説明

速く溶ける錠剤を製造するための高可塑性顆粒

多孔性の可塑性物質と透水向上剤と結合剤を含んでいる速く溶ける医薬錠剤。医薬的に活性な錠剤を提供するために加工の様々な段階で一つまたはそれ以上の薬物を処方物の中に組み込むことができる。この医薬錠剤の製造方法は多孔性の可塑性物質と透水向上剤と結合剤を合わせて高可塑性顆粒を形成し、該顆粒を錠剤状に圧縮することを課している。得られた錠剤は口の中では急速に溶解するが、良好な硬度を低い脆性と共に有している。この錠剤は特に、通常の丸剤を呑み込むのが困難であるものたちにとって価値がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その開示が本明細書の中に組み込まれる2003年5月7日に出願された米国仮出願60/468,449号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
用語「嚥下障害(dysphagia)」は呑み込むのが困難なことを称しており、全ての年齢群でよくあることである。一研究によれば、嚥下障害の問題をかかえる人は一般人口の約35%までになり、そして長期のケア施設では全員の18〜22%、高齢の施設患者の30〜40%が追加される[たとえば、Sastry, S. et al., Pharm. Sci. & Tech. Today 3: 138-145, 2000を参照]。錠剤の呑み込みが困難であることに関連したよくある訴えは(訴えの頻度の順に)錠剤の大きさ、表面、形態、および味である。老人病および小児病の患者ばかりでなく、容易に水を入手できない旅行中の患者は、水なしで摂取できる及び容易に呑み込める剤形(dosage forms)を好む。別の研究は人口の推定50%が錠剤の呑み込みの困難さに悩まされることを示している[Seager, H., J. Pharm. Pharmacol. 50: 375-382, 1998]。口の中の唾液によって崩壊、溶解または分散することができ結果として容易な呑み込みを生じさせる固体剤形は、小児病および老人病の人達ばかりでなく、容易に呑み込むことのできる剤形の便利さを好むその他患者にも、有意な利益を与えることができる。
【0003】
最近の10年間に、水を摂取することなく口の中で錠剤を崩壊させる、速く溶解する錠剤の技術(fast dissolving tablet technologies)はかなりの注目を引いた。この新しい、速く溶解する錠剤の技術はまた、速く分散する、急速に溶解する、急速に溶ける(melt)及び/又は急速に崩壊する錠剤としても知られている。速く溶解する錠剤は通常、口の中でゆっくり溶解する小さな顆粒へと崩壊する。速く溶解する錠剤の崩壊時間は錠剤の処方および大きさに依存して数秒から1分超まで多様である。速く溶解する錠剤は、水を用いて投与しなければならない伝統的な錠剤またはカプセル剤に取って代わる、および典型的により嵩高でありそして用量がより正確でない液体剤形に取って代わる、都合のよい代替物を患者に提供する。速く溶解する錠剤は特に、高齢者、子供、および呑み込むのが困難である多くのその他の人達によって必要とされている。
【0004】
ここで使用されるとき、用語「速く溶ける錠剤(fast-melting tablet)」は、固体錠剤が口の中でより小さな粒子へと崩壊し結果としてペースト様構造を生じ容易に呑み込むこと又は完全に溶解することができるようになるところの新規処方物を称している。用語「速く溶解する錠剤」および「速く崩壊する錠剤」は広く文献の中に使用されており、それらは本明細書の中でも、本発明の背景局面およびその他技術に言及するのに使用されている。ここで使用されるとき、「FDT」は「速く溶解する錠剤(fast-dissolving tablet)」または「速く崩壊する錠剤(fast-disintegrating tablet)」どちらかを称している。
【0005】
速く溶解する錠剤の製造プロセス
商業的に入手可能なFDTsを製造するのに幾つかの技術が使用されている。たとえば、ZYDIS(登録商標)(Cardinal Health;オハイオ州ダブリン(Dublin))、ORASOLV(登録商標)およびDURASOLV(登録商標)(Cima Labs, Inc.; ミネソタ州エデンプライリー(Eden Prairie))、およびWOWTAB(登録商標)(ヤマノウチ・ファーマ・テクノロジーズ社(Yamanouch Pharma Technologies Inc.); カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto))の技術は米国市場の製品の製造に使用されてきた。これら技術はFDTsの特異要件を或る程度満たしているが、それらのどれもが所期性質の全てを有していない。たとえば、錠剤の多孔性構造を最大にするために、現行のFDT技術は適切な崩壊剤(disintegrating agents)および/または高度に水溶性の添加物(excipients)を錠剤処方物の中に利用している。現時点で利用可能な技術は文献の中で論評されている[たとえば、上記Sastry, S.,; Habib, W., et al., J. Pharm. Pharmacol. 50: 375-382, 1998; およびBogner, R., et al., U.S. Pharmacist 27: 34-43, 2002を参照]。それら技術は通常、FDTsを製造するのに使用されるプロセスに従って、すなわち、凍結乾燥(freeze-drying)、成形(molding)または圧縮(compression)のプロセスに、グループ分けされる。
【0006】
凍結乾燥プロセス: 凍結乾燥(freeze-drying (lyophilization))は構造形成性添加物を含有している凍結薬物溶液または凍結薬物懸濁物から溶剤が除去されるプロセスである。得られる錠剤は通常非常に軽く、そして急速溶解を許す多孔性かつ可塑性の構造を有している。舌の上に置いたときに錠剤個体は殆ど直ちに溶解して組み込まれている薬物を放出する。凍結乾燥プロセス全体は非高温で行われ、従って、加工中の薬物安定性に影響するかも知れない熱の悪影響が除かれている。乾燥状態で保存されるとき、この剤形は有効期間(shelf life)中に安定性問題を比較的生じない。このZYDIS技術は米国特許第4,371,516号明細書(Gregory et al.に対して発行)および米国特許第5,738,875号明細書(Yarwood et al.に対して発行)の中に記載されている。凍結乾燥は比較的高価な製造プロセスであり、そして最終剤形は非常に脆く、標準のブリスターパック(blister packs)では物理的耐性を欠く。さらに、この手法は主薬(active drugs)を高い量で供給することを許さない。加えて、水溶性薬物は共融(eutectic)混合物を形成するかも知れず、共融混合物は溶剤除去後に自己支持する必要がある剛性構造を形成するのに十分なようには凍結できず、そのことが凍結乾燥ケーキの圧崩を引き起こすかも知れず、そしてこの理由で、水溶性薬物の投与は通常60mgに制限される[上記のSeager, H.]。
【0007】
成形プロセス: 成形錠剤の主な構成要素(components)は代表的には、水溶性の成分(ingredients)である。粉末混合物を溶剤(通常、水またはエタノール)によって湿らせ、それから、混合物を型板の中で圧縮して湿塊を形成する(圧縮成形)。湿塊は通常の錠剤圧縮に使用される圧力よりも低い圧力下で錠剤状に成形されている。溶剤を自然乾燥(air-drying)によって蒸発させる。成形錠剤は圧縮錠剤よりもはるかに圧密化されてないので、より高い多孔性の構造が生成されており、それが溶解を向上させる。急速溶解を改善するには、粉末ブレンドを通常、非常に細かい篩に強行に通さなければならない。最近では、成形された形態はまた、薬物が溶解または分散されている溶融マトリックスから直接に製造されている(熱成形)、又は薬物の溶液または懸濁物から溶剤を周囲圧力で蒸発させることによって製造されている(非真空凍結乾燥)[Dobetti, L., Pharmaceutical Technology North America, Suppl. (Drug Delivery), 44-50, 2001]。分散物マトリックスの中の主要構成要素は一般に水溶性の糖類からつくられているので、成形錠剤はより急速に崩壊し、そして改善された味を呈する。不都合なことに、成形錠剤は典型的に、大きな機械的強度を持てない。たとえば、米国特許第5,082,667号明細書(Van Scoikに対して発行された)を参照されたい。錠剤の取扱中およびブリスターポケットの開封中には成形錠剤が侵食および破壊される機会が高い。普通でない装置および/または多段プロセスを使用することによって、十分な機械的強度と良好な崩壊の両方を有するFDTsが成形技法によって製造されてきた。しかしながら、普通でない手法を使用することは機械類により多くの投資を要求する。凍結乾燥によって製造されたFDTsと比較すると、成形錠剤は工業的規模ではより簡単かつ効率的に製造することができるが、崩壊時間は凍結乾燥された形態のものに匹敵できない。
【0008】
圧縮プロセス: 速く溶解する錠剤の製造に通常の錠剤プレス(tablet press)を使用することは低い製造コストと技術移転の容易さから非常に魅力的である。しかしながら、錠剤プレスは通常の錠剤を製造するように設計されてきた。通常の錠剤を製造するときには、錠剤の多孔度(porosity)を高く維持することは主要な関心事ではない。錠剤の強度を確保するのに高い圧縮力が使用されている。錠剤プレスを使用して高い多孔度と十分な錠剤強度を達成するために多数の方策が試みられた。圧縮プロセスはFDTsを製造するのに最も広く使用されている。3つの広く使用されているアプローチは顆粒化法(granulation methods)、特殊添加物法(special excipients methods)、および圧密化と後続処理法(compaction and subsequent treatment methods)である。本発明は圧縮法に関連しているので、前記アプローチを以下に詳述する。
【0009】
顆粒化法: FDTs製造用の顆粒を得るのに使用された全ての別個の方法は、湿式顆粒化(wet granulation)、乾式顆粒化(dry granulation)、噴霧乾燥(spray drying)、および閃光加熱(flash heating)の方法である。これら方法を以下に解説する。
【0010】
a.湿式顆粒化
米国特許第6,149,938号明細書(Bonadeo et al.に対して発行された)は流動床での湿式顆粒化によって急速崩壊性の口腔可溶性錠剤を製造するプロセスを提案している。その発明者らは錠剤の中に存在する発泡剤(effervescent agents)が5%未満でさえ、似たような急速崩壊時間が達成できると主張している。更に、彼らは速い崩壊時間は発泡カップル(effervescent couple)の酸構成要素だけを使用して達成できることを明らかにした。彼らはポリアルコール(たとえば、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール(maltitol)、エリトリトールおよびラクチトール(lactitol))と1〜30%の食用酸と有効成分(active ingredients)を乾燥混合物として使用することを示唆している。この混合物を流動床で顆粒の最終重量の1〜10%を成す水溶性または水分散性ポリマー(たとえば、ポリ(エチレングリコール)、カラゲナン(carrageenan)、およびエチルセルロース)の水溶液によって湿式顆粒化した。高い多孔度と低い見かけ密度を有する顆粒が得られ、そしてかかる顆粒から製造された錠剤は唾液の中で3〜30秒の範囲の急速崩壊時間を有すると報告されている。
【0011】
米国特許第6,316,029号明細書(Jain et al.に対して発行された)は難溶性の有効成分向けの急速崩壊性錠剤を提案している。まず、機械的粉砕、沈殿またはいずれか他の適する微細化プロセスによってナノ粒子を形成した。2000nm未満のそれらナノ粒子を表面安定剤たとえば非イオン性およびイオン性界面活性剤に付着させた。粒子を、流動床を使用して、少なくとも一つの製剤上許容できる水溶性または水分散性添加物によって顆粒化し;該顆粒を錠剤状にした。錠剤は3分未満での完全崩壊または溶解を有した。
【0012】
b.乾式顆粒化
米国特許第5,939,091号明細書(Eoga et al.に対して発行された)は乾式顆粒化によってFDTsを製造する方法を提案している。より高い密度のアルカリ土類金属塩および水溶性炭水化物は急速崩壊と滑らかな口当たりを与えない。低密度のアルカリ土類金属塩および水溶性炭水化物は圧縮するのが困難でありそして含分の一様性を不十分にさせるかも知れない。従って、低密度のアルカリ土類金属塩または水溶性炭水化物を前もって圧密化し、そして得られた顆粒を圧縮して速く溶解できる錠剤にした。このプロセスでは、0.2〜0.55g/mLの密度をもつ粉末材料を、約1.0kN/cm〜約9.0kN/cmの範囲の力速度(force speed)を適用することによって密度を0.4〜0.75g/mLに増大させるように、前もって圧密化した。得られた顆粒を錠剤状に圧縮した。
【0013】
c.噴霧乾燥
噴霧乾燥は溶剤を除去しそして多孔性かつ可塑性の微細粉末を製造する高速かつ経済的なやり方を提供する。米国特許第6,207,199号明細書(Allen et al.に対して発行された)は速く溶解する錠剤を噴霧乾燥技法を使用することによって形成するのに使用するための粒状支持体マトリックスを提案している。この粒状支持体マトリックスの中の構成要素は同じ正味電荷の2つのポリペプチド構成要素(好ましくは、非水解ゼラチンと水解ゼラチン)から構成された支持剤(supporting agents)、増量剤(bulking agent)(マンニトール)、および揮発剤(volatizing agent)を含む。上記構成要素の混合物を噴霧乾燥して多孔性顆粒を得た。揮発剤(大抵の場合はエタノール)を組み込んだことによって、液滴の表面張力は噴霧乾燥中に更に低下し、そしてより多くの細孔(pores)およびチャンネル(channels)が生成された。マトリックスの溶解性は増量剤と合わせたときに更に増大した(数秒程度)。溶解速度を更に促進させるために場合によっては最小量の発泡剤が含有されてもよい。錠剤を取扱中に完全なままに保つのを助けるために、外側に、高分子材料の薄いコーティングを適用してもよい。さらに味マスキング(taste-masking)を達成するために有効成分をマイクロカプセル化またはナノカプセル化することができる。
【0014】
d.閃光加熱プロセス
Fuisz et al.はFDTsを製造するためのシェアフォーム(shearform)技術を導入した。この技術はPCT公報WO95/34293号公報および米国特許第6,048,541号明細書の中に記載されている通り、綿菓子(cotton candy)によく似ているフロス(floss)様結晶質構造を生成する独特のスピニング(spinning)機能を利用している。このプロセスにおいては、供給原料は遠心力と温度勾配を同時に受ける。この条件によって内部フローが発生してスピニングヘッドの周辺に設けられた開口から素材が流れ出るのを強いる。綿菓子にみられるように、素材は開口から出て離散繊維構造を形成するときに冷却される。スピニングの速度は約3,000〜4,000rpmであり、そして温度勾配は約180〜250℃である。担体材料は糖類、多糖類およびそれらの混合物が挙げられる。生成されたフロスは自己結合性(self-binding properties)をもつ自由に流動する顆粒にするために再結晶化される必要がある。
【0015】
特殊添加物法: これらの方法はFDTsの主要構成要素として、特殊添加物、例えば、水不溶性カルシウム塩、特殊な崩壊剤組合せ(disintegrant combination)、特殊な糖組合せ、を選択することに集中している。
【0016】
a.特殊添加物としてのカルシウム塩
米国特許第6,596,311号明細書(Dobettiに対して発行された)は速く崩壊する錠剤の主要構成要素として不溶性添加物を使用する処方を提案している。この資料によれば、口腔での錠剤の崩壊は使用された崩壊剤と不溶性無機添加物の量に依存する。水溶性添加物が使用された場合には、崩壊は水不溶性添加物と水溶性添加物の相対重量比にも依存する。それらの処方においては、強い引張強さと低い脆砕度(friability)をもつ錠剤を形成するのに十分な圧縮を適用できたことも明らかにされた。崩壊速度は報告では、高い圧縮力によって有意に影響されることはなかった。実質的に水不溶性の構成要素は、水不溶性添加物、水不溶性薬物(コーティングされているか又はされていないかどちらでも)、および水不溶性の滑沢剤(lubricant)および滑剤(glidant)を包含する。水不溶性添加物は不溶性の無機塩(たとえば、二塩基性または三塩基性燐酸カルシウム)または有機充填剤(たとえば、微結晶質セルロース)を包含する。
【0017】
b.糖系添加物
糖系添加物、たとえば、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、キシリトール、フルクトース、マルトース、イソマルト、マルチトール、デンプン水解物、およびポリデキストロース、は、それらの高い水性溶解度と甘味、心地よい口当たりおよび良好な味マスキングのせいで、増量剤として広く使用されてきた。急速に溶解する錠剤のための殆ど全ての処方物はそれらの処方物の中に若干の糖材料を組み込んである[Chang, R. -K., et al., Pharmaceutical Development and Technology, 24: 52-58, 2000]。
【0018】
更なる提案が米国特許第5,576,014号(Mizumoto et al.に対して発行された)、第6,589,554号(Mizumoto et al.に対して発行された)および第6,465,009号(Liu et al.に対して発行された)の各明細書に記載されており、それらは山之内製薬(Yamanouchi Pharmaceutical Co.)のいわゆるWOWTAB(登録商標)技術に関連している。この技術は通常の造粒(granulation)と打錠(tableting)の技法を使用して、速く溶解する錠剤を製造するのに低い成形適性の糖類と高い成形適性の糖類の組合せを用いている。これら資料に記述されている通り、糖類は2つのグループ: 高い成形適性をもつ糖類と低い成形適性をもつ糖類に別けられる。「低い成形適性(low moldability)」を有する糖類はかかる糖類の150mgが直径8mmのダイを使用して10〜50kg/cmの圧力下で圧縮されたときに0〜2kgの硬度をもつ錠剤を生じるものである。例示の、低い成形適性の糖類はラクトース、マンニトール、グルコース、スクロース、およびキシリトールを包含する。「高い成形適性(high moldability)」を有する糖類は同じ条件下で製造されたときに2kgを超す硬度をもつ錠剤を生じるものである。代表的な、高い成形適性の糖類はマルトース、マルチトール、ソルビトール、およびオリゴ糖からなる。低い成形適性を有する糖類または高い成形適性を有する糖類を単独で圧縮することによって錠剤をつくったときには、報告では、十分な硬度と口の中での急速崩壊という所望の性質が同時には達成できない。更には、低い成形適性を有する糖類と高い成形適性を有する糖類を打錠前に混合(物理混合)しても、口の中での急速な崩壊および溶解を得ることができない。これら資料によれば、単一の糖類は高い強度と速い崩壊という両方の性質を有する錠剤をつくることができない。この理由で、低い成形適性を有する糖類が、結合剤としての高い成形適性を有する糖類と共に、造粒された。低い成形適性の糖類は主要構成要素として使用された。低い成形適性の糖類に対する高い成形適性の糖類のブレンド比率は2〜20重量%、好ましくは5〜10重量%、の範囲であった。これらシステムでは錠剤重量の50%(w/w)までが有効成分であることができる。これら顆粒の圧縮によってつくられた錠剤は十分な硬度と口の中に入れたときの速い崩壊および溶解を示すと主張されている。
【0019】
c.崩壊剤
大抵の速く溶解する錠剤処方物は或るタイプの崩壊剤を使用している。処方物によってはそれの崩壊剤として発泡カップルを使用しているものもあり、崩壊剤の組合せを使用しているものもある。医薬品の領域に使用される非発泡崩壊剤の種々のタイプのまとめはDobetti(米国特許第6,596,311号明細書)によって与えられている。
【0020】
米国特許第5,464,632号明細書(Cousin et al.に対して発行された)によって開示されているように、ラボラトリーズプログラファーム(Laboratories Prographarm)(仏国)のFLASHTAB(登録商標)技術は顆粒状添加物の圧縮によって錠剤を製造する。この技術に使用される添加物は2つのグループの構成要素を含む。1つのグループは崩壊剤、たとえば、カルボキシメチルセルロースまたは不溶性網状ポリビニルピロリドン、である。もう一つのグループは膨潤剤(swelling agent)、たとえば、カルボキシメチルセルロース、デンプン、変性デンプン、カルボキシメチル化デンプン、微結晶質セルロース、および多分直接圧縮可能な糖、である。添加物の混合物は乾式または湿式どちらかの顆粒化法によって製造された。製造された錠剤は満足な物理的耐性を有しそして口の中で1分以内に崩壊することが知られている。
【0021】
米国特許第5,178,878号明細書(Wehling et al.に対して発行された)はCima Labs, Inc.のORASOLV(登録商標)技術を提案している。この資料は速く溶解する錠剤を製造する低圧圧縮法を開示しており、その方法は発泡崩壊剤(effervescent disintegration agent)を使用している。発泡崩壊剤は水と接触したときに気体を放出する化合物である。最も広く使用されている発泡崩壊ペアは通常、酸源(acid source)と炭酸源(carbonate source)を包含している。酸源はクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、およびコハク酸を包含する。炭酸源は重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムおよび炭酸カリウムを包含する。反応から発生する二酸化炭素は患者に或る「シュワシュワとした音(fizzing)」の感覚を与えるかも知れず、それは「ポジティブ」な特殊感覚受容性の感覚(organoleptic sensation)である。該特許明細書の中に記載されている処方物は発泡崩壊剤、微粒子(microparticle)形態の医薬成分、およびその他の添加物たとえば結合剤や非発泡崩壊剤を包含する。発泡崩壊剤の量は一般に錠剤の全重量の約20〜25%である。錠剤の中に組み込まれた医薬成分は微粒子形態にある。微粒子はマイクロカプセルとして又はマトリックス型微粒子として製造されてもよい。微粒子形態は薬物放出プロフィールをコントロールするためばかりでなく薬物のまずい味をカバーするためにも使用することができる。ORASOLV(登録商標)錠剤の軟らかい且つ脆い本性故に、PAKSOLVEと称されそして米国特許第6,311,462号明細書(Amborn et al.に対して発行された)に開示された特殊包装システムが錠剤を輸送中および貯蔵中の破壊から防護するのに開発された。また、同社によって、米国特許第6,024,981号明細書(Khankari et al.に対して発行された)に記載されているようにDURASOLV(登録商標)技術が、ホイルパウチ(foil pouches)またはボトルの中に包装するためのもっと強い錠剤を提供するのに開発された。この処方物における基幹成分は非直接圧縮用充填剤(non-direct compression filler)と滑沢剤である。非直接圧縮用充填剤として知られている非常に細かい充填剤が主成分として使用される。非直接圧縮用充填剤として使用できる材料は非直接圧縮用の糖および糖アルコール、たとえば、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトースおよびスクロース、である。非直接圧縮用充填剤の量は通常、錠剤の全重量の約60〜95%である。
【0022】
圧密化と後続処理: これら方法はまず、低圧で圧縮された錠剤を製造し、次いで、昇華(sublimation)、焼結(sintering)、湿度処理(humidity treatments)、のような様々な後処理を適用して軟錠剤を強くさせる。
【0023】
a.昇華
昇華技術においては、揮発性材料を使用することによって速い崩壊に必要な高い多孔度が達成される。不活性固体成分、たとえば、尿素、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、ヘキサメチレンテトラミン、および樟脳、は容易に揮発できる。これら揮発性材料が錠剤状に圧縮されたときには、それらは昇華によって除去されることができ、それが多孔性構造を生じさせる。米国特許第3,855,026号明細書(Heinemann et al.に対して発行された)は昇華によって多孔性錠剤を製造する方法を開示している。揮発性助剤の混合物を錠剤にし、その後で、錠剤を加熱して助剤を除去したのは、錠剤の中の助剤の残留量が患者に有害な影響を与えるかも知れないからである。別の方法が米国特許第5,762,961号明細書(Roser et al.に対して発行された)によって提案されており、急速可溶性錠剤を昇華によって製造する方法が開示されている。処方物の中の構成要素は、錠剤の30〜50重量%(w/w)の量の揮発性塩(たとえば、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムおよび炭酸アンモニウム)、希釈剤(たとえば、トレハロースまたはラクトース)、結合剤、およびその他の助剤を含む。
【0024】
b.湿度処理
或る種の糖はそれらの溶液が噴霧乾燥されたときに又は結合剤溶液として使用されたときに非晶質状態から結晶質状態に変化することが知られている。更なる検討によって、非晶質糖は加湿(humidification)と乾燥の過程を通るように処理されたときに結晶質状態に変化するということが明らかにされた。この変化は錠剤強度を実質的に増大させる。
【0025】
上に挙げた米国特許第6,589,554号明細書(Mizumoto et al.)は、薬物と、糖と、非晶質から結晶質状態へ転位することができる非晶質糖を、加湿し乾燥することを提案している。糖の主な機能は頬腔内で溶解することである。処方物の中の糖の量は薬物の含有量と錠剤の大きさに応じて調節することができる。好まれる糖はラクトース、グルコース、トレハロース、マンニトール、エリトリトールなどを包含する。「非晶質糖」は、噴霧乾燥、凍結乾燥またはその他の顆粒化法によって非晶質状態を形成することができるものである。「非晶質糖」はグルコース、ラクトース、マルトース、ソルビトール、トレハロース、ラクチトール、フルクトースなどを包含する。溶剤の中に溶解された糖の結晶質形態は噴霧されて薬物にぶつかる。加湿とその後の乾燥のプロセスは錠剤強度を増大させるのに使用されている。相対湿度は薬物と非晶質糖の混合物の見かけの臨界相対湿度(apparent critical relative humidity)によって決まる。湿った条件には、この混合物の臨界相対湿度以上の相対湿度が選ばれる。非晶質糖の利点はそれらが低い臨界相対湿度を有していて低い湿気レベル(moisture levels)においてさえ水を吸収できるということである。糖の結晶質形態は湿気吸収をコントロールするのが難しい。結晶質形態の湿気吸収は低い湿度条件で錠剤を強化するに足るほど十分ではない。高い湿度条件が使用されると、錠剤は互いに接着するかも知れず、製造上の問題を引き起こす。非晶質糖を使用することの更なる利点は非晶質状態から結晶質状態への転位が不可逆であることである。結晶質状態における糖は高い臨界湿気点(critical moisture point)を有する。強化された錠剤は湿気に対してより感受性でない。
【0026】
上に挙げた米国特許第6,465,009号明細書(Liu et al.)は速く溶解する錠剤を湿度処理によって製造するための系を開示している。結合剤溶液として水溶性ポリマーが使用されている。そのプロセスは次の工程を含む:結合剤溶液として水溶性ポリマーを使用して有効成分とその他の添加物たとえば低い成形適性の糖(たとえば、マンニトール、ラクトース、グルコース、スクロース、およびラクチトール)を顆粒化した;それから、顆粒を錠剤状に圧縮した;錠剤を約50〜100%の相対湿度で加湿した;次いで、錠剤を乾燥した。報告では、錠剤の硬度は約0.5〜12.0キロポンドであり、そしてインビボ崩壊時間は約1秒〜40秒である。
【0027】
米国特許第6,316,026号明細書(Tatara et al.に対して発行された)に開示されているように、速く溶解する錠剤は、湿気処理と、湿気処理前の脆い錠剤を取り扱う装置とによって製造できる。有効成分と一つまたはそれ以上の水溶性糖類を0.01〜0.2トン/cmの圧力で圧縮した。それから、錠剤を加湿しそして乾燥して20〜40%の多孔度を生成した。処方物中の有効成分は好ましくは30%未満であるべきである。処方物中の有効な糖類はエリトリトール、キシリトールおよびマンニトールを包含する。錠剤製造装置はロータリーパンチプレス、錠剤を移送するためのリレーコンベア、加湿セクション、乾燥セクション、および配給コンベアを含む。加湿セクションにおいては、条件は、錠剤を45℃で、相対湿度95%で、60秒間加湿するように設定された。乾燥セクションにおいては、温度は50℃に60秒間設定された。この装置を使用することによって、湿気処理前の脆い錠剤はこのプロセス全体を通して穏やかに移送された。
【0028】
c.焼結
更なる方法が米国特許第6,465,010号明細書(Lagoviyer et al.に対して発行された)によって開示されており、錠剤構成要素を高温で焼結しそしてその後に温度が低下した後に再固化することによって錠剤強度を増大させるプロセスが記載されている。この処方物の中の構成要素は増量剤、構造剤(structure agents)、溶剤、および結合剤を含む。この処方物の中の増量剤は錠剤全体に嵩容積(bulk volume)を付与するためであり、そしてその含有量は錠剤全体の約10%〜95%の範囲である。適する増量剤は炭水化物(たとえば、スクロース、マンニトール、およびソルビトール)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを包含する。適する構造剤は口の中での錠剤の急速溶解を可能にする多孔性支持体構造を提供するべきである。構造剤は寒天、ゼラチン、卵白、およびコンドロイチンを包含する。好まれる構造剤はゼラチンであった。ゼラチンの量は約1〜3%の範囲であった。増量剤/構造剤の混合物を溶解させるための溶剤の選択は乾燥時にビーズまたは造粒生成物に所期多孔度を与える能力に基づいている。溶剤は水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、またはそれらの混合物から選択できる。好まれる溶剤はエチルアルコールと水の1:1から1:100までの範囲の比の混合物である。結合剤は焼結段階で融解することが必要であり、そして最終の焼結または加熱工程の温度が低下したときには顆粒間の結合を形成しそして再固化する。結合剤は水溶性ポリマーであり、そして好まれる結合剤は約1,000〜1,000,000の分子量をもつポリ(エチレングリコール)(PEG)である。PEGは約50〜90℃で融解する。PEGは結合剤としても及び毛管吸引剤(capillary attractant)としてもどちらにも機能するという利点を有する。結合性ポリマーの量は最終生成物の重量の0.5%〜25%の範囲であった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0029】
(発明の概要)
本発明は頬腔の中で急速に溶けることができる医薬錠剤に関する。錠剤は多数の高可塑性顆粒(highly plastic granules)含んでおり、そこでは顆粒は多孔性の可塑性物質(porous, plastic substance)と、透水向上剤(water penetration enhancer)と、結合剤(binder)を含んでいる。錠剤はプラセボ(placebo)であることができ、その場合にはそれは有効医薬成分(active pharmaceutical ingredient)を欠く。他方、より一般的には、それは薬物を含んでいるであろう。
【0030】
本発明に使用するための多孔性の可塑性物質は便宜上、500mgの物質が約1,500ポンド未満の圧力において直径0.5インチのダイにて圧縮されたときに塑性変形(plastic deformation)を示すことによって特徴付けられる及び/又は選択される。多孔性の可塑性物質は代表的には錠剤の約1重量%〜約95重量%を構成する。
【0031】
本発明の透水向上剤は便宜上、次の試験を行うことによって特徴付けられる及び/又は選択される: まず、材料の200mg錠剤を300ポンドで直径0.5インチのダイにて形成する。それから、水滴が拡がらない平坦表面すなわち湿潤されない表面の上に提供された0.5mLの水滴の頂上に錠剤を置く。向上剤の錠剤が水を吸収しそしてその上面における水の出現によって証明される通りの完全湿潤を60秒以内に示すならば、材料は本発明に使用するための透水向上剤として適している。代表的には、透水向上剤は錠剤の約1重量%〜約95重量%を構成する。
【0032】
本発明の結合剤は多孔性の可塑性物質および透水向上剤の粒子をして粒子分離を起こさないように且つ錠剤を形成するのに使用される低圧において顆粒密着性を増大させるように十分に互いに接着することを可能にさせるよう選択されている通常のものである。結合剤は代表的には錠剤の約1重量%〜約90重量%を構成する。
【0033】
本発明の一態様においては、多孔性の可塑性物質と透水向上剤が同じ材料であることができる、すなわち、適する多孔度(porosity)を有する材料を提供することと適する透水性を有するものを提供することの両方の機能が同じ物質によって錠剤に付与されることができる。この関連における例はフルクトースである。
【0034】
本発明の錠剤は一般的には、約5mg〜約5,000mgの範囲の、好ましくは50mg〜500mgの範囲の錠剤全重量を有する。本発明の錠剤はまた、口の中で約90秒未満で、好ましくは約60秒未満で、溶けることを特徴としている。上に挙げた成分に加えて、錠剤は少なくとも一つの追加成分たとえば界面活性剤、超崩壊剤(superdisintegrant)、超多孔性ヒドロゲル粒子、発泡剤、滑沢剤、着香剤、および/または着色剤を含んでいてもよい。
【0035】
本発明の速く溶ける医薬錠剤を製造する方法は、多孔性の可塑性物質と透水向上剤を合わせてその混合物を生成し;混合物をそれの凝集粒子の集団(mass)を形成するのに有効な量の結合剤で処理し;凝集粒子を、多数の高可塑性顆粒を単離するように、篩い分け及び/又は乾燥し;そして、高可塑性顆粒を低い圧力下で圧縮して、速く溶ける医薬錠剤をもたらす、ことを含む。かかる方法は好ましくは更に、多孔性の可塑性物質と透水向上剤を混ぜ合わせる前に、有効医薬成分を、多孔性の可塑性物質、透水向上剤、および/または結合剤と緊密に合わせることを含む。高可塑性顆粒を錠剤状に圧縮するのに使用される錠剤圧縮圧力は一般的には約150MPa未満、好ましくは約35MPa未満、より好ましくは約10MPa未満である。かかる方法によって製造した速く溶解する性質を有する医薬錠剤が意図されている。
【0036】
(発明の詳細)
速く溶ける錠剤に要求される3つの主な性質は、(i)水を吸収するための、錠剤の高い多孔度、(ii)数秒以内での、錠剤コアの中への透水、および(iii)容易に取り扱うための、錠剤の高い機械的強度、である。錠剤のこれらの3つの性質は上記性質を与える化学的構成要素を合わせることによって本発明の原理に従って同時に達成される。従って、本発明の医薬錠剤は3つのクラスの構成要素: (i)多孔性かつ可塑性の材料(構成要素1); (ii)透水向上剤(構成要素2); および(iii)結合剤(構成要素3)を含んでいる。これら3つの主要な構成要素を合わせそしてここに記載されている通りに加工したときには、高可塑性顆粒を得ることができる。次いで、この高可塑性顆粒を低圧で圧縮して、速く溶ける医薬錠剤を形成する。
【0037】
ここで使用されるとき、用語「高可塑性顆粒」は、本発明の原理に従って、速く溶ける錠剤になるように圧縮される顆粒を称している。特に、かかる顆粒は、顆粒500mgを1,500ポンド未満の圧力において直径0.5インチのダイにて圧縮して形成された錠剤が約7ニュートン(N)より大きい硬度を示す又は形成された錠剤が約5%未満の脆砕度(friability)を示すならば、「高可塑性」である。かかる高可塑性顆粒を低圧で圧縮することによって形成された錠剤は高い多孔度と予想外の低い脆砕度を示す。高可塑性顆粒をもって製造されたかかる錠剤は頬腔の中に、特に舌の上に、置いたときには、非常に速く溶ける。
【0038】
ここで使用されるとき、用語「溶ける(melting)」は錠剤の形状が崩壊または部分溶解どちらかによって喪失して容易な呑み込みに向くペースト様構造になることを称する。溶ける時間は、速く溶ける錠剤の大きさおよび寸法に依存するが、一般的には、錠剤が小さいほど、速く溶ける。溶ける時間は小さい錠剤での数秒から大きい錠剤での60秒より上まで範囲がある。
【0039】
錠剤の性能および/または製造過程を改良するために、上記の3つの構成要素のいずれかに、界面活性剤、超崩壊剤、超多孔性ヒドロゲル粒子、発泡剤、滑沢剤、着香剤、または着色剤を添加することができる。代わりに、これら他の成分のいずれもが、高可塑性顆粒の生成後でかつ錠剤状に圧縮する前に添加することができる。
【0040】
図1は本発明に従って高可塑性顆粒および速く溶ける錠剤を製造する代表的プロセスを図解している。図1に描かれたプロセスにおいては、顆粒化を行う前に薬物を構成要素1および構成要素2と混合する。しかしながら、以下に更に詳細に論じる通り、薬物は顆粒化の前に構成要素1および2と混合しなければならないというわけではない。さらに、構成要素1と構成要素2は同じ化学的化合物であることができる。
【0041】
図2に示されている別の態様においては、薬物を構成要素3に添加する。この手順はたとえば非常に低い用量を有する薬物または既に溶液状態になっている薬物にとって有効である。
【0042】
図3に示されているように本発明の更に別の態様においては、まず、薬物なしの高可塑性顆粒を製造してから後で薬物を混合することができる。この手順は顆粒化に使用される溶剤に薬物が敏感である場合には特に有効である。
【0043】
加えて、図4に示されているように、構成要素1と2が同時に顆粒化されなければならないというわけではない。2つの異なるタイプの凝集粒子(顆粒)を製造するために構成要素1を構成要素2から独立して顆粒化することができる。構成要素1および構成要素2の顆粒は他の構成要素と混ぜ合わせることができる。構成要素1と構成要素2を含む顆粒は構成要素3と共に更に顆粒化することができる。低圧縮工程を行う前のいずれの工程で一つまたはそれ以上の薬物を添加することができる。
【0044】
上記から明らかにように、プロセス工程における多数のバリエーションは似たような性質を有する速く溶ける錠剤をもたらすことができる。
【0045】
3構成要素システム(three-component system)の原理的説明
本発明の構成要素1は製薬上許容できる多孔性かつ可塑性の添加物から選ばれる。多孔性の可塑性材料は水溶性または水分散性であり、時には、水と接触したら殆ど瞬時にそうなる。多孔性構造と可塑的性質をもつ適する粉末はかかる粉末500mgを1,500ポンド未満の圧力において直径0.5インチのダイを使用してプレスしたときに錠剤状にすることができるものであり、それにより、形成された錠剤はその形状と大きさを維持する、即ち、塑性の性質を示す。粉末の塑性変形は粒子間の結合を形成するのに必要な粒子間接触の機会を著しく増大させる。
【0046】
本発明の多孔性かつ可塑性の材料がポリマー性である場合には、水性媒体に溶解するときに錠剤表面において材料の粘稠層の形成が起こらないようにすることが必須である。このような錠剤を製造する一つのやり方は多孔性かつ可塑性の材料(構成要素1)を透水向上剤(構成要素2)と或る比率で混合しそしてそれらを低圧で圧縮して多孔性かつ可塑性の材料の塑性変形を結果として生じて粒子間に緊密な接触を生み出すことである。この過程で、多孔性かつ可塑性の粒子は錠剤表面上の粘稠層の形成を防止する透水向上性粒子(構成要素2)によって離隔される。本発明においては、構成要素1と構成要素2はしばしば異なる物質であるが、場合によっては、それらは同じ材料であることができる。
【0047】
多孔性かつ可塑性の材料は圧縮によって結合の機会を増すように密に接触することができるが、上に挙げた圧力においては顆粒間に実際に強い結合を形成するには適切な結合剤(構成要素3)が要求される。結合剤は顆粒化中に多孔性材料と透水向上剤を固定することもできる。結合剤無しでは、それら2つの構成要素は混合中に容易に離反することがある。結合剤は液体または半固体、たとえばペースト状態の結合剤、であることができる。結合剤が液体または半固体状態にあるとしても、それは多孔性材料の多孔性構造を有意にそこなうべきでない。これを達成する一つのやり方は高濃度の結合剤を使用して水分活性(water activity)を低下させることである。これを達成する別のやり方は比較的低濃度の結合剤を使用して顆粒をつくる時に多孔性構造が結合剤溶液によってそこなわれないようにそれとは短い時間しか接触しないようにすることである。たとえば、流動床造粒機では湿潤後直ちに溶剤を乾燥することができ、比較的低濃度の結合剤を使用しても多孔性構造は維持できる。
【0048】
高可塑性顆粒を基材とした速く溶ける錠剤の構成要素
構成要素1:多孔性かつ可塑性の材料
用語「多孔性の可塑性材料」およびその均等物はここで使用されるとき、(i)約0.14より高い多孔度(細孔容積割る全容積によって定義されたとき)または約0.86未満の密度(重量割る体積によって定義されたとき)をもつ多孔性であり、かつ(ii)かかる粉末500mgが1,500ポンド未満の圧力において直径0.5インチのダイを使用してプレスされたときに塑性変形を受ける(すなわち、形成された錠剤がその形状および大きさを維持する)、いずれの材料をも称している。一般に、圧縮力が1,500ポンドより高くなると、形成された錠剤は速く溶ける性質を通常維持しない。
【0049】
多孔性かつ可塑性の材料は好ましくは水溶性である。水への溶解度の高い多孔性かつ可塑性の材料は錠剤全体の1重量%〜95重量%を占めることができる。構成要素1の濃度が約1%未満であると、それは圧縮による結合の機会を増大させるのに十分な他の構成要素との接触をもたらすことができない。構成要素1の濃度が約95%より大きいと、他の構成要素たとえば構成要素2、構成要素3、薬物、滑沢剤などを含有することができない。
【0050】
本発明の多孔性かつ可塑性の材料は商業的に購入できる、又は様々な方法たとえば噴霧乾燥、流動床造粒機による造粒、等々によって製造できる。高可塑性顆粒をつくるのに使用できる多孔性かつ可塑性の材料は限定されるものではないが次のものが挙げられる:フルクトース、ラクチトール、ラクトース、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、エリトリトール、およびキシリトールを含めての糖類ばかりでなく、有機ポリマー、たとえば、マルトデキストリン、デキストリン、エチルセルロース、ポリメタクリレート、および予めゲル化したデンプン(たとえば、ロケッテアメリカン社(Roquette American Inc.)によるLYCATAB(登録商標))。マルトデキストリンは商業的に得ることができ、そして例はMALTRINシリーズ(グレインプロセッシング社(Grain Processing Corp.)によるマルトデキストリンとコーンシロップ固体の形態)、MALTRIN QDシリーズ(グレインプロセッシング社によるマルトデキストリンとコーンシロップ固体の急速分散性形態)、およびGLUCIDEX(登録商標)IT(ロケッテアメリカン社によるマルトデキストリンと噴霧乾燥グルコースシロップ)である。マルトリンQDシリーズおよびADVANTOSE FS95フルクトースまたはそれらの組合せが好ましい、何故ならば、それらはその優れた結合特性に加えて凝集体の内部に高い多孔度を有するように製造されているからである。
【0051】
適切な多孔性かつ可塑性の構造を形成することができるその他の材料は、アラビアガム(gum arabic)、キサンタンガムおよびその誘導体、グアーガムおよびその誘導体、海草ガム(seaweed gums)、カラゲナン、デキストラン、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、デンプンおよびデンプン誘導体(たとえば、ヒドロキシプロピルスターチまたはカルボキシメチルスターチ)、セルロースエステル(たとえば、カルボキシメチルセルロースまたはセルロースエーテルヒドロキシエチルメチルセルロース)、不飽和酸(たとえば、アクリル酸またはその塩)の単独重合体または共重合体、不飽和アミド(たとえば、アクリルアミド)の単独重合体または共重合体、エチレンイミンの単独重合体または共重合体、ビニル重合体(たとえば、ポリ(ビニルアルコール))、ビニルエステル(たとえば、ビニルピロリドン、ビニルオキサゾリドン、ビニルメチルオキサゾリドン、ビニルアミンおよびビニルピリジン)の単独重合体または共重合体、アルキルグリコール、およびポリアルキレンオキシド(たとえば、ポリエチレンオキシド)およびオキシエチレンアルキルエーテル、デキストレート(dextrates)、デキストリン、デキストロース、微結晶質セルロース、珪酸化微結晶質セルロース(silicified microcrystalline cellulose)、粉末セルロース(powdered cellulose)、酢酸セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、二塩基性燐酸カルシウム、三塩基性燐酸カルシウム、およびカルボキシメチルセルロースカルシウム塩を包含する。
【0052】
構成要素2:透水向上剤
本発明の透水向上剤は錠剤崩壊を速くするのに使用される。ここで使用されるとき、「透水向上剤」は現象論的には次のように定義される: 候補の透水向上性材料の200mgが直径0.5インチのダイにて300ポンドで圧縮されたなら、形成された錠剤は、湿潤されない即ち表面に水滴が拡がらない平坦表面の上に置かれた0.5mLの水滴の頂上に置いたときに、60秒以内に完全に湿潤されるべきである。完全湿潤は60秒の時間枠内での錠剤頂上への水の出現によって証明される。
【0053】
速く溶ける錠剤を製造するのに使用するための、透水向上剤は高度に水溶性であるべきである又は少なくとも高度に分散性であるべきである。透水向上剤は錠剤全体の10重量%〜95重量%を占めることができる。代表的には、構成要素2の濃度が約10%未満であると、それは透水向上効果を有効に付与することができない。構成要素2の濃度が約95%より高いと、他の構成要素たとえば構成要素1、構成要素3、薬物、滑沢剤などを含有することができない。
【0054】
一般的な透水向上剤は高度に水溶性の炭水化物であり、それはしばしば希釈剤として使用される。いずれのタイプの炭水化物も本発明に記載された処方物の中に使用できる。例はデキストレート、デキストリン、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、ラクトース、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、エリトリトール、およびキシリトールである。あまり水溶性でないが高度に分散性であるそれら希釈剤には微結晶質セルロース、珪酸化微結晶質セルロース、粉末セルロース、酢酸セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、二塩基性燐酸カルシウム、三塩基性燐酸カルシウム、およびカルボキシメチルセルロースカルシウム塩が包含される。炭水化物とポリマーの様々な組合せも使用できる。例はSTARLAC(登録商標)(ロケッテアメリカン社からの、15%のトウモロコシデンプン(maize starch)と85%のα−ラクロース1水和物を含有する噴霧乾燥固体)、MICROCELAC(登録商標)(メッグル・イクシピエンツ・アンド・テクノロジー(Meggle excipients & technology)からの、75%のα−ラクトース1水和物と25%の微結晶質セルロースを含有する噴霧乾燥固体)、およびCELLACTOSE(登録商標)(メッグル・イクシピエンツ・アンド・テクノロジーによる、75%のα−ラクトース1水和物と25%のセルロース粉末を含有する噴霧乾燥コンパウンド)である。透水向上剤または嵩希釈剤(bulk diluents)として使用される材料の好ましいグレード(grade)は直接圧縮グレードである。高い多孔度を有すべく例えば噴霧乾燥によって製造された材料はさらに好ましい。多孔性の透水向上剤または嵩希釈剤の例はSTARLAC(登録商標)、MICROCELAC(登録商標)、CELLACTOSE(登録商標)、MANNOGEM EZスプレー(登録商標)(SPIファーマ社(SPI Pharma. Inc.)からの噴霧乾燥マンニトール)である。
【0055】
構成要素3:結合剤
本発明においては、結合剤の主な機能は構成要素1と構成要素2の間に結合を形成しそれによって2つの構成要素が分離するのを防ぐこと及び錠剤を製造するのに使用される低い圧縮圧力において顆粒間の結合効率を増大させることである。結合剤は顆粒化の方法に依存して液体または半固体の形態にあることができる。結合剤の一要件は溶液または半固体の形態における結合剤が材料を溶解することによって材料の多孔性構造を有意に破壊するべきではないということである。従って、構成要素1および2の多孔性構造をできるだけ維持することが重要である。これはたとえば高濃度の結合剤を使用して水分活性を単純に低下させることによって行うことができる。結合剤の適性を検査するための簡単な試験を次の通り行うことができる: 1mLの結合剤を0.5gの多孔性の可塑性材料に加え; 多孔性材料が10秒以内に完全に溶解されるのでなければ、結合剤は本発明の原理に従う速く溶ける錠剤を製造するのに使用できる有力な候補である。
【0056】
湿った顆粒を乾燥した後では、固化した結合剤は水と接触したときに急速に溶解することが好ましい。結合剤のタイプおよび量は、高い可塑性(plasticity)や良好な結合性質のような望ましい物理的性質をもつ顆粒を生じるように調節することができる。その他の製剤上許容できる有機溶剤たとえばエタノールもまた、結合剤のための溶剤として使用することができ、それは更には多孔性材料の溶解を減少させてもよい。その他の材料は構成要素2に列挙された炭水化物や、ポリマー、たとえば、アカシア(acacia)、アルギン酸、カルボマー(CARBOMER)、カルボキシメチルセルロース、セルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリデキストロース、ポリ(エチレンオキシド)、ポビドン(povidone)、およびアルギン酸ナトリウムを包含する。
【0057】
他の構成要素
上記の3つの構成要素に加えて、幾つかの他の構成要素も錠剤の品質および性能を改善するために錠剤処方物に添加することができる。崩壊剤、甘味剤、着香剤(flavors)、着色剤、酸味剤、および滑沢剤が添加できる。例示の崩壊剤はデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカメロースナトリウム(croscarmellose sodium)、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、および超多孔性ヒドロゲルを包含する。甘味剤は天然および人工甘味剤、たとえば、サッカリンナトリウム、アスパルタム(aspartame)、およびシクラメート(cyclamate)、を包含する。着香剤の例はフルーツフレーバー、バブルガムフレーバー(bubble gum flavor)などを包含する。着色剤は食用色素、食用レーキ色素(food lake dye)などを包含する。用途の中に唾液分泌を包含する酸味剤はクエン酸を包含する。滑沢剤はステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック重合体、タルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素などを包含する。
【0058】
高可塑性顆粒を基材とした速く溶ける錠剤の製造プロセス
活性な構成要素(active components)の添加
有効医薬成分たとえば薬物は幾つかの方法によって処方物に添加することができる。薬物(単数または複数)を図1に示されている通りに構成要素1および構成要素2と混合してから湿式顆粒化を受けさせることができる。薬物(単数または複数)を図2に示されている通りに顆粒化に向けて構成要素3に添加することもできる。代わりに、薬物(単数または複数)を図4に描かれている通りにプラセボの高可塑性顆粒と混合することもできる。プラセボの高可塑性顆粒は薬物(単数または複数)の不在下で製造されたものである。その他の時点で薬物を処方物の中に導入することは薬物の安定性に依存するかも知れないが当業者の知識の範囲内である。ここで使用されるとき「ダイエタリー・サプリメント(dietary supplements)」は「有効医薬成分」の定義の範囲内とする。
【0059】
有効医薬成分は結晶質、非晶質、またはいずれか固体の形態にあることができる。薬物粒子は味をマスキングするために又は薬物放出プロフィールをコントロールするためにコーティングすることができる。錠剤性能および/または製造プロセスを改善するために場合によっては、界面活性剤、超崩壊剤、超多孔性ヒドロゲル粒子、発泡剤、滑沢剤、着香剤、または着色剤を添加することができる。
【0060】
高可塑性顆粒を製造するための顆粒化: 顆粒化の状態に依存して、顆粒化の方法を変えることができる。湿式顆粒化においては、薬物、構成要素1、構成要素2、およびその他の必要な構成要素の他に、他の望まれる材料を添加することができる。全ての構成要素を混合した後に、これらドライ材料を連続的に攪拌しながら湿式顆粒化用溶液を徐々に添加することを、望ましい性質をもつ湿った素材が得られるまで、行う。1次粒子の内部の多孔性構造に過度のダメージを与えるのを避けるために湿式顆粒化には低剪造粒機、高剪造粒機または流動床造粒機が好ましい。顆粒化プロセスにおいては、構成要素1と構成要素2の高可塑性顆粒を別々に製造してから後で混合することができる。湿式顆粒化の過程中に、粒子は互いに近づくことを強いられ、そして粒子間に液状ブリッジが形成される。これは顆粒化法が高密度化プロセス(densification process)であると云われる所以である。得られた湿った素材を所期の篩番号をもつ篩を通してスクリーニングしそして乾燥する。
【0061】
構成要素の材料選択は得られる顆粒が乾燥後でさえ高可塑性になるようにする。高可塑性顆粒は圧縮によって錠剤を製造するのに使用できる。湿式顆粒化の実際の工程は湿式顆粒化に使用される装置に依存して変動し得る。ここでの主な要点は高可塑性顆粒をつくることである。
【0062】
湿式顆粒化中に、ドライ構成要素は溶液の中に一部溶解されるかも知れず、そうすると、それらの1次粒子の多孔度が或る程度失われるかも知れない。これが起こるのを最少にするために、高い結合剤濃度をもつ湿式顆粒化用溶液を使用して希釈剤とドライ結合剤に対する溶液の溶解力を低下させる。高い結合剤濃度をもつ湿式顆粒化用溶液を使用することの別の利点は粒子上に付着される結合剤の量が非常に高くなり圧縮中の粒子間結合の有意な改善につながることである。用語「高い結合剤濃度」は通常の顆粒化に使用されるものよりも高い濃度、好ましくは、結合剤の飽和溶液濃度に近い濃度、を称している。顆粒化のための結合剤は溶液状態に限定されず、半固体が顆粒化における結合剤として添加されることもできる。
【0063】
篩い分け(sieving)と乾燥: 篩い分け工程では、湿った素材は乾燥前に篩を通過する。乾燥の方法および条件は最終のドライ顆粒が高い可塑的性質を達成するように変動可能である。湿式顆粒化、篩い分け、および乾燥の諸工程は造粒装置に依存して組み合わせることができる。
【0064】
予圧縮(pre-compression): 顆粒は低圧(1〜150MPa)での圧縮前にブレンダーの中で超崩壊剤、超多孔性ヒドロゲル粒子、発泡剤、滑沢剤、または着色剤と混合されてもよい。
【0065】
圧縮: 錠剤が口の中で急速に溶けるためには、それはその内部コアの中へと水を急速に吸収しなければならない。従って、圧縮錠剤の中に高い多孔度を維持することが重要である。通常、低い圧力を適用して圧縮後の高多孔度を維持する。しかしながら、錠剤は低い圧縮圧力で製造されたときには、通常、劣った脆砕度と硬度を示す。本発明に従って製造された錠剤といわゆる「速く溶解する錠剤」との間の主要な相違は、本発明の錠剤が高い塑性(plasticity)を有することである。顆粒に力または応力が適用されたとき、応力は2つの異なる仕方で解放される。顆粒がそれらの元の形状または形態にもどるならば、それは弾性変形と呼ばれる。応力解放後に顆粒がそれらの形状を完全には回復しなければ、それは塑性変形と呼ばれる。弾性変形と塑性変形の両方が同時に起こることがあるが、圧縮中には一方だけの効果が通常支配する[Dor, P., et al., Pharma. Devel. & Tech., 5: 575-577, 2000]。適用される力が増大すると、錠剤の厚さが減少する。ところで、顆粒が圧縮されたときには、顆粒は粒子再配列(particle rearrangement)、弾性変形、塑性変形、および脆性破壊(brittle fracture)を通過する。錠剤は塑性変形および破壊の段階でのみ有意な強度を利得する。本手法においては、塑性変形段階に達するのに必要な力は高可塑性顆粒を使用しているために著しく減少する。この段階が早くやって来るので、有意な錠剤強度を利得しながらかなりの多孔度を維持することができる。顆粒の高い可塑性ゆえに、粒子間多孔度が有意に低下しない圧縮の早い段階において(すなわち、低い圧力領域において)非常に低い脆砕度が達成できる。多孔性の可塑性材料および透水向上剤の内部多孔度と合わせると、錠剤は非常に高い多孔度を維持できる。高い強度と低い脆砕度の両方が低い圧縮圧力において達成できる。
【0066】
まとめると、顆粒化に使用された3つの構成要素を含んでいる高可塑性顆粒を使用して低い圧縮圧力で、速く溶ける錠剤を製造できる。多量の結合剤を粒子の表面に付着させるのに高い結合剤濃度が重要である。速く溶ける錠剤を低い圧縮圧力で製造するのに理想的である高可塑性顆粒を製造するには3構成要素システムを基材として通常の湿式顆粒化法を使用できる。
【0067】
有効医薬成分
本発明は個別にここで言及するには膨大すぎる広範囲の有効医薬成分と共に使用できる。たとえば、本発明の速く溶ける錠剤の中に配合することができる代表的なクラスの薬物は以下のものを包含する:
抗偏頭痛薬(anti-migraine drugs)たとえばアルモトリプタン(almotriptan)、酒石酸エルゴタミン、フロバトリプタン(frovatriptan)、マレイン酸メチセルジド(methysergide maleate)、コハク酸スマトリプタン(sumatriptan succinate)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)など;
抗リウマチ薬(anti-rheumatic drugs)たとえばオーラノフィン(auranofin)、アザチオプリン(azathioprine)、シクロスポリン、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフノミド(lefunomide)、メトトレキセート(methotrexate)、ペニシラミン、スルファサラジン(sulfasalazine)など;
非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs)たとえばアセトアミノフェン、アスピリン、ジクロロフェナック(dichlorofenac)、エトドラック(etodolac)、フェノプロフェン(fenoprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、ケトプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ケトロラック(ketololac)、スリンダク(sulindac)、トルメチン(tolmetin)、メクロファナメート(mechlofanamate)、メフェナム酸(mefenamic acid)、ナブメトン(nabumetone)、メロキシカム(meloxicam)、ピロキシカム(piroxicam)、セレコキシブ(celecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)など;
【0068】
オピオイド(opioids)たとえばブプレノルフィン(buprenorphine)、コデイン(codein)、フェンタニィル(fentanyl)、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルホン(hydromorphone)、ラボルファノール(lavorphanol)、メペリジン(meperidine)、モルヒネ、オキシコドン、ペンタゾシン(pentazocine)、プロポキシフェン(propoxyphene)、トラマドール(tramadol)など;
抗マイコバクテリア薬(anti-mycobacterial drugs)たとえばアミノサリチル酸塩、クロファジミン(clofazimine)、シクロセリン(cycloserine)、エチオナミド(ethionamide)、リファブチン(rifabutin)など;
駆虫薬(anti-parasite drugs)たとえばアルベンダゾール(albendazole)、イベルメクチン(ivermecin)、メベンダゾール(mebendazole)、プラジクァンテル(praziquantel)など;
抗ウイルス薬(anti-viral drugs)たとえばバラシクロビル(valacyclovir)、ジダノシン(didanosine)、ファムシクロビル(famciclovir)、バルガンシクロビル(valganciclovir)、インジナビル(indinavir)、ラミブジン(lamivudine)、メシル酸ネルフィナビル(nelfinavir mesylate)、ネビラピン(nevirapine)、リトナビル(ritonavir)、スタブジン(stavudine)、燐酸オセルタミビル(oseltamivir phosphate)など;
β−ラクタム(beta-lactams)たとえばアモキシシリン(amoxicillin)、アモキシシリンとクラブラン酸カリウム(potassium clavulanate)、アンピシリン、セフロキシムナトリウム、セフロキシムアクセチル(cefuroxime axetil)、ペニシリンGおよびV塩、セフジトレン(cefditoren)、セフィキシム(cefixime)、クロキサシリンナトリウム(cloxacillin sodium)、ジクロキサシリンナトリウムなど;
【0069】
マクロライド系抗生物質(macrolide antibiotics)たとえばエリスロマイシンエストレート(erythromycin estolate)、エチルコハク酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシンなど;
フルオロキノロン(fluoroquinolones)たとえばシプロフロキサシン(ciprofloxacin)、エノキサシン(enoxacin)など;
テトラサイクリン(tetracyclines)たとえば塩酸デメクロサイクリン(demeclocycline hydrochloride)、ドキシサイクリンカルシウム(doxycycline calcium)、テトラサイクリン、塩酸テトラサイクリンなど;
アルキル化剤(alkylating agents)たとえばアルトレタミン(altretamine)、ブスルファン(busulfan)、クロラムブシル(chlorambucil)、メルファラン(melphalan)、シクロホスファミド、塩酸プロカルバジン(procarbazine hydrochloride)、テモゾロミド(temozolomide)など;
代謝拮抗物質(antimetabolites)たとえばメトトレキセート(methotrexate)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、チオグアニン(thioguanine)など;
ホルモン薬および拮抗薬(hormonal drugs and antagonists)たとえばビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アナストロゾール(anastrozole)、エキセメスタン(exemestane)、レトロゾール(letrozole)、クエン酸タモキシフェン(tamoxifen citrate)、クエン酸トレミフェン(toremifene citrate)など;
有糸分裂阻害物質(mitotic inhibitors)たとえば燐酸エトポシド(etoposide phosphate)など;
【0070】
免疫抑制薬(immunosuppressants)たとえばアザチオプリン(azathioprine)、シクロスポリン、マイコフェノラートモフェチル(mycophenolate mofetil)、シロリムス(sirolimus)、タクロリムス(tacrolimus)など;
抗不整脈薬(antiarrhythmic drugs)たとえば塩酸アミノダロン(aminodarone hydrochloride)、ジゴキシン(digoxin)、燐酸ジソピラミド(disopyramide phosphate)、ドフェチライド(dofetilide)、酢酸フレカイニド(flecainide acetate)、塩酸メキシレチン(mexiletine hydrochloride)、塩酸モリシジン(moricizine hydrochloride)、塩酸プロカインアミド(procainamide hydrochloride)、塩酸プロパフェノン(propafenone hydrochloride)、硫酸キニジン、グルコル酸キニジン、塩酸ソタロール(sotalol hydrochloride)、トカイニド(tocainide)など;
抗高血圧薬(antihypertensive drugs)たとえばメシル酸ドキサゾシン(doxazosin mesylate)、塩酸プラゾシン(prazosin hydrochloride)、塩酸テラゾシン(terazosin hydrochloride)、ベナゼプリル(benazepril)、カプトプリル(captopril)、塩酸クロニジン(clonidine hydrochloride)、エナラプリル(enalapril)、塩酸ヒドロラジン(hydrolazine hydrochloride)、塩酸ラベタロール(labetalol hydrochloride)、ロサルタンカリウム(losartan potassium)、塩酸メチルドーペート(methyldopate hydrochloride)、ミノキシジル(minoxidil)、モエキシプリル(moexipril)、トランドラプリル(trandolapril)、カンデサルタン(candesartan)、イルベサルタン(irbesartan)、ロサルタン(losartan)、テルミサルタン(telmisartan)、バルサルタン(valsartan)、酢酸グアナベンズ(guanabenz acetate)、硫酸グアナドレル(guanadrel suflate)、塩酸グアンファシン(guanfacine hydrochloride)、レセルピン(reserpine)など;
【0071】
β−アドレナリン作動性遮断薬(beta-adrenergic blocking drugs)たとえばアセブトロール(acebutolol)、アテノロール(atenolol)、ベタキソロール(betaxolol)、ビソプロロール(bisoprolol)、カルテオロール(cartelol)、カルベジロール(carvedilol)、ラベタロール(labetalol)、メトプロロール(metoprolol)、ナドロール(nadolol)、ペンブトロール(penbutolol)、ピンドロール(pindolol)、プロプラノロール(propranolol)、ソルタロール(soltalol)、チモロール(timolol)など;
カルシウムチャンネル遮断剤(calcium-channel blocking agents)たとえばアムロジピン(amlodipine)、ベプリジル(bepridil)、ジルチアゼム(diltiazem)、フェロジピン(felodipine)、イスラジピン(isradipine)、ニカルジピン(nicardipine)、ニフェジピン(nifedipine)、ニモジピン(nimodipine)、ニソルジピン(nisoldipine)、ベラパミル(verapamil)など;
抗脂血薬(hypolipidemic drugs)たとえばフェノフィブラート(fenofibrate)、ジェムフィブロジル(gemfibrozil)、ナイアシン、アトルバスタチン(atorvastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ロバスタチン、プラバスタチン(pravastatin)、シムバスタチン(simvastatin)など;
硝酸塩(nitrates)たとえば二硝酸イソソルビド(isosorbide dinitrate)、ニトログリセリン、ニトロプルシドナトリウムなど;
抗痙攣薬(anticonvulsants)たとえばカルバマゼピン(carbamazepine)、クロナゼパム(clonazepam)、エトスクシミド(ethosuximide)、フェルバメート(felbamate)、ガバペンチン(gabapentin)、ラモトリジン(lamotrigine)、レベチラセタム(levetiracetam)、オキシカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェノバルビタール、フェニトイン(phenytoin)、プリミドン(primidone)、チアガビン(tiagabine)、トピラメート(topiramate)、バルプロ酸(valproic acid)、ジバルプロエックスナトリウム(divalproex sodium)、ゾニサミド(zonisamide)など;
【0072】
抗うつ薬(antidepressants)たとえばミルタザピン(mirtazapine)、ブプロピオン(bupropion)、アモキサピン(amoxapine)、フェネルジン(phenelzine)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、シタロプラム(citalopram)、フルオキセチン(fluoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、パロキセチン(paroxetine)、セルトラリン(sertraline)、ベンラファキシン(venlafaxine)、マプロチリン(maprotiline)、トラゾドン(trazodone)、ネファゾドン(nefazodone)、アミトリプチリン(amitriptyline)、クロミプラミン(clomipramine)、デシプラミン(desipramine)、デキセピン(dexepin)、イミプラミン(imipramine)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、プロトリプチリン(protroptyline)、トリミプラミン(trimipramine)など;
抗精神病薬(antipsychotic drugs)たとえばクロルプロマジン、チオリダジン(thioridazine)、ロキサピン(loxapine)、モリンドン(molindone)、クロザピン(clozapine)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、リスペリドン(risperidone)、ジプラシドン(ziprasidone)、フルフェナジン(fluphenazine)、ハロペリドール(haloperidol)、ペルフェナジン(perphenazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、チオチキセン(thiothixene)など;
不安寛解剤(anxiolytics)、鎮静剤(sedatives)、および催眠薬(hypnotics)たとえばアルプラゾラム(alprazolam)、ロラゼパム(lorazepam)、オキサゼパム(oxazepam)、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、クロラゼパート(clorazepate)、ジアゼパム(diazepam)、ハラゼパム(halazepam)、ミダゾラム(midazolam)、トリアゾラム(trizolam)、ザレプロン(zaleplon)、ゾルピデム(zolpidem)、エスタゾラム(estazolam)、テマゼパム(temazepam)、フルラゼパム(flurazepam)、クアゼパム(quazepam)、メプロバメート(meprobamate)、フェノバルビタール(phenobarbital)、抱水クロラール(chloral hydrate)、エチクロルビノール(ethchlorvynol)、グルテチミド(glutethimide)、ペントバルビタール(pentobarbital)、セコバルビタール(secobarbital)など;
【0073】
神経変性疾患治療薬(neurodegenerative disease drugs)たとえばアマンタジン(amantadine)、メシル酸ベンズトロピン(benztropine mesylate)、カルビドパ(carbidopa)およびレボドパ(levodopa)、ドネペジル(donepezil)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ペルゴライド(pergolide)、プラミペキソール(pramipexole)、ロピニロール(ropinirole)など;
緑内障の眼薬(ophthalmic drugs for glaucoma)たとえばアセタゾラミド(acetazolamide)、ジクロルフェナミド(dichlorphenamide)、メタゾラミド(methazolamide)など;
酸消化療法薬(drugs for acid-peptic therapy)たとえば炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、マガルドレート(magaldrate)など;
ビスマス塩、シメチジン(cimetidine)、ファモチジン(famotidine)、ニザチジン(nizatidine)、ラニチジン(ranitidine)、ミソプロストル(misoprostol)、ランソプラゾール(lansoprazole)、オメプラゾール(omeprazole)、パントプラゾール(pantoprazole)、ラベプラゾール(rabeprazole)、スクラルファート(sucralfate)など;
制吐薬(antiemetics)たとえばブクリジン(buclizine)、シクリジン(cyclizine)、ジメンヒドリナート(dimenhydrinate)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、メクリジン(meclizine)、ドロナビノール(dronabinol)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、プロメタジン(promethazine)、チエチルペラジン(thiethylperazine)、トリフルプロマジン(triflupromazine)、ドラセトロン(dolasetron)、グラニセトロン(granisetron)、オンダンセトロン(ondansetron)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ララゼパム(larazepam)など;
【0074】
胃腸運動薬(gastrointestinal motility drugs)たとえばビサコディル(bisacodyl)、塩酸ジフェノキシラート(diphenoxylate hydrochloride)および硫酸アトロピン(atropine sulfate)、ドクサート塩(docusate salts)、ロペラミド(loperamide)、マグネシウム塩、メトクロプラミド(metoclopramide)、ウソジオール(ussodiol)など;
凝固剤(coagulants)および抗凝固剤(anticoagulants)たとえば二硫酸クロピドグレル(clopidogrel bisulfate)、フィトナジオン(phytonadione)、チクロピジン(ticlopidine)、ワルファリンナトリウムなど;
造血剤(hematopoietics)たとえば第一鉄塩など;
副腎ホルモン(adrenal hormones)たとえばコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、ベタメタゾン(betamethasone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)など;
抗糖尿病薬(antidiabetic drugs)たとえばアカルボース(acarbose)、メトホルミン(metformin)、ナテグリニド(nateglinide)、レパグリニド(repaglinide)、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トラザミド(tolazamide)、トルブタミド(tolbutamide)、グリメピリド(glimepiride)、グリピシド(glipizide)、グルブリド(gluburide)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)など;
【0075】
避妊薬(contraceptives)たとえばノルエチンドロン(norethindrone)、ノルゲストレル(norgestrel)、レボノルゲストレル(levonorgestrel)など;
女性ホルモン(female sex hormones)たとえばエストラジオール(estradiol)およびそのエステル、エストロゲン、エストロピペート(estropipate)、メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone)、ミフェプリストン(mifepristone)、酢酸ノルエチンドロン(norethindrone acetate)、黄体ホルモン(progesterone)、ラロキシフェン(raloxifene)など;
甲状腺薬および抗甲状腺薬(thyroid and antithyroid drugs)たとえばヨウ化物、レボチロキシンナトリウム(levothyroxine sodium)、リオチロニンナトリウム(liothyronine sodium)、リオトリクス(liotrix)、メチマゾール(methimazole)、プロピルチオウラシル(propylthiouracil)など;
利尿剤(diuretics)たとえば塩酸アミロライド(amiloride hydrochloride)、ブメタニド(bumetanide)、エタクリン酸(ethacrynic acid)、フロセミド(furosemide)、トルセミド(torsemide)、ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド(chlorthiazide)、クロルサリドン(chlorthalidone)、インダパミド(indapamide)、メトラゾン(metolazone)、ポリチアジド(polythiazide)、キネサゾン(quinethazone)、トリクロルメチアジド(trichlormethiazide)、スピロノラクトン(spironolactone)、トリアムテレン(triamterene)など;
電解質(electrolytes)たとえばキレート化マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、カリウム塩など;
【0076】
痛風治療薬(gout therapy drugs)たとえばアロプリノール(allopurinol)、コルヒチン(colchicine)、プロベネシド(probenecid)、スルフィンピラゾン(sulfinpyrazone)など;
抗喘息薬(antiasthmatics)たとえば硫酸アルブテロール(albuterol sulfate)、モンテルカストナトリウム(montelukast sodium)、テオフィリン(theophylline)、ジロイトン(zileuton)など;
抗ヒスタミン剤(antihistamines)たとえばアクリバスチン(acrivastine)、アザタジン(azatadine)、マレイン酸ブロモフェニラミン(bromopheniramine maleate)、マレイン酸カルビノキサミン(carbinoxamine maleate)、塩酸セチリジン(cetirizine hydrochloride)、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン(diphenhydramine hydrochloride)、フマル酸クレマスチン(clemastine fumarate)、塩酸シプロヘプタジン(cyprohepadine hydrochloride)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、ヒドロキシジン(hydroxyzine)、ロラタジン(loratadine)、デスロラタジン(desloratadine)など;
咳薬および風邪薬(cough and cold drugs)たとえば臭化水素酸デキストロメトルファン(dextromethorphan hydrobromide)、グアイフェネシン(guaifensin)、塩酸プソイドエフェドリンなど;及び
栄養補給剤(nutritional supplements)。
【0077】
速く溶ける錠剤の特性
錠剤強度: 錠剤強度はテキスチャー・アナライザー(TA XT2(登録商標)、Texture Technologies Corp.; Scarsdale, NY)によって測定した。錠剤の直径方向破損(diametrical failure)(すなわち、明白な破壊)を起こす力を錠剤強度の指標として採用した。
【0078】
崩壊試験: この方法は上記のDor et al.によって開発された方法の変更バージョンである。方法はテキスチャー・アナライザー(TA XT2(登録商標))を利用した。ロードセル(load cell)に取り付けられるプローブの底面に錠剤をグルー(glue)の非常に薄い層によって又は銅製両面テープによって接着させた。水溜めに接続した水を浸み込ませた濾紙に錠剤を一定の力で接近させた。錠剤が崩壊し始めると、プローブが移動する運動速度は突然の増加を示した。この増加速度は錠剤が崩壊するまで続いた。増加運動速度が停止した時間を崩壊時間として捉えた。
【0079】
FDTsのインビボ崩壊試験は志願者によって行われた。志願者は処置を受けるために通常、無作為化され、それから、水で口腔を清浄にするように指示された。錠剤を舌の上に置き、そして直ちにストップウォッチをスタートさせることによって崩壊の時間を測定した。志願者はFDTsを舌で口の上顎にぶつかるように動かすことが許され、そして錠剤を噛むことなく穏やかに転がす又は左右に転がすことを許された。最後の認め得る顆粒が崩壊した後直ちに、ストップウォッチを止めて時間を記録した。
【0080】
脆砕度試験: 錠剤脆砕度試験方法はUSP25錠剤脆砕度法(一般試験と検定(General Tests and Assays)を記載している概括的な章(the General chapters)の<1216>錠剤脆砕度(Tablet Friability)の中に記載されている)に従って行われた。
【0081】
次に、単に例証および説明の目的で、そして制限的にではなく、一定の実施例によって本発明を記載する。
実施例
【実施例1】
【0082】
成分:
マルトリン(Maltrin)QD580 6g
マンノゲム(Mannogem)EZスプレー 24g
マルトリン(構成要素1)はグレインプロセッシング社(Muscatine, IA)によって販売された急速分散形態のマルトデキストリンとコーンシロップ固体であり、そしてマンノゲムEZスプレー(構成要素2)はSPIファーマ社(New Castle, DE)からの噴霧乾燥マンニトールである。20番篩と60番篩の間の大きさのマルトリンQD580を使用した。マルトリンQD580とマンノゲムEZスプレーを混ぜ合わせた。それから、このバルク混合物(bulk mixture)はフルミックス(full mix)を得るためにスモール混合物(small mixture)と幾何数列的増加で混合された。ミキサーで混合しながら混合物に7mLの結合用溶液70%スクロース(構成要素3)を添加した。混合物を18番篩を通過させそして室温で自然乾燥した。乾燥混合物は30番篩を通過した。それから、これら顆粒をキャバー(Caver)プレスによって1/2インチのダイにて300ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は500mgであった。錠剤の硬度は65.2Nであり、そして崩壊時間は23秒であった。
【実施例2】
【0083】
成分:
マルトリン180 6g
マンノゲムEZスプレー 24g
マルトリン180とマンノゲムEZスプレーを混ぜ合わせた。それから、このバルク混合物はフルミックスを得るためにスモール混合物と幾何数列的増加で混合された。ミキサーで混合しながら混合物に6mLの結合用溶液70%スクロース(構成要素3)を添加した。混合物を18番篩を通過させそして室温で自然乾燥した。乾燥混合物は30番篩を通過した。それから、これら顆粒をキャバープレスによって1/2インチのダイにて300ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は500mgであった。錠剤の硬度は7.3Nであった。マルトリン180は厳密にマルトリンQD580と同じ分子構造を有する。唯一の相違は嵩密度である。マルトリン180は0.61g/ccの充填嵩密度(packed bulk density)をもつ非多孔性バージョンであるのに、マルトリンQD580は0.40g/ccの充填嵩密度をもつ多孔性バージョンである。マルトリン180は非多孔性であるので、マルトリン180が圧縮されたときには同じ条件で圧縮されたマルトリンQD580と比べて遥かに塑性変形が起りにくい。顆粒が低い圧力で圧縮されたときには、塑性変形が高いほど、顆粒間の結合を形成する可能性が高くなる。実施例1と2の主な相違は実施例1におけるマルトリンQD580の代わりに実施例2ではマルトリン180を使用していることである。錠剤強度はマルトリンQD580を使用したときには有意に増大する。
【実施例3】
【0084】
マルトリンQD580は20番篩と60番篩の間の大きさを使用し、そしてマンノゲムEZスプレーは50番篩を通過させた。この2つの材料を下記の表に列挙された割合で混合した。それから、それら顆粒をキャバープレスによって1/2インチのダイにて300ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は500mgであった。製造された錠剤の硬度は表1に示されている。結合剤を添加することによる顆粒化を用いない、それら2つの材料の直接圧縮は実施例1における錠剤と比べて望ましい強度をもつ錠剤を生じなかった。多分、マルトリンQD580による圧縮中にはより大きい塑性変形の故に、純粋なマルトリンQD580からつくった錠剤は純粋なマンノゲムEZスプレーによる錠剤よりも高い強度を有していた。多孔性かつ可塑性の材料への結合剤の添加は高い機械的強度をもつ錠剤を製造するための粒子間の良好な結合につながる。
【0085】
【表1】

【実施例4】
【0086】
20番篩と60番篩の間の大きさのマルトリンQD580を使用した。マンノゲムEZスプレー粒子は50番篩を通過させた。100gのマルトリンQD580と400gのマンノゲムEZスプレーを混合した。混合物をキッチンエイド(Kitchen-Aid)ミキサーに入れた。乾式混合時に速度を1に維持した。乾式混合を5分間行った。10%から70%までの範囲のスクロース溶液100mLをギルソンミニプルス2(Gilson mini Puls2)蠕動ポンプによって40mL/分の速度でミキサーの中に汲み入れた。結合剤溶液を全て導入した後、ミキサーを2分間操作し続けた。この湿った素材を8番篩を通過させた。それから、それら顆粒をキャバープレスによって1/2インチのダイにて300ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は500mgであった。結果は下記の表2に示されている。
【0087】
【表2】

【0088】
結果は、スクロース濃度の濃縮が増すと、より大きな塑性変形によって硬度が実質的に増大して、より良好な結合を誘発する、ということを示している。これは多分、高いスクロース濃度をもつ結合剤溶液を使用することによる多孔性構造の保存のせいであろう。
【実施例5】
【0089】
成分:
マルトリンQD500 6g
スターラック(StarLac) 12g
マンノゲムEZスプレー 24g
スターラック(構成要素1)はロケッテアメリカン社(Keokuk, IA)からの、15%のトウモロコシデンプンと85%のα−ラクトース1水和物を含有する噴霧乾燥固体である。上の3つの材料の混合物に6mLの70%ソルビトール溶液(構成要素3)を徐々に添加する。得られた湿った素材を18番篩を通過させ、そしてこの湿っている顆粒を50℃のオーブンで22時間乾燥した。オーブンから顆粒を取り出し、室温に2時間放置し、それから、30番篩を通過させた。顆粒200mgを0.375インチのダイの中に注ぎ、次いで、150ポンドで圧縮した。形成された錠剤を口の中に入れると、それらは10秒未満で、通常6秒以内に、溶けた。脆砕度試験を米国薬局方(US Pharmacopoeia)に従って行ったときに、脆砕度はたったの1.3%であった。
【実施例6】
【0090】
成分:
マルトリンQD580 6g
スターラック 12g
マンノゲムEZスプレー 12g
プロセスは実施例5に示されているのと同じであった。200mgの錠剤が得られた。崩壊時間はこれら錠剤については8秒であると測定された。
【実施例7】
【0091】
成分:
マルトリンQD580 6g
スターラック 12g
珪酸化微結晶質セルロース 12g
ロラタジン 1.8g
使用した珪酸化微結晶質セルロース(構成要素2)はペネウェスト社(Penwest Company)(Patterson, NY)によるPROSOLV SMCC90である。上の4つの成分の混合物に6mLの70%ソルビトール溶液を徐々に、好ましくは、ハンドミキサーで混合しながらソルビトール溶液の0.2mLアリコートを添加することで、添加した。得られた湿った素材を18番篩を通過させ、そしてこの湿っている顆粒を50℃のオーブンで22時間乾燥した。オーブンから顆粒を取り出し、そして室温で空気中に2時間放置し、それから、30番篩を通過させた。顆粒を0.375インチのダイの中に注ぎ、次いで、150ポンドで圧縮した。各錠剤の重量は200mgであった。平均崩壊時間は13秒であった。
【実施例8】
【0092】
成分:
マルトリンQD580 6g
マンノゲムEZスプレー 24g
アスピリン 17.8g
グルコン酸亜鉛 0.98g
硫酸グルコサミン 4.95g
20番篩と60番篩の間の大きさのマルトリンQD580を使用した。マルトリンQD580、マンノゲム、アスピリン、グルコン酸亜鉛および硫酸グルコサミンを混ぜ合わせた。ハンドミキサーで混合しながら混合物に8mLの結合用溶液70%スクロースを添加した。混合物を、18番篩を通過させ、そして室温で自然乾燥した。乾燥混合物を30番篩を通過させた。顆粒の各100gにつき、3gのPOLYPLASDONE(登録商標)XL(クロスポビドン(crospovidone)、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ社(International Specialty Products corp.)(Calvert Cit, KY)による)と1.7gのアスパルテーム(aspartame)を添加した。得られた混合物をキャバープレスによって7/16インチのダイにて300ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は314mgであった。平均崩壊時間は14.3秒であり、そして脆砕度は0.45%であった。錠剤の硬度は54.9Nであった。
【実施例9】
【0093】
成分:
マルトリンQD580 200g
マンノゲムEZスプレー 767g
ロラタジン 33g
マルトリンQD580は30番篩を通過させ、そしてマンノゲムEZスプレーは50番篩を通過させた。上の3成分の混合物を6リットルの高剪断ミキサー容器の中に注ぎ入れた。200rpmの羽根車速度と1,500rpmのチョッパー速度で混合するためにダイアソナ(Diasona)ミキサー造粒機P1−6を使用した。全ての成分を1分間予備混合し、それから、50%エタノール中の50%スクロースの溶液160mLを400mL/分の速度でポンプ作用で汲み入れた。この湿った素材を更に2分間混合した。結合用溶液を停止した後、この湿った素材を8番篩を通過させ、そして自然乾燥した。乾燥顆粒を16番篩を通過させた。顆粒100gにつき、3gのPOLYPLASDONE(登録商標)XLを添加しそして混合した。得られた混合物をキャバープレスによって7/16インチのダイにて300ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は309mgであり、平均崩壊時間は9秒であり、そして錠剤の硬度は20.6Nであった。
【実施例10】
【0094】
成分:
マルトリンQD580 89.4g
マンノゲムEZスプレー 357.6g
葉酸 33.0g
ビタミンB12 0.5g
マルトリンQD580は30番篩を通過させ、そしてマンノゲムEZスプレーは50番篩を通過させた。上の4成分を混合し、そして混合物を次いで6リットルの高剪断ミキサー容器の中に注ぎ入れた。200rpmの羽根車速度と1,500rpmのチョッパー速度で混合するためにダイアソナミキサー造粒機P1−6を使用した。全ての成分を1分間予備混合した。それから、50%エタノール中の50%スクロースの溶液100mLを200mL/分の速度でポンプ作用で汲み入れた。この湿った素材を更に2分間混合した。結合用溶液のフローを停止した後に、この湿った素材を、8番篩を通過させ、そして自然乾燥した。この乾燥顆粒を16番篩を通過させた。顆粒100gにつき、3gのPOLYPLASDONE(登録商標)XLを添加しそして混合した。得られた混合物をキャバープレスによって3/8インチのダイにて200ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は309mgであった。平均崩壊時間は6秒であった。錠剤の硬度は18.4Nであった。
【実施例11】
【0095】
成分:
マルトリンQD580 6g
マンノゲムEZスプレー 24g
アセトアミノフェン 30g
20番篩と60番篩の間の大きさのマルトリンQD580を使用した。マルトリンQD580、マンノゲム、アセトアミノフェンを混ぜ合わせた。ハンドミキサーで混合しながら混合物に、8mLの結合用溶液70%スクロースを添加した。混合物を18番篩を通過させそして自然乾燥した。乾燥混合物を、30番篩を使用して篩にかけた。顆粒100gにつき、3gのPOLYPLASDONE(登録商標)XLを添加しそして混合した。得られた混合物をキャバープレスによって9/16インチのダイにて300ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は309mgであった。平均崩壊時間は25秒であり、錠剤の硬度は49.2Nであった。
【実施例12】
【0096】
成分:
マルトリンQD580 5g
炭酸カルシウム 25g
20番篩と60番篩の間の大きさのマルトリンQD580を使用した。マルトリンQD580と炭酸カルシウム(構成要素2)を混合した。ハンドミキサーで混合しながら、混合物に、6mLの結合用溶液70%スクロースを添加した。混合物を18番篩を通過させそして室内で自然乾燥した。乾燥混合物を30番篩を通過させた。得られた混合物をキャバープレスによって9/16インチのダイにて500ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は1,000mgであった。平均崩壊時間は25秒であり、そして錠剤の硬度は24.5Nであった。
【実施例13】
【0097】
成分:
マルトリンQD580 6g
マンノゲムEZスプレー 24g
ハーブエキス 3.5mL(水溶液)
マルトリンQD580は30番篩を通過させ、そしてマンノゲムEZスプレーは50番篩を通過させた。最終スクロース濃度70%にするようにスクロース溶液にハーブエキス水溶液(2.5mL)を添加した。ハーブエキスを含有する70%スクロース8mLの結合用溶液を、ハンドミキサーで混合しながら混合物に添加した。混合物を18番篩を通過させそして室内で自然乾燥した。乾燥混合物を20番篩を使用して篩にかけた。顆粒100gにつき、3gのPOLYPLASDONE(登録商標)XLを添加しそして混合した。得られた混合物をキャバープレスによって5/16インチのダイにて250ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は150mgであった。平均崩壊時間は7秒であり、錠剤の硬度は25Nであった。
【実施例14】
【0098】
成分:
マルトリンQD580 6g
マンノゲムEZスプレー 24g
マルトリンQD580は30番篩を通過させ、そしてマンノゲムEZスプレーは50番篩を通過させた。ハンドミキサーで混合しながら、混合物に、8mLの結合用溶液85%スクロースを添加した。混合物を18番篩を通過させ、そして室内で自然乾燥した。乾燥顆粒を18番篩を使用して篩にかけた。この高可塑性顆粒に重炭酸ナトリウムを2:1の比(高可塑性顆粒:重炭酸ナトリウム)で、滑沢剤2%と共に、混合した。最終混合物をキャバープレスによって1/4インチのダイにて200ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は60mgであった。平均崩壊時間は7秒であった。
【実施例15】
【0099】
成分:
マルトリンQD580 200g
マンノゲムEZスプレー 800g
マルトリンQD580は30番篩を通過させ、そしてマンノゲムEZスプレーは50番篩を通過させた。上の2成分の混合物を6リットルの高剪断ミキサー容器の中に注ぎ入れた。200rpmの羽根車速度と1500rpmのチョッパー速度で混合するためにダイアソナミキサー造粒機P1−6を使用した。全ての成分を1分間予備混合し、それから50%エタノール中の50%スクロースの溶液240mLを400mL/分の速度でポンプ作用で汲み入れた。この湿った素材を更に2分間混合した。結合用溶液を停止後、この湿った素材を8番篩を通過させ、そして自然乾燥した。乾燥顆粒を16番篩を通過させた。ミント油2gとプラセボ98gを混ぜ合わせた。得られた混合物をキャバープレスによって7/16インチのダイにて250ポンドで錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は300mgであって。平均崩壊時間は6.6秒であり、そして錠剤の硬度は16.5Nであった。
【実施例16】
【0100】
成分:
アドバントース(Advantose)FS95フルクトース(SPIファーマ)
31.21g
マンノゲムEZスプレー 93.63g
アドバントースFS95フルクトースは95%フルクトースと5%デンプンの共乾燥材料(co-dried material)である。アドバントースFSフルクトースとマンノゲムEZスプレーを混ぜ合わせそしてハンドミキサーで混合しながら25.2gの50%スクロース溶液を添加した。得られた湿った素材を25番篩を通過させ、それから自然乾燥した。乾燥顆粒を30番篩を通過させた。得られた顆粒を圧縮のために表3に指示された通りの追加材料と混合した。
【0101】
【表3】

【0102】
得られた混合物を、シングルパンチ錠剤機(single punch tablet machine)(EK−0、Korsch、ドイツ)によって3/8インチのダイにて錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は200mgであった。平均崩壊時間は26秒であり、錠剤の硬度は22Nであった。脆砕度試験を米国薬局方に従って行ったときに、脆砕度は1.12%であった。
【実施例17】
【0103】
成分:
ロラタジン 29.96g
マンノゲムEZスプレー 352.05g
アドバントースFS95フルクトース(SPIファーマ) 117.35g
ロラタジンとアドバンテージFS95フルクトースとマンノゲムEZスプレーを混ぜ合わせ、そしてハンドミキサーで混合しながら99.87gの50%スクロース溶液を混合した。得られた湿った素材を25番篩を通過させ、それから自然乾燥した。乾燥顆粒を30番篩を通過させた。得られた顆粒を圧縮のために表4に指示されている通りの追加材料と混合した。
【0104】
【表4】

【0105】
得られた混合物を、シングルパンチ錠剤機(EK−0、Korsch、ドイツ)によって3/8インチのダイにて錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は200mgであった。平均崩壊時間は30秒であり、錠剤の硬度は26Nであった。脆砕度試験を米国薬局方に従って行ったときに、脆砕度は1.23%であった。
【実施例18】
【0106】
成分:
ロラタジン 7.29g
マンノゲムEZスプレー 117.56g
ロラタジンとマンノゲムEZスプレーを混ぜ合わせ、そしてハンドミキサーで混合しながら48.0gの50%スクロース溶液を混合した。得られた湿った素材を25番篩を通過させ、それから自然乾燥した。乾燥顆粒を30番篩を通過させた。得られた顆粒を圧縮のために表5に指示されている通りの追加材料と混合した。(この実施例はマンノゲムEZを構成要素1と構成要素2の両方として使用することの例証であり、何故ならば、マンノゲムEZが透水性を向上させる上に多孔性でもあるからである。もっとも、より多量の結合剤溶液が要求されそして表面、口当たり及び脆砕度に妥協が伴う)。
【0107】
【表5】

【0108】
得られた混合物を、シングルパンチ錠剤機(EK−0、Korsch、ドイツ)によって3/8インチのダイにて錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は200mgであった。平均崩壊時間は35秒であり、錠剤の硬度は23Nであった。脆砕度試験を米国薬局方に従って行ったときに、脆砕度は1.84%であった。
【実施例19】
【0109】
アドバントース100マルトース(SPIファーマ) 31.21g
マンノゲムEZスプレー 93.63g
アドバントース100マルトース(構成要素1)は噴霧乾燥された二糖類の炭水化物である。アドバントース100マルトースとマンノゲムEZスプレーを混ぜ合わせ、そしてハンドミキサーで混合しながら28.16gの50%スクロース溶液を添加した。得られた湿った素材を25番篩を通過させ、それから自然乾燥した。乾燥顆粒を30番篩を通過させた。得られた顆粒を圧縮のために表6に指示された追加材料と混合した。
【0110】
【表6】

【0111】
得られた混合物を、シングルパンチ錠剤機(EK−0、Korsch、ドイツ)によって3/8インチのダイにて錠剤状に圧縮した。各錠剤の重量は200mgであった。平均崩壊時間は38秒であり、錠剤の硬度は18.5Nであった。脆砕度試験を米国薬局方に従って行ったときに、脆砕度は1.73%であった。
【0112】
本発明は説明と平明さを目的として特定の実施例に言及して記述した。本発明の様々な改善および変更を添付の請求項の範囲内で実行できることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】高可塑性顆粒および速く溶ける錠剤を製造するための一般的な加工工程の概略図である。
【図2】高可塑性顆粒および速く溶ける錠剤を製造するための、(実施例13に記載された通り)構成要素3に薬物を添加する、代替加工法を示す。
【図3】高可塑性顆粒および速く溶ける錠剤を製造するための、(実施例14に記載された通り)高可塑性顆粒に薬物を添加する、代替加工法を示す。
【図4】構成要素1と構成要素2を別々に顆粒化してから合わせて高可塑性顆粒を形成する、別の錠剤形成過程を示す。構成要素1および構成要素2の顆粒を構成要素3の助けによって更に顆粒化することができる。薬物は低圧圧縮工程より前のどの工程でも添加できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頬腔で急速に溶けることが可能な錠剤であって、多数の高可塑性顆粒を含んでおり、前記顆粒が多孔性の可塑性物質と、透水向上剤と、結合剤とを含んでいる、前記錠剤。
【請求項2】
さらに、有効医薬成分またはダイエタリー・サプリメントを含んでいる。請求項1の錠剤。
【請求項3】
多孔性の可塑性物質は500mgの該物質が直径0.5インチのダイにて約1,500ポンド未満の圧力で圧縮されたときに塑性変形を示すことを特徴としている、請求項1の錠剤。
【請求項4】
多孔性の可塑性物質が錠剤の約1重量%〜約95重量%を構成している、請求項1の錠剤。
【請求項5】
透水向上剤はそれから構成された直径0.5インチのダイにて300ポンドで形成された200mgの錠剤が水滴の拡がらない平坦表面の上に提供された0.5mLの水滴と接触した後60秒以内に完全湿潤を示すことを特徴としている、請求項1の錠剤。
【請求項6】
透水向上剤が錠剤の約1重量%〜約95重量%を構成している、請求項1の錠剤。
【請求項7】
結合剤は多孔性の可塑性物質および透水向上剤の粒子をして粒子分離を起こさないように且つ錠剤を形成するのに使用される低圧において顆粒密着性を増大させるように十分に互いに接着することを可能にさせる、請求項1の錠剤。
【請求項8】
結合剤が錠剤の約1重量%〜約90重量%を構成している、請求項1の錠剤。
【請求項9】
多孔性の可塑性物質と透水向上剤が同じ材料である、請求項1の錠剤。
【請求項10】
有効医薬成分が結晶質、微結晶質または非晶質である、請求項2の錠剤。
【請求項11】
有効医薬成分が一つまたはそれ以上の添加物によってコーティングされている、請求項2の錠剤。
【請求項12】
多孔性の可塑性物質が、マルトデキストリン、デキストリン、エチルセルロース、アラビアガム、キサンタンガムおよびその誘導体、グアーガムおよびその誘導体、海草ガム、カラゲナン、デキストラン、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、デンプンおよびデンプン誘導体(たとえば、ヒドロキシプロピルスターチまたはカルボキシメチルスターチ)、セルロースエステル(たとえば、カルボキシメチルセルロースまたはセルロースエーテルヒドロキシエチルメチルセルロース)、不飽和酸(たとえば、アクリル酸またはその塩)の単独重合体または共重合体、不飽和アミド(たとえば、アクリルアミド)の単独重合体または共重合体、エチレンイミンの単独重合体または共重合体、ビニル重合体(たとえば、ポリ(ビニルアルコール))、ビニルエステル(たとえば、ビニルピロリドン、ビニルオキサゾリドン、ビニルメチルオキサゾリドン、ビニルアミンおよびビニルピリジン)の単独重合体または共重合体、アルキルグリコール、およびポリアルキレンオキシド(たとえば、ポリエチレンオキシド)、オキシエチレンアルキルエーテル、デキストレート、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、ラクトース、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、エリトリトール、およびキシリトール、微結晶質セルロース、珪酸化微結晶質セルロース、粉末セルロース、酢酸セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、二塩基性燐酸カルシウム、三塩基性燐酸カルシウム、およびカルボキシメチルセルロースカルシウム塩からなる群から選ばれる、請求項1の錠剤。
【請求項13】
透水向上剤が、デキストレート、デキストリン、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、ラクトース、マルチトール、マルトース、マンニトール、マンノース、ソルビトール、スクロース、エリトリトール、キシリトール、微結晶質セルロース、珪酸化微結晶質セルロース、粉末セルロース、酢酸セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、二塩基性燐酸カルシウム、三塩基性燐酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム塩、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1の錠剤。
【請求項14】
結合剤が、デキストレート、デキストリン、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、ラクトース、マルチトール、マルトース、マンニトール、マンノース、ソルビトール、スクロース、エリトリトール、キシリトール、デンプン、ゼラチン、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、セルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリデキストロース、ポリ(アクリル酸)、カルボマー、ポリ(エチレンオキシド)およびポビドンからなる群から選ばれる、請求項1の錠剤。
【請求項15】
有効医薬成分が、抗偏頭痛薬、抗リウマチ薬、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド、抗マイコバクテリア薬、駆虫薬、抗ウイルス薬、β−ラクタム、マクロライド系抗生物質、フルオロキノロン、テトラサイクリン、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ホルモン薬および拮抗薬、有糸分裂阻害物質、免疫抑制薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、β−アドレナリン作動性遮断薬、カルシウムチャンネル遮断剤、抗脂血薬、硝酸塩、抗痙攣薬、抗うつ薬、不安寛解剤、鎮静剤、催眠薬、神経変性疾患治療薬、眼薬、抗消化剤(anti-peptics)、ビスマス塩、制吐薬、緩下剤、凝固剤、抗凝固剤、造血剤、抗糖尿病薬、避妊薬、甲状腺薬および抗甲状腺薬、利尿剤、電解質、痛風治療薬、抗喘息薬、抗ヒスタミン剤、咳薬、風邪薬および流感薬、および栄養補給剤からなる群から選ばれた薬物のクラスに属する、請求項2の錠剤。
【請求項16】
有効成分が、ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、フェキソフェナジン、デキストロメトルファン、グアイフェンシン、プソイドエフェドリン、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ピロキシカム、セレコキシブ、フェンタニル、ヒドロコドン、オキシコドン、シクロスポリン、メトトレキセート、バラシクロビル、アモキシシリン、セフィキシム、アジスロマイシン(azithromycin)、メトトレキセート、タモキシフェン、シロリムス、タクロリムス、ジゴキシン、カプトプリル、塩酸クロニジン、ミノキシジル、レセルピン、メトプロロール、プロプラノロール、ジルチアゼム、フェロジピン、ニフェジピン、フェノフィブラート、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、ニトログリセリン、フェノバルビタール、フェニトイン、ミルタザピン、ブプロピオン、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシン、クロルプロマジン、リスペリドン、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、カルビドパおよびレボドパ、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、ジフェンヒドラミン、オンダンセトロン、デキサメタゾン、ビサコディル、ロペラミド、フィトナジオン、チクロピジン、ワルファリン、第一鉄塩、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、メトホルミン、ナテグリニド、レパグリニド、トルブタミド、グリピシド、ヨウ化物、アミロライド、フロセミド、テオフィリン、葉酸、ビタミン、およびカフェインからなる群から選ばれた薬物である、請求項2の錠剤。
【請求項17】
約5mg〜約5,000mgの範囲の重量を有する、請求項1の錠剤。
【請求項18】
50mg〜500mgの範囲の重量を有する、請求項17の錠剤。
【請求項19】
口の中で約90秒未満で溶ける、請求項1の錠剤。
【請求項20】
口の中で約60秒未満で溶ける、請求項19の錠剤。
【請求項21】
さらに、界面活性剤、超崩壊剤、超多孔性ヒドロゲル粒子、発泡剤、滑沢剤、着香剤、および着色剤からなる群から選ばれた少なくとも一つの追加成分を含んでいる、請求項1の錠剤。
【請求項22】
速く溶ける医薬錠剤を製造する方法であって、
多孔性の可塑性物質と透水向上剤を合わせてそれの混合物を生成し;
混合物をそれの凝集粒子の集団を形成するのに有効な量の結合剤で処理し;
凝集粒子を、多数の高可塑性顆粒を単離するように、篩い分け及び/又は乾燥し;そして
高可塑性顆粒を低い圧力下で圧縮して、速く溶ける医薬錠剤をもたらす、
ことを含む前記方法。
【請求項23】
さらに、多孔性の可塑性物質と透水向上剤を混ぜ合わせる前に、有効医薬成分を、多孔性の可塑性物質、透水向上剤、および/または結合剤と緊密に合わせることを含む、請求項22の方法。
【請求項24】
多孔性の可塑性物質が水溶性または水分散性である、請求項22の方法。
【請求項25】
多孔性の可塑性物質は、粉末500mgを直径0.5インチのダイにて約1,500ポンド未満の圧力で圧縮したときに塑性変形を示す多孔性構造を有する粉末である、請求項22の方法。
【請求項26】
透水向上剤はそれから構成された直径0.5インチのダイにて300ポンドで形成された200mgの錠剤が水滴の拡がらない平坦表面の上に提供された0.5mLの水滴と接触した後60秒以内に完全湿潤を示すことを特徴としている、請求項22の方法。
【請求項27】
結合剤が液体または半固体の形態で提供される、請求項22の方法。
【請求項28】
結合剤は前記処理に先立って水溶液に又は水と有機溶剤の混合液に溶解される、請求項22の方法。
【請求項29】
圧縮は約150MPa未満の圧縮圧力下で錠剤プレスによって行われる、請求項22の方法。
【請求項30】
圧縮圧力が約35MPa未満である、請求項29の方法。
【請求項31】
圧縮圧力が約10MPa未満である、請求項30の方法。
【請求項32】
さらに、圧縮に先立って高可塑性顆粒を少なくとも一つの追加成分と合わせることを含む、請求項22の方法。
【請求項33】
少なくとも一つの追加成分が、界面活性剤、超崩壊剤、超多孔性ヒドロゲル粒子、発泡剤、滑沢剤、着香剤、および着色剤からなる群から選ばれる、請求項32の方法。
【請求項34】
多孔性の可塑性物質と透水向上剤が同じ物質である、請求項22の方法。
【請求項35】
凝集粒子が、高剪断ミキサー、低剪断ミキサーまたは流動床ミキサーによる混合を受ける、請求項22の方法。
【請求項36】
乾燥は自然乾燥、真空乾燥、オーブン乾燥、流動床乾燥、またはマイクロ波乾燥を課す、請求項22の方法。
【請求項37】
請求項22の方法によって製造された、速く溶解する性質を有する医薬錠剤。
【請求項38】
さらに、圧縮に先立って有効医薬成分を高可塑性顆粒と緊密に合わせることを含む、請求項22の方法。
【請求項39】
請求項28の方法によって製造された、速く溶解する性質を有する医薬錠剤。
【請求項40】
速く溶ける医薬錠剤を製造する方法であって、
多孔性の可塑性物質をそれの凝集粒子の第一集団を形成するのに有効な量の結合剤で処理し;
透水向上剤をそれの凝集粒子の第二集団を形成するのに有効な量の結合剤で処理し;
凝集粒子の前記集団を一緒に、多数の高可塑性顆粒を単離するように、篩い分け、混合および乾燥し;そして
高可塑性顆粒を低い圧力下で圧縮して、速く溶ける医薬錠剤をもたらす、
ことを含む前記方法。
【請求項41】
さらに、凝集粒子の集団を混ぜ合わせる前に、有効医薬成分を、多孔性の可塑性物質、透水向上剤、および/または結合剤と緊密に合わせることを含む、請求項40の方法。
【請求項42】
多孔性の可塑性物質が水溶性または水分散性である、請求項40の方法。
【請求項43】
多孔性の可塑性物質は、粉末500mgを直径0.5インチのダイにて約1,500ポンド未満の圧力で圧縮したときに塑性変形を示す多孔性構造を有する粉末である、請求項40の方法。
【請求項44】
透水向上剤はそれから構成された直径0.5インチのダイにて300ポンドで形成された200mgの錠剤が水滴の拡がらない平坦表面の上に提供された0.5mLの水滴と接触した後60秒以内に完全湿潤を示すことを特徴としている、請求項40の方法。
【請求項45】
結合剤が液体または半固体の形態で提供される、請求項40の方法。
【請求項46】
結合剤は前記処理に先立って水溶液にまたは水と有機溶剤の混合液に溶解される、請求項40の方法。
【請求項47】
圧縮は約150MPa未満の圧縮圧力下で錠剤プレスによって行われる、請求項40の方法。
【請求項48】
圧縮圧力が約35MPa未満である、請求項47の方法。
【請求項49】
圧縮圧力が約10MPa未満である、請求項48の方法。
【請求項50】
さらに、圧縮に先立って高可塑性顆粒を少なくとも一つの追加成分と合わせることを含む、請求項40の方法。
【請求項51】
少なくとも一つの追加成分が、界面活性剤、超崩壊剤、超多孔性ヒドロゲル粒子、発泡剤、滑沢剤、着香剤および着色剤からなる群から選ばれる、請求項50の方法。
【請求項52】
多孔性の可塑性物質と透水向上剤が同じ物質である、請求項50の方法。
【請求項53】
凝集粒子が、高剪断ミキサー、低剪断ミキサーまたは流動床ミキサーによる混合を受ける、請求項40の方法。
【請求項54】
乾燥は自然乾燥、真空乾燥、オーブン乾燥、流動床乾燥、またはマイクロ波乾燥を課す、請求項40の方法。
【請求項55】
請求項40の方法によって製造された、速く溶解する性質を有する医薬錠剤。
【請求項56】
さらに、圧縮に先立って有効医薬成分を高可塑性顆粒と緊密に合わせることを含む、請求項40の方法。
【請求項57】
請求項56の方法によって製造された、速く溶解する性質を有する医薬錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−528243(P2006−528243A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532894(P2006−532894)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/014482
【国際公開番号】WO2004/100857
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505413381)アキナ、インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】