説明

通帳類取扱装置

【課題】
ダブルストライプ通帳において、一方の磁気ストライプに磁気データを書込む際、他のの磁気ストライプに磁気データを書込む場合よりも通帳を磁気記録ヘッド上に往復させる回数が多くなるため処理時間が長くなる場合がある。本発明の目的は従来技術の問題点を解決し、より高速で磁気ストライプの処理できるダブルストライプ通帳に対応した通帳取り扱い装置を提供する事にある。
【解決手段】
一方の磁気ストライプに磁気データを書込む際、磁気データのフォーマットに対して他の磁気ストライプと逆の方向で磁気データを読むようにして、他の磁気ストライプに磁気データを書込む場合と同じ方向に通帳を搬送させて一方の磁気ストライプに磁気データを書込むことにより、磁気ストライプデータ書込みに必要な通帳搬送距離の短縮と通帳搬送方向の反転回数を軽減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銀行等における自動取引装置に関し、特に、通帳の磁気ストライプ部のデータ書込み及び読み取りに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現金自動取り扱い装置(ATM)の多機能化が要求されている。その中の一つとして、ダブルストライプ通帳に対応した通帳取り扱い装置が上げられる。ダブルストライプ通帳とは、図1に示す一般の通帳は背表紙1に磁気ストライプA2があるのに対し、図2に示すように表紙3にも磁気ストライプB4を持ち、通帳の挿入方向を反対にしても使える通帳である。
【0003】
つまり、磁気ストライプA2を開いた通帳の中心を回転軸として180度回転した位置に磁気ストライプA2がある通帳である。以下、本文では磁気ストライプA2を正転側、磁気ストライプB4を反転側と呼ぶ。ダブルストライプ通帳に対応した通帳取り扱い装置とは、通帳を出し入れすることなく、磁気ストライプA2、B4ともに処理できる通帳取り扱い装置である。
【0004】
本発明はこのダブルストライプ通帳に対応した通帳取り扱い装置のうち、通帳を搬送させながら磁気データの処理を行う通帳取り扱い装置において、より高速で磁気ストライプの処理できる現金自動取引装置に関するものである。ダブルストライプ通帳を扱うATMとしては、特開2006−146964号公報(特許文献1)に記載のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2006−146964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
反転側の磁気ストライプに磁気データを書込む際、正転側の磁気ストライプに磁気データを書込む場合よりも通帳を磁気記録ヘッド上に往復させる回数が多くなるため、正転側の磁気ストライプに磁気データを書込む場合に対して処理時間が長くなる場合があった。本発明の目的は従来技術の問題点を解決し、より高速で磁気ストライプの処理できるダブルストライプ通帳に対応した通帳取り扱い装置を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
反転側の磁気ストライプに磁気データを書込む際、磁気データのフォーマットに対して正転側と逆の方向で磁気データを読むようにして、正転側の磁気ストライプに磁気データを書込む場合と同じ方向に通帳を搬送させて反転側の磁気ストライプに磁気データを書込むことにより、磁気ストライプデータ書込みに必要な通帳搬送距離の短縮と通帳搬送方向の反転回数の軽減を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反転側の磁気データ処理時に通帳を搬送する距離が短くなるため、処理速度を向上できる。また、通帳を搬送する距離が短くなり、通帳の搬送方向を反転する回数が減るため、通帳ジャムなどの通帳搬送に伴うリスクを軽減できる。さらに、磁気記録ヘッドは磁気データの書込み方向が決まっているため、従来方式では反転側の磁気記録ヘッドは正転側の磁気記録ヘッドと逆の向きに実装する必要があったが、本発明では同じ向きに実装することが可能となり、反転側の磁気記録ヘッドの位置に正転側の磁気ストライプのある別の通帳も取扱いが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図3は本発明の第1の実施例におけるダブルストライプ通帳に対応した通帳取り扱い装置(ATM)の構造を示すものであり、通帳搬送路を上側から見た図である。なお、本発明に直接関係のない装置の構成要素ついては一部省略したものもある。また、以下に説明する一連の動作は、図示しないATMの制御部によって実行される。
【実施例1】
【0010】
通帳挿入口5から取り込まれた通帳は、図示しない搬送ローラ等によって通帳搬送路6に沿って移動し、基準停止位置7に止まる。通帳搬送路6上には磁気ストライプA2に磁気データ処理を行う磁気記録ヘッドA8と磁気ストライプB4に磁気データ処理を行う磁気記録ヘッドB9があり、通帳は磁気データ処理終了後には再び基準停止位置7に止まる。
【0011】
図4に示すように磁気ストライプのデータには方向があり、初め符号10から終わり符合11に向かって磁気データを書込んでいる。そのため、通帳取り扱い装置において、ダブルストライプ通帳を処理する場合、磁気ストライプB4にデータを書込む際に、図5-1に示すように基準停止位置7から通帳を磁気記録ヘッド方向に移動させ、図5-2に示すように磁気ストライプB4が磁気記録ヘッドB9を通過した後に通帳の搬送方向を反転させ、図5-3に示すように再び磁気記録ヘッドB9の上を磁気ストライプB4が通過するときにデータを書込み、図5-4に示すように再び通帳の搬送方向を反転させ磁気データが正しく書込まれたかを確認したのち、図5-5に示すように再び通帳の搬送方向を反転させ基準停止位置7に戻す。
【0012】
通帳の種類によっては終わり符合11から初め符号10に向かって磁気データを書込むものもあるが、その場合は反転側も終わり符合11から初め符号10に向かって磁気データを書込んでいる。つまり、磁気データのフォーマットに対して正転側、反転側共に同じ方向で書込んでいる。そのため、正転側に磁気データを書込む際と、反転側に磁気データを書込む際では通帳の搬送方向が逆になる。
【実施例2】
【0013】
図6は本発明の第2の実施例におけるATMの構造を示すものである。
【0014】
図6の磁気記録ヘッドA8は磁気ストライプA2の処理を行い、磁気記録ヘッドB9は磁気ストライプB4の処理を行う。磁気記録ヘッドB9はデータ書込み反転装置12により、磁気データのフォーマットに対して正転側と逆の方向で磁気データを書込むことができる。(例:正転側が初め符号10から終わり符合11に向かって書込む場合は、反転側は磁気データを終わり符合11から始め符合10に向かって書込む。)
通帳は通帳挿入口5より取込まれ、通帳搬送路6に沿って移動し、磁気記録ヘッドA8により磁気ストライプA2の磁気データを読取った後に通帳基準停止位置7に止まる。また、通帳は磁気データ処理終了後には基準停止位置7に止まる。
【0015】
次に磁気ストライプB4に磁気データを書込む際の動きを説明する。
図8-1に示すように基準停止位置7から通帳を磁気記録ヘッド方向に移動させ、図8-2に示すように磁気ストライプB4が磁気記録ヘッドB9を通過する際にデータ書込み反転装置12により、磁気データを終わり符合11から始め符合10に向かって書込む。次に図8-3のように通帳の搬送方向を反転させ磁気データが正しく書込まれたかを確認し、そのまま通帳を基準停止位置7に戻す。
【0016】
第1の実施例で説明した構成では、磁気ストライプ処理開始から終了まで通帳が2往復するのに対して今回の発明では1往復で処理を完了できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的な磁気ストライプの通帳を示す図である。
【図2】ダブルストライプ通帳の概略図である。
【図3】本発明の第1の実施例におけるATMの図である。
【図4】本発明の第1の実施例における磁気データの書込方向を説明する図である。
【図5−1】本発明の第1の実施例における磁気データの書込方法を説明する図である。
【図5−2】本発明の第1の実施例における磁気データの書込方法を説明する図である。
【図5−3】本発明の第1の実施例における磁気データの書込方法を説明する図である。
【図5−4】本発明の第1の実施例における磁気データの書込方法を説明する図である。
【図5−5】本発明の第1の実施例における磁気データの書込方法を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施例におけるATMの図である。
【図7】本発明の第2の実施例における磁気データの書込方向を説明する図である。
【図8−1】本発明の第2の実施例における磁気データの書込方法を説明する図である。
【図8−2】本発明の第2の実施例における磁気データの書込方法を説明する図である。
【図8−3】本発明の第2の実施例における磁気データの書込方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0018】
1・・・背表紙、2・・・磁気ストライプA、3・・・表紙、4・・・磁気ストライプB、5・・・通帳挿入口、6・・・通帳搬送路、7・・・通帳基準停止位置、8・・・磁気記録ヘッドA、9・・・磁気記録ヘッドB、12・・・データ書込反転装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳の表裏に貼り付けられた磁気ストライプに各々対応した磁気記録ヘッドを実装しており、通帳を搬送させながら磁気ストライプのデータの読書きを行う通帳類取扱装置において、一方の磁気ストライプに磁気データを書込む際、データの書込み方向を他の磁気ストライプと逆にし、他のの磁気ストライプに磁気データを書込む場合と同一の方向に通帳を搬送させて磁気ストライプに磁気データを書込むことを特徴とした通帳類取扱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通帳類取扱装置であって、前記一方の磁気記録ヘッドの位置に他方の磁気ストライプのある通帳へ磁気データの書込みを可能としたことを特徴としり通帳類取扱装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【公開番号】特開2008−15721(P2008−15721A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185099(P2006−185099)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】