説明

連結部材及び継手

【課題】高剛性の軸部材を用いた場合であっても、変形性能を高めることができ、通常時の引張力に十分に抵抗することができるとともに、地震時などの目開きにも十分に追随することができる連結部材を提供することを課題とする。
【解決手段】二体のセグメント(部材)の接合に用いられる連結部材10であって、一方のセグメントに定着される定着部材12と、定着部材12に挿通されている軸部材11と、軸部材11の基部11bに取り付けられている支圧部材13と、定着部材12と支圧部材13の間に介設されている弾性部材14と、定着部材12と縁切りされた状態で、軸部材11の先端部11aに取り付けられている接続部材33(接続部)と、を備え、接続部材33は、他方のセグメントに先端部が定着されるプラグ部材(プラグ部)の基部に結合されるように構成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二体の部材を接合するための連結部材及び継手に関する。
【背景技術】
【0002】
二体のセグメント(部材)の離間を防ぐための継手としては、基部が一方のセグメントに埋設され、先端部が一方のセグメントから突出している円柱状の連結部材と、他方のセグメントに埋設されている円筒状の雌部材とから構成され、連結部材の先端部が雌部材の内部に圧着されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−232723号公報(段落0012、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の継手では、連結部材の外周面と雌部材の内周面の摩擦抵抗によって、連結部材と雌部材が結合されており、二体のセグメントを離間させる方向に地震時の目開きが生じたときには、連結部材の外周面と雌部材の内周面の摩擦抵抗によって、連結部材と雌部材の結合が維持されている。したがって、このような継手では、連結部材の変形性能を高めることにより、大規模な地震時の大きな目開きに対しても追随可能となるが、連結部材の変形性能を高めた場合には、連結部材の剛性が低くなってしまい、シール材の反発力等の二体のセグメントを離間させようとする通常時の引張力に抵抗することができなくなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、高剛性の軸部材を用いた場合であっても、変形性能を高めることができ、通常時の引張力に十分に抵抗することができるとともに、地震時などの目開きにも十分に追随することができる連結部材及び継手を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、二体の部材の接合に用いられる連結部材であって、一方の部材に定着される定着部材と、定着部材に挿通されている軸部材と、軸部材の基部に取り付けられている支圧部材と、定着部材と支圧部材の間に介設されている弾性部材と、定着部材と縁切りされた状態で、軸部材の先端部に取り付けられている接続部と、を備え、接続部は、他方の部材に先端部が定着されるプラグ部の基部に結合されるように構成されていることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明は、二体の部材の接合に用いられる継手であって、一方の部材に定着される定着部材と、定着部材に挿通されている軸部材と、軸部材の基部に取り付けられている支圧部材と、定着部材と支圧部材の間に介設されている弾性部材と、定着部材と縁切りされた状態で、軸部材の先端部に取り付けられた接続部と、先端部が他方の部材に定着されるプラグ部と、を備え、接続部は、プラグ部の基部に結合されるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、地震時などに二体の部材を離間させる方向に目開きが生じたときには、プラグ部材が他方の部材に定着されているため、目開きに伴う引張力が、プラグ部及び接続部を介して、軸部材から弾性部材に作用し、弾性部材が定着部材と支圧部材の間で弾性変形することにより、軸部材が他方の部材側に移動して、連結部材又は継手が二体の部材の離間方向に伸長することになる。このように、弾性部材の弾性変形を利用して、連結部材又は継手を伸長させており、高剛性の軸部材を用いた場合であっても、連結部材又は継手の変形性能を高めることができるため、通常時の引張力に十分に抵抗することができるとともに、地震時などの目開きにも十分に追随することができる。
【0009】
ここで、軸部材が長い場合には、軸部材の剛性が低くなるため、二体の部材を離間させる方向に目開きが生じたときに、軸部材の伸び量よりも弾性部材の圧縮量が小さくなり、弾性部材の変形が十分に行われない可能性がある。
また、軸部材に作用した目開きに伴う引張力を確実に弾性部材に伝えるためには、軸部材と弾性部材の芯合わせを高精度に行う必要があるが、軸部材が長い場合には、軸部材と弾性部材の芯合わせが困難になってしまう。
【0010】
そこで、本発明では、軸部材の先端部に取り付けられた接続部を、他方の部材に定着されるプラグ部の基部に結合させることにより、軸部材を他方の部材の内部まで延設する必要がなくなるため、軸部材を短くすることができる。
これにより、軸部材の剛性が高くなるため、二体の部材を離間させる方向に目開きが生じたときに、軸部材の伸び量よりも弾性部材の圧縮量を大きくすることができ、弾性部材を十分に変形させることができる。
また、軸部材を短くすることにより、軸部材と弾性部材の芯合わせを高精度に行うことができるため、軸部材に作用した目開きに伴う引張力を確実に弾性部材に伝えることができる。
【0011】
なお、弾性部材は、軸部材に作用した目開きに伴う引張力によって弾性変形するものであれば、その形状や材質は限定されるものではなく、例えば、既存の皿バネを用いることができる。
また、プラグ部と接続部は、別々の部材によって構成したり、一体の部材の所定部位にそれぞれ設定したりすることができる。さらに、プラグ部は、各種公知の継手構造の雄部材と同様の形状を用いることができ、その構成は限定されるものではない。
【0012】
前記した継手において、プラグ部は、先端部が他方の部材に定着される筒状部材と、筒状部材の内部に充填されている充填材と、から構成することができる。
【0013】
ここで、充填材が充填された筒状部材の内部に軸部材を貫通させた場合には、充填材に貫通穴が形成されることになり、この貫通穴によって充填材の強度が低下するため、他方の部材との定着力も低下し、引抜耐力が低下してしまう。また、軸部材をシース管等により被膜することにより、充填材が軸部材に付着することを防ぐ必要がある。さらには、軸部材によって筒状部材の内部空間が狭くなり、筒状部材に充填材をスムースに充填することができないため、継手の製作が煩雑になってしまう。
【0014】
そこで、軸部材の先端部に取り付けられた接続部を、プラグ部の基部に結合することにより、充填材に貫通穴が形成されないため、充填材の強度低下を防ぐことができ、継手の引抜耐力を維持することができる。
また、充填材が軸部材に付着することを防ぐために、軸部材を被膜する必要がなくなるとともに、筒状部材の内部に軸部材が配設されないため、筒状部材に充填材をスムースに充填することができ、継手を容易に製作することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の連結部材及び継手によれば、二体の部材を離間させる方向に目開きが生じたときに、弾性部材を定着部材と支圧部材の間で弾性変形させることにより、連結部材又は継手を伸長させており、高剛性の軸部材を用いた場合であっても、連結部材又は継手の変形性能を高めることができるため、通常時の引張力に十分に抵抗することができるとともに、地震時などの目開きにも十分に追随することができる。
また、軸部材の先端部に取り付けられた接続部を、他方の部材に定着されるプラグ部の基部に結合させることにより、軸部材を短くすることができ、軸部材の剛性が高くなるため、軸部材に目開きに伴う引張力が作用したときに、弾性部材を十分に変形させることができる。
また、軸部材を短くすることにより、軸部材と弾性部材の芯合わせを高精度に行うことができるため、軸部材に作用した目開きに伴う引張力を確実に弾性部材に伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
この実施形態では、二体のセグメントの接合部に設けられる継手を例として説明する。
【0017】
<第一実施形態>
まず、本発明の第一実施形態について説明する。最初に、継手の全体構成について説明した後に、その継手に用いられている連結部材について説明する。
図1は、第一実施形態の連結部材を示した図で、(a)は側断面図、(b)は目開きに伴う引張力が作用した状態の側断面図である。図2は、第一実施形態の継手を示した側断面図である。図3は、第一実施形態の継手を示した図で、二体のセグメントが結合していない状態を示した側断面図である。
【0018】
[継手の構成]
継手1は、図2及び図3に示すように、トンネルの延長方向に連続して設けられている舟形形状等の既存形状である二体のセグメント2,3の接合部(リング間)に設けられたリング継手である。この継手1は、一方のセグメント2(特許請求の範囲における「一方の部材」)に設けられた連結部材10と、他方のセグメント3(特許請求の範囲における「他方の部材」)に設けられた雌部材20とから構成されている。
【0019】
なお、符号4は、二体のセグメント2,3の隙間に設けられている止水用のゴムガスケットであり、従来のシール材と比較して同等以上の止水性を有していながら、反発力が小さいため、通常時に二体のセグメント2,3を離間させようとする引張力の発生を少なくすることができる。
【0020】
[連結部材の構成]
連結部材10は、図1(a)及び図3に示すように、一方のセグメント2に定着される定着部材12と、定着部材12に挿通されている軸部材11と、軸部材11の基部11bに取り付けられている支圧部材13と、定着部材12と支圧部材13の間に介設されている弾性部材14と、定着部材12と縁切りされた状態で、軸部材11の先端部11aに取り付けられた接続部材33(特許請求の範囲における「接続部」)と、を備えている。また、接続部材33は、他方のセグメント3に定着されるプラグ部材30(特許請求の範囲における「プラグ部」)に結合されている。
【0021】
(定着部材の構成)
定着部材12は、一方のセグメント2に埋設された板材であり、両平面が軸部材11に対して垂直に配置されている。この定着部材12の中央部には貫通穴が形成されている。
また、定着部材12には、箱状のカバー部材12aが取り付けられており、定着部材12に挿通された軸部材11の基部11bが、カバー部材12aの内部に突出している。なお、カバー部材12aは、後記する支圧部材13や弾性部材14を収容可能な大きさに形成されている。
【0022】
(軸部材の構成)
軸部材11は、一方のセグメント2内に埋設された棒状のボルトであり、その先端部11aには、接続部材33が取り付けられている。また、軸部材11の基部11bは、定着部材12に形成された貫通穴に挿通されており、軸部材11は定着部材12に対して軸方向に移動可能となっている。
【0023】
(支圧部材の構成)
支圧部材13は、軸部材11の基部11bに環装されたワッシャ13aと、このワッシャ13aよりも軸部材11の基端部側(図1(a)の右側)で、軸部材11の基部11bに螺着されたナット13bとから構成されている。
【0024】
(弾性部材の構成)
弾性部材14は、軸部材11の基部11bに環装された二枚の皿バネ14a,14aであり、二枚の皿バネ14a,14aの各凹部端面が接するように、互いに逆方向に向けて配置されている。
また、弾性部材14の弾性変形性能は、軸部材11の引張剛性よりも小さくなっており、軸部材11に目開きに伴う引張力が作用した場合には、軸部材11の伸び量よりも弾性部材14の圧縮量が大きくなるように構成されている。
【0025】
なお、皿バネ14aの配置及び枚数は、この構成に限定されるものではない。例えば、第一実施形態のように、隣接する皿バネ14a,14aの各凹部端面が接するように、互いに逆方向に向けて配置した場合には、弾性変形性能を高めることができる。また、隣接する皿バネ14a,14aの凸部端面と凹部端面が接するように、同一方向に向けて重ね合わせた場合には、荷重に対する抵抗力を高めることができる。さらには、逆方向に向けて重ね合わせた皿バネ14a,14aと、同一方向に向けて重ね合わせた皿バネ14a,14aとを組み合せてもよい。このように、各種施工条件に対応させて、皿バネ14aの弾性変形性能および荷重に対する抵抗力を調整することが望ましい。
【0026】
(接続部材の構成)
接続部材33は、円柱状の部材であり、基端面33bに形成されたネジ穴33cには、軸部材11の先端部11aが螺着されており、この基端面33bは、定着部材12に縁切りされた状態で当接している。なお、本実施形態では、接続部材33は、キャップ部材31の外径と同径であるが、キャップ部材31の外径よりも小さくてもよく、その構成は限定されるものではない。
【0027】
(プラグ部材の構成)
プラグ部材30は、円筒状の鋼管であるキャップ部材31(特許請求の範囲における「筒状部材」)と、キャップ部材31の内部に充填されている無収縮性のモルタル32(特許請求の範囲における「充填材」)と、から構成されている。
【0028】
キャップ部材31は、先端部31aが閉塞され、基端部31bが開口されている。キャップ部材31の基部側(図1の右側)は一方のセグメント2に埋設されており、キャップ部材31の先端部31aは、一方のセグメント2から突出している。
キャップ部材31の先端部31aの外径は、他のセグメント3に設けられた雌部材20の内径よりも僅かに大きく形成されている(例えば1mm程度)。これにより、キャップ部材31の先端部31aを、他方のセグメント3に設けられた雌部材20の内部に嵌入したときには、先端部31aの外周面が、雌部材20の内周面に圧着される(図2参照)。
【0029】
また、キャップ部材31の基端部31bには、接続部材33の先端面33aが溶接等により接合されている。
さらに、キャップ部材31の基端部31b及び接続部材33は、一方のセグメント2に埋設された外筒部材40に縁切りされた状態で内嵌されており、プラグ部材30は外筒部材40に対して摺動可能となっている。
【0030】
(外筒部材の構成)
外筒部材40は、円筒状の管部材であり、先端側(図1の左側)の開口縁40aは他方のセグメント3の接合面に露出しており、基端側(図1の右側)の開口縁40bは定着部材12に当接している。
【0031】
[雌部材の構成]
雌部材20は、図1及び図2に示すように、他方のセグメント3に埋設されている円筒状の鋼管であり、先端側(図1の右側)の開口部20aが他方のセグメント3の接合面に開口されている。
【0032】
雌部材20の先端側の開口部20aは、他方のセグメント3の接合面よりも内部側(図1の左側)に配置されており、この開口部20aの縁部から他方のセグメント3の接合面に向けて拡幅されるようにして傾斜面20bが形成されている。また、雌部材20の先端側には、ポリエチレン樹脂による緩衝材20cが周設されている。
これにより、プラグ部材30を雌部材20に挿入するときに、プラグ部材30と雌部材20の軸心がずれている場合であっても、雌部材20の先端側の開口部20aの周囲に形成された傾斜面20bに、プラグ部材30のキャップ部材31の先端部31aが案内されて位置が修正される。さらに、プラグ部材30を雌部材20に挿入するときに、プラグ部材30が雌部材20の内周面に衝突した場合であっても、緩衝材20cによって衝撃が緩和されるため、プラグ部材30及び雌部材20の破損を防ぐことができる。
【0033】
[連結部材及び継手の作用効果]
図2に示す二体のセグメント2,3を離間させる方向に目開きが生じたときには、雌部材20の内部に嵌入されているプラグ部材30に、目開きに伴う引張力が作用する。この引張力は、プラグ部材30に取り付けられている接続部材33を介して、軸部材11に作用し、軸部材11から弾性部材14に作用する。
【0034】
そして、弾性部材14の各皿バネ14a,14aが、目開きに伴う引張力によって、定着部材12と支圧部材13の間で弾性変形することにより、プラグ部材30、接続部材33及び軸部材11が他方のセグメント3側に移動する(図1(b)参照)。これにより、連結部材10は、二体のセグメント2,3の離間方向に伸長した状態となり、連結部材10と雌部材20の結合を維持することができる。
【0035】
以上のように、第一実施形態の継手1では、弾性部材14の弾性変形を利用して、連結部材10を二体のセグメント2,3の離間方向に伸長させており、高剛性の軸部材11を用いた場合であっても、連結部材10の変形性能を高めることができるため、通常時の引張力に対する抵抗力を十分に確保することができるとともに、地震時などの目開きにも十分に追随することができる。
【0036】
また、軸部材11の先端部11aに取り付けられた接続部33を、他方のセグメント3に定着されるプラグ部30の基部に結合させることにより、軸部材11が他方のセグメント3に定着されており、軸部材11を他方のセグメント3の内部まで延設する必要がなくなるため、軸部材11を短くすることができる。これにより、軸部材11の剛性が高くなるため、軸部材11に目開きに伴う引張力が作用したときに、軸部材11の伸び量よりも弾性部材14の圧縮量を大きくすることができる。
また、軸部材11を短くすることにより、弾性部材14と軸部材11の芯合わせを高精度に行うことができるため、軸部材11に作用した目開きに伴う引張力を確実に弾性部材14に伝えることができる。
【0037】
また、軸部材11の先端部11aに取り付けられた接続部材33を、プラグ部材30の基部に接合することにより、キャップ部材31の内部に充填されたモルタル32に貫通穴が形成されないため、モルタル32の強度低下を防ぐことができ、継手1の引抜耐力を維持することができる。
また、モルタル32が軸部材11に付着することを防ぐための被膜を軸部材11に施す必要がなくなるとともに、キャップ部材31の内部に軸部材11が配設されないため、キャップ部材31にモルタル32をスムースに充填することができ、連結部材10及び継手1を容易に製作することができる。
【0038】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態の継手に用いられる連結部材について説明する。
図4は、第二実施形態の連結部材を示した側断面図である。
図4に示す第二実施形態の継手に用いられる連結部材10Aは、前記第一実施形態の継手1(図2参照)に用いられる連結部材10と略同様の構成であり、プラグ部材の構成が異なっている。
【0039】
第二実施形態の連結部材10Aにおけるプラグ部材50は、円柱状の鋼材を用いており、プラグ部材50の先端部50aが他方のセグメント(図示せず)に形成された雌穴部(図示せず)に定着されるように構成されている。
このプラグ部材50の先端部50aには、雌穴部の内部に形成された突起部に係合する係合溝50bが形成されており、プラグ部材50と雌穴部が係合することにより、プラグ部材50と雌穴部が結合した状態となる。
また、プラグ部材50の基部50c及び接続部材33は、一方のセグメント2に形成された穴部5に遊嵌されており、プラグ部材50は一方のセグメント2に対して軸方向に移動可能となっている。
【0040】
この構成によれば、第一実施形態の連結部材10(図2参照)のように、キャップ部材31の内部にモルタル32を充填する必要がなくなるため、連結部材10Aを容易に製作することができる。
なお、プラグ部材50の形状は限定されるものではなく、他方のセグメントに定着させることができるものであれば、各種公知の継手構造の雄部材と同様の形状を用いることができる。
【0041】
<第三実施形態>
次に、第三実施形態の継手に用いられる連結部材について説明する。
図5は、第三実施形態の継手を示した図で、二体のセグメントを接合した状態の側断面図である。図6は、第三実施形態の継手を示した図で、二体のセグメントを接合する前の状態を示した側断面図である。
図5に示す第三実施形態の継手に用いられる連結部材10Bは、前記第二実施形態の連結部材10A(図4参照)と略同様の構成であり、プラグ部材の構成が異なっている。
【0042】
第三実施形態の継手1´に用いられている連結部材10Bでは、プラグ部材60が円柱状の鋼材によって構成されている。第三実施形態のプラグ部材60は、図6に示すように、その先端部60aが他方のセグメント3に定着され、基部60bが他方のセグメント3から突出している。
【0043】
そして、プラグ部材60の基部60bを、一方のセグメント2に形成された穴部5に挿通させ、プラグ部材60の基部60bに形成されたネジ穴60cに、軸部材11の先端部11aを螺着させることにより、軸部材11の先端部11aは、プラグ部材60を介して、他方のセグメント3に定着された状態となっている(図5参照)。
すなわち、第三実施形態では、第一実施形態及び第二実施形態の接続部材33(図2及び図4参照)に相当する構成が、プラグ部材60の基部60bに設定されており、第一実施形態及び第二実施形態におけるプラグ部材30,50と接続部材33とが一体の部材の所定部位に設定された構成となっている。
なお、プラグ部材60の先端部60aは、各種公知の方法により他方のセグメント3に定着されている。
【0044】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。例えば、各実施形態では、図2、図4及び図5に示すように、弾性部材14として皿バネ14aを用いているが、目開きに伴う引張力によって弾性変形する部材であれば限定されるものではなく、各種公知のバネ部材やゴム材等を用いることができる。
【0045】
また、軸部材11は、全体にネジ溝が形成されているが、少なくとも支圧部材13が取り付けられる部位に形成されていればよい。さらに、軸部材11にネジ溝を形成することなく、溶接等の各種公知の接着方法を用いて軸部材11に支圧部材13を取り付けてもよい。
【0046】
また、各実施形態では、二体のセグメント2,3を接合する場合を説明したが、本発明は、各種の部材の接合部に適用することができ、特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第一実施形態の連結部材を示した図で、(a)は側断面図、(b)は目開きに伴う引張力が作用した状態の側断面図である。
【図2】第一実施形態の継手を示した側断面図である。
【図3】第一実施形態の継手を示した図で、二体のセグメントが結合していない状態を示した側断面図である。
【図4】第二実施形態の連結部材を示した側断面図である。
【図5】第三実施形態の継手を示した図で、二体のセグメントを接合した状態の側断面図である。
【図6】第三実施形態の継手を示した図で、二体のセグメントを接合する前の状態を示した側断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 継手
2 一方のセグメント
3 他方のセグメント
10 連結部材
11 軸部材
11a 先端部
11b 基部
12 定着部材
13 支圧部材
13a ワッシャ
13b ナット
14 弾性部材
14a 皿バネ
20 雌部材
30 プラグ部材
31 キャップ部材
31b 基端部
32 モルタル
33 接合部材
40 外筒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二体の部材の接合に用いられる連結部材であって、
一方の部材に定着される定着部材と、
前記定着部材に挿通されている軸部材と、
前記軸部材の基部に取り付けられている支圧部材と、
前記定着部材と前記支圧部材の間に介設されている弾性部材と、
前記定着部材と縁切りされた状態で、前記軸部材の先端部に取り付けられている接続部と、を備え、
前記接続部は、他方の部材に先端部が定着されるプラグ部の基部に結合されるように構成されていることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
二体の部材の接合に用いられる継手であって、
一方の部材に定着される定着部材と、
前記定着部材に挿通されている軸部材と、
前記軸部材の基部に取り付けられている支圧部材と、
前記定着部材と前記支圧部材の間に介設されている弾性部材と、
前記定着部材と縁切りされた状態で、前記軸部材の先端部に取り付けられている接続部と、
先端部が他方の部材に定着されるプラグ部と、を備え、
前記接続部は、前記プラグ部の基部に結合されるように構成されていることを特徴とする継手。
【請求項3】
前記プラグ部は、先端部が前記他方の部材に定着される筒状部材と、前記筒状部材の内部に充填されている充填材と、から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−25116(P2008−25116A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195709(P2006−195709)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】