説明

通過検知システム

【課題】 磁気タグ等が貼られた旧タイプの書籍からRFIDタグが貼られた新タイプの書籍に切り替える切替期間における両タイプが混在する図書館において、両タイプの図書貸し出し、返却等の図書管理を、一の図書館で、別の図書館の書籍も含め行えるようにする。
【解決手段】 データ書き換え装置30にて貸し出し処理対象の書籍21に設けたタグのうちRFIDタグに関して、このタグに記録されている図書館コード50を一の図書館Aで読み出し、これが読み出したのと別の図書館Bにある図書の場合でも、図書館Aで貸し出し処理を行い、この貸し出し処理情報を図書館Bに情報を送る。又この書籍を図書館Bから図書館Aに送られてきた書籍を貸し出し希望者に渡す。この書籍が旧タイプ、新タイプのものであっても、本発明で示すゲート7を通過できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRFIDタグ等の複数種類の非接触式タグを利用した対象物の通過を検知するためのシステムに係わり、特に磁気式等のタグを設けた旧タイプの書籍からRFIDタグを設けた新タイプの書籍の移行期間の複数のタイプが混在した図書館における図書の通過を検知するのに好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
ここで使用するRFID(Radio Frequency Identification)タグとは、情報を記憶したICタグと、その情報を伝送するアンテナで構成されたものを指し、別途設けたリーダライタ(アンテナ+コントローラ) によりICタグの記憶情報を無線通信を使って読み取ることにより、データ交信を行うものである。
【0003】
こうしたRFIDタグや磁気タグを書籍に貼り付け図書管理するものが知られている。例えば特許文献1においては、RFIDタグ単独か、このRFIDタグと磁気タグ、共振タグとを併用した組み合わせタグを書籍に貼り付けたものを対象とし、特に後者の組み合わせタグでは、RFIDタグの持つ書籍を複数載置した場合に発生する可能性のある検知ミス等の欠点を補うため他方式との併用を図った内容に係わる。
【0004】
また、例えば非特許文献1において、RFID技術を使った図書館システムの多様な応用途と留意点について書かれたものがある。
【0005】
また、例えば非特許文献2においては、従来の磁気式のタトルテープと新製品としてのICタグを使ったRFIDを紹介した図書館用管理システムが示されている。
【0006】
【特許文献1】特表2002-522849号公報
【非特許文献1】辻雅寛、“図書館システムにおけるRFID技術の適用”、INTEC TECHNICAL JOURNAL、第4号、2005
【非特許文献2】住友スリーエム株式会社技術資料、“RFIDを応用した図書館用管理システムを発表”、2007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし図書館管理システムは元出願(*)で示したように、従来の共振タグや磁気式タグが貼られた対象物A(図書館管理システムの場合は書籍。ここではこれを旧タイプの書籍と呼ぶ。)の管理から、RFIDタグが貼られた対象物B(これを新タイプの書籍と呼ぶ。)に切り替わっていく過程にある。
(*)注: 特願2006-226389号公報
【0008】
この移行過程では、図書館には、対象物毎に貼られたRFIDを含む異種のタグが混在したものが対象になる。
こうした状況に対処するため、これから新築の図書館に導入される図書館管理システムの場合は、全書籍を全てRFIDタグを貼ったものでシステム構成することが可能である。
【0009】
しかし、既に旧タイプの書籍を既に所有している大規模図書館にあっては、既所有の旧タイプの書籍を一挙に新タイプにするには、多大なマンパワーと費用を要するため、中々RFIDを使った新タイプの書籍の導入ができないと言う問題を有していた。
【0010】
この問題を解決するため、新刊書籍は最初から新タイプで対応するとしても、既に膨大な量を有する旧タイプの書籍に関しては、旧タイプの書籍から新タイプの書籍への移行期間として例えば5年から10年と言ったスパンで徐々に新タイプの書籍に変えていくといった対応で切り替えていくことが現実的であり、その場合は、移行期間には複数の種類のタグが貼られた書籍が混在して存在することになる。
【0011】
こうした移行期間の書籍毎に異種のタグの貼られた書籍が混在状態で非接触に一括処理すると言う新しい課題については、上記に取り上げた複数の公知文献では何れも触れておらず、この新しい課題を解決した新図書館管理システムが望まれているにも係わらず、この課題を解決したものは未だ知られていない。
【0012】
そこで本発明は、旧タイプの書籍と新タイプの書籍が混在した図書館を対象に、両タイプの書籍が混在した状態で、複数の図書館に所蔵している書籍を、一の図書館で非接触に一括処理する図書館管理システムの利用技術を開示することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題を解決するため、検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する書籍の、所定ゲート装置の通過を検知する通過検知システムであって、 前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれの検知方式に基づいて、前記書籍に対して検知用送信を行う送信手段と、 前記送信手段による検知用送信に応じて、前記書籍が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該書籍から受信する受信手段と、 前記受信手段による受信結果に基づいて、前記書籍の前記所定場所の通過を検知する検知手段と を備え、
前記した書籍に設けた複数のタグの少なくとも1つには、個々の図書館を示す図書館コードが記録されており、この図書館コードのある書籍を対象に、一の図書館の書籍の貸し出し返却処理を別の図書館で行う、書籍貸し出し返却機能を備えるようにしたものである。
【0014】
上記通過検知システムでは、検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する書籍の、所定ゲート装置の通過を検知する通過検知システムであって、 前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれの検知方式に基づいて、前記書籍に対して検知用送信を行う送信手段と、 前記送信手段による検知用送信に応じて、前記書籍が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該書籍から受信する受信手段と、 前記受信手段による受信結果に基づいて、前記書籍の前記所定場所の通過を検知する検知手段と を備え、
前記した書籍に設けた複数のタグの少なくとも1つには、個々の図書館を示す図書館コードが記録されており、この図書館コードのある書籍を対象に、一の図書館の書籍の貸し出し処理を、この図書館でのみ行い、また返却処理を別の図書館で行う書籍貸し出し返却機能を備えることが可能となる。
【0015】
更に、上記通過検知システムでは、前記一の図書館の書籍を別の図書館で貸し出し又は/及び返却処理を行う複数の図書館が、相互貸借関係にある複数の図書館であり、当該タグがそれぞれの図書館所蔵の書籍に装着されており、当該タグにはそれぞれの図書館コードに加え相互貸借関係にあることを示す情報も記録することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、この発明に係わる通過検知システムは、下記に示す効果が期待できる。
【0017】
(1) 本発明は、書籍により検知方式の異なる複数種類の検知用非接触タグの貼られた蔵書を有する複数の図書館の書籍を対象に、一の図書館で貸し出し返却処理を行うことが可能となる。
【0018】
(2) 本発明は、書籍により検知方式の異なる複数種類の検知用非接触タグの貼られた蔵書を有する複数の図書館の書籍を対象に、貸し出しは図書館の蔵書のみで貸し出しを行い、返却は異なる図書館の蔵書を一の図書館で纏めて行うことが可能となる。
【0019】
(3) また本発明は、上記した複数の図書館の蔵書を、一の図書館で貸し出し返却処理を行う図書館において、相互貸借関係を構築し、この相互貸借関係をRFIDタグに記録することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下この発明を実施するための最良の第1の形態の通過検知システムについて、図1から図4を用いて詳細に説明する。尚、以下に述べる実施の形態の構成は例示であり、本発明は以下の構成に限定されない。
【実施例1】
【0021】
ここで本発明に係る通過検知システム1は、図1に示す様に、図書館20において、書棚25に収納された書籍21(本発明に係わる対象物に相当する。)の貸し出し返却データ等の更新を行うデータ書き換え装置30(以下貸し出し、返却処理のうち、貸し出し処理で代表させて説明する。)、及びゲート装置7を備えている。
【0022】
書籍21としては、貸し出し・返却情報を記録・保存するための磁気タグ3、共振タグ2が貼り付けられた旧タイプのものや、貸し出し者の名前、年齢、職業、男女の別と言った属性情報が別の中央処理装置に記録され、この記憶された情報とリンクされたコード情報、貸し出し返却情報、書籍の書誌情報等を記録したICタグ搭載のRFIDタグ5が貼り付けられた新タイプのものが混在する形で書棚に納められている。
【0023】
従来からある書籍においては、そのうちRFIDタグ導入の最初の時点では、新タイプの書籍に比べ旧タイプの書籍の比率が圧倒的に多く、それが時間経過と共に旧タイプの書籍がRFIDタグへの張替え作業が進展することにより、新タイプの書籍の比率が高くなり、最終的には全てRFIDタグの付いた新タイプの書籍に置き換わることになる。
【0024】
他方データ書き換え装置30は、センサ面34、スライド面33を有するたデータ書き換え用本体37、バーコード検出手段39を有するデータ書き換え用端末38を備えている。また本発明の最良の形態として示す前記センサ面34には、スライド方向48についてデータ書き換え用本体の外形寸法に略等しい幅寸法を有する磁気センサ32、RFID用コイル31を配置している。その為スライド面33内に載置された書籍21のデータ書き換えが可能なように構成している。
【0025】
本例では磁気センサ32、RFID用コイル31を、いづれもセンサ面33に配置する例として示したが、勿論磁気センサ32、RFID用コイル31とをこれらセンサ面34と、スライド面33に分けて配置することも可能である。
【0026】
次に先ず、本発明に係わる最良の形態において、旧タイプの書籍についての貸し出し手順を以下に説明する。
旧タイプの書籍には、貸し出し手続き済み、未を判定する共鳴タグ、磁気タグと、書籍名を含む書誌事項を記録しているバーコードが貼り付けられている。
【0027】
従って、貸し出し者、書籍毎の貸し出し、返却予定日、等の手続きは、バーコード検出手段39にて書籍毎に行い、又これらの手続きの済み、未の情報は、旧タイプの書籍に設けた磁気タグ3(含む共振タグ2)の貼られた書籍21を、データ書き換え用本体37のスライド面33に複数ある場合は纏めて載置し、磁気センサ32で磁気タグ3を纏めて着磁することで、貸し出し済み(尚、消磁することで貸し出し未として運用)一括処理を行っている。従って、この方法では処理済処理を複数の書籍について纏めて行うことが可能である。
【0028】
なお着磁された磁気タグ3は、ゲート装置7では既知の技術であるが、検出できないよう、未着磁の磁気タグ3は検出され、手続き未処理の書籍として、アラームを出すよう構成している。
しかし、手続き完了データをこのゲート装置7で検出し、この検出データを用いてゲート通過管理をするように構成することが出来るのは言うまでもない。
【0029】
旧タイプの書籍に関しては、以上説明したように、複数の書籍をスライド面33に載置した状態で、一括処理で貸し出し済みの処理を行う。その為、この工程から旧タイプの書籍に関して貸し出し処理を行った冊数を求めることは困難である。そこで、その部分についてはバーコード処理を使った書籍数カウント方法を本明細書の後段で説明する。
【0030】
次に新タイプの書籍についての貸し出し手順を以下に説明する。
新タイプの書籍にはICタグ6を搭載したRFIDタグが貼られており、このRFIDタグに、貸し出し手続きの内容が記録されているので、この記録情報をゲート装置7で検出することにより、ゲート通過の諾否判定を行うことが出来る。
【0031】
次に、RFIDタグ導入に係わる書籍管理について説明する。
このRFIDタグの導入開始から完全に導入が完了する期間として、これから新設予定の新規の図書館においては、この図書館に収蔵される全図書を、開館に併せて、上記移行期間を置くことなしに一気に新タイプの書籍とすることが可能である。
【0032】
しかし従来からある図書館の膨大な量になっている旧タイプの書籍に対しては、収納書籍の規模、図書館の金銭的余裕度等により5年、10年といった移行期間を設定して、徐々にRFIDタグに置き換えていくことになることが予想される。
【0033】
本発明は、上記した移行期間においては、旧タイプの書籍と、新タイプの書籍が混在することになるが、この混在する書籍をまとめて非接触で貸し出し、返却処理すると共に、RFIDタグへの移行の程度を定量的に把握できるシステムを提供することを意図している。
【0034】
これを具体的に図を使って説明すると、書棚25には旧タイプの書籍と新タイプの書籍が混在して置かれる可能性が高く、この書棚25から複数の書籍21を取り出し、データ書き換え装置30にて貸し出し処理を行う場合、このデータ書き換え装置30には、前記した元出願で説明したように、両タイプの書籍が混在していても、このデータ書き換え装置30に両タイプの書籍の貸し出し処理機能を備えているので、書籍が旧タイプ、新タイプの如何に係わらず、どちらも一つのデータ書き換え装置30にて処理することができる。
【0035】
また元出願では書籍21をデータ書き換え用本体37のスライド面33に沿って移動させて貸し出し処理する事例として示したが、このスライド面33内に収まるように書籍21を載置した状態で、これらの書籍に配置されているタグから情報が読み取れる検知範囲を持つように、データ書き換え装置30に内蔵している固定センサ31、32を設定したり、上記読み取れる検知範囲をカバーするように、可動センサ31、32として、必要に応じてこれらのセンサをスキャンさせるように構成することも可能である。
【0036】
またこのデータ書き換え装置30ではスライド面33内に収まるように複数の書籍21を載置した状態で、まとめて貸し出し処理が出来るように、本例ではスライド面33から上方向に30cm間の検知範囲を設定しており、これにより複数の書籍を単にスライド面33に載置するだけで、纏めて一挙に貸し出しするよう構成している。但し上記した検知範囲は他の値に適宜設定しても本発明はそのまま適用できるのは、いうまでも無い。
【0037】
本発明は、以上説明したように、データ書き換え装置30にて、旧タイプの書籍と新タイプの書籍とが混在した状態でも、全て貸し出し済み、未の処理をすることが出来る。
【0038】
次に図書館の出入り口に配置したゲート7についてであるが、書籍21はこのゲート7を介して図書館の内部から外部に持ち出される。
【0039】
その際、ゲート7のセンサー部3に配置した磁気タグ用のアンテナ部11にて旧タイプの書籍についての貸し出し処理完了の場合は、この書籍の検出が出来ず、貸し出し処理未の場合は、この書籍を検出することにより、貸し出し処理済み、未を検知できる。又RFIDタグ用のアンテナ部12にて新タイプの書籍についての貸し出し処理完了の有無を非接触で検知することが出来る。
【0040】
その結果、例えば複数の書籍21を纏めて、ゲート7にて、図書館から持ち出した全ての書籍21が全て貸し出し処理完了している場合のみ、このゲート7をアラーム無しに通過できるよう構成されている
【0041】
又これらの図書館から持ち出した複数の書籍21のうち一部の貸し出し処理が未のものが検出された場合は、ゲート7に設けたアラーム装置4が作動するよう構成している。
【0042】
この場合は、ゲート7を閉じるようにして、書籍21が図書館20から外部に貸し出し処理がされない状態で持ち出されるのを阻止するように構成しても良い。
【0043】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態においては、図書館20より外部に持ち出される書籍21は、図書館20内にあるデータ書き換え装置30で貸し出し済み、未の処理がなされる。
【0044】
本発明は、旧タイプとしての磁気タグ(含む共振タグ)を設けた書籍数と、新タイプのRFIDタグを設けた書籍数に関して、この貸し出し処理を行った処理数を時系列に保存し、例えば日別、月別、年別にタグの種類毎にタグの利用比率を算出している。
【0045】
ここで新タイプの書籍数については、書籍毎にデータ書き換え用本体37にて書換えることが出き、その書き換え情報を書籍毎にデータ書き換え用端末38に保存しており、この保存データを使って、容易に貸し出し手続きした新タイプの書籍数を求めることが出来る。
【0046】
他方旧タイプの書籍数については、前記したように、スライド面33に纏めて載置した複数の本のうち旧タイプの書籍が複数あっても、これらの書籍を纏めて磁気センサ32により着磁を行うため、旧タイプの書籍数をここから求めるのは、原理的に困難である。
【0047】
そこで本発明では旧タイプの書籍の場合は、この書籍に貼られているバーコードを読み取り、各書籍毎に貸し出し処理を行い、各書籍毎に貸し出し情報をデータ書き換え用端末に保存しているので、ここから旧タイプの書籍の貸し出し処理した書籍数を求めるようにしている。
以下旧タイプ、新タイプについて、貸し出し処理を行った書籍数が求まったとして以下の説明を行う。
【0048】
一例として年別利用実績を取り上げる。月別のタグの種類別の利用頻度を下記する。
・ 磁気タグ(含む共振タグ)貼り付け書籍の貸し出し書籍数 : Xa
・ RFIDタグ貼り付け書籍の貸し出し書籍数: Xb
【0049】
この場合のタグの種類別年別の利用実績は下記式で与えられる。
・ 貸し出し全書籍数X0: X0=Xa+Xb
・ 磁気タグ貼り付け書籍貸し出し占有率δa: δa=100Xa/ X0
・ RFIDタグ貼り付け書籍貸し出し変換率δb: δb=100Xb/ X0
【0050】
更に本発明の第1の実施の形態として示す例を図5を用いて説明する。例えばRFID導入開始からRFID導入切り替え完了まで10年の期間を設定し、横軸年度41、縦軸を旧タイプの書籍からRFIDタグを貼った新タイプの書籍への切り替えをRFIDタグ利用比率43として求め、年度毎の予算44と、実績45を上記の利用比率算出値45を図表示することにより、予算に対する達成率を定量値として算出する様構成している。
【実施例2】
【0051】
ここで対象物(書籍)の属性として、タグの種類別に利用比率を求める事例を示したが、対象物の別の属性として、例えば雑誌、単行本とか、文芸書、学術書、辞典類とかいった区分に分けて、更にこの区分内を更に“実施例1”に示した事例と同様に、タグ別の利用比率を求めることが出来る。
【0052】
この場合は、区分別に達成率を定量確認できるため、このデータを元に例えば他の属性に対して導入が遅れている属性に対して重点的に導入に注力すると言った導入計画の見直し等に活用することが出来る。
【実施例3】
【0053】
本例では例えば人口統計、景気動向、経済白書といった官公庁がまとめた書籍をRFID化するのを先行させることにより、こうした官公庁に関する書籍のセキュリティを向上させ、一般書籍をその後RFID化するよう運用することも可能である。
【0054】
本例では重要書籍を一般書籍より先にRFIDに置き換える事例として示した。しかしこうしたRFID切り替えにリンクさせずに、恒久的に重要書籍にはRFIDタグを付け、それ以外の一般書籍には磁気タグを付けるといった運用も勿論可能である。
【0055】
この例についても長いスパンで見ると、一般の書籍もいづれRFIDタグに切り替わっていくことになるのは言うまでもない。
【実施例4】
【0056】
次の実施例を図6を使って説明する。本例はゲート7を第1ゲート72と第2ゲート73の2段階とし、第1ゲート72でタグの種類等の属性を検出する。他方第2ゲートを第1カウンタ74、第2カウンタ75といった複数のカウンタで構成し、タグの種類別にどちらのカウンタに行くかを指示するように構成することも可能である。
【0057】
本例の場合、例えばRFIDタグを貼り付けた重要書籍が含まれる場合は、よりセキュリティの高い第1カウンタ74に導き、又一般書籍の場合は、よりセキュリティの低い第2カウンタ75に導き、こちらはゲート通過の迅速化を優先させるといった運用を行うことが出来る。
【実施例5】
【0058】
本発明の別の実施例を以下に示す。
本例の場合は例えばRFIDタグの貼られた書籍を対象に、このRFIDタグを介して別に設けた中央処理装置8に収録してある例えば貸し出し者情報として、男・女、年齢、会社員・学生、老人・成人・未成年・児童といったデータを利用し、これらのデータを使って、例えば老人、幼児を第1のカウンタに導き、他は第2のカウンタに導くことにより、老人、幼児により丁寧に対応するよう運用することが可能である。
【0059】
またはRFIDタグに、又はRFIDタグを介して中央処理装置に保存してある過去の貸し出し返却履歴を呼び出し、これらの記録データを使って、過去にトラブルのあった人を第1カウンタ74に、それ以外の人を第2カウンタ75に導くよう運用することも可能である。この場合は過去にトラブルのあった人を重点的に、今後そうしたトラブルが無いよう説得したり、対応如何によっては貸し出しを止める等の運用を行うことも可能となる。
【0060】
以上、旧タイプの書籍から新タイプの書籍に切り替わる期間では、これらの両タイプの書籍が混在することになるが、こうした混在した書籍の双方に、上記したような貸し出し(含む返却)図書管理や書籍の無断持ち出し防止を図った本発明を適用した通過検知システムを幾つかの実施例を使って説明した。
【実施例6】
【0061】
こうしたシステム導入に伴い、図書館の利用者の持つ図書館に関係する以外の個人認証を行うICタグを搭載した非接触カードも、本発明で示したデータ書き換え装置30で誤ってそのカードの内容を読み取ったり、又そのカード内のデータを書き替えたり、又ゲート装置7でこのカード内の情報を誤って読み取り、この読み取り情報により誤制御するといった問題が想定される。
【0062】
この問題を解決する手段としては、例えばバス、電車、スーパ、銀行等で発行するカードと図書間で使用するRFIDタグ付のカードとは、書き込み、読み出し、伝送といった方式や、電波の使用帯域を変えて混信しないように対処することになると考えられる。
【0063】
しかし複数の図書館に、同一もしくは類似の通過検知システムが導入された場合は、一の図書館A所蔵の書籍を別の図書館Bに持ち込んだ場合は、この書籍に設けたRFIDタグの情報を、図書館Bの通過検知システムが読み取ってしまうことが予測される。
【0064】
これに対しては、ひとつは一の図書館所蔵の書籍の貸し出し、返却処理を、別の図書館でも行うよう構成することは、例えば以下のように構成すること容易に実現することができる。
【0065】
例えば、書籍に設けたRFIDタグに個々の図書館を区別する図書館コード50を記録しておき、この図書館コード50を他の図書館でも検出できるようにシステム構築しておけば、次のような運用を行うことが出来る。この事例の一例を図7、図8を用いて説明する。
【0066】
ひとつの図書館A 80にある書籍検索端末60(図示せず。)で、利用者が望む書籍21の検索を行い、これがこの図書館A 80に無く、別の図書館B 90にあることが判った場合、この図書館B 90の図書館コード50を検索して得ると共に書籍21の貸し出し手続きを行い、この書籍21と図書館A 80での貸し出し処理情報を図書館A 80のサーバ81を介して図書館Bのサーバ91に送信することで、
別の図書館の書籍の貸し出し手続きを行うことができる。(図7の符号54から57に示す手順及び図8参照。)
【0067】
こうした貸し出し処理は一部では既に実現しているが、この書籍21を図書館B 90から図書館B 90に移送し、利用者は図書館A 80でこの書籍21を入手することができる。又は、この貸し出し処理を図書館A 80で済ませたRFIDタグ付のカードを持参して利用者が図書館B 90のデータ書き換え装置30にて貸し出し処理すれば、その書籍が借りられるよう構成し、この書籍21が旧タイプであろうと新タイプであろうと、ゲート7を通過できるように、本発明を利用して運用することができる。
【0068】
本例で示した事例では、書籍21を所蔵する図書館が図書館コードで判るため、例えば書籍の返却についてであるが、本発明を適用すれば、図書館A 80の書籍aと、別の図書館B 90の書籍bを、まとめて非接触に一括して図書館A 80にて読み取ることができ、他の図書館の書籍の返却処理を可能としている。この場合は図書館A 80より書籍bを図書館Bに送るよう構成することになる。
更に本例においては、書籍の貸し出しは、その書籍を保有している図書館で行い、返却のみ別の図書館の書籍も処理するように出来る。
【0069】
本例において複数の図書館の書籍には旧タイプ、新タイプの書籍が混在していても、図書館A、図書館Bの書籍が混在していても、一の図書館Bで纏めて返却処理できるのは言うまでもない。
【0070】
尚、以上説明した複数の図書館の書籍を、そのうちの一の図書館で纏めて貸し出しできる通過検知システムとして、これらの図書館が、相互貸借関係にあるよう構成し、この相互貸借関係にあることを示す情報を上記のRFIDタグに記録用構成すれば、本発明が一層運用しやすくなることは言うまでもない。
【0071】
こうした図書管理システムを実現することにより、現状より格段に利用者の利便改善を図った新システムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は磁気タグ等を貼り付けた旧タイプの書籍と、RFIDタグを貼り付けた新タイプの書籍とが混在する複数の図書館の書籍を対象に、一の図書館でいづれの書籍も貸し出し返却処理する通過検知システムの必要な産業に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】: 本発明を実施するための最良の第1の形態に係わる通過検知システムが適用される図書館の概略を示す説明図。
【図2】: 本発明を実施するための最良の第1の形態に係わる通過検知システムを構成するゲート装置の概略構成斜視図。
【図3】: 本発明を実施するための最良の第1の形態に係わる通過検知システムを構成するゲート装置の説明図。
【図4】: 本発明を実施するための最良の第1の形態に係わる通過検知システムにおいて使用される非接触タグのデータを書き換えるためのデータ書き換え装置の概略構成斜視図。
【図5】: 本発明を実施するための最良の第1の形態に係わる通過検知システムにおいて、RFIDタグへの利用比率の推移を示すグラフ図。
【図6】: 本発明を実施するための別の形態に係わる通過検知システムを構成するゲート装置の概略構成斜視図。
【図7】: 別の図書館の書籍の貸し出し処理を行うフロー図。
【図8】: 別の図書館の書籍の貸し出し処理を行う概念説明図。
【符号の説明】
【0074】
1 通知検知システム
2 共振タグ
3 磁気タグ
4 アラーム装置
5 RFID用タグ
6 ICタグ
7 ゲート装置
10 端末
11 磁気式タグのアンテンナ部
12 RFIDタグ用のアンテナ部
20 図書館
21 書籍
22 ゲート部_右
23 ゲート部_左
25 書棚
30 データ書き換え装置
31 RFID用コイル
32 磁気センサ
33 スライド面
34 センサ面
35 センサー部_右
36 センサー部_左
37 データ書き換え本体
38 バーコード検出手段
41 年度
42 切替率
43 RFIDタグ利用比率
44 予算
45 実算
47 バーコード検出手段
48 スライド方向
50 図書館コード
51〜57 書籍貸し出し各手順
60 書籍検索端末
71 中央演算処理装置
72 第1ゲート
73 第2ゲート
74 第1カウンタ
75 第2カウンタ
76 中央演算処理装置
80 図書館A
81 サーバ_A
85 伝送路
90 図書館B
91 サーバ_B
95 伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する書籍の、所定ゲート装置の通過を検知する通過検知システムであって、 前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれの検知方式に基づいて、前記書籍に対して検知用送信を行う送信手段と、 前記送信手段による検知用送信に応じて、前記書籍が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該書籍から受信する受信手段と、 前記受信手段による受信結果に基づいて、前記書籍の前記所定場所の通過を検知する検知手段と を備え、
前記した書籍に設けた複数のタグの少なくとも1つには、個々の図書館を示す図書館コードが記録されており、この図書館コードのある書籍を対象に、一の図書館の書籍の貸し出し返却処理を別の図書館で行う、書籍貸し出し返却機能を備えたことを特徴とする通過検知システム。
【請求項2】
検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する書籍の、所定ゲート装置の通過を検知する通過検知システムであって、 前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれの検知方式に基づいて、前記書籍に対して検知用送信を行う送信手段と、 前記送信手段による検知用送信に応じて、前記書籍が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該書籍から受信する受信手段と、 前記受信手段による受信結果に基づいて、前記書籍の前記所定場所の通過を検知する検知手段と を備え、
前記した書籍に設けた複数のタグの少なくとも1つには、個々の図書館を示す図書館コードが記録されており、この図書館コードのある書籍を対象に、一の図書館の書籍の貸し出し処理を、この図書館でのみ行い、また返却処理を別の図書館で行う書籍貸し出し返却機能を備えたことを特徴とする通過検知システム。
【請求項3】
前記一の図書館の書籍を別の図書館で貸し出し又は/及び返却処理を行う複数の図書館が、相互貸借関係にある複数の図書館であり、当該タグがそれぞれの図書館所蔵の書籍に装着されており、当該タグにはそれぞれの図書館コードに加え相互貸借関係にあることを示す情報も記録されていることを特徴とする請求項1又は2記載の通過検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−199374(P2009−199374A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40754(P2008−40754)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000152228)株式会社内田洋行 (105)
【Fターム(参考)】