説明

連結機構付入浴装置

【課題】 搬送車が浴槽に確実に連結でき、担架が浴槽から転落しない安全な連結機構付入浴装置を提供することにある。
【構成】 浴槽3と搬送車2と担架4とからなり、浴槽3と搬送車2の間には浴槽3と搬送車2を連結する連結機構28が設けられ、連結機構28は、浴槽3と搬送車2を係止したうえ搬送車2を浴槽3方向へ移動させる移動機構35を有し、入浴に際し搬送車2を浴槽3に連結する時、介助者が搬送車2を浴槽3に接近させると、搬送車2が浴槽3に引き寄せられて連結できることを特徴とする連結機構付入浴装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者や要介護老人等(以下入浴者という)を入浴させる連結機構付入浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の特許文献1は、浴槽側に連結バーが設けられ、ストレッチャー側にストッパが設けられる。
ストッパを連結バーに押し当てるとストッパが連結バーに引っ掛かり、レバーをもって押し上げると、ストッパが連結バーから外れる。
【特許文献1】特開2003―339816号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の特許文献1には、連結ミスを防ぐための特別な構成は無いから、引っ掛け操作が不確実の時、担架4がストレッチャーから転落する危険があり、確実に連結できるものが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、搬送車が浴槽に確実に連結でき、担架が浴槽から転落しない安全な連結機構付入浴装置を提供することにある。
即ち、本発明は、浴槽3と搬送車2と担架4とからなり、浴槽3と搬送車2の間には浴槽3と搬送車2を連結する連結機構28が設けられ、連結機構28は、浴槽3と搬送車2を係止したうえ該搬送車2を浴槽3方向へ移動させる移動機構35を有し、入浴に際し搬送車2を浴槽3に連結する時、介助者が搬送車2を浴槽3に接近させると、搬送車2が浴槽3に引き寄せられて連結できることを特徴とする連結機構付入浴装置である。
又、浴槽3に、浴槽3の短手方向に往復移動できる一方係止具34と、一方係止具34を浴槽3の短手方向に往復移動させる進退機構37とが設けられ、搬送車2に一方係止具34に係止できる他方係止具29が設けられる。
更に、浴槽3に、進退機構37を制御する制御回路9と、一方係止具34及び進退機構37を支持する基枠5とが設けられ、一方係止具34に、他方係止具29が一方係止具34へ係止されたことを検出する係止センサー42が設けられ、基枠5に、他方係止具29が浴槽3内側へ引き込まれたことを検出する退入センサー43が設けられ、制御回路9は、係止センサー42と退入センサー43の信号を得て、進退機構37をシーケンス制御する。
更に又、基枠5に、浴槽3内側へ引き寄せられた他方係止具29を囲う囲い部39が形成され、囲い部39は、他方係止具29を囲って他方係止具29の解除方向への移動を規制し、他方係止具29が一方係止具34に係止された係止状態を維持するロック機構40である。
或いは、搬送車2に安全鉤片55が付加設置され、浴槽3の基枠5に起立片54が形成され、移動機構35により搬送車2が浴槽3に引き寄せられると、安全鉤片55は起立片54に係止し、安全鉤片55による係止作用と他方係止具29による係止作用とで、搬送車2を浴槽3へ二重係止する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、浴槽3と搬送車2と担架4とからなり、浴槽3と搬送車2の間には浴槽3と搬送車2を連結する連結機構28が設けられ、連結機構28は、浴槽3と搬送車2を係止したうえ該搬送車2を浴槽3方向へ移動させる移動機構35を有し、入浴に際し前記搬送車2を浴槽3に連結する時、介助者が搬送車2を浴槽3に接近させると、搬送車2が浴槽3に引き寄せられて連結できるから、浴槽3と搬送車2を、安心して確実に連結でき、好都合である。
又、移動機構35が最終段階の連結を行なうので、省力化にもなり、初心者でも容易に連結でき、好都合である。
【0006】
本発明は、浴槽3に、浴槽3の短手方向に往復移動できる一方係止具34と、一方係止具34を浴槽3の短手方向に往復移動させる進退機構37とが設けられ、搬送車2に前記一方係止具34に係止できる他方係止具29が設けられる。
上記構成は、搬送車2を浴槽3の短手方向に浴槽3側へ引き寄せるものであるから、前記進退機構37を簡単に構成でき、製作が容易となり、好都合である。
又、進退機構37は直線的に引っ張るので搬送車2は円滑に移動でき、好都合である。
【0007】
本発明は、浴槽3に制御回路9と基枠5とが付加設置され、進退機構37の一方係止具34に、他方係止具29の載置を検出する係止センサー42が設けられ、基枠5に、他方係止具29の引き込みを検出する退入センサー43が設けられ、前記進退機構37はその退入作動が制御回路9によりシーケンス制御されるから、浴槽3と搬送車2の連結が、円滑に所定の順序で行なわれ、誤操作無く確実に連結でき、又、介助者の手数が省け、好都合である。
【0008】
本発明に係る基枠5に、浴槽3内側へ引き寄せられた他方係止具29を囲う囲い部39が形成され、囲い部39は、他方係止具29を囲って該他方係止具29の解除方向への移動を規制し、他方係止具29が一方係止具34に係止された係止状態を維持するロック機構40であるから、連結操作後は、他方係止具29が一方係止具34に係止状態にロックされ、衝撃等のため連結操作後に連結が外れるといったことも起きず、連結操作後に連結が外れるといったことが起きず安全であり、好都合である。
また、引き寄せ作用の遂行と同時に、他方係止具29の動きをロックできるので、ロック機構40の構成が簡単であり、また、能率よくロックを行なえ、好都合である。
【0009】
本発明は、搬送車2に安全鉤片55が付加設置され、浴槽3の基枠5に起立片54が形成され、移動機構35により搬送車2が浴槽3に引き寄せられると、前記安全鉤片55は起立片54に係止し、安全鉤片55による係止作用と他方係止具29による係止作用とで、搬送車2を浴槽3へ二重係止するから、連結外れを抑制でき、担架4を浴槽3と搬送車2間を安全に移乗でき、不本意の連結外れによる担架4の転落事故を無くし、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
搬送車2が浴槽3に確実に連結でき、担架4が浴槽3から転落しない安全な連結機構付入浴装置1を、浴槽3と搬送車2と担架4とからなり、浴槽3と搬送車2の間には浴槽3と搬送車2を連結する連結機構28が設けられ、連結機構28は、浴槽3と搬送車2を係止したうえ該搬送車2を浴槽3方向へ移動させる移動機構35を有し、入浴に際し前記搬送車2を浴槽3に連結する時、介助者が搬送車2を浴槽3に接近させると、搬送車2が浴槽3に引き寄せられて連結できるものとして、実現した。
【実施例1】
【0011】
図1、2、3、4、5に本発明の連結機構付入浴装置1の実施例1を示しており、図1は実施例1の搬送車2が浴槽3に連結後の正面図、図2は実施例1の搬送車2が浴槽3に連結前の正面図、図3は実施例1の連結機構を示す部分平面図、図4は実施例1の浴槽の右側面図、図5は電気的構成のブロック図である。実施例1は、浴槽3と、搬送車2と、担架4とから成る。
【0012】
浴槽3は、内部に湯を溜め、入浴に用いるものである。浴槽3は、浴槽部7と、床に載置される基枠5と、基枠5に載設され浴槽部7を昇降させる昇降機構6と、浴槽部7内にあって担架4を支持する架台8とからなる。基枠5の一方側に、連結機構28が設けられる。更に浴槽3には、湯を供給する湯供給機構10と、湯を排水する湯排水機構11が接続される。又、浴槽3には、前記昇降機構6及び連結機構28を制御する制御回路9が設けられる。
【0013】
昇降機構6は、圧油を、受給・排出して伸縮する昇降油圧シリンダ12と、昇降油圧シリンダ12へ付与する圧油を作る昇降油圧ポンプ13と、昇降油圧シリンダ12へ付与する圧油を制御する昇降電動弁14と、浴槽部7を昇降させるXフレーム15とからなる。
【0014】
架台8は、担架4を載せるものであり、基枠5に立設され浴槽部7の底壁16の中央を貫通する支柱17と、支柱17の頂部に設けられる枠体18と、枠体18に載設され担架4をロックする担架ロック機構19と、枠体18に載設される担架4を走行可能に載せるレール20とからなる。
【0015】
架台8の平面視左右方向(=横方向)の中央上部に、架台8上の担架4をロック(=掛止)する担架ロック機構19が設けられ、該担架ロック機構19は、浴槽3上の中央位置に移乗された担架4を架台8へロックし担架4の横移動を規制するものである。
担架ロック機構19は、架台8に載設される受板21と、担架4側に設けられる突起片22及び該突起片22を下方へ付勢するコイルバネ23とで成る。受板21には突起片22が嵌入する穴24が開設される。
【0016】
搬送車2は、担架4を載せこれを運搬するものであり、搬送車2の上部には搬送車レール25が設けられ、下部には車輪61が設けられる。
搬送車2の下方部には、前記連結機構28が設けられ、該連結機構28は他方係止具29である。
搬送車2の上部前後には該搬送車2を移動操作する際に掴むハンドル26が設けられ、該ハンドル26には、前記他方係止具29とアウター付ワイヤー30で連結された解除レバー31が設けられる。
搬送車レール25は、搬送車2を浴槽3に連結すると、浴槽3のレール20と平面視一直線状に、且つ同高に合うように構成される。
搬送車2には搬送車受板32が載設されており、該搬送車受板32は担架4を、搬送車2の横方向(=横断方向)中央位置で該搬送車2に掛止する板であり、担架ロック機構19を構成するものである。
【0017】
浴槽3と搬送車2の間には、浴槽3と搬送車2を連結する連結機構28が設けられる。
連結機構28の一方は、浴槽3の基枠5に設けられる一方係止具34、及び該一方係止具34を浴槽3の短手方向(=横方向)へ移動させる移動機構35である。一方係止具34は鉤突起部36を有する。
連結機構28の他方は、搬送車2の下枠33に設けられる他方係止具29である。他方係止具29はその先部が上方へ回動可能に下枠33に設けられる。
他方係止具29の先部は、搬送車2に設けられるアウター付ワイヤー30の引っ張り操作により上方へ回転する。
前記他方係止具29は鉤穴受部38を有し、鉤穴受部38はその先部が前記鉤突起部36に引っ掛かると搬送車2が浴槽3に掛止される。
【0018】
移動機構35は、浴槽3に連結した搬送車2を浴槽3側へ引き寄せるものであり、具体例では進退機構37である。
【0019】
進退機構37は浴槽3側下方部に設けられる。進退機構37は、浴槽3に設けられた基枠5で支持され、浴槽3の短手方向へ往復移動するものである。
進退機構37は、一方係止具34を浴槽3外側へ進出し、或いは、一方係止具34を浴槽3内側へ退入するものである。
進退機構37は、進出中の一方係止具34に他方係止具29を係止させ後、一方係止具34を他方係止具29と共に浴槽3内側へ退入させ、他方係止具29を引き寄せるものである。
進退機構37は、具体例では油圧シリンダー50であり、そのシャフトは適宜操作により進退移動する。他の具体例として、電動アクチュエーターを用いてもよい。
【0020】
ハンドル26には解除レバー31が設けられており、鉤穴受部38はその先部が解除レバー31の握り操作で上動し、鉤穴受部38の先部が鉤突起部36から外れ、搬送車2が浴槽3から連結解除される。
【0021】
基枠5には、浴槽3内側へ引き寄せられた他方係止具29を囲う囲い部39が形成される。
囲い部39は、他方係止具29の解除方向への移動を規制するロック機構40である。即ち、他方係止具29が浴槽3側へ引き寄せられている時に、囲い部39は、他方係止具29の解除方向への移動(=上方向へ回動)を規制し、鉤穴受部38が鉤突起部36に係止された係止状態を維持するものである。
【0022】
移動機構35には他方係止具29の接合状況を検出する接合検出器41が設けられる。
接合検出器41は係止センサー42と退入センサー43である。
該係止センサー42及び退入センサー43は、浴槽3に搬送車2が、連結された時に作動状態となり、この連結が解除された時に非作動状態となる。
【0023】
前記係止センサー42は一方係止具34に設けられ、一方係止具34に他方係止具29が被さり載置された時に作動し、又、他方係止具29が一方係止具34から離間した時(=非載置時)に非作動となるものである。
【0024】
前記退入センサー43は基枠5に設けられ、他方係止具29が一方係止具34に引き寄せられ他方係止具29が退入センサー43に接近した時(=進入時)に作動し、又、他方係止具29が退入センサー43から離間した時に非作動となるものである。
【0025】
担架4は上面に入浴者を乗せ入浴者を入浴させるものである。
該担架4の裏面には、前記担架ロック機構19が設けられ、該担架ロック機構19は担架4を浴槽3の中央で掛止させるものである。
担架4は、入浴時には搬送車2から浴槽3へ移乗させ、退浴時には浴槽3から搬送車2へ移乗させるものである。
【0026】
担架4の側縁部にレバー44が設けられる。前記突起片22はレバー44で、手動で進退操作される。
突起片22が担架4内部方向へ退入した時ロック機能が解除される。即ち、レバー44を握って担架ロック機構19の突起片22を退入させると、担架4は横移動が可能となる。
担架4を横移動させる時には、昇降機構6は、浴槽3の縁上を、架台8の高さよりやや低い下限位置に下降させている。
図1中、45は担架ローラーである。
【0027】
図5の電気的構成を示すブロック図を説明する。
該ブロック図は、操作パネル46に設けられる手動スイッチ群47と、浴槽3側部に設けられる浴槽検出器群49と、接合検出器41と、制御回路9と、報知器48と、昇降機構6と、進退機構37とからなる。
【0028】
操作パネル46に設けられる手動スイッチ群47は、浴槽部7を下降させる下降スイッチ56と、浴槽部7を上昇させる上昇スイッチ57と、搬送車2を浴槽3から離間させる離間スイッチ58とからなる。
【0029】
浴槽3側部に設けられる浴槽検出器群49は、浴槽部7が上昇し上限高さに至った時作動し浴槽部7を停止させる上限検出器59と、浴槽部7が下降し下限高さに至った時作動し浴槽部7を停止させる下限検出器60とからなる。
【0030】
接合検出器41は、前記係止センサー42と、前記退入センサー43とからなる。
【0031】
制御回路9は、操作パネル46に設けられ、前記手動スイッチ群47と、前記浴槽検出器群49と、前記接合検出器41との信号を得て、一方係止具34を進退させる進退機構37と、浴槽3を昇降させる昇降機構6と、報知器48とを制御するものである。
【0032】
進退機構37は前記制御回路9でシーケンス制御されるものである。即ち、前記制御回路9は、油圧ポンプ51及び電動弁53を制御し、油圧シリンダー50を伸縮させて、一方係止具34を進退させるものである。
電動弁53は、油圧ポンプ51と油圧シリンダー50との間に設けられ、油圧ポンプ51で加圧した油を油圧シリンダー50へ注入・排出の制御をなし、油圧シリンダー50を伸縮させるものである。
係止センサー42は他方係止具29の載置を検出するものであり、退入センサー43は他方係止具29が引き込まれたことを検出するものであり、制御回路9は、係止センサー42と退入センサー43の信号を得て、一方係止具34の退入作動をシーケンス制御するものである。
退入センサー43が反応した時、報知器48から連結完了を表示する音声が発生される。
【0033】
更に、制御回路9は昇降機構6を制御し浴槽部7を昇降させるものである。即ち、制御回路9は、昇降油圧ポンプ13及び昇降電動弁14を制御し、昇降機構6を制御し、浴槽部7を昇降させる。
【0034】
入浴する時、上昇スイッチ57を押し、浴槽部7を上昇指示すると、制御回路9は、浴槽部7が上限高さで停止するよう昇降機構6を制御する。
退浴する時、下降スイッチ56を押し、浴槽部7を下降指示すると、制御回路9は、浴槽部7が下限高さで停止するよう昇降機構6を制御する。
【0035】
報知器48は、浴槽部7が昇降中である時に報知信号を発生し周囲の人に浴槽部7が昇降中であることを知らせ、介助者その他の者が浴槽3と衝突するのを防止し、安全を図るものである。
【0036】
実施例1を使用する際は、浴槽3に湯を入れる。介助者は、脱衣した入浴者を搬送車2上の担架4に乗せ浴槽3近くへ搬送する。
【0037】
前記搬送車2を浴槽3側部に接近させる。一方係止具34に他方係止具29を係止する。
移動機構35を構成する進退機構37は、一方係止具34を浴槽3内側へ退入させ、一方係止具34で、他方係止具29及び搬送車2を引き寄せる。
【0038】
制御回路9は接合検出器41の信号を得て進退機構37をシーケンス制御する。具体的には、一方係止具34の退入作動が制御回路9によりシーケンス制御される。
詳しくは、介助者が搬送車2を浴槽3に接近させ、搬送車2の他方係止具29を浴槽3の鉤突起部36に当接させ、更に進めて、一方係止具34に他方係止具29を載置し、鉤穴受部38を鉤突起部36に掛ける。
【0039】
前記載置により、係止センサー42が作動し、該作動により、油圧ポンプ51及び電磁弁53が作動し、油圧シリンダー50が縮小する。
前記縮小により、油圧シリンダー50の先端に引っ張られて一方係止具34が退入し、一方係止具34に被さり係止された他方係止具29を浴槽3内側へ引き寄せる。
他方係止具29と同時に搬送車2が浴槽3の内方向へ引き寄せられる。
該他方係止具29が浴槽3内側へ引き寄せられると退入センサー43が作動する。該作動により、電動弁53が作動し油圧シリンダー50が停止する。
【0040】
上述のように、他方係止具29が浴槽3内側へ引き寄せられると、ロック機構40により他方係止具29は移動不自在状態(=ロック状態)になる。
即ち、他方係止具29の直上を囲い部39が囲い、他方係止具29は解除方向への移動が不可能状態となる。
他方係止具29は、一方係止具34に引き寄せられている間は一方係止具34に係止された係止状態を維持する。
【0041】
前述の引き寄せ作動をもって浴槽3に搬送車2を連結する。この連結下では、レール20と搬送車レール25とが直線状に同高に一致する。担架4は、搬送車レール25からレール20へ移乗可能であり、或いは、レール20から搬送車レール25へ移乗可能である。
【0042】
搬送車2上の担架4を、浴槽3の架台8へ移乗させる。担架4が架台8の中央まで移動し、架台8の中央に至ると、担架ロック機構19が作動し、担架4が架台8に係止される。前記係止は、担架ロック機構19の突起片22がコイルバネ23力で穴24に嵌入して行なわれる。
【0043】
次に、上昇スイッチ57を操作し、浴槽3を上昇させ、架台8に底壁16を接近させる。架台8に載った担架4及び入浴者を浴槽3内の湯に浸け、入浴を行なう。
介助者は、浴槽3の側壁52の外側から入浴者の介助を行なう。
【0044】
所定時間が経過すると退浴する。退浴時は、浴槽3を下降させる。浴槽部7は下限高さまで降りる。担架4及び入浴者を浴槽3内の湯から出す。
【0045】
上昇スイッチ57を操作して浴槽3を上限高さまで上昇させると、報知器48が報知信号を発生し、浴槽3が上昇中であることを報知する。また、下降スイッチ56を操作して浴槽3を下限高さまで下降させる時も上記同様に、報知器48が報知信号を発生し、浴槽3が下降中であることを報知する。
【0046】
搬送車2を浴槽3から離している場合は、該搬送車2を浴槽3へ連結する。
浴槽3に搬送車2が連結していることを確認したうえ担架ロック機構19を解除する。担架4の突起片22は下方に進出して架台8に係止しているが、この突起片22を、レバー44を操作して上方へ退入させ、ロック機能を解除する。
【0047】
担架4を横移動させ、浴槽3から搬送車2へ移乗する。
次に、搬送車2を浴槽3から離間する。その際、離間スイッチ58を押すと、一方係止具34は他方係止具29を浴槽3外方向へ押し出す。前記離間スイッチ58は、搬送車2を浴槽3から離間させるものである。
【0048】
詳しくは、離間スイッチ58を押すと、進退機構37の油圧シリンダー50が伸長し、一方係止具34が浴槽3外方へ進出する。他方係止具29と共に搬送車2は浴槽3から離間する。他方係止具29が浴槽3外方向へ移動すると、囲い部39から離脱しロックが解除される。
【0049】
次に、解除レバー31を操作し、他方係止具29を図1では軸62を中心に右回り方向へ回動させて一方係止具34から外し、搬送車2を浴槽3から連結解除する。
上記解除後、搬送車2を所望位置へ走行させる。入浴者を所望の場所へ搬送し、担架4からベッド(図示省略)等へ降ろし、入浴を終わる。
【実施例2】
【0050】
図6、7に示す実施例2は、実施例1の浴槽3の基枠5に起立片54を付加設置し、搬送車2に安全鉤片55を追加設置したものである。
【0051】
実施例2は、浴槽3の基枠5に起立片54が形成される。油圧シリンダー50には、ロッド64を伸展方向(=浴槽3の外部方向であり搬送車の在る方向)に付勢する伸展バネ27が付加設置される。
搬送車2の下枠33に支持片62が立設され、この支持片62に安全鉤片55が回動可能に付加設置される。安全鉤片55は浴槽3の前記起立片54に係止可能である。
安全鉤片55及び他方係止具29は、アウター付ワイヤー30で引っ張られて、図6では軸62を中心にいずれも右回転する。
【0052】
浴槽3に搬送車2を連結する際、先ず、解除レバー31を操作し、浴槽3の一方係止具34に搬送車2の他方係止具29を係止する。
次に、浴槽3の一方係止具34を退入させると、搬送車2が浴槽3に引き寄せられる。
前述の引き寄せ時に、安全鉤片55は浴槽3に接近し起立片54に被さる。安全鉤片55が起立片54に被さると、該安全鉤片55はばね(図示省略)力で起立片54に係止する。
実施例2では、一方・他方係止具34、29でなる係止機構と、安全鉤片55と起立片54でなる係止機構との二個係止機構で、搬送車2は浴槽3へ二重係止される。
【0053】
搬送車2を浴槽3から連結解除する際は、離間スイッチ58を押す。離間スイッチ58を押すことによって制御回路9及び電動弁53が作動し、油圧シリンダー50が伸長可能な自由状態となる。その自由状態下で介助者は解除レバー31を握り、他方係止具29及び安全鉤片55を回動させて両係止作用を解除する。
その際、先ず、他方係止具29を回動させて一方係止具34から解除し、次に、解除レバー31を更に握り進め、安全鉤片55を回動させて起立片54から解除する。上述のように二段階操作で前記二個係止機構を解除する。
前記二個係止機構の解除を二段階操作で行うことにより、搬送車2が浴槽3から誤操作で解除されるのを減らしている。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、浴槽3と搬送車2と担架4とからなり、浴槽3と搬送車2の間には浴槽3と搬送車2を連結する連結機構28が設けられ、連結機構28は、浴槽3と搬送車2を係止したうえ該搬送車2を浴槽3方向へ移動させる移動機構35を有し、入浴に際し前記搬送車2を浴槽3に連結する時、介助者が搬送車2を浴槽3に接近させると、搬送車2が浴槽3に引き寄せられて連結できるものであって、搬送車2が浴槽3に確実に連結でき、担架4が浴槽3から転落しない安全な連結機構付入浴装置1に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例1の連結後の正面図である。
【図2】本発明の実施例1の連結前の正面図である。
【図3】本発明の実施例1の連結前の平面図である。
【図4】本発明の実施例1の浴槽の右側面図である。
【図5】本発明の実施例1のブロック図である。
【図6】本発明の実施例2の連結後の正面図である。
【図7】本発明の実施例2の連結前の正面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 連結機構付入浴装置
2 搬送車
3 浴槽
4 担架
5 基枠
9 制御回路
28 連結機構
29 他方係止具
34 一方係止具
35 移動機構
37 進退機構
39 囲い部
40 ロック機構
42 係止センサー
43 退入センサー
54 起立片
55 安全鉤片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽3と搬送車2と担架4とからなり、浴槽3と搬送車2の間には浴槽3と搬送車2を連結する連結機構28が設けられ、連結機構28は、浴槽3と搬送車2を係止した上搬送車2を浴槽3方向へ移動させる移動機構35を有し、
入浴に際し搬送車2を浴槽3に連結する時、介助者が搬送車2を浴槽3に接近させると、搬送車2が浴槽3に引き寄せられて連結できることを特徴とする連結機構付入浴装置。
【請求項2】
浴槽3に、浴槽3の短手方向に往復移動できる一方係止具34と、一方係止具34を浴槽3の短手方向に往復移動させる進退機構37とが設けられ、
搬送車2に一方係止具34に係止できる他方係止具29が設けられることを特徴とする請求項1記載の連結機構付入浴装置。
【請求項3】
浴槽3に、進退機構37を制御する制御回路9と、一方係止具34及び進退機構37を支持する基枠5とが設けられ、一方係止具34に、他方係止具29が一方係止具34へ係止されたことを検出する係止センサー42が設けられ、基枠5に、他方係止具29が浴槽3内側へ引き込まれたことを検出する退入センサー43が設けられ、
制御回路9は、係止センサー42と退入センサー43の信号を得て、進退機構37をシーケンス制御することを特徴とする請求項2記載の連結機構付入浴装置。
【請求項4】
基枠5に、浴槽3内側へ引き寄せられた他方係止具29を囲う囲い部39が形成され、
囲い部39は、他方係止具29を囲って他方係止具29の解除方向への移動を規制し、他方係止具29が一方係止具34に係止された係止状態を維持するロック機構40であることを特徴とする請求項2または3記載の連結機構付入浴装置。
【請求項5】
搬送車2に安全鉤片55が付加設置され、浴槽3の基枠5に起立片54が形成され、移動機構35により搬送車2が浴槽3に引き寄せられると、安全鉤片55は起立片54に係止し、
安全鉤片55による係止作用と他方係止具29による係止作用とで、搬送車2を浴槽3へ二重係止することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の連結機構付入浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−220685(P2008−220685A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64003(P2007−64003)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】