説明

通話切替システム及びその方法並びに通話切替装置及びそのプログラム

【課題】切り替え対象とする端末の通話を継続しつつ、構内網の帯域が不足した時点で優先度の低い端末を通話料金の発生しない構内網の帯域へ自動的に迂回接続するか、通話料金が安い公衆網へ自動的に切り替える。
【解決手段】切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が構内網内に存在するかを確認し、第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、第2の帯域が存在しなかった場合にはゲートウェイ装置を選択する。選択に基づいて通信パスを確保する。切替対象の端末が行っている通信を中断させることなく、切替対象の端末に確保した通信パスを利用させる。前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末間の通信経路に関し、より詳細には通話切替に関する。
【背景技術】
【0002】
VoIP(Voice over Internet Protocol)等に準拠することにより実現される構内網と、公衆網とを組み合わせた通信システムが一般的に利用されている。このような通信システムでは構内電話網の帯域が不足したときに通信経路を切り替える必要があるが、この際に可能な限り通話料金の発生を抑えたいという要求がある。
【0003】
この要求に応えるための技術の一例が、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されている。
【0004】
具体的には、特許文献1には、任意の音声品質の通話状態に移行することができる操作性の高い通話パス切り替えを行うシステムが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、使用可能な領域が不足か否かを判定し、不足と判定されるときに優先度の低い通話の領域を開放する音声通話システムが記載されている。
【0006】
更に、特許文献3には、拠点間の通話で使用する量に制限がある音声通話システムにおいて、使用可能な領域が不足か否かを判定し、優先度が低い端末を公衆網経由の接続に切り替えるシステムが記載されている。
【0007】
加えて、特許文献4には、使用可能な領域が不足と判定されるときに、通話料金が安い公衆用ゲートウェイ装置を選択して公衆網へ接続する音声通話システムが記載されている。
【0008】
そして、これらの特許文献の記載を組み合わせることで、構内電話網の帯域が不足したときに切り替え対象の通話のみを公衆網へ切り替えることで、公衆網の通話料金を抑え、且つ、切り替え対象とならなかった他の端末はVoIP網での通話を可能とするシステムを実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−069159号公報
【特許文献2】特開2003−273879号公報
【特許文献3】特開2008−098738号公報
【特許文献4】特開2009−200656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、各特許文献の記載を組み合わせることにより通話の切り替えが実現できる。もっとも、各特許文献の記載を組み合わせたとしても切替対象の端末を終了することなく継続して通話することができないという問題があった。
【0011】
更に、各特許文献を検討してみると、以下のような問題があった。
【0012】
特許文献1に記載の技術では、VoIP網の帯域が不足したときに公衆網へ切り替える際、通話者が手動にて通話を切り替えることが必要であるという問題があった。また、通話を切り替える方法は特に明記されていないが、通話料金を考慮して公衆用ゲートウェイ装置を選択して公衆網へ接続していないため、通話相手の拠点が離れていた場合には通話料金が高くなってしまうという問題があった。
【0013】
特許文献2に記載の技術では、優先度の低い端末が継続して通話ができないという問題があった。
【0014】
特許文献3に記載の技術では、通話料金を考慮して公衆用ゲートウェイ装置を選択して公衆網へ接続していないため、通話相手の拠点が離れていた場合には通話料金が高くなってしまうという問題があった。
【0015】
また、特許文献4に記載の技術では、公衆網へ切替後に使用可能な領域が確保されても継続して公衆網に接続するため、通話料金が高くなってしまうという問題があった。
【0016】
これらの問題点をまとめると、以下のようなものとなる。
【0017】
第1の問題点は、通話を切り替える際に通話者の操作が必要ということである。
【0018】
その理由は、通話者が音声品質を判断した上で、通話の切り替え操作を行うためである。
【0019】
第2の問題点は、通話を切断して通話を切り替える必要があるということである。
【0020】
その理由は、通話を切り替える際に切替対象の通話を切断するためである。
【0021】
第3の問題点は、切り替え後の通話料金が常に発生してしまうことである。
【0022】
その理由は、通話の切り替え先が常に公衆網であるため、通話切り替え後に公衆網の通話料金が発生してしまうためである。
【0023】
第4の問題点は、拠点によって切り替え後の通話料金が高くなるということである。
【0024】
その理由は、公衆網を経由する接続に通話を切り替える場合、通話者の拠点にある公衆用ゲートウェイ装置を使用するため、通話相手の拠点が遠くなるほど通話切り替え後の通話料金が高くなってしまうためである。
【0025】
そこで本発明は、切り替え対象とする端末の通話を継続しつつ、構内網の帯域が不足した時点で優先度の低い端末を通話料金の発生しない構内網の帯域へ自動的に迂回接続するか、通話料金が安い公衆網へ自動的に切り替えることが可能な、通話切替システム及びその方法並びに通話切替装置及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第1の観点によれば、公衆網と、前記公衆網とゲートウェイ装置を介して通信可能な構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムの前記通話切替装置において、切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択手段と、前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保手段と、前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替手段と、を備え、前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替装置が提供される。
【0027】
本発明の第2の観点によれば、端末間での通信を行う端末及び前記端末が公衆網を介して通信を行うために利用するゲートウェイ装置を含む構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備える通話切替システムにおいて、前記通話切替装置が上記本発明の第1の観点により提供される通話切替装置であることを特徴とする通話切替システムが提供される。
【0028】
本発明の第3の観点によれば、公衆網と、前記公衆網とゲートウェイ装置を介して通信可能な構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムの前記通話切替装置に組み込まれる通話切替プログラムにおいて、切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択手段と、前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保手段と、前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替手段と、を備え、前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替プログラムが提供される。
【0029】
本発明の第4の観点によれば、端末間での通信を行う端末及び前記端末が公衆網を介して通信を行うために利用するゲートウェイ装置を含む構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムが行う通話切替方法において、切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択ステップと、前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保ステップと、前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替ステップと、を備え、前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替方法が提供される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、構内網の帯域が不足しているか否かを考慮することにより適切な迂回経路を選択し、選択した迂回経路に通話パスを確保してから通話切り替えを行うことから、切り替え対象とする端末の通話を継続しつつ、構内網の帯域が不足した時点で優先度の低い端末を通話料金の発生しない構内網の帯域へ自動的に迂回接続するか、通話料金が安い公衆網へ自動的に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態全体の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態である通話切替装置の基本的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態において記憶される各情報を表す図である。
【図4−1】帯域不足時に構内電話網へ迂回接続して切り替える場合において本発明の実施形態のフォローチャート図(1/2)である。
【図4−2】帯域不足時に構内電話網へ迂回接続して切り替える場合において本発明の実施形態のフォローチャート図(2/2)である。
【図5−1】帯域不足時に公衆網へ通話を切り替える場合において本発明の実施形態のフォローチャート図(1/2)である。
【図5−2】帯域不足時に公衆網へ通話を切り替える場合において本発明の実施形態のフォローチャート図(2/2)である。
【図6】本発明の実施形態の動作の変形例を表すフォローチャート図である。
【図7−1】帯域確保時に構内電話網へ通話を切り戻す場合において本発明の実施形態のフォローチャート図(1/2)である。
【図7−2】帯域確保時に構内電話網へ通話を切り戻す場合において本発明の実施形態のフォローチャート図(2/2)である。
【図8】本発明の実施例全体のネットワーク構成図である。
【図9】本発明の実施例におけるデータベース構成図(1/4)である。
【図10】本発明の実施例におけるデータベース構成図(2/4)である。
【図11】本発明の実施例におけるデータベース構成図(3/4)である。
【図12】本発明の実施例におけるデータベース構成図(4/4)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は、本実施形態のシステム全体を表す図である。図1を参照すると本実施形態は通話切替装置1000と、VoIP網2000と、公衆網3000を含む。
【0034】
通話切替装置1000は、VoIP網2000における端末間の通話を管理する装置である。通話切替装置1000は、VoIP網2000の状況を監視することにより、VoIP網2000における、通話並びに端末及び公衆用ゲートウェイ装置の状況を把握することが可能である。
【0035】
VoIP網2000は、VoIPに準拠した通信網である。なお、VoIP網2000は、本発明の「構内網」に相当する。VoIP網2000には、拠点2100が複数含まれている。また、各拠点2100には、ユーザが実際に使用する端末である端末2101と、通話切替装置1000により仮想的に生成される端末である仮想端末2102と、通話切替装置1000により仮想的に生成される接続装置である仮想接続装置2103と、が単数又は複数台含まれている。更に、各拠点2100には公衆網3000と通話をする際の出入り口となる装置である公衆ゲートウェイ装置2104が含まれている。
【0036】
公衆網3000は、公衆交換電話網であり、公衆網3000を介して他の端末と通話を行う際には通話料金が発生する。
【0037】
以上のような構成において、通話切替装置1000は、本実施形態の特徴である通話切り替えを実施する。
【0038】
続いて、図2を参照して通話切替装置1000の基本的構成について説明する。通話切替装置1000は、図2に示すデータ処理装置100及びデータ記憶装置200を含んでいる。
【0039】
なお、本実施形態では、データ処理装置100とデータ記憶装置200を単一の装置により、例えば上述のように通話切替装置1000として実現することを想定している。
【0040】
もっとも、データ処理装置100とデータ記憶装置200を別々のコンピュータにより実現し、両コンピュータをバスやUSB規格に準拠したケーブル、インターネット等の手段を用いて接続するようにしてもよい。また、接続は有線接続であってもよいがその一部又は全部を無線による接続としてもよい。
【0041】
図2を参照すると、データ処理装置100は、自動切替判定部101、端末選択部102、接続装置選択部103、通話パス確保部104及び通話切替部105を含んでいる。なお、図2において実線で表記されている矢印線は各部の接続を表すものであり、破線で表記されている矢印線は各部が各記憶領域から情報を読み出すことを表すものである。
【0042】
自動切替判定部101は、VoIP網の帯域が不足しているか否かを自動的に判断する機能を有する。
【0043】
端末選択部102は、通話切替対象とする端末の中から優先度の低い端末を選択する機能を有する。
【0044】
接続装置選択部103は、通話を切り替える際に使用する接続装置または仮想接続装置を選択する機能を有する。
【0045】
通話パス確保部104は、仮想端末を使用した公衆網経由、または仮想端末と仮想接続装置を使用したVoIP網経由の通話パスを確保する機能を有する。
【0046】
通話切替部105は、仮想端末同士の通話から切替対象の端末同士の通話へと切り替える機能を有する。
【0047】
一方、データ記憶装置200は、端末記憶領域201、接続装置記憶領域202、通話記憶領域203、帯域記憶領域204及び公衆網記憶領域205を含んでいる。
【0048】
ここで、データ記憶装置200は、各種情報を記憶する記憶装置であり、この記憶装置は、例えばHDD(Hard disk drive)やFlash SSD(Solid State Drive)により実現される。また、データ記憶装置200は、単一の記憶装置により実現されてもよいが、複数の記憶装置の組合せにより実現されてもよい。
【0049】
続いて、図3を参照して、上述したデータ記憶装置200の各記憶領域に記憶されている情報の構成について説明する。
【0050】
端末記憶領域201には、端末記憶領域情報201−1が記憶されている。端末記憶領域情報201−1は、「端末の識別ID、端末収容拠点、端末の優先度、及び1通話あたりの帯域の使用量」を含む。また、これらの情報は端末毎に記憶されている。
【0051】
接続装置記憶領域202には、接続装置記憶領域情報202−1が記憶されている。接続装置記憶領域情報202−1は、「公衆用ゲートウェイ装置の識別ID、公衆用ゲートウェイ装置の収容拠点及び公衆用ゲートウェイ装置を使用できる端末の拠点」を含む。また、これらの情報は公衆用ゲートウェイ装置毎に記憶されている。
【0052】
通話記憶領域203には、通話記憶領域情報203−1が記憶されている。通話記憶領域情報203−1は、「通話者である端末の識別ID、通話相手である端末の識別ID、通話で使用している電話網、通話切替履歴及び通話者が発信時にダイヤルした発信アクセスコード」を含む。また、これらの情報は帯域毎記憶されている。
【0053】
帯域記憶領域204には、帯域記憶領域情報204−1が記憶されている。帯域記憶領域情報204−1は、「端末同士が接続時に使用する帯域の限界値、端末と公衆用ゲートウェイ装置が接続時に使用する帯域の限界値及び帯域の使用量の合計値」を含む。また、これらの情報は帯域毎記憶されている。
【0054】
公衆網記憶領域205には、公衆網記憶領域情報205−1が記憶されている。公衆網記憶領域情報205−1には「通話者と接続する公衆用ゲート装置の識別ID、通話相手と接続する公衆用ゲート装置の識別ID、公衆網の通話料金及び公衆網へ発信するための追加ダイヤルイン番号」を含む。また、これらの情報は、通話者と接続する公衆用ゲートウェイ措置と、通話相手と接続する公衆用ゲートウェイ装置の組み合わせ毎に記憶されている。
【0055】
なお、上述したように、各記憶領域情報は、複数ずつ記憶されうる。もっとも、説明の便宜上、図3においては複数組の図示は省略する。
【0056】
また、本実施形態において「通話」とは利用者が発した音声を送受信している状態に限定する文言ではないものとする。すなわち、ハンドセットやヘッドセットといった送受話器の集音部から集音した音声を送受信している状態以外の、予め記憶されている保留音等を送受信している状態や、仮想端末間で音声情報を伴わない通信が行われている状態を含むものとする。すなわち、通話とは、通信(セッション)が確立されている状態を広く指す文言であるものとする。
【0057】
更に、本実施形態においては、「通話を切り替える」とは、同一の通信先との通信経路の一部又は全部を切り替えることを指すものとする。
【0058】
続いて、図4−1及び図4−2と、図5−1及び図5−2と、図6と、図7−1及び図7−2のフローチャートを参照して各部の動作について説明する。
【0059】
まず、図4−1及び図4−2を参照してVoIP網の帯域が不足時に優先度の低い端末を迂回接続してVoIP網へ通話を切り替える際の動作について説明する。
【0060】
最初に、VoIP網の不足している帯域を自動的に判断する自動切替判定部101が動作する。まず、自動切替判定部101は、帯域記憶領域204より各帯域の使用量の合計値および限界値を読出し(ステップS301)、帯域の使用量の合計値が限界値を超えているかを判断する(ステップS302)。ここで、帯域の使用量の合計値が限界値を超えていない場合は(ステップS302においてNo)、迂回接続による切り替えを行わない(ステップS303−1)。
【0061】
一方、帯域の使用量の合計値が限界値を超えている場合(ステップS302においてYes)、VoIP網の不足している帯域で通話を切り替える対象の端末を選択する端末選択部102が動作を開始する。具体的には、端末選択部102が、通話記憶領域203より限界値を超えている帯域の通話者および通話相手を読出し(ステップS303)、端末記憶領域201より通話者および通話相手の端末の優先度を確認する(ステップS304)。そして、通話者および通話相手の端末の両方が優先度の低い端末であった場合に、両端末間での通話が優先度の低い通話であると判断する(ステップS305)。優先度の低い通話がない場合(ステップS305においてNo)、迂回接続による切り替えを行わない(ステップS306−1)。
【0062】
一方、優先度の低い通話がある場合(ステップS305においてYes)、通話を切り替える際に使用する接続装置を選択する接続装置選択部103が動作を開始する。具体的には、接続装置選択部103が、帯域記憶領域204より優先度の低い通話者と通話相手が仮想接続装置経由で迂回接続した際の帯域の使用量の合計値および限界値を読み出し(ステップS306)、帯域の使用量の合計値が限界値を超えていないかを判断する(ステップS307)。ここで、仮想接続装置経由で迂回接続する際に使用する帯域の使用量の合計値が限界値を超えている場合(ステップS307においてNo)、迂回接続による切り替えを行わない(ステップS308−1)。
【0063】
一方、仮想接続装置経由で迂回接続した際の帯域の使用量の合計値が限界値を超えていない場合(ステップS307においてYes)、仮想端末と仮想接続装置を使用して迂回接続の通話パスを確保する通話パス確保部104が動作を開始する。具体的には、通話パス確保部104が、通話記憶領域203より通話者が通話相手に発信するときにダイヤルした発信アクセスコードを読み出し(ステップS308)、端末記憶領域201より通話相手と同じ帯域の仮想端末の識別IDを読み出す(ステップS309)。
【0064】
続けて、通話パス確保部104が、通話者と同じ帯域の仮想端末から、「ステップS308において読み出した発信アクセスコード+ステップS309において読み出した通話相手と同じ帯域の仮想端末の識別ID」をダイヤルして仮想接続装置経由で迂回接続してVoIP網へ発信する(ステップS310)。そして、通話者と同じ帯域の仮想端末が発信してから一定時間経過後、通話相手と同じ帯域の仮想端末が通話者と同じ帯域の仮想端末からVoIP網経由で着信中か判断する(ステップS311)。
【0065】
ここで、仮想接続装置経由で通話者と同じ帯域の仮想端末から着信していない場合(ステップS311においてNo)、通話者と同じ帯域の仮想端末は発信を途中放棄して発信を終了し(ステップS312)、迂回接続による切り替えを行わない。
【0066】
一方、通話者と同じ帯域の仮想端末から仮想接続装置経由に迂回接続してVoIP経由で通話相手と同じ帯域の仮想端末に着信中の場合(ステップS311においてYes)、通話相手と同じ帯域の仮想端末は着信に応答し(ステップS313)、仮想接続装置経由に迂回接続して仮想端末同士の通話が成功したか判断する(ステップS314)。
【0067】
ここで、仮想端末同士の通話から通話者および通話相手の通話に切り替えが成功しなかった場合(ステップS314においてNo)、仮想端末同士の通話を終了し(ステップS315)、迂回接続による切り替えを行わない。
【0068】
一方、仮想接続装置経由に迂回接続して仮想端末同士の通話が成功した場合(ステップS314においてYes)、VoIP網経由の仮想端末同士の通話を通話者と通話相手の通話に切り替える通話切替部105が動作を開始する。具体的には、通話切替部105が、VoIP網経由の接続を仮想端末同士の通話から通話者および通話相手の通話に切り替え(ステップS316)、仮想端末を終了する(ステップS317)。そして、通話者と通話相手の通話に使用していた帯域が不足しているVoIP網経由の通話を終了する(ステップS318)。
【0069】
上述したように優先度の低い通話を仮想接続装置経由に迂回接続したVoIP網の接続へ切り替えることで、通話自動切替後の通話料金を発生させないという効果を奏する。
【0070】
続いて、図5−1及び図5−2を参照してVoIP網の帯域が不足時に優先度の低い端末を公衆網へ通話を切り替える際の動作について説明する。
【0071】
最初に、VoIP網の不足している帯域を自動的に判断する自動切替判定部101が動作する。まず、自動切替判定部101は、帯域記憶領域204より各帯域の使用量の合計値および限界値を読出し(ステップS401)、帯域の使用量の合計値が限界値を超えているかを判断する(ステップS402)。ここで、帯域の使用量の合計値が限界値を超えていない場合は(ステップS402においてNo)、迂回接続による切り替えを行わない(ステップS403−1)。
【0072】
一方、帯域の使用量の合計値が限界値を超えている場合(ステップS402においてYes)、VoIP網の不足している帯域で通話を切り替える対象の端末を選択する端末選択部102が動作を開始する。具体的には、端末選択部102が、通話記憶領域203より限界値を超えている帯域の通話者および通話相手を読出し(ステップS403)、端末記憶領域201より通話者および通話相手の端末の優先度を確認する(ステップS404)。そして、通話者および通話相手の端末の両方が優先度の低い端末であった場合に、両端末間での通話が優先度の低い通話であると判断する(ステップS405)。優先度の低い通話がない場合(ステップS405においてNo)、迂回接続による切り替えを行わない。
【0073】
一方、迂回接続可能な帯域がなく、優先度の低い通話がある場合(ステップS405においてYes)、公衆網へ通話を切り替える際に使用する公衆用ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択部103が動作を開始する。具体的には、接続装置選択部103が、接続装置記憶領域202より優先度の低い通話者と通話相手が使用可能な公衆用ゲートウェイ装置を読み出し(ステップS406)、使用可能な公衆用ゲートウェイ装置はあるか判断する(ステップS407)。ここで、使用可能な公衆用ゲートウェイ装置がない場合(ステップS407においてNo)、通話の切り替えを行わない。
【0074】
一方、使用可能な公衆用ゲートウェイ装置がある場合(ステップS407においてYes)、帯域記憶領域204より優先度の低い通話者と通話相手が使用可能な公衆用ゲートウェイ装置と接続した際の帯域の使用量の合計値および限界値を読み出し(ステップS408)、帯域の使用量の合計値が限界値を超えていないかを判断する(ステップS409)。ここで、公衆用ゲートウェイ装置と接続した際の帯域の使用量の合計値が限界値を超えている場合(ステップS409においてNo)、通話の切り替えを行わない(ステップS410−1)。
【0075】
一方、公衆用ゲートウェイ装置と接続した際の帯域の使用量の合計値が限界値を超えていない場合(ステップS409においてYes)、仮想端末を使用して公衆網経由の通話パスを確保する通話パス確保部104が動作を開始する。具体的には、通話パス確保部104が、公衆網記憶領域205より通話者に接続する公衆用ゲートウェイ装置と、通話相手に接続する公衆用ゲートウェイ装置の組み合わせで、公衆網の通話料金が最も安い公衆網へ発信するための追加ダイヤルイン番号を読み出す(ステップS410)。また、端末記憶領域201より通話相手と同じ帯域の仮想端末の識別IDを読み出す(ステップS411)。そして、通話者と同じ帯域の仮想端末から、「ステップS410において読み出した追加ダイヤルイン番号+ステップS411において読み出した通話相手と同じ帯域の仮想端末の識別ID」をダイヤルして公衆網へ発信する(ステップS412)。その後、通話者と同じ帯域の仮想端末が発信してから一定時間経過後、通話相手と同じ帯域の仮想端末が公衆網経由で通話者と同じ帯域の仮想端末から着信中か判断する(ステップS413)。
【0076】
公衆網経由で通話者と同じ帯域の仮想端末から着信していない場合(ステップS413においてNo)、通話者と同じ帯域の仮想端末は発信を途中放棄して発信を終了し(ステップS414)、通話の切り替えを行わない。
【0077】
一方、通話者と同じ帯域の仮想端末から公衆網経由で通話相手と同じ帯域の仮想端末に着信中の場合(ステップS413においてYes)、通話相手と同じ帯域の仮想端末は着信に応答し(ステップS415)、仮想端末同士の通話が成功したか判断する(ステップS416)。
【0078】
ここで、仮想端末同士の通話から通話者および通話相手の通話に切り替えが成功しなかった場合(ステップS416においてNo)、仮想端末同士の通話を終了し、迂回接続による切り替えを行わない(ステップS417)。
【0079】
一方、仮想端末同士の通話が成功した場合(ステップS416においてYes)、公衆網経由の仮想端末同士の通話を通話者と通話相手の通話に切り替える通話切替部105が動作を開始する。具体的には、通話切替部105が、公衆網経由の接続を仮想端末同士の通話から通話者および通話相手の通話に切り替え(ステップS418)、仮想端末を終了する(ステップS419)。そして、通話者と通話相手の通話に使用していた公衆網経由の通話を終了する(ステップS420)。
【0080】
上述したように優先度の低い通話をVoIP網の接続から公衆網の接続へ切り替えることで、使用可能な帯域を使用して優先度の高い端末が通話することができるという効果を奏する。
【0081】
ここで、上述した図4−1及び図4−2及び図5−1及び図5−2に示される動作の変形例について説明する。
【0082】
図4−1及び図4−2及び図5−1及び図5−2では、VoIP網経由で迂回接続を行うか、公衆網経由で迂回接続を行うかを予め決定動作していた。もっとも、本実施形態では状況に応じて、VoIP網経由で迂回接続を行うか、公衆網経由で迂回接続を行うかを、柔軟に選択するようにすることが可能である。具体的には、VoIP網経由で迂回接続を行える場合は、VoIP網経由で迂回接続を行い、一方、VoIP網経由で迂回接続を行えない場合は、公衆網経由で迂回接続を行うようにしてもよい。
【0083】
図6を参照して説明する。まず図4−1及び図4−2、図5−1及び図5−2に示すステップS305又はステップS405においてYesだった場合、ステップS500の動作を新たに追加する。そしてステップS500において迂回接続可能な帯域があるか確認する。
【0084】
ここで、迂回接続可能な帯域が存在した場合は(ステップS500においてYes)、VoIP網経由での迂回接続が可能であると判断してステップS306に進む。一方、迂回接続可能な帯域が存在しない場合は(ステップS500においてNo)、VoIP網経由での迂回接続が不可能であると判断して公衆網経由での迂回接続を試みるべくステップS406に進む。
【0085】
このように動作することにより、通話料金の発生する公衆網経由での迂回接続を可能な限り避けることが可能となる。
【0086】
続いて、図7−1及び図7−2を参照して、VoIP網の通話可能帯域を確保した時に公衆網に通話切替している優先度の低い端末をVoIP網への通話に切り戻す際の動作について説明する。
【0087】
最初に、VoIP網の不足している帯域を自動的に判断する自動切替判定部101が動作する。まず、自動切替判定部101は、帯域記憶領域204より帯域毎の使用量の合計値および限界値を読み出し(ステップS601)、帯域の使用量の合計値が限界値を超えているかを判断する(ステップS602)。ここで、VoIP網の帯域の使用量の合計値が限界値を超えている場合(ステップS602においてNo)、通話の切り替えを行わない(ステップS603−1)。
【0088】
一方、VoIP網の帯域の使用量の合計値が限界値を超えていない場合(ステップS602においてYes)、VoIP網の通話可能領域を確保している帯域に通話を切り戻す端末を選択する端末選択部102が動作を開始する。具体的には、端末選択部102が、通話記憶領域203より限界値を超えていない帯域に収容している通話者および通話相手を読み出し(ステップS603)、通話記憶領域203より通話者および通話相手から通話切替履歴のある端末を読み出し(ステップS604)、公衆網へ自動切替した通話であるかを判断する(ステップS605)。ここで、公衆網へ自動切替した通話がない場合(ステップS605においてNo)、通話の切り替えを行わない。
【0089】
一方、公衆網へ自動切替した通話がある場合(ステップS605においてYes)、帯域記憶領域204よりVoIP網へ切戻通話時に使用する帯域の使用量の合計値および限界値を読み出し(ステップS606)、帯域の使用量の合計値が限界値を超えていないかを判断する(ステップS607)。VoIP網へ切戻通話時に使用する帯域の使用量の合計値が限界値を超えている場合(ステップS607においてNo)、通話の切り替えを行わない。
【0090】
VoIP網へ切戻通話時に使用する帯域の使用量の合計値が限界値を超えていない場合(ステップS607においてYes)、仮想端末を使用してVoIP網経由の通話パスを確保する通話パス確保部104が動作を開始する。具体的には、通話パス確保部104が、通話記憶領域203より通話者が通話相手に発信するときにダイヤルした発信アクセスコードを読み出し(ステップS608)、端末記憶領域201より通話相手と同じ帯域の仮想端末の識別IDを読み出す(ステップS609)。
【0091】
続けて、通話パス確保部104が、通話者と同じ帯域の仮想端末から、「ステップS608において読み出した発信アクセスコード+ステップS609において読み出した通話相手と同じ帯域の仮想端末の識別ID」をダイヤルしてVoIP網へ発信する(ステップS610)。そして、通話者と同じ帯域の仮想端末が発信してから一定時間経過後、通話相手と同じ帯域の仮想端末が通話者と同じ帯域の仮想端末からVoIP網経由で着信中か判断する(ステップS611)。
【0092】
ここで、公衆網経由で通話者と同じ帯域の仮想端末から着信していない場合(ステップS611においてNo)、通話者と同じ帯域の仮想端末は発信を途中放棄して発信を終了し(ステップS612)、通話の切り替えを行わない。
【0093】
一方、通話者と同じ帯域の仮想端末からVoIP経由で通話相手と同じ帯域の仮想端末に着信中の場合(ステップS611においてYes)、通話相手と同じ帯域の仮想端末は着信に応答し(ステップS613)、仮想端末同士の通話が成功したか判断する(ステップS614)。
【0094】
ここで、仮想端末同士の通話から通話者および通話相手の通話に切り替えが不可な場合(ステップS614においてNo)、仮想端末同士の通話を終了し(ステップS615)、通話の切り替えを行わない。
【0095】
一方、仮想端末同士の通話が成功した場合(ステップS614においてYes)、VoIP網経由の仮想端末同士の通話を通話者と通話相手の通話に切り替える通話切替部105が動作を開始する。具体的には、通話切替部105が、VoIP網経由の接続を仮想端末同士の通話から通話者および通話相手の通話に切り替え(ステップS616)、仮想端末を終了する(ステップS617)。そして、通話者と通話相手の通話に使用していた公衆網経由の通話を終了する(ステップS618)。
【0096】
上述したように優先度の低い通話を公衆網の接続からVoIP網の接続へ切り替えることで、通話自動切替後の通話料金を安くすることができるという効果を奏する。
【0097】
この効果は、公衆網に通話を切替後に構内電話網の帯域に通話可能領域が確保されたとしても公衆網に切替中の通話をVoIP網に通話を切り戻しできない、という一般的な技術が有していた問題点を解消するものである。
【0098】
なお、図4−1及び図4−2に示したステップS301〜ステップS318を行い公衆網を介さずVoIP網内で迂回した場合にも、その後、上述のステップS601〜618の動作により通話履歴を確認して、通話を切り戻すことも可能である。
【0099】
もっとも公衆網を介さずVoIP網内で迂回した場合には、通話料金が発生しているわけではないため、必ずしも通話履歴を確認してまで、通話を切り戻す必要はない。公衆網を介さずVoIP網内で迂回した場合に、迂回先のVoIP網が限界ならば、通話履歴等を考慮することなく、新たな迂回対象としてステップS300〜ステップS318の動作を再度行えばよい。
【0100】
続いて、上述した本実施形態を具体化した実施例を用いて説明する。なお、下述する実施例における構成や、具体的な数値等はあくまで一例にしか過ぎず、本実施形態の適用範囲を限定するものではない。
【0101】
図8は、本実施例のシステム全体の構成を表す図である。
【0102】
図8を参照すると、本実施例は、VoIP網2に設置しているVoIPサーバ1と、VoIPサーバ1に収容している端末5A〜5G、公衆用ゲートウェイ装置6A〜6C、仮想端末8A〜8C及び仮想接続装置9Aと、端末と公衆用ゲートウェイ装置を含む拠点3A〜3Cと、拠点間の通話の使用量を管理する帯域4A〜4Cと、公衆網7を含んでいる。
【0103】
なお、本実施例における、VoIPサーバ1は、上述した通話切替装置1000に相当する機能を有しているものとする。すなわち、本実施例では通話切替装置1000をVoIPサーバとして実現することを想定している。
【0104】
次に、図9、図10、図11及び図12を参照して本実施例におけるデータベースの構成を説明する。図9、図10、図11及び図12に示すデータベースは上述したデータ記憶装置200の各記憶領域に記憶されている情報に相当するものである。各記憶領域には図9に示す情報が記憶されているものとする。その後、本実施例の動作に伴い各情報は図10、図11及び図12に示すように書き換えられていくものとする。
【0105】
端末記憶領域データベースAは、端末記憶領域情報201−1に相当するデータベースである。具体的には、「端末の識別ID、端末収容拠点、端末の優先度、及び1通話あたりの帯域の使用量」を含む。また、これらの情報は端末毎に記憶されている。
【0106】
接続装置記憶領域データベースBは、接続装置記憶領域情報202−1に相当するデータベースである。具体的には、「公衆用ゲートウェイ装置の識別ID、公衆用ゲートウェイ装置の収容拠点及び公衆用ゲートウェイ装置を使用できる端末の拠点」を含む。また、これらの情報は公衆用ゲートウェイ装置毎に記憶されている。
【0107】
通話記憶領域データベースCは、通話記憶領域情報203−1に相当するデータベースである。具体的には、「通話者である端末の識別ID、通話相手である端末の識別ID、通話で使用している電話網、通話切替履歴及び通話者が発信時にダイヤルした発信アクセスコード」を含む。また、これらの情報は帯域毎記憶されている。
【0108】
今回は、通話切替前の通話記憶領域データベースC−1,通話切替後の通話記憶領域データベースC−2,通話切戻前の通話記憶領域データベースC−3,通話切戻後の通話記憶領域データベースC−4を有している。
【0109】
帯域記憶領域データベースDは、帯域記憶領域情報204−1に相当するデータベースである。具体的には、「端末同士が接続時に使用する帯域の限界値、端末と公衆用ゲートウェイ装置が接続時に使用する帯域の限界値及び帯域の使用量の合計値」を含む。また、これらの情報は帯域毎記憶されている。
【0110】
今回は、迂回接続の通話切替前の帯域記憶領域データベースD−1,迂回接続の通話切替後の帯域記憶領域データベースD−2,公衆網へ通話切替前の帯域記憶領域データベースD−3,公衆網へ通話切替後の帯域記憶領域データベースD−4,VoIP網へ通話切戻前の帯域記憶領域データベースD−5,VoIP網へ通話切戻後の帯域記憶領域データベースD−6を有している。
【0111】
公衆網記憶領域データベースEは、公衆網記憶領域情報205−1に相当するデータベースである。具体的には、「通話者と接続する公衆用ゲート装置の識別ID、通話相手と接続する公衆用ゲート装置の識別ID、公衆網の通話料金及び公衆網へ発信するための追加ダイヤルイン番号」を含む。また、これらの情報は、通話者と接続する公衆用ゲートウェイ措置と、通話相手と接続する公衆用ゲートウェイ装置の組み合わせ毎に記憶されている。
【0112】
今回の実施例においては、前提として端末5Aと端末5BがVoIP網を経由した通話により帯域4Aの使用量の合計値が1000Kbpsに達している状況であるとする。そして、この状況下で更に、端末5Dと端末5Eが帯域4Aを使用して新たな通話を開始するという状態を想定して説明をする。
【0113】
まず、図4−1及び図4−2を参照してVoIP網の帯域が不足時に優先度の低い端末を迂回接続してVoIP網へ通話を切り替える際の動作について説明する。
【0114】
自動切替判定部101は、データベースD−1より各帯域4A〜4Cの使用量の合計値および限界値を読出し(ステップS301)、帯域の使用量の合計値が限界値を超えているかを判断する(ステップS302)。
【0115】
本実施例では帯域4Aは使用量の合計値1020Kbpsが限界値1000Kbpsを超えている(ステップS302においてYes)。そのため端末選択部102は、データベースC−1より限界値を超えている帯域4Aの通話者および通話相手を読出し(ステップS303)、データベースAより通話中の端末5A,端末5B,端末5D,および端末5Eの優先度を読み出す(ステップS304)。そして、通話中の端末が共に優先度の低い端末であるかを判断する(ステップS305)。
【0116】
本実施例では、端末5Aと端末5Bの通話が共に優先度の低い通話である(ステップS305においてYes)。そのため接続装置選択部103は、データベースD−2より各帯域の仮想接続装置経由で迂回接続した際の帯域の使用量の合計値および限界値を読み出す(ステップS306)。そして、帯域の使用量の合計値が限界値を超えていないかを判断する(ステップS307)。
【0117】
本実施例では、帯域3Cの仮想接続装置9Aを接続時に使用する帯域4Bと帯域4Cの使用量の合計値1020Kbpsが限界値2000Kbpsを超えていない。つまり、仮想接続装置経由で迂回接続した際の帯域の使用量の合計値が限界値を超えていない(ステップS307においてYes)。そのため、通話パス確保部104にて、データベースC−3より通話者が通話相手に発信するときにダイヤルした発信アクセスコードを読み出し(ステップS308)、データベースAより通話相手の端末5Bと同じ帯域の仮想端末8Bの識別IDを読み出す(ステップS309)。
【0118】
続けて、通話パス確保部104が、通話者の端末5Aと同じ帯域の仮想端末8Aから、「ステップS308において読み出した発信アクセスコード+ステップS309において読み出した通話相手と同じ帯域の仮想端末の識別ID」をダイヤルして仮想接続装置9Aを迂回接続してVoIP網へ発信する(ステップS310)。そして、仮想端末8Aが発信してから一定時間経過後、仮想端末8Bが通話者と仮想端末8AからVoIP網の仮想接続装置9Aを経由して着信中か判断する(ステップS311)。
【0119】
本実施例では、仮想端末8Aから仮想接続装置9A経由に迂回接続してVoIP経由で仮想端末8Bに着信中であるとする(ステップS311においてYes)。そして、仮想端末8Bは着信に応答する(ステップS313)。その後、仮想接続装置9A経由に迂回接続して仮想端末同士の通話が成功したか判断する(ステップS314)。
【0120】
本実施例では、仮想接続装置9A経由に迂回接続して仮想端末同士の通話が成功したとする(ステップS314においてYes)。そのため、通話切替部105は、VoIP網経由の接続を仮想端末8Aと仮想端末8Bの通話から端末5Aおよび端末5Bの通話に切り替え(ステップS316)、仮想端末8Aと仮想端末8Bを終了する(ステップS317)。そして、端末5Aと端末5Bの通話に使用していた帯域4Aの通話を終了する(ステップS318)。
【0121】
上述したように優先度の低い通話を仮想接続装置経由に迂回接続したVoIP網の接続へ切り替えることで、通話自動切替後の通話料金を発生させずに帯域3Aを使用して優先度の高い端末5Fと端末5GがVoIP網を経由して通話することができるという効果を奏する。
【0122】
続いて、図5−1及び図5−2を参照してVoIP網の帯域が不足時に優先度の低い端末を公衆網へ通話を切り替える際の動作について説明する。上述したように、今回の実施例においては、前提として端末5Aと端末5BがVoIP網を経由した通話により帯域4Aの使用量の合計値が1000Kbpsに達している状況であるとする。そして、この状況下で更に、端末5Dと端末5Eが帯域4Aを使用して新たな通話を開始するという状態を想定して説明をする。
【0123】
自動切替判定部101は、データベースD−3より各帯域4A〜4Cの使用量の合計値および限界値を読出し(ステップS401)、使用量の合計値が限界値を超えている帯域があるかを判断する(ステップS402)。
【0124】
本実施例では、帯域4Aは使用量の合計値1020Kbpsが限界値1000Kbpsを超えている(ステップS402においてYes)。そのため、端末選択部102は、データベースC−1より限界値を超えている帯域4Aを使用している通話が端末5Aと端末5Bの通話、及び、端末5Dと端末5Eの通話であることを読み出す(ステップS403)。続けて、データベースAより通話中の端末5A、端末5B、端末5D及び端末5Eの優先度を読み出し(ステップS404)、通話中の端末が共に優先度が低い端末があるかを判断する(ステップS405)。
【0125】
本実施例では、端末5Aと端末5Bの通話が共に優先度の低い通話である(ステップS405においてYes)。そのため、接続装置選択部103は、端末5Aと端末5Bの通話が共に優先度の低い通話のため、データベースBより端末5Aと端末5Bが使用可能な公衆用ゲートウェイ装置を読み出す(ステップS406)。そして、使用可能な公衆用ゲートウェイ装置があるかを判断する(ステップS407)。
【0126】
本実施例では、端末5Aは公衆用ゲートウェイ装置6Aと公衆用ゲートウェイ装置6Cが使用可能、端末5Bは公衆用ゲートウェイ装置6Bが使用可能である。そのため、データベースD−4より各端末が公衆用ゲートウェイ装置に接続したときの帯域の使用量の合計値および限界値を読み出し(ステップS408)、帯域の使用量の合計値が限界値を超えていないかを判断する(ステップS409)。
【0127】
本実施例では、端末5Aは、公衆用ゲートウェイ装置6Aとの接続では帯域が同じために帯域の限界値がない、および公衆用ゲートウェイ装置6Cとの接続では帯域Cの使用量の合計値1020Kbpsが限界値2000Kbpsを超えていない。
【0128】
また、本実施例では、端末5Bは、公衆用ゲートウェイ装置6Bとの接続では帯域が同じために帯域の限界値がない。
【0129】
そして、通話パス確保部104は、端末5Aと端末5Bが共に接続可能な公衆用ゲートウェイ装置があるため、データベースEより端末5Aに接続する公衆用ゲートウェイ装置6Aまたは公衆用ゲートウェイ装置6Cと、端末5Bに接続する公衆用ゲートウェイ装置6Bの組み合わせで、公衆網の通話料金10(円/分)と最も安い公衆用ゲートウェイ装置6Aと公衆用ゲートウェイ装置6Cの組み合わせの公衆網へ発信するための追加ダイヤルイン番号01−1111−2222を読み出す(ステップS410)。また、データベースAより端末5Bと同じ帯域の仮想端末8Bの識別ID2999を読み出し(ステップS411)、通話者と同じ帯域の仮想端末8Aから、「01−1111−2222−2999」をダイヤルして公衆網へ発信する(ステップS412)。
【0130】
仮想端末8Aが発信してから一定時間経過後、仮想端末8Bは仮想端末8Aから公衆網経由へ着信中か判断する(ステップS413)。仮想端末8Aから公衆網経由へ着信中の場合(ステップS413においてYes)、仮想端末8Bは着信に応答し(ステップS415)、公衆網経由の仮想端末8Aと仮想端末8Bの通話が成功したかを判断する(ステップS416)。
【0131】
通話切替部105は、公衆網経由の仮想端末同士の通話が成功した場合(ステップS416においてYes)、端末5Aから公衆用ゲートウェイ装置6Cへの接続、および公衆用ゲートウェイ装置6Bから端末5Bへの接続により公衆網へ通話に切り替え(ステップS418)、仮想端末8Aと仮想端末8Bの使用を終了する(ステップS419)。その後、端末5Aと端末5Bが通話で使用していたVoIP網での通話を終了する(ステップS420)。
【0132】
これにより優先度の低い端末5Aと端末5Bの通話をVoIP網の接続から公衆網の接続へ切り替えることで、使用可能な帯域3Aを使用して優先度の高い端末5Fと端末5GがVoIP網を経由して通話することができる。
【0133】
続いて、図7−1及び図7−2を参照して、VoIP網の通話可能帯域を確保した時に公衆網に通話切替している優先度の低い端末をVoIP網への通話に切り戻す際の動作について説明する。
【0134】
上述したように、今回の実施例においては、前提として端末5Aと端末5BがVoIP網を経由した通話により帯域4Aの使用量の合計値が1000Kbpsに達している状況であるとする。そして、この状況下で更に、端末5Dと端末5Eが帯域4Aを使用して新たな通話を開始していたが、端末5Dと端末5Eの通話を終了したものとする。
【0135】
自動切替判定部101は、データベースD−5より各帯域4A〜4Cの使用量の合計値および限界値を読出し(ステップS601)、使用量の合計値が限界値を超えていない帯域があるかを判断する(ステップS602)。
【0136】
本実施例では、帯域4Aは使用量の合計値980Kbpsが限界値1000Kbpsを超えていない(ステップS602においてYes)。そのため、端末選択部102は、データベースC−3より限界値を超えていない帯域4Aに収容している通話中の端末5Aと端末5Bの通話であることを読み出し(ステップS603)、データベースC−3より端末5A,および端末5Bの通話切替履歴を読み出し(ステップS604)、公衆網へ自動切替した通話があるかを判断する(ステップS605)。
【0137】
本実施例では、端末5Aと端末5Bが公衆網へ自動切替した通話があるため、データベースD−6よりVoIP網へ切戻通話時に使用する帯域4Aの使用量の合計値および限界値を読み出す(ステップS606)。そして、帯域4Aの使用量の合計値が限界値を超えていないかを判断する(ステップS607)。
【0138】
本実施例では、VoIP網へ切戻通話時に使用する帯域4Aの使用量の合計値1000Kbpsが限界値1000Kbpsを超えていない(ステップS607においてYes)。そのため、通話パス確保部104は、データベースC−3より通話者が通話相手に発信するときにダイヤルした発信アクセスコードを読み出し(ステップS608)、データベースAより通話相手の端末5Bと同じ帯域の仮想端末8Bの識別IDを読み出す(ステップS609)。そして、通話者の端末5Aと同じ帯域の仮想端末8Aから、「ステップS608において読み出した発信アクセスコード+ステップS609において読み出した通話相手と同じ帯域の仮想端末の識別ID」をダイヤルしてVoIP網へ発信し(ステップS610)、仮想端末8Aが発信してから一定時間経過後、仮想端末8Bが仮想端末8AからVoIP網経由で着信中か判断する(ステップS611)。
【0139】
仮想端末8AからVoIP経由で仮想端末8Bに着信中の場合(ステップS611においてYes)、仮想端末8Aは着信に応答し(ステップS612)、仮想端末同士の通話が成功したか判断する(ステップS614)。
【0140】
仮想端末同士の通話が成功した場合(ステップS614においてYes)、通話切替部105は、VoIP網経由の仮想端末8Aと仮想端末8Bの通話を端末5Aと端末5Bの通話に切り替え(ステップS614)、仮想端末8Aと仮想端末8Bを終了し(ステップS617)。そして、端末5Aと端末5Bの通話に使用していた公衆網経由の通話を終了する(ステップS618)。
【0141】
これにより優先度の低い通話を公衆網の接続からVoIP網の接続へ切り替えることで、通話自動切替後の通話料金を安くすることができる。
【0142】
なお、本発明の実施形態である通話切替装置は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータをその通話切替装置として機能させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0143】
また、本発明の実施形態による通話切替方法は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0144】
加えて、これらのプログラムが、通話切替装置に予め記憶されていてもよい。しかし、コンピュータを、通話切替装置の全部又は一部として動作させ、あるいは、上述の処理を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disk(Disc))BD(Blu-ray Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これをコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0145】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波にプログラムを重畳させて、コンピュータにダウンロード等してプログラムを実行してもよい。
【0146】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0147】
以上説明した本発明の実施形態は、以下に示すような多くの効果を奏する。
【0148】
第1の効果は、通話切替を自動的に判定することができることである。
【0149】
その理由は、VoIP網の帯域が不足している,またはVoIP網の帯域を確保していることを、端末から操作せずに自動的に判定することができるためである。
【0150】
第2の効果は、継続して通話しながら通話切替を行うことができることである。
【0151】
その理由は、予め通話パスを確保することで、切替対象の通話を切り替えることができるためである。
【0152】
第3の効果は、通話切替で公衆網の通話料金を発生させないことができることである。
【0153】
その理由は、VoIP網の通話可能な帯域に迂回接続することができるためである。
【0154】
第4の効果は、通話切替後に接続する公衆網の通話料金を安くすることができることである。
【0155】
その理由は、通話を切り替える際に通話料金の安い公衆用ゲートウェイ装置を選択することができるためである。
【0156】
第5の効果は、通話切替後に公衆網の通話料金を発生させないことができることである。
【0157】
その理由は、公衆網へ通話を切り替え後にVoIP網の帯域を確保していると判断すると、公衆網経由の通話からVoIP網経由の通話に切り替えることができるためである。
【0158】
そして、これらの効果は一般的な技術では奏することができないものであり、本実施形態特有のものである。
【0159】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0160】
(付記1) 公衆網と、前記公衆網とゲートウェイ装置を介して通信可能な構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムの前記通話切替装置において、
切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択手段と、
前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保手段と、
前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替手段と、
を備え、
前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替装置。
【0161】
(付記2) 付記1に記載の通話切替装置において、
前記迂回接続後、前記第1の帯域の使用可能な領域が不足していない状態となった場合に、前記切替対象の端末の通話履歴を参照し、当該切替対象の端末が前記迂回接続を継続している場合には前記第1の帯域を使用した通信に切り戻し、当該迂回接続を終了させることを特徴とする通話切替装置。
【0162】
(付記3) 付記1又は2に記載の通話切替装置において、
前記接続装置選択手段は、選択可能なゲートウェイ装置が複数存在する際に、当該複数ゲートウェイ装置の中から、ゲートウェイ装置を利用して前記公衆網経由で通信した場合に通信料金がもっとも低廉となるゲートウェイ装置を選択することを特徴とする通話切替装置。
【0163】
(付記4) 付記1乃至3の何れか1に記載の通話切替装置において、
前記通信パス確保手段は、
前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかを用いて仮想端末による通信を確立させることにより通信パスを確保し、
前記通話切替手段は、前記仮想端末による通信を前記切替対象の端末による通信へと切り替えることにより前記迂回接続をさせることを特徴とする通話切替装置。
【0164】
(付記5) 付記1乃至4の何れか1に記載の通話切替装置において、
前記構内網内に、使用可能な領域が不足している帯域が存在しているか否かを判定する自動切替判定手段と、
使用可能な領域が不足していると判定された帯域を用いて通信を行っている端末を前記切替対象の端末として選択する端末選択手段と、
を更に備え、
前記切替対象の端末は優先度を低く設定している端末から選択されることを特徴とする通話切替装置。
【0165】
(付記6) 端末間での通信を行う端末及び前記端末が公衆網を介して通信を行うために利用するゲートウェイ装置を含む構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備える通話切替システムにおいて、
前記通話切替装置が付記1乃至5の何れか1に記載の通話切替装置であることを特徴とする通話切替システム。
【0166】
(付記7) 公衆網と、前記公衆網とゲートウェイ装置を介して通信可能な構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムの前記通話切替装置に組み込まれる通話切替プログラムにおいて、
切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択手段と、
前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保手段と、
前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替手段と、
を備え、
前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替プログラム。
【0167】
(付記8) 端末間での通信を行う端末及び前記端末が公衆網を介して通信を行うために利用するゲートウェイ装置を含む構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムが行う通話切替方法において、
切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択ステップと、
前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保ステップと、
前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替ステップと、
を備え、
前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替方法。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、VoIP等に準拠した構内網及び公衆網を利用した通信システムにおいて、端末の通話を確保しながら公衆網の通話料金を低く抑えたい場合に好適である。
【符号の説明】
【0169】
1 VoIPサーバ
2、2000 VoIP網
3 拠点
4 帯域
5、2101 端末
8、2102 仮想端末
9、2103 仮想接続装置
6、2104 公衆用ゲートウェイ装置
7、3000 公衆網
100 データ処理装置
101 動切替判定部
102 端末選択部
103 接続装置選択部
104 通話パス確保部
105 通話切替部
200 データ記憶装置
201 端末記憶領域
202 接続装置記憶領域
203 通話記憶領域
204 帯域記憶領域
205 公衆網記憶領域
201−1 端末記憶領域情報
202−1 接続装置記憶領域情報
203−1 通話記憶領域情報
204−1 帯域記憶領域情報
205−1 公衆網記憶領域情報
1000 通話切替装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆網と、前記公衆網とゲートウェイ装置を介して通信可能な構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムの前記通話切替装置において、
切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択手段と、
前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保手段と、
前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替手段と、
を備え、
前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通話切替装置において、
前記迂回接続後、前記第1の帯域の使用可能な領域が不足していない状態となった場合に、前記切替対象の端末の通話履歴を参照し、当該切替対象の端末が前記迂回接続を継続している場合には前記第1の帯域を使用した通信に切り戻し、当該迂回接続を終了させることを特徴とする通話切替装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の通話切替装置において、
前記接続装置選択手段は、選択可能なゲートウェイ装置が複数存在する際に、当該複数ゲートウェイ装置の中から、ゲートウェイ装置を利用して前記公衆網経由で通信した場合に通信料金がもっとも低廉となるゲートウェイ装置を選択することを特徴とする通話切替装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の通話切替装置において、
前記通信パス確保手段は、
前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかを用いて仮想端末による通信を確立させることにより通信パスを確保し、
前記通話切替手段は、前記仮想端末による通信を前記切替対象の端末による通信へと切り替えることにより前記迂回接続をさせることを特徴とする通話切替装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の通話切替装置において、
前記構内網内に、使用可能な領域が不足している帯域が存在しているか否かを判定する自動切替判定手段と、
使用可能な領域が不足していると判定された帯域を用いて通信を行っている端末を前記切替対象の端末として選択する端末選択手段と、
を更に備え、
前記切替対象の端末は優先度を低く設定している端末から選択されることを特徴とする通話切替装置。
【請求項6】
端末間での通信を行う端末及び前記端末が公衆網を介して通信を行うために利用するゲートウェイ装置を含む構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備える通話切替システムにおいて、
前記通話切替装置が請求項1乃至5の何れか1項に記載の通話切替装置であることを特徴とする通話切替システム。
【請求項7】
公衆網と、前記公衆網とゲートウェイ装置を介して通信可能な構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムの前記通話切替装置に組み込まれる通話切替プログラムにおいて、
切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択手段と、
前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保手段と、
前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替手段と、
を備え、
前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替プログラム。
【請求項8】
端末間での通信を行う端末及び前記端末が公衆網を介して通信を行うために利用するゲートウェイ装置を含む構内網と、前記構内網の状況を管理する通話切替装置と、を備えるシステムが行う通話切替方法において、
切替対象の端末が通信に用いている帯域を第1の帯域とした場合に、当該第1の帯域以外の帯域であって使用可能な領域が不足していない帯域である第2の帯域が前記構内網内に存在するかを確認し、前記第2の帯域が存在した場合は当該第2の帯域を使用するための仮想接続装置を選択し、前記第2の帯域が存在しなかった場合には前記ゲートウェイ装置を選択する接続装置選択ステップと、
前記選択された仮想接続装置を利用する前記構内網経由での通信パス又は前記選択されたゲートウェイ装置を利用する前記公衆網経由での通信パスの何れかの通信パスを確保する通信パス確保ステップと、
前記切替対象の端末が行っている前記通信を中断させることなく、前記切替対象の端末に前記確保した通信パスを利用させることにより迂回接続させ、当該迂回接続後に前記第1の帯域を解放する通話切替ステップと、
を備え、
前記切替対象の端末に、前記公衆網経由での通信パスよりも前記構内網経由での通信パスを優先的に利用させることを特徴とする通話切替方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図5−1】
image rotate

【図5−2】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図7−2】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−175531(P2012−175531A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37199(P2011−37199)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】