連結装置および当該連結装置に用いられる回転金具
【課題】杭との連結と切り離しを容易に行なえる連結装置であって、繰り返し使用しても変形することのない連結装置を提供する。
【解決手段】杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭1と杭吊り具2との間に連結して使用される連結装置3であって、連結装置本体6の外周部に突設された一対の突起7a,7b間に突出した杭頭部に突設された連結突片8の連結孔8aに回転金具9を挿通し、前記一対の突起7a,7bより上側に突出された連結突片8の連結孔8aの上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能にする。
【解決手段】杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭1と杭吊り具2との間に連結して使用される連結装置3であって、連結装置本体6の外周部に突設された一対の突起7a,7b間に突出した杭頭部に突設された連結突片8の連結孔8aに回転金具9を挿通し、前記一対の突起7a,7bより上側に突出された連結突片8の連結孔8aの上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭などの既製杭の頭部を地表面より下方に位置させて沈設する際に、杭と杭吊り具との間に使用される連結装置に関し、更に当該連結装置に用いられる回転金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基礎杭などをその杭頭部を地表面より下方に位置させて地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置(「矢蛸」または「雇い杭」と称せられる装置)に関して既に種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図8に示すように、杭吊り具(図省略)に取り付けられる連結装置30に回動自在に取り付けられた回動盤31を有し、当該回動盤31に大径の遊挿溝31aとこれより小径の係合溝31bを互いに連設して設け、杭頭部32に突設されたボルト33のボルト頭部を前記遊挿溝31aに挿通した後、斜視図で示す図8(a)や正面図で示す図8(b)に矢印Rで示される方向に回動盤31を回転させて図8(c)に示すようにボルト頭部33を遊挿孔31aから係合溝31bに移動させることにより、杭と連結装置30とを一体的に連結し、また、図8(d)に示されるように鎖体34aを上方に引っ張ることにより当該鎖体34aの先端に取り付けられた解除部34を回転させ、その先端で回動盤31を先程の回転方向と逆方向に押圧することにより、回動盤31を係合位置から離脱可能な位置(杭頭に設けられたボルト頭部33が大径の遊挿溝31aに来る位置)に回動させて杭との連結状態を解除するように構成された連結装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、図9(a),(b)に示すように、連結装置30の内側に回転自在に取り付けられた引っ掛け板35を有し、当該引っ掛け板35の爪35aを杭頭部32に突設された連結ボルト33のボルト頭部に係合させることにより杭と連結装置30を一体的に連結し、また、引っ掛け板35を当該引っ掛け板35に連結されたレバー引き手36を引き上げることにより、当該引っ掛け板35を回転させて当該引っ掛け板35の爪部35aの係合を解除させ、杭との一体結合を解除するように構成された連結装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、図10に示すように偏心回転体37を連結装置30に回転自在に取り付け、当該偏心回転体37に連結された操作棒38を押し下げて偏心回転体37を回転させ、連結装置30に設けられた係合孔30a部分で偏心回転体37の先端を杭頭部32の外周面に食い込ませることにより杭と連結装置30とを一体的に連結し、また操作棒38を引き上げて偏心回転体37を反対側に回転させ、その先端を杭頭部32の外周面から脱離することにより杭頭部32との一体結合を解除するように構成された連結装置が開示されている。
【0006】
特許文献4と特許文献5には、杭頭部に設けられた透孔部を有する連結突片と連結するための操作部が外側に設けられた連結装置30が開示されており、そのうち特許文献4に開示された連結装置は、図11(a)に全体構造を示し、図11(b),(c)に連結状態を示したように、軸部で回転自在とされたフック状の係止部材39aを有する曲玉状の回転体39を使用し、当該回転体39に連結された操作杆40を下方に押し下げることにより回転体39の係止部39aを杭頭部32の連結突片41の透孔部に挿通させて杭頭部32と連結装置30とを一体的に連結し、またこの状態から杭頭部32と連結装置30との連結を解除するには、操作杆40を上方に引き上げて回転体39を回転させ、係止部39aを連結突片41の透孔部から離脱して解除するように構成されている。そのためには操作杆40は堅固な構造である必要がある。
【0007】
また特許文献5に開示された連結装置は、特許文献4の堅固な操作杆を必要という問題点を解決したものであり、連結装置30の外周側に図12(a)や図13に示す逆C字状の回転フックが使用されている。この逆C字状の回転フック42の下端側のフック部42aを杭頭部32側の連結突片41の透孔部41aに挿通させて杭頭部32と連結装置30とを一体化している。
【0008】
そして、この逆C字状の回転フック42の上端側のフック部42bが図面左側に行かないように連結装置30の外周には縦方向板43が突設されている。そしてこの縦方向板43は図13(b)に示すように、逆C字状の回転フック42の基端側に連結されたワイヤー44を引き上げると、逆C字状の回転フック42は、その上端部のフック部42bを前記の連結装置30の外周に設けられた縦方向板43に押し付けながら回転し、図13(b)に破線で示すように杭頭部側の連結突片41の透孔部41aから離脱されるのである。
【0009】
【特許文献1】特許3626408号公報
【特許文献2】特公昭47−36681号公報
【特許文献3】実用新案登録第2591138号公報
【特許文献4】実用新案登録第3014349号公報
【特許文献5】特許第3693070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に記載された連結装置の場合、杭頭部は地面より下方に位置するため、回動盤を回転させて杭と連結装置との連結を解除するのにかなりの力を加える必要があり、操作が面倒である等の課題があった。 また、大径の遊挿溝とこれより小径の係合溝を有する構造の回動盤を取り付ける必要があるため、複雑な構造になる等の課題があった。
【0011】
特許文献2に記載された装置は、引っ掛け板は図9(a)に示されているように装置本体の内側に取り付けられているため、杭中空部に掘削装置を挿入する中掘り工法には適用できないという課題がある。
【0012】
特許文献3に開示された装置は、操作棒や偏心回転体を杭よりも外側に設ける必要があるため、実用し難いものであった。
【0013】
そして、特許文献4に示された装置は、操作杆の押し引きにより杭と連結装置との連結および連結の解除を行うため、堅固な操作杆と曲玉状の回転体を回転自在に一体的に構成する必要がある。
【0014】
また、一体化状態を維持するためには操作杆を押し下げ状態に保持する必要があり、しかも堅固で長い操作杆が必要になる等の制約があり、杭の上端を地上よりも深い位置に位置させるときには、操作杆に振れや弛みが発生しない堅固な長い操作杆である必要があり、そうでないと誤動作が生じる問題点があった。
【0015】
特許文献5に開示された装置は、特許文献4の堅固な操作杆を必要とするという問題点を解決したものであるが、装置本体の外周に設けられた縦方向の板には、上端部のフック部からの押圧が加えられるため、繰り返しの使用により、この板が変形したり破損したりして初期の目的を発揮できなくなり、逆C字状の回転フックが回転しなくなるおそれがあった。
【0016】
仮に、連結装置を使用して杭を地面より下方に設置し、いざ連結装置を杭から脱離させようとするときに、逆C字状の回転フックが回転できなくなると大変な事態となる。
【0017】
本発明は、上記の従来技術の欠点を解消した連結装置および当該連結装置に用いられる回転金具を提供するものであり、特に特許文献5に置いて必須の構成とされた逆C字状の回転フックを回転させるための装置本体の外周に設けられた縦方向の板を必要としない連結装置および当該連結装置に用いられる回転金具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の連結装置は、杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置において、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起と、該一対の突起間に突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔に挿通できる大きさの回転金具からなり、該回転金具は、前記一対の突起上側に突出された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されてなることを特徴とするものである。
【0019】
請求項2記載の連結装置は、請求項1記載の連結装置において、一対の突起の中で一方の突起はL字状の突起であり、他の一方の突起は前記L字状突起の低い方の突起部と同じ高さであるか、それよりも低い高さであることを特徴とするものである。
【0020】
請求項3記載の連結装置は、請求項1または2記載の連結装置において、杭頭部に突設された連結突片の連結孔への過大な挿入を避けるために回転金具の一部の側面に該回転金具面から突出したストッパーが設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項4記載の連結装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の連結装置において、回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項5記載の回転金具は、杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置に使用される回転金具であって、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起間突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されてなる嵌合部と当該嵌合部の一端に突出されたアーム部とから構成され、該アーム部引き紐が取り付けられてなることを特徴とするものである。
【0023】
請求項6記載の回転金具は、請求項5記載の回転金具において、杭頭部に突設された連結突片の連結孔への過大な挿入を避けるために回転金具の一部の側面に該回転金具面から突出したストッパーが設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項7記載の回転金具は、請求項5または6記載の回転金具において、回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の連結装置によれば、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起と、該一対の突起間に突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔に挿通できる大きさの回転金具からなり、該回転金具は、前記一対の突起上側に突出された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されているので、一対の突起の上側に突出された連結突片の連結孔に回転金具を嵌合することにより連結装置を杭頭部に容易に連結することができ、更に回転金具が杭に設けられた連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されているので、回転金具の回転支点を連結装置本体に設ける必要がなく、繰り返し使用しても装置本体部分に固定した部品が変形したり破損するおそれが無くなる。
【0026】
即ち、杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、初めて連結突片が杭頭部に溶接等により固定されるものであり、連結突片が杭頭部に溶接等により固定された杭は、地中に沈設され、繰り返し使用されるものではなく、連結突片が変形したり破損するおそれがない。
【0027】
また、請求項2に記載した連結装置では、一対の突起の中で一方の突起はL字状の突起であり、他の一方の突起は前記L字状突起の低い方の突起部と同じ高さであるか、それよりも低い高さであるので、回転金具を回転挿入する際に回転金具を挿入されないようにする役目を該L字状突起の高い方の突起が果たすことができる。
【0028】
同様に請求項3に記載した連結装置や請求項6に記載した回転金具では、
回転金具面から突出したストッパーが設けられていることにより、回転金具が連結突片の連結孔内に過大に挿入され過ぎるのを防止することができる。
【0029】
勿論、請求項4や請求項7に記載したように、回転金具の回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていると、回転金具を杭に設けられた連結突片の連結孔の上端部を支点に回転させながら嵌合させた状態で、連結突片の連結孔を越えた場所に設けられた上記の小孔に離脱防止用ストッパーを回転金具面から突出するように挿入することにより、回転金具が杭の沈設中に誤って脱落することなく、施工の安全性が図れる。
【0030】
請求項5に記載した本発明の回転金具は、引き紐を地上部から引くことにより、回転金具が一対の突起上側に突出された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら杭と連結装置との連結状態を開放できるため、連結装置のみを杭吊り具と共に地上に引き上げることが可能になり、連結装置本体や回転金具を繰り返し使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1には上部側に杭吊り具2を連結し、下部側に杭1を連結した状態の本発明に係る連結装置3の一例を示している。また、図2には図1に示した連結装置3と杭吊り具2との連結状態と連結する前の状態を示している。 さらに図3には、図1に示した連結装置3と杭1との連結部を拡大して示している。図4には杭1に連結する直前の連結装置3を示している。このように図1から図4は、本発明の一例の連結装置3を杭1や杭吊り具2との連結状態にて示す図である。
【0032】
また、図5には杭1と連結装置3との連結工程を示し、図6には連結装置3と杭1との連結を解除する工程を示し、図6には杭1から連結装置が脱離した姿を示している。
【0033】
連結装置3は、連結装置本体6(以下「装置本体6」という)と当該装置本体6の下端外周に突設された一対の突起(即ち、連結突起7a,7b)と、当該一対の突起(即ち、連結突起7a,7b)間に挿入された杭頭に突設された連結突片8の連結孔8aに挿入して杭1と連結するための回転金具9とから構成されている。
【0034】
装置本体6は杭1よりやや小径の鋼管から構成され、下端部周囲に設けられた一対の連結突起7a,7bは、図1に示すように少なくとも装置本体6の直径方向に対峙して設けられている。
【0035】
また図示した連結装置3では、装置本体6の上端部には、杭吊り具2の把持部4,4が嵌合するように、嵌合溝部6aが円周方向に連続して形成されている。
【0036】
図の例では、杭吊り具2は連結装置3の上端部を両側から把持する一対の把持部4,4を備え、各把持部4,4には当該把持部4,4を前記嵌合溝部6aと嵌合状態と離脱状態に移動させるための油圧シリンダー5,5がそれぞれ取り付けられている。
【0037】
このように図示した例では、図2(b)に示したように、連結装置3の上端部に杭吊り具2を設置し、油圧シリンダー5,5を作動させて、図2(a)に示すように装置本体6の嵌合溝部6aを把持部4,4によって両側から強く挟み込んで杭吊り具2と連結装置3が連結できるようになっている。なお、杭吊り具2と連結装置3との連結は、図示した例以外に周知の連結方法を適用できる。
【0038】
装置本体6の下端外周に突設された一対の連結突起7aと7bの中で、特に連結突起7aは図4に示したように上方向(杭吊り具2側)に立ち上がる立ち上がり部7cを有し、全体としてほぼL字状に形成され、一方、連結突起7bは上端部が平坦な直方体に形成されている。
なお、連結突起7aと7bは、互いに間隔をおいて装置本体6の外周部に直接溶接するかボルトと止めするか、或いは装置本体6の外周部に突設された受け部(図省略)に溶接またはボルト止めする等の手段で取り付けられている。
【0039】
一方、杭頭に突設された連結突片8は、例えば、図4(a)に示すように、連結突起7aと7bの間に挿入可能な板厚で形成され、連結突片8に設けられた連結孔8aが連結突起7aおよび7bよりも上方に来るように形成され、図4に示すように杭1の杭頭部に鉛直に突設されている。なお、連結孔8aは縦長の矩形状に形成され、回転金具9を挿通できるようになっている。
【0040】
図5(c)に示すように回転金具9は嵌合部9aとアーム部9bとからなり、嵌合部9aは連結突片8の連結孔8aに嵌合可能な盤状のものであり、当該嵌合部9aの後端部側にアーム部9bが突設されている。
【0041】
嵌合部9aには、図5(d)〜(f)に示すように、当該嵌合部9aを連結突片8の連結孔8aに挿通させて回転させながら嵌合する際に、当該嵌合部9aが挿入され過ぎないように、当該嵌合部9aの上端よりの両側面部にストッパー9cが設けられている。即ち、杭頭部に突設された連結突片8の連結孔8aへの過大な挿入を避けるために回転金具9の一部の側面に回転金具9の面から突出したストッパー9cが設けられている。
【0042】
なお、当該嵌合部9aのストッパー9c側の平坦部9dが図5(d)に示すように連結突片8の連結孔8aの上端部の角部8bに接することにより嵌合部9aを回転させるのが好ましい。
【0043】
また、嵌合部9aを連結突片8の連結孔8aに挿通させて回転させながら嵌合させるに際に、当該嵌合部9aの先端突起9eは連結孔8aよりも上部側の連結突片8の部分に当接されて当該嵌合部9aが回転され過ぎないようになっている。
【0044】
なお、嵌合部9aを連結突片8の連結孔8aに挿通させて回転させて嵌合が完了した状態では、当該嵌合部9aの平坦部9fは、当該平坦部9fが連結突起7aの立ち上がり部7cと密接した状態で当接するような形状にすることが当該嵌合部9aをより安定した姿とする上で更に好ましい。
【0045】
また、アーム部9bの平坦部9gは、当該平坦部9gが連結突起7bの上端面と密接した状態で当接するような形状にすることが当該嵌合部9aをより安定した姿とする上で更に好ましい。
【0046】
また、嵌合部9aにはさらに、回転金具9の回転が終了して当該嵌合部9aが図5(f)に示すように連結突片8の連結孔8a内に所定の姿で嵌合された状態で、連結突片8を超えた部分に当該嵌合部9aには小孔9hが設けられていることがさらに好ましい。この小孔9hに脱離防止用ストッパー(図省略)を金具本体9aの両側に突出した状態で差し込み回転金具9が回転しないようにすることができる。
【0047】
なお、脱離防止用ストッパーは、回転金具9を連結孔8aから抜き取る際に、連結突片8の連結孔8aの縁部と脱離防止用ストッパーの突出部分が衝突することにより一定値以上のせん断力が加わることにより折れるような強度および径とすることが好ましい。
【0048】
また、回転金具9のアーム部9b側の孔部9iには図4(f)に示すように引き紐(ワイヤー)10を取り付けておく。更に、立ち上がり部7cを有する略L字状の連結突起7aは、嵌合部9aを回転させないで最初に連結突片8の連結孔8aに挿通させて当該連結孔8aを通過した後に、当該嵌合部9aがさらに先に粋すぎないようにする役目を果たす。
【0049】
念のために、図5(a)〜(f)に示した杭1と連結装置3との連結工程について説明する。
【0050】
図示していないが杭吊り具2にて杭1を沈設し、地中に沈設され杭頭が地上に出ている段階で、杭吊り具2を外して、杭頭に連結突片8を設ける。
そして図4に示し、図5(a)に示したように杭1の頭部に設けられた連結突片8の板厚部分が、図5(b)に示すように連結装置3の装置本体6下端外周に突設された一対の連結突起7aと7bの間に入るようにして連結装置3を杭方向に下降させる。
【0051】
その後、図4(c)に示すように、回転金具9を矢印方向に移動させ、図4(d)〜(e)に示すように回転金具9を連結突片8の連結孔8a内に挿通して回転させながら押し込む。
【0052】
図4(f)に示したように回転金具9が所定の位置に納まった状態で回転金具9の小孔9hに前記した脱離防止用ストッパー(図省略)を差し込んで回転金具9が回転しないようにする。
【0053】
このようにして杭1と連結装置3とが回転金具9の存在により互いに連結された後に、連結装置3の上側に、例えば図1に例示したように、杭吊り具2を連結して、杭1を地表面より下方の所望の位置まで沈設させる。
【0054】
なお、回転金具9の小孔9hに前記した脱離防止用ストッパーが差し込まれているので、杭1の沈設などの施工工程での振動や衝撃で、回転金具9が杭1の連結突片8の連結孔8aから誤って抜けることはない。
【0055】
また、杭1を地表面より下方の所望の位置まで沈設させた後に、杭1から連結装置3を脱離させるための工程を図6(a)〜(c)に示す。
【0056】
図6(a)に示す状態は、図5(f)と同じ状態で杭1に連結装置3が連結されている状態である。なお、図6には脱離防止用ストッパーの突出部9jが示されているが、図5(f)でもこ脱離防止用ストッパーが挿入された後は、図6(a)と同じ状態になる。図6(a)に示した状態で、地上側で引き紐(ワイヤー)10を引き上げることにより、連結突片8の連結孔8aの縁部と衝突することにより脱離防止用ストッパーの突出部分が折れて、回転金具9が、図6(b)に示すように、その上端の平坦部(平坦部9dの一部)が連結突片8の連結孔の上端側の角部8bを回転支点として回転始まる。
【0057】
そして引き紐(ワイヤー)10を更に引き上げることにより、図6(c)に示す状態になり、やがて回転金具9が杭1の連結突片8の連結孔8aから脱離される。
【0058】
このように回転金具が杭1の連結孔8aから脱離された後に、図7に示すように、連結装置3を当該連結装置3に連結されている杭吊り具(杭吊り具は図示しない)にて、連結金具3は地上に回収される。その後に、杭吊り具2と連結装置3との連結を解除する。
【0059】
なお、上記したように、回転金具9の小孔9hに差し込んで設けられて回転金具9の側方に突出した状態の脱離防止用ストッパー9jは、一定値以上の勢断力が加わることで折れるため、回転金具9の引抜が可能になる。
【0060】
また、回転金具9の引抜作業は、杭1の頭部が地表面より深い位置に設置された状態で行うため、連結装置3と杭1との結合を地上から解除できるように、地上まで届く長さの引き紐(ワイヤー)10が予め回転金具9のアーム部9bに取り付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、連結装置の部分には不具合を生じさせることなく、杭と連結装置との連結および切り離しをきわめて簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の杭と杭吊り具との連結装置の一例を使用状態で示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、連結装置の長さを一部省略して示した図である。
【図2】本発明の連結装置と杭吊り具との間の連結状況理を示す図であり、(a)は連結状態を示す図であり、(b)は連結する直前の状態を示した図である。
【図3】本発明の連結装置の杭との図1に示した連結状態の要部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】本発明の連結装置と杭とを連結させる前の状態で示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】本発明の回転金具を用いて連結装置と杭を結合させる工程を要部で示す図である。
【図6】本発明の連結装置と杭とを結合状態からの脱離工程を要部で示す図である。
【図7】連結装置が杭から離脱した状態を示す図である。
【図8】従来装置の一例を示す図である。
【図9】他の従来装置の一例を示す図である。
【図10】異なる他の従来装置の一例を示す図である。
【図11】他の異なる従来装置の一例を示す図である。
【図12】更に異なる従来装置の一例を示す図である。
【図13】図12の装置における作動説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 杭
2 杭吊り具
3 連結装置
4 把持部
5 油圧シリンダー
6 連結装置本体
7 一対の突起
7a 連結突起
7b 連結突起
8 連結突片
8a 連結孔
8b 角部
9 回転金具
9a 嵌合部
9b アーム部
9c ストッパー
9d 平坦部
9e 先端突起部
9f 平坦部
9g 平坦部
9h 小孔
9j 離脱防止用ストッパー
10 引き紐(ワイヤー)
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭などの既製杭の頭部を地表面より下方に位置させて沈設する際に、杭と杭吊り具との間に使用される連結装置に関し、更に当該連結装置に用いられる回転金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基礎杭などをその杭頭部を地表面より下方に位置させて地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置(「矢蛸」または「雇い杭」と称せられる装置)に関して既に種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図8に示すように、杭吊り具(図省略)に取り付けられる連結装置30に回動自在に取り付けられた回動盤31を有し、当該回動盤31に大径の遊挿溝31aとこれより小径の係合溝31bを互いに連設して設け、杭頭部32に突設されたボルト33のボルト頭部を前記遊挿溝31aに挿通した後、斜視図で示す図8(a)や正面図で示す図8(b)に矢印Rで示される方向に回動盤31を回転させて図8(c)に示すようにボルト頭部33を遊挿孔31aから係合溝31bに移動させることにより、杭と連結装置30とを一体的に連結し、また、図8(d)に示されるように鎖体34aを上方に引っ張ることにより当該鎖体34aの先端に取り付けられた解除部34を回転させ、その先端で回動盤31を先程の回転方向と逆方向に押圧することにより、回動盤31を係合位置から離脱可能な位置(杭頭に設けられたボルト頭部33が大径の遊挿溝31aに来る位置)に回動させて杭との連結状態を解除するように構成された連結装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、図9(a),(b)に示すように、連結装置30の内側に回転自在に取り付けられた引っ掛け板35を有し、当該引っ掛け板35の爪35aを杭頭部32に突設された連結ボルト33のボルト頭部に係合させることにより杭と連結装置30を一体的に連結し、また、引っ掛け板35を当該引っ掛け板35に連結されたレバー引き手36を引き上げることにより、当該引っ掛け板35を回転させて当該引っ掛け板35の爪部35aの係合を解除させ、杭との一体結合を解除するように構成された連結装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、図10に示すように偏心回転体37を連結装置30に回転自在に取り付け、当該偏心回転体37に連結された操作棒38を押し下げて偏心回転体37を回転させ、連結装置30に設けられた係合孔30a部分で偏心回転体37の先端を杭頭部32の外周面に食い込ませることにより杭と連結装置30とを一体的に連結し、また操作棒38を引き上げて偏心回転体37を反対側に回転させ、その先端を杭頭部32の外周面から脱離することにより杭頭部32との一体結合を解除するように構成された連結装置が開示されている。
【0006】
特許文献4と特許文献5には、杭頭部に設けられた透孔部を有する連結突片と連結するための操作部が外側に設けられた連結装置30が開示されており、そのうち特許文献4に開示された連結装置は、図11(a)に全体構造を示し、図11(b),(c)に連結状態を示したように、軸部で回転自在とされたフック状の係止部材39aを有する曲玉状の回転体39を使用し、当該回転体39に連結された操作杆40を下方に押し下げることにより回転体39の係止部39aを杭頭部32の連結突片41の透孔部に挿通させて杭頭部32と連結装置30とを一体的に連結し、またこの状態から杭頭部32と連結装置30との連結を解除するには、操作杆40を上方に引き上げて回転体39を回転させ、係止部39aを連結突片41の透孔部から離脱して解除するように構成されている。そのためには操作杆40は堅固な構造である必要がある。
【0007】
また特許文献5に開示された連結装置は、特許文献4の堅固な操作杆を必要という問題点を解決したものであり、連結装置30の外周側に図12(a)や図13に示す逆C字状の回転フックが使用されている。この逆C字状の回転フック42の下端側のフック部42aを杭頭部32側の連結突片41の透孔部41aに挿通させて杭頭部32と連結装置30とを一体化している。
【0008】
そして、この逆C字状の回転フック42の上端側のフック部42bが図面左側に行かないように連結装置30の外周には縦方向板43が突設されている。そしてこの縦方向板43は図13(b)に示すように、逆C字状の回転フック42の基端側に連結されたワイヤー44を引き上げると、逆C字状の回転フック42は、その上端部のフック部42bを前記の連結装置30の外周に設けられた縦方向板43に押し付けながら回転し、図13(b)に破線で示すように杭頭部側の連結突片41の透孔部41aから離脱されるのである。
【0009】
【特許文献1】特許3626408号公報
【特許文献2】特公昭47−36681号公報
【特許文献3】実用新案登録第2591138号公報
【特許文献4】実用新案登録第3014349号公報
【特許文献5】特許第3693070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に記載された連結装置の場合、杭頭部は地面より下方に位置するため、回動盤を回転させて杭と連結装置との連結を解除するのにかなりの力を加える必要があり、操作が面倒である等の課題があった。 また、大径の遊挿溝とこれより小径の係合溝を有する構造の回動盤を取り付ける必要があるため、複雑な構造になる等の課題があった。
【0011】
特許文献2に記載された装置は、引っ掛け板は図9(a)に示されているように装置本体の内側に取り付けられているため、杭中空部に掘削装置を挿入する中掘り工法には適用できないという課題がある。
【0012】
特許文献3に開示された装置は、操作棒や偏心回転体を杭よりも外側に設ける必要があるため、実用し難いものであった。
【0013】
そして、特許文献4に示された装置は、操作杆の押し引きにより杭と連結装置との連結および連結の解除を行うため、堅固な操作杆と曲玉状の回転体を回転自在に一体的に構成する必要がある。
【0014】
また、一体化状態を維持するためには操作杆を押し下げ状態に保持する必要があり、しかも堅固で長い操作杆が必要になる等の制約があり、杭の上端を地上よりも深い位置に位置させるときには、操作杆に振れや弛みが発生しない堅固な長い操作杆である必要があり、そうでないと誤動作が生じる問題点があった。
【0015】
特許文献5に開示された装置は、特許文献4の堅固な操作杆を必要とするという問題点を解決したものであるが、装置本体の外周に設けられた縦方向の板には、上端部のフック部からの押圧が加えられるため、繰り返しの使用により、この板が変形したり破損したりして初期の目的を発揮できなくなり、逆C字状の回転フックが回転しなくなるおそれがあった。
【0016】
仮に、連結装置を使用して杭を地面より下方に設置し、いざ連結装置を杭から脱離させようとするときに、逆C字状の回転フックが回転できなくなると大変な事態となる。
【0017】
本発明は、上記の従来技術の欠点を解消した連結装置および当該連結装置に用いられる回転金具を提供するものであり、特に特許文献5に置いて必須の構成とされた逆C字状の回転フックを回転させるための装置本体の外周に設けられた縦方向の板を必要としない連結装置および当該連結装置に用いられる回転金具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の連結装置は、杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置において、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起と、該一対の突起間に突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔に挿通できる大きさの回転金具からなり、該回転金具は、前記一対の突起上側に突出された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されてなることを特徴とするものである。
【0019】
請求項2記載の連結装置は、請求項1記載の連結装置において、一対の突起の中で一方の突起はL字状の突起であり、他の一方の突起は前記L字状突起の低い方の突起部と同じ高さであるか、それよりも低い高さであることを特徴とするものである。
【0020】
請求項3記載の連結装置は、請求項1または2記載の連結装置において、杭頭部に突設された連結突片の連結孔への過大な挿入を避けるために回転金具の一部の側面に該回転金具面から突出したストッパーが設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項4記載の連結装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の連結装置において、回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項5記載の回転金具は、杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置に使用される回転金具であって、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起間突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されてなる嵌合部と当該嵌合部の一端に突出されたアーム部とから構成され、該アーム部引き紐が取り付けられてなることを特徴とするものである。
【0023】
請求項6記載の回転金具は、請求項5記載の回転金具において、杭頭部に突設された連結突片の連結孔への過大な挿入を避けるために回転金具の一部の側面に該回転金具面から突出したストッパーが設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項7記載の回転金具は、請求項5または6記載の回転金具において、回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の連結装置によれば、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起と、該一対の突起間に突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔に挿通できる大きさの回転金具からなり、該回転金具は、前記一対の突起上側に突出された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されているので、一対の突起の上側に突出された連結突片の連結孔に回転金具を嵌合することにより連結装置を杭頭部に容易に連結することができ、更に回転金具が杭に設けられた連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されているので、回転金具の回転支点を連結装置本体に設ける必要がなく、繰り返し使用しても装置本体部分に固定した部品が変形したり破損するおそれが無くなる。
【0026】
即ち、杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、初めて連結突片が杭頭部に溶接等により固定されるものであり、連結突片が杭頭部に溶接等により固定された杭は、地中に沈設され、繰り返し使用されるものではなく、連結突片が変形したり破損するおそれがない。
【0027】
また、請求項2に記載した連結装置では、一対の突起の中で一方の突起はL字状の突起であり、他の一方の突起は前記L字状突起の低い方の突起部と同じ高さであるか、それよりも低い高さであるので、回転金具を回転挿入する際に回転金具を挿入されないようにする役目を該L字状突起の高い方の突起が果たすことができる。
【0028】
同様に請求項3に記載した連結装置や請求項6に記載した回転金具では、
回転金具面から突出したストッパーが設けられていることにより、回転金具が連結突片の連結孔内に過大に挿入され過ぎるのを防止することができる。
【0029】
勿論、請求項4や請求項7に記載したように、回転金具の回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていると、回転金具を杭に設けられた連結突片の連結孔の上端部を支点に回転させながら嵌合させた状態で、連結突片の連結孔を越えた場所に設けられた上記の小孔に離脱防止用ストッパーを回転金具面から突出するように挿入することにより、回転金具が杭の沈設中に誤って脱落することなく、施工の安全性が図れる。
【0030】
請求項5に記載した本発明の回転金具は、引き紐を地上部から引くことにより、回転金具が一対の突起上側に突出された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら杭と連結装置との連結状態を開放できるため、連結装置のみを杭吊り具と共に地上に引き上げることが可能になり、連結装置本体や回転金具を繰り返し使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1には上部側に杭吊り具2を連結し、下部側に杭1を連結した状態の本発明に係る連結装置3の一例を示している。また、図2には図1に示した連結装置3と杭吊り具2との連結状態と連結する前の状態を示している。 さらに図3には、図1に示した連結装置3と杭1との連結部を拡大して示している。図4には杭1に連結する直前の連結装置3を示している。このように図1から図4は、本発明の一例の連結装置3を杭1や杭吊り具2との連結状態にて示す図である。
【0032】
また、図5には杭1と連結装置3との連結工程を示し、図6には連結装置3と杭1との連結を解除する工程を示し、図6には杭1から連結装置が脱離した姿を示している。
【0033】
連結装置3は、連結装置本体6(以下「装置本体6」という)と当該装置本体6の下端外周に突設された一対の突起(即ち、連結突起7a,7b)と、当該一対の突起(即ち、連結突起7a,7b)間に挿入された杭頭に突設された連結突片8の連結孔8aに挿入して杭1と連結するための回転金具9とから構成されている。
【0034】
装置本体6は杭1よりやや小径の鋼管から構成され、下端部周囲に設けられた一対の連結突起7a,7bは、図1に示すように少なくとも装置本体6の直径方向に対峙して設けられている。
【0035】
また図示した連結装置3では、装置本体6の上端部には、杭吊り具2の把持部4,4が嵌合するように、嵌合溝部6aが円周方向に連続して形成されている。
【0036】
図の例では、杭吊り具2は連結装置3の上端部を両側から把持する一対の把持部4,4を備え、各把持部4,4には当該把持部4,4を前記嵌合溝部6aと嵌合状態と離脱状態に移動させるための油圧シリンダー5,5がそれぞれ取り付けられている。
【0037】
このように図示した例では、図2(b)に示したように、連結装置3の上端部に杭吊り具2を設置し、油圧シリンダー5,5を作動させて、図2(a)に示すように装置本体6の嵌合溝部6aを把持部4,4によって両側から強く挟み込んで杭吊り具2と連結装置3が連結できるようになっている。なお、杭吊り具2と連結装置3との連結は、図示した例以外に周知の連結方法を適用できる。
【0038】
装置本体6の下端外周に突設された一対の連結突起7aと7bの中で、特に連結突起7aは図4に示したように上方向(杭吊り具2側)に立ち上がる立ち上がり部7cを有し、全体としてほぼL字状に形成され、一方、連結突起7bは上端部が平坦な直方体に形成されている。
なお、連結突起7aと7bは、互いに間隔をおいて装置本体6の外周部に直接溶接するかボルトと止めするか、或いは装置本体6の外周部に突設された受け部(図省略)に溶接またはボルト止めする等の手段で取り付けられている。
【0039】
一方、杭頭に突設された連結突片8は、例えば、図4(a)に示すように、連結突起7aと7bの間に挿入可能な板厚で形成され、連結突片8に設けられた連結孔8aが連結突起7aおよび7bよりも上方に来るように形成され、図4に示すように杭1の杭頭部に鉛直に突設されている。なお、連結孔8aは縦長の矩形状に形成され、回転金具9を挿通できるようになっている。
【0040】
図5(c)に示すように回転金具9は嵌合部9aとアーム部9bとからなり、嵌合部9aは連結突片8の連結孔8aに嵌合可能な盤状のものであり、当該嵌合部9aの後端部側にアーム部9bが突設されている。
【0041】
嵌合部9aには、図5(d)〜(f)に示すように、当該嵌合部9aを連結突片8の連結孔8aに挿通させて回転させながら嵌合する際に、当該嵌合部9aが挿入され過ぎないように、当該嵌合部9aの上端よりの両側面部にストッパー9cが設けられている。即ち、杭頭部に突設された連結突片8の連結孔8aへの過大な挿入を避けるために回転金具9の一部の側面に回転金具9の面から突出したストッパー9cが設けられている。
【0042】
なお、当該嵌合部9aのストッパー9c側の平坦部9dが図5(d)に示すように連結突片8の連結孔8aの上端部の角部8bに接することにより嵌合部9aを回転させるのが好ましい。
【0043】
また、嵌合部9aを連結突片8の連結孔8aに挿通させて回転させながら嵌合させるに際に、当該嵌合部9aの先端突起9eは連結孔8aよりも上部側の連結突片8の部分に当接されて当該嵌合部9aが回転され過ぎないようになっている。
【0044】
なお、嵌合部9aを連結突片8の連結孔8aに挿通させて回転させて嵌合が完了した状態では、当該嵌合部9aの平坦部9fは、当該平坦部9fが連結突起7aの立ち上がり部7cと密接した状態で当接するような形状にすることが当該嵌合部9aをより安定した姿とする上で更に好ましい。
【0045】
また、アーム部9bの平坦部9gは、当該平坦部9gが連結突起7bの上端面と密接した状態で当接するような形状にすることが当該嵌合部9aをより安定した姿とする上で更に好ましい。
【0046】
また、嵌合部9aにはさらに、回転金具9の回転が終了して当該嵌合部9aが図5(f)に示すように連結突片8の連結孔8a内に所定の姿で嵌合された状態で、連結突片8を超えた部分に当該嵌合部9aには小孔9hが設けられていることがさらに好ましい。この小孔9hに脱離防止用ストッパー(図省略)を金具本体9aの両側に突出した状態で差し込み回転金具9が回転しないようにすることができる。
【0047】
なお、脱離防止用ストッパーは、回転金具9を連結孔8aから抜き取る際に、連結突片8の連結孔8aの縁部と脱離防止用ストッパーの突出部分が衝突することにより一定値以上のせん断力が加わることにより折れるような強度および径とすることが好ましい。
【0048】
また、回転金具9のアーム部9b側の孔部9iには図4(f)に示すように引き紐(ワイヤー)10を取り付けておく。更に、立ち上がり部7cを有する略L字状の連結突起7aは、嵌合部9aを回転させないで最初に連結突片8の連結孔8aに挿通させて当該連結孔8aを通過した後に、当該嵌合部9aがさらに先に粋すぎないようにする役目を果たす。
【0049】
念のために、図5(a)〜(f)に示した杭1と連結装置3との連結工程について説明する。
【0050】
図示していないが杭吊り具2にて杭1を沈設し、地中に沈設され杭頭が地上に出ている段階で、杭吊り具2を外して、杭頭に連結突片8を設ける。
そして図4に示し、図5(a)に示したように杭1の頭部に設けられた連結突片8の板厚部分が、図5(b)に示すように連結装置3の装置本体6下端外周に突設された一対の連結突起7aと7bの間に入るようにして連結装置3を杭方向に下降させる。
【0051】
その後、図4(c)に示すように、回転金具9を矢印方向に移動させ、図4(d)〜(e)に示すように回転金具9を連結突片8の連結孔8a内に挿通して回転させながら押し込む。
【0052】
図4(f)に示したように回転金具9が所定の位置に納まった状態で回転金具9の小孔9hに前記した脱離防止用ストッパー(図省略)を差し込んで回転金具9が回転しないようにする。
【0053】
このようにして杭1と連結装置3とが回転金具9の存在により互いに連結された後に、連結装置3の上側に、例えば図1に例示したように、杭吊り具2を連結して、杭1を地表面より下方の所望の位置まで沈設させる。
【0054】
なお、回転金具9の小孔9hに前記した脱離防止用ストッパーが差し込まれているので、杭1の沈設などの施工工程での振動や衝撃で、回転金具9が杭1の連結突片8の連結孔8aから誤って抜けることはない。
【0055】
また、杭1を地表面より下方の所望の位置まで沈設させた後に、杭1から連結装置3を脱離させるための工程を図6(a)〜(c)に示す。
【0056】
図6(a)に示す状態は、図5(f)と同じ状態で杭1に連結装置3が連結されている状態である。なお、図6には脱離防止用ストッパーの突出部9jが示されているが、図5(f)でもこ脱離防止用ストッパーが挿入された後は、図6(a)と同じ状態になる。図6(a)に示した状態で、地上側で引き紐(ワイヤー)10を引き上げることにより、連結突片8の連結孔8aの縁部と衝突することにより脱離防止用ストッパーの突出部分が折れて、回転金具9が、図6(b)に示すように、その上端の平坦部(平坦部9dの一部)が連結突片8の連結孔の上端側の角部8bを回転支点として回転始まる。
【0057】
そして引き紐(ワイヤー)10を更に引き上げることにより、図6(c)に示す状態になり、やがて回転金具9が杭1の連結突片8の連結孔8aから脱離される。
【0058】
このように回転金具が杭1の連結孔8aから脱離された後に、図7に示すように、連結装置3を当該連結装置3に連結されている杭吊り具(杭吊り具は図示しない)にて、連結金具3は地上に回収される。その後に、杭吊り具2と連結装置3との連結を解除する。
【0059】
なお、上記したように、回転金具9の小孔9hに差し込んで設けられて回転金具9の側方に突出した状態の脱離防止用ストッパー9jは、一定値以上の勢断力が加わることで折れるため、回転金具9の引抜が可能になる。
【0060】
また、回転金具9の引抜作業は、杭1の頭部が地表面より深い位置に設置された状態で行うため、連結装置3と杭1との結合を地上から解除できるように、地上まで届く長さの引き紐(ワイヤー)10が予め回転金具9のアーム部9bに取り付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、連結装置の部分には不具合を生じさせることなく、杭と連結装置との連結および切り離しをきわめて簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の杭と杭吊り具との連結装置の一例を使用状態で示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、連結装置の長さを一部省略して示した図である。
【図2】本発明の連結装置と杭吊り具との間の連結状況理を示す図であり、(a)は連結状態を示す図であり、(b)は連結する直前の状態を示した図である。
【図3】本発明の連結装置の杭との図1に示した連結状態の要部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】本発明の連結装置と杭とを連結させる前の状態で示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】本発明の回転金具を用いて連結装置と杭を結合させる工程を要部で示す図である。
【図6】本発明の連結装置と杭とを結合状態からの脱離工程を要部で示す図である。
【図7】連結装置が杭から離脱した状態を示す図である。
【図8】従来装置の一例を示す図である。
【図9】他の従来装置の一例を示す図である。
【図10】異なる他の従来装置の一例を示す図である。
【図11】他の異なる従来装置の一例を示す図である。
【図12】更に異なる従来装置の一例を示す図である。
【図13】図12の装置における作動説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 杭
2 杭吊り具
3 連結装置
4 把持部
5 油圧シリンダー
6 連結装置本体
7 一対の突起
7a 連結突起
7b 連結突起
8 連結突片
8a 連結孔
8b 角部
9 回転金具
9a 嵌合部
9b アーム部
9c ストッパー
9d 平坦部
9e 先端突起部
9f 平坦部
9g 平坦部
9h 小孔
9j 離脱防止用ストッパー
10 引き紐(ワイヤー)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置において、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起と、該一対の突起間に突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔に挿通できる大きさの回転金具からなり、該回転金具は、前記一対の突起上側に突出された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されてなることを特徴とする連結装置。
【請求項2】
一対の突起の中で一方の突起はL字状の突起であり、他の一方の突起は前記L字状突起の低い方の突起部と同じ高さであるか、それよりも低い高さであることを特徴とする請求項1記載の連結装置。
【請求項3】
杭頭部に突設された連結突片の連結孔への過大な挿入を避けるために回転金具の一部の側面に該回転金具面から突出したストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の連結装置。
【請求項4】
回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連結装置。
【請求項5】
杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置に使用される回転金具であって、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起間突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されてなる嵌合部と当該嵌合部の一端に突出されたアーム部とから構成され、該アーム部引き紐が取り付けられてなることを特徴とする回転金具。
【請求項6】
杭頭部に突設された連結突片の連結孔への過大な挿入を避けるために回転金具の一部の側面に該回転金具面から突出したストッパーが設けられていることを特徴とする請求項5記載の回転金具。
【請求項7】
回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていることを特徴とする請求項5または6記載の回転金具。
【請求項1】
杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置において、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起と、該一対の突起間に突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔に挿通できる大きさの回転金具からなり、該回転金具は、前記一対の突起上側に突出された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されてなることを特徴とする連結装置。
【請求項2】
一対の突起の中で一方の突起はL字状の突起であり、他の一方の突起は前記L字状突起の低い方の突起部と同じ高さであるか、それよりも低い高さであることを特徴とする請求項1記載の連結装置。
【請求項3】
杭頭部に突設された連結突片の連結孔への過大な挿入を避けるために回転金具の一部の側面に該回転金具面から突出したストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の連結装置。
【請求項4】
回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連結装置。
【請求項5】
杭頭部を地表面より下方に位置させて杭を地中に設置する際に、杭と杭吊り具との間に連結して使用される連結装置に使用される回転金具であって、周方向に互いの突起間の間隔をあけて連結装置本体の外周部に突設された一対の突起間突出した杭頭部に突設された連結突片の連結孔の上端部を支点に回転しながら嵌合および離脱可能に構成されてなる嵌合部と当該嵌合部の一端に突出されたアーム部とから構成され、該アーム部引き紐が取り付けられてなることを特徴とする回転金具。
【請求項6】
杭頭部に突設された連結突片の連結孔への過大な挿入を避けるために回転金具の一部の側面に該回転金具面から突出したストッパーが設けられていることを特徴とする請求項5記載の回転金具。
【請求項7】
回転金具の一部に離脱防止用ストッパーを挿入できる小孔が設けられていることを特徴とする請求項5または6記載の回転金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−208629(P2008−208629A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46713(P2007−46713)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000133881)株式会社テノックス (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000133881)株式会社テノックス (62)
【Fターム(参考)】
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