説明

造花用芳香容器及びその装着構造

【課題】中空容器内の通気性が良いため破割された薄肉密封容器から漏れ出た芳香液の揮発成分が直ちに容器開口部から発散され、さらに芳香液を中空容器の外に短時間で流出させて強い芳香を周囲に放つことができ、イベント会場やパーティー会場等においても人々の注意を喚起することができ話題性に富む造花用芳香容器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の造花用芳香容器1は、可撓性を有する筒状の中空容器2と、中空容器2の端部又は側面に形成された容器開口部3,5と、内部に芳香液8が封入され中空容器2に収納された破割性の薄肉密封容器7と、容器開口部3,5の縁部が中空容器2の内側に侵入した侵入部4,6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入された芳香液を必要なときに簡単な操作で発散させることができる造花用芳香容器及びその装着構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香液等の揮発性物質を発散させる簡単な芳香容器としては、芳香液をエチレンビニルアセテート等の合成樹脂やシリカ等の無機粉体に含浸させ、含浸させた芳香液を少しずつ発散させるようにしたものが知られている。このような芳香容器は、保存時に品質の劣化等が生じないようにするため、芳香液を含浸させた合成樹脂や無機粉体等を密封容器に収容しておき、使用時に密封容器を開封して用いるものであった。
しかしながら、このような芳香容器は、密封容器を開封する作業に手間がかかるとともにコンパクト化できないという課題を有していた。
そこで、封入された芳香液を必要なときに片手でもできる簡単な操作によって発散させることができる芳香容器が開発されている。
従来の技術としては、例えば(特許文献1)に「発散口を一ヶ以上設けた可撓性容器内に芳香剤を充填した破割性アンプルと吸収性素材を収容した芳香液の発散具」が開示されている。
(特許文献2)には、「少なくとも1箇所以上の発散口を有し手で折り曲げることのできる可撓性を有する外側容器と、香料等の揮発性物質を封入し前記外側容器の内部に収容される破割性アンプルと、前記破割性アンプルと前記発散口との間に介在して前記外側容器の内部に装着される吸収性素材と、を備えた揮発性物質発散具であって、前記発散口より内側の前記吸収性素材との間の空間部の容積が、前記破割性アンプルに封入された揮発性物質の容積の1/5以上である揮発性物質発散具」が開示されている。
【特許文献1】特開2003−19026号公報
【特許文献2】特開2003−250630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)や(特許文献2)に開示の技術は、破割性アンプルを割って芳香液を可撓性容器内に漏れ出させ、吸収性素材に芳香液を吸収させた後、吸収性素材に吸収させた芳香液を発散口から少しずつ大気中に拡散させ発散させるものである。そのため、長期間に渡って芳香を放つという用途には適しているが、芳香液の大気中への拡散速度が遅く、弱い芳香しか得られないという課題を有していた。
(2)発散口からの芳香液の発散量が少ないので、破割性アンプルを割っても芳香液の揮発成分を空気中に直ちに発散させ強い芳香を周囲に放つことができず、宣伝を目的としたイベント会場やパーティー会場等の雑多な香りのする会場内で破割性アンプルを割った場合には、芳香が弱いため会場内の人々の注意を喚起することができず、話題性に乏しく期待した宣伝効果が得られないという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、中空容器内の通気性が良いため破割された薄肉密封容器から漏れ出た芳香液の揮発成分が直ちに容器開口部から発散され、さらに芳香液を中空容器の外に短時間で流出させて強い芳香を周囲に放つことができ、イベント会場やパーティー会場等においても人々の注意を喚起することができ話題性に富む造花用芳香容器を提供することを目的とする。
また、使用時に、中空容器から流出した大量の芳香液の揮発成分を空気中に直ちに発散させて強い芳香を周囲に放つことができるとともに、中空容器から流出した芳香液が手指や衣服等に付着するのを防止できる造花用芳香容器の装着構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の造花用芳香容器及びその装着構造は、以下の構成を有している。
請求項1に記載の造花用芳香容器は、可撓性を有する筒状の中空容器と、前記中空容器の端部又は側面に形成された容器開口部と、内部に芳香液が封入され前記中空容器に収納された破割性の薄肉密封容器と、前記容器開口部の縁部が前記中空容器の内側に侵入した侵入部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)中空容器が可撓性の筒状に形成されているため手指で折り曲げる等によって撓ませ易く、収納された薄肉密封容器を容易に割ることができ、また中空容器の内部には吸収性素材が装着されておらず中空容器の端部や側面に容器開口部が形成されているため、中空容器内の通気性が良く、破割された薄肉密封容器から漏れ出た芳香液の揮発成分が直ちに容器開口部から発散され強い芳香を周囲に放つことができる。
(2)例えば、バラの造花の場合にはバラの芳香を放つ芳香液を封入した造花用芳香容器を用い、使用時に中空容器を折り曲げる等によって薄肉密封容器を割って芳香液を流出させることで、短時間の内に周囲に芳香を放つ造花を得ることができ、イベント会場やパーティー会場等においても人々の注意を喚起することができる。
(3)容器開口部の縁部が中空容器の内側に侵入した侵入部が形成されているので、破割された薄肉密封容器の破片が侵入部に遮られ、容器開口部内に入り難いため中空容器の外に脱落し難い。また侵入部の長さ分だけ容器開口部の内壁が長くなるので、粘性のある芳香液が付着した破片が容器開口部の内壁に張り付き易いため、吸収性素材で容器開口部が塞がれていなくても、破片が外に脱落するのを防止できる。
【0006】
ここで、中空容器としては、可撓性を有する材質で中空の筒状に形成されているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリイミド,塩化ビニル等の合成樹脂製やゴム製等の材質で形成されたものが用いられる。
【0007】
中空容器に収納された薄肉密封容器としては、手指等の力で中空容器を撓ませたりすることで容易に破割できる程度の強度を有するガラス製や合成樹脂製等で形成された密封容器が用いられる。合成樹脂製の薄肉密封容器は、フィルム等で袋状に形成し注入口から芳香液を入れた後、容器内の気泡を追い出しながらヒートシール等で注入口を封着し、内部に芳香液をほぼ隙間無く封入するものが好適に用いられる。使用時に中空容器を撓ませたりして薄肉密封容器を圧迫すれば、芳香液の圧力で薄肉密封容器を破割できるからである。破割性を高めるため、容器の1箇所以上に周辺よりも薄肉にした薄肉部を形成してもよい。
【0008】
薄肉密封容器に密封された芳香液としては、天然香料や合成香料の1種又は複数種を用いることができる。揮発性の調整や溶剤として、エタノール,イソプロピルアルコール等の一価アルコール、メチルメトキシブタノール,ジプロピレングリコール,ヘキシルグリコール,1,3−ブタンジオール等の多価アルコール等を配合して用いることができる。また、フタル酸エステル類等のエステル類、環状シリコン等のシリコーンオイル等も適宜選択して配合して用いることができる。必要に応じて、蒸留水や持続性等を調整する保留剤を加えることもできる。
【0009】
中空容器に形成された容器開口部としては、中空容器の端部や側面の複数箇所に形成された孔部,スリット状の切れ目部等が用いられる。
容器開口部の開口の大きさ、即ち、孔部の開口径や切れ目部の幅や長さは、薄肉密封容器の長手方向や短手方向の長さより狭く形成されたものが用いられる。薄肉密封容器が容器開口部から中空容器の外に脱落するのを防止するためである。さらに、容器開口部の開口の大きさは、破割された薄肉密封容器の平均的な破片の大きさより狭くなるように形成しておくのが好ましい。破片が容器開口部から中空容器の外に脱落するのを防止するためである。なお、芳香液の粘性を高くしておけば、芳香液が付着した破片は中空容器の内壁に張り付き易く、容器開口部から外に飛び出すのが防止される。
なお、容器開口部の数や位置、形状は、芳香液の揮発性、中空容器の大きさや形状等によって適宜選択することができる。
【0010】
侵入部としては、例えば、中空容器の端部や側面に加熱した棒状部材を押入し、中空容器を溶融させて容器開口部を形成するとともに、溶融した縁部を中空容器の内側にバリのように突出させて形成することができる。また、中空容器の端部に浸入部を形成する場合には、侵入部を別の部材で形成しておき、この別の部材を中空容器の端部に溶着、接着等して形成することもできる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の造花用芳香容器であって、前記容器開口部が、前記中空容器の端部及び/又は側面に複数形成された構成を有している。
この構成によって、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)容器開口部が複数形成されているので、容器開口部が薄肉密封容器より低い位置になるようにして薄肉密封容器を割ることで、芳香液が流出する際に中空容器内が負圧にならないため、芳香液を容器開口部から中空容器の外に短時間で流出させることができ、中空容器の外に流出した芳香液の揮発成分を空気中に直ちに発散させ、強い芳香を周囲に放つことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の造花用芳香容器であって、前記容器開口部が前記中空容器の端部に形成され、前記侵入部が、前記中空容器の終端が前記中空容器の内側に折り返された折返し部である構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)中空容器の端部に中空容器の終端が中空容器の内側に折り返された折返し部からなる侵入部を備えているので、安定して容器開口部及び侵入部を製造できるとともに、薄肉密封容器の破片が折返し部に遮られ、容器開口部内に入り難いため中空容器の外に脱落し難い。また折返し部の長さ分だけ容器開口部の内壁が長いので、粘性のある芳香液が付着した破片が容器開口部の内壁に張り付き易く、破片が外に脱落するのを防止できる。また、折り曲げる位置を適宜選択することで、折曲げ部と中空容器の側面との間に液溜り部を形成することもできる。
【0013】
ここで、折返し部としては、管状に形成された中空容器の終端を加熱して軟化させるとともに押圧して終端を折り曲げて折曲げ部を形成し、さらに強く押圧することによって折曲げ部を中空容器の内側に折り曲げて形成することができる。また、管状に形成された中空容器の終端に加熱した棒状部材を接触させて終端を軟化させ、さらに棒状部材を管内に差し込むことによって終端を中空容器内に折り返して形成することもできる。さらに、折返し部として、別途、中空の円錐台状に形成したものを形成し、容器開口部と円錐台状の拡大部又はフランジを有する円筒のフランジ部を溶着や接着により固定して形成してもよい。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の造花用芳香容器であって、前記容器開口部が前記中空容器の端部に形成され、前記中空容器の側面の内側と前記侵入部との間に前記芳香液の液溜り部が形成された構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)芳香液の液溜り部が形成されているので、容器開口部が薄肉密封容器より低い位置になるようにして薄肉密封容器を割ることで、芳香液が液溜り部に溜り、溢れた芳香液が容器開口部から流出する。これにより、芳香液を液溜り部に溜めて持続して芳香を放たせることもでき芳香の持続性に優れ、造花の芳香を長期に渡り得ることができる。
(2)薄肉密封容器の破片が液溜り部に引っ掛かり易く容器開口部内に入り難いため、破片を中空容器の外に脱落し難くすることができる。
【0015】
ここで、液溜り部としては、折返し部を形成する折り曲げ加工の際に、折返し部と中空容器の側面の内側との間に形成することができる。また、開口部の縁部を突出させた侵入部を別の部材で形成しておき、この別の部材を中空容器の端部に溶着、接着等して侵入部を形成する場合には、この別の部材の侵入部の外径を中空容器の内径よりも小さく形成しておけばよい。
【0016】
請求項5に記載の造花用芳香容器の装着構造は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の造花用芳香容器と、前記中空容器に形成された複数の前記容器開口部の内いずれか1が下向きになるように前記造花用芳香容器が配置され内設された柔軟な有底の芳香容器装着部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)使用時に、柔軟な芳香容器装着部を曲げたり折ったり潰したり等の簡単な操作を行うことで、芳香容器装着部に装着された造花用芳香容器の中空容器を変形させ、内部に収納された薄肉密封容器を割って内部の芳香液を中空容器内に漏れ出させることができる。有底の芳香容器装着部には、複数の容器開口部の内いずれか1が下向きになるように造花用芳香容器が配置されているので、中空容器内の芳香液が流出する際に中空容器内が負圧にならず、芳香液を容器開口部から芳香容器装着部内に短時間で流出させることができる。この結果、芳香容器装着部内に流出した大量の芳香液の揮発成分を空気中に直ちに発散させ、強い芳香を周囲に放つことができる。
(2)有底の芳香容器装着部に造花用芳香容器が装着されているので、芳香液が芳香容器装着部の外に漏れるのを防止し、手指や衣服等に芳香液が付着するのを防止できる。
(3)芳香容器装着部を花弁の中の花芯に形成することで、生花のように、花弁の中から芳香が湧き出るような造花を得ることができる。
【0017】
ここで、芳香容器装着部としては、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリイミド,塩化ビニル等の合成樹脂製、ゴム製、脱脂綿等の天然繊維や合成樹脂製繊維等の集合体、天然繊維や合成樹脂製繊維等で形成された織布,編布,不織布,フェルト、濾紙等の紙、発泡ウレタン樹脂,発泡ポリエチレン樹脂,コルク等の多孔質体等の柔軟な素材で形成され、造花用芳香容器を内設可能な孔部や係止部等の容器内設部が形成されたものが用いられる。
このうち、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリイミド,塩化ビニル等の合成樹脂製、ゴム製、フェルト、発泡ウレタン樹脂,発泡ポリエチレン樹脂,コルク等の透液性の乏しい素材を用いることで、芳香容器装着部内に流出させた芳香液が浸透し難いため、手指や衣服等に芳香液が付着するのを防止できる。なお、容器内設部の内面側をポリプロピレン,ポリエチレン,ポリイミド,塩化ビニル等の合成樹脂製、ゴム製等の透液性の乏しい素材で形成したフィルムやシート等で被覆しても同様の作用が得られる。
また、脱脂綿等の天然繊維や合成樹脂製繊維等の集合体、天然繊維や合成樹脂製繊維等で形成された織布,編布,不織布,フェルト、濾紙等の紙等の透液性に優れる素材を用いると、中空容器の外に流出させた芳香液を芳香容器装着部に吸収させることができ、芳香液と空気との接触面積を広げ強い芳香を周囲に放つことができる。なお、芳香容器装着部の底部側の外面をポリプロピレン,ポリエチレン,ポリイミド,塩化ビニル等の合成樹脂製、ゴム製等の透液性の乏しい素材で形成したフィルムやシート等で被覆することによって、芳香液がフィルムやシート等の外側には浸透しないため、手指や衣服等に芳香液が付着するのを防止できる。
【0018】
なお、中空容器に形成された他の容器開口部は、芳香容器装着部に造花用芳香容器を装着した際、芳香容器装着部が容器開口部に密着することなく容器開口部が閉塞されないような位置に形成するのが好ましい。容器開口部が塞がれるのを防止して中空容器内の通気を妨げないようにするためである。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の造花用芳香容器の装着構造であって、前記中空容器装着部を被包する複数の被包部と、前記被包部の間に形成された通気部と、を備えた構成を有している。
この構成によって、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)造花用芳香容器が内設された芳香容器装着部を被包する複数の被包部と、被包部の間に形成された通気部と、を備えているので、造花用芳香容器内や芳香容器装着部内の芳香液の芳香を通気部から周囲に放つことができるとともに、万が一、芳香容器装着部の外に芳香液が漏れたとしても被包部の外に漏れるのを防止し、手指や衣服等に芳香液が付着するのを防止できる。
【0020】
ここで、被包部としては、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリイミド,塩化ビニル等の合成樹脂製、ゴム製等の透液性の乏しい素材で形成される。芳香液が被包部の外に漏れるのを防止するためである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の造花用芳香容器及びその装着構造によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1の発明によれば、
(1)中空容器を撓ませ易く、収納された薄肉密封容器を容易に割ることができ、また中空容器の内部には吸収性素材が装着されておらず中空容器の端部や側面に容器開口部が形成されているため、中空容器内の通気性が良く、破割された薄肉密封容器から漏れ出た芳香液の揮発成分が直ちに容器開口部から発散され強い芳香を周囲に放つことができる造花用芳香容器を提供することができる。
(2)使用時に中空容器を折り曲げる等によって薄肉密封容器を割って芳香液を流出させることで、短時間の内に周囲に芳香を放つ造花を形成でき、イベント会場やパーティー会場等においても人々の注意を喚起することができる造花用芳香容器を提供することができる。
(3)破割された薄肉密封容器の破片が侵入部に遮られ、容器開口部内に入り難いため中空容器の外に脱落し難く、また粘性のある芳香液が付着した破片が容器開口部の内壁に張り付き易いため、吸収性素材で容器開口部が塞がれていなくても、破片が外に脱落するのを防止できる使用性に優れた造花用芳香容器を提供することができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)芳香液が容器開口部から流出する際に中空容器内が負圧にならないため、芳香液を容器開口部から中空容器の外に短時間で流出させることができ、中空容器の外に流出した芳香液の揮発成分を空気中に直ちに発散させ、強い芳香を周囲に放つことができる造花用芳香容器を提供することができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)安定して容器開口部及び侵入部を製造でき製品得率が高く、また薄肉密封容器の破片が折返し部に遮られ、容器開口部内に入り難いため中空容器の外に脱落し難く、また粘性のある芳香液が付着した破片が容器開口部の内壁に張り付き易く、破片が外に脱落するのを防止できる造花用芳香容器を提供することができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)芳香液が液溜り部に溜り、液溜り部から溢れた芳香液が容器開口部から流出するので、芳香液を液溜り部に溜めて持続して芳香を放たせることもでき芳香の持続性に優れた造花用芳香容器を提供することができる。
(2)薄肉密封容器の破片が液溜り部に引っ掛かり易く容器開口部内に入り難いため、破片を中空容器の外に脱落し難くすることができる造花用芳香容器を提供することができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、
(1)使用時に、柔軟な芳香容器装着部を曲げる等の簡単な操作を行うことで、芳香容器装着部に装着された造花用芳香容器の中空容器を変形させ、内部に収納された薄肉密封容器を割って内部の芳香液を中空容器内に漏れ出させ、さらに芳香液を容器開口部から芳香容器装着部内に短時間で流出させることができ、芳香容器装着部内に流出した大量の芳香液の揮発成分を空気中に直ちに発散させ、強い芳香を周囲に放つことができる造花用芳香容器の装着構造を提供することができる。
(2)有底の芳香容器装着部に造花用芳香容器が装着されているので、芳香容器装着部の外に芳香液が漏れるのを防止し、手指や衣服等に芳香液が付着するのを防止でき使用性に優れた造花用芳香容器の装着構造を提供することができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、
(1)造花用芳香容器内や芳香容器装着部内の芳香液の芳香を通気部から周囲に放つことができるとともに、万が一、芳香容器装着部の外に芳香液が漏れたとしても被包部の外に漏れるのを防止し、手指や衣服等に芳香液が付着するのを防止できる使用性に優れた造花用芳香容器の装着構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における造花用芳香容器の縦断面図であり、図2は実施の形態1における造花用芳香容器の装着構造を有する造花の要部断面図である。
図1において、1は実施の形態1における造花用芳香容器、2はポリプロピレン,ポリエチレン,ポリイミド,塩化ビニル等の合成樹脂製やゴム製等の可撓性を有する材質で中空の円筒状に形成された中空容器、3,5は後述する薄肉密封容器7の外径よりも小さな内径の孔状に中空容器2の両端部に形成された容器開口部、4,6は中空容器2の各々の終端が中空容器2の内側に折り返されて形成され容器開口部3,5の縁部が中空容器2の内側に侵入した侵入部としての折返し部、4a,6aは中空容器2の側面と折返し部4,6との間の隙間に形成された芳香液の液溜り部、7は薄肉のガラス製等で形成され中空容器2に収納された薄肉密封容器、8は薄肉密封容器7に密封されたバラ等の香料を含有する芳香液である。なお、折返し部4,6は、別途、容器開口部3,5に溶着や接着して形成してもよい。
図2において、10は実施の形態1における造花用芳香容器1の装着構造を有する造花、11は柔軟な可撓性を有する合成樹脂製等で棒状に形成された造花10の茎、12は茎11の先端の茎頂、13は茎11に一端側が埋設され他端側が茎頂12から突出した針金等の芯線、14は脱脂綿等の天然繊維や合成樹脂製繊維等の集合体、天然繊維や合成樹脂製繊維等で形成された織布,編布,不織布,フェルト、濾紙等の紙、発泡ウレタン樹脂,発泡ポリエチレン樹脂,コルク等の多孔質体等の柔軟で任意の厚さの素材で形成され芯線13を内設して茎頂12に配設された芳香容器装着部、15は芳香容器装着部14の一端側で開口し有底状に形成され造花用芳香容器1が内設される容器内設部である。造花用芳香容器1は、中空容器2に形成された容器開口部4が下向きになり、他の容器開口部6が芳香容器装着部14で塞がれないようにして容器内設部15に配置され芳香容器装着部14に内設されている。16は合成樹脂製のシート等で形成され茎頂12と芳香容器装着部14との間に基部が接着された萼片、17は合成樹脂製のシート等で形成され萼片16の基部や芳香容器装着部14の底部側(茎頂12側)に基部が接着され芳香容器装着部14の外側に配設され芳香容器装着部14を被包する被包部としての複数枚の花弁、18は花弁17の間に形成された通気部である。
【0028】
以上のように構成された実施の形態1における造花用芳香容器について、以下その製造方法を説明する。
芳香液8が密封された薄肉密封容器7は、芳香液をガラス製等の薄肉容器に端部の注入口から注入した後、端部の注入口を溶融等して封入し製造する。次いで、両端が開放された管状の中空容器2内に薄肉密封容器7を入れた後、中空容器2の一方の終端の全体を加熱して軟化させるとともに押圧し、終端を折り曲げて折曲げ部を形成する。さらに押圧することにより、折曲げ部を中空容器2内に折り返して折返し部4と液溜り部4aを形成する。これにより、内径が薄肉密封容器7の外径より小さな容器開口部3が形成される。中空容器2の他方の終端も同様にして、折返し部6、液溜り部6a及び容器開口部5を形成する。この結果、中空容器7に薄肉密封容器10が収納された造花用芳香容器1を製造することができる。
【0029】
次に、実施の形態1における造花用芳香容器の装着構造を有する造花について、以下その製造方法を説明する。
始めに、造花用芳香容器1、芯線13が茎頂12から突出した茎11、萼片16、花弁17を準備した後、容器開口部4が下向きになるように造花用芳香容器1を突出した芯線13に沿わせて配置し、次いで芯線13と造花用芳香容器1の周囲に任意の厚さを有する柔軟な脱脂綿等の天然繊維や合成樹脂製繊維等の集合体、天然繊維や合成樹脂製繊維等で形成された織布,編布,不織布,フェルト、濾紙等の紙、発泡ウレタン樹脂,発泡ポリエチレン樹脂,コルク等の多孔質体等の柔軟で任意の厚さの素材を巻き付ける。これにより、造花用芳香容器1の容器開口部5側が開口し容器開口部3側が有底状に形成された容器内設部15内に造花用芳香容器1が装着された芳香容器装着部14を形成し、茎頂12に配設することができる。芳香容器装着部14の周囲を紐や針金等の線条体で緊縛したり粘着剤や接着剤等を用いたりして芳香容器装着部14を整形することもできる。次いで、萼片16、花弁17の基部を茎頂12や芳香容器装着部14の茎頂12側に接着し、花弁17を芳香容器装着部14の周囲に複数枚配設する。このとき、芳香容器装着部14の底部と茎頂12や萼片16、花弁17の基部との間は、隙間がないように接着剤等で封止しておく。芳香容器装着部14内に流出させた芳香液8が、芳香容器装着部14の外に漏れないようにするためである。また、花弁17を複数枚配設する際に、花弁17の間に通気部18としての隙間を形成する。
なお、芳香容器装着部14を造花用芳香容器1の周囲に巻き付けて製造する場合について説明したが、造花用芳香容器1の大きさの容器内設部15を形成した芳香容器装着部14を製造した後、この容器内設部15に造花用芳香容器1を装着するようにする場合もある。
【0030】
以上のように、本発明の実施の形態1における造花用芳香容器は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)中空容器2が筒状に形成されているため手指で折り曲げる等によって撓ませ易く、収納された薄肉密封容器7を容易に割ることができ、また中空容器2の内部には吸収性素材が装着されておらず中空容器2の両端部の各々に容器開口部3,5が形成されているため、中空容器2内の通気性が良く、破割された薄肉密封容器7から漏れ出た芳香液10の揮発成分が直ちに容器開口部3,5から発散され強い芳香を周囲に放つことができる。
(2)容器開口部3が薄肉密封容器7より低い位置になるようにして薄肉密封容器7を割ることで、薄肉密封容器7から中空容器2内に流出した芳香液8を容器開口部3から中空容器2の外に短時間で流出させることができ、中空容器2の外に流出した芳香液8の揮発成分を空気中に直ちに発散させ、強い芳香を周囲に放つことができる。複数の容器開口部3,5が形成されているので、芳香液8が容器開口部3から流出する際に中空容器2内が負圧にならないためである。
(3)中空容器2の両端部の各々に中空容器2の終端が内側に折り返された折返し部4,6を備えているので、割れた薄肉密封容器7の破片が折返し部4,6に遮られ容器開口部3,5内に入り難いため、破片が中空容器2の外に脱落し難い。また折返し部4,6の長さ分だけ容器開口部3,5の内壁が長いので、粘性のある芳香液8が付着した破片が容器開口部3,5の内壁に張り付き易く、外に脱落するのを防止できる。
(4)液溜り部4a,6aが形成されているので、芳香液8が液溜り部4aに溜り、溢れた芳香液8が容器開口部3から流出する。これにより、芳香液8を液溜り部4aに溜めて持続して芳香を放たせることもでき芳香の持続性に優れる。
(5)薄肉密封容器7の破片が液溜り部4a,6aに引っ掛かり易く容器開口部3,5内に入り難いため、破片を中空容器2の外に脱落し難くすることができる。
(6)芳香液8は薄肉密封容器7に封入されており、薄肉密封容器7を破割しない限り揮発しないので、長期間保存しても芳香液8が揮発したり劣化したりすることなく保存性に優れる。
【0031】
また、以上のように本実施の形態1における造花用芳香容器の装着構造は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)柔軟な芳香容器装着部14内に造花用芳香容器1が装着されているので、使用時に、柔軟な芳香容器装着部14を曲げたり折ったり潰したり等の簡単な操作を行うことで、芳香容器装着部14に装着された造花用芳香容器1の中空容器2を変形させ、内部に収納された薄肉密封容器7を割って内部の芳香液8を中空容器2内に漏れ出させることができる。芳香容器装着部14の容器内設部15は有底状に形成され、容器開口部3が下向きになるように造花用芳香容器1が容器内設部15に配置されており、他の容器開口部5も芳香容器装着部14で閉塞されていないので、中空容器2内の芳香液8が流出する際に中空容器2内が負圧にならず、芳香液8を容器開口部3から芳香容器装着部14内に短時間で流出させることができる。この結果、芳香容器装着部14内に流出した大量の芳香液8の揮発成分を、容器内設部15と中空容器2との隙間や容器開口部3,5から空気中に直ちに発散させ、強い芳香を周囲に放つことができる。
(2)有底の芳香容器装着部14に造花用芳香容器1が装着されており、芳香容器装着部14の底部側の外面が合成樹脂製のシート等で形成された被包部としての花弁17で覆われているので、芳香液8が芳香容器装着部14の外に漏れるのを防止し、手指や衣服等に芳香液が付着するのを防止できる。
(3)被包部としての花弁17の間に通気部18が形成されているので、芳香を花弁17の間から周囲に放つことができ、あたかも生花のような印象を周囲に与えることができる。また、周囲に芳香を放つ造花を瞬時に得ることができ、イベント会場やパーティー会場等においても人々の注意を喚起することができる。
【0032】
ここで、本実施の形態においては、芳香容器装着部14の底部側の外面が合成樹脂製のシート等で形成された萼片16や花弁17で覆われている場合について説明したが、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリイミド,塩化ビニル等の合成樹脂製、ゴム製、フェルト、発泡ウレタン樹脂,発泡ポリエチレン樹脂,コルク等の透液性の乏しい素材を用いて芳香容器装着部を製造すれば、合成樹脂製のシート等で覆わなくてもよい。
また、本実施の形態においては、造花用芳香容器の装着構造を有する造花について説明したが、中空容器装着部の素材や形状を適宜選択することによって、本発明の装着構造をペンダント、壁掛け等の装飾品等に用いることもできる。
【0033】
次に、造花用芳香容器の変形例について説明する。
図3は造花用芳香容器の変形例の縦断面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図3(a)において、1aは一端部が平面状に他端部が球面状に形成された中空容器2を備えた造花用芳香容器、6aは中空容器2の球面状の端部に形成された小孔状の容器開口部である。
造花用芳香容器1aは中空容器2の端部の一つが球面状に形成されているが、両端部に容器開口部3,6aが形成され、侵入部としての折返し部4,液溜り部4aが形成されているので、実施の形態1で説明したのと同様の作用が得られる。
なお、容器開口部6aは、中空容器2の成形時に形成したり、球面状の端部にドリル等で穿孔して形成したりすることができる。また、容器開口部6aの内径と略同一の外径の棒状部材を加熱したものを球面状の端部に押し付けて、端部を小孔状に溶融させて形成することもできる。
【0034】
図3(b)において、1bは端部の一つが球面状に形成された造花用芳香容器である。
容器開口部3が造花用芳香容器1bの一ヶ所にしか形成されていないが、侵入部としての折返し部4、液溜り部4aが形成されているので、実施の形態1で説明したのと同様の作用が得られる。
【0035】
図3(c)において、1cは両端が閉塞された中空容器2を備えた造花用芳香容器、4bは中空容器2の側面に複数形成された容器開口部、4cは容器開口部4bの縁部を中空容器2の内側に侵入させた侵入部である。造花用芳香容器1cは、側面に複数の容器開口部4bが形成され一端が開口した筒状の中空容器2内に薄肉密封容器7を落とし込んだ後、中空容器2の一端の開口を溶融する等の手段によって閉塞して製造することができる。
造花用芳香容器1cは複数の容器開口部4bと侵入部4cが形成されているので、実施の形態1で記載したのと同様の作用が得られる。なお、側面に複数形成された容器開口部4bに加え、中空容器2の端部に容器開口部を形成する場合もある。これにより、薄肉密封容器7を破割して溢れ出た芳香液8を中空容器2の外に流出させ易くして、薄肉密封容器7を破割してから強い芳香が放たれるまでの時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、封入された芳香液を必要なときに簡単な操作で発散させることができる造花用芳香容器及びその装着構造に関し、中空容器内の通気性が良いため破割された薄肉密封容器から漏れ出た芳香液の揮発成分が直ちに容器開口部から発散され、さらに芳香液を中空容器の外に短時間で流出させて強い芳香を周囲に放つことができ、イベント会場やパーティー会場等においても人々の注意を喚起することができ話題性に富む造花用芳香容器を提供することができ、また使用時に中空容器から流出した大量の芳香液の揮発成分を空気中に直ちに発散させて強い芳香を周囲に放つことができるとともに、中空容器から流出した芳香液が手指や衣服等に付着するのを防止できる造花用芳香容器の装着構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態1における造花用芳香容器の縦断面図
【図2】実施の形態1における造花用芳香容器の装着構造を有する造花の要部断面図
【図3】造花用芳香容器の変形例の縦断面図
【符号の説明】
【0038】
1,1a,1b,1c 造花用芳香容器
2 中空容器
3,4b,5,6a 容器開口部
4,6 折返し部
4a 液溜り部
4c 侵入部
7 薄肉密封容器
8 芳香液
10 造花用芳香容器の装着構造を有する造花
11 茎
12 茎頂
13 芯線
14 芳香容器装着部
15 容器内設部
16 萼片
17 花弁(被包部)
18 通気部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する筒状の中空容器と、前記中空容器の端部又は側面に形成された容器開口部と、内部に芳香液が封入され前記中空容器に収納された破割性の薄肉密封容器と、前記容器開口部の縁部が前記中空容器の内側に侵入した侵入部と、を備えていることを特徴とする造花用芳香容器。
【請求項2】
前記容器開口部が、前記中空容器の端部及び/又は側面に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の造花用芳香容器。
【請求項3】
前記容器開口部が前記中空容器の端部に形成され、前記侵入部が、前記中空容器の終端が前記中空容器の内側に折り返された折返し部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の造花用芳香容器。
【請求項4】
前記容器開口部が前記中空容器の端部に形成され、前記中空容器の側面の内側と前記侵入部との間に前記芳香液の液溜り部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の造花用芳香容器。
【請求項5】
請求項1乃至4の内いずれか1に記載の造花用芳香容器と、前記中空容器に形成された複数の前記容器開口部の内いずれか1が下向きになるように前記造花用芳香容器が配置され内設された柔軟な有底の芳香容器装着部と、を備えていることを特徴とする造花用芳香容器の装着構造。
【請求項6】
前記芳香容器装着部を被包する複数の被包部と、前記被包部の間に形成された通気部と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の造花用芳香容器の装着構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−306479(P2006−306479A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133725(P2005−133725)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(503363862)
【Fターム(参考)】