説明

通気制御装置の取付具および通気制御装置と、通気制御装置の取付具固定方法

【課題】既存の建築物であっても容易にかつ確実に通気制御装置の取り付けを可能にする通気制御装置の取付具および通気制御装置と、通気制御装置の取付具固定方法を提供すること。
【解決手段】開口部22の外部空間側における開口端面に開口部22を横切る配置で取り付けられ、通気制御装置50を開口部22に取り付け保持する保持部材30と、保持部材30を開口部22に固定するための保持部材固定部40を備え、保持部材固定部40は、開口部22の内部空間側壁面に係合する壁面係合部44と、壁面係合部44に装着されたネジ49と、開口部22においてネジ49を内部空間側へ押し込む移動動作時にアンロック状態となり、開口部22においてネジ49を外部空間側に引き出す移動動作時にロック状態となるワンウェイクラッチ48を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気制御装置の取付具および通気制御装置と、通気制御装置の取付具固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、外気を建物の通気層に取り入れることにより、木材等の構造材の蒸れを防止して建築物の耐久性を高め、住環境を好適に維持することを可能にしたいわゆる通気断熱構造を備えた建築構造に用いて好適な通気制御装置についていくつか提案をしている(特許文献1、2参照)。この通気制御装置は、通常の鋼材からなる第1のばねと、熱感知式形状記憶合金からなる第2のばねを用い、外部気温に応じて変化する第2のばねの付勢力と、外気温の変化にかかわらずほぼ一定である第1のばねの付勢力との差を駆動源にして、通気用開口部の開閉板を開閉駆動させることにより、自動的に外部空間と内部空間との間における空気の連通状態を制御することを可能にしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−336788号公報
【特許文献2】特開2008−231819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような通気制御装置は、建築物の基礎の立ち上がり壁部分や、建築物の外壁面に取り付けられるものであるため、建築物を新築する際には容易に採用することができるが、既存の建築物においては、建築物への取り付け方法が確立されておらず、通気制御装置の追加取り付けはほとんど見かけることができず、既存建築物へ通気制御装置の取り付けを望んでいるユーザの要求に十分応えることができないという課題がある。
【0005】
本発明は、以上に示した課題を解決すべくなされたものであり、既存の建築物であっても容易にかつ確実に通気制御装置の取り付けを可能にする通気制御装置の取付具および通気制御装置と、通気制御装置の取付具固定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、建築物の外部空間と内部空間とを隔てる隔壁に形成された開口部に通気制御装置を装着する際に用いられる通気制御装置の取付具であって、前記開口部の前記外部空間側における開口端面に前記開口部を横切る配置で取り付けられ、前記通気制御装置を前記開口部に取り付け保持する保持部材と、該保持部材を前記開口部に固定するための保持部材固定部を備え、前記保持部材固定部は、前記開口部の内部空間側壁面に係合する壁面係合部と、前記開口部において、前記外部空間と前記内部空間の間を往復動可能な状態で前記壁面係合部に装着されたネジと、前記ネジの前記開口部における往復動動作の一方の動作を拘束するワンウェイクラッチと、を有し、前記ワンウェイクラッチは、前記開口部において前記ネジを前記内部空間側へ押し込む移動動作時にアンロック状態となり、前記開口部において前記ネジを前記外部空間側に引き出す移動動作時にロック状態となることを特徴とする通気制御装置の取付具である。
【0007】
また、前記壁面係合部は、コの字型に形成された本体部と、当該本体部の一方の先端部に形成され前記内部空間側壁面に係合する係合爪と、前記本体部を前記ネジに挿通保持させるための挿通孔と、前記ワンウェイクラッチを装着するための装着孔と、を有し、前記ワンウェイクラッチは略L字状の板体に形成され、一方の辺に前記ネジを挿通させるネジ挿通孔が設けられると共に、他方の辺が前記装着孔に挿入されることにより前記装着孔内に遊嵌保持されていて、前記ネジが前記開口部において前記外部空間側に引き出される際に、前記ネジ挿通孔に挿通させた前記ネジのネジ山に前記一方の辺が係合することによりロック状態になることを特徴とする。これにより、ワンウェイクラッチの構造を簡素にすることができ、故障が少なくかつ製造コストを低減させることができる。
【0008】
また、前記板体は、前記ネジが挿通される側の前記一方の辺が中途位置において曲折部が形成されていることを特徴とする。これにより、ワンウェイクラッチ機構をより円滑に作動させることができ、使い勝手が大幅に向上する。
【0009】
また、前記ネジは、前記内部空間側の端部には袋ナットが取り付けられていること特徴とする。これにより工具を用いなくても開口部に保持部材を取り付けすることができ、施工が容易になる。
【0010】
また、前記保持部材は、両端部が曲折された略コの字型に形成されていて、当該曲折された両端部が前記通気制御装置に形成された装着固定部に装着されるべく、前記開口部に隣接する前記隔壁の外部空間側表面において起立していることを特徴とする。これにより保持部材への通気制御装置の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、上記のうちのいずれかに記載されている通気制御装置の取付具への装着固定部が設けられていることを特徴とする通気制御装置としての発明もある。
【0012】
また、上記のうちのいずれか一項に記載されている通気制御装置の取付具を、建築物の外部空間と内部空間とを隔てる隔壁に形成された開口部に固定する通気制御装置の取付具固定方法であって、前記開口部の外部空間側から前記内部空間に向けて前記壁面係合部と前記ネジを挿通させた前記ワンウェイクラッチを挿入する工程と、前記壁面係合部を前記開口部に隣接する前記隔壁の内部空間側壁面に係止させる工程と、前記ネジを前記内部空間側から前記外部空間側に引き出す方向に回転させることにより、前記ワンウェイクラッチをロック状態にすることにより、前記内部空間側壁面と前記通気制御装置の取付具との間で前記隔壁を挟持させた状態を維持させる工程と、を有することを特徴とする通気制御装置の取付具固定方法の発明もある。
【0013】
さらには、上記のうちのいずれかに記載されている通気制御装置の取付具を、建築物の外部空間と内部空間とを隔てる隔壁に形成された開口部に固定する通気制御装置の取付具固定方法であって、前記開口部の外部空間側から前記内部空間に向けて前記壁面係合部と前記ネジを挿通させた前記ワンウェイクラッチを挿入する工程と、前記壁面係合部の本体部に形成された係合爪を前記内部空間側壁面に係合させる工程と、前記本体部に遊嵌保持された前記板体をアンロック状態にしながら、前記ネジを前記内部空間側から前記外部空間側に所要距離引き出すように回転させる工程と、前記本体部に遊嵌保持された前記板体のアンロック状態を開放した状態で、前記ネジを前記内部空間側から前記外部空間側に引き出すようにさらに回転させる工程と、前記ネジを前記開口部において前記外部空間側に引き出す際に、前記ネジ挿通孔に挿通させた前記ネジのネジ山に前記一方の辺を係合させることによりロック状態とし、前記内部空間側壁面と前記通気制御装置の取付具との間で前記隔壁を挟持させた状態を維持させる工程と、を有していることを特徴とする通気制御装置の取付具固定方法の発明もある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る通気制御装置の取付具および通気制御装置と通気制御装置の取付具固定方法によれば、新築の建築物はもちろんのこと、既存の建築物であっても容易にかつ確実に建築物の外部空間と内部空間とを隔てる隔壁に形成された開口部に容易に通気制御装置を取り付けすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における通気制御装置の取付具における右側半分を示した平面図である。
【図2】保持部材固定部の平面図である。
【図3】保持部材固定部のワンウェイクラッチをロック状態にした平面図である。
【図4】開口部に通気制御装置の取付具を取り付けた状態を示す床下空間側からの斜視図である。
【図5】開口部に通気制御装置を取り付けした状態を示す床下空間側からの斜視図である。
【図6】開閉板が開いた状態における通気制御装置の背面図である。
【図7】開閉板が開いた状態における通気制御装置の背面側斜視図である。
【図8】開閉板が閉じた状態における通気制御装置の背面図である。
【図9】開閉板が閉じた状態における通気制御装置の背面側斜視図である。
【図10】開閉板が開いた状態における通気制御装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付図面にしたがって詳細に説明する。
本実施形態にかかる通気制御装置の取付具10は、図1および図4に示すように、建築物の外部空間と内部空間を隔てる隔壁である基礎の立ち上がり壁20に形成された開口部22を横切る配置で取り付けられた保持部材30と、保持部材30を開口部22に固定するための固定手段である保持部材固定部40とを有している。
【0017】
保持部材30は、開口部22を横切る平坦部32と両端部が平坦部32に対して屈曲させた屈曲部34とを有し、全体形状が略コ字状に形成されている。平坦部32および屈曲部34には板厚方向に貫通する貫通孔36,37とネジ孔38がそれぞれ形成されている。平坦部32に形成された貫通孔36は屈曲部34の屈曲位置の近傍位置に配設されており、基礎の立ち上がり壁20の外表面へコンクリート釘により保持部材30を固定する際に用いることができる。また、屈曲部34に形成された貫通孔37は後述する通気制御装置50を保持部材30に装着固定するための固定ネジが取り付け可能に形成されている。
【0018】
保持部材30が基礎の立ち上がり壁20の表面と接触する部位には、当接部材39が取り付けられていることが好ましい。このような当接部材39としては、緩衝性のある芯材を備えた両面テープ等を用いることが好ましい。保持部材30に当接部材39を設けることにより、開口部22への保持部材30の取り付け状態を安定化させる(取り付け後における保持部材30のずり落ちを防ぐ)ことができる点で好都合である。
【0019】
基礎の立ち上がり壁20の開口部22に保持部材30を取り付けする際には、先述のようにコンクリート釘を貫通孔36に打ちこむ方法の他に、図1〜図3に示すような保持部材固定部40を用いることもできる。保持部材固定部40は保持部材30に形成されたネジ孔38に挿通させたネジ49に挿通保持された状態で立ち上がり壁20の開口部22部分に取り付け保持される。本実施形態においては、ネジ49の先端に袋ナット49Aを、保持部材30側には蝶ナット49Bをそれぞれ取り付けることによりネジ49を締結可能にしている。
【0020】
保持部材固定部40は、図2に示すように、平板を略コの字型に形成した本体部41と、本体部41に装着されるワンウェイクラッチ48を有している。本体部41の両端縁部分における屈曲部42にはネジ挿通孔43が形成されている。また、本体部41の一方の屈曲部42の先端部には基礎の立ち上がり壁20に係合させる係合爪44が形成されている。
図からも明らかであるが、係合爪44が形成されている方の屈曲部42における屈曲点から先端部までの延長は、他方の屈曲部42における屈曲点から先端部までの延長よりも長く形成されている。このような屈曲部42に形成することで、基礎の立ち上がり壁20の開口部22の外側から内側に向って保持部材固定部40を取付する際の作業性が良好になると共に、開口部22の開口縁に近接する位置に保持部材固定部40を取り付けすることができる点において好都合である。
【0021】
また、本体部41の略中央部分にはワンウェイクラッチ48を本体部41に装着させるための装着孔45が形成されている。本実施形態にかかるワンウェイクラッチ48は、本体部41より幅狭な平板を屈曲角度が略直角に近い鋭角をなした略L字型に曲折されている。ワンウェイクラッチ48の一方の辺48Aには曲折部48Cが形成されており、曲折部48Cから一方の辺48Aの先端側に隣接する部分にネジ49を挿通させるためのネジ挿通孔49Cが形成されている。これに対して他方の辺48Bは本体部41の装着孔45に挿通されることにより、ワンウェイクラッチ48を遊嵌状態で本体部41に装着させている。
【0022】
このようなワンウェイクラッチ48は、本体部41およびワンウェイクラッチ48を挿通させたネジ49が建築物の外部空間側から内部空間に入り込む側(図2中における矢印Xの向き)に移動をする際には、一方の辺48Aがネジ49と接触することで、装着孔45に挿入されている他方の辺48Bが本体部41に当接する方向にワンウェイクラッチ48が回動することになる。これによりネジ挿通孔49Cの開口面はネジ49の挿通方向に対して略直交した状態となり、ネジ挿通孔49Cの周縁にネジ49のネジ山が非接触の状態で挿通することになるから、ワンウェイクラッチ48はアンロック状態となる。
【0023】
これとは反対に、ネジ49が建築物の内部空間側から外部空間に引き抜かれる側(図3中における矢印Yの向き)に移動をする際には、一方の辺48Aがネジ49のネジ山と接触することで、装着孔45に挿入されている他方の辺48Bが本体部41から離反する方向にワンウェイクラッチ48が回動することになる。これによりネジ挿通孔49Cはネジ49の挿通方向に対して非直交状態となる。すなわちネジ挿通孔49Cのネジ挿通方向に対する直交面への投影面積が狭くなり、ネジ挿通孔49Cの周縁がネジ49の外周面であるネジ山に係合し、ワンウェイクラッチ48はロック状態または、ネジ49を締結するための回転トルクが大幅に大きくなるのである。
【0024】
もし、ネジ49を内部空間側に挿入し過ぎた場合には、作業者は、ワンウェイクラッチ48の他方の辺48Bを本体部41に当接させるように操作しながらネジ49を内部空間から外部空間側に引き出しすることができる。ネジ49を十分引き出したのちは、ワンウェイクラッチ48の他方の辺48Bから手を放し、引き続きネジ49を内部空間側から外部空間側に引き出すように蝶ネジ49B締め付けて、ネジ49を締結させればよい。
【0025】
このようなワンウェイクラッチ48を用いることにより、開口部22に隣接する立ち上がり壁20の内側面に係合する係合爪44と、開口部22を横切って配設された保持部材30の外部空間側面に当接している蝶ネジ49Bとの間で立ち上がり壁20の内側面と外側面が挟持された状態となり、開口部22位置で保持部材30を固定することができる。保持部材30には立ち上がり壁20との接触面にいわゆる緩衝材を芯材とする両面テープが当接部材39として貼着されているため、保持部材30と立ち上がり壁20との密着度は良好であり、保持部材30が立ち上がり壁20から脱落することはない。
このような保持部材30の取り付け形態に加えて、先に説明したコンクリート釘を用いた保持部材30の固定方法を併用することもできる。
【0026】
基礎の立ち上がり壁20の開口部22に保持部材30が取り付けられると、保持部材30の両端部の屈曲部34が基礎の立ち上がり壁20の外側表面から起立した状態となる。通気制御装置50の本体部51には、屈曲部34が起立する部位に位置合わせした箇所に装着固定部である装着固定溝52およびネジ孔53が形成されているので、屈曲部34を装着固定溝52に挿入し、ネジ孔53と貫通孔37に挿通させた固定ネジにより固定すれば、通気制御装置50を保持部材30に装着固定することができる。
【0027】
本実施形態における通気制御装置50は、通常の鋼材からなる第1の付勢材と、熱感知型形状記憶合金からなる第2の付勢材と、がそれぞれ係合されたリンク部(いずれも図示せず)と、このリンク部の回動動作に連携して回動する複数の開閉板54とを有している。本体部51に形成された通気用開口部55の通気状態のオンオフ状態は、開閉板54の回動動作によって切り替え制御されている。図6〜図9は通気制御装置の開閉板が開いた状態および閉じた状態を示す背面図および背面側からの斜視図である。ここで、通気制御装置50の背面図とは床下空間側から通気制御装置を臨んだ図である。図10は、図6に示した通気制御装置の正面図である。
【0028】
通気制御装置50の動作について説明する。
通気制御装置50は、温度変化に伴う付勢力の変化がほとんど生じない通常の鋼材からなる第1の付勢部材による付勢力と、外部空間の温度変化に伴って付勢力が大きく変化する熱感知型形状記憶合金からなる第2の付勢部材による付勢力の差を駆動源としてリンク部を回動させている。このように外気温の温度変化によって回転可能に形成されたリンク部には、外気温が高い場合(夏季)には通気用開口部55を開口させる方向に回動し、外気温が低い場合(冬季)には通気用開口部55を閉塞させる方向に回動するように、開閉板54が連携されている。このような通気制御装置50における開閉板54の開閉動作機構の具体的な構造については、本出願人による特許第4595396号等に開示されている構成を採用することが好ましい。
【0029】
通気制御装置50の本体部51の基礎の立ち上がり壁20への当接部分には、保持部材30に取り付けた当接部材39と同じ当接部材56が貼着されている。これにより、基礎の立ち上がり壁20と通気制御装置50との間の気密は適切な状態に維持されている。通気制御装置50には、通気用開口部55内における開閉板54の取り付け位置よりも室外側の部分に、メッシュ部材57Aと保護板57Bがそれぞれ記載されている順に取り付けられている。また、図6および図8に示すように、本体部51の背面側には、第1および第2の付勢部材とリンク部等の開閉動作機構が収容されている収容部に、外気取込用開口部58を穿設している。収容部内にある第1および第2の付勢部材はこの外気取込用開口部58により外部空気と直接接触可能になっているので、外気温の温度変化は速やかに第1および第2の付勢部材の温度変化に反映され、開閉板54の開閉動作が行わることになる。
【0030】
また、図10に示すように本体部51の室外側表面には、開閉動作機構の操作用レバー59が装着されている。操作用レバー59は第1の付勢部材または第2の付勢部材もしくはこれらが係合された係合部材に連結されている。ユーザが操作用レバー59を第1および第2の付勢部材の伸縮方向にスライドさせることにより、収容部内に侵入した砂等を払い落とすことができる。また、操作用レバー59のスライド時の抵抗を把握することにより、通気制御装置50を取り外しすることなく本体51の内部に収容されている開閉動作機構の作動状態を簡単にチェックすることもできる。
【0031】
以上に本願発明に係る通気制御装置の取付具10と、これを装着可能な装着固定部を有する通気制御装置50について実施形態に基づいて詳細に説明を行ったが、本願発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態において説明したワンウェイクラッチ48の構成はその一例を示しているにすぎない。すなわち、自在鉤に適用されているような他の公知のワンウェイクラッチの構成を採用することももちろん可能である。
【0032】
また、本実施形態においては、保持部材30を開口部22の水平方向に横切る配置で開口部22に取り付けした形態について説明しているが、開口部22に対して上下方向に横切らせる(掛け渡す)配置で開口部22に取り付けする形態を採用してもよい。
また、本実施形態においては、通気制御装置50を保持部材30に装着固定するための装着固定部として装着固定溝52を採用した構成について説明しているが、差込部等の他の構成を装着固定部として採用することもできる。
また、ネジ49の保持部材30側には、蝶ナット49B用いてネジ49を締結しているが、通常のネジ49を採用することもできる。
【0033】
また、通気制御装置50はいわゆる床下空間と外部空間との間の空気の流通を外気温の温度変化に応じてオンオフ制御する地窓の形態について説明しているが、この実施形態に限定されるものではない。例えば、手動により床下空間と外部空間との間の空気の流通状態をオンオフ切替する地窓であってもよい。また、建屋の壁面に設けた開口部に装着する通気制御装置に本願発明を適用することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 取付具
20 壁
22 開口部
30 保持部材
32 平坦部
34 屈曲部
36,37 貫通孔
38 ネジ孔
39 当接部材
40 保持部材固定部
41 本体部
42 屈曲部
43 ネジ挿通孔
44 係合爪
45 装着孔
48 ワンウェイクラッチ
48A 一方の辺
48B 他方の辺
48C 曲折部
49 ネジ
49A 袋ナット
49B 蝶ナット
49C ネジ挿通孔
50 通気制御装置
51 本体部
52 装着固定溝
53 孔
54 開閉板
55 通気用開口部
56 当接部材
57A メッシュ部材
57B 保護板
58 外気取込用開口部
59 操作用レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の外部空間と内部空間とを隔てる隔壁に形成された開口部に通気制御装置を装着する際に用いられる通気制御装置の取付具であって、
前記開口部の前記外部空間側における開口端面に前記開口部を横切る配置で取り付けられ、前記通気制御装置を前記開口部に取り付け保持する保持部材と、
該保持部材を前記開口部に固定するための保持部材固定部を備え、
前記保持部材固定部は、
前記開口部の内部空間側壁面に係合する壁面係合部と、
前記開口部において、前記外部空間と前記内部空間の間を往復動可能な状態で前記壁面係合部に装着されたネジと、
前記ネジの前記開口部における往復動動作の一方の動作を拘束するワンウェイクラッチと、を有し、
前記ワンウェイクラッチは、前記開口部において前記ネジを前記内部空間側へ押し込む移動動作時にアンロック状態となり、前記開口部において前記ネジを前記外部空間側に引き出す移動動作時にロック状態となることを特徴とする通気制御装置の取付具。
【請求項2】
前記壁面係合部は、
コの字型に形成された本体部と、当該本体部の一方の先端部に形成され前記内部空間側壁面に係合する係合爪と、前記本体部を前記ネジに挿通保持させるための挿通孔と、前記ワンウェイクラッチを装着するための装着孔と、を有し、
前記ワンウェイクラッチは略L字状の板体に形成され、一方の辺に前記ネジを挿通させるネジ挿通孔が設けられると共に、他方の辺が前記装着孔に挿入されることにより前記装着孔内に遊嵌保持されていて、
前記ネジが前記開口部において前記外部空間側に引き出される際に、前記ネジ挿通孔に挿通させた前記ネジのネジ山に前記一方の辺が係合することによりロック状態になることを特徴とする請求項1記載の通気制御装置の取付具。
【請求項3】
前記板体は、前記ネジが挿通される側の前記一方の辺が中途位置において曲折部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の通気制御装置の取付具。
【請求項4】
前記ネジは、前記内部空間側の端部には袋ナットが取り付けられていること特徴とする請求項2または3記載の通気制御装置の取付具。
【請求項5】
前記保持部材は、両端部が曲折された略コの字型に形成されていて、当該曲折された両端部が前記通気制御装置に形成された装着固定部に装着されるべく、前記開口部に隣接する前記隔壁の外部空間側表面において起立していることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の通気制御装置の取付具。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の通気制御装置の取付具への装着固定部が設けられていることを特徴とする通気制御装置。
【請求項7】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の通気制御装置の取付具を、建築物の外部空間と内部空間とを隔てる隔壁に形成された開口部に固定する通気制御装置の取付具固定方法であって、
前記開口部の外部空間側から前記内部空間に向けて前記壁面係合部と前記ネジを挿通させた前記ワンウェイクラッチを挿入する工程と、
前記壁面係合部を前記開口部に隣接する前記隔壁の内部空間側壁面に係止させる工程と、
前記ネジを前記内部空間側から前記外部空間側に引き出す方向に回転させることにより、前記ワンウェイクラッチをロック状態にすることにより、前記内部空間側壁面と前記通気制御装置の取付具との間で前記隔壁を挟持させた状態を維持させる工程と、を有することを特徴とする通気制御装置の取付具固定方法。
【請求項8】
請求項2〜5のうちのいずれか一項に記載の通気制御装置の取付具を、建築物の外部空間と内部空間とを隔てる隔壁に形成された開口部に固定する通気制御装置の取付具固定方法であって、
前記開口部の外部空間側から前記内部空間に向けて前記壁面係合部と前記ネジを挿通させた前記ワンウェイクラッチを挿入する工程と、
前記壁面係合部の本体部に形成された係合爪を前記内部空間側壁面に係合させる工程と、
前記本体部に遊嵌保持された前記板体をアンロック状態にしながら、前記ネジを前記内部空間側から前記外部空間側に所要距離引き出すように回転させる工程と、
前記本体部に遊嵌保持された前記板体のアンロック状態を開放した状態で、前記ネジを前記内部空間側から前記外部空間側に引き出すようにさらに回転させる工程と、
前記ネジを前記開口部において前記外部空間側に引き出す際に、前記ネジ挿通孔に挿通させた前記ネジのネジ山に前記一方の辺を係合させることによりロック状態とし、前記内部空間側壁面と前記通気制御装置の取付具との間で前記隔壁を挟持させた状態を維持させる工程と、を有していることを特徴とする通気制御装置の取付具固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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