説明

通気口のある防水電池操作による装置

【課題】防水電池式電化製品、例えば、カミソリ及び歯ブラシなどのパーソナルケア電化製品を提供する。電化製品は、ガス、例えば、水素を、水の浸入を許さず電化製品から排出させる圧力に対応して変形するように構成されているシールを有するハウジングを含む。シールを二つ含む電化製品もまた開示する。
【解決手段】ハウジング12内の内圧が所定値を超えると、ベローズシール26が曲り、上部及び/又は下部封止環で、一時的にシールを壊し、ガスが排出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケアに使用する小型電化製品のような防水電池式装置の内部からガス、例えば水素を発生させることに関する。
【背景技術】
【0002】
ある条件下では、電池式製品の内部に水素が蓄積され得る。水素は、電池から放出されても、或いは、電解によって電池の外に生成されてもよい。この水素の大気中の酸素とが混合して、可燃性のガスが形成され、モーターからの火花又は装置のスイッチによって引火する可能性がある。
【0003】
この問題は、多様な方法で対応されてきた。防水が必要とされない電化製品及び装置では、装置のハウジングが、ガスが通って排出できる開口部を含むことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
湿った環境での装置の操作では、例えば電動歯ブラシ及び電池式カミソリでは、開口部はミクロポア膜によって覆われることが可能である。部材は水素ガスに透過性があるが、水には不透性である。こうした取り組みは、装置の内部から水素を排出させるために一般的には有効であるが、部材の使用は、経費が高く、製品の組み立て工程を増加させる傾向にある。
【0005】
水素ガスを排出させるより水素ガスを反応させる別の取り組みがある。この場合、装置内に水素添加触媒を用いて水素ガスを酸素と反応させて水を形成し、その水を吸収するためにシリカデシカントを用いる。この取り組みを用いた防水カメラが、米国特許2002/0045093で説明されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的には、本発明は、通常は閉じ、装置外から圧力が加わると閉じたままにとどまるが、所定の内圧を超えた場合には開口するシールにより封止された開口部からガスが通って排出される通気を有する、電池式装置を特徴とする。時としては、封止された装置ハウジング内の開口部は、装置の別の用途、(作動装置が開口部を通って伸びるなど)の役割を果たす。
【0007】
ある態様では、本発明は、(a)一般的には中空内部と該中空内部からガスが通って排出される開口部とを有するハウジングと、(b)該開口部を普通は覆うように配置され、該中空内部の圧力が所定の圧力、例えば約10kPa(0.1バール)〜200kPa(2バール)を超えた場合、該中空内部の圧力に対応して変形するとともに、該開口部から離れるように構成されているシールと、を備える防水電池式電化製品である。
【0008】
電化製品は、例えばカミソリや歯ブラシなどのパーソナルケア製品であり得る。従って、電化製品は、ハウジングに取り付けられたカミソリカートリッジや歯ブラシの先端を更に備えることが可能である。
【0009】
電化製品の機能は、作動装置を使用して付けたり消したりすることが可能である。作動装置は、場合によっては、開口部から伸長する。時として、シールは、作動装置の茎部を取り囲む。
【0010】
ある場合には、シールは、例えばベローズタイプのシール又は環状のエラストマーガスケットといった、エラストマー部材を含む。開口部は、ハウジングの外表面に環状に形成された溝内に配置され、シールは、開口部を覆うために溝内に配置された、例えばエラストマーガスケットといった環状形成部材を含み得る。環状形成部材は、環状形成部材をハウジングの外表面に対して保持するために、プリストレスされ得る。
【0011】
別の態様では、本発明は、(a)内壁を一般的に形成する中空内部と、ガスが通って排出される開口部とを有するハウジングと、(b)該ハウジング内に配置されて電池を保持するように構成されるとともに、ガスが通って排出される開口部を有するキャリアと、(c)該キャリアと該ハウジングの該内壁との間に配置され、該ハウジングの該開口部とキャリアの開口部との間において、流体を連通させるが、該ハウジング内へ流体が連通することを封止する、第1のシールと、(d)該キャリアの該開口部を普通は覆うように配置され、該中空内部の圧力が所定の圧力を超えた場合、該中空内部の圧力に対応して変形するとともに、該開口部から離れるように構成されている第2のシールと、を備える防水電池式電化製品を特徴とする。
【0012】
時としては、第1と第2のシールがそれぞれ、エラストマー部材からなる。ハウジングとキャリアとの双方が、一般的には円筒状であり、第1のシールが一対の環状ガスケットからなり、キャリアの開口部とハウジングの開口部の一方に配置される、開口部をハウジングの残りの部分から隔離する。
【0013】
本発明の一つ以上の実施形態の詳細を、添付図及び以下の説明で明らかにする。本発明の他の特徴及び利点は、説明及び図面、並びに請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態による電化製品の、軸方向の部分的な断面図。
【図1A】図1のA−A線に沿って切り取った放射状の断面図。
【図1B】図1の電化製品で使用された封止部材の拡大断面図。
【図2】本発明の別の実施形態による電化製品の一部の線図。
【図2A】図2のA−A線に沿って切り取った放射状の断面図。
【図2B】図2は、この実施形態におけるガス流路を図示した、図2の上部部分の拡大線図。
【図3】本発明の更なる実施形態による電化製品の一部の線図。
【図3A】図3の領域Aの拡大詳細図。
【図4】本発明の別の実施形態による電化製品の一部の線図。
【図5】この実施形態におけるガス流路を図示した、図4の下部部分の拡大線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1−1Aを参照すると、カミソリ又は歯ブラシといった電化製品10は、ほぼ円筒状の柄のハウジング12を含む。電池(図示されず)は、電化製品が使用されると水素ガスの発生が可能になる、ハウジングの内部に配置される。ハウジング12は、防水式に封止される。作動装置ボタン14は、ハウジングの外表面16で露出しており、電動歯ブラシの先端の磨き機能、或いは湿式剃毛用の電動式カミソリの振動機能といった装置の機能を始動するために、ユーザーがボタンを押すことが可能になる。作動装置ボタンは茎部18から延伸する。茎部18は、ボタンが押されると、滑り落ちるスリーブ20の内部にプレス嵌めされて、装置の機能が始動する(これがどのように起こるかの説明はここでは関連性がなく、装置によって異なるので、論じない)。作動装置ボタンは、戻りバネ22により、その通常の押し下げられていない配置にもどる。
【0016】
スリーブ20の周りの開口部とハウジング12のフランジ25の隣接壁24とは、装置が完全に防水になるために封止されなければならない。封止は、上部封止環28、下部封止環30、及び外方向に垂れ下がるベローズ32を有するベローズシール26によりもたらされる。下部封止環30がフランジ25の外表面に対して封止する一方、上部封止環28は、茎部の上端部とボタンの下部表面との交差に対して封止する。通常の内部圧力の条件下では、ベローズ32は、封止環が封止する表面に対して封止環を弾性的に偏倚する。ベローズシール26が、フランジ25にかぶさって延伸することによってその封止構成へとプリストレスされているエラストマーシールであることが好ましい。
【0017】
ハウジング内の所定の内圧、例えば、約10kPa(0.1バール)〜200kPa(2バール)を超えると、水素ガスの存在を示しており、ベローズシールが曲がり、上部及び/又は下部封止環で(一般的には下部封止環で)、一時的にシールを壊し、ガスが装置から排出できるようになる。通常は、ガスの通路とは、スリーブ20とフランジ25との間の間隙を通って、ベローズ32の内壁によって画定された室へ、次に、シールが壊れると、下部封止環を過ぎてボタン14とハウジング12との間の間隙を通る。
【0018】
ハウジング内の圧力が通常になるや否や、ベローズシールが、通常の、曲がっていない配置に戻り、そこで装置を防水にする。シールが非常に短い時間、非常に小さい程度、壊れるだけであるため、並びに内圧が外圧より高いため、通気中に水が装置内に染み込むことは考えにくい。
【0019】
エラストマーシールの弾力性、及びそれがプリストレスされる程度(上部及び下部の封止環の直径は、上部及び下部の封止環が封止するパーツの直径よりどの程度小さいか)は、特定の装置内では容認可能である、所定の圧力の閾値による。
【0020】
一例では、ベローズシールは、硬さ(ショアA)が約50で、プリストレス約15〜40%の液体シリコーンゴム(LSR)から構成され、内圧が30kPa(0.3バール)を超えるときに通気するように構成される。このシールの形状は、図1Bに詳細に示される。
【0021】
所望ならば、ベローズシールは、上述されたような二つの封止環より、単一封止環を有するシールに置き換えることが可能である。例えば、上部封止環28を除外してもよい。
【0022】
電化製品は開口部を含み、その開口部には、開口部を通って延伸する作動装置ボタンがなくてもよい。例えば、図2−2Bを参照すると、ハウジング12は溝50を含み、溝50の奥まった所に通気開口部52が存在する。エラストマーガスケットなどの環状封止部材54は、開口52部を封止するために溝50内に配置される。封止部材は、溝50の表面を封止するために、それに対してプリストレスされる。プリストレスは、一般的に、溝の上に封止部材54を引き伸ばすことで行われ、例えば、封止部材の直径が、溝内のハウジングの直径より僅かに小さい。封止部材の材料は、溝内に組み立てられるときに、封止部材がハウジングの、より直径の長い領域の上に引き伸ばされるように、十分に可撓性があることが一般的に必要である。
【0023】
図2Bに示されるように、電池Bのガス放出すると、ハウジング12内の増加した内圧が、封止部材54を僅かに引き伸ばし、それを開口部52の領域内の溝表面から離すように作用する。これによって、図2Bの矢印によって示されるように封止部材の周辺で、ガスが排出されるようになる。上述したように通気が短く、シールが置き換えられる頻度が低いため、通気中に、水が装置内に入ることは考えにくい。
【0024】
場合によっては、封止部材54は、硬さ(ショアA)が約70で、プリストレス約10〜20%であり、内圧が30kPa(0.3バール)を超えると通気するように構成されている、商品名VITONとして市販されているエラストマーから構成される。
【0025】
ここで、図3及び3Aを参照すると、時としては、小高い島56が溝50内の開口部52の周辺にもたらされる。この小高い島は、開口部52の外辺部周囲に、ガスケットのプリストレス抵抗力を集める傾向があるため、所与の封止環設計では、封止抵抗力を増加させることで、さらに高い内圧がシールを壊すのに必要とされる。これは、環を封止するには、特に有用であると考えられる。
【0026】
ある場合では、電池がハウジング内のキャリア内に含有されてもよい。例えば、図4−5に示されるように、上述の実施形態に類似して、電池Bは、溝62、溝内の通気口64、開口部を封止している環状封止部材を有するキャリア60内に含まれていてもよい。ガスが通気口64から排出するときに、ガスがハウジング内で閉じ込められずに、ハウジングから排出することが重要である。従って、ハウジングは通気口68を含み、通気口64に相対的に近く配置される。所望ならば、通気口68は、ハウジングの二つの部分が相互に離れる継目の線であることも可能で、例えば、ハウジングの主体と電池の区画カバーである。開口部64からのガスの侵入又は開口部68からハウジングの内部への水の侵入を防ぐため、シール70がハウジング12の内壁72と開口部のいずれか一方側のキャリア60の外壁との間にシール70がもたらされる。シールは、一対のエラストマーのOリング形態でも、図示されるように、シールの適切ないかなる種類でもよい。シール70は、壁72と壁74との間の領域内に、いかなる予期せぬ圧力でも壊れないように設計され、ハウジング内へのいかなる漏れをも防ぐ。図4に示されるように、通気中のガスの流路は、最初、開口64を通って出て、開口68を介して出る。この実施形態では、封止部材66は、ハウジングの一部(図4の右手に示されるように、ハウジングの主体)によって視覚上隠され保護されている。電池区画カバーが電池の取替えのため取り除かれる間、キャリア60は、Oリングの一つによって永久的にハウジングの主体に固定され且つ封止され、封止部材66は、ハウジング主体によって遮断される。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態を記載してきた。しかし、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更を行ってもよいことは明確であろう。例えば、通気口及び封止部材は、ハウジングの他の領域でもたらされてもよく、並びに異なった関連する形状を有してもよい。しかし一例では、上述された環状に形成された溝は、一般的には楕円形状である。更に、カミソリ及び歯ブラシが上述されてきたが、本発明で論じられたシールは、懐中電灯、電池式の磨きブラシ、カメラなどの任意の防水電化製品使用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空内部と前記中空内部からガスが通って排出される開口部とを有するハウジングと、
前記開口部を覆うように配置され、前記中空内部の圧力が所定の圧力を超えた場合、前記中空内部の圧力に対応して変形するとともに、前記開口部から離れるように構成されているシールと、を備える防水電池式電化製品。
【請求項2】
前記ハウジングに取り付けられたカミソリカートリッジを更に備える、請求項1に記載の電化製品。
【請求項3】
前記ハウジングに取り付けられた歯ブラシの先端を更に備える、請求項1に記載の電化製品。
【請求項4】
前記開口部から伸びる作動装置を更に備える、請求項1に記載の電化製品。
【請求項5】
前記シールが前記作動装置の茎部を取り囲む、請求項4に記載の電化製品。
【請求項6】
前記シールがベローズタイプのシールからなる、請求項1に記載の電化製品。
【請求項7】
前記シールがエラストマー部材からなる、請求項1に記載の電化製品。
【請求項8】
前記所定の圧力が、約10kPa(0.1バール)〜200kPa(2バール)である、請求項1に記載の電化製品。
【請求項9】
前記開口部が、前記ハウジングの外表面に環状に形成された溝内に配置される、請求項1に記載の電化製品。
【請求項10】
前記シールが、前記開口部を覆うために、前記溝内に配置された環状形状部材からなる、請求項9に記載の電化製品。
【請求項11】
前記環状形状部材が、エラストマーガスケットからなる、請求項10に記載の電化製品。
【請求項12】
前記ハウジングの外表面に対して保持するために、前記環状形状部材がプリストレスされている、請求項10に記載の電化製品。
【請求項13】
内壁を形成する中空内部と、ガスが通って排出される開口部とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されて電池を保持するように構成されるとともに、ガスが通って排出される開口部を有するキャリアと、
前記キャリアと前記ハウジングの前記内壁との間に配置され、前記ハウジングの前記開口部と前記キャリアの前記開口部との間において、流体を連通させるが、前記ハウジング内へ流体が連通することを封止する、第1のシールと、
前記キャリアの前記開口部を覆うように配置され、前記中空内部の圧力が所定の圧力を超えた場合、前記中空内部の圧力に対応して変形するとともに、前記開口部から離れるように構成されている第2のシールと、を備える防水電池式電化製品。
【請求項14】
前記ハウジングに取り付けられたカミソリカートリッジを更に備える、請求項13に記載の電化製品。
【請求項15】
前記ハウジングに取り付けられた歯ブラシの先端を更に備える、請求項13に記載の電化製品。
【請求項16】
前記第1のシール及び第2のシールがそれぞれ、エラストマー部材からなる、請求項13に記載の電化製品。
【請求項17】
前記ハウジングと前記キャリアとの双方が、円筒状であり、前記第1のシールが一対の環状ガスケットからなり、前記キャリアの開口部と前記ハウジングの開口部の一方に配置される、前記開口部を前記ハウジングの残りの部分から隔離する、請求項13に記載の電化製品。
【請求項18】
前記所定の圧力が、約10kPa(0.1バール)〜200kPa(2バール)である、請求項13に記載の電化製品。
【請求項19】
前記キャリアの開口部が、前記キャリアの外表面に環状に形成された溝内に配置される、請求項13に記載の電化製品。
【請求項20】
前記第2のシールが、前記開口部を覆うために、前記溝内に配置された環状形成部材からなる、請求項19に記載の電化製品。
【請求項21】
前記環状形成部材が、エラストマーガスケットからなる、請求項20に記載の電化製品。
【請求項22】
前記ハウジングの外表面に対して保持するために、前記環状形成部材がプリストレスされている、請求項20に記載の電化製品。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−249320(P2010−249320A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131094(P2010−131094)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【分割の表示】特願2008−507975(P2008−507975)の分割
【原出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】