説明

連続気泡発泡体用樹脂組成物及びそれを用いた連続気泡発泡体

【課題】復元性(および柔軟性)に優れ、かつ均一な連続気泡構造を有する連続気泡発泡体を形成するのに有用な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】前記樹脂組成物を、非架橋性ポリオレフィン系樹脂(低密度ポリエチレン樹脂など)と、この非架橋性ポリオレフィン系樹脂の融点をMp、脂肪酸アミドの融点をMpとするとき、下記式(1)を充足する特定の脂肪酸アミド(例えば、ステアリン酸アミドなどのC10−28アルカンカルボン酸モノアミド)とで構成する。
|Mp−Mp|≦20℃ (1)
前記脂肪酸アミドの割合は、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部程度であってもよい。また、前記樹脂組成物は、より一層柔軟性を向上するため、さらに、熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復元性に優れ、かつ均一な連続気泡構造を有する連続気泡発泡体を形成するのに有用な樹脂組成物及びこの組成物を用いた連続気泡発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡体(独立気泡発泡体、連続気泡発泡体)は、その構成樹脂や気泡構造などに応じて種々の方法により製造されている。例えば、特公平1−44499号公報(特許文献1)には、ポリオレフィンに、発泡温度において特定の架橋速度になるように調整された量の架橋剤および有機分解型発泡剤を加え、練和して得られた発泡性組成物を、発泡剤を分解させることなく所望の形状に成形し、これを145℃〜210℃に加熱し、発泡して極薄気膜の気泡を含んだ気泡体とし、この気泡体に機械的変形を加え、気泡膜を連通させる架橋ポリオレフィン連続気泡体の製造方法が開示されている。すなわち、この文献では、ポリオレフィン樹脂の架橋速度と発泡剤の分解速度を調整し、金型内でブロック状に発泡した発泡体の気泡膜を機械的変形により破裂させ、気泡膜の連通化又は連続化させる2段階の工程で連続気泡体を製造している。また、特公昭60−55290号公報(特許文献2)には、メルトインデックス10以上の高密度ポリエチレンとメルトインデックス1以下の低密度ポリエチレンとを、特定の割合で混合した混合樹脂を押出すことにより、連続気泡構造を有し、発泡倍率の高いポリエチレン発泡体を製造する方法が開示されている。すなわち、この文献の方法では、高メルトフローレートの高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを特定の比率で混合して揮発性有機液体を高温高圧下で混合した樹脂を押し出し発泡させる1段階工程で発泡体を得ている。
【0003】
このような発泡体のうち、特に、連続気泡構造を有する連続気泡発泡体は、一般に発泡成形温度が高いと、連続気泡構造を形成しやすくなる一方で、常温まで冷却される間に気泡が変形(収縮、膨張など)するなどの要因により、発泡体の成形後において寸法安定性が低下することが知られている。このような発泡体の寸法安定性の改善又は向上には、種々の安定剤(寸法安定剤、安定性制御剤)を用いることが提案されている。
【0004】
例えば、特表2000−504056号公報(特許文献3)には、(a)オレフィン系重合体樹脂、(b)(i)脂肪酸とポリオールとの部分エステルである少なくとも1つの化合物、及び(ii)高級アルキルアミン、脂肪酸アミド及び/又は高級脂肪酸の完全エステルでなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物でなる安定性制御剤の組合せ、及び(c)発泡剤を含有する発泡可能なポリオレフィン組成物が開示されている。
【0005】
また、特許第3380816号公報(特許文献4)には、エチレンホモポリマーなどのオレフィン系樹脂と、スチレンブタジエンゴムなどのエラストマーと、長鎖の脂肪酸とポリオールのパーシャルエステル、高アルキルアミン、脂肪酸アミド、オレフィニカルリィアンサチュレーテッドカルボン酸コポリマーなどの安定剤とからなり、−175℃〜50℃の沸点を有するハイドロカーボン発泡剤により発泡された特定の密度を有するポリオレフィン発泡体が開示されている。
【0006】
さらに、特許第3315616号公報(特許文献5)には、特定の密度および硬度を有する低密度ポリエチレンからなるシラン変性ポリエチレン100重量部、シラノール縮合触媒0.05〜0.5重量部、および水酸基不含脂肪酸アミド0.1〜5重量部を溶融混練し、特定の沸点および蒸気圧を有するハロゲン化炭化水素とモノクロロジフルオロメタンからなる発泡剤5〜40重量部を圧入して押し出し発泡するポリエチレン発泡体の製造方法が開示されている(請求項2)。また、特公平2−48023号公報(特許文献6)には、水分との接触により架橋部位を与えるシリル基を側鎖に有する架橋性エチレン重合体(シリル化エチレン重合体)を含むポリエチレン樹脂に、発泡剤と水酸基不含脂肪酸アミドとを加圧下に混練し、押出発泡させ、さらに、この発泡体をシラノール縮合触媒下で水と接触させて架橋反応を進行させる架橋発泡体の製造方法が開示されている。これらの文献には、前記水酸基不含脂肪酸アミドとして、ステアリン酸アミド、ジステアリン酸アミド、トリステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ジラウリン酸アミド、トリラウリン酸アミド、ステアリン酸ステアリルアミド、N−メチルステアリン酸アミド、N,N−ジメチルステアリン酸アミドなどが使用できることが記載されている。
【0007】
また、特公平6−49793号公報(特許文献7)には、(a)エチレンのホモポリマーおよびエチレンと共重合性モノマーとのコポリマーから成る群から選ばれたオレフィンポリマー樹脂を加熱可塑化し、(b)加熱可塑化した樹脂を(1)長鎖脂肪酸とポリオールとの部分エステル、高級アルキルアミン、脂肪酸アミド、オレフィン性不飽和カルボン酸コポリマー、およびポリスチレンから成る群から選ばれた安定性調節剤、および(2)イソブタンなどの特定の発泡剤を混合し、前記発泡剤を活性化して発泡体に膨張させるオレフィンポリマー発泡体の製造方法が開示されている。
【0008】
これらの文献に記載の方法では、気泡の収縮などを抑制し、寸法安定性を向上できる。しかし、これらの文献に記載の方法で得られた発泡体は、気泡の復元性(および柔軟性)が十分でなく、例えば、圧力を作用させる用途に使用すると、発泡体が変形(又は収縮)する虞がある。また、前記特許文献5および6の方法では、シランカップリング剤で変性された架橋性又は加水分解縮合性のポリエチレンを用いるため、溶融混練時にゲル化し、このゲル化したポリエチレンが発泡体に混入することにより発泡体の品質を低下させる虞がある。さらに、前記特許文献5および6の方法では、安定した発泡体を得るため、環境汚染を生じるハロゲン化炭化水素を使用する必要がある。
【0009】
また、連続気泡構造を効率よく形成させるため、低密度ポリエチレンにポリプロピレンや高密度ポリエチレンなどを添加して発泡させる試みもなされている。しかし、このような方法では、連続気泡構造を形成できても、依然として発泡体の復元性(および柔軟性)が十分でない。
【特許文献1】特公平1−44499号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特公昭60−55290号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特表2000−504056号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特許第3380816号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特許第3315616号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特公平2−48023号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特公平6−49793号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、復元性に優れるとともに、均一な連続気泡構造を有する連続気泡発泡体を効率よく形成できる樹脂組成物、この組成物を用いた連続気泡発泡体、およびこの連続気泡発泡体で構成されたシール構造を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、復元性と連続気泡性とを高いレベルで両立できるとともに、柔軟性にも優れた連続気泡発泡体を効率よく形成できる樹脂組成物、この組成物を用いた連続気泡発泡体、およびこの連続気泡発泡体で構成されたシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、非架橋性のポリオレフィン系樹脂(例えば、低密度ポリエチレン樹脂など)と、この樹脂の融点に対して特定の融点差を有する脂肪酸アミドとを組みあわせることにより、均一な連続気泡構造を効率よく形成できるとともに、復元性にも優れた連続気泡発泡体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の連続気泡発泡体用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ということがある)は、非架橋性ポリオレフィン系樹脂と脂肪酸アミドとで構成された樹脂組成物であって、非架橋性ポリオレフィン系樹脂の融点をMp、脂肪酸アミドの融点をMpとするとき、下記式(1)を充足する。
【0014】
|Mp−Mp|≦20℃ (1)
前記非架橋性のポリオレフィン系樹脂はポリエチレン系樹脂で少なくとも構成されていてもよく、前記樹脂組成物は、例えば、ポリエチレン系樹脂とC10−28アルカンカルボン酸モノアミドとで構成してもよい。脂肪酸アミドの割合は、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部程度であってもよい。前記樹脂組成物には、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体から選択された少なくとも1種の非架橋性ポリオレフィン系樹脂と、C14−22アルカンカルボン酸モノアミドおよびN−モノ(ヒドロキシC1−2アルキル)−ヒドロキシC14−22アルカンカルボン酸モノアミド)から選択された少なくとも1種の脂肪酸アミドとで構成され、下記式(3)を充足し、かつ前記脂肪酸アミドの割合が、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.2〜25重量部である樹脂組成物などが含まれる。
【0015】
|Mp−Mp|≦10℃ (3)
前記樹脂組成物は、さらに、熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。このような熱可塑性エラストマーは、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーであってもよい。代表的には、前記ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、および水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体から選択された少なくとも一種で構成され、かつ硬質相と軟質相との割合(重量比)が、前者/後者=10/90〜70/30程度であってもよい。前記熱可塑性エラストマーの割合は、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、5〜40重量部程度であってもよい。前記樹脂組成物は、さらに、生分解性成分としてのデンプンを含んでいてもよい。
【0016】
本発明には、前記樹脂組成物で形成された連続気泡発泡体(以下、単に発泡体ということがある)も含まれる。このような連続気泡発泡体は、通常、前記樹脂組成物を発泡させることにより製造(又は形成)できる。前記連続気泡発泡体の発泡倍率は、比較的高い値、例えば、10〜45倍程度であってもよい。
【0017】
本発明の連続気泡発泡体は、復元性に優れており、例えば、高さAの連続気泡発泡体を、高さA/2まで圧縮したのち、圧縮を解放して60秒経過後の連続気泡発泡体の高さをBとするとき、(B/A)×100%で表される復元率が、90%以上(例えば、95〜99%程度)であってもよい。
【0018】
上記のように、本発明では、復元性に優れた連続気泡発泡体を得ることができる。そのため、本発明には、前記樹脂組成物を発泡させることにより、得られる連続気泡発泡体の復元性を向上させる方法も含まれる。
【0019】
前記連続気泡発泡体は、種々の用途に応用でき、特に、充填材(シーリング材と組みあわせて用いるための充填材)として好適に用いることができる。そのため、本発明には、充填材(例えば、隙間又は目地部に充填するための充填材)とシーリング材とで構成されたシール構造であって、前記充填材が前記連続気泡発泡体であるシール構造も含まれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の連続気泡発泡体用樹脂組成物では、非架橋性のポリオレフィン系樹脂(例えば、低密度ポリエチレン樹脂など)と、この樹脂の融点に対して特定の融点差を有する脂肪酸アミドとを組みあわせるので、復元性に優れるとともに、均一な連続気泡構造を有する連続気泡発泡体を効率よく形成できる。また、復元性と連続気泡性とを高いレベルで両立できるとともに、熱可塑性エラストマーと組みあわせると、より一層柔軟性にも優れた連続気泡発泡体を効率よく形成できる。このような本発明の連続気泡発泡体は、充填材(又は充填剤又は保持材)として有用であり、例えば、隙間又は目地部に充填するための充填材として、シーリング材(シール材)と組みあわせることにより、シール構造を形成するのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の連続気泡発泡体用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ということがある)は、非架橋性ポリオレフィン系樹脂と、この非架橋性ポリオレフィン系樹脂に対して特定の融点差を有する脂肪酸アミドとで構成されている。
【0022】
[非架橋性ポリオレフィン系樹脂]
非架橋性ポリオレフィン系樹脂(以下、単にポリオレフィン系樹脂ということがある)は、非架橋性、詳細には、前記ポリオレフィン系樹脂は、熱架橋性基(ビニル基、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基)、光架橋性基、加水分解縮合性基[例えば、ケイ素原子に加水分解性基(例えば、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基)、ハロゲン原子(塩素原子など)など]が直接結合した基(例えば、アルコキシシリル基、ハロシリル基)などの架橋性基を有しない樹脂であればよい。
【0023】
このような非架橋性ポリオレフィン系樹脂としては、オレフィンの単独重合体又は共重合体、オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが挙げられる。
【0024】
オレフィン(又はポリオレフィン系樹脂の単量体)としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブチレン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のα−C2−20オレフィン(好ましくはα−C2−10オレフィン、さらに好ましくはα−C2−4オレフィン、特にα−C2−3オレフィン)などが挙げられる。これらのオレフィンは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0025】
共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステル]、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのC2−6アルカンカルボン酸−ビニルエステル)、環状オレフィン類(ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン等)、ジエン類(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン等)等が例示できる。共重合性単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。オレフィンと共重合性単量体との割合(重量比)は、前者/後者=100/0〜50/50程度の範囲で選択でき、例えば、95/5〜60/40程度、好ましくは90/10〜65/35程度、さらに好ましくは80/20〜60/40程度であってもよい。
【0026】
ポリオレフィン系樹脂は、ランダム共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
【0027】
代表的なポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂[例えば、低、中又は高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はその金属塩、エチレン−(メタ)アクリル酸C1−4アルキルエステル共重合体(エチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)など]、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン含有80モル%以上のプロピレン−α−オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなど)、ポリ(メチルペンテン−1)樹脂などが例示できる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
【0028】
前記ポリオレフィン系樹脂のうち、ポリエチレン系樹脂(低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)が好ましく、特に、ポリオレフィン系樹脂は、低密度ポリエチレン樹脂(非架橋性低密度ポリエチレン樹脂)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(非架橋性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂)、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体から選択された少なくとも1種のポリエチレン系樹脂で構成するのが好ましい。前記ポリオレフィン系樹脂は、このようなポリエチレン系樹脂で少なくとも構成してもよく、ポリエチレン系樹脂と他のポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン系樹脂)とで構成してもよい。
【0029】
また、好ましいポリオレフィン系樹脂には、メタロセン触媒(カミンスキー触媒)を用いて重合したメタロセンポリオレフィン系樹脂(例えば、メタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などのメタロセンポリエチレン樹脂)も含まれる。
【0030】
なお、低密度ポリエチレン樹脂(非架橋性低密度ポリエチレン樹脂)の密度は、通常、0.95g/cm以下の範囲から選択でき、例えば、0.945g/cm以下(例えば、0.9〜0.940g/cm)、好ましくは0.905〜0.93g/cm、さらに好ましくは0.91〜0.925g/cm程度であってもよい。
【0031】
前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)としては、気相法で得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、溶液法で得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などであってもよく、特に、メタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(メタロセンポリエチレン樹脂)が好ましい。
【0032】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(特に、メタロセンポリエチレン樹脂)の密度は、例えば、0.860〜0.970g/cm(例えば、0.90〜0.970g/cm)、好ましくは0.870〜0.960g/cm(例えば、0.91〜0.96g/cm)、さらに好ましくは0.880〜0.950g/cm(例えば、0.915〜0.95g/cm)程度であってもよい。また、メタロセンポリオレフィン系樹脂(特に、メタロセンポリエチレン樹脂)の分子量分布は、例えば、1.01〜3.0、好ましくは1.02〜2.0(例えば、1.05〜1.8)、さらに好ましくは1.1〜1.5(例えば、1.15〜1.4)程度であってもよい。
【0033】
前記ポリオレフィン系樹脂の融点は、例えば、180℃以下(例えば、60〜180℃)程度の範囲から選択でき、170℃以下(例えば、70〜160℃程度)、好ましくは150℃以下(例えば、80〜140℃程度)、さらに好ましくは130℃以下(例えば、90〜120℃程度)であってもよい。なお、ポリオレフィン系樹脂が、2種以上の混合物(異なる融点を有するポリオレフィン系樹脂の混合物)である場合、混合物全体の融点が、上記範囲であってもよい。
【0034】
また、混合物全体の融点は、単独の場合の樹脂の融点と、この樹脂の混合物における割合とに基づいて見積もることもできる。例えば、ポリオレフィン系樹脂の混合物の融点MPは、各樹脂の融点をMPとし、各樹脂MPの混合物全体に対する混合(重量)割合をZ(すなわち、Z+Z+……Zn−1+Z=1)とするとき、下記式で表すこともできる。
【0035】
MP=MP×Z+MP×Z+………MPn−1×Zn−1+MP×Z
[式中、MPは非架橋性ポリオレフィン系樹脂の混合物の融点、MP(MP、MP…、MP)は各非架橋性ポリオレフィン系樹脂の融点、Zは各非架橋性ポリオレフィン系樹脂MPの混合物全体に対する混合割合(重量割合)を示す。]
特に、前記ポリエチレン系樹脂(特に、低密度ポリエチレン樹脂)の融点は、例えば、150℃以下(例えば、80〜140℃程度)の範囲から選択でき、130℃以下(例えば、90〜125℃程度)、好ましくは125℃以下(例えば、95〜120℃程度)、さらに好ましくは120℃以下(例えば、100〜115℃程度)であってもよい。
【0036】
また、前記ポリオレフィン系樹脂のメルトフローインデックス値は、例えば、0.1〜10g/10分(例えば、0.15〜9g/10分)、好ましくは0.2〜8g/10分(例えば、0.2〜7g/10分)、さらに好ましくは0.25〜6g(例えば、0.3〜5g/10分)程度であってもよい。なお、メルトフローインデックス値は、慣用の方法によって求めることができる。
【0037】
[脂肪酸アミド]
脂肪酸アミドは、前記ポリオレフィン系樹脂との組合せにおいて、特定の融点差を有している限り特に限定されず、種々の化合物を用いることができる。
【0038】
このような脂肪酸アミドとしては、例えば、脂肪酸モノアミド類、ポリ脂肪酸アミド類などが含まれる。なお、本発明の連続気泡発泡体用樹脂組成物では、非架橋性のポリオレフィン系樹脂を使用するので、ヒドロキシル基を有する脂肪酸アミド(ヒドロキシル基含有脂肪酸アミド)であっても使用できる。
【0039】
(脂肪酸モノアミド類)
脂肪酸モノアミド類としては、飽和脂肪酸モノアミド類、例えば、アルカンカルボン酸モノアミド類(アルカンカルボン酸モノアミド、ヒドロキシアルカンカルボン酸モノアミド、N−置換アルカンカルボン酸モノアミドなど)などが挙げられる。
【0040】
アルカンカルボン酸モノアミドには、例えば、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、モンタン酸アミドなどのC5−40アルカンカルボン酸モノアミド(好ましくはC6−34アルカンカルボン酸モノアミド、さらに好ましくはC10−28アルカンカルボン酸モノアミド、特にC14−22アルカンカルボン酸モノアミドなど)などが含まれる。
【0041】
ヒドロキシアルカンカルボン酸モノアミドには、前記アルカンカルボン酸モノアミドに対応するヒドロキシアルカンカルボン酸モノアミド、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどのヒドロキシC5−40アルカンカルボン酸モノアミド(好ましくはヒドロキシC6−34アルカンカルボン酸モノアミド、さらに好ましくはヒドロキシC10−28アルカンカルボン酸モノアミド、特にヒドロキシC14−22アルカンカルボン酸モノアミドなど)などが含まれる。
【0042】
N−置換アルカンカルボン酸モノアミドには、例えば、N−アルキル置換アルカンカルボン酸モノアミド[例えば、N−メチルパルミチン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N,N−ジメチルステアリン酸アミドなどのN−モノ又はジC1−10アルキルC5−40アルカンカルボン酸モノアミド(好ましくはN−モノ又はジC1−6アルキルC6−34アルカンカルボン酸モノアミド、さらに好ましくはN−モノ又はジC1−4アルキルC10−28アルカンカルボン酸モノアミドなど]、N−アリール置換アルカンカルボン酸モノアミド[例えば、ステアリン酸アニリドなどのN−C6−10アリールC5−40アルカンカルボン酸モノアミド(好ましくはC6−34アルカンカルボン酸アニリド、さらに好ましくはC10−28アルカンカルボン酸アニリド)など]、N−ヒドロキシアルキル置換アルカンカルボン酸モノアミド[前記アルカンカルボン酸モノアミドに対応するN−ヒドロキシアルキル置換アルカンカルボン酸モノアミド、例えば、N−メチロールステアリン酸アミド、N−ヒドロキシエチルステアリン酸アミドなどのN−モノ又はジ(ヒドロキシC1−10アルキル)C5−40アルカンカルボン酸モノアミド(好ましくはN−モノ(ヒドロキシC1−6アルキル)C6−34アルカンカルボン酸モノアミド、さらに好ましくはN−モノ(ヒドロキシC1−4アルキル)C10−28アルカンカルボン酸モノアミド、特にN−モノ(ヒドロキシC1−2アルキル)C14−22アルカンカルボン酸モノアミド)など]、N−ヒドロキシアルキル置換ヒドロキシアルカンカルボン酸モノアミド[前記ヒドロキシアルカンカルボン酸モノアミドに対応するN−ヒドロキシアルキル置換ヒドロキシアルカンカルボン酸モノアミド、例えば、N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどのN−モノ又はジ(ヒドロキシC1−10アルキル)−ヒドロキシC5−40アルカンカルボン酸モノアミド(好ましくはN−モノ(ヒドロキシC1−6アルキル)−ヒドロキシC6−34アルカンカルボン酸モノアミド、さらに好ましくはN−モノ(ヒドロキシC1−4アルキル)−ヒドロキシC10−28アルカンカルボン酸モノアミド、特にN−モノ(ヒドロキシC1−2アルキル)−ヒドロキシC14−22アルカンカルボン酸モノアミド)など]などが含まれる。
【0043】
(ポリ脂肪酸アミド類)
ポリ脂肪酸アミド類としては、ビス脂肪酸アミド類、例えば、飽和脂肪酸ビスアミド類、不飽和脂肪酸ビスアミド類などが含まれる。
【0044】
飽和脂肪酸ビスアミド類としては、アルキレン(又はアルキリデン)ビス(アルカンカルボン酸アミド)[例えば、N,N’−メチレンビス(ステアリン酸アミド)(又はエチレンジアミン−ジステアリン酸アミド)、N,N’−エチレンビス(パルミチン酸アミド)、N,N’−エチレンビス(ステアリン酸アミド)、N,N’−エチレンビス(ベヘン酸アミド)、N,N’−エチレンビス(モンタン酸アミド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(ステアリン酸アミド)などのN,N’−C1−12アルキレン(又はアルキリデン)ビス(C5−40アルカンカルボン酸モノアミド)、好ましくはN,N’−C1−10アルキレンビス(C6−34アルカンカルボン酸モノアミド)、さらに好ましくはN,N’−C1−8アルキレンビス(C10−28アルカンカルボン酸モノアミド)、特にN,N’−C1−6アルキレンビス(C14−22アルカンカルボン酸モノアミド)など]、アルキレン(又はアルキリデン)ビス(ヒドロキシアルカンカルボン酸アミド)[例えば、N,N’−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸アミド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸アミド)などのN,N’−C1−12アルキレン(又はアルキリデン)ビス(ヒドロキシC5−40アルカンカルボン酸モノアミド)、好ましくはN,N’−C1−10アルキレンビス(ヒドロキシC6−34アルカンカルボン酸モノアミド)、さらに好ましくはN,N’−C1−8アルキレンビス(ヒドロキシC10−28アルカンカルボン酸モノアミド)、特にN,N’−C1−6アルキレンビス(ヒドロキシC14−22アルカンカルボン酸モノアミド)など]などが挙げられる。
【0045】
不飽和脂肪酸ビスアミド類としては、アルキレン(又はアルキリデン)ビス(アルケン又はアルカジエンカルボン酸アミド)[例えば、N,N’−エチレンビス(オレイン酸アミド)、N,N’−エチレンビス(エルカ酸アミド)、N,N’−エチレンビス(オクタデカジエニルアミド)などのN,N’−C1−12アルキレン(又はアルキリデン)ビス(C5−40アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)、好ましくはN,N’−C1−10アルキレンビス(C6−34アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)、さらに好ましくはN,N’−C1−8アルキレンビス(C10−28アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)、特にN,N’−C1−6アルキレンビス(C14−22アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)など]、アルキレン(又はアルキリデン)ビス(ヒドロキシアルケン又はアルカジエンカルボン酸アミド)[例えば、N,N’−エチレンビス(リシノレイルアミド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(リシノレイルアミド)などのN,N’−C1−12アルキレン(又はアルキリデン)ビス(ヒドロキシC5−40アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)、好ましくはN,N’−C1−10アルキレンビス(ヒドロキシC6−34アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)、さらに好ましくはN,N’−C1−8アルキレンビス(ヒドロキシC10−28アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)、特にN,N’−C1−6アルキレンビス(ヒドロキシC14−22アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)など]などの他、エチレンジアミン−(ステアリン酸アミド)オレイン酸アミドなどの混酸アミドなども含まれる。
【0046】
脂肪酸アミドは、非架橋性ポリオレフィン系樹脂の融点(種類)に応じて選択でき、例えば、ポリエチレン系樹脂(特に、低密度ポリエチレン樹脂)と組みあわせて使用するのに適した好ましい脂肪酸アミドとしては、C10−28アルカンカルボン酸モノアミド、ヒドロキシC10−28アルカンカルボン酸モノアミド、N−モノ(ヒドロキシC1−4アルキル)C10−28アルカンカルボン酸モノアミド、N−モノ(ヒドロキシC1−4アルキル)−ヒドロキシC10−28アルカンカルボン酸モノアミド、N,N’−C1−8アルキレンビス(C10−28アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド、N,N’−C1−8アルキレンビス(ヒドロキシC10−28アルケン又はアルカジエンカルボン酸モノアミド)などが挙げられ、特に、ステアリン酸アミドなどのC14−22アルカンカルボン酸モノアミド)、N−モノ(ヒドロキシC1−2アルキル)C14−22アルカンカルボン酸モノアミドなどが好ましい。
【0047】
脂肪酸アミドは、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。脂肪酸アミドの融点は、例えば、180℃以下(例えば、60〜180℃程度)の範囲から選択でき、170℃以下(例えば、70〜160℃程度)、好ましくは150℃以下(例えば、75〜140℃程度)、さらに好ましくは130℃以下(例えば、80〜120℃程度)であってもよい。なお、脂肪酸アミドが、2種以上の混合物である場合、脂肪酸アミド全体の融点が、上記範囲であってもよい。また、脂肪酸アミドの混合物全体の融点は、前記非架橋性ポリオレフィン系樹脂の場合と同様に、単独の場合の脂肪酸アミドの融点と、この脂肪酸アミドの混合物における割合とに基づいて見積もることもできる。
【0048】
本発明の樹脂組成物では、非架橋性ポリオレフィン系樹脂と脂肪酸アミドとは、比較的近い融点を有している。すなわち、前記非架橋性ポリオレフィン系樹脂の融点をMp、前記脂肪酸アミドの融点をMpとするとき、融点差|Mp−Mp|が下記式(1)を充足すればよく、好ましくは下記式(2)、さらに好ましくは下記式(3)(例えば、下記式(4))、特に下記式(5)(例えば、下記式(6))を充足してもよい。
【0049】
|Mp−Mp|≦20℃ (1)
|Mp−Mp|≦15℃ (2)
|Mp−Mp|≦10℃ (3)
|Mp−Mp|≦8℃ (4)
|Mp−Mp|≦5℃ (5)
|Mp−Mp|≦3℃ (6)
上記のような範囲の融点差(同じ融点であってもよい)で、非架橋性ポリオレフィン系樹脂と脂肪酸アミドとを組みあわせることにより、高温度で成形(発泡成形)しても、冷却過程における気泡の変形や破泡などを防止又は抑制できるため、均一な連続気泡構造を効率よく形成でき、しかも、優れた復元性を発現できる。
【0050】
前記脂肪酸アミドの割合は、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜25重量部、さらに好ましくは0.3〜20重量部(例えば、0.4〜15重量部)、特に0.5〜10重量部程度であってもよい。
【0051】
[熱可塑性エラストマー]
本発明の連続気泡発泡体用樹脂組成物は、さらに、熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。このような熱可塑性エラストマーを使用することにより、より一層復元性を向上でき、発泡体の柔軟性を向上できる。
【0052】
熱可塑性エラストマーとしては、軟質相(軟質ブロック又はセグメント)と硬質相(硬質ブロック又はセグメント)とで構成された種々のエラストマーが使用でき、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー(例えば、軟質相がエチレン−プロピレンゴムやエチレン−プロピレン−ジエンゴムで構成され、硬質相がポリエチレンやポリプロピレンで構成されたエラストマーなど)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(例えば、軟質相が脂肪族ポリエーテルやポリエステルで構成され、硬質相がアルキレンテレフタレートやアルキレンナフタレートで構成されたエラストマーなど)、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(例えば、軟質相が脂肪族ポリエーテルやポリエステルで構成され、硬質相が短鎖グリコールのポリウレタン単位で構成されたエラストマーなど)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(例えば、軟質相が脂肪族ポリエーテルやポリエステルで構成され、硬質相がポリアミド単位で構成されたエラストマーなど)等が挙げられる。熱可塑性エラストマーの分子構造は、特に制限されず、トリブロック共重合体、星型ブロック共重合体、マルチブロック共重合体、グラフト共重合体、イオン架橋重合体等であってもよい。
【0053】
これらの熱可塑性エラストマーのうち、本発明では、スチレン系熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン−ジエン系ブロック共重合体など)を好適に利用できる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、通常、軟質相が、ポリブタジエン(又はブタジエン単位)、ポリイソプレン(イソプレン単位)又はそれらの水添物(又は水素添加された単位)で構成され、硬質相がポリスチレン(又はスチレン単位)で構成される場合が多い。
【0054】
スチレン−ジエン系ブロック共重合体としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が例示できる。これらのスチレン−ジエン系ブロック共重合体のうち、水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、特に、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)が好ましく用いられる。ブロック共重合体において、末端ブロックは、スチレン又はジエンのいずれで構成してもよい。
【0055】
熱可塑性エラストマーは、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
【0056】
前記熱可塑性エラストマーにおいて、硬質相(スチレン単位など)と軟質相との割合(重量比)は、軟質相/硬質相=5/95〜90/10、好ましくは10/90〜70/30(例えば、20/80〜50/50)、さらに好ましくは10/90〜35/65程度であってもよい。
【0057】
熱可塑性エラストマーの割合は、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部(例えば、8〜30重量部)、さらに好ましくは8〜35重量部程度であってもよい。
【0058】
前記樹脂組成物は、生分解性成分を含んでいてもよい。このような生分解成分は、廃棄後の発泡体の生分解性を向上させるため、環境的に有利である。生分解成分としては、脂肪族ポリエステル系樹脂[例えば、脂肪族ジオール(例えば、C2−6アルカンジオール)と脂肪族ジカルボン酸(例えば、C2−10ジカルボン酸)との重縮合物(例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートなど)、ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリヒドロキシブチレート(ポリヒドロキシ酪酸)、β−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸との共重合ポリエステルなどのポリ(ヒドロキシC2−10カルボン酸)など)、ポリラクトン(ポリカプロラクトンなど)など]、セルロース又はセルロース誘導体(例えば、エチルセルロースなどのアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル−ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類;酢酸セルロースなどのセルロースエステル系樹脂など)、ビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコールなど)、天然高分子(デンプン、アミロース、アミロペクチン、デキストリンなど)などが挙げられる。生分解性成分は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。これらのうち、天然高分子、特にデンプンが好ましい。
【0059】
生分解性成分は、そのまま前記樹脂組成物に添加してもよく、汎用樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂など)と組みあわせて前記樹脂組成物に添加してもよい。例えば、前記生分解性成分(デンプンなど)と汎用樹脂との混合物を前記樹脂組成物に添加してもよく、生分解性成分(デンプンなど)で変性した汎用樹脂を前記樹脂組成物に添加してもよい。なお、前者の態様では、生分解性成分と前記ポリオレフィン系樹脂の一部とを予め混合した混合物を添加してもよい。
【0060】
生分解性成分の割合(添加量)は、樹脂(A)および樹脂(B)の総量100重量部に対して、例えば、1〜150重量部、好ましくは3〜80重量部(例えば、4〜60重量部)、さらに好ましくは5〜30重量部(例えば、6〜20重量部)程度であってもよい。
【0061】
前記樹脂組成物は、発泡剤を含んでいてもよい。発泡剤としては、種々の発泡剤、例えば、蒸発型発泡剤、分解型発泡剤などのいずれも使用可能である。
【0062】
蒸発型発泡剤としては、例えば、気体[炭酸ガス、炭化水素類(プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンなどのアルカン類など)、ハロゲン化炭化水素類(三塩化フッ化メタンなど)、メチルエーテル、窒素など]、揮発性液体(アセトン、ヘキサン、トルエンなど)などが挙げられる。蒸発型発泡剤としては、環境上の観点から、通常、非ハロゲン系発泡剤(炭化水素類など)を使用してもよい。本発明では、ハロゲン系の発泡剤を使用しなくても、効率よく均一な連続気泡構造を形成できる。前記蒸発型発泡剤は、単独で又は2種類以上組合わせて用いてもよい。
【0063】
分解型発泡剤としては、例えば、アゾ化合物(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、アゾジカルボン酸アミド、ジアゾアミノベンゼンなど)、スルホニルヒドラジド化合物[ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)など]、ニトロソ化合物(N,N′−ジニトロペンタメチレンテトラミン、N,N′−ジニトロソ−N,N′−ジメチルテレフタルアミドなど)、アジド化合物(テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジドなど)などの有機化合物や、無機化合物(重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなど)などが挙げられる。前記分解型発泡剤は、単独で又は2種類以上組合わせて用いてもよい。
【0064】
発泡剤の添加量(割合)は、前記非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部(例えば、0.5〜25重量部)の範囲から選択でき、例えば、1〜30重量部(例えば、3〜20重量部)、好ましくは3〜25重量部(例えば、5〜20重量部)、さらに好ましくは10〜20重量部程度であってもよい。
【0065】
発泡剤は、その種類に応じて慣用の方法により前記樹脂組成物に含有させることができ、例えば、前記樹脂組成物の構成成分(例えば、前記非架橋性ポリオレフィン系樹脂、前記非架橋性ポリオレフィン系樹脂および脂肪酸アミドなど)と混合(および混練)して含有させてもよく、前記構成成分に含浸させてもよく、さらに、溶融混練された前記構成成分に添加又は圧入してもよい。
【0066】
前記樹脂組成物は、前記発泡剤に加えて、均一な発泡構造(連続気泡構造)を得るため、さらに必要に応じて発泡助剤(又は発泡核剤)を含んでいてもよい。発泡助剤としては、例えば、ケイ素化合物(タルク、シリカ、ゼオライトなど)、有機酸(例えば、クエン酸などの脂肪酸)、有機酸塩(クエン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩など)、無機酸金属塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸又は炭酸水素塩、硫酸バリウム、チタン酸カリウムなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウムなど)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナなど)などが挙げられる。これらの発泡助剤(又は発泡核剤)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0067】
発泡助剤(又は発泡核剤)の添加量(割合)は、特に限定されず、前記非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜4重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部(例えば、0.1〜2重量部)程度であってもよい。
【0068】
また、発泡助剤の添加量は、前記発泡剤の添加量100重量部に対して、例えば、1〜1500重量部、好ましくは5〜300重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
【0069】
さらに、前記樹脂組成物は、必要に応じて、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤のうち、特に、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0070】
ノニオン性界面活性剤としては、エーテル型、エステルエーテル型、エステル型、含窒素型界面活性剤が挙げられるが、特に、エステル型ノニオン界面活性剤が好ましく用いられる。エステル型ノニオン界面活性剤としては、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル[(ポリ)グリセリン、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール、グリセリン、ショ糖等の多価アルコールと高級脂肪酸とのエステル]、例えば、グリセリンモノステアリン酸エステルなどのグリセリンC8−24脂肪酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステルなどのショ糖C8−24脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステルなどのソルビタンC8−24脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤うち、グリセリンC8−24脂肪酸エステル(例えば、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセリルモノベンゾエートなど)、ソルビタンC8−24脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレートなど)が好ましい。これらの界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0071】
界面活性剤の添加量(割合)は、特に限定されないが、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.3〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部(例えば、1〜15重量部)、さらに好ましくは1〜10重量部程度であってもよい。
【0072】
前記樹脂組成物は、外観(表面あれ)、剛性などを改善又は改良するため、種々の添加剤、例えば、安定剤[酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤など)、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤など]、滑剤、離型剤、潤滑剤、染料や顔料などの着色剤、衝撃改良剤、可塑剤、収縮防止剤、帯電防止剤、難燃剤などを含有していてもよい。特に、建築用資材(後述のシール構造など)などの用途に用いる場合、防腐剤、防カビ剤などを含有していてもよい。添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0073】
前記樹脂組成物は、通常、前記非架橋性ポリオレフィン系樹脂と、前記脂肪酸アミドと、必要に応じて他の成分(例えば、発泡核剤など)とを混合(又は混練)することにより得ることができる。なお、後述の押出発泡成形法などを利用する場合には、押出機内で前記非架橋性ポリオレフィン系樹脂と脂肪酸アミドと(必要に応じて発泡核剤などの他の成分と)を混合(および混練)し、さらに、押出機内で発泡剤(イソブタンなどの蒸発型発泡剤)を圧入して樹脂組成物(又は樹脂混合物)を形成したのち、押し出すことにより、発泡体を得ることもできる。
【0074】
[連続気泡発泡体およびその製造方法]
本発明の連続気泡発泡体(単に発泡体ということがある)は、前記樹脂組成物(例えば、非架橋性ポリオレフィン系樹脂と前記脂肪酸アミドと発泡剤とを含む樹脂組成物)を発泡させることによって形成できる。発泡方法は、特に限定されず、例えば、反応生成ガスを利用する方法、発泡剤を使用する方法、可溶性物質を除去する方法などが挙げられる。前記方法のうち、成形性および汎用性の観点から、発泡剤を使用する方法が好ましい。
【0075】
発泡成形法としては、種々の方法、例えば、押出成形法(又は押出発泡成形法)、射出成形法などが挙げられる。前記成形法のうち、成形性の観点から、押出成形法が好ましい。例えば、揮発性発泡剤を使用する場合、非架橋性ポリオレフィン系樹脂および脂肪酸アミドを含む組成物を、押出機で溶融混練して押出機の途中部から揮発性発泡剤を注入し、さらに溶融混練して低圧域(通常、大気圧下)に押し出して発泡させてもよい。本発明では、前記のように非架橋性のポリオレフィン樹脂を用いるので、空気中の水分による架橋や、溶融混練における架橋およびゲル化を生じることがなく、簡便にかつ効率よく連続気泡発泡体を形成できる。
【0076】
押出成形機(押出機)は、連続気泡発泡体を形成できれば特に制限されず、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機などであってもよいが、通常、単軸押出機が用いられる。単軸押出機は、一段押出成形機であってもよいが、混練性を高めるため、多段押出成形機(タンデム押出機)であってもよい。
【0077】
発泡条件は、発泡成形法などに応じて選択できる。例えば、押出成形法において、溶融混練温度は、例えば、120〜300℃、好ましくは130〜280℃、さらに好ましくは140〜260℃程度であってもよい。また、成形圧力は、例えば、1〜50MPa、好ましくは2〜40MPa、さらに好ましくは5〜20MPa程度であってもよい。
【0078】
前記連続気泡発泡体において、連続気泡(又は通気性気泡)の形状(又は断面形状)は、特に制限されず、不定形状であってもよいが、通常、円形状(例えば、円形状、楕円形状など)や多角形状(例えば、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状など)であってもよく、これらの形状は二種以上混在していてもよい。
【0079】
連続気泡発泡体の密度は、例えば、0.001〜0.15g/cm、好ましくは0.005〜0.10g/cm、さらに好ましくは0.01〜0.08g/cm(例えば、0.02〜0.05g/cm)程度であってもよい。
【0080】
また、連続気泡発泡体の連続気泡率は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、35〜99%、好ましくは40〜95%、さらに好ましくは45〜90%程度であってもよく、通常、50〜80%(例えば、50〜70%程度)であってもよい。
【0081】
連続気泡発泡体の発泡倍率は、例えば、5〜60倍、好ましくは10〜45倍、さらに好ましくは15〜40倍(例えば、20〜35倍)程度であってもよい。本発明では、比較的高い発泡倍率(例えば、10〜45倍程度)の連続気泡発泡体を得ることができ、このような高い発泡倍率の連続気泡発泡体は、後述の充填剤などの用途として好適に利用できる。
【0082】
本発明の連続気泡発泡体は、連続気泡性に優れるだけでなく、復元性(圧縮復元性)にも優れている。例えば、高さAの連続気泡発泡体を高さA/2まで圧縮したのち、圧縮を解放して60秒経過後の連続気泡発泡体の高さをBとするとき、(B/A)×100%で表される復元率は、50%以上の範囲から選択でき、例えば、70%以上(例えば、75〜100%程度)、好ましくは80%以上(例えば、85〜100%程度)、さらに好ましくは90%以上(例えば、95〜99%程度)である。なお、上記復元率は、通常、室温又は常温下(例えば、25℃)における測定値であってもよい。
【0083】
上記のように、本発明の連続気泡発泡体用樹脂組成物では、均一な連続気泡を効率よく形成できるだけでなく、連続気泡発泡体の復元性も改善又は向上できる。そのため、本発明には、前記樹脂組成物を発泡させることにより、得られる連続気泡発泡体の復元性(および連続気泡性)を向上させる方法も含まれる。
【0084】
なお、連続気泡発泡体の形状は、特に限定されず、用途に応じて選択でき、例えば、シート状、板状(ボード状)などの二次元的形状、円柱状、円筒状、棒状、角柱状などの三次元的形状などであってもよい。後述するシール構造などの用途では、三次元的形状(例えば、棒状など)で好適に使用してもよい。連続気泡発泡体(例えば、棒状の連続気泡発泡体)の断面形状は、用途に応じて適した形状を選択でき、例えば、円状、楕円状、三角形、矩形、T字型などであってもよく、また、断面積も適宜選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の連続気泡発泡体の用途は、特に制限されず、連続気泡発泡体として慣用の用途、例えば、建材[断熱用部材(温度調節材)など]、構造材(軽量構造材など)、包装材、緩衝材(又はクッション材)、マット用部材[例えば、マットレス(防震用マットレス、スポーツ用マットレス)、カーペットなど]、履物用部材、ろ過材、洗浄用具、セパレータ(電池用セパレータなど)などとして利用できる。
【0086】
特に、本発明の連続気泡発泡体は、復元性(および柔軟性)に優れ、さらには高い発泡倍率を有しているため、充填材、例えば、構造物の隙間又は目地部に充填するためのシール構造の充填材(構成成分)として好適に利用できる。例えば、本発明の連続気泡発泡体は、隙間又は目地部に充填(シーリング、コーキング)するための充填剤(バックアップ材)として、シーリング材(シール材)と組みあわせることにより、シール構造を形成してもよい。本発明の連続気泡発泡体とシール材とを組みあわせると、シール構造の要求性能(例えば、防水性又は耐水性、気密性、密着性、耐久性など)を損ねることなく、効率よくシール材の使用量を低減できる。また、本発明の連続気泡発泡体を用いることにより、シール構造を軽量化できる。
【0087】
詳細には、このようなシール構造は、充填剤としての前記連続気泡発泡体と、シーリング材とで構成することができる。シーリング材としては、シール構造の要求性能に応じて、例えば、シリコーン系シーリング材、アクリル系シーリング材(アクリルエマルジョン系シーリング材)、ウレタン系シーリング材、アクリルウレタン系シーリング材、ポリスルフィド系シーリング材、油性系シーリング材などが挙げられる。シーリング材は、湿気硬化型、酸素硬化型、乾燥硬化型、非硬化型などのいずれであってもよく、また、一成分型又は他成分型(二成分型など)であってもよい。なお、シーリング材は、通常、液状であってもよい。シーリング材は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
【0088】
シール構造において、前記連続気泡発泡体の適用方法としては、特に限定されず、通常、隙間又は目地部の表面部(又は表層部、すなわち構造物が外気と接触する部分)が、少なくともシーリング材で構成されていればよい。例えば、前記シール構造は、(i)前記隙間又は目地部に充填された前記連続気泡発泡体[又は前記連続気泡発泡体の表面(および隙間又は間隙)]に、前記シーリング材が積層(又は充填)された構造(層構造)であってもよく、(ii)前記連続気泡発泡体および前記シール材が混合した混合物が、前記隙間又は目地部に充填された構造などであってもよい。
【0089】
シール構造において、前記連続連続気泡発泡体と前記シーリング材との割合は、例えば、前者/後者(体積比)=99/1〜5/95、好ましくは95/5〜10/90(例えば、90/10〜20/80)、さらに好ましくは85/15〜30/70(例えば、80/20〜50/50)程度であってもよい。
【0090】
なお、シール構造は、用途に応じて、添加剤(防腐剤、防カビ剤など)を含んでいてもよく、このような添加剤は、予めシーリング材に含まれていてもよい。
【0091】
シール構造の適用部位(又は前記構造物の適用箇所)としては、シーリング材の種類などに応じて適宜選択でき、屋内外の各種隙間又は目地(又はひび割れ部分)、例えば、同又は異部材間の隙間又は目地[例えば、サッシと壁との隙間(サッシの周囲)、天井と壁との隙間、柱と壁の隙間、浴槽、流し台や洗面台と壁との隙間、配管やダクト周囲の目地、瓦や煉瓦同士の隙間]、各種パネルの隙間又は目地[例えば、サッシ(アルミサッシなど)の目地、サッシなどのパネルのジョイント部など]、各種割れ部分[例えば、コンクリートや壁(モルタル壁など)のひび割れ部分、瓦や屋根材のひび割れ部分など]などが挙げられる。
【実施例】
【0092】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0093】
なお、実施例及び比較例で得られた発泡体の特性は下記方法により測定した。
【0094】
[密度]
実施例及び比較例で得られた発泡体の密度(g/cm)は、JIS K6767に準じて測定した。
【0095】
[発泡倍率]
発泡倍率は、以下の式で算出した。
【0096】
発泡倍率=発泡体用樹脂組成物の密度/発泡体の密度。
【0097】
[連続気泡性]
実施例及び比較例で得られた発泡体の連続気泡性は目視観察により以下の基準で評価した。
【0098】
○:連続気泡で形成されている
×:独立気泡が混ざっている。
【0099】
[復元性]
実施例及び比較例で得られた円筒状の発泡体(直径10mm、高さ50mm)を高さ方向に50%まで圧縮し(すなわち、高さ25mmまで圧縮し)たのち、直ちに圧縮を中止又は解放して、60秒後の復元性(復元率)を、原形(高さ50mm)に対する60秒後の高さYの比×100[すなわち、復元率=(Y/50)×100(%)]として評価した。
【0100】
[表面外観]
実施例及び比較例で得られた発泡体の表面外観は目視観察により以下の基準で評価した。
【0101】
○:しぼみがなく良好である
×:しぼみがある。
【0102】
[連続気泡率]
実施例及び比較例で得られた発泡体を、予め重量を測定し、水中に静置した後、−400mmHgの減圧下に1分間放置して、連続気泡構造の中に水を浸透させた。減圧状態から大気圧力に戻し、発泡体の表面に付着した水を除去して重量を測定した後、下記式(1)により算出した。
【0103】
連続気泡率(%)={(w−w)/d}/(w/d−w/d) (1)
(wは吸水後の発泡体重量、wは吸水前の発泡体重量、dは発泡体の見掛密度、dは発泡体に使用されている樹脂組成物の見掛密度、dは測定時の水の密度)。
【0104】
(実施例1)
低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製、「JE414A」、密度0.921g/cm、融点110℃、メルトフローレート3.0g/10分)100重量部に、ステアリン酸アミド(花王(株)製、「脂肪酸アマイドT」、融点109℃)2重量部および発泡核剤(大日精化工業(株)製、重曹/クエン酸系発泡核剤「ダイブロー」)0.2重量部を混合して口径40mmの単軸押出機に供給し、温度190℃、圧力17MPaで溶融混練し、前記押出機の先端近くに設けた発泡剤注入口からイソブタンを、低密度ポリエチレン系樹脂(B)100重量部に対して9重量部圧入し、混練ゲル化してダイスより大気中に押出し、円筒状(直径10mm、高さ50mm)に押出成形し、発泡体を得た。
【0105】
(実施例2)
低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製、「JE414A」、密度0.921g/cm、融点110℃、メルトフローレート3.0g/10分)100重量部に、ステアリン酸アミド(花王(株)製、「脂肪酸アマイドT」、融点109℃)3重量部、SEBS(旭化成ケミカルズ(株)製、「タフテックH1221」)11重量部、および発泡核剤(大日精化工業(株)製、重曹/クエン酸系発泡核剤「ダイブロー」)0.2重量部を混合して口径40mmの単軸押出機に供給し、温度190℃、圧力17MPaで溶融混練し、前記押出機の先端近くに設けた発泡剤注入口からイソブタンを、低密度ポリエチレン系樹脂(B)100重量部に対して9重量部圧入し、混練ゲル化してダイスより大気中に押出し、円筒状(直径10mm、高さ50mm)に押出成形し、発泡体を得た。
【0106】
(実施例3)
実施例2において、ステアリン酸アミド3重量部に代えて2重量部、SEBS11重量部に代えてSEBS15重量部、発泡核剤0.2重量部に代えて0.3重量部にしたこと以外は、実施例2と同様にして発泡体を得た。
【0107】
(実施例4)
実施例2において、ステアリン酸アミド3重量部に代えて1重量部、SEBS11重量部に代えてSEBS30重量部、発泡核剤0.2重量部に代えて0.5重量部にしたこと以外は、実施例2と同様にして発泡体を得た。
【0108】
(実施例5)
ステアリン酸アミド2重量部に代えて、N−メチロールステアリルアミド(日本化成(株)製、「クローバーエースKN」、融点110℃)2重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
【0109】
(実施例6)
低密度ポリエチレン樹脂100重量部に代えて、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製、「JE414A」、密度0.921g/cm、融点110℃、メルトフローレート3.0g/10分)50重量部およびデンプン含有ポリエチレン樹脂(日立化成フィルテック(株)製、「デグラレックス813PE」)50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
【0110】
(実施例7)
実施例1において、低密度ポリエチレン樹脂100重量部に代えて、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製、「KF281」、密度0.918g/cm、融点106℃、メルトフローレート2.5g/10分)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
【0111】
(実施例8)
実施例1において、低密度ポリエチレン樹脂100重量部に代えて、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学(株)製、「D2011」、密度0.92g/cm、融点103℃、メルトフローレート2.0g/10分)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
【0112】
(実施例9)
実施例1において、低密度ポリエチレン樹脂100重量部に代えて、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学(株)製、「H2031」、密度0.94g/cm、融点87℃、メルトフローレート2.0g/10分)100重量部およびポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、「FS2016」、融点160℃)20重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
【0113】
なお、ポリオレフィン系樹脂の混合物の融点は、99℃[すなわち、87(℃)×(100/120)+160(℃)×(20/120)≒99(℃)]であった。
【0114】
(比較例1)
低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製、「JE414A」、密度0.921g/cm、融点110℃、メルトフローレート3.0g/10分)100重量部に、発泡核剤(大日精化工業(株)製、重曹/クエン酸系発泡核剤「ダイブロー」)0.2重量部を混合して口径40mmの単軸押出機に供給し、温度190℃、圧力17MPaで溶融混練し、前記押出機の先端近くに設けた発泡剤注入口からイソブタンを、低密度ポリエチレン系樹脂(B)100重量部に対して9重量部圧入し、混練ゲル化してダイスより大気中に押出し、円筒状(直径10mm、高さ50mm)に押出成形し、発泡体を得た。
【0115】
(比較例2)
低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製、「JE414A」、密度0.921g/cm、融点110℃、メルトフローレート3.0g/10分)100重量部に、オレイン酸モノグリセライド(花王(株)製、「エキセル」、融点38℃)2重量部、SEBS(旭化成ケミカルズ(株)製、「タフテックH1221」)15重量部、および発泡核剤(大日精化工業(株)製、重曹/クエン酸系発泡核剤「ダイブロー」)0.2重量部を混合して口径40mmの単軸押出機に供給し、温度190℃、圧力17MPaで溶融混練し、前記押出機の先端近くに設けた発泡剤注入口からイソブタンを、低密度ポリエチレン系樹脂(B)100重量部に対して9重量部圧入し、混練ゲル化してダイスより大気中に押出し、円筒状(直径10mm、高さ50mm)に押出成形し、発泡体を得た。
【0116】
(比較例3)
比較例2において、オレイン酸モノグリセライド2重量部に代えて3重量部にしたこと以外は、比較例2と同様にして発泡体を得た。
【0117】
(比較例4)
ステアリン酸アミド2重量部に代えて、N,N−メチレンビス(ステアロアミド)(日本化成(株)製、「ダイヤミロックス200ビス」)2重量部を用いるとともに、ステアリン酸アミド9重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。
【0118】
そして、実施例および比較例で得られた連続気泡発泡体の連続気泡性および表面外観を評価し、密度、発泡倍率、復元性および連続気泡率を測定した。
【0119】
結果を表1および表2に示す。なお、表1および表2において、「LDPE」とは、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製、「JE414A」)、「LLDPE」とは、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製、「KF281」)、「EVA」とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学(株)製、「D2011」)、「PP」とは、ポリプロピレン系樹脂(住友化学(株)製、「FS2016」)、「デンプン含有PE」とは、日立化成フィルテック(株)製、「デグラレックス813PE」をそれぞれ意味する。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非架橋性ポリオレフィン系樹脂と脂肪酸アミドとで構成された樹脂組成物であって、非架橋性ポリオレフィン系樹脂の融点をMp、脂肪酸アミドの融点をMpとするとき、下記式(1)を充足する連続気泡発泡体用樹脂組成物。
|Mp−Mp|≦20℃ (1)
【請求項2】
ポリエチレン系樹脂と、C10−28アルカンカルボン酸モノアミドとで構成されている請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
脂肪酸アミドの割合が、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体から選択された少なくとも1種の非架橋性ポリオレフィン系樹脂と、C14−22アルカンカルボン酸モノアミドおよびN−モノ(ヒドロキシC1−2アルキル)−ヒドロキシC14−22アルカンカルボン酸モノアミド)から選択された少なくとも1種の脂肪酸アミドとで構成され、下記式(3)を充足し、かつ前記脂肪酸アミドの割合が、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.2〜25重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
|Mp−Mp|≦10℃ (3)
【請求項5】
さらに、熱可塑性エラストマーを含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項6】
熱可塑性エラストマーがポリスチレン系熱可塑性エラストマーである請求項5記載の樹脂組成物。
【請求項7】
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、および水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体から選択された少なくとも一種で構成され、かつ硬質相と軟質相との割合(重量比)が、前者/後者=10/90〜70/30である請求項6記載の樹脂組成物。
【請求項8】
熱可塑性エラストマーの割合が、非架橋性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、5〜40重量部である請求項5記載の樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、生分解性成分としてのデンプンを含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1記載の樹脂組成物で形成された連続気泡発泡体。
【請求項11】
発泡倍率が10〜45倍である請求項10記載の連続気泡発泡体。
【請求項12】
高さAの連続気泡発泡体を、高さA/2まで圧縮したのち、圧縮を解放して60秒経過後の連続気泡発泡体の高さをBとするとき、(B/A)×100%で表される復元率が、90%以上である請求項10記載の連続気泡発泡体。
【請求項13】
請求項1記載の樹脂組成物を発泡させることにより、得られる連続気泡発泡体の復元性を向上させる方法。
【請求項14】
充填材とシーリング材とで構成されたシール構造であって、前記充填材が請求項10記載の連続気泡発泡体であるシール構造。

【公開番号】特開2006−249409(P2006−249409A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5549(P2006−5549)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000214788)ダイセルノバフォーム株式会社 (25)
【Fターム(参考)】