説明

造形品およびその製造方法

【課題】造形品の製作を容易に行い得るようにすることにある。
【解決手段】軟質状態から硬化状態に自然乾燥により変化する粘土12により、粘土12が軟質状態のもとで手芸品10の基本形状を成形する。また、この粘土12が軟質状態のもとで、粘土12の表面に配置される羊毛11を専用針でまんべんなく突き刺すことにより、羊毛11の一部を粘土12に押し込んで複数の植毛部11aを形成する。そして、羊毛11の植毛部11aが粘土12に押し込まれた状態で、粘土12を自然乾燥して硬化させることにより、羊毛11を植毛部11aで粘土12に固着する。これにより、羊毛11により表面が装飾された手芸品10を容易に製作することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手工芸品や装飾品などの造形品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
羊毛等の綿(わた)状繊維を専用針で刺し固めて形作る羊毛フェルトと呼ばれる手芸がある。羊毛フェルトに用いられる繊維はキューティクルといわれる鱗片状の表皮により覆われており、先端部に複数の溝を備える専用針により綿状繊維を突き刺すことで、繊維が互いに絡み合って圧縮固化(フェルト化)される。このようにして、異なる色彩に染色された複数種類の綿状繊維を専用針で刺し固めて形作ることで、羊毛フェルトによる手芸品が立体的に仕上げられるようになっている。
【0003】
このような羊毛フェルトは、羊毛等の綿状繊維により成形されるため完成した手芸品が軽量であるとともに、素材とする繊維が暖かく触り心地が良いという長所がある。また、異なる色彩に染色された綿状繊維を専用針で刺し固めて形作るため、接着剤等による接着作業や縫う作業、さらには着色作業を必要とすることがない。一方、羊毛フェルトの短所としては、綿状繊維を専用針で刺し固めることで立体的に形作るため、手芸品の製作に時間がかかるとともに手芸品を所望の形状に成形することが難しいという点がある。また、綿状繊維のみで立体的に成形されるため、手芸品の耐久性が乏しいという問題もある。
【0004】
ところで、羊毛フェルトにより製作された手芸品ではないが、羊毛により表面を装飾するようにした手芸品としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この手芸品は、発泡スチロール樹脂により成形された基材の表面にフェルト状羊毛を接着することで製作されている。このように、発泡スチロール樹脂の基材を用いることで手芸品の耐久性が向上されるとともに、基材の表面にフェルト状羊毛を接着するだけで良いので手芸品の製作時間を短縮することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3090778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されるように発泡スチロール樹脂で基材を成形する場合には、手芸品のデザインに応じて発泡スチロール樹脂を所望の形状に成形することが難しく、実用性に乏しいという問題がある。また、発泡スチロール樹脂の表面に接着剤等によりフェルト状羊毛を接着するため、接着剤が乾いて固まるまでの間に接着しようとする部分が外れ落ちてしまうおそれがあり、接着作業が煩雑である。
【0007】
本発明の目的は、造形品の製作を容易に行い得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の造形品は、成形された造形品であって、軟質状態から硬化状態に変化するとともに、軟質状態のもとで基本形状に成形される造形ベースと、前記造形ベースの表面に配置される繊維材料と、前記造形ベースが軟質状態のもとで、針部材により前記繊維材料の一部を前記造形ベースに押し込んで形成される植毛部とを有し、前記造形ベースを硬化させることにより前記植毛部を前記造形ベースに固着することを特徴とする。
【0009】
本発明の造形品は、前記造形ベースは平板形状または立体形状であり、相互に色彩が相違する複数種類の前記繊維材料を前記植毛部で前記造形ベースに固着することを特徴とする。
【0010】
本発明の造形品は、平板形状に形成された前記造形ベースの表面に配置されるとともに前記繊維材料が固定される繊維固定パターンが描かれたシート材を有し、当該シート材を貫通させて前記植毛部を前記造形ベースに押し込むことを特徴とする。
【0011】
本発明の造形品は、前記造形ベースは自然乾燥により軟質状態から硬化状態に変化する粘土であることを特徴とする。
【0012】
本発明の造形品は、前記繊維材料は繊維が互いに絡み合った綿状繊維であることを特徴とする。
【0013】
本発明の造形品の製造方法は、成形された造形品の製造方法であって、軟質状態から硬化状態に変化する造形ベースを軟質状態のもとで基本形状に成形する前記造形ベースの成形工程と、前記造形ベースの表面に繊維材料を配置する配置工程と、前記造形ベースが軟質状態のもとで、針部材により前記繊維材料の一部を前記造形ベースに押し込んで植毛部を形成する植毛工程と、前記造形ベースを硬化させることにより前記植毛部を前記造形ベースに固着する硬化工程とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の造形品の製造方法は、前記造形ベースは平板形状または立体形状であり、相互に色彩が相違する複数種類の前記繊維材料を前記植毛部で前記造形ベースに固着することを特徴とする。
【0015】
本発明の造形品の製造方法は、平板形状に形成された前記造形ベースの表面に、前記繊維材料が固定される繊維固定パターンが描かれたシート材を配置し、当該シート材を貫通させて前記植毛部を前記造形ベースに押し込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基本形状に形成された造形ベースの表面に繊維材料を固着するようにしたので、従来の羊毛フェルトのように繊維材料のみで造形品を立体的に形作る場合に比べて、造形品を容易に製作することができ、造形品の製作時間を短縮することができる。また、軟質状態から硬化状態に変化する造形ベースを用いたので、造形品のデザインに応じた基本形状を造形ベースにより容易に成形することが可能である。さらに、植毛部が造形ベースに押し込まれた状態で造形ベースを硬化させることにより、繊維材料を造形ベースの表面に固着するようにしたので、造形ベースが硬化して繊維材料が造形ベースの表面に固着されるまでの間に、繊維材料が造形ベースの表面から外れ落ちるおそれがなく、繊維材料を造形ベースの表面に容易且つ確実に固着することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態である手芸品を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】(A)〜(D)は手芸品の製造方法の一部を示す工程図である。
【図4】本発明の第2実施形態である手芸品を示す斜視図である。
【図5】図4におけるB−B線に沿う断面図である。
【図6】シート材の表面に描かれた繊維固定パターンを示す説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態である手芸品を示す斜視図である。
【図8】図7におけるC−C線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1には本発明に係る造形品の一例として、犬を模した手芸品10を示している。この手芸品10は、繊維が互いに絡み合った羊毛等の綿(わた)状繊維を専用針で刺し固めて形作る羊毛フェルトと呼ばれる手芸により製作されている。
【0019】
羊毛フェルトに用いられる羊毛等の綿状の繊維材料は、キューティクルといわれる鱗片状の表皮により覆われており、繊維の表面が凹凸状をしている。この綿状繊維を、先端部に複数の溝を備える専用針(フェルティング用ニードル)で突き刺すことにより、繊維が専用針の溝にひっかかり繊維が互いに絡み合って圧縮固化(フェルト化)される。このようにして、異なる色彩に染色された複数種類の綿状繊維を専用針で刺し固めて形作ることで、羊毛フェルトによる手芸品が立体的に仕上げられるようになっている。このとき、専用針で綿状繊維を突き刺す回数を多くすることで仕上がりが硬く凹状となり、専用針で綿状繊維を突き刺す回数を少なくすることで仕上がりが柔らかくなる。
【0020】
この手芸品10は、相互に色彩が相違する複数種類の羊毛11を適宜用いて、羊毛フェルトにより立体的に製作されている。手芸品10の内部には、図1に破線で示すように、手芸品10の基本形状つまり犬の胴体部分の形状に立体的に成形された造形ベースとしての粘土12が設けられている。粘土12には、容易に変形自在な軟質状態から硬化状態へ自然乾燥により変化する塑造用粘土等が用いられ、粘土12には繊維や合成糊材などが原材料として含まれている。この粘土12は軟質状態のもとで手芸品10の基本形状に成形される。そして、粘土12の表面に羊毛11を固着することで、表面が羊毛11により装飾された手芸品10が仕上げられるようになっている。
【0021】
なお、手芸品の10の基本形状として犬の胴体部分の形状を粘土12により成形するようにしたが、犬の頭部分の内部にも粘土12を設けるようにしても良いことはもちろんである。また、繊維材料としては羊毛11に限られることはなく、コットン等の綿状繊維、または羊毛やコットン等の綿状繊維からなるフェルトや毛糸などを用いることも可能である。同様に、造形ベースとしては粘土12に限られることはなく、軟質状態から硬化状態に変化する材料であれば他の材料を用いるようにしても良い。
【0022】
図2は手芸品10の断面図であり、手芸品10の基本形状に成形された粘土12の表面に羊毛11が固着されている様子を示している。粘土12の表面に配置された羊毛11は、その一部が粘土12に押し込まれて複数の植毛部11aを形成している。植毛部11aは、粘土12が軟質状態のもとで、粘土12の表面に配置された羊毛11の一部を専用針により粘土12に押し込むことで形成されており、粘土12の表面全体にまんべんなく設けられている。この植毛部11aが粘土12に押し込まれた状態で粘土12が硬化されることにより、羊毛11が植毛部11aで粘土12に固着されて、手芸品10の表面が羊毛11により装飾されるようになっている。
【0023】
次に、粘土12の表面に羊毛11を固着する方法について説明する。図3(A)〜(D)は手芸品10の製造方法の一部を示す工程図である。図3(A)は、軟質状態のもとで手芸品10の基本形状に成形された粘土12の一部を示している。この粘土12の表面には所望の色彩の羊毛11が配置される(図3(B))。続いて、図3(C)に示すように、粘土12が軟質状態のもとで、専用針13により羊毛11をまんべんなく突き刺して、羊毛11の一部を粘土12に押し込むことで複数の植毛部11aを形成する。すなわち、羊毛11を介して専用針13を粘土12の表面に突き刺すことで、専用針13の溝にひっかけられた羊毛11の一部を粘土12に押し込み、羊毛11の一部により植毛部11aを形成する。この粘土12には原材料として繊維や合成糊材が含まれているため、粘りのある粘土12に植毛部11aが押し込まれて、植毛部11aの繊維と粘土12の繊維とが互いに絡み合うようになっている。そして、粘土12を自然乾燥することで、植毛部11aが粘土12に押し込まれた状態で粘土12が硬化され、羊毛11が粘土12の表面に固着されるようになっている(図3(D))。このとき、粘土12の水分が蒸発されて粘土12が収縮するとともに、粘土12に含まれる合成糊材が乾いて固まるため、粘土12に押し込まれた複数の植毛部11aが抜けることがない。
【0024】
このように、手芸品10の基本形状に成形された粘土12の表面に羊毛11を固着するようにしたので、従来の羊毛フェルトのように羊毛11のみで手芸品10を立体的に形作る場合に比べて、手芸品10を容易に製作することができ、手芸品10の製作時間を短縮することができる。すなわち、粘土12により基本形状が成形されているため、手芸品10を所望の形状に立体的に形作るのが容易となるとともに、粘土12の表面に配置された羊毛11を専用針でまんべんなく突き刺すだけで良いので製作時間の短縮となる。これにより、羊毛フェルトの初心者でも、十分な作品性を有する手芸品10の製作を容易に行うことが可能となる。
【0025】
また、手芸品10の内部に粘土12を設けることで、手芸品10の強度を向上させることができ、手芸品10に十分な耐久性を持たせることが可能となる。さらに、粘土12として市販の軽量粘土を用いることで、素材となる羊毛11および粘土12が軽量となるため、手芸品10の軽量化を図ることが可能となる。
【0026】
さらに、手芸品10の基本形状を成形する造形ベースとして粘土12を用いたので、手芸品10のデザインに応じた基本形状を粘土12により容易に成形することが可能である。例えば、本実施の形態においては、犬の胴体部分の形状となるように粘土12を成形したが、他の動物や乗り物など手芸品10のデザインに応じた基本形状を粘土12により容易に成形することが可能である。したがって、製作者の自由な発想に応じた手芸品10を容易に製作可能となり、十分な実用性を有することとなる。
【0027】
さらに、羊毛11の植毛部11aを粘土12に押し込まれた状態で粘土12を硬化させることにより、羊毛11を粘土12の表面に固着するようにしたので、接着剤等を使用して羊毛11を粘土12の表面に接着する必要がなく、接着剤を使用しないので環境に優しい手芸品10を製作することができる。この粘土12には繊維や合成糊材が含まれているため、自然乾燥により粘土12の水分が蒸発して粘土12が収縮するとともに、粘土12に含まれる合成糊材が乾いて固まることで、粘土12に押し込まれた複数の植毛部11aが抜けることが防止される。また、合成糊材を含む粘りのある粘土12に植毛部11aが押し込まれて、粘土12に含まれる繊維と植毛部11aの繊維が互いに絡み合うので、粘土12が硬化して羊毛11が粘土12の表面に固着されるまでの間に、羊毛11が粘土12の表面から外れ落ちることがなく、羊毛11を粘土12の表面に容易に且つ確実に固着することが可能となる。
【0028】
図4は本発明の第2実施形態である手芸品を示す斜視図であり、図5は図4におけるB−B線に沿う断面図であり、図6はシート材の表面に描かれた繊維固定パターンを示す説明図である。なお、図4〜図6において前記実施の形態と同様の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0029】
図4には本発明に係る造形品の一例として、シート材の表面を羊毛フェルトにより装飾した手芸品20を示している。この手芸品20は、相互に色彩が相違する複数種類の羊毛11を適宜用いて、羊毛フェルトにより写真等のシート材21の表面に立体的な装飾が施されている。シート材21の裏面には、図4に破線で示すように、手芸品20の基本形状つまり羊毛フェルトが施される部分に対応させて平板形状に成形された粘土12が設けられている。そして、この粘土12の表面にシート材21を介して羊毛11を固着することで、シート材21の表面が羊毛11により装飾された手芸品20が仕上げられるようになっている。なお、手芸品20の基本形状として、羊毛フェルトが施される部分に対応させて平板形状に粘土12を成形するようにしたが、シート材21の裏面を全体的に覆う平板形状に粘土12を成形するようにしても良いことはもちろんである。
【0030】
図5は手芸品20の断面図であり、手芸品20の基本形状に成形された粘土12の表面にシート材21を介して羊毛11が固着されている様子を示している。粘土12の表面にシート材21を介して配置された羊毛11は、その一部がシート材21を貫通して粘土12に押し込まれて複数の植毛部11aを形成している。植毛部11aは、粘土12が軟質状態のもとで、シート材21の表面に配置された羊毛11の一部を専用針によりシート材21を貫通して粘土12に押し込むことで形成されており、粘土12の表面全体にまんべんなく設けられている。この植毛部11aが粘土12に押し込まれた状態で粘土12が硬化されることにより、羊毛11がシート材21の表面に固着されて、手芸品20の表面が羊毛11により装飾されるようになっている。
【0031】
また、シート材21の表面には、図6に示すように、羊毛11を固着する範囲や羊毛11の色彩を表示するための繊維固定パターンが描かれている。この繊維固定パターンに応じて、所定の色彩の羊毛11をシート材21の表面に固着することで、容易に手芸品20を製作することができる。これにより、羊毛フェルトの初心者でも、十分な作品性を有する手芸品10の製作を容易に行うことが可能となる。このように、手芸品20の基本形状に成形された粘土12の表面にシート材21を介して羊毛11を固着するようにした場合でも、前記実施の形態と同様の効果を奏することができるのはもちろんである。なお、シート材21としては写真や紙に限られず、布製品の表面に羊毛フェルトによりアップリケすることも可能である。
【0032】
図7は本発明の第3実施形態である手芸品を示す斜視図であり、図8は図7におけるC−C線に沿う断面図である。なお、図7および図8において前記実施の形態と同様の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0033】
図7には本発明に係る造形品の一例として、コップ状の容器の表面を羊毛フェルトにより装飾した手芸品30を示している。この手芸品30は、相互に色彩が相違する複数種類の羊毛11を適宜用いて、羊毛フェルトによりコップ状の容器31の表面に立体的な装飾が施されている。容器31の表面には、図7に破線で示すように、手芸品30の基本形状つまり羊毛フェルトが施される部分に対応させて容器31の表面を覆うように立体形状に成形された粘土12が設けられている。そして、この粘土12の表面に羊毛11を固着することで、容器31の表面が羊毛11により装飾された手芸品30が仕上げられるようになっている。
【0034】
図8は手芸品30の断面図であり、手芸品30の基本形状に成形された粘土12の表面に羊毛11が固着されている様子を示している。粘土12の表面に配置された羊毛11は、その一部が粘土12に押し込まれて複数の植毛部11aを形成している。植毛部11aは、粘土12が軟質状態のもとで、粘土12の表面に配置された羊毛11の一部を専用針により粘土12に押し込むことで形成されており、粘土12の表面全体にまんべんなく設けられている。この植毛部11aが粘土12に押し込まれた状態で粘土12が硬化されることにより、羊毛11が容器31の表面に固着されて、手芸品30の表面が羊毛11により装飾されるようになっている。
【0035】
このように、容器31の表面に粘土12を付着するようにしたので、粘土12を介して容器31の表面に羊毛フェルトを施すことが可能となっている。この場合でも、前記実施の形態と同様の効果を奏することができるのはもちろんである。なお、粘土12が付着される部材としてはコップ状の容器31に限られることはなく、粘土12を付着可能な素材であれば、プラスチック、ガラス、木製品、またはコルク等の部材にも羊毛フェルトを施すことが可能となる。これにより、従来において羊毛フェルトを施すことが困難であった部材にも羊毛フェルトを施すことが可能となり、羊毛フェルトの適用範囲が広がることとなる。
【0036】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前記実施の形態においては、本発明に係る造形品の一例として羊毛フェルトによる手芸品10,20,30を示したが、手芸品に限定されないことはもちろんである。例えば、本発明に係る造形品として、ストラップなどの装飾品や、絨毯やカーペットなどの工業製品に適用することも考えられる。
【0037】
さらに、前記実施の形態においては、相互に色彩の相違する複数種類の羊毛11を用いて手芸品10,20,30を製作したが、1つの色彩の羊毛11を用いて手芸品を製作するようにしても良い。
【符号の説明】
【0038】
10,20,30 手芸品(造形品)
11 羊毛(繊維材料)
11a 植毛部
12 粘土(造形ベース)
13 専用針(針部材)
21 シート材
31 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形された造形品であって、
軟質状態から硬化状態に変化するとともに、軟質状態のもとで基本形状に成形される造形ベースと、
前記造形ベースの表面に配置される繊維材料と、
前記造形ベースが軟質状態のもとで、針部材により前記繊維材料の一部を前記造形ベースに押し込んで形成される植毛部とを有し、
前記造形ベースを硬化させることにより前記植毛部を前記造形ベースに固着することを特徴とする造形品。
【請求項2】
請求項1記載の造形品において、前記造形ベースは平板形状または立体形状であり、相互に色彩が相違する複数種類の前記繊維材料を前記植毛部で前記造形ベースに固着することを特徴とする造形品。
【請求項3】
請求項1記載の造形品において、平板形状に形成された前記造形ベースの表面に配置されるとともに前記繊維材料が固定される繊維固定パターンが描かれたシート材を有し、当該シート材を貫通させて前記植毛部を前記造形ベースに押し込むことを特徴とする造形品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の造形品において、前記造形ベースは自然乾燥により軟質状態から硬化状態に変化する粘土であることを特徴とする造形品。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の造形品において、前記繊維材料は繊維が互いに絡み合った綿状繊維であることを特徴とする造形品。
【請求項6】
成形された造形品の製造方法であって、
軟質状態から硬化状態に変化する造形ベースを軟質状態のもとで基本形状に成形する前記造形ベースの成形工程と、
前記造形ベースの表面に繊維材料を配置する配置工程と、
前記造形ベースが軟質状態のもとで、針部材により前記繊維材料の一部を前記造形ベースに押し込んで植毛部を形成する植毛工程と、
前記造形ベースを硬化させることにより前記植毛部を前記造形ベースに固着する硬化工程とを有することを特徴とする造形品の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の造形品の製造方法において、前記造形ベースは平板形状または立体形状であり、相互に色彩が相違する複数種類の前記繊維材料を前記植毛部で前記造形ベースに固着することを特徴とする造形品の製造方法。
【請求項8】
請求項6記載の造形品の製造方法において、平板形状に形成された前記造形ベースの表面に、前記繊維材料が固定される繊維固定パターンが描かれたシート材を配置し、当該シート材を貫通させて前記植毛部を前記造形ベースに押し込むことを特徴とする造形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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