説明

連結構造および建具

【課題】連結強度を確保しつつ組立性を向上させることができる連結構造および建具を提供すること。
【解決手段】互いに連結された屋外部材11Aと屋内部材11Bとを引き離す方向の荷重が作用した場合に、係合凹部24の内部で回動した交差部35が突っ張ることで、係合凹部24から係合凸部32が抜け出すことが防止できる。そして、係合凸部32の延出部34や屈曲部36が引っ張り力によって荷重に抵抗することになるため、これらの曲げ剛性によって係合を維持するような連結構造と比較して、連結強度を高めることができる。従って、係合凸部32の断面を拡大しなくても十分な連結強度が得られることから、屋外部材11Aと屋内部材11Bとを組み立てる際に、係合凸部32を弾性変形させつつ係合凹部24に挿入するための力が小さくでき、組立性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結構造および建具に関し、詳しくは、一対の部材同士を連結する連結構造、この連結構造で連結された枠材を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓等の建具における枠材(框材)として、アルミ形材等の金属部材と樹脂部材とを連結して構成された複合枠材が利用されている。このような複合枠材の連結構造としては、金属部材および樹脂部材にそれぞれ形成した係合部と被係合部とを互いに係合させる形式が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に記載の建具では、障子を構成する框材が複合枠材とされ、金属框と樹脂框とが係合によって互いに連結されており、屋外側の金属框と屋内側の樹脂框との間ににガラスが保持されるようになっている。そして、金属框には、見付け方向内側(ガラスを保持する開口側)の係合部と、見付け方向外側の弾性係合部とが形成され、樹脂框には、係合部に係合される被係合部と、弾性係合部に係合される弾性被係合部とが形成され、係合部に被係合部を引っ掛けた状態から樹脂框を回動させ、弾性係合部を弾性係合部に係合させることで、金属框に樹脂框が連結されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−183370号公報
【特許文献2】特開2006−183371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載された従来の連結構造では、弾性係合部および弾性被係合部をガラスを保持する開口側に設けるようにすれば、樹脂框とガラスとの干渉は避けられるものの、ガラスに作用する風圧力等の荷重を弾性被係合部で支持することとなり、連結強度を確保するためには弾性被係合部を強固に係合させる必要が生じる。このため、弾性係合部と弾性被係合部との掛かり代を大きくしたり、弾性被係合部の変形を小さくするために板厚を大きくしたりなどの変更により、係合させる際に大きな力を加える必要が生じることから、この場合でも組立性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、連結強度を確保しつつ組立性を向上させることができる連結構造および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の連結構造は、第1部材と第2部材とを互いに連結させる連結構造であって、前記第1部材には、前記第2部材に向かって突出する係合凸部が形成され、前記第2部材には、前記係合凸部を受け入れ可能な係合凹部が形成され、前記係合凸部は、前記第1部材から前記係合凹部の内方に向かって延びる延出部と、この延出部の先端に交差して設けられる交差部とを有して形成され、前記係合凹部は、その開口部から内方に延びて互いに対向する一方および他方の対向面部と、当該一方の対向面部の開口部側に設けられる突起部とを有して形成され、前記係合凸部が前記係合凹部内に挿入された状態において、前記交差部の一方側端部が前記突起部に係合されるとともに、前記第1部材と第2部材とを引き離す方向の力が作用した場合において、前記一方側端部を支点にして前記交差部が回動することで、当該交差部の他方側端部が前記他方の対向面部に当接可能に構成されたことを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、係合凸部を係合凹部内に挿入することで交差部の一方側端部が突起部に係合されるので、第1部材と第2部材とを互いに押し付けるだけで連結させることができ、組立作業の作業性を向上させることができる。また、第1部材と第2部材とが引き離される方向に力(引き離し力)が作用した場合でも、一方側端部を支点にして回転した交差部の他方側端部が他方の対向面部に当接することで、交差部が対向面部間で突っ張ることになり、係合凸部が係合凹部から抜けないあるいは抜けにくくできる。従って、交差部が対向面部間で突っ張ることによって、延出部および交差部の曲げ剛性で突起部と係合した連結強度よりも大きな連結強度を得ることができ、係合凸部の断面を拡大する必要がないことから、第1部材と第2部材とを組み立てる際には大きな力が不要にできて組立性を阻害しないようにできる。
【0008】
この際、本発明の連結構造では、前記係合凸部の前記交差部は、前記一方側端部に向かって前記延出部と鋭角に交わるとともに、前記他方側端部に向かって前記延出部と鈍角に交わって形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、延出部の延出方向に対して一方側端部が鋭角に交わるように交差部を傾斜させることで、係合凸部を係合凹部に挿入して突起部に係合させる際の押し込み力を抑制することができ、組立性をさらに向上させることができる。また、延出部の延出方向に対して他方側端部が鈍角に交わるように交差部を傾斜させることで、引き離し力が作用して交差部が回転した場合に、他方側端部が他方の対向面部に近づく方向に回動して当接しやすくでき、他方側端部を他方の対向面部に強く押し付けて連結強度を高めることができる。
【0009】
さらに、本発明の連結構造では、前記延出部の先端には、一方側に屈曲した屈曲部が形成され、この屈曲部の先端に前記交差部が設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、屈曲部を介して延出部と交差部とが接続されていることで、組立時には屈曲部が撓むことにより交差部の一方側端部が突起部を乗り越えやすくなり、組立性を向上させることができる。また、引き離し力に対しては、屈曲部と延出部とが直線状に近づく形状となり、引き離し力が作用する前の形状と比較して、対向面部間で突っ張った交差部と延出部とが直交に近づくように変形することから、延出部の引っ張り力で引き離し力に抵抗することができ、係合凸部の各部に曲げ応力が発生しにくくなって連結強度をさらに向上させることができる。
【0010】
また、本発明の連結構造では、前記第1部材および第2部材における前記係合凸部および係合凹部から離隔した位置には、互いに係止可能な係止部および被係止部が形成され、前記係止部を被係止部に係止させるとともに、この係止位置を支点にして前記第1部材と第2部材とを相対回転させ、前記係合凸部を前記係合凹部に挿入して前記交差部の一方側端部を前記突起部に係合させることで、当該第1部材と第2部材とが連結されることが好ましい。
このような構成によれば、係止部と被係止部とを係止させた状態で第1部材と第2部材とを相対回転させ、係合凸部を係合凹部に挿入して交差部の一方側端部を突起部に係合させることで、特別な位置決めなどが不要で容易かつ確実に組立作業を実施することができる。
【0011】
さらに、本発明の連結構造では、前記係止部および被係止部は、前記一方側端部との距離よりも前記他方側端部との距離の方が短い位置に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、係止部および被係止部の係止位置と、突起部および交差部の一方側端部の係合位置との距離(作用距離)を大きくすることができるため、組立の際に係止位置を支点として第2部材を相対回転させる軌道の外側に交差部の一方側端部が位置することから、前述のように交差部を傾斜させることで、突起部を乗り越える際の交差部の摺接角度を浅くすることができ、摺接抵抗を小さくして押し込み力をさらに抑制することができる。
【0012】
一方、本発明の建具は、枠体と、この枠体に支持される面材とを備えた建具であって、前記枠体を構成する枠材および前記面材を構成する枠材の少なくとも1つの枠材は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の連結構造で連結された第1部材および第2部材を有して構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、前述の連結構造と同様に、枠材を構成する第1部材と第2部材との連結強度を確保しつつ、この枠材を含んだ枠体や面材の組立性を向上させることができる。
【0013】
この際、本発明の建具では、前記第1部材は、係合凸部が形成された樹脂製の屋内部材であり、前記第2部材は、係合凹部が形成された金属製の屋外部材であることが好ましい。
このような構成によれば、金属製の屋外部材(第2部材)よりも弾性率の低い樹脂製の屋内部材(第1部材)に係合凸部を形成することで、この係合凸部を係合凹部に挿入して突起部に係合させる際の押し込み力を抑制することができる。さらに、引き離し力が作用した際にも交差部が回転しやすくでき、連結強度を確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る建具を示す縦断面図である。
【図2】前記建具を示す横断面図である。
【図3】前記建具に設けられる枠材である上框を示す縦断面図である。
【図4】前記上框の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】前記建具に設けられる枠材である縦框を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る建具としての引違い窓1を図面に基づいて説明する。
図1、図2において、引違い窓1は、建物の開口部に設けられて屋内空間と屋外空間とを仕切るものであって、建物躯体に固定される枠体としての窓枠2と、この窓枠2に開閉自在に支持される面材としての室内外一対の障子3,4と、室外側障子4の屋外側に支持される網戸5を備えて構成されている。窓枠2は、上枠6、下枠7、および左右の縦枠8を四周枠組みして形成され、室内外の障子3,4は、それぞれ上框11、下框12および左右の縦框13,14を四周框組みした内部に複層ガラス15を嵌め込んで構成されている。すなわち、室内外の障子3,4において、それぞれ縦框13が縦枠8側に位置する戸先框であり、縦框14が開口中央部側に位置する召合せ框であり、各縦框13が縦枠8に当接するとともに、縦框14同士が見込み方向(屋内外方向)に重なることで、室内外の障子3,4が閉鎖されるようになっている。
【0016】
窓枠2において、上枠6、下枠7、および縦枠8は、それぞれアルミ形材製の枠本体6A,7A,8Aと、これら枠本体6A,7A,8Aの屋内側に露出する面を覆う樹脂製のカバー部材6B,7B,8Bとを有して構成されている。また、障子3,4において、上框11、下框12および縦框13,14は、それぞれアルミ形材製の屋外部材11A,12A,13A,14Aと、樹脂製の屋内部材11B,12B,13B,14Bとを有して構成されている。すなわち、引違い窓1は、その屋内側に樹脂製のカバー部材6B,7B,8Bおよび屋内部材11B,12B,13B,14Bが位置し、屋外空間に露出する金属製の枠本体6A,7A,8Aや屋外部材11A,12A,13A,14Aが屋内空間に直接曝されることがなく、冬季などにおける結露が抑制可能な所謂断熱サッシである。
【0017】
次に、図3、図4に基づいて、枠材としての上框11の構造、および上框11における屋外部材11Aと屋内部材11Bとの連結構造について説明する。ここで、屋内部材11Bによって本発明の第1部材が構成され、屋外部材11Aによって本発明の第2部材が構成されている。
屋外部材11Aは、見込み方向(屋内外方向)に延びる見込み面部21と、この見込み面部21の屋外側端部に連続して見付け方向に延びる屋外側見付け面部22と、見込み面部21の屋内寄りの位置から見付け方向外側(上方)に延びる立上り片部23と、この立上り片部23の基端部であり見込み面部21との交差位置にて屋内側に開口した係合凹部24とを有して形成されている。一方、屋内部材11Bは、屋内空間に面して見付け方向に延びる屋内側見付け面部31と、この屋内側見付け面部31の途中位置から屋外部材11Aに向かって突出した係合凸部32と、この係合凸部32よりも見付け方向外側(上方)にて屋内側見付け面部31から屋外部材11Aに向かって突出した係止片部33とを有して形成されている。
【0018】
係合凹部24は、その屋内側の開口部25から開口内方(屋外側)に延びて互いに対向する一方および他方の対向面部26,27と、これら対向面部26,27の屋外側に連続する底面部28と、見込み面部21に連続する一方の対向面部26の開口部25側に設けられる突起部29とを有して形成されている。一方、係合凸部32は、屋外部材11Aに向かって係合凹部24の内方に向かって延びる延出部34と、この延出部34の先端側に交差して設けられる交差部35と、これらの延出部34と交差部35とを接続するとともに一方の対向面部26側に屈曲した屈曲部36とを有して形成されている。そして、交差部35は、屈曲部36と略直交して接続されるとともに、屈曲部36から下方かつ屋内側に延びて延出部34と鋭角を成す側の先端である一方側端部351と、屈曲部36から上方かつ屋外側に延びて延出部34と鈍角を成す側の先端である他方側端部352とを有して形成されている。そして、図3(A)に示すように、係合凹部24に係合凸部32を挿入した状態において、一方側端部351が係合凹部24の突起部29に係合可能に構成され、この係合状態において他方側端部352が係合凹部24の他方の対向面部27と所定の間隔を介して位置するように構成されている。
【0019】
また、屋外部材11Aの立上り片部23上端部、つまり係合凹部24に対して他方の対向面部27側に離隔した位置には、鉤形に折り曲がった被係止部231が形成される。従って、被係止部231は、一方側端部351との距離よりも他方側端部352との距離の方が短くなる位置に形成されている。一方、屋内部材11Bにおける係止片部33の屋外側先端には、上方に折れ曲がった係止部331が形成されている。これらの係止部331と被係止部231とは、互いに係止されることにより屋外部材11Aと屋内部材11Bとが見込み方向に移動規制され、このような係止状態から当該係止位置を中心として、図3(B)に示すように、屋内部材11Bの下端側を屋外側に回動させることで、係合凹部24に係合凸部32が挿入されて係合し、これにより屋外部材11Aと屋内部材11Bとが連結されるようになっている。また、この連結の際、係合凸部32の交差部35が係合凹部24の突起部29に摺接して上方に付勢されることで、延出部34や屈曲部36が弾性変形しつつ係合凸部32が係合凹部24に挿入され、一方側端部351が突起部29を超えることで復帰した一方側端部351が突起部29に係合することで、がたつきなく屋外部材11Aと屋内部材11Bとが連結できるようになっている。
【0020】
また、屋外部材11Aの屋外側見付け面部22の下端部には、屋内側に突出した突出片221が形成され、屋内部材11Bの屋内側見付け面部31の下端部には、屋外側に突出したヒレ状の止水片311が軟質樹脂で形成されている。そして、屋外部材11Aと屋内部材11Bとが連結された状態において、突出片221と止水片311とで複層ガラス15の上端縁を保持できるようになっており、すなわち、上框11における屋外側見付け面部22と屋内側見付け面部31との間に下方に開口したガラス保持部11Cが形成されるようになっている。また、ガラス保持部11Cによって複層ガラス15を保持した状態において、屋外側からの風圧力等の荷重が複層ガラス15に作用した場合に、この荷重を屋内部材11Bで支持することとなる。この際、図4に示すように、屋内側に押された屋内部材11Bにおける係合凸部32の交差部35の一方側端部351が屋外部材11Aの係合凹部24の突起部29に引っ掛かっているので、この突起部29と一方側端部351との係合位置を支点にして交差部35が回動するとともに、屈曲部36が伸びるように弾性変形することとなる。そして、回動した交差部35の他方側端部352が係合凹部24の他方の対向面部27に当接して互いに押圧され、係合凹部24内部で交差部35が突っ張るとともに、延出部34および屈曲部36に生じる引っ張り力によって前記荷重に抵抗できるようになっている。
【0021】
次に、図5に基づいて、枠材としての縦框13の構造、および縦框13における屋外部材13Aと屋内部材13Bとの連結構造について説明する。ここで、屋内部材13Bによって本発明の第1部材が構成され、屋外部材13Aによって本発明の第2部材が構成されている。
屋外部材13Aは、略矩形中空状の本体部41と、この本体部41の屋外側端部から見付け方向内側(複層ガラス15を保持する開口中央側)に延びる屋外側見付け面部42と、本体部41の屋内側面途中位置から屋内側に突出した案内片43と、本体部41の屋内側かつ見付け方向内側の角部にて屋内側に開口した係合凹部44とを有して形成されている。一方、屋内部材13Bは、屋内空間に面して見付け方向に延びる屋内側見付け面部51と、この屋内側見付け面部51の途中位置から屋外部材13Aに向かって突出した係合凸部52と、屋内側見付け面部51の見付け方向外側(図2に示す縦枠8側)の端部近傍から屋外側に突出した係止片部53と、係合凸部52と係止片部53との間で屋内側見付け面部51から屋外側に突出した被案内片57とを有して形成されている。
【0022】
係合凹部44は、上框11の係合凹部24と同様に、開口部45から屋外側に延びる一方および他方の対向面部46,47と、底面部48と、突起部49とを有して形成されている。係合凸部52は、上框11の係合凸部32と同様に、延出部54と、交差部55と、屈曲部56とを有して形成されている。そして、交差部55は、屈曲部56から見付け方向内側かつ屋内側に延びて延出部34と鋭角を成す側の先端である一方側端部551と、屈曲部56から見付け方向外側かつ屋外側に延びて延出部54と鈍角を成す側の先端である他方側端部552とを有して形成されている。そして、図5(A)に示すように、係合凹部44に係合凸部52を挿入した状態において、一方側端部551が係合凹部44の突起部49に係合可能に構成され、この係合状態において他方側端部552が係合凹部44の他方の対向面部47と所定の間隔を介して位置するように構成されている。
【0023】
また、屋外部材13Aの本体部41における屋内側かつ見付け方向外側の角部には、屋内側に鉤状に折れ曲がった被係止部431が形成され、一方、屋内部材13Bにおける係止片部53の屋外側先端には、見付け方向外側に折れ曲がった係止部531が形成されている。これらの係止部531と被係止部431とは互いに係止され、このような係止状態から当該係止位置を中心として、図5(B)に示すように、屋内部材13Bの見付け方向内端側を屋外側に回動させることで、係合凹部44に係合凸部52が挿入されて係合し、これにより屋外部材13Aと屋内部材13Bとが連結されるようになっている。また、この連結の際、屋内部材13Bの被案内片57が屋外部材13Aの案内片43に摺接して案内されることで、屋外部材13Aに対して屋内部材13Bが見付け方向外側かつ屋外側に移動しないようになっているとともに、係合凸部52の一方側端部551が係合凹部44の突起部49に係合することで、がたつきなく屋外部材13Aと屋内部材13Bとが連結できるようになっている。
【0024】
また、屋外部材13Aの屋外側見付け面部42の見付け方向内側端部には、屋内側に突出した突出片421が形成され、屋内部材13Bの屋内側見付け面部51の見付け方向内側端部には、屋外側に突出したヒレ状の止水片511が形成され、これらの突出片421と止水片511とで複層ガラス15の側端縁を保持できるようになっている。そして、保持した複層ガラス15に屋外側から荷重が作用した場合、上框11の係合凹部24および係合凸部32と同様に、屋内部材13Bにおける係合凸部52の交差部55が、突起部49に係合された一方側端部551を支点にして回動し、回動した交差部55の他方側端部552が係合凹部44の他方の対向面部47に当接して突っ張ることとなる。さらに、係合凹部44内部で突っ張った交差部55に対して屈曲部56が伸びるように弾性変形するとともに、延出部54および屈曲部56の引っ張り力によって荷重に抵抗できるようになっている。
【0025】
以上のような本実施形態によれば、互いに連結された屋外部材11A,13Aと屋内部材11B,13Bとを引き離す方向の荷重(引き離し力)が作用した場合に、係合凹部24,44の内部で交差部35,55が突っ張ることで、係合凹部24,44から係合凸部32,52が抜け出すことが防止できる。そして、係合凸部32,52の延出部34,54や屈曲部36,56は、引っ張り力によって荷重に抵抗することになるため、これらの曲げ剛性によって係合を維持するような従来の連結構造と比較して、連結強度を高めることができる。従って、係合凸部32,52の断面を拡大しなくても十分な連結強度が得られることから、屋外部材11A,13Aと屋内部材11B,13Bとを組み立てる際に、係合凸部32,52を弾性変形させつつ係合凹部24,44に挿入するための力が小さくでき、組立性を向上させることができる。また、組立時には、複層ガラス15をセットした状態において、屋外部材11A,13Aの被係止部231,431に屋内部材11B,13Bの係止部331,531を引っ掛けてから屋内部材11B,13Bを屋外側に回動させ、係合凸部32,52を係合凹部24,44に挿入して交差部35,55の一方側端部351,551を突起部29,49に係合させるだけで屋外部材11A,13Aと屋内部材11B,13Bとを連結することができ、組立性をさらに向上させることができる。
【0026】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態において、建具の一例として引違い窓1を例示したが、本発明の建具は、引違い窓1に限らず、開き窓や片引き窓等の適宜な開閉形式の窓でもよいし、開閉不能な嵌め殺し窓でもよく、さらに、本発明の建具は、出入り口に設けられるドアや折れ戸、引き戸などであってもよい。
また、前記実施形態において、引違い窓1の障子3,4を構成する枠材としての上框11、下框12および左右の縦框13,14のうち、上框11と縦框13に本発明の連結構造を用いたが、同様の連結構造を下框12および縦框14に適用してもよい。ここで、下框の場合、前述した上框の説明において上下の方向性が反転することになる。さらに、面材としての障子3,4に限らず、枠体としての窓枠2を構成する上枠6や下枠7、縦枠8に本発明の連結構造を適用してもよい。
【0027】
また、前記実施形態では、第1部材としての屋内部材11B,13Bを樹脂製部材で構成し、第2部材としての屋外部材11A,13Aをアルミ形材製としたが、これに限らず、第1部材や第2部材の材質は適宜に選択可能である。さらに、前記実施形態では、第1部材を屋内部材11B,13Bとし、第2部材を屋外部材11A,13Aとしたが、これに限らず、第1部材を屋外部材11A,13Aとして係合凸部を形成し、第2部材を屋内部材11B,13Bとして係合凹部を形成してもよい。また、第1部材および第2部材の組み合わせは、屋内部材と屋外部材とに限らず、室内外等、任意の位置に用いられる部材同士の組み合わせとすることができる。
また、前記実施形態では、第1部材としての屋内部材11B,13Bに1個の係合凸部32,52と1個の係止部331,531とを形成し、第2部材としての屋外部材11A,13Aに1個の係合凹部24,44と1個の被係止部231,431とを形成したが、係止部331,531や被係止部231,431は省略可能である。さらに、第1部材および第2部材にそれぞれ2個以上の係合凸部および係合凹部を形成してもよい。
【0028】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0029】
1…引違い窓(建具)、2…窓枠(枠体)、3,4…障子(面材)、11…上框(枠材)、13…縦框(枠材)、11A,13A…屋外部材(第2部材)、11B,13B…屋内部材(第1部材)、24,44…係合凹部、25,45…開口部、26,27,46,47…対向面部、29,49…突起部、32,52…係合凸部、34,54…延出部、35,55…交差部、36,56…屈曲部、231,431…被係止部、331,531…係止部、351,551…一方側端部、352,552…他方側端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材とを互いに連結させる連結構造であって、
前記第1部材には、前記第2部材に向かって突出する係合凸部が形成され、前記第2部材には、前記係合凸部を受け入れ可能な係合凹部が形成され、
前記係合凸部は、前記第1部材から前記係合凹部の内方に向かって延びる延出部と、この延出部の先端に交差して設けられる交差部とを有して形成され、
前記係合凹部は、その開口部から内方に延びて互いに対向する一方および他方の対向面部と、当該一方の対向面部の開口部側に設けられる突起部とを有して形成され、
前記係合凸部が前記係合凹部内に挿入された状態において、前記交差部の一方側端部が前記突起部に係合されるとともに、前記第1部材と第2部材とを引き離す方向の力が作用した場合において、前記一方側端部を支点にして前記交差部が回動することで、当該交差部の他方側端部が前記他方の対向面部に当接可能に構成された連結構造。
【請求項2】
前記係合凸部の前記交差部は、前記一方側端部に向かって前記延出部と鋭角に交わるとともに、前記他方側端部に向かって前記延出部と鈍角に交わって形成されている請求項1に記載の連結構造。
【請求項3】
前記延出部の先端には、一方側に屈曲した屈曲部が形成され、この屈曲部の先端に前記交差部が設けられている請求項2に記載の連結構造。
【請求項4】
前記第1部材および第2部材における前記係合凸部および係合凹部から離隔した位置には、互いに係止可能な係止部および被係止部が形成され、
前記係止部を被係止部に係止させるとともに、この係止位置を支点にして前記第1部材と第2部材とを相対回転させ、前記係合凸部を前記係合凹部に挿入して前記交差部の一方側端部を前記突起部に係合させることで、当該第1部材と第2部材とが連結される請求項1から請求項3のいずれかに記載の連結構造。
【請求項5】
前記係止部および被係止部は、前記一方側端部との距離よりも前記他方側端部との距離の方が短い位置に設けられている請求項4に記載の連結構造。
【請求項6】
枠体と、この枠体に支持される面材とを備えた建具であって、
前記枠体を構成する枠材および前記面材を構成する枠材の少なくとも1つの枠材は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の連結構造で連結された第1部材および第2部材を有して構成されている建具。
【請求項7】
前記第1部材は、係合凸部が形成された樹脂製の屋内部材であり、前記第2部材は、係合凹部が形成された金属製の屋外部材である請求項6に記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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