説明

通帳類印刷装置

【課題】 動作不良となったブロックのみの動作を停止することにより、障害復帰処理作業を容易にするととともに、通帳類作成の歩留まりも向上できるようにする。
【解決手段】 通帳類を取り込む第1のブロック81と、この第1のブロック81によって取り込まれた通帳類Tに情報を印刷する第2のブロック82と、この第2のブロック82で情報が印刷された通帳類Tを排出する第4のブロック84と、前記第1、第2、第4の各ブロック81,82,84の動作状態を判別するジャムセンサと、前記第1、第2、第4の各ブロック81,82,84の動作を独立的に制御し、ジャムセンサによって動作状態が不良と判別されたブロックのみの動作を停止させるように制御する主制御部91とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金融機関やIDカードとして用いられる通帳類の印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通帳等の媒体に単色または複数色の印刷を行う印刷装置のひとつに中間転写フィルムを用いる中間転写方式の印刷装置が知られている。
【0003】
この印刷装置の構成は、印刷部のユニットと転写部のユニットと、両ユニットをまたがるように配置された中間転写フィルムを搬送する中間転写フィルム搬送部とを備えている。印刷部はサーマルヘッド及びインクリボンを有している。転写部はヒートローラ及びバックアップローラを有している。中間転写フィルム搬送部はフィルム搬送ローラ及びこのフィルム搬送ローラに中間転写フィルムを固定するためのクランパさらに、クランパ開閉手段を有している。
【0004】
情報を印刷転写する場合には、まず、中間転写フィルムを印刷部に搬送する。そして、この印刷部にてサーマルヘッドを所定情報に応じて発熱させてインクリボンのインクを溶融しながら中間転写フィルムを搬送する。これにより、中間転写フィルムの表面に文字や画像等の印刷情報が印刷される。情報が印刷された中間転写フィルムは転写部のヒートローラとバックアップローラとの間に搬送される。このときには、通帳類がヒートローラとバックアップローラとの間に送り込まれて中間転写フィルムに対向される。
【0005】
この状態からヒートローラが回転されて中間転写フィルム及び通帳類がバックアップローラに押し付けられるとともに加熱されることにより印刷情報が通帳類の表面に転写される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
中間転写フィルムは長尺の基材フィルムと、この基材フィルム上の塗布された転写層とにより構成され、転写部においては転写層上に印刷された印刷情報とともに転写層が被転写媒体に転写される。
【0007】
ところで、従来、通帳類の印刷工程と、ページ捲りなどの印刷前工程、通帳類の折畳みや集積などの印刷後工程において、通帳類印刷装置内に複数の通帳類を取り込み、並行して工程を進めることで通帳作成の効率を向上させることが行われている。
【0008】
このため、装置内には複数の通帳類が存在することになり、個々の通帳類の状態管理が不可欠となっている。
【特許文献1】特開2003−02293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来においては、上記した印刷工程、印刷前工程、或いは印刷後工程において、通帳ジャム等の障害が発生した場合、装置全体の工程を停止して障害対象となった通帳の抜き取りを行っていたため、装置内の各工程が並行して動作している関係上、全ての工程を停止させるタイミングを図ることが困難なものとなっていた。
【0010】
また、障害が発生した時点で全ての工程を強制的に停止させた場合、復帰時のためにどのような状態で通帳が停止させられたかを管理する必要があり、障害復帰時の処理動作も非常に煩雑となる。
【0011】
さらに、装置内の通帳類全てを抜き取ることは、操作員の負担になるばかりではなく、工程中の通帳が廃棄になるため、通帳作成の歩留まりも低下してしまう。
【0012】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、通帳類の取出、印刷及び排出の各ブロックの何れかが動作不良となった場合には、そのブロックのみ動作を停止することにより、障害復帰処理作業を容易にするととともに、通帳類作成の歩留まりも向上できるようにした通帳類印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、通帳類を取り込む取込ブロックと、この取込ブロックによって取り込まれた通帳類に情報を印刷する印刷ブロックと、この印刷ブロックで情報が印刷された通帳類を排出する排出ブロックと、前記取込、印刷、及び排出の各ブロックの動作状態を判別する判別手段と、前記取込、印刷、及び排出の各ブロックの動作を独立的に制御し、前記判別手段によって動作状態が不良と判別されたブロックのみの動作を停止させるように制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置の障害復帰処理作業が容易になるとともに、通帳類作成の歩留まりも向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態である通帳類印刷装置1を示す全体構成図である。
【0016】
この通帳類印刷装置1は通帳類取込部4を備え、この通帳類取込部4には通帳類Tが閉じた状態で複数冊積層状態でセットされている。このセットされた通帳類Tは、一冊づつ取り込まれて搬送ローラ対2によって搬送路3に沿って搬送される。搬送路3中には通帳類Tの搬送方向に沿って第1のOCR読取部5、頁捲り部6、直接印刷部7、中間転写印刷部8、第2のOCR読取部9、及び通帳類折畳み部14、さらに、無線IC R/Wユニット10が配設されている。
【0017】
また、搬送路3の排出端側には通帳類Tの排出方向を第1の方向と第2の方向に切り換える排出ゲート11が設けられ、第1の方向には正常な通帳類Tを集積させる正常通帳集積部12、第2の方向には不良な通帳類を集積させる不良通帳集積部13が配設されている。
【0018】
上記した通帳類取込部4は、複数の通帳類Tを重ねたまま投入可能であり、制御部の指示に応じて最も下側の1冊のみが取出手段であるピッカ(図示しない)によって取り出され、第1のOCR読取部5の方向に取り込まれる。
【0019】
第1のOCR読取部5は、隣の頁捲り装置6で必要な頁が開かれた通帳類Tに初めから付与されている後述する通帳固有番号を、OCRで認識するものである。通帳固有番号は、後述するように一定のエリアに文字で表現されている。ここでは英数字が使われている。
【0020】
頁捲り装置6は、通帳類取込部4から取り込まれた通帳類Tの表紙を捲ったり、さらに内側の中紙をめくる機能を有する。めくった頁の認識は、通帳類Tに当初より印刷されているバーマークを、図示しないバーマークリーダで読み取ることで行う。
【0021】
直接印刷部7は、印刷する通帳類Tの印刷頁表面上に、インクリボン7b、サーマルヘッド7aの順に押し当てて、サーマルヘッド7aが選択的に発熱することで画像や文字を印刷する。この実施の形態では、中間転写印刷部8で印刷される情報に比べて、セキュリティ度合いが低い情報を直接印刷部7によって印刷する。
【0022】
なお、通帳類Tの全てが直接印刷部7で印刷されるわけではなく、また、直接印刷部7で印刷される頁は、中間転写印刷部8で印刷される頁とは異なる。このため、直接印刷部7での印刷が発生した場合は、まず印刷する頁を頁捲り装置6で捲り出して直接印刷を行った後に、再度頁捲り装置6に搬送して中間転写印刷を行う頁を捲り出す。直接印刷部7で印刷される情報がない場合は、通帳類Tは直接印刷部7を通過する。
【0023】
図2は、上記した中間転写印刷部8を示すものである。
【0024】
中間転写印刷部8は機能的に情報印刷部(以下、印刷部という)16と、オーバーコート転写部(以下、転写部という)17とを有して構成されている。
【0025】
印刷部16としては熱溶融転写印刷方式のものが採用されている。即ち、サーマルヘッド19とプラテンローラ20に挟まれるように溶融インクリボン22と中間転写フィルム21とを配置し、サーマルヘッド19により溶融インクリボン22のインクを中間転写フィルム21の表面に転写して情報等を印刷する。
【0026】
この熱溶融転写方式の特徴としては、画像耐久性が高いこと、インク材料に機能性材料を適用することが比較的容易なこと(例えば蛍光顔料、アルミ蒸着薄膜)などがあり、偽造防止を目的とする印刷物に適している。
【0027】
溶融インクリボン22のベースフィルム厚やインク層厚は、印刷ドット再現性に極めて重要なパラメータであり、インクリボン層厚としては3〜25μmであり、望ましくは4〜10μmである。
【0028】
一方、中間転写フィルム21の後述するベースフィルムの厚さや、受像兼接着層厚は、接着性や膜切れ特性に影響を与えるパラメータであり、中間転写フィルム21の層厚は、10〜100μmであり、望ましくは25〜50μmである。
【0029】
プラテンローラ20は硬質のゴム材料を表面に用いたローラで、ゴム硬度が上がるほどに微小ドットの再現性が向上するが、同時に最適なプラテンローラ20とサーマルヘッド19の位置関係を得ることが難しくなる。このため、硬度は75°以上、望ましくは85〜97°である。同時に研磨したゴム表面の表面粗さも、表面平滑性が上がるほどに微小ドットの再現性が向上する。このため、表面粗さは中心線平均粗さRaで1μm以下、望ましくは0.5μm程度であることが要求される。
【0030】
中間転写フィルム21を搬送する駆動力は、一般的にプラテンローラ20に駆動機構を設けることが多いが、上記の硬度と平滑性から中間転写フィルム21とプラテンローラ20の摩擦係数が上がらず、また安定しない。このため、プラテンローラ20の下流(ヒートローラ側)直近に別途フィルム駆動ローラ23を設ける。フィルム駆動ローラ23は硬度30〜60度のローラを用い、中間転写フィルム21はフィルム駆動ローラ23に対して出来るだけ巻付き角が大きいほうが良い。実施例では90°から130°の巻き付き角をえられるようにテンショナ24を配置する。
【0031】
テンショナ24には図示しないバネ機構が設けられ、限られた可動範囲内で中間転写フィルム21にテンションを与えて、フィルム駆動ローラ23と中間転写フィルム21が常に適切に接触する状態を作り出す。フィルム駆動ローラ23の駆動は5相ステッピングモータ、タイミングベルト、プーリによる減速機構の組み合わせにより、正確に搬送が行われる。また、サーマルヘッド19はニアエッジ、またはコーナエッジタイプのヘッドを用い、熱時剥離による印刷を行うことが望ましい。
【0032】
また、転写部17は通帳類搬送路3を介して対向配置されるヒートローラ35とバックアップローラ36を備えている。ヒートローラ35はDCサーボモータ若しくはステッピングモータにより正確に一定速度で駆動可能になっており、回転自在なバックアップローラ36との間にはコイルバネ37で発生された圧力が付与されるようになっている。
【0033】
図3(a)〜(c)は中間転写フィルム21の構成を示す断面図である。
【0034】
図3(a)に示す中間転写フィルム21は、基材としてのポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)のフィルム26の表面に、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0035】
また、図3(b)に示す中間転写フィルム21は、基材としてのPETフィルム26の表面に、剥離層としてのフェノキシ系樹脂27、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0036】
さらに、図3(c)に示す中間転写フィルム21は、基材としてのPETフィルム26の表面に、剥離層としてのフェノキシ系樹脂27、保護層30、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0037】
その他、中間転写フィルム21としては紫外線によって発光する蛍光発色層などの機能層を設け、転写対象への転写と同時にこれらの機能層も転写するものであってもよい。
【0038】
図4は上記した通帳類取込部4にセットされる通帳類Tを開いた状態で示すものである。
【0039】
この通帳類Tは表紙Taを有し、この表紙Taには綴じ目部Ttを介して複数枚の中紙Tnが綴じ込められている。中紙Tnには通帳類固有情報としての通帳類固有番号42が記録されているとともに、無線IC43が装備されている。
【0040】
次に、上記したように構成される通帳類印刷装置1の動作について説明する。
【0041】
まず、図1に示す通帳類取込部4から通帳類Tが1冊づつ取出されて頁捲り部6に搬送され、ここで、通帳類Tの表紙Taが後述するように捲られて所定のページが開いた状態となる。この後、第1のOCR読取部5で通帳類Tそれぞれに付与されている固有情報42が読み取られる。
【0042】
一方、印刷データに基づいてサーマルヘッド19が動作されてY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の三原色のインクに加えて黒インクの4色を重ね合せて所持人の顔画像が中間転写フィルム21の表面にカラー印刷される。これら複数色のインクの重ね合わせによる印刷は、中間転写フィルム21がサーマルヘッド19をインクの色数と同じ回数往復することで行われる。また、印刷される情報は、反転画像であるという特徴がある。なお、印刷色は上記4色のインクに加えて、蛍光顔料を含んだインクなど機能性インクを付与してもよい。
【0043】
この所持人の顔画像のカラー印刷後、通帳固有情報が付与されたセキュリティ情報が中間転写フィルム21の表面にサーマルヘッド19により印刷される。
【0044】
このようにカラー顔画像、及び通帳固有情報が付与されたセキュリティ情報が印刷された中間転写フィルム21は順方向(ヒートローラ35の方向)に巻き取られ、図5(a)に示すように経路途中の転写部マーク検知センサ39によって中間転写フィルム21の位置が把握される。この把握結果に基づいて転写開始位置まで中間転写フィルム21が送られる。
【0045】
また、このとき通帳類Tは、転写される頁が開かれた状態で図5(b)に示すように取り込まれて、ヒートローラ35に対して決められた位置に搬送される。転写される頁は、表紙見返し頁でも、他の中紙頁でもかまわない。
【0046】
このように互いに位置決めされた中間転写フィルム21と通帳類Tの該当ベージは、図5(c)に示すように円周の一部が切り欠かれた形状の金属製のヒートローラ35の回転と共に合わされ、搬送と同時に加圧されるとともに加熱される。その後、図6に示すように通帳類Tに対して60°〜110°の角度をもって転写フィルムベース26が引き上げられて、固有印刷情報と受像兼接着層29、ホログラム層28の転写が完了し、図7に示すように固有情報42aが転写されたものを含み、数字、文字、記号、バーコード等からなるセキュリティ情報46及び所持人のカラー顔画像44が転写される。転写が完了した通帳類Tは、図5(d)に示すように頁が開かれた状態のまま次の第2のOCR読取部9に搬送される。
【0047】
この第2のOCR読取部9で通帳固有情報42aとセキュリティ情報46が読み取られる。
【0048】
第2のOCR読取部9を通過した通帳類Tは折畳み部14に送られて折り畳まれたのち、無線IC R/W部10へ送られる。通帳類が不良の場合には無線IC R/Wユニット10により不良である旨のデータが通帳類Tの無線IC43に記録される。
【0049】
一方、第2のOCR読取部9で読み取ったデータの照合結果が正しかった場合には、印刷データに基づいて無線IC43への記録データが生成され、無線ICR/Wユニット10により通帳類固有情報が付与されたセキュリティ情報を通帳類Tの無線IC43に記録(書き込み)する。
【0050】
無線ICR/Wユニット10で、無線IC43に情報が記録された正常通帳類は排出ゲート11の動作により正常通帳集積部12へ排出され、不良通帳類は不良通帳類類集積部13へ排出されてそれぞれ集積される。
【0051】
ところで、上記したように構成される通帳類印刷装置は、図1及び図9に示すように通帳類Tを単一かつ独立して駆動可能な構成単位のブロックに分割されている。
【0052】
即ち、上記した通帳取込部4、OCR読取部5、ページめくり部6及び直接印刷部7によって第1ブロック81が構成されている。また、中間転写印刷部8によって第2ブロック82が構成されている。また、OCR読取部9によって第3ブロック83が構成されている。さらに、折りたたみ部14、無線1CR/W部10、排出ゲート9、正常通帳集積部12、不良通帳集積部13によって第4ブロック84が構成されている。
【0053】
第1乃至第4のブロック81〜84の動作は、それぞれ第1〜第4の制御部86〜89によって制御される。第1〜第4の制御部86〜89は主制御部91に接続され、主制御部91は第1乃至第4のブロック81〜84毎の制御部86〜89の全体を管理し、通帳作成の全工程を制御するようになっている。
【0054】
上記した第1乃至第4のブロック81〜84内には、通帳類は最大でも1冊までしか存在しえず、また、個々のブロック81〜84はブロック間の通帳類の受け渡しを除いてはブロック81〜84内の通帳類の搬送を他のブロックの状態に影響されることなく行うことができるようになっている。
【0055】
また、第1乃至第4のブロック81〜84には、それぞれ通帳類の搬送ジャムを検出する判別手段としてのジャムセンサ95が配設されている。
【0056】
ジャム等の障害が発生した場合においては、該当ブロックの制御部のみが障害停止となり、下流のブロックは、そのまま作成を継続することが可能となっている。
【0057】
また、上流のブロックは該当ブロックが停止したため待ち状態となるが、該当ブロックの障害が取り除かれ、復帰した時点で作成を継続することが可能となる。
【0058】
つぎに、第1乃至第4のブロック81〜84の何れかで動作不良が発生した場合の制御について図9を参照して説明する。
【0059】
例えば、第2のブロック82において通帳類の搬送ジャムが発生した場合には、ジャムセンサ95から第2の制御部87へジャム検知信号が送信される。この送信に基づき第2の制御部87は第2のブロック82の動作を中断させるとともに、主制御部91にジャム発生を通知する。
【0060】
このとき、第3のブロック83と第4のブロック84の動作は継続可能であり、個々の動作が終了した時点で主制御部91に動作が終了したことを通知する。
【0061】
一方、第2のブロック82の上流に位置する第1のブロック81はブロック内で閉じた工程は継続して行うことが出来るが、工程が終了し、第2のブロック82に通帳類の受け渡しを行う時点で第2のブロック82の通帳類受け取り待ちが生じるため、それを主制御部91に通知する。
【0062】
主制御部91では、第2のブロック82の下流側の第3及び第4のブロック83,84が動作を終了し、かつ上流側の第1のブロック81が通帳受け渡し待ちで停止状態になったのを確認した後、表示部92に搬送ジャム障害を表示してオペレータに通知する。
【0063】
この通知に基づいてオペレータは第2のブロック82でジャムした通帳類を取り除き、復帰の指示を例えばタッチパネル93等のインターフェイスにより主制御部91に通知する。
【0064】
第2のブロック82はジャムした通帳類が取り除かれたことにより、通帳類の受け取り待ちを解除し、第1のブロック81からの通帳類を受け取ることが可能となる。以降は、通常類の通帳作成動作が引き続き行われる。
【0065】
このように、通帳類の搬送ジャム障害などが生じた場合においても、搬送ジャム障害が生じたブロックの動作のみを停止させることにより、その下流側のブロックはそのまま通帳類の作成動作を継続でき、また、上流側のブロックは、停止されたブロックが復帰した時点で作成動作を継続することが可能となる。
【0066】
上記したように、装置を複数のブロック81〜84に分割し、これら複数のブロック81〜84毎に制御部86〜89を配設し、これら複数のブロック81〜84の動作を独立的に制御するため、通帳類の搬送ジャム障害などが生じた場合においては、搬送ジャム障害が生じたブロックの動作のみを停止させることができる。従って、搬送ジャム障害が生じたブロックの下流側のブロックはそのまま通帳類の作成動作を継続でき、また、上流側のブロックは、停止されたブロックが復帰した時点で作成動作を継続することが可能となる。よって、障害復帰時の処理動作が容易になり、操作員の負担を軽減でき、また、工程中の通帳類の廃棄が少なくなり、通帳類作成の歩留まりも向上できる。
【0067】
なお、上記一実施の形態では、便宜上4つのブロックに分割してそれぞれに制御部を設けたが、通帳類を単一、かつ、独立して駆動可能な構成単位に分割することが前提であるため、ブロック数は4つに限らないし、ブロック内の構成も上記した構成に限らない。
【0068】
その他、本発明は、その要旨の範囲内で種々変形実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施の形態である通帳類印刷装置を概略的に示す構成図。
【図2】同通帳類印刷装置に備えられる転写印刷部を示す構成図。
【図3】同転写印刷部で用いられる転写フィルムを示すもので、(a)はその第1の例、(b)はその第2の例、(c)はその第3の例を示す構成図。
【図4】同通帳類印刷装置で印刷される通帳類を開いた状態で示す平面図。
【図5】同転写印刷部の転写動作を示す図。
【図6】同転写印刷部の転写動作の一部を拡大して示す図。
【図7】同転写印刷部で印刷された通帳類を示す平面図。
【図8】同印刷装置を構成する各ブロックの駆動制御系を示すブロック図。
【符号の説明】
【0070】
T…通帳類、81…取込ブロック、82…印刷ブロック、84…排出ブロック、86,87,89…制御部、91…主制御部(制御手段)、93…ジャムセンサ(判別手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳類を取り込む取込ブロックと、
この取込ブロックによって取り込まれた通帳類に情報を印刷する印刷ブロックと、
この印刷ブロックで情報が印刷された通帳類を排出する排出ブロックと、
前記取込、印刷、及び排出の各ブロックの動作状態を判別する判別手段と、
前記取込、印刷、及び排出の各ブロックの動作を独立的に制御し、前記判別手段によって動作状態が不良と判別されたブロックのみの動作を停止させるように制御する制御手段
とを具備することを特徴とする通帳類印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記取込、印刷、及び排出の各ブロック毎にその動作を制御する複数の制御部を有し、これら制御部を介して前記各ブロックの動作を制御することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項3】
前記取込、印刷、及び排出の各ブロック内には通帳類は最大でも1冊までしか存在しないことを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項4】
前記取込、印刷、及び排出の各ブロックは、前記通帳類を搬送する搬送部をそれぞれ有し、前記ブロック間での通帳類の受け渡しを除いて他のブロックの影響を受けることなく独立的に通帳類を搬送できることを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記取込、印刷、及び排出の各ブロックのうちの何れかの動作を停止させた場合、そのブロックの下流側に位置するブロックの動作は継続させ、上流側に位置するブロックは一時的に動作を停止させることを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−281666(P2006−281666A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106400(P2005−106400)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】