説明

通話制御システム、通話制御方法、および通話制御プログラム

【課題】呼情報と音声情報とを分けて取り扱うことを可能とし、効率的な交換処理と設備投資費用の低減とを図る。
【解決手段】受話端末20について通話状態の情報を取得して通話状態フラグデータベース125に格納する通話状態認識部110と、呼情報を受信して作業用記憶装置130に格納する呼情報取得部111と、通話状態が受話可能を示す受話端末20を通話予定受話端末25として特定し通話状態の情報を通話予約済みと更新する通話予定受話端末特定部112と、通話予定受話端末25として特定した受話端末20の電話番号ないし当該受話端末20の属する拠点10に対応付けされた交換局3を通信局400として特定する通信局特定部113と、通話予定受話端末25に対して通話準備指示を通知する通話準備指示部114と、回線開設指示を発信局300に通知する回線開設指示部115とからシステム構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話制御システム、通話制御方法、および通話制御プログラムに関し、その中でも特に、コールセンタ等、オペレータが問い合わせ電話を受け付けるものでの通話制御に関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンタ等にかかってきた電話をオペレータに転送する技術が提案されている。例えば、問い合わせ電話をオペレータ電話へ円滑に配信するとの課題の下、発信元電話から該発信元電話に関する発信元情報が付与された着信信号を受ける通話制御装置と、それぞれが当該通話制御装置に通信可能に接続され且つ相互に異なる発信元情報に関連付けられた複数のオペレータ電話とを有する電話配信システムであって、前記通話制御装置は、相互に異なる発信元情報に対応する各前記オペレータ電話を識別するための電話識別情報を保持し、前記保持されている電話識別情報に基づいて、着信信号の発信元情報に対応するオペレータ電話へ当該着信信号を配信する配信制御部を備えることを特徴とする電話配信システム(特許文献1参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2005−167471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来技術においては、コールセンタ等で全ての発呼を受け付けて、これを単純に分配するだけであって、いわば内線交換機の技術思想と大差ないものであった。したがって呼情報と音声情報とを分けて扱うという思想自体がなく、オペレータが配置された拠点が広範囲にわたって複数あるといった状況においては、コールセンタや各拠点に配置しなければならない各種装置類の規模や数が大きくなりがちであった。
【0004】
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、呼情報と音声情報とを分けて取り扱うことを可能とし、効率的な交換処理と設備投資費用の低減とを図ることのできる、通話制御システム、通話制御方法、および通話制御プログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の通話制御システムは、電話の発呼者と受話者との間の通話回線を確立するに際し、呼情報と音声情報とを別に扱って通話制御を行うものである。
【0006】
また、前記通話制御システムにおいて、発信局が、回線開設指示が示す通信局に対して通話予定受話端末との通話回線の開設を指示するとしてもよい。
【0007】
また、前記通話制御システムにおいて、通信局が通話予定受話端末の属する拠点管理装置との間で通話回線開設用情報を授受し、拠点管理装置が通話予定受話端末に通話回線開設用情報を送るとしてもよい。
【0008】
また、本発明の通話制御システムは、電話の発呼者と受話者との間の通話回線を確立するに際し、呼情報と音声情報とを別に扱って通話制御を行うシステムであって、複数拠点に複数配置された受話者候補の各受話端末について、各拠点の拠点管理装置より通話状態の情報を取得して、これを通話状態フラグデータベースに格納する、通話状態認識部と、発呼者の発呼端末に由来する呼情報を、当該システムに対応付けされた交換局である発信局より受信して発呼端末および発信局の情報を取得し、これを作業用記憶装置に格納する、呼情報取得部と、前記呼情報の受信に応じて前記通話状態フラグデータベースにアクセスし、通話状態が受話可能を示す受話端末を通話予定受話端末として特定し、当該通話予定受話端末の情報を作業用記憶装置に格納すると共に、当該通話予定受話端末に関する通話状態フラグデータベースにおける通話状態の情報を通話予約済みと更新する、通話予定受話端末特定部と、各拠点毎ないし当該拠点の受話端末の電話番号と交換局との対応関係を格納した対応局データベースにアクセスし、前記通話予定受話端末として特定した受話端末の電話番号ないし当該受話端末の属する拠点に対応付けされた交換局を通信局として特定して、この通信局の情報を作業用記憶装置に格納する、通信局特定部と、前記作業用記憶装置にアクセスして通話予定受話端末の情報を取得し、当該通話予定受話端末に対して通話準備指示を通知する、通話準備指示部と、前記通話予定受話端末から、前記通話準備指示に応じた通話準備の完了通知を受信したならば、前記通話状態フラグデータベースにおける該当受話端末の通話状態の情報を通話準備に更新し、前記作業用記憶装置より抽出した通信局および通話予定受話端末の情報を少なくとも含む、前記発信局から通信局を経て通話予定受話端末に至るの間の回線開設指示を、前記発信局に通知する、回線開設指示部と、を備える。
【0009】
また、本発明の通話制御システムにおいて、前記発信局が、前記回線開設指示部より前記回線開設指示を受信し、当該回線開設指示が示す通信局に対して、前記通話予定受話端末との通話回線の開設を指示する、局切替指示部を備えるものであるとすれば好適である。
【0010】
また、本発明の通話制御システムにおいて、前記通信局が、前記発信局より前記通話回線の開設指示を受信し、前記通話予定受話端末の属する拠点管理装置との間で通話回線開設用情報を授受する、開設用情報処理部を備え、前記拠点管理装置が、前記通話回線開設用情報を受けて、該当する通話予定受話端末に通話回線開設用情報を送る、開設用情報送信部を備える、ものであるとすれば好適である。
【0011】
また、本発明の通話制御システムにおいて、通話制御システムと発信局との間、通話制御システムと拠点管理装置との間、および通信局と拠点管理装置との間をそれぞれ結ぶネットワークが、インターネット回線であり、当該インターネット回線を介した通話制御システム、拠点管理装置、発信局、および通信局の各間の情報授受はパケットデータの授受でもって行うものであるとすれば好適である。そのためこの場合、通話制御システム、拠点管理装置、発信局、および通信局のそれぞれは、インターネットプロトコルに沿ったデータ通信が可能な通信機能を備えている。このデータ通信には、通話情報をインターネットを介して送受するインターネット電話の通信も含めることとできる。このインターネット電話は、通話に伴う音声信号をパケットデータに変換し、通信網のインターネットを利用してこれを送受する。したがって、送受する者の間の距離に寄らず低価格で電話サービスを確立できる。特に、通信回線の大容量、高品質化や、音声圧縮技術の進歩などにより、従来の固定電話回線と大差ない高品質な通話も可能となっている。
【0012】
また、本発明の通話制御方法は、電話の発呼者と受話者との間の通話回線を確立するに際し、呼情報と音声情報とを別に扱う通話制御をコンピュータにより行う方法であって、前記コンピュータが、複数拠点に複数配置された受話者候補の各受話端末について、各拠点の拠点管理装置より通話状態の情報を取得して、これを通話状態フラグデータベースに格納し、発呼者の発呼端末に由来する呼情報を、当該システムに対応付けされた交換局である発信局より受信して発呼端末および発信局の情報を取得し、これを作業用記憶装置に格納し、前記呼情報の受信に応じて前記通話状態フラグデータベースにアクセスし、通話状態が受話可能を示す受話端末を通話予定受話端末として特定し、当該通話予定受話端末の情報を作業用記憶装置に格納すると共に、当該通話予定受話端末に関する通話状態フラグデータベースにおける通話状態の情報を通話予約済みと更新し、各拠点毎ないし当該拠点の受話端末の電話番号と交換局との対応関係を格納した対応局データベースにアクセスし、前記通話予定受話端末として特定した受話端末の電話番号ないし当該受話端末の属する拠点に対応付けされた交換局を通信局として特定して、この通信局の情報を作業用記憶装置に格納し、前記作業用記憶装置にアクセスして通話予定受話端末の情報を取得し、当該通話予定受話端末に対して通話準備指示を通知し、前記通話予定受話端末から、前記通話準備指示に応じた通話準備の完了通知を受信したならば、前記通話状態フラグデータベースにおける該当受話端末の通話状態の情報を通話準備に更新し、前記作業用記憶装置より抽出した通信局および通話予定受話端末の情報を少なくとも含む、前記発信局から通信局を経て通話予定受話端末に至るの間の回線開設指示を、前記発信局に通知する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の通話制御プログラムは、電話の発呼者と受話者との間の通話回線を確立するに際し、呼情報と音声情報とを別に扱う通話制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、複数拠点に複数配置された受話者候補の各受話端末について、各拠点の拠点管理装置より通話状態の情報を取得して、これを通話状態フラグデータベースに格納するステップと、発呼者の発呼端末に由来する呼情報を、当該システムに対応付けされた交換局である発信局より受信して発呼端末および発信局の情報を取得し、これを作業用記憶装置に格納するステップと、前記呼情報の受信に応じて前記通話状態フラグデータベースにアクセスし、通話状態が受話可能を示す受話端末を通話予定受話端末として特定し、当該通話予定受話端末の情報を作業用記憶装置に格納すると共に、当該通話予定受話端末に関する通話状態フラグデータベースにおける通話状態の情報を通話予約済みと更新するステップと、各拠点毎ないし当該拠点の受話端末の電話番号と交換局との対応関係を格納した対応局データベースにアクセスし、前記通話予定受話端末として特定した受話端末の電話番号ないし当該受話端末の属する拠点に対応付けされた交換局を通信局として特定して、この通信局の情報を作業用記憶装置に格納するステップと、前記作業用記憶装置にアクセスして通話予定受話端末の情報を取得し、当該通話予定受話端末に対して通話準備指示を通知するステップと、前記通話予定受話端末から、前記通話準備指示に応じた通話準備の完了通知を受信したならば、前記通話状態フラグデータベースにおける該当受話端末の通話状態の情報を通話準備に更新し、前記作業用記憶装置より抽出した通信局および通話予定受話端末の情報を少なくとも含む、前記発信局から通信局を経て通話予定受話端末に至るの間の回線開設指示を、前記発信局に通知するステップと、を備える。
【0014】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、呼情報と音声情報とを分けて取り扱うことを可能とし、効率的な交換処理と設備投資費用の低減とを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態における通話制御システム100を含むネットワーク構成図である。本実施形態におけるネットワークには、例えば、従来から存在する公衆回線網における自動交換機を収容した交換局3と、この交換局3の管轄に属する通話制御システム100と、通話制御システム100が統括する拠点10の拠点管理装置200とが含まれる。そして、通話制御システム100がコールセンタシステムであると想定すれば、コールセンタに電話をかけようと試みる発呼端末5は、まず最寄りの交換局3に接続される。この交換局3は本発明でいう発信局300となって通話制御システム100に呼情報を通知することとなる。従来では、コールセンタとしての通話制御システム100が前記発信局300から受けた前記呼情報を通話待ちとして扱い、その間に適宜に選択した受話端末20に通話回線をつなげるといった処理を行う。
【0017】
しかしながら本発明においては、この呼情報と音声情報とを別々に取り扱って、通話回線については、通話制御システム100が選択した受話端末20とその最寄りの交換局3たる通信局400との間に開設し、この間で音声情報のやりとりを行う処理を実現する。
【0018】
こうした通話制御システム100(以下システム100)は、図1に示すように、本発明の通話制御方法を実行する機能を実現すべく書き換え可能メモリなどのプログラムデータベース101に格納されたプログラム102をメモリ103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。
【0019】
また、前記システム100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類、ディスプレイなどの入出力インターフェイス105、ならびに、拠点管理装置200や発信局300(或いは通信局400)などとの間のデータ授受を担う通信部106などを有している。
【0020】
前記システム100は、前記通信部106により、前記拠点管理装置200や発信局300(或いは通信局400)らと例えばインターネットやLAN、シリアル・インターフェース通信線などのネットワーク140を介して接続し、データ授受を実行する。システム100の各種機能部と通信部106との間ではI/O部107がデータのバッファリングや各種仲介処理を実行している。
【0021】
続いて、前記システム100が、例えばプログラム102に基づき構成・保持する機能部につき説明を行う。前記システム100は、複数拠点10に複数配置された受話者候補の各受話端末20について、各拠点10の拠点管理装置200より通話状態の情報を取得して、これを通話状態フラグデータベース125に格納する、通話状態認識部110を備える。
【0022】
また前記システム100は、発呼者の発呼端末5に由来する呼情報を、当該システムに対応付けされた交換局3である発信局300より受信して発呼端末5および発信局300の情報を取得し、これを作業用記憶装置130に格納する、呼情報取得部111を備える。
【0023】
また前記システム100は、前記呼情報の受信に応じて前記通話状態フラグデータベース125にアクセスし、通話状態が受話可能を示す受話端末20を通話予定受話端末25として特定し、当該通話予定受話端末25の情報を作業用記憶装置130に格納すると共に、当該通話予定受話端末25に関する通話状態フラグデータベース125における通話状態の情報を通話予約済みと更新する、通話予定受話端末特定部112を備える。
【0024】
また前記システム100は、各拠点毎ないし当該拠点10の受話端末20の電話番号と交換局3との対応関係を格納した対応局データベース126にアクセスし、前記通話予定受話端末25として特定した受話端末20の電話番号ないし当該受話端末20の属する拠点10に対応付けされた交換局3を通信局400として特定して、この通信局400の情報を作業用記憶装置130に格納する、通信局特定部113を備える。
【0025】
また前記システム100は、前記作業用記憶装置130にアクセスして通話予定受話端末25の情報を取得し、当該通話予定受話端末25に対して通話準備指示を通知する、通話準備指示部114を備える。
【0026】
また前記システム100は、前記通話予定受話端末25から、前記通話準備指示に応じた通話準備の完了通知を受信したならば、前記通話状態フラグデータベース125における該当受話端末20の通話状態の情報を通話準備に更新し、前記作業用記憶装置130より抽出した通信局400および通話予定受話端末25の情報を少なくとも含む、前記発信局300から通信局400を経て通話予定受話端末25に至るの間の回線開設指示を、前記発信局300に通知する、回線開設指示部115を備える。
【0027】
また前記システム100において、前記通信局400は、前記発信局300より前記通話回線の開設指示を受信し、前記通話予定受話端末25の属する拠点管理装置200との間で通話回線開設用情報を授受する、開設用情報処理部410を備えるものであるとすれば好適である。この場合、前記拠点管理装置200は、前記通話回線開設用情報を受けて、該当する通話予定受話端末25に通話回線開設用情報を送る、開設用情報送信部210を備えるものとする。
【0028】
また、本発明の通話制御システムにおいて、前記発信局300は、前記回線開設指示部115より前記回線開設指示を受信し、当該回線開設指示が示す通信局400に対して、前記通話予定受話端末25との通話回線の開設を指示する、局切替指示部310を備えるものであるとすれば好適である。
【0029】
また、本発明の通話制御システム100において、当該通話制御システム100と発信局300との間、通話制御システム100と拠点管理装置200との間、および通信局400と拠点管理装置200との間をそれぞれ結ぶネットワーク140が、インターネット回線であると想定する。この場合、このインターネット回線を介した通話制御システム100、拠点管理装置200、発信局300、および通信局400の各間の情報授受はパケットデータの授受でもって行うものとする。そのためこの場合、通話制御システム100、拠点管理装置200、発信局300、および通信局400のそれぞれは、インターネットプロトコルに沿ったデータ通信が可能な通信機能を備えている。また、通話制御システム100、拠点管理装置200、発信局300、および通信局400のそれぞれは、インターネットを通じたデータ通信の際に必要となる自身のアドレス(例:IPアドレス、MACアドレスなど)を備えているものとする。
【0030】
このデータ通信には、通話情報をインターネットを介して送受するインターネット電話の通信も含めることとできる。このインターネット電話は、通話に伴う音声信号をパケットデータに変換し、通信網のインターネットを利用してこれを送受する。したがって、送受する者の間の距離に寄らず低価格で電話サービスを確立できる。特に、通信回線の大容量、高品質化や、音声圧縮技術の進歩などにより、従来の固定電話回線と大差ない高品質な通話も可能となっている。
【0031】
また、前記拠点管理装置200は、本発明の通話制御方法におけるシステム100と協働する機能を実現すべく書き換え可能メモリなどのプログラムデータベース201に格納されたプログラム202をメモリ203に読み出し、演算装置たるCPU204により実行する。また、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類、ディスプレイなどの入出力インターフェイス205、ならびに、前記システム100との間のデータ授受を担う通信部206などを有している。
【0032】
前記拠点管理装置200は、前記通信部206により、前記システム100と例えばインターネットやLAN、シリアル・インターフェース通信線などのネットワーク140を介して接続し、データ授受を実行する。拠点管理装置200の各種機能部と通信部206との間ではI/O部207がデータのバッファリングや各種仲介処理を実行している。また、こうした拠点管理装置200は、例えばプログラム202に基づき構成・保持する機能部として、前記開設用情報送信部210を備える。
【0033】
また、前記交換局3の一つである発信局300は、本発明の通話制御方法における処理の実行機能を実現すべく書き換え可能メモリなどのプログラムデータベース301に格納されたプログラム302をメモリ303に読み出し、演算装置たるCPU304により実行する。また、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類、ディスプレイなどの入出力インターフェイス305、ならびに、前記システム100との間のデータ授受を担う通信部306などを有している。
【0034】
前記発信局300は、前記通信部306により、前記システム100と例えばインターネットやLAN、シリアル・インターフェース通信線などのネットワーク140を介して接続し、データ授受を実行する。発信局300の各種機能部と通信部306との間ではI/O部307がデータのバッファリングや各種仲介処理を実行している。また、発信局300は、例えばプログラム302に基づき構成・保持する機能部として、前記回線開設指示部115より前記回線開設指示を受信し、当該回線開設指示が示す通信局400に対して、前記通話予定受話端末25との通話回線の開設を指示する、局切替指示部310を備える。
【0035】
また、前記交換局3の一つである通信局400は、本発明の通話制御方法における処理の実行機能を実現すべく書き換え可能メモリなどのプログラムデータベース401に格納されたプログラム402をメモリ403に読み出し、演算装置たるCPU404により実行する。また、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類、ディスプレイなどの入出力インターフェイス405、ならびに、前記システム100との間のデータ授受を担う通信部406などを有している。
【0036】
前記通信局400は、前記通信部406により、前記システム100と例えばインターネットやLAN、シリアル・インターフェース通信線などのネットワーク140を介して接続し、データ授受を実行する。通信局400の各種機能部と通信部406との間ではI/O部407がデータのバッファリングや各種仲介処理を実行している。また、通信局400は、例えばプログラム402に基づき構成・保持する機能部として、前記発信局300より前記通話回線の開設指示を受信し、前記通話予定受話端末25の属する拠点管理装置200との間で通話回線開設用情報を授受する、開設用情報処理部410を備える。
【0037】
なお、これまで示した システム100における各機能部110〜115、拠点管理装置200における開設用情報送信部210、発信局300における局切替指示部310ら通信局400における開設用情報処理部410は、ハードウェアとして実現してもよいし、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、各装置のCPUがプログラム実行に合わせて記憶装置より該当プログラムをメモリに読み出して、これを実行することとなる。
【0038】
また、前記発呼端末5、受話端末20(通話予定受話端末25)らは、通常の電話機を想定する。或いは、電話機能を備えたコンピュータであるとしてもよい。
【0039】
また、前記ネットワーク140に関しては、インターネットの他、LAN、専用回線、WAN(Wide Area Network)、電灯線ネットワーク、無線ネットワーク、公衆回線網、携帯電話網、シリアル・インターフェース通信線など様々なネットワークを採用することも出来る。また、VPN(Virtual Private Network)など仮想専用ネットワーク技術を用いれば、インターネットを採用した際にセキュリティ性を高めた通信が確立され好適である。なお、前記シリアル・インターフェイスは、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送で、外部機器と接続するためのインターフェースを指し、通信方式としてはRS−232C、RS−422、IrDA、USB、IEEE1394、ファイバ・チャネルなどが想定できる。
【0040】
−−−データベース構造−−−
次に、本実施形態における通話制御システム100が利用するデータベースの構造について説明する。図2は、本実施形態における、(a)通話状態フラグデータベース125、(b)対応局データベース126の各データ構造例を示す図である。
【0041】
前記通話状態フラグデータベース125は、システム100とネットワーク140で結ばれて複数存在する拠点10に複数配置された受話者候補(例:オペレータなど)の各受話端末20について、その通話状態の情報を格納するデータベースであり、例えば拠点10のIDをキーとして、拠点管理装置200のID、受話端末20のID、「通話可能」、「通話中」、「通話予約済み」、「通話準備」、「通話待ち」などの通話状態フラグといった情報を関連づけたレコードの集合体となっている。
【0042】
また、前記対応局データベース126は、各拠点毎ないし当該拠点10の受話端末20の電話番号と交換局3との対応関係を格納するデータベースであり、例えば交換局3のIDをキーとして、拠点10のID、受話端末20の電話番号といった情報を関連づけたレコードの集合体となっている。
【0043】
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態における通話制御方法の実際手順について、図に基づき説明する。なお、以下で説明する通話制御方法に対応する各種動作は、主として前記システム100がメモリ103に読み出して実行するプログラム102によって実現される。そして、このプログラム102は、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。勿論、システム100の処理に際して、前記拠点管理装置200、発信局300、通信局400らがそれぞれの役割を果たす機能を実現するプログラムを、それぞれのメモリに読み出して実行する。
【0044】
図3は、本実施形態の通話制御方法の実施手順例を示すフロー図である。ここでシステム100は、複数存在する拠点10に複数配置された受話者候補(オペレータ)の各受話端末20について、各拠点10の拠点管理装置200より、例えば現在話中なので「通話中」であるとか、どこかの発呼端末5と「通話予約済み」であるといった具合の、通話状態の最新情報を定期的に取得して(s1000)、これを通話状態フラグデータベース125に格納しているものとする(s1001)。これにより、システム100は、管理する各拠点10における受話端末20の通話状態を常に認識することができているという訳である。この通話状態の情報は、拠点10においては拠点管理装置200が受話端末20に問い合わせして確認し、その確認結果を保持しているとしてもよいし、受話端末20が自身で通話状態を認識してその情報を保持し、拠点管理装置200を介したシステム100からの問合わせに対して、受話端末20がその通話状態の情報を返すとしてもよい。この場合、受話端末20は単なる電話機の機能だけでなく通話状態を判断するコンピュータ機能が備わっている。
【0045】
こうした状況が続いているあるタイミングで、例えばコールセンタとして一般に周知されているシステム100に対し、発呼者が発呼端末5を持って電話してくるとする。この時、発呼端末5は、その受話器があがったタイミングでもって最寄りの交換局3に接続され、この交換局3が発信局300となる。この発信局300は前記発呼端末5からのダイヤリングに伴う電話番号情報等を呼情報として受け付けて(s1002)、これに該当する当該システム100へと前記呼情報を通知する(s1003)。
【0046】
前記システム100は、発呼者の発呼端末5に由来する前記呼情報を、当該システムに対応付けされた前記交換局3である発信局300より受信する(s1004)。そして、呼情報より発呼端末5の電話番号や発信局300の局番といった情報を取得し、これを作業用記憶装置130に格納する(s1005)。
【0047】
ここで前記システム100は、前記呼情報の受信に応じて前記通話状態フラグデータベース125にアクセスし、通話状態が「受話可能」を示す受話端末20を通話予定受話端末25として特定する(s1006)。この「受話可能」とは、受話端末20が話中でもなく、「通話予約済み」でもなく、「通話準備中」でもなく、「通話待ち」でもない、つまり全くのフリーである状態を指す。そしてシステム100は、当該通話予定受話端末25の情報を作業用記憶装置130に格納すると共に(s1007)、当該通話予定受話端末25に関する通話状態フラグデータベース125における通話状態の情報を「通話予約済み」と更新する(s1008)。これにより、前記通話予定受話端末25は、前記発呼端末5との通話予約済みとなり、この発呼端末5との通話が済むか、通話予約状態が解消されるまでは他の発呼端末5との通話は行わない状態となる。
【0048】
続いて前記システム100は、前記対応局データベース126にアクセスし、前記通話予定受話端末25として特定した受話端末20の電話番号ないし当該受話端末20の属する拠点10に対応付けされた交換局3を通信局400として特定する(s1009)。例えば、通話予定受話端末25の電話番号(IPアドレス等のネットワークアドレスであってもよい)が、「03-ABCD-EFGH」だったとする。この時、市内局番の「ABCD」を管轄する交換局3が通信局400として特定されることとなる。こうして特定された通信局400については、システム100はその情報を作業用記憶装置130に格納する(s1010)。
【0049】
また前記システム100は、前記作業用記憶装置130にアクセスして通話予定受話端末25の情報を取得し、当該通話予定受話端末25に対して通話準備指示を通知する(s1011)。なおこの処理は、前記通話準備指示部114が、前記通話予定受話端末25に対応する拠点管理装置200に前記通話準備指示を通知することで実行できる。或いは、この通話準備指示部114の機能を、通話予定受話端末25が属する拠点10の拠点管理装置200が備えて前記処理を実行することもできる。
【0050】
この通話準備指示を受信した、拠点管理装置200ないし通話予定受話端末25は(s1012)、適宜な通話準備を実行し(s1013)、通話準備完了の通知をシステム100に宛てて発信する(s1014)。
【0051】
システム100は、前記通話予定受話端末25ないし拠点管理装置200から、前記通話準備指示に応じた通話準備の完了通知を受信し(s1015)、前記通話状態フラグデータベース125における該当受話端末20の通話状態の情報を「通話準備」に更新する(s1016)。
【0052】
そしてシステム100は、前記作業用記憶装置130より抽出した通信局400および通話予定受話端末25の情報(例:電話番号や局番等)を少なくとも含む、発信局300から前記通信局400を経て通話予定受話端末25に至る間の回線開設指示を、前記発信局300に通知する(s1017)。前記発信局300は、この回線開設指示を受信し(s1018)、当該回線開設指示が示す通信局400に対して、前記通話予定受話端末25との通話回線の開設を指示する(s1019)。この処理により、前記発呼端末5から発信局300、そして発信局300から通信局400に至るまでの通話回線が確保される。
【0053】
一方、前記通信局400は、前記発信局300より前記通話回線の開設指示を受信し(s1020)、前記通話予定受話端末25の属する拠点管理装置200との間で通話回線開設用情報を授受するなどして回線開設処理を行う(s1021)。なおこの処理は、交換局3と受話端末20との間の通話回線開設に際して行われている従来処理と同様のものを想定する。
【0054】
他方、前記拠点管理装置200は、前記通話回線開設用情報を前記通信局400より受けて(s1022)、該当する通話予定受話端末25に通話回線開設用情報を送る(s1023)。こうして前記発呼端末5と受話端末20との通話が、発呼端末5〜発信局300〜通信局400〜受話端末20の通話回線でもって開始可能な状態となる。この通話予定受話端末25たる受話端末20は「通話待ち」状態であり、担当のオペレータが受話器を持ち上がれてフックが上がれば、前記発呼端末5との通話が開始される。
【0055】
本発明によれば、呼情報と音声情報とを分けて取り扱うことを可能とし、効率的な交換処理と設備投資費用の低減とを図ることができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態における通話制御システムを含むネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態における、(a)通話状態フラグデータベース、(b)対応局データベースの各データ構造例を示す図である。
【図3】本実施形態の通話制御方法の実施手順例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0058】
3 交換局
5 発呼端末
10 拠点
20 受話端末
25 通話予定受話端末
100 通話制御システム、システム
101、201、301、401 プログラムデータベース
102、202、302、402 プログラム
103、203、303、403 メモリ
104、204、304、404 CPU
105、205、305、405 入出力インターフェイス
106、206、306、406 通信部
107、207、307、408 I/O部
110 通話状態認識部
111 呼情報取得部
112 通話予定受話端末特定部
113 通信局特定部
114 通話準備指示部
115 回線開設指示部
125 通話状態フラグデータベース
126 対応局データベース
130 作業用記憶装置
140 ネットワーク
200 拠点管理装置
210 開設用情報送信部
300 発信局
310 局切替指示部
400 通信局
410 開設用情報処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話の発呼者と受話者との間の通話回線を確立するに際し、呼情報と音声情報とを別に扱って通話制御を行うシステムであって、
複数拠点に複数配置された受話者候補の各受話端末について、各拠点の拠点管理装置より通話状態の情報を取得して、これを通話状態フラグデータベースに格納する、通話状態認識部と、
発呼者の発呼端末に由来する呼情報を、当該システムに対応付けされた交換局である発信局より受信して発呼端末および発信局の情報を取得し、これを作業用記憶装置に格納する、呼情報取得部と、
前記呼情報の受信に応じて前記通話状態フラグデータベースにアクセスし、通話状態が受話可能を示す受話端末を通話予定受話端末として特定し、当該通話予定受話端末の情報を作業用記憶装置に格納すると共に、当該通話予定受話端末に関する通話状態フラグデータベースにおける通話状態の情報を通話予約済みと更新する、通話予定受話端末特定部と、
各拠点毎ないし当該拠点の受話端末の電話番号と交換局との対応関係を格納した対応局データベースにアクセスし、前記通話予定受話端末として特定した受話端末の電話番号ないし当該受話端末の属する拠点に対応付けされた交換局を通信局として特定して、この通信局の情報を作業用記憶装置に格納する、通信局特定部と、
前記作業用記憶装置にアクセスして通話予定受話端末の情報を取得し、当該通話予定受話端末に対して通話準備指示を通知する、通話準備指示部と、
前記通話予定受話端末から、前記通話準備指示に応じた通話準備の完了通知を受信したならば、前記通話状態フラグデータベースにおける該当受話端末の通話状態の情報を通話準備に更新し、前記作業用記憶装置より抽出した通信局および通話予定受話端末の情報を少なくとも含む、前記発信局から通信局を経て通話予定受話端末に至るの間の回線開設指示を、前記発信局に通知する、回線開設指示部と、
を備える通話制御システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記発信局が、前記回線開設指示部より前記回線開設指示を受信し、当該回線開設指示が示す通信局に対して、前記通話予定受話端末との通話回線の開設を指示する、局切替指示部を備えるものであることを特徴とする通話制御システム。
通話制御方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記通信局が、前記発信局より前記通話回線の開設指示を受信し、前記通話予定受話端末の属する拠点管理装置との間で通話回線開設用情報を授受する、開設用情報処理部を備え、
前記拠点管理装置が、前記通話回線開設用情報を受けて、該当する通話予定受話端末に通話回線開設用情報を送る、開設用情報送信部を備える、ものであることを特徴とする通話制御システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
通話制御システムと発信局との間、通話制御システムと拠点管理装置との間、および通信局と拠点管理装置との間をそれぞれ結ぶネットワークが、インターネット回線であり、当該インターネット回線を介した通話制御システム、拠点管理装置、発信局、および通信局の各間の情報授受はパケットデータの授受でもって行うものであることを特徴とする通話制御システム。
【請求項5】
電話の発呼者と受話者との間の通話回線を確立するに際し、呼情報と音声情報とを別に扱う通話制御をコンピュータにより行う方法であって、前記コンピュータが、
複数拠点に複数配置された受話者候補の各受話端末について、各拠点の拠点管理装置より通話状態の情報を取得して、これを通話状態フラグデータベースに格納し、
発呼者の発呼端末に由来する呼情報を、当該システムに対応付けされた交換局である発信局より受信して発呼端末および発信局の情報を取得し、これを作業用記憶装置に格納し、
前記呼情報の受信に応じて前記通話状態フラグデータベースにアクセスし、通話状態が受話可能を示す受話端末を通話予定受話端末として特定し、当該通話予定受話端末の情報を作業用記憶装置に格納すると共に、当該通話予定受話端末に関する通話状態フラグデータベースにおける通話状態の情報を通話予約済みと更新し、
各拠点毎ないし当該拠点の受話端末の電話番号と交換局との対応関係を格納した対応局データベースにアクセスし、前記通話予定受話端末として特定した受話端末の電話番号ないし当該受話端末の属する拠点に対応付けされた交換局を通信局として特定して、この通信局の情報を作業用記憶装置に格納し、
前記作業用記憶装置にアクセスして通話予定受話端末の情報を取得し、当該通話予定受話端末に対して通話準備指示を通知し、
前記通話予定受話端末から、前記通話準備指示に応じた通話準備の完了通知を受信したならば、前記通話状態フラグデータベースにおける該当受話端末の通話状態の情報を通話準備に更新し、前記作業用記憶装置より抽出した通信局および通話予定受話端末の情報を少なくとも含む、前記発信局から通信局を経て通話予定受話端末に至るの間の回線開設指示を、前記発信局に通知する、ことを特徴とする通話制御方法。
【請求項6】
電話の発呼者と受話者との間の通話回線を確立するに際し、呼情報と音声情報とを別に扱う通話制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
複数拠点に複数配置された受話者候補の各受話端末について、各拠点の拠点管理装置より通話状態の情報を取得して、これを通話状態フラグデータベースに格納するステップと、
発呼者の発呼端末に由来する呼情報を、当該システムに対応付けされた交換局である発信局より受信して発呼端末および発信局の情報を取得し、これを作業用記憶装置に格納するステップと、
前記呼情報の受信に応じて前記通話状態フラグデータベースにアクセスし、通話状態が受話可能を示す受話端末を通話予定受話端末として特定し、当該通話予定受話端末の情報を作業用記憶装置に格納すると共に、当該通話予定受話端末に関する通話状態フラグデータベースにおける通話状態の情報を通話予約済みと更新するステップと、
各拠点毎ないし当該拠点の受話端末の電話番号と交換局との対応関係を格納した対応局データベースにアクセスし、前記通話予定受話端末として特定した受話端末の電話番号ないし当該受話端末の属する拠点に対応付けされた交換局を通信局として特定して、この通信局の情報を作業用記憶装置に格納するステップと、
前記作業用記憶装置にアクセスして通話予定受話端末の情報を取得し、当該通話予定受話端末に対して通話準備指示を通知するステップと、
前記通話予定受話端末から、前記通話準備指示に応じた通話準備の完了通知を受信したならば、前記通話状態フラグデータベースにおける該当受話端末の通話状態の情報を通話準備に更新し、前記作業用記憶装置より抽出した通信局および通話予定受話端末の情報を少なくとも含む、前記発信局から通信局を経て通話予定受話端末に至るの間の回線開設指示を、前記発信局に通知するステップと、
を備える通話制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−158938(P2007−158938A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353621(P2005−353621)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】