確に解析する通信解析装置および通信解析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、SIPに基づく通信を行う通信端末により送受信され、送出元を識別する識別情報が含まれる通信メッセージを中継し、自身が送受信した通信メッセージと通信メッセージを送受信した時間とを対応付けた通信ログが記憶されるSIPサーバ装置と通信可能な通信解析装置であって、SIPサーバ装置が送受信する通信メッセージのうち、通信端末の通信状態を特定する通信メッセージにより示される判定条件と、判定条件に特定される通信端末の通信状態を示す通信状態情報とが対応付けられて予め記憶されている判定条件記憶部と、特定の時間を示す情報と、通信端末を識別する識別情報との判定要求の入力を受付ける判定要求受付け部と、判定要求受付け部が受付けた判定要求に含まれる時間を示す情報と識別情報とに対応する通信ログのうち、通信端末を宛先とする通信要求への応答の通信メッセージを含む通信ログを、SIPサーバ装置から読み出す通信ログ読み出し部と、通信ログ読み出し部が読み出した通信ログに含まれる通信メッセージと、判定条件記憶部に予め記憶されている判定条件とを比較して、通信ログに含まれる通信メッセージに一致する判定条件を検出した場合、検出した判定条件に対応付けられて判定条件記憶部に予め記憶されている通信端末の通信状態情報を出力する判定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、判定条件記憶部には、通信端末を送出元とする回線塞がりを示す通信メッセージにより示される判定条件と、通信端末が備える受話器が外れていることを示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、判定条件記憶部には、SIPサーバ装置を送出元とするタイムアウトを示す通信メッセージにより示される判定条件と、SIPサーバ装置と通信端末とが繋がっていない状態であるか、またはSIPサーバ装置と通信端末との間の回線が故障している状態であるかのいずれか、または双方の状態を示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、判定条件記憶部には、SIPサーバ装置を送出元とする回線塞がりを示す通信メッセージにより示される判定条件と、通信端末は通話中であることを示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、判定条件記憶部には、SIPサーバ装置を送出元とするサーバ故障を示す通信メッセージにより示される判定条件と、SIPサーバ装置が故障している状態であるか、または輻輳により通信端末と通話ができない状態であるかのいずれか、または双方の状態を示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、SIPに基づく通信を行う通信端末により送受信され、送出元を識別する識別情報が含まれる通信メッセージを中継し、自身が送受信した通信メッセージと通信メッセージを送受信した時間とを対応付けた通信ログが記憶されるSIPサーバ装置と通信可能であり、SIPサーバ装置が送受信する通信メッセージのうち、通信端末の通信状態を特定する通信メッセージにより示される判定条件と、判定条件に特定される通信端末の通信状態を示す通信状態情報とが対応付けられて予め記憶されている判定条件記憶部を備えた通信解析装置を用いた通信解析方法であって、判定要求受付け部が、特定の時間を示す情報と、通信端末を識別する識別情報との判定要求の入力を受付けるステップと、通信ログ読み出し部が、判定要求受付け部が受付けた判定要求に含まれる時間を示す情報と識別情報とに対応する通信ログのうち、通信端末を宛先とする通信要求への応答の通信メッセージを含む通信ログを、SIPサーバ装置から読み出すステップと、判定部が、通信ログ読み出し部が読み出した通信ログに含まれる通信メッセージと、判定条件記憶部に予め記憶されている判定条件とを比較して、通信ログに含まれる通信メッセージに一致する判定条件を検出した場合、検出した判定条件に対応付けられて判定条件記憶部に予め記憶されている通信端末の通信状態情報を出力するステップと、を備えることを特徴とする通信解析方法である。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、SIPに基づく通信メッセージを中継し、中継した通信メッセージが通信ログとして記憶されるSIPサーバ装置から、判定要求に対応する通信ログを読み出し、読み出した通信ログと、予め記憶された判定条件とを比較して、一致する判定条件に対応付けられて予め記憶されている通信状態情報を出力するようにしたので、SIP通信を行う通信端末の通信状態を判定することが可能となる。
【0014】
また、本発明によれば、通信要求先の通信端末を送出元とする回線塞がりを示す通信メッセージにより示される判定条件と、通信端末が備える受話器が外れていることを示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されているようにしたので、通信要求先の通信端末から回線塞がりを示す通信メッセージが送出されていた場合に、通信端末が備える受話器が外れていると判定することが可能となる。
【0015】
また、本発明によれば、SIPサーバ装置を送出元とするタイムアウトを示す通信メッセージにより示される判定条件と、SIPサーバ装置と通信端末とが繋がっていない状態であるか、またはSIPサーバ装置と通信端末との間の回線が故障している状態であるかのいずれかまたは双方の状態を示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されているようにしたので、SIPサーバ装置を送出元とするタイムアウトを示す通信メッセージが送出されていた場合に、SIPサーバ装置と通信端末とが繋がっていない状態であるか、またはSIPサーバ装置と通信端末との間の回線が故障している状態であると判定することが可能となる。
【0016】
また、本発明によれば、SIPサーバ装置を送出元とする回線塞がりを示す通信メッセージにより示される判定条件と、通信端末は通話中であることを示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されているようにしたので、SIPサーバ装置を送出元とする回線塞がりを示すメッセージが送出されていた場合に、通信端末は通話中であると判定することが可能となる。
【0017】
また、本発明によれば、SIPサーバ装置を送出元とするサーバ故障を示す通信メッセージにより示される判定条件と、SIPサーバ装置が故障している状態であるか、輻輳により通信端末と通話ができない状態であるかのいずれかまたは双方の状態を示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されているようにしたので、SIPサーバ装置を送出元とするサーバ故障を示す通信メッセージが送出されていた場合に、SIPサーバ装置が故障している状態であるか、輻輳により通信端末と通話ができない状態であると判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による通信システムの構成を示すブロック図である。
本実施形態による通信システムは、通信解析装置100と、通信端末200−1と、SIPサーバ装置300と、通信端末200−2とを備えている。
【0019】
SIPサーバ装置300は、通信端末のSIP通信を制御し、接続された配下の通信端末の通信状態を管理するコンピュータ装置である。図1では、SIPサーバ装置300は、1台の電話端末500の通信状態を管理する例を説明するが、複数台の電話端末500を管理対象として良い。SIPサーバ装置300は、管理対象の電話端末500を宛先とするSIPによる通信メッセージ(例えば、INVITE)を受信し、通信メッセージ(例えば、180 Ringing)を応答して送信し、通信元とSIPによる通信メッセージの送受信を行う。ここで、SIPサーバ装置300は、自身が送受信する通信メッセージのそれぞれに、その通信メッセージを送受信した時間を示す情報とを対応付けて、通信ログとして自身の記領領域に記憶させる。
【0020】
通信端末200−2は、ターミナルアダプタ400と電話端末500とにより構成され、SIPサーバ装置300のSIP通信制御に基づいて通信を行う。
ターミナルアダプタ(以下、TAともいう)400は、電話端末500に送受信される音声情報の送受信や、プロトコル変換を行う。なお、本実施形態においては、ターミナルアダプタ400によって、電話端末500のSIP通信が制御される例を説明するが、ルータ(VoIPルータ)によって電話端末500のSIP通信の制御が行われる構成としても良い。
電話端末500は、ターミナルアダプタ400とSIPサーバ装置300とを介してIP電話網に接続され、IP電話網に接続された通信端末と電話通信を行う端末である。
【0021】
通信端末200−1は、通信解析装置100に対して、特定の通信端末の通信状態の判定要求を送信する。本実施形態では、通信端末200−1は、電話端末500を宛先とする通信要求を行った際、SIPサーバ装置300からの応答としてBTを受信した電話端末であり、通信解析装置100に対して電話端末500を対象とする通信状態の判定要求を行う。また、通信端末200−1は、ユーザから入力される情報に従って、判定要求対象の電話端末500の識別情報(例えば、電話番号)と、BTを受信した時間との情報を含む判定要求を、通信解析装置100に送信する。
【0022】
通信解析装置100は、通信端末200−1から送信される判定要求を受信し、その判定対象の通信端末を管理するSIPサーバ装置から通信ログを読み出し、読み出した通信ログに基づいた通信端末の通信状態を判定する判定処理を行うコンピュータ装置である。通信解析装置100は、判定要求受付け部110と、判定部120と、判定条件記憶部130と、通信ログ読み出し部140とを備えている。
【0023】
判定要求受付け部110は、通信端末200−1から送信される判定要求を受信する。
通信ログ読み出し部140は、判定要求受付け部110が受信した判定要求に対応する通信ログを、SIPサーバ装置300から読み出す。例えば、通信ログ読み出し部140は、SIPサーバ装置300に記憶された通信ログから、判定要求に含まれる時間と一致する時間、または最も近い時間に対応付けられ、かつ、通信要求先の識別情報が判定要求に含まれる識別情報と一致する通信ログを検出し、その通信要求に対応するレスポンスコードが含まれる通信メッセージの通信ログを検出する。
【0024】
判定条件記憶部130には、予め定められたレスポンスコードとそのコード送出元とによって示される判定条件に対応付けて、その判定条件によって示される判定対象の通信端末の通信状態を示す通信状態情報が予め記憶される。図2は、判定条件記憶部130が記憶するデータ例を示す図である。図2の(a)の行には、回線塞がりを示すレスポンスコード(486)とそのコード送出元がSIPサーバ装置であることによって示される判定条件情報に対応付けられて、「通話中」の通信状態情報が示されている。図3の(a)は、図2の(a)の通信状態を示す概念図である。通信端末200−1と電話端末500とが通話中である場合、SIPサーバ装置300は、電話端末500を宛先とする通信要求を受信すると、自身の記憶領域に記憶して管理する電話端末500の通信状態に基づいて、電話端末500は通話中であると判定し、回線塞がりを示すレスポンスコード(486)を含む応答メッセージを、通信要求元に送信する。
【0025】
図2の(b)の行には、サーバ故障を示すレスポンスコード(5XX(XXはRFC3261に定められた数字))とそのコード送出元がSIPサーバ装置であることによって示される判定条件情報に対応付けられて、「SIPサーバ装置の故障、輻輳等による通話不可」の通信状態情報が示されている。図3の(b)は、図2の(b)の通信状態を示す概念図である。SIPサーバ装置300が故障している場合、またはネットワークが輻輳している場合、SIPサーバ装置300は、電話端末500を宛先とする通信要求を受信すると、サーバ故障を示すレスポンスコードを含む応答メッセージを、通信要求元に送信する。
【0026】
図2の(c)の行には、回線塞がりを示すレスポンスコード(486)とそのコード送出元がTAであることによって示される判定条件情報に対応付けられて、「電話端末の受話器外し」の通信状態情報が示されている。図3の(c)は、図2の(c)の通信状態を示す概念図である。SIPサーバ装置300は、電話端末500が他の通信端末と通話していなければ、電話端末500は空き状態であるとして状態管理するため、電話端末500の受話器が外れていて通話ができない場合でも、電話端末500を宛先とする通信要求を受信すると、通信要求をターミナルアダプタ400に転送する。ターミナルアダプタ400は、電話端末500に対して通信要求を行うが、電話端末500の受話器が外れているため、電話端末500との通話を行うことができないと判定し、回線塞がりを示すレスポンスコード(486)を含む応答メッセージを、通信要求元に送信する。
【0027】
図2の(d)の行には、タイムアウトを示すレスポンスコード(406)とそのコード送出元がSIPサーバ装置であることによって示される判定条件情報に対応付けられて、「TAが外れている、又は回線故障」の通信状態情報が示されている。図3の(d)は、図2の(d)の通信状態を示す概念図である。SIPサーバ装置300は、電話端末500が他の通信端末と通話していなければ、電話端末500を宛先とする通信要求を受信すると、通信要求をターミナルアダプタ400に転送する。ここで、ターミナルアダプタ400が回線から外れているか、または、SIPサーバ装置300とターミナルアダプタ400との間の回線に故障があり、SIPサーバ装置300とターミナルアダプタ400とが通信を行えない場合には、SIPサーバ装置300は、ターミナルアダプタ400からの応答を得ることができない。SIPサーバ装置300は、定められた時間内にターミナルアダプタ400からの応答が得られなければ、タイムアウトと判定し、タイムアウトを示すレスポンスコード(406)を、通信要求元に送信する。
【0028】
判定部120は、通信ログ読み出し部140がSIPサーバ装置300から読み出した通信ログと、判定条件記憶部130に記憶された判定条件情報とを比較して、通信ログに含まれるレスポンスコードおよび送出元に一致する判定条件を検出する。判定部120は検出した判定条件情報に対応する通信状態情報を、判定対象の通信端末の通信状態情報と判定する。
【0029】
次に、図4を参照して、本実施形態による通信解析装置100が、電話端末500の通信状態の判定を行う動作例を説明する。
ここで、通信端末200−1は、SIPサーバ装置300を介して電話端末500に通信要求を行っており、SIPサーバ装置300からBTの応答を受け、その通信ログが、SIPサーバ装置300に記憶されているとする。
【0030】
通信端末200−1は、ユーザから入力される情報に従って、電話端末500の電話番号と、SIPサーバ装置300からBTを受信した時間とを含む判定要求を、通信解析装置100に送信する。通信解析装置100の判定要求受付け部110は、通信端末200−1から送信される判定要求を受信する(ステップS1)。
【0031】
通信ログ読み出し部140は、判定要求受付け部110が受信した判定要求に対応する通信ログを、SIPサーバ装置300から読み出す(ステップS2)。判定部120は、通信ログ読み出し部140がSIPサーバ装置300から読み出した通信ログと一致する判定条件を、判定条件記憶部130に記憶された判定条件から検出する。例えば、判定部120は、まず、通信ログのレスポンスコードがサーバ故障(5XX)であるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、通信ログのレスポンスコードがサーバ故障(5XX)であれば、判定部120は、電話端末500の通信状態をサーバ故障と判定する(ステップS4)。
【0032】
一方、ステップS3で、通信ログのレスポンスコードがサーバ故障(5XX)でないと判定すれば、判定部120は、通信ログのレスポンスコードがタイムアウト(406)であるか否かを判定する(ステップS5)。通信ログのレスポンスコードがタイムアウト(406)であれば、判定部120は、電話端末500の通信状態をTA外れ又は回線(網)故障と判定する(ステップS6)。
【0033】
一方、ステップS5で、通信ログのレスポンスコードがタイムアウト(406)でないと判定すれば、判定部120は、通信ログのレスポンスコードが回線塞がり(486)であるか否か、またそのコード送出元がSIPサーバ装置であるかターミナルアダプタであるかを判定する(ステップS7)。回線塞がりのコード送出元がSIPサーバ装置であれば、判定部120は、電話端末500の通信状態を通話中と判定する(ステップS9)。一方、回線塞がりのコード送出元がターミナルアダプタであれば、判定部120は、電話端末500の通信状態を受話器外れと判定する(ステップS8)。
【0034】
このように、本実施形態によれば、SIP通信において、通信要求に対する応答としてBTを受信した場合に、通信解析装置100に判定要求を行うことで、その通信要求先の通信端末の通信状態を、より的確に、詳細に判定することが可能となる。
なお、図4のステップS3で、サーバ故障と判定された場合には、判定要求元に、「サーバが故障しています」などの音声ガイダンスを出力して流すようにしても良い。また、図4のステップS5で、TA外れまたは回線故障と判定された場合には、判定要求元に、「ターミナルアダプタが外れているか、回線が故障しています」などの音声ガイダンスを出力して流すようにしても良い。また、図4のステップS7で、受話器外れと判定された場合には、判定要求元に、「(判定要求対象の識別情報)は、端末に通話可能な回線が空いていないか、受話器外れであったことをお知らせします」などの音声ガイダンスを出力して流すようにしても良い。また、図4のステップS7で、通話中と判定された場合には、判定要求元に、「(判定要求対象の識別情報)は、通話中であったことをお知らせします」などの音声ガイダンスを出力して流すようにしても良い。
【0035】
また、本実施形態は、1チャネル、1電話番号の場合の通信ネットワークにおける動作例を示したが、複数チャネル、複数電話番号などの契約状態の場合にも、本実施形態と同様に、通信要求に対してBTが応答された場合の通信先の通信状態を判定することが可能である。図5の(a)は、1チャネル、1電話番号の端末状態を示す図である。ここでは、1つのターミナルアダプタに、1つの電話番号をもつ1台の電話端末が接続されている。図5の(b)は、複数チャネル、1電話番号の端末状態を示す図である。ここでは、1つのターミナルアダプタに、同一の電話番号をもつ複数台の電話端末が接続されている。図5の(c)は、複数チャネル、複数電話番号の端末状態を示す図である。ここでは、1つのターミナルアダプタにそれぞれ異なる電話番号をもつ複数台の電話端末が接続されている。
【0036】
図6は、レスポンスコードとそのコード送出元と、チャネル・電話番号の契約状態とによって示される判定条件と、その判定条件に対応する通信状態情報を示す図である。
図6の(a)の行には、回線塞がりを示すレスポンスコード(486)とそのコード送出元がSIPサーバ装置である場合の、契約状態毎の通信状態情報が示されている。この場合、1チャネル1番号であれば、「通話中」の通信状態を、複数チャネル1番号であれば、「全チャネルとも通話中」の通信状態を、複数チャネル複数番号であれば、「該当番号に括り付けられている全てのチャネルが通話中」の通信状態を示している。
【0037】
図6の(b)の行には、サーバ故障を示すレスポンスコード(5XX)とそのコード送出元がSIPサーバ装置である場合の、契約状態毎の通信状態情報が示されている。この場合、1チャネル1番号、複数チャネル1番号、複数チャネル複数番号のいずれの契約状態であっても、「SIPサーバ装置の故障、輻輳等による通話不可」の通信状態であると判定できる。
【0038】
図6の(c)の行には、回線塞がりを示すレスポンスコード(486)とそのコード送出元がTAである場合の、契約状態毎の通信状態情報が示されている。この場合、1チャネル1番号であれば、「電話機の受話器外し」の通信状態を、複数チャネル1番号、または複数チャネル複数番号であれば、「電話機の受話器外し又はTAのポート不足」の通信状態を示している。
【0039】
図6の(d)の行には、タイムアウトを示すレスポンスコード(406)とそのコード送出元がSIPサーバ装置である場合の、契約状態毎の通信状態情報が示されている。この場合、1チャネル1番号、複数チャネル1番号、複数チャネル複数番号のいずれの契約状態であっても、「TAが外れている、又は回線故障」の通信状態情報を示している。
このように、通信解析装置100の判定条件記憶部130には、図6に示される判定条件と通信状態情報との対応を予め記憶させるようにして、判定要求に契約状態を付与することで、1チャネル1番号、複数チャネル1番号、複数チャネル複数番号の契約条件に応じた通信状態の判定を行うようにしても良い。
【0040】
また、本実施形態では、通信端末200−1は、電話端末500に通信要求を行ってBTの応答を受けた電話端末であることとしたが、通信端末200−1は、オペレータに操作され、表示部などを備えたコンピュータ端末であっても良い。この場合、判定要求に対する通信状態情報の出力は、判定条件記憶部130に記憶されている通信状態情報を、文字列として通信端末200−1の表示部に表示させ出力するようにしても良い。また、この場合、電話端末500に通信要求を行ってBTの応答を受けた電話端末は、オペレータに問い合わせを行うことによって、通信要求先の通信状態を知ることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、SIPサーバ装置300に記憶された通信ログを、通信解析装置100の通信メッセージ受信部140が読み出す構成としたが、例えば、SIPサーバ装置300とは別の通信ログ取得サーバ装置を設置して、通信ログ取得サーバ装置が、SIPサーバ装置300が送受信する通信メッセージを取得して記憶しておくこととし、通信解析装置100の通信メッセージ受信部140は、この通信ログ取得サーバ装置から通信ログを読み出すようにしても良い。このようにすれば、通信状態を判定する際に、通信ログ取得サーバ装置から通信ログを取得することでSIPサーバ装置300と通信を行う必要がなくなり、SIPサーバ装置300に通信負荷をかけずに、通信状態の判定を行うことが可能となる。
【0042】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより通信状態の判定を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0043】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態による通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による判定条件記憶部に記憶されるデータ例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による端末の通信状態の概念を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による通信システムの動作例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による契約状態毎の端末構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による判定条件記憶部に記憶されるデータ例を示す図である。
【図7】SIPに基づく通信を行う端末構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
100 通信解析装置
110 判定要求受付け部
120 判定部
130 判定条件記憶部
140 通信ログ読み出し部
200 通信端末
300 SIPサーバ装置
400 ターミナルアダプタ
500 電話端末
601 IP電話網
602 SIPサーバ装置
603 ターミナルアダプタ
604 電話端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIPに基づく通信を行う通信端末により送受信され、送出元を識別する識別情報が含まれる通信メッセージを中継し、自身が送受信した通信メッセージと当該通信メッセージを送受信した時間とを対応付けた通信ログが記憶されるSIPサーバ装置と通信可能な通信解析装置であって、
前記SIPサーバ装置が送受信する前記通信メッセージのうち、前記通信端末の通信状態を特定する通信メッセージにより示される判定条件と、当該判定条件に特定される前記通信端末の通信状態を示す通信状態情報とが対応付けられて予め記憶されている判定条件記憶部と、
特定の時間を示す情報と、前記通信端末を識別する識別情報との判定要求の入力を受付ける判定要求受付け部と、
前記判定要求受付け部が受付けた前記判定要求に含まれる時間を示す情報と前記識別情報とに対応する前記通信ログのうち、前記通信端末を宛先とする通信要求への応答の通信メッセージを含む前記通信ログを、前記SIPサーバ装置から読み出す通信ログ読み出し部と、
前記通信ログ読み出し部が読み出した前記通信ログに含まれる通信メッセージと、前記判定条件記憶部に予め記憶されている前記判定条件とを比較して、前記通信ログに含まれる通信メッセージに一致する前記判定条件を検出した場合、検出した前記判定条件に対応付けられて前記判定条件記憶部に予め記憶されている前記通信端末の通信状態情報を出力する判定部と、
を備えることを特徴とする通信解析装置。
【請求項2】
前記判定条件記憶部には、前記通信端末を送出元とする回線塞がりを示す通信メッセージにより示される判定条件と、前記通信端末が備える受話器が外れていることを示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されている
ことを特徴とする請求項1に記載の通信解析装置。
【請求項3】
前記判定条件記憶部には、前記SIPサーバ装置を送出元とするタイムアウトを示す通信メッセージにより示される判定条件と、前記SIPサーバ装置と前記通信端末とが繋がっていない状態であるか、または前記SIPサーバ装置と前記通信端末との間の回線が故障している状態であるかのいずれか、または双方の状態を示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の通信解析装置。
【請求項4】
前記判定条件記憶部には、前記SIPサーバ装置を送出元とする回線塞がりを示す通信メッセージにより示される判定条件と、前記通信端末は通話中であることを示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の通信解析装置。
【請求項5】
前記判定条件記憶部には、前記SIPサーバ装置を送出元とするサーバ故障を示す通信メッセージにより示される判定条件と、前記SIPサーバ装置が故障している状態であるか、または輻輳により前記通信端末と通話ができない状態であるかのいずれか、または双方の状態を示す通信状態情報とが対応付けられて記憶されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の通信解析装置。
【請求項6】
SIPに基づく通信を行う通信端末により送受信され、送出元を識別する識別情報が含まれる通信メッセージを中継し、自身が送受信した通信メッセージと当該通信メッセージを送受信した時間とを対応付けた通信ログが記憶されるSIPサーバ装置と通信可能であり、前記SIPサーバ装置が送受信する前記通信メッセージのうち、前記通信端末の通信状態を特定する通信メッセージにより示される判定条件と、当該判定条件に特定される前記通信端末の通信状態を示す通信状態情報とが対応付けられて予め記憶されている判定条件記憶部を備えた通信解析装置を用いた通信解析方法であって、
判定要求受付け部が、特定の時間を示す情報と、前記通信端末を識別する識別情報との判定要求の入力を受付けるステップと、
通信ログ読み出し部が、前記判定要求受付け部が受付けた前記判定要求に含まれる時間を示す情報と前記識別情報とに対応する前記通信ログのうち、前記通信端末を宛先とする通信要求への応答の通信メッセージを含む前記通信ログを、前記SIPサーバ装置から読み出すステップと、
判定部が、前記通信ログ読み出し部が読み出した前記通信ログに含まれる通信メッセージと、前記判定条件記憶部に予め記憶されている前記判定条件とを比較して、前記通信ログに含まれる通信メッセージに一致する前記判定条件を検出した場合、検出した前記判定条件に対応付けられて前記判定条件記憶部に予め記憶されている前記通信端末の通信状態情報を出力するステップと、
を備えることを特徴とする通信解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−246686(P2009−246686A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90869(P2008−90869)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】