説明

通過位置表示システム、その端末装置、プログラム

【課題】ユーザがレース状況をほぼリアルタイムで容易に把握できるようにする。
【解決手段】
GPSサーバ20は、各移動体の識別情報と実測位置情報を含む位置情報24を、随時、各在席端末10へ送信する。各在席端末10は、表示画面作成部14等が、実測位置情報をモニタ19の画面上の座標に変換して、この座標に各移動体を示す画像を表示する。また、その在席端末10のユーザによって投票された移動体の画像は、他の移動体の画像とは表示形態を変えて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競馬/競輪/競艇/オートレース等の競走イベント場における通過位置表示の為のシステム、方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
国内では、例えば競馬/競輪/競艇/オートレース等の何らかの競走イベントが、毎週のように何処かで開催されている。この様な競走イベントの顧客にとって、自分が応援している(投票している)対象の順位は、非常に大事である。
【0003】
この様な分野に関して、例えば特許文献1,2等に開示されている従来技術が存在する。
【0004】
特許文献1には、競馬に関して、レース結果が印刷される印刷物について、特定の競走馬の各所定位置(例えば第1コーナー〜最終コーナーまでの各コーナー)における走行位置(順位と先頭馬からの距離;何馬身差か)を、上記印刷物に印刷することが開示されている。特に、記録スペースをそれほど要することなく、一瞥で視認可能な状態で印刷することが開示されている。また、上記各所定位置における走行位置は、競馬場に設置されている4つのコーナーの鉄塔と正面からの俯瞰パトロ−ル写真から容易に起こすことができる旨の記載もある。
【0005】
特許文献2の発明は、陸上、スケート、自転車等の周回を重ねる競技において、着順判定に必要な各競技者のフィニッシュのスリット映像に関して、本当のフィニッシュか周回遅れであるかを、素早く判断できるようにする発明である。
【0006】
その為に、特許文献2の発明では、先頭の競技者が周回を重ねる時に、判定者がグリップスイッチをONすることにより、周回カウント装置が周回番号と各周回を区別するマークを記憶装置に入力する。また、周回遅れの競技者が周回を重ねる時に、判定員がグリップスイッチをONすることにより、周回遅れ入力装置が周回遅れを区別するマークを記憶装置に入力する。その後、各競技者のフィニッシュ時と任意の条件で抽出された周回時のスリット映像を、CRTモニタに分割表示させ、着順判定を容易に行えるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−181161号公報
【特許文献2】特開2000−244901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1は、レース終了後に、レース中の俯瞰パトロ−ル写真等に基づいて、各所定位置における走行位置を、人間が判断するものである。そして、判定結果を印刷物に印刷するものである。
【0009】
また、上記特許文献2も、レース終了後に、フィニッシュ時や途中(周回時)の映像に基づいて、各競技者の着順を人間が判断するものである。そして、人間が判断し易くすることを特徴としているものである。
【0010】
この様に、特許文献1,2は、何れも、レース終了後に、レース中やフィニッシュ時に撮影された写真等に基づいて、人間が着順や途中の順位を判定するものであり、自動的に順位を判定するものではない。
【0011】
また、特許文献1では、レース後に生成される印刷物において、レース途中の走行位置を印刷するのであり、これは後に過去のレース内容を詳細に分析することで、新たなレース展開を予想するのに役立てるものである。
【0012】
一方、レース中にリアルタイムでレース状況(途中の順位や先頭との距離、内側走行か外側走行か、追い上げているのか等)を知りたいという要望がある。上記の通り、特許文献1,2は、レース後に係わるものであり、この様な“レース中にリアルタイムで”という要望には、全く応えられない。
【0013】
また、例えば競馬等に関しては、レース途中は密集状態となる場合が多く、競馬場で実際に見ている場合も、テレビ中継を見ている場合も、その人が注目している(馬券を買っている等)競走馬が、何処にいるのか、分かり難い場合が少なくない。また、テレビ中継の場合、その人が注目している競走馬が、常に写っているわけでない。
【0014】
本発明の課題は、レース中にほぼリアルタイムでレース状況を示す画面を表示して、ユーザがレース状況をほぼリアルタイムで把握できるようにし、特にユーザが注目する移動体に係るレース状況を容易に分かり易く把握できるようにする通過位置表示システム、その端末装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の通過位置表示システムは、レース対象の移動体の位置を表示する端末装置と、
前記移動体がレースを行う走行路に設けられ、レース対象となる各移動体から無線送信されてくる該各移動体の識別情報と実測位置情報を受信するセンサ受信部と、レース中に随時、前記センサ受信部で受信した各移動体の識別情報と実測位置情報を取得して、該各移動体の識別情報と実測位置情報を前記端末装置へ送信するサーバ装置とを有し、前記端末装置は、該端末装置の利用者による前記移動体への投票内容を示す投票データを取得する投票データ取得手段と、画面上に前記各移動体を示す表示画像である移動体表示画像を表示する手段であって、前記各移動体の識別情報と実測位置情報を受信すると、該実測位置情報を画面上の表示座標に変換して、該表示座標に前記識別情報に対応する移動体の前記移動体表示画像を表示すると共に、前記投票データを参照し、前記利用者が投票した移動体の前記移動体表示画像を、他の移動体の移動体表示画像とは異なる表示形態で表示する位置表示手段とを有する。
【0016】
上記通過位置表示システムでは、各端末装置は、レース中、随時、各移動体の現在位置を実測した実測位置情報等を取得し、これを画面上の座標に変換して移動体表示画像を表示することで、ほぼリアルタイムで、視覚的に各移動体の現在位置が分かり易い表示を行える。また、利用者が注目している移動体の移動体表示画像の表示は、他の移動体の移動体表示画像とは異なる表示形態で表示されるので、利用者にとって自己が注目している移動体の現在の状況が分かり易くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の通過位置表示システム、その端末装置等によれば、レース中にほぼリアルタイムでレース状況を示す画面を表示して、ユーザがレース状況をほぼリアルタイムで把握できるようにし、特にユーザが注目する移動体に係るレース状況を容易に分かり易く把握できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本例の通過位置表示システム全体の概略構成図である。
【図2】GPSサーバ、在席端末の機能ブロック図である。
【図3】(a)、(b)は、モニタに表示させる通過位置確認画面の一例を示す図である。
【図4】GPSサーバの処理フローチャート図である。
【図5】在席端末の処理フローチャート図である。
【図6】(a)〜(d)は、在席端末の各種記憶部のデータ構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に、本例の通過位置表示システム全体の概略構成を示す。
図1には、まず、例えば競馬/競輪/競艇/オートレース等の何らかの競走イベントが開催されている場所(競走イベント場と呼ぶ)におけるスタンド(客席)や走行路(トラック)を示してある。走行路(トラック)は、図示の例では楕円形である。また、走行路(トラック)上に示してある1〜8までの番号が付された丸は、レース中の移動体を意味する。尚、移動体とは、競走馬、自転車、バイク、艇等(当然、人間も乗っているが、人間については逐一言及しない)である。1〜8までの番号は、移動体の識別番号であり、移動体が例えば競走馬であれば馬番等である。尚、当然、これは説明の為の表記であり、実際には競走馬、自転車、バイク、艇等の移動体が、走行していることになる。一方、後述する図3(a)に示す同様の表記は、実際の表示例を示している。
【0020】
そして、図1に示す本例の通過位置表示システムでは、まず、レース場(競馬場等)の各所に、センサ受信装置1を設けている。これは、図示のように、上記走行路(トラック)に沿って多数設置されるものであり、図示の例ではトラックの外側に設置されるが、この例に限らない。図示の例ではトラックに沿って12箇所にセンサ受信装置1を設けている。尚、図示の例では、ゴールにはセンサ受信装置1を設けていないが、センサ受信装置1をゴールにも設けるようにしてもよい。これによって、レース中におけるレース状況(途中の順位等)だけでなく、レース結果(ゴール通過時の順位等)を表示させることも可能となる。
【0021】
図1に示す本例の通過位置表示システムは、更に図示のGPSサーバ20と複数の在席端末10を有している。GPSサーバ20と複数の在席端末10は、不図示のネットワーク(LAN等)に接続しており、このネットワークを介して相互にデータ送受信等可能となっている。また、GPSサーバ20は、各センサ受信装置1とネットワーク接続している。GPSサーバ20と在席端末10については、後に図2を参照して詳しく説明する。
【0022】
ここで、在席端末10は、競馬場等において顧客に貸与される(一人に一台が貸与される)小型コンピュータ装置であり、この様なものは実際に存在する(例えば“在席投票”の専用端末等)。そして、既存の在席端末の機能としては、例えばネットワークを介してホストコンピュータ等に接続して、ユーザが、レース実況やパドックの動画を表示させたり、レースに関する各種情報を取得したり、オンラインで投票(馬券の購入等)を行うことができるようにするものである。レースに関する各種情報とは、例えば出走する競走馬の馬番と馬名と体重等や、現在のオッズ(倍率)などである。本例の在席端末10は、この様な既存の機能に加えて、更に、レース中においてリアルタイムでレース状況が容易に分かるような画面表示を行う機能も備える。詳しくは後述する。
【0023】
また、図示していないが、レース中の各移動体には、この移動体の識別情報等を含む電波信号を発信する電波発信機を搭載させている。この電波発信機が送信する電波信号は、上記複数のセンサ受信装置1のうち移動体の近くにあるセンサ受信装置1が受信する。各センサ受信装置1は、GPSサーバ20とネットワークで接続しており、上記電波信号のデータ(上記識別情報等)を、ネットワークを介してGPSサーバ20へ送信する。
【0024】
尚、各センサ受信装置1には、予め固有の識別ID(受信装置IDと呼ぶものとする)が任意に割り当てられて記憶されていてもよい。そして、各センサ受信装置1は、上記電波信号のデータ(上記識別情報等)をGPSサーバ20へ送信する際に、自装置の受信装置IDも一緒に送信してもよい。但し、これは一例であり、この例に限らない。本手法の場合は、GPSサーバ20や在席端末10側で送信元のセンサ受信装置1を識別できなくても特に問題はない。
【0025】
尚、上記電波発信機は、例えば競馬の場合には競走馬に搭載し(騎手に搭載してもよい)、競艇の場合にはボートに搭載することになる(操縦者に搭載してもよい)。
【0026】
ここで、上記複数のセンサ受信装置1、不図示の電波発信機から成る構成自体は、例えば参考文献(特開2006−259967号公報)に記載の構成を用いてもよく、つまり既存の構成であってよい。すなわち、電波発信機は、例えばアクティブ型の(電池内蔵の)RFID(Radio Frequency Identification)で使用されるタグ等である。この場合、当然、センサ受信装置1も、RFID用の受信装置となる。但し、この例に限るものではなく、電波発信機は、例えば特定小電力無線機等であってもよく、近距離の無線でデータ送信できるものであれば何でもよい。尚、よく知られているように、アクティブ型のRFIDタグは、電池内蔵のタグであり、よって所謂“パッシブタグ”に比べれば通信距離を長くすることができる(数十メートル程度は可能である)。
【0027】
但し、参考文献ではトラックに沿って各所に設けられる受信装置(発信電波読取機)は、各所毎にトラックの内側と外側とに設ける必要がある(各所に1対の発信電波読取機が設置される)。これに対して、本例のシステムでは、図示のように各所毎に1つのセンサ受信装置1を設ければ済む。尚、図示の例ではトラックの外側のみに設けているが、これは一例であり、例えば内側のみに設けるようにしてもよい。
【0028】
また、本例のシステムにおいては、移動体に更にGPS受信機を搭載させるものとする。そして、上記電波発信機は、移動体の識別情報だけでなくGPS受信機で測定したGPSデータ(緯度・経度)も含む電波信号を発信するものとする。
【0029】
図2は、上記GPSサーバ20、在席端末10の機能ブロック図である。
図示の例では、GPSサーバ20は、受信処理部21、データ処理部22、送信処理部23を有する。受信処理部21は、上記不図示の有線を介して全てのセンサ受信装置1と接続しており、任意のセンサ受信装置1から送信されてくる任意のセンサ情報(上記移動体の識別情報、移動体の現在位置を示すGPSデータ等)を受信して、これをデータ処理部22に渡す。
【0030】
尚、上記センサ情報における上記移動体の現在位置を示すGPSデータは、GPS受信機等で実際に計測した位置情報であるので、「実測位置情報」と呼ぶ場合もあるものとする。
【0031】
データ処理部22は、例えば後述する図4の処理を実行することで、受信処理部21から渡された各センサ情報をまとめたもの(例えばレース中の全ての移動体のセンサ情報;図示の位置情報24)を、送信処理部23を介して各在席端末10へ送信する。送信処理部23は、上記不図示のネットワークに接続している通信機能部等である。
【0032】
尚、GPSサーバ20は、ハードウェア構成としては一般的なサーバ装置の構成であり、CPU、メモリ、ハードディスク等の記憶装置、通信部等(何れも不図示)を有している。上記データ処理部22等の処理機能(後述する図4の処理等)は、不図示のハードディスク等に予め記憶されているアプリケーションプログラムを、不図示のCPUが読出し・実行することにより実現される。
【0033】
在席端末10は、例えばスタンド内の所定のエリアに設けられる、コンピュータ装置等である。
在席端末10は、図示の例では、ホスト受信部11、配当金情報記憶部12、GPSサーバ受信処理部13、表示画面作成部14、出力処理部15、色データ記憶部16、座標データ記憶部17、投票データ記憶部18、モニタ19等を有する。尚、これは本手法に係る各種機能部を示しており、特に図示・説明しないが、上記既存の在席端末の既存の機能を実現する各種機能部も存在してもよい(但し、必ずしも存在しなくてよい)。よって、例えば、在席端末10からオンラインで投票(例えば馬券の購入)を行うことも可能である。
【0034】
在席端末10は、ハードウェア構成としては一般的なパソコン等と略同様であってよく、CPU、メモリ、ハードディスク等の記憶装置、通信部等(何れも不図示)を有している。上記表示画面作成部14やホスト受信部11等の処理機能(例えば図5に示す処理等)は、不図示のハードディスク等に予め記憶されているアプリケーションプログラムを、不図示のCPUが読出し・実行することにより実現される。また、上記配当金情報記憶部12、色データ記憶部16、座標データ記憶部17、投票データ記憶部18は、不図示のハードディスク等の記憶領域の一部であると見做してもよい。
【0035】
ここで、上記ネットワークには更にホストコンピュータが接続されている。このホストコンピュータは、レースに関する各種情報を集約して所定の処理を実行する為のサーバ装置である。ここで、通常、各レース毎に、そのレース開始の直前には、そのレースに関するオッズ(倍率)が決定しているものであり、このオッズ等を含む配当情報がホストコンピュータ側のデータベースに記憶されている。
【0036】
ホスト受信部11は、各レース毎に、そのレース開始前の任意のタイミングで、ホストコンピュータにアクセスして、そのレースに関する配当情報を取得し、これを配当金情報記憶部12に記憶する。なお、後述する配当金テーブル60の作成やこれに基づく後述する図3の配当金情報の表示の機能は、従来には無いものである。尚、上記配当情報の取得は、例えば定期的に行ってもよいし、何回行っても良いが、オッズが確定した後に必ず1回は行うものとする。
【0037】
その後、各レース毎に、レース開始したら、例えば定周期で上記のようにGPSサーバ20から上記位置情報24が送信されてくるので、GPSサーバ受信処理部13が、この位置情報24を受信して表示画面作成部14に渡す。
【0038】
表示画面作成部14は、この位置情報24と、上記色データ記憶部16、座標データ記憶部17、投票データ記憶部18に格納されている各種情報や、更に上記配当金情報記憶部12に記憶された配当金情報等に基づいて、モニタ19に表示させる通過位置確認画面の画面データを生成する。そして、生成した画面データを出力処理部15を介してモニタ19に出力することで、モニタ19上に通過位置確認画面を表示させる。
【0039】
表示画面作成部14による上記画面データ生成処理については、後に図5のフローチャートを参照して詳しく説明する。
ここで、図3(a)に、上記モニタ19に表示させる通過位置確認画面の一例を示す。
【0040】
図示の例の通過位置確認画面では、移動体が競走を行う走行路(トラック等;図示の例では図1の例に応じて楕円形となっている)を表示すると共に、このトラック上での各移動体の現在位置を表示する。尚、この現在位置の表示は、多少のタイムラグはあるにせよ、ほぼリアルタイムの表示を行えるものである。
【0041】
例えば、上記位置情報24には各移動体の現在の実際の位置を示すGPSデータ(緯度・経度)が含まれているので、これをモニタ19上での座標に変換することで、上記現在位置の表示を実現する。また、上記位置情報24には各移動体の識別情報(ゼッケン番号等;例えば競馬の場合は馬番など)も含まれている。これより、例えば、各移動体毎に、その移動体のモニタ19上での座標に、その移動体の識別情報を表示する。つまり、ほぼリアルタイムで、視覚的に各移動体の現在位置が分かり易い表示を行える。
【0042】
図3に示す1〜8の各番号が付された丸が、各移動体の現在位置を表す表示であり、丸内の番号が、その移動体の上記識別情報である。尚、図示の丸内の番号は、順位を表すものではない。本例の在席端末10は順位の判定を行ってはいない。しかし、ユーザが図3(a)のような表示を見れば、自分が注目している移動体(投票している移動体等)の現在位置/順位を把握することは可能である。
【0043】
しかしながら、例えば競馬における18頭立てのレースのように移動体の数が非常に多い場合、または/及び、多くの移動体に投票している場合等には、ユーザが上記投票している移動体等の現在位置/順位を把握することが困難となる場合も有り得る。
【0044】
この為、更に、各在席端末10毎に、そのユーザが注目している移動体(例えば馬券を購入した競走馬)の表示形態を、他の移動体の表示形態とは異なるように表示することも行っている。例えば、そのユーザが注目している移動体の色表示を、他の移動体とは異なる色とする。これによって、ユーザは、自分が注目している移動体の位置や現在の順位を、容易に把握できるようになる。つまり、本システムでは、各在席端末10において、ほぼリアルタイムで、視覚的に各移動体の現在位置が分かり易い表示を行える。
【0045】
また、上記モニタ19上での各移動体の現在位置の表示は、当然、新たな位置情報24が送られてくる毎に更新されていくことになり、この様な表示を見るユーザは、レース状況をほぼリアルタイムで認識することが可能となる。例えば、「最終コーナー立ち上がりまでは最後尾であったものを、一気にごぼう抜きして先頭に立ち、そのままゴール」、「最終コーナー立ち上がりまでは常に4,5番手で内側にコース取りして様子を見ていたが、そこから外側に出て徐々に追い上げ、ゴール直前で先頭を抜いてゴール」等といったレース状況(特にユーザが注目している移動体に係わるレース状況)を、レース中にほぼリアルタイムで容易に把握することができる。
【0046】
尚、ユーザは、レース中継画像も合わせて視聴することもできる。当然、この様な画像の方が迫力・臨場感があるものであるが、上述してあるように、レース状況が把握し難い場合や、ユーザが注目している移動体が映っていないときもあるので、上記通過位置確認画面を参照することは、ユーザにとって非常に意義があることになる。
【0047】
また、更に、図3(a)に示すように、通過位置確認画面上に(図示の例では画面の左上)、当該ユーザによる投票(購入した馬券等)内容に応じた配当金に関する情報(配当金情報)を、表示するようにしてもよい。この配当金情報の表示例を図3(b)に示す。
上記通過位置確認画面の表示について、詳しくは後に図5のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
図4は、上記GPSサーバ20の処理フローチャート図である。
図4の処理は、所定時間毎に(例えば1秒毎に)、この所定時間(1秒)の間に受信した全ての上記センサ情報をまとめて(上記位置情報24を生成して)、上記不図示のネットワークを介して各在席端末10へ送信する処理である。
【0049】
図4の処理では、各センサ受信装置1からの上記センサ情報の収集を開始すると共に(ステップS11)、タイマに所定値(本例では1秒)をセットして(ステップS12)タイマスタートする(ステップS13)。そして、タイマアップしたならば(本例では1秒タイムアウトしたならば)(ステップS14,YES)、この1秒の間に収集した上記センサ情報をまとめて(上記位置情報24を生成して)、この位置情報24を各在席端末10へ配信する(ステップS15)。そして、直ちにステップS11に戻り、次のセンサ情報の収集処理を開始する。
【0050】
尚、上記位置情報24には、例えばレース中の全ての移動体のセンサ情報が含まれるが、この例に限らない。また、たとえ全ての移動体のセンサ情報が含まれなくても、今回含まれなかったセンサ情報は、次回には含まれるはずであるので、その移動体の表示位置の更新が1秒遅れるだけであり、大きな影響はないものと考えられる。
【0051】
また、尚、本手法では、センサ情報がどのセンサ受信装置1から送られてきたものであるのかを知る必要性はない。参考文献の手法では、移動体の現在位置を判定する為には、電波を受信した発信電波読取機の位置情報も必要となるが、本手法では必要ない。尚、上記センサ情報は、既に述べたように、移動体の識別情報と移動体の現在位置を示すGPSデータ等である。
【0052】
図5は、在席端末10の処理フローチャート図である。尚、図5は、表示画面作成部14の処理フローチャート図であると見做しても構わないが、この例に限らない。
【0053】
ここで、図5の処理の説明の前に、図6(a)〜(d)を参照して、上記配当金情報記憶部12、色データ記憶部16、座標データ記憶部17、投票データ記憶部18に格納される各種テーブルのデータ構成例について説明する。
【0054】
図6(a)は、座標データ記憶部17に記憶される座標テーブル30のデータ構成例である。
図示の例では、座標テーブル30は、番号31、GPSデータ32、出力画面座標33等より成る。
【0055】
番号31は、各移動体の識別情報(ゼッケン番号;馬番等)である。そして、各番号31に対応付けて、その移動体の現在位置を示すGPSデータ32(緯度・経度)と、この現在位置に対応する上記モニタ19上(通過位置確認画面上)での座標である出力画面座標33(X,Y座標)が格納されている。尚、モニタ19上(通過位置確認画面上)での座標とは、例えば所謂“スクリーン座標”等であるが、この例に限らない。
【0056】
後述する図5の処理ではステップS24で各移動体の現在位置を示すGPSデータを取得し、ステップS26で当該現在位置に対応する上記モニタ19上(通過位置確認画面上)での座標を求める。そして、これら各移動体毎の現在位置と座標を、その移動体の番号31に対応するGPSデータ32、出力画面座標33に格納する。レース中、GPSデータ32及び出力画面座標33の格納データは、随時(例えば1秒毎に)更新されていくことになる。
【0057】
図6(b)は、色データ記憶部16に記憶される色テーブル40のデータ構成例である。
図示の例では、色テーブル40は、番号41、投票対象42、文字色43、背景色44等より成る。
【0058】
番号41は、上記番号31と同様、例えば上記ゼッケン番号(馬番等)であり、各移動体を識別できる番号である。そして、各番号41に対応付けて、当該番号41の移動体が、ユーザが投票した移動体(投票対象の移動体)であるか否かを示す投票対象42と、上記通過位置確認画面上での表示色を示す文字色43及び背景色44が格納される。図3(a)で説明したように、通過位置確認画面上には各移動体を示す画像(丸と番号)が表示されるが、文字色43はこの丸と番号の表示色、背景色44はその背景の表示色である。
【0059】
尚、投票対象42に関して、図示の○が投票対象であること、図示の×が投票対象ではないことを示す。尚、本例では、文字色及び背景色は、2種類のみとする。つまり、投票対象である場合に対応する文字色及び背景色と、投票対象ではない場合に対応する文字色及び背景色との2種類のみとする。そして、この2種類のどちらか一方が、投票対象42の内容に応じて、文字色43及び背景色44に格納されることになる。図示の例では、投票対象である場合に対応する文字色及び背景色は“黒と白”であり、投票対象ではない場合に対応する文字色及び背景色は“白と青”である。
【0060】
図6(c)は、投票データ記憶部18に記憶される投票テーブル50のデータ構成例である。
図示の例では、投票テーブル50は、項番51、賭式52、番号(または組番)53、掛け金54等より成る。投票テーブル50には、その在席端末10のユーザによる投票内容(例えば購入した馬券等)に関する情報が格納される。
【0061】
項番51は、例えば各レコードに順番に付与されるシリアル番号等である。賭式52は、例えば単勝、複勝、連勝複式、連勝単式等の賭け方(例えば馬券の種類)を示すものである。番号(または組番)53は、ユーザが購入した投票券(例えば馬券等)における1または複数の投票対象を示す番号(馬番等)である。掛け金54は、掛け金である。図示の例では、その在席端末10のユーザは、5種類の投票券(馬券等)を購入していることになる。
【0062】
図6(d)は、配当金情報記憶部12に記憶される配当金テーブル60のデータ構成例である。
図示の例では、配当金テーブル60は、項番61、オッズ値62、掛け金63、配当金64等より成る。尚、図示の例は、各種賭式(例えば馬券の種類)のうち単勝に関する配当金テーブル60を示すが、他の賭式に関する配当金テーブル60もそれぞれ存在する(特に図示はしない)。
【0063】
項番61は、上記番号31と同様、例えば上記ゼッケン番号(馬番等)であり、各移動体を識別できる番号である。各項番61毎に、つまり各移動体毎に、オッズ値62、掛け金63、配当金64等が格納される。ここで、項番61及びオッズ値62は、上記ホストコンピュータから取得した配当情報である。オッズ値62は、所謂“オッズ”(競馬・競輪などで、当たった場合の配当を賭け金に対する倍率で表したもの)である。
【0064】
項番61とオッズ値62には、上記ホストコンピュータから取得する配当情報が格納される。
掛け金63及び配当金64は、上記投票テーブル50に基づいて生成・格納される情報である。例えば、上記投票テーブル50の例において、番号(または組番)53=‘1’に対して、掛け金54=100(円)となっている。つまり、ゼッケン番号(馬番等)が1番である移動体(馬等)に対して、100(円)が賭けられている。これより、配当金テーブル60において、項番61=‘1’における掛け金63に100(円)を格納している。更にこの掛け金63=100(円)に対してオッズ値=‘2.0’(2倍)を乗算することで、配当金=200(円)を算出し、これを配当金64に格納している。
【0065】
尚、この様な配当金テーブル60の生成は、例えば後述する図5の処理で行うが、この例に限らず、例えば上記ホスト受信部11が上記オッズが確定後にホストコンピュータから配当情報を取得した際に、当該ホスト受信部11が行ってもよい(但し、オンラインで投票が行われた場合のように、ユーザによる投票内容を取得できる場合)。
【0066】
以下、図5の処理について説明する。
図5の処理は、各レース毎に、そのレースの開始直後または開始直前等に開始される。
図5の処理では、まず、その在席端末10を利用するユーザによる、そのレースに関する投票内容を示すデータ(投票データ;賭式(単勝等)、投票した移動体の識別番号(馬番等)、掛け金など)を取得する(ステップS21)。これは、例えばユーザが在席端末10からオンラインで投票を行った場合には、その投票データが在席端末10の記憶装置に記憶されているので、これを取得すればよい。
【0067】
また、ユーザが窓口等で投票を行った場合(馬券を購入した場合等)には、例えば、このユーザが購入した投票券(馬券等)を所定位置へ提示してもらい、この投票券(馬券等)の投票データ(賭式(単勝等)、番号(馬番等)、掛け金など)を読取るものである。例えば、馬券を例にすると、磁気データが記憶されているもの(磁気式投票券)や、近年ではQRコードが印刷されたものが登場しており、これらに対応する読取装置を在席端末10に設けておけばよい。
【0068】
また、尚、ステップS21の処理は、ユーザに、在席端末10の不図示の入力装置(キーボードやテンキー等)を操作させて、所望の番号(馬番等)や掛け金等を自由に入力させて、この入力情報を投票データとして取得するようにしてもよい。
【0069】
ステップS21では、更に、取得した投票データを、投票データ記憶部18に記憶する。これによって、例えば図6(c)に示すような投票テーブル50が生成される。尚、オンライン投票を行う例の場合、「記憶されている投票データ=投票テーブル50」と見做すこともできる。この場合には、特に投票テーブル50を生成する必要はないことになる。
【0070】
ここで、上述したように、図5の処理の前に、既に、ホストコンピュータから配当情報を取得して配当金情報記憶部12に格納してある。つまり、図6(d)に示す配当金テーブル60における項番61とオッズ値12には既にデータ(上記配当情報)が格納されている状態である。
【0071】
そして、ステップS21では、更に、上記生成した投票テーブル50とオッズ値12等に基づいて、このユーザによる投票が的中した場合の配当金を求める等して、配当金テーブル60における掛け金63と配当金64にデータ格納することで(これについては既に説明してある)、図6(d)に示すような配当金テーブル60を生成する。
【0072】
次に、通過位置確認画面選択を行う(ステップS22)。つまり、予め用意されている各種画面のうち、通過位置確認画面を選択してベース画面等を表示する。
そして、レース中は、ステップS23〜S36の処理を繰り返し実行することになる。
【0073】
まず、コースレイアウトを表示する(ステップS23)。尚、一例としては、コースレイアウトの画像データ(例えば楕円形のトラックの画像等)は、予め用意されて記憶されており、この画像データを読み出して上記ベース画面上に表示することになる。
【0074】
そして、GPSサーバ20から送信されてくる上記位置情報24を受信したら(ステップS24)、まず変数Nに初期値=‘1’をセットし(ステップS25)、変数Nの値が予め設定されている最大番号となるまで(ステップS32がYESとなるまで)、Nの値を+インクリメントしながら(ステップS33)、ステップS26〜S31の処理を繰り返し実行する。尚、上記最大番号は、例えばそのレースに出場する移動体の数である。
【0075】
まず、上述してあるように、上記位置情報24には、各移動体毎のセンサ情報が含まれている。センサ情報は、既に述べた通り、移動体の識別情報(馬番等)に対応付けた、移動体の現在位置を示すGPSデータ(緯度・経度データ)等である。
【0076】
これより、位置情報24から識別情報=Nに対応するGPSデータ(緯度・経度)を取得し、この緯度・経度を、モニタ19上(通過位置確認画面上)の座標(X,Y座標)に変換する(ステップS26)。この変換は、例えば、不図示のGPS−画面対応テーブルを参照することで実現する。不図示のGPS−画面対応テーブルは、例えば図6(a)に示す座標テーブル30から項番31を削除し、且つGPSデータ32には走行路(トラック)上の全ての位置が格納されたものに相当する。尚、ここでは、不図示のGPS−画面対応テーブルは、GPSデータ32’(緯度・経度)と出力画面座標33’(X,Y座標)より成るものとする。これより、上記ステップS26の変換処理は、上記取得したGPSデータを用いてGPSデータ32’を検索し、該当レコードの出力画面座標33’を取得するものと言える。
【0077】
尚、GPSデータ32’と出力画面座標33’のデータ内容は、表示位置が実際の位置に対応するものとなるように、例えば開発者等が適宜決定すればよい。
【0078】
そして、ステップS26で得た、緯度・経度データ、(X,Y)座標データを、その識別情報(馬番等)と共に、座標データ記憶部17に格納する(ステップS27)。最初はN=1であるので、図6(a)に示す番号31=‘1’のレコードが格納されることになる。これを繰り返すことで、図6(a)に示すような座標テーブル30が形成されることになる。
【0079】
続いて、Nが投票番号であるか否かを判定する(ステップS28)。すなわち、識別番号Nの移動体が、当該ユーザによる投票対象であるか否かを判定する。具体的には、テーブル50の全レコードのうちの1つでも、その“番号または組番”53にNがある場合には、識別番号Nの移動体は当該在席端末10のユーザによる投票対象である(Nが投票番号である)と判定する。
【0080】
そして、ステップS28の判定結果に応じて色テーブル40にデータ格納する。すなわち、Nが投票番号である場合には(ステップS28、YES)、その旨(○)を色テーブル40の上記投票対象42に格納すると共に、“投票番号時の色データセット”を、文字色43と背景色44に格納する(ステップS29,S31)。一方、Nが投票番号ではない場合には(ステップS28、NO)、その旨(×)を色テーブル40の上記投票対象42に格納すると共に、“非投票番号時の色データセット”を、文字色43と背景色44に格納する(ステップS30,S31)。尚、これらは当然、番号41がNであるレコードに格納するものである。
【0081】
尚、既に述べた通り、本例においては表示色パターンは2種類のみとし、上記“投票番号時の色データセット”と“非投票番号時の色データセット”が、当該2種類の一例に相当する。図6(b)に示す例では、“投票番号時の色データセット”は文字色が黒で背景色が白であり、“非投票番号時の色データセット”は文字色が白で背景色が青であることになる。勿論、このように色表示で区別することは一例であり、この例に限らず、投票対象であるか否かを区別できるようにする表示であれば、何でもよい。
【0082】
尚、上記ステップS28,S29,S30,S31の処理は、新たな位置情報24を受信する毎に逐一行う必要性はなく、最初の位置情報24を受信したときのみ実行するようにしてもよい。一方、ステップS26,S27の処理は、新たな位置情報24を受信する毎に逐一行う必要がある。
【0083】
そして、既に述べた通り、現在のNが最大番号はないならば(N≠最大番号)(ステップS32,NO)、Nを+1インクリメントして(N=N+1)(ステップS33)、ステップS26に戻り、次の移動体に関して上記と同様の処理を行う。
【0084】
そして、全ての移動体について処理完了したら、すなわち現在のNが最大番号であるならば(N=最大番号)(ステップS32,YES)、上述した処理によって作成した座標テーブル30と色テーブル40とに基づいて、通過順位画面の表示を行う(ステップS34)。これは、例えば、各移動体毎に、出力画面座標33が示す画面上の座標(X,Y座標)に、予め設定されている所定の図形画像(例えば丸)と番号31とを(これらをまとめて移動体表示画像というものとする)、文字色43及び背景色44の色で表示する。
【0085】
尚、このように移動体表示画像に係る色表示を文字と背景の2種類とすることは、一例であり、この例に限らない。移動体表示画像に係る色表示は1種類のみであってよいし、文字と背景に更に他の何らかの要素も加えて3種類等としてもよい。
【0086】
例えば、図6(a)、(b)の例において、識別番号=‘1’の移動体に関しては、(X,Y)=(100,200)の位置に、丸と番号‘1’とが、文字色が黒、背景が白で表示されることになる。一方、識別番号=‘2’や‘5’の移動体に関しては、文字色が白、背景が青で表示されることになる。これによって、ユーザは、例えば上記図3(a)に示したように、各移動体の現在の状況(位置や順位等)を一目で把握できると共に、そのうちのどれが自分が投票した(賭けた)移動体であるのかも、色によって容易に確認/区別できるようになる。
【0087】
尚、上記色表示は一例であり、この例に限らない。基本的に、ユーザが、各移動体表示画像のうち、どれが自分が投票した(賭けた)移動体の移動体表示画像であるのかを、容易に区別できるようにする表示形態であれば何でもよい。つまり、ユーザが投票した移動体の移動体表示画像の表示形態が、それ以外の移動体の移動体表示画像の表示形態とは異なるように表示するものであれば何でもよい。そして、この様な表示形態の一例が、上述した色を変える例であるが、この例に限らず、例えば輝度を上げる等であってもよい。
【0088】
更に、ステップS35、S36の処理を行うことで、ユーザに有益な情報提供を行える。すなわち、配当金情報記憶部12に記憶される配当金テーブル60から、該当データを取得し(ステップS35)、これを例えば図3(a)に示す配当情報としてモニタ19の通過位置確認画面上に表示する(ステップS36)。上記該当データとは、例えば、配当金64が‘0’ではないレコードを該当レコードとし、この該当レコードのデータである。該当データは、例えば、該当レコードの項番61と配当金64等であるが、この例に限らず、更にオッズ値62や掛け金63も加わってもよい。あるいは、更に、投票テーブル50から、上記該当レコードに対応する対応する賭式52を取得して表示してもよい。
【0089】
何れにしても、少なくとも、ユーザが投票(購入)した移動体を示す番号と、この購入した番号が的中した場合の配当金が、表示されることになる。
この様に、レース中に、ユーザにとって知りたい情報をリアルタイムで表示することができる。
【0090】
そして、レース終了したら(ステップS37,YES)、画面表示を消去し(ステップS38)、本処理を終了する。尚、ホストコンピュータからは、例えば、レース開始やレース終了の通知や、どのレースが開始されるのか(第何レースか)等の通知がある。勿論、上記投票テーブル50や配当金テーブル60も、各レース毎に対応させて生成されるものである。
【0091】
このように、本例の通過位置表示システムは、競技イベント場内に設けられる(例えばスタンド等に設けられる)複数の在席端末10と、走行路に沿って設けられる複数のセンサ受信装置1と、GPSサーバ20とを有する。GPSサーバ20は、各在席端末10及び各センサ受信装置1と通信線を介して通信可能である。複数のセンサ受信装置1は、各移動体から無線送信されてくる当該移動体の識別情報と実測位置情報を受信する。そして、例えば、受信した識別情報と実測位置情報をGPSサーバ20へ送信する。GPSサーバ20は、レース中に随時、上記各移動体の識別情報と実測位置情報をセンサ受信装置1から取得して、当該各移動体の識別情報と実測位置情報を各在席端末10へ送信する。尚、既に述べた通り、GPS受信機等で実際に計測した位置情報であることから「実測位置情報」等と呼んでいる。
【0092】
そして、在席端末10は、図2とは異なる側面でその機能を示すならば、特に図示しないが、例えば以下の投票データ取得部と位置表示部とを有するものということもできる。
すなわち、不図示の投票データ取得部は、その在席端末10の利用者による移動体への投票内容を示す投票データを取得する。これは、具体例は既に述べた通りであり、一例としては、オンライン投票結果を読み出すものである。
【0093】
不図示の位置表示部は、基本的に、画面上に記各移動体を示す表示画像である上記移動体表示画像を表示する機能部である。そして、位置表示部は、上記各移動体の実測位置情報等を受信すると、この実測位置情報を画面上の表示座標に変換して、この表示座標に移動体表示画像を表示する。この表示にはその移動体の上記識別情報も含まれていてよい。
【0094】
これは、基本的に、レース中の全ての移動体の現在位置を示すグラフィカルな表示が行われることになり、現在のレース状況を示す表示画面がユーザに提示されることになる。つまり、レース中にほぼリアルタイムでレース状況を示す画面を表示するものである。これについての詳細は既に述べた通りである。
【0095】
更に、位置表示部は、上記投票データを参照することで利用者が投票した移動体の移動体表示画像を、他の移動体の移動体表示画像とは異なる表示形態で表示する。これによって、ユーザは、特に自分が注目する(自分が投票した)移動体に係るレース状況を、容易に分かり易く知ることができる。
【0096】
更に、不図示の配当金情報表示部を有するものであってもよい。配当金情報表示部は、上記投票データと、外部装置(ホストコンピュータ等)から取得するオッズ情報等に基づいて、その在席端末10の利用者による投票が的中した場合の配当金を算出する。そして、レース中に、上記位置表示部による上記表示画面上のどこかに、算出した配当金等を含む配当金情報を表示する。
【0097】
以上、本システムでは、ユーザ(ファン)に対するサービス向上につながる略リアルタイムの様々な表示を行うことができる。
【0098】
尚、参考文献(特開2006−259967号公報)に記載の位置判定システムを応用すれば、図3(a)と似たような表示を行うことは不可能ではない。すなわち、参考文献の方法では、発信電波読取機ペア(内側と外側とに設けられる)間を移動体が通過したときの発信電波読取機ペア間における位置を判定できる。よって、例えば2頭が並走しているときにどちらが内側でどちらが外側であるのかを判定でき、この判定結果に応じた表示を行うことは可能である。また、各移動体の発信電波読取機ペア間の通過時間を記録して、先頭の移動体とのタイム差を算出することも可能である。更に、このタイム差から距離を推測することも不可能ではない(距離の“算出”は困難であっても概略的に推測することは可能と考えられる)。
【0099】
よって、この様な推測結果に基づいて図3(a)と似たような表示を行うことは不可能ではない。しかしながら、推測に基づくのであるから、当然、正確性に欠ける可能性が高い。更に、図3(a)のように全ての馬の位置を表示しようとすると、上記発信電波読取機ペア間を全ての馬が通過してから、上記距離の推測を行って表示することになり、例えば数十秒前の位置を表示することになり、本手法のようにほぼリアルタイムで現在位置を表示させるようなことは、上記参考文献を応用させた手法では実現できない。
【符号の説明】
【0100】
1 センサ受信装置
10 在席端末
11 ホスト受信部
12 配当金情報記憶部
13 GPSサーバ受信処理部
14 表示画面作成部
15 出力処理部
16 色データ記憶部
17 座標データ記憶部
18 投票データ記憶部
19 モニタ
20 GPSサーバ
21 受信処理部
22 データ処理部
23 送信処理部
30 座標テーブル
31 番号
32 GPSデータ
33 出力画面座標
40 色テーブル
41 番号
42 投票対象
43 文字色
44 背景色
50 投票テーブル
51 項番
52 賭式
53 番号(または組番)
54 掛け金
60 配当金テーブル
61 項番
62 オッズ値
63 掛け金
64 配当金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レース対象の移動体の位置を表示する端末装置と、
前記移動体がレースを行う走行路に設けられ、レース対象となる各移動体から無線送信されてくる該各移動体の識別情報と実測位置情報を受信するセンサ受信部と、
レース中に随時、前記センサ受信部で受信した各移動体の識別情報と実測位置情報を取得して、該各移動体の識別情報と実測位置情報を前記端末装置へ送信するサーバ装置とを有し、
前記端末装置は、
該端末装置の利用者による前記移動体への投票内容を示す投票データを取得する投票データ取得手段と、
画面上に前記各移動体を示す表示画像である移動体表示画像を表示する手段であって、前記各移動体の識別情報と実測位置情報を受信すると、該実測位置情報を画面上の表示座標に変換して、該表示座標に前記識別情報に対応する移動体の前記移動体表示画像を表示すると共に、前記投票データを参照し、前記利用者が投票した移動体の前記移動体表示画像を、他の移動体の移動体表示画像とは異なる表示形態で表示する位置表示手段と、
を有することを特徴とする通過位置表示システム。
【請求項2】
前記投票データと外部装置から取得するオッズ情報に基づいて、前記端末装置の利用者による前記投票が的中した場合の配当金を算出し、前記レース中に前記画面上に、算出した配当金を含む配当金情報を表示する配当金情報表示部を更に有することを特徴とする請求項1記載の通過位置表示システム。
【請求項3】
前記位置表示手段は、前記利用者が投票した移動体の前記移動体表示画像を、他の移動体の移動体表示画像とは異なる色で表示することを特徴とする請求項1記載の通過位置表示システム。
【請求項4】
前記各移動体には、GPS受信機が搭載されており、前記実測位置情報は、該GPS受信機で計測した緯度・経度データであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の通過位置表示システム。
【請求項5】
レース対象の移動体の位置を表示する端末装置であって、
該端末装置の利用者による前記移動体への投票内容を示す投票データを取得する投票データ取得手段と、
前記移動体がレースを行う走行路に設けられるセンサ受信部によって受信された、レース対象となる各移動体から無線送信されてくる該各移動体の識別情報と実測位置情報が、外部から送信されてくる毎に受信する受信処理手段と、
画面上に前記各移動体を示す表示画像である移動体表示画像を表示する手段であって、前記受信処理手段によって受信された前記各移動体の識別情報と実測位置情報に基づいて、該実測位置情報を画面上の表示座標に変換して、該表示座標に前記識別情報に対応する移動体の前記移動体表示画像を表示すると共に、前記投票データを参照し、前記利用者が投票した移動体の前記移動体表示画像を、他の移動体の移動体表示画像とは異なる表示形態で表示する位置表示手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項6】
レース対象の移動体の位置を表示する端末装置のコンピュータを、
該端末装置の利用者による前記移動体への投票内容を示す投票データを取得する投票データ取得手段と、
前記移動体がレースを行う走行路に設けられるセンサ受信部によって受信された、レース対象となる各移動体から無線送信されてくる該各移動体の識別情報と実測位置情報が、外部から送信されてくる毎に受信する受信処理手段と、
画面上に前記各移動体を示す表示画像である移動体表示画像を表示する手段であって、前記受信処理手段によって受信された前記各移動体の識別情報と実測位置情報に基づいて、該実測位置情報を画面上の表示座標に変換して、該表示座標に前記識別情報に対応する移動体の前記移動体表示画像を表示すると共に、前記投票データを参照し、前記利用者が投票した移動体の前記移動体表示画像を、他の移動体の移動体表示画像とは異なる表示形態で表示する位置表示手段、
として機能させる為のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−157510(P2012−157510A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18969(P2011−18969)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】