説明

連続搬送式フリーザ

【課題】コンベアベルト上を搬送されるワークに上下方向からコンベアベルトに向けて垂直な衝突噴流を当てることにより、コアンダ効果によりワーク表面に沿う薄膜流を形成して、高い熱伝達率を維持する搬送式フリーザを提供する。
【解決手段】コンベアベルト25の上方空間及び下方空間夫々に前記ワークを搬送する方向に複数のスリットノズル24を連続的に並設し、噴出後の冷気を同複数のスリットノズル間で前記コンベアベルトの両側方向に導出する排気路を連続的に設け、該排気路及び前記冷却器及び送風機からなる冷気循環手段を介してハウジング21の上方空間に冷気が供給されるとともに、コンベアベルトが出入りするハウジング入口開口部及び出口開口部22付近に設置された前記上部スリットノズルのノズル先端部23bを、前記ハウジング中央側に向け斜めに角度をもたせて設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルト上を搬送される製品(ワーク)に対し、衝突噴流により冷気を接触させ、連続冷却ないし連続冷凍可能な搬送式フリーザに関し、コアンダ効果によりワーク表面に密着した薄膜流を形成せしめて、高い冷却効果を維持させるとともに、ワークに接触させた後の冷気流をコンベアベルト両側方向に導出する排気路を形成し、かつハウジング内部の機器類を簡素化してオープンスペース化することにより、冷気流の圧力損出を少なくし、ハウジング内での冷気流の循環を容易にするとともに、洗浄等の保守点検を容易にした搬送式フリーザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来ワーク、特に食品等を横長のハウジング内でコンベアベルトで搬送中に、冷却、加熱又は乾燥させるためにワークにガスジェットをぶつける方法が提案されている。すなわちコンベアベルトの流れ方向に対し直角に設けた噴流スリットによりベルト面に向け鉛直に吹き付けることにより、コアンダ効果によりワークの表面に沿った層流を形成し、これによって熱伝達率を高めることができるやり方である。
【0003】
たとえば特表平8−507596号公報(先行技術1)には、コンベアベルトが出入りする入口開口部及び出口開口部を有するハウジング内に、コンベアベルトを取り囲み、上部壁、2つの側壁及び底部壁を有するトンネルを設け、ガス吸引手段によりトンネル内を真空状態にするとともに、孔を開けられた前記上部壁を通して、トンネルの内部から外部へ、そして同上部壁を通しトンネルの内部に戻る循環流を形成し、これによってコンベアベルト上に載せられたワークにぶつけるガスジェット流を形成する手段が開示されている。
【0004】
図7は、先行技術1の装置の動作原理を示す概略断面図であり、図7(a)は、図7の部分詳細図である。本装置は、ハウジング01を具備し、その中でトンネル02は処理ゾーン03を取り囲み、トンネル02は、たとえばファンのような吸気手段04と通じ、コンベアベルト05はトンネル02内で食品06を搬送する。
【0005】
図7において、トンネル02の上部壁07のみが孔を開けられていて、壁07の上又は下に何等延在している部分もなしに平滑面を構成し、ノズル08(図7(a)参照)を形成する。好ましい実施例においては、トンネル02の底部壁もまた孔が開けられている。
【0006】
運転中は、吸気手段04は、空気が上部壁07にあるノズル08を通って吸気され、それによってコンベアベルト05及びその上に位置された食品06にぶつかる空気ジェット09が形成されるようにトンネル02の内部を真空状態にする。また特開平11−63777号公報(先行技術2)には、横長のハウジング内を貫通するコンベアベルト上に食品等のワークを載せ、同コンベアベルトの上下両面に多数の噴流スリットを設け、ワークに衝突噴流により冷気を接触させてワークを冷却ないし冷凍し、その後冷気をコンベアベルトの一側方向に排出する構成のフリーザが開示されている。
【0007】
前記先行技術1にあっては、コンベアベルトを取り囲むトンネルを真空状態とするために、トンネルに隣接して真空室を設ける必要があり、そのためガス吸引手段として多大なファン動力を要するとともに、上部壁に設けられた孔から吸引ファンで吸引することにより高速噴流を形成しているため、噴流に方向性がなく、すぐに拡散してしまう傾向にあり、そのため噴流がワークに高速にて衝突しない場合もあり、熱伝達率が低下するという問題点を有している。
【0008】
またコンベアベルトの下側に一定間隔で排気口を設けているので、その部分ではスリットノズルを設けることができず、その分熱伝達効率が低くなるという問題がある。またコンベアベルトの上側には排気口がなく、ベルト有孔部を通して排気される。即ちコンベアベルトは有孔であることが必須であり、有孔部がないコンベアベルトは使用できない。あるいはコンベアベルトに載るワークの積載密度にも限度がある。
【0009】
また前記先行技術2にあっては、コンベアベルトの上下両面からワークに衝突噴流により冷気を接触させた後、冷気をコンベアベルトの一側方向に排気しているため、ワークに衝突する噴流が排気する側に斜めに傾く傾向があり、そのため噴流のワークに対する熱伝達効率が低下するとともに、コンベアベルトの周囲が狭い空間となっていて洗浄するのに不都合であり、そのため多数の洗浄ノズルを配置する必要があり、装置が複雑かつ高価となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表平8−507596号公報
【特許文献2】特開平11−63777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、コンベアベルト上に載置されたワークにコンベアベルトの上方及び下方に設置されたスリットノズルから冷気を吹き付けて冷却又は冷凍する搬送式フリーザにおいて、コンベアベルト上を搬送されるワークに上下方向からコンベアベルトに向けて垂直な衝突噴流を当てることにより、コアンダ効果によりワーク表面に沿う薄膜流を形成して、高い熱伝達率を維持することを目的とする。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、前記垂直衝突噴流の整流性を向上させて、流れに方向性を与えることによって、スリットノズルからワークまで比較的離れている場合でも、コアンダ効果によるワーク表面に沿う薄膜流を形成することができるようにし、これによって熱伝達効率を高め、冷却効率を向上させることにある。
【0013】
また本発明の第3の目的は、冷気を排気する排気路の構造を工夫することによって、前記先行技術1のように、排気通路の形成がスリットノズルの配置を阻害し、冷却効果に悪影響を及ぼさないようにすることにある。
【0014】
さらに本発明の第4の目的は、冷気の循環空間を形成するハウジング内部の機器類をできるだけ簡素化してオープンスペース化し、冷気流の圧力損失を少なくするとともに、洗浄等の保守点検を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そして、本発明の連続搬送式フリーザは、かかる目的を達成するもので、入口開口部及び出口開口部を有するハウジングと、同ハウジングの入口開口部及び同出口開口部を通ってワークを搬送するコンベアベルトと、同ハウジング内で冷気を循環させる冷却器及び送風機からなる冷気循環手段と、同ワークに対し冷気の垂直噴流を噴出して同ワークの冷却を行なうスリットノズルとを備えた連続搬送式フリーザにおいて、
前記コンベアベルトの上方空間及び下方空間夫々に前記ワークを搬送する方向に複数のスリットノズル(以下コンベアベルトの上方空間に配置したスリットノズルを上部スリットノズル、下方空間に配置したスリットノズルを下部スリットノズルという。)を連続的に並設し、噴出後の冷気を同複数のスリットノズル間で前記コンベアベルトの両側方向に導出する排気路を連続的に設け、該排気路及び前記冷却器及び送風機からなる冷気循環手段を介してハウジングの上方空間に冷気が供給されるとともに、
前記コンベアベルトが出入りするハウジング入口開口部及び出口開口部付近に設置された前記上部スリットノズルのノズル先端部を、前記ハウジング中央側に向け斜めに角度をもたせて設置したことを特徴とする。
そして好ましくは、前記スリットノズル上流側に冷気の助走区間となる開口を設けるとともに、前記上部スリットノズル上流側の開口と前記ハウジングの上方空間とを対面させ、一方前記下部スリットノズル上流側の開口は、コンベアベルトの両側部に設けられたダクト開口を介してハウジングの上方空間の冷気が導入可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、噴出後の冷気を複数のスリットノズル間で前記コンベアベルトの両側方向に導出する排気路を設けたことにより、排気路の設置がスリットノズルの設置を阻害することがなく、従ってスリットノズルをワークに対して最適な位置に設置可能となるため、コアンダ効果によるワーク表面に沿う薄膜流を確実に形成することができるようになる。
【0017】
図1はコアンダ効果を説明する説明図で、図1において、たとえば円筒体Aの側面に対して、円筒体Aの中心線上を垂直に膜状の空気噴流kが衝突した場合、コアンダ効果により円筒体Aの全長に亘り円筒体Aの側面に密着した状態で円筒体Aを包絡する安定した薄膜流が形成される。従って冷気流を衝突させた場合、コアンダ効果による冷風気流は円筒体Aに対する熱伝達率をきわめて良好にし、冷却効果を向上させることができる。
【0018】
またコンベアベルトの両側方向に導出する冷気の排気路を設けたことにより、ワークに衝突する噴流が斜めに傾くことがなく、しかも排気がスムーズにコンベアベルトの両側方に排出され、冷気を発生する冷却器等の吸入側に容易に到達することができる。
【0019】
本発明装置において、前記スリットノズル上流側に助走区間をもうけることによって、冷気流に整流性をもたせ、流れに方向性を与えることができるとともに、スリットノズルから噴出する際の到達距離を増加することができる。図2はこの原理を説明する説明図であり、図2において、山型のスリットノズルnは助走区間bを有し、ここから噴出した衝突噴流kは、コンベアベルトc上を搬送されるワークwに垂直に衝突する。
【0020】
この際助走区間bを有する山形ノズルnから噴出される衝突噴流kは、整流性が良く、流れに方向性があるため、なかなか拡散せず、衝突噴流の到達距離hを長くすることができる。これによってたとえスリットノズルからワークまでの距離が離れていても冷気流がワークに衝突可能であるため、冷却効果を維持することができる。
【0021】
また本発明において、前記送風機から冷気を前記ハウジングの上方空間に供給し、前記上部スリットノズルからワークに噴出した後、前記排気路に排出し、一方冷気の一部を前記コンベアベルトの両側部に開口したダクトを通って下部スリットノズルに導入し、ワークに噴出した後、前記排気路に排出し、同排気路から前記冷却器に戻る冷気の循環経路を形成する。
【0022】
これによって、ワークに噴出した後の冷気が前記排気路から排出されることによって、ワークに噴出される噴出流又はワーク周辺の雰囲気を乱すことなく、スムーズにコンベアベルトから排出される。
【0023】
また本発明において、好ましくは、前記排気路を並設された前記スリットノズル間の凹部に形成する。これによって排気路の形成がスリットノズルの配置を阻害することなく、かつ排気路の形成がきわめて容易になると共に、排気がコンベアベルトの両側からスムーズに排気され、冷気流の圧力損失が少なくなる。
【0024】
また本発明において、コンベアベルトが出入りするハウジングの入口開口部又は出口開口部付近に設置されたスリットノズルのノズル先端部を(同入口開口部と同出口開口部との圧力差に応じて)前記ハウジング中央側に向け斜めに角度をもたせて設置する。即ちハウジングの内部で(ハウジング中央側の)圧力の高いほうから(同入口開口部と同出口開口部側に)低いほうに向かって冷気流が生じ、これによってフリーザ庫外への冷気の吹き出し及びフリーザ庫外の空気の流入が生じる場合がある。そのため前記スリットノズルを発生した冷気流に抗する方向へハウジング中央側に向け斜めに角度をもたせて設置することにより、スリットノズルから噴射される冷風のフリーザ庫外への冷風の吹き出し及び庫外空気の流入を防ぐことが可能になる。前記両開口部での圧力差がある場合、ノズル先端部の角度の方向を斜めに変えることにより空気流入を遮断することが可能になる。
【0025】
また本発明において、好ましくは、前記スリットノズルを複数個ずつ一体に構成したスリットノズルユニットとする。これによってスリットノズルの製造及び取り付けがきわめて容易になる。さらには上記構成に加えて、好ましくは、前記コンベアベルトの上方に配置された前記スリットノズルユニットを同コンベアベルトの両側方に設けられたフレーム上に載置することにより、洗浄、その他の保守点検の際に、スリットノズルの取り外しがきわめて容易になる。
【0026】
なお前述のように、スリットノズルのノズル先端を斜めに設置した場合において、スリットノズルユニットをコンベアベルトの両側方に設けられたフレーム上に載置する構成とした場合には、スリットノズルユニットの向きを入れ変えるだけでノズル先端部の斜め方向の向きを簡単に変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0028】
本発明の第1実施例に係る図3、図4において、1は、好ましくは、断熱性の壁で構成されたハウジングで、コンベアベルト2が出入りする図示しない入口開口部及び出口開口部以外は密閉され、内部で冷却された空気が循環する密閉空間を形成している。3及び4は、冷風サイクルの一部を構成する冷却器及びファンである。
【0029】
5は、コンベアベルト2の上方空間に設けられた上部スリットノズルユニットで、上部スリットノズル5aが複数個で一体に構成されている。9は、コンベアベルト2及び上部スリットノズルユニット5等を支持する支柱、10は、支柱9に装架された縦フレームで、複数の上部スリットノズルユニット5が縦フレーム10に持ち上げ可能に載置されている。6はコンベアベルト2の下方空間に設けられた下部スリットノズルユニットで、上部スリットノズルユニット5と同様に、複数個の下部スリットノズル6aが一体となって構成され、支柱9に支持された横フレーム11に支持されている。
【0030】
上下スリットノズル5a及び6aは、コンベアベルト2を横切る方向に配置され、ともに山形をなし、図2に示されるように、開口部の上流側に助走区間bが設けられている。本発明において、上下スリットノズル5a及び6aは、ワークの種類に応じてエアカーテンを形成するごとく連続した開口を有してもよいし、あるいは連続した開口に断続的にスペーサを配置して断続した噴流を吹き出すようにしてもよい。
【0031】
冷却器3で発生した冷気流は、ファン4で矢印のように上部スリットノズルユニット5のほうに向けられるが、一部がコンベアベルト2の両側部に配置されたダクト7の開口7aからダクト7を通って、下部スリットノズルユニット6の下方に配置されたダクト8に導入され、その後下部スリットノズル6aからコンベアベルト2の下面に向けて吹き出し、コンベアベルト2の下面からワークを冷却する。
【0032】
なおコンベアベルト2は、本実施例では、熱伝達率の良いスチール製でつくられたスチールベルトであり、熱伝達率が良いため、下方からの冷気流により冷却されて間接的にワークを冷却できるため無孔であるが、代わりに有孔として、冷気流の一部が上方及び下方から同孔を通して流れるようにしてもよい。
【0033】
かかる第1実施例の装置において、図5に示すように、コンベアベルト2はワークwを載置して矢印a方向に移動する。一方冷却器(クーラ)3で発生した冷気流は、矢印で示すように、ファン4によって上部スリットノズルユニット5に向けられ、上部スリットノズル5aからコンベアベルト2上のワークwに向けて垂直方向に衝突噴流kを吹き出し、ワークwを冷却する。冷気流の一部はダクト7の開口7aからダクト7の内部を通ってダクト8及び下部スリットノズルユニット6を経て下部スリットノズル6aからコンベアベルト2の下面に向けて垂直方向に衝突噴流kを吹き出し、スチールベルト2の下面を冷却することにより間接的にワークwを冷却する。ワークw又はコンベアベルト2の下面にぶつかった噴流は、その後スリットノズル5a及び6aの間に形成された凹部(排気路)12を通って、図5の矢印eで示すように、コンベアベルト2の両側方へ排出される。その後冷排気は、ファン4により再び冷却器3に吸引される。
【0034】
かかる第1実施例の装置によれば、開口の上流側に助走区間を有する山形の上下スリットノズル5a及び6aにより整流された、流れに方向を有し、到達距離hを長くした冷気流kをワークwに対し垂直方向に衝突させるため、コアンダ効果によりワークwの全長に亘りワークwの側面に密着した状態でワークwを包絡する安定した薄膜流を形成することができる。従って冷気流を衝突させた場合、コアンダ効果による冷風気流はワークwに対する熱伝達率をきわめて良好にし、冷却効果を向上させることができる。
【0035】
また送風機4から冷気をハウジング1の上方空間に供給し、上部スリットノズル5aからワークwに噴出した後、排気路12に排出し、一方冷気の一部をコンベアベルト2の両側部に設けられたダクト7の開口7aを通って下部スリットノズル6aに導入し、ワークwに噴出した後、排気路12に排出し、排気路12から冷却器(クーラ)3に戻る冷気の循環経路を形成したことによって、ワークwに噴出した後の冷気がワークに噴出される噴出流又はワーク周辺の雰囲気を乱すことなく、スムーズにコンベアベルト2から排出される。
【0036】
また冷気流の排気路を並設された上下スリットノズル5a,6a間の凹部12に形成したことによって、排気路の形成がスリットノズルの配置を阻害することなく、かつきわめて容易になると共に、排気がコンベアベルト2の両側からスムーズに排気され、そのままハウジング1内のオープンスペースを冷却器3までスムーズに循環されるため、冷気流の圧力損失が少なくなるという利点がある。
【0037】
またスリットノズルを複数個ずつ一体に構成した上下スリットノズルユニット5及び6としたため、スリットノズルの製造及び取り付けがきわめて容易になる。さらにはコンベアベルト2の上方に配置された上部スリットノズルユニット5をコンベアベルト2の両側方に設けられた縦フレーム10上に取り外し自在に載置することにより、洗浄、その他の保守点検の際に、スリットノズルの取り外しがきわめて容易になるという利点がある。
【0038】
図6は、本発明装置の第2実施例の一部拡大断面図である。搬送式フリーザのハウジング入口開口部と出口開口部との間に圧力差が生じた場合、ハウジングの内部で圧力の高いほうから低いほうに向かって冷気流が生じ、これによってフリーザ庫外への冷気の吹き出し及びフリーザ庫外の空気の流入が生じる場合がある。この場合、冷風が庫外に洩れて作業者へ悪影響を及ぼしたり、或いは庫外空気が流入して冷却器に霜が付き、冷却性能に悪影響を及ぼしたりする。
【0039】
本第2実施例は、これを解消するために、図示しない入口開口部から出口開口部22に向かって冷気流が生じている場合、図6のように、ハウジング21の出口開口部22付近に設置された上部スリットノズルユニット23のスリットノズル先端部23aを出口開口部22側と反対の方向に斜めに角度をもたせて設置する。これによって出口開口部22からフリーザ庫外への冷風の吹き出し及び入口開口部からの庫外空気の流入を防ぐことが可能になる。なお23bは、出口開口部22から離れた位置に配置された上部スリットノズルのノズル先端部で、コンベアベルト25に対し鉛直方向に向けられている。24は下部スリットノズルユニットで、そのノズル先端部24aはコンベアベルト25に対し鉛直方向に配置されている。wはコンベアベルト25に載置されたワークである。図6(a)は、図6のVIa部分の拡大図である。このように入口開口部及び出口開口部で圧力差がある場合、ノズル先端部の角度を斜め方向に変えることにより冷気の吹き出し及び空気流入を防ぐことが可能になる。
【0040】
なお上部スリットノズル先端部23aに限らず、下部スリットノズル先端部24aを斜めに角度をもたせて設置してもよい。また斜めに角度をもたせるスリットノズル列の数は装置の条件に応じて適宜に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、コンベアベルト上を搬送される特に食品類等の製品(ワーク)に対し、衝突噴流により冷気を接触させ、連続冷却ないし連続冷凍可能な搬送式フリーザにおいて、コアンダ効果によりワーク表面に密着した冷気流を形成させてワークの冷却効果を高く維持するとともに、助走区間を有する山形のスリットノズルを用いて、拡散せず到達距離の長い衝突噴流を形成できるようにし、かつ冷気の排気をコンベアベルトの両側方に導出する排気経路を設けて、冷気流の循環をスムーズに行うことができるようにし、併せてハウジング内の各機器の構造を簡素化した有益なフリーザを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】コアンダ効果の原理を説明する説明図である。
【図2】助走区間をもつ山形スリットノズルの効果を説明する斜視図である。
【図3】本発明装置の第1実施例を一部を断裁して示す斜視図である。
【図4】前記第1実施例を別の角度から視た斜視図である。
【図5】前記第1実施例のうちコンベアベルトに当たる衝突噴流の流れを示す斜視図である。
【図6】本発明装置の第2実施例を示す一部拡大立面図である。
【図6(a)】図6のVIa部の拡大図である。
【図7】従来装置の動作原理を示す概略断面図である。
【図7(a)】図7の部分詳細図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ハウジング
2 コンベアベルト
3 冷却器
4 ファン
5 上部スリットノズルユニット
5a 上部スリットノズル
6 下部スリットノズルユニット
6a 下部スリットノズル
w ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口開口部及び出口開口部を有するハウジングと、同ハウジングの入口開口部及び同出口開口部を通ってワークを搬送するコンベアベルトと、同ハウジング内で冷気を循環させる冷却器及び送風機からなる冷気循環手段と、同ワークに対し冷気の垂直噴流を噴出して同ワークの冷却を行なうスリットノズルとを備えた連続搬送式フリーザにおいて、
前記コンベアベルトの上方空間及び下方空間夫々に前記ワークを搬送する方向に複数のスリットノズル(以下コンベアベルトの上方空間に配置したスリットノズルを上部スリットノズル、下方空間に配置したスリットノズルを下部スリットノズルという。)を連続的に並設し、噴出後の冷気を同複数のスリットノズル間で前記コンベアベルトの両側方向に導出する排気路を連続的に設け、該排気路及び前記冷却器及び送風機からなる冷気循環手段を介してハウジングの上方空間に冷気が供給されるとともに、
前記コンベアベルトが出入りするハウジング入口開口部及び出口開口部付近に設置された前記上部スリットノズルのノズル先端部を、前記ハウジング中央側に向け斜めに角度をもたせて設置したことを特徴とする連続搬送式フリーザ。
【請求項2】
前記スリットノズルを複数個ずつ一体に構成したスリットノズルユニットとすることを特徴とする請求項1記載の連続搬送式フリーザ。
【請求項3】
前記ハウジング入口開口部又は出口開口部付近に設置された夫々のスリットノズルユニットをコンベアベルトの両側方に設けられたフレーム上に載置する構成としたことを特徴とする請求項2記載の連続搬送式フリーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6(a)】
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【図7】
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【図7(a)】
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【公開番号】特開2010−190568(P2010−190568A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101644(P2010−101644)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【分割の表示】特願2006−542215(P2006−542215)の分割
【原出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】